説明

コンバイン

【課題】揺動選別装置の大型化、藁屑等の残留物の残留。
【解決手段】唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を多段階調節構成にする。車速センサ26からの車速検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ26の車速検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速検出値に応じて唐箕18の風量調節および/またはシーブ22の傾斜角度の調節を実行する。次に、一定時間経過すると、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較して唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節するコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置のチャフ角度および唐箕の風量を、走行速度に応じて変更する構成は公知である(特許文献1)。
該公知例は、刈り始めのとき、刈取装置から穀稈が脱穀装置に至るまでの時間を見越して、一定時間チャフ角度および風量制御せず、落ち着いた後は常時チャフ角度および風量制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−174856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、刈り始めのとき、刈取装置から穀稈が脱穀装置に至るまでの時間を見越して、一定時間チャフ角度制御していないが、落ち着いた後は常時チャフ角度制御することにより、制御が複雑になるという課題がある。
常時車速の変化に対応させてチャフ角度変更制御すると、良好に選別されているのに、僅かな速度変化にもチャフ角度が変化することになり、様々な条件によりチャフ角度制御を変更することになって制御が複雑になる。
本願は、唐箕の風量およびシーブの傾斜角度を、走行速度に応じて変更する構成でありながら、車速の変化を状況により適切に判断して、制御精度を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、走行装置2の上方に脱穀装置3を設け、走行装置2の前方に刈取装置5を設け、前記脱穀装置3は、扱胴15を軸装した脱穀室16の下方に唐箕18と該唐箕18の送風により穀粒と異物とを選別するシーブ22を有する揺動選別棚20を備えた揺動選別装置21を設け、前記唐箕18は、唐箕調節モータ25により走行速度に応じて回転数を変更する構成とし、前記シーブ22は、シーブ調節モータ33により走行速度に応じて傾斜角度を変更する構成とし、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じて唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を多段階に調節する構成とし、一定時間毎の車速の検出を、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じて唐箕18の風量調節および/またはシーブ22の傾斜角度の調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較して前記唐箕調節モータ25および/またはシーブ調節モータ33に出力する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じて唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を多段階に調節するが、一定時間毎の車速の検出の際に、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度の調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じて唐箕18の風量調節および/またはシーブ22の傾斜角度調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度調節をせずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶した車速の検出値と前回記憶した車速の検出値とを比較して前記唐箕調節モータ25および/またはシーブ調節モータ33に出力する。
本発明は、前記唐箕調節モータ25および/またはシーブ調節モータ33は、車速の変化が大きいときは高速で唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節し、車速の変化が小さいとき低速で唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度を調節する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、唐箕調節モータ25および/またはシーブ調節モータ33は、車速の変化が大きいときは高速で唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度の調節し、車速の変化が小さいとき低速で唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度の調節する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、車速センサ26による車速を検出する間隔を短くしつつ、車速センサ26の車速を検出する際の不要な情報を取り込みを避けることことができ、唐箕18の風量および/またはシーブ22の傾斜角度調節の制御を安定したしかも細かい制御にでき、脱穀作業の作業効率を向上させることができる。
