説明

コンバイン

【課題】
疎植栽培穀稈収穫用のコンバインにおいて、層厚の厚薄に変化する搬送穀稈を搬送装置の挟持力を調整しながら円滑に搬送する。
【解決手段】
コンバインにおいて、刈取搬送部(7)には刈取穀稈を脱穀部(6)のフィードチエンへ搬送する中継ぎ搬送装置(16)、調節搬送装置(15)、引継ぎ搬送装置(17)を設け、これら中継ぎ搬送装置(16)、調節搬送装置(15)及び引継ぎ搬送装置(17)のは搬送チエーンに対向する挟持ガイド杆を押圧支持手段(22)により所定押圧力で押圧し、搬送穀稈の層厚が厚くなり挟持力が強くなり過ぎると、押圧支持手段(22)が挟持力を弱め挟持ガイド杆が拡がる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインにおいて、刈取穀稈を穀稈搬送機構の始端側に掻き込む左右一対のスターホイル及び掻込みベルトを、掻込み位置から機体外側方向に揺動可能に支持したものは、公知である。(特許文献1)。
【0003】
また、刈取部の刈刃装置の前方に相互に噛み合い状態の駆動、受動スターホイルを配置し、駆動スターホイルをエンジンと連動連結して、両スターホイル間に介在した穀稈を後方へ搬送するように構成し、揺動レバーの先端に受動スターホイル軸支し、駆動スターホイルと受動スターホイルとを拡開可能に構成したものは、は公知である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−9524号公報
【特許文献2】実開昭61−146126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、通常の栽培間隔よりも前後左右に広い粗間隔で栽培した稲を収穫するコンバインの穀稈搬送装置に関するもので、刈取穀稈が増減しながら刈り取られ、搬送装置の穀稈層厚が厚薄に頻繁に変化する