請求項2の発明では、前記請求項1の発明の効果に加えて、車速の変化の大きさによって、制御実行速度を変えるので、制御の適格性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】脱穀装置の概略縦断側面図。
【図3】ブロック図。
【図4】フロー図。
【図5】唐箕回転変速機構概略図。
【図6】フロー図。
【図7】フロー図。
【図8】シーブ調節機構の側面図。
【図9】ブロック図。
【図10】フロー図。
【図11】ブロック図。
【図12】フロー図。
【図13】コンバインの側面図。
【図14】接地センサの側面図。
【図15】同背面図。
【図16】同平面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は機体フレームであり、機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方には脱穀装置3を設ける。4は操縦部、5は刈取装置、6はグレンタンクである。
前記刈取装置5には、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設ける。
前記脱穀装置3の一例を示すと、上部に扱胴15を軸装した脱穀室16を設ける。扱胴15の主として下方側は扱網17により包囲し、扱網17の下方には唐箕18を設け、前記脱穀室16の下方には前記唐箕18の送風により穀粒と異物とを風選し得る風選室19を形成する。
風選室19内には、唐箕18の送風方向(前後方向)に往復揺動する揺動選別棚20により構成した揺動選別装置21を設ける。 揺動選別装置21には、シーブ22を設ける。該シーブ22は、扱網17より落下した穀粒と異物とを選別するものであり、所定間隔をおいて揺動方向に複数並設する。
【0009】
前記唐箕18は、車速走行速度に応じて回転数を変更するように構成する。唐箕18の回転を変更する構成は任意であるが、一例を示すと、エンジンからの回転が伝達されるプーリ24の径を唐箕調節モータ25により変更して変速する構成としている(図5)。
前記唐箕調節モータ25の制御は、車速センサ26の車速の検出値と、一定時間毎の車速検出値とを比較し、この変化に応じて唐箕18の風量を多段階に調節するよう実行する。
この場合、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じて唐箕18の風量を多段階に調節する。
即ち、制御部27は、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕18の風量調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じて唐箕18の風量調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間唐箕18の風量調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較し、車速が増速しているときは唐箕18の風量を強くするよう唐箕調節モータ25に出力し、車速が減速しているときは唐箕18の風量を弱くするよう唐箕調節モータ25に出力し、これを反復して、T回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値と、(T−1)回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値とを比較して唐箕調節モータ25への出力制御を行う。
【0010】
そのため、車速に応じた唐箕18の風量制御の精度を向上させる。
つまり、常時車速に応じて唐箕18の風量制御を行うと、ハンチングを起こし、風選が安定しないので、通常、一定時間ごとの車速センサ26の車速の検出値により制御して制御の安定を図っており、この車速センサ26が車速を検出する間隔を短くすると、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行った作業者の増減速操作とが重複することが多くなって、今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値との開きが大きくなり、唐箕18の風量を適正に変更できないことが生じるが、本願では、一定時間経過して車速センサ26が車速を検出するときであっても、車速センサ26が検出した車速検出値を直ぐに読み込まず、唐箕18の風量調節せずに監視する所定の監視時間経過後の車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶して制御するので、車速センサ26が車速を検出する間隔を短くしても、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行う作業者の増減速操作との重複機会を減少させられ、安定したしかも細かい唐箕18の風量制御を行える。
【0011】
27Aは刈取脱穀クラッチの入切を検出する刈取脱穀クラッチ入切検出部である。 刈取脱穀クラッチを切ると、脱穀機全体が停止し、唐箕も停止するため、風量制御を行う必要はないが、刈取クラッチのみを切って、脱穀クラッチを入り状態に保持したままの回行(旋回)時には選別棚上の選別物が減少するため、唐箕の回転を低くして、風量を弱めて藁屑と共に穀粒が機外へ飛散するのを防止する。
28はエンジン制御自動スイッチである。
29は唐箕18の風量を検出するための唐箕調節モータ25の出力位置を検出する唐箕モータ出力検知センサである。
30はエンジン回転検出センサである。
この場合、唐箕調節モータ25は、車速の変化が大きいときは高速で唐箕18の風量を調節し、車速の変化が小さいときは低速で唐箕18の風量を調節する構成とする。
そのため、速度変化に対する唐箕18の風量調節制御の適格性を向上させられる。
【0012】
前記揺動選別棚20のシーブ22はシーブ調節モータ33により傾斜角度調節自在に構成し、シーブ調節モータ33は車速走行速度に応じてシーブ22の開き具合(傾斜角度)を変更するように構成する。
前記シーブ調節モータ33の制御は、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じてシーブ22の開き具合(傾斜角度)を多段階に調節するよう実行する。
この場合、制御部27は、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間シーブ22の開き具合の調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じてシーブ22の開き具合の調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間シーブ22の開き具合の調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較し、車速が増速しているときはシーブ22の開き具合を大きくするようシーブ調節モータ33に出力し、車速が減速しているときはシーブ22の開き具合を小さくするようシーブ調節モータ33に出力し、これを反復して、T回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値と(T−1)回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値とを比較してシーブ調節モータ33への出力制御を行う。
【0013】
そのため、車速に応じたシーブ22の開き制御の精度を向上させる。
即ち、常時車速に応じてシーブ22の開き制御を行うと、ハンチングを起こし、風選が安定しないので、通常、一定時間ごとの車速センサ26の車速の検出値により制御して制御の安定を図っており、この車速センサ26が車速を検出する間隔を短くすると、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行った作業者の増減速操作とが重複することが多くなって、今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値との開きが大きくなり、シーブ22の開き具合を適正に変更できないことが生じるが、本願では、一定時間経過して車速センサ26が車速を検出するときであっても、車速センサ26が検出した車速検出値を直ぐに読み込まず、シーブ22の開き具合を変更せずに監視する所定の監視時間経過後の車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶して制御するので、車速センサ26が車速を検出する間隔を短くしても、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行う作業者の増減速操作との重複機会を減少させられ、安定したしかも細かいシーブ22の開き制御を行える。
34はシーブ22の傾斜角度を検出するためのシーブ調節モータ33の出力位置を検出するシーブモータ出力位置検知センサである。
【0014】
この場合、シーブ調節モータ33は、車速の変化が大きいときは高速でシーブ22の開き具合を調節し、車速の変化が小さいときは低速でシーブ22の開き具合を調節する構成とする。
そのため、速度変化に対するシーブ22の開き具合の制御の適格性を向上させられる。
また、シーブ22の開き具合は、作業者がシーブ調節ダイヤル37により任意に設定する構成とし、このシーブ22の開き具合の設定に応じて唐箕18の風量も強弱(増減)設定するように構成する(図7)。
そのため、シーブ22の開き具合と唐箕18の風量の強弱(増減)の設定を変更でき、一層、シーブ22と唐箕18の制御精度を向上させられる。
例えば、穀稈長さが長く、走行速度に対する脱穀負荷が大きいときは、シーブ22の開き具合を、作業者がシーブ調節ダイヤル37により大きく開く設定に変更し、このシーブ22の開き具合の設定変更に応じて唐箕18の風量も強く(増加)させる。
【0015】
また、シーブ調節ダイヤル37によるシーブ22の開き具合の設定変更したときの唐箕18の風量を、上限値とし、走行速度に対応させて唐箕18の風量制御を実行する。
したがって、所定以上に唐箕18の風量が増加するのを回避するので、三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
また、シーブ調節ダイヤル37によるシーブ22の開き具合の設定変更したときの唐箕18の風量を、唐箕18の風量変更の強弱の中央位置とし、走行速度に対応させて唐箕18の風量制御を実行する。
したがって、所定以上に唐箕18の風量が増加するのを回避するので、
三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
前記シーブ22の傾斜角度を調節する構成は任意であるが、一例を示すと、各シーブ22の一端を取付軸40により回動自在に揺動選別棚20に取付け、各シーブ22の他端に連動軸41を設け、各連動軸41は連動部材42に取付け、連動部材42をワイヤー43を介して前記シーブ調節モータ33に連結し、傾斜角度を調節する。44はワイヤー43の牽引方向とは反対に付勢するバネである。
【0016】
前記刈取装置5の所定位置には、刈取搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈感知センサ45を設け、穀稈感知センサ45が穀稈を検出しているオン状態から穀稈が無いオフ状態への変化(刈取作業から旋回するとき)を検出すると、唐箕18の風量を弱く唐箕調節モータ25に出力し、三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
次に、穀稈感知センサ45のオン状態からオフ状態への変化の原因となった走行方向操作レバー(パワステレバー)46の旋回操作終了を検出すると、一旦、弱くした唐箕18の風量を元の風量に戻すよう唐箕調節モータ25に出力する(図9)。
そのため、旋回後に再開した刈取作業による穀稈の脱穀選別作業を、弱い唐箕18の風量で行って負荷を高めてしまう不都合を回避でき、旋回時の唐箕18の風量変更を自動化して操作性の向上を図った上で、脱穀選別精度および選別効率の低下を防止する。
47は走行方向操作レバー46の操作位置を検出する操作レバー位置検出センサである。
【0017】
唐箕18の風量制御やシーブ22の傾斜角度調節制御の基準となる走行速度は、走行速度操作レバー(HST操作レバー)48(図1)により無段変速装置48Aにより無段階に変速する構成とする(図9)。
一方、前記走行装置2と前記機体フレーム1との間には、図示は省略するが、機体を水平にさせる機体水平機構(ローリング機構および/またはピッチング機構)を設け、車体傾斜センサ49により機体傾斜角度が一定角度以上になると、車速を自動的に減速させ、機体傾斜角度が一定角度以下になっても、直ちに車速を復帰させず、前記走行速度操作レバー48の操作の検出により増速車速復帰するように構成する。
そのため、横転を防止する安全性確保をしつつ、自動的に減速と車速復帰を行えて、操作性を向上させられる。
50は機体水平機構のシリンダーのストロークセンサ、51は無段変速装置(HST)48Aに設けたコントローラである(図11)。
【0018】
この機体傾斜に起因する減速後の車速から減速前の車速に復帰させる際に、所定時間をかけてゆっくり車速復帰させる構成とすると、一層、走行の安全・安定性を向上させる。
前記刈取装置5には、圃場面に常時摺接させる接地センサ55を設ける(図13〜図16)。接地センサ55は椀状のケース56内に所謂圧電セラミック等により形成した検出体57を着脱自在に設けて構成し、接地センサ55はケース56を刈取装置5の固定部に着脱自在に取付ける。
そのため、接地センサ55は、検出体57をケース56から取り外して交換可能であり、接地センサ55の破損に対する復旧作業を容易にする。
検出体57は、ケース56の底部外面58に取付ける。
そのため、ケース56の形状による信号変化を抑制し、検出精度を安定させられる。
前記ケース56の左右側面には、ケース56の検出体57より下方に位置する左右一対のプレート59を設ける。
そのため、検出体57はプレート59により保護され、破損を防止する。
【0019】
(実施例の作用)
走行装置2により走行して刈取装置5により圃場の穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を脱穀装置3に供給する。
脱穀装置3では、回転する扱胴15により穀稈を脱穀した被処理物は扱網17より揺動選別棚20上に落下し、揺動選別棚20の揺動と唐箕18からの送風により揺動選別し、揺動選別棚20のシーブ22の隙間から穀粒を落下させ、藁屑等はシーブ22の隙間から落下させずに後方に送って選別する。
前記唐箕18は、唐箕調節モータ25により車速走行速度に応じて回転数を変更するように構成し、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じて唐箕18の風量を多段階に調節するよう実行する。
【0020】
この場合、制御部27は、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕18の風量調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じて唐箕18の風量調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間唐箕18の風量調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較し、車速が増速しているときは唐箕18の風量を強くするよう唐箕調節モータ25に出力し、車速が減速しているときは唐箕18の風量を弱くするよう唐箕調節モータ25に出力し、これを反復して、T回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値と(T−1)回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値とを比較して唐箕調節モータ25への出力制御を行うので、車速に応じた唐箕18の風量制御の精度を向上させる。
【0021】
即ち、常時車速の変化に応じて唐箕18の風量制御を行うと、ハンチングを起こし、風選が安定しないので、通常、一定時間ごとの車速センサ26の車速の検出値により制御して制御の安定を図っており、この車速センサ26が車速を検出する間隔を短くすると、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行った作業者の増減速操作とが重複することが多くなって、今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値との開きが大きくなり、唐箕18の風量を適正に変更できないことが生じるが、本願では、一定時間経過して車速センサ26が車速を検出するときであっても、車速センサ26が検出した車速検出値を直ぐに読み込まず、唐箕18の風量調節せずに監視する所定の監視時間経過後の車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶して制御するので、車速センサ26が車速を検出する間隔を短くしても、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行う作業者の増減速操作との重複機会を減少させられ、安定したしかも細かい唐箕18の風量制御を行える。
【0022】
この場合、唐箕調節モータ25は、車速の変化が大きいときは高速で唐箕18の風量を調節し、車速の変化が小さいときは低速で唐箕18の風量を調節する構成としているので、速度変化に対する唐箕18の風量調節制御の適格性を向上させられる。
前記揺動選別棚20のシーブ22はモータシーブ調節モータ33により傾斜角度調節自在に構成し、シーブ調節モータ33は車速走行速度に応じてシーブ22の開き具合(傾斜角度)を変更するように構成し、車速センサ26によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じてシーブ22の開き具合を多段階に調節するよう実行し、制御部27は、車速センサ26の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間シーブ22の開き具合の調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ26の車速の検出値に応じてシーブ22の開き具合の調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間シーブ22の開き具合の調節せずに監視してから、車速センサ26の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較し、車速が増速しているときはシーブ22の開き具合を大きくするようシーブ調節モータ33に出力し、車速が減速しているときはシーブ22の開き具合を小さくするようシーブ調節モータ33に出力し、これを反復して、T回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値と(T−1)回目の監視時間が経過した時点での車速の検出値とを比較してシーブ調節モータ33への出力制御を行うので、車速に応じたシーブ22の開き制御の精度を向上させる。
【0023】
即ち、常時車速に応じてシーブ22の開き制御を行うと、ハンチングを起こし、風選が安定しないので、通常、一定時間ごとの車速センサ26の車速の検出値により制御して制御の安定を図っており、この車速センサ26が車速を検出する間隔を短くすると、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行った作業者の増減速操作とが重複することが多くなって、今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値との開きが大きくなり、シーブ22の開き具合を適正に変更できないことが生じるが、本願では、一定時間経過して車速センサ26が車速を検出するときであっても、車速センサ26が検出した車速検出値を直ぐに読み込まず、シーブ22の開き具合(傾斜角度)の調節せずに監視する所定の監視時間経過後の車速センサ26の車速の検出値を読み込み記憶して制御するので、車速センサ26が車速を検出する間隔を短くしても、車速センサ26の車速を検出するタイミングとたまたま行う作業者の増減速操作との重複機会を減少させられ、安定したしかも細かいシーブ22の開き制御を行える。
【0024】
この場合、シーブ調節モータ33は、車速の変化が大きいときは高速でシーブ22の開き具合を調節し、車速の変化が小さいときは低速でシーブ22の開き具合を調節する構成としているので、速度変化に対するシーブ22の開き具合の制御の適格性を向上させられる。
また、シーブ22の開き具合は、作業者がシーブ22調節ダイヤルシーブ調節ダイヤル37により任意に設定する構成とし、このシーブ22の開き具合の設定に応じて唐箕18の風量も強弱(増減)設定するように構成しているので、シーブ22の開き具合と唐箕18の風量の強弱(増減)の設定を変更でき、一層、シーブ22と唐箕18の制御精度を向上させられる。
例えば、穀稈長さが長く、走行速度に対する脱穀負荷が大きいときは、シーブ22の開き具合を、作業者がシーブ調節ダイヤル37により大きく開く設定に変更し、このシーブ22の開き具合の設定変更に応じて唐箕18の風量も強く(増加)させる。
また、シーブ調節ダイヤル37によるシーブ22の開き具合の設定変更したときの唐箕18の風量を、上限値とし、走行速度に対応させて唐箕18の風量制御を実行するので、所定以上に唐箕18の風量が増加するのを回避でき、三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
【0025】
また、シーブ調節ダイヤル37によるシーブ22の開き具合の設定変更したときの唐箕18の風量を、唐箕18の風量変更の強弱の中央位置とし、走行速度に対応させて唐箕18の風量制御を実行するので、所定以上に唐箕18の風量が増加するのを回避するので、三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
前記刈取装置5の所定位置には、刈取搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈感知センサ45を設け、穀稈感知センサ45が穀稈を検出しているオン状態から穀稈が無いオフ状態への変化を検出すると、唐箕18の風量を弱くするよう唐箕調節モータ25に出力し、三番物飛散による脱穀ロスの発生を抑制する。
次に、穀稈感知センサ45のオン状態からオフ状態への変化は、走行方向操作レバー46による旋回操作であるから、旋回操作終了を検出すると、一旦、弱くした唐箕18の風量を元の風量に戻すよう唐箕調節モータ25に出力するので、旋回後に再開した刈取作業による穀稈の脱穀選別作業を、弱い唐箕18の風量で行って負荷を高めてしまう不都合を回避でき、旋回時の唐箕18の風量変更を自動化して操作性の向上を図った上で、脱穀選別精度および選別効率の低下を防止する。
【0026】
唐箕18の風量制御やシーブ22の傾斜角度調節制御の基準となる走行速度は、走行速度操作レバー(HST操作レバー)48により無段階に変速する構成とし、走行装置2と前記機体フレーム1との間には、図示は省略するが、機体を水平にさせる機体水平機構を設け、車体傾斜センサ49により機体傾斜角度が一定角度以上になると、車速を自動的に減速させ、機体傾斜角度が一定角度以下になっても、直ちに車速を復帰させず、前記走行速度操作レバー48の操作の検出により増速車速復帰するように構成しているので、横転を防止する安全性確保をしつつ、自動的に減速と車速復帰を行えて、操作性を向上させられる。
この機体傾斜に起因する減速の車速復帰させる際に、ゆっくり車速復帰させるので、一層、走行の安全・安定性を向上させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0027】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…操縦部、5…刈取装置、6…グレンタンク、8…分草装置、9…引起装置、10…刈刃、11…穀稈搬送装置、15…扱胴、16…脱穀室、17…扱網、18…唐箕、19…風選室、20…揺動選別棚、21…揺動選別装置、22…シーブ、24…プーリ、25…唐箕調節モータ、26…車速センサ、27…制御部、27A…刈取脱穀クラッチ入切検出部、28…エンジン制御自動スイッチ、29…唐箕モータ出力検知センサ、30…エンジン回転検出センサ、33…シーブ調節モータ、37…シーブ調節ダイヤル、45…穀稈感知センサ、46…走行方向操作レバー、48…走行速度操作レバー、49…車体傾斜センサ、55…接地センサ、56…ケース、57…検出体、58…底部外面、59…プレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)を設け、走行装置(2)の前方に刈取装置(5)を設け、前記脱穀装置(3)は、扱胴(15)を軸装した脱穀室(16)の下方に唐箕(18)と該唐箕(18)の送風により穀粒と異物とを選別するシーブ(22)を有する揺動選別棚(20)を備えた揺動選別装置(21)を設け、前記唐箕(18)は、唐箕調節モータ(25)により走行速度に応じて回転数を変更する構成とし、前記シーブ(22)は、シーブ調節モータ(33)により走行速度に応じて傾斜角度を変更する構成とし、車速センサ(26)によって一定時間毎に車速を検出し、この一定時間が経過する直前および直後の検出値どうしを比較し、この変化に応じて唐箕(18)の風量および/またはシーブ(22)の傾斜角度を多段階に調節する構成とし、一定時間毎の車速の検出を、車速センサ(26)の車速の検出値を直ぐに読み込まず、所定時間唐箕(18)の風量および/またはシーブ(22)の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ(26)の車速の検出値を読み込み記憶し、この車速センサ(26)の車速の検出値に応じて唐箕(18)の風量調節および/またはシーブ(22)の傾斜角度の調節を実行し、次に、一定時間経過すると、再び、所定時間唐箕(18)の風量および/またはシーブ(22)の傾斜角度を調節せずに監視してから、車速センサ(26)の車速の検出値を読み込み、この今回記憶車速の検出値と前回記憶車速の検出値とを比較して前記唐箕調節モータ(25)および/またはシーブ調節モータ(33)に出力する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記唐箕調節モータ(25)および/またはシーブ調節モータ(33)は、車速の変化が大きいときは高速で唐箕(18)の風量および/またはシーブ(22)の傾斜角度を調節し、車速の変化が小さいとき低速で唐箕(18)の風量および/またはシーブ(22)の傾斜角度を調節する構成としたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−152100(P2011−152100A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16788(P2010−16788)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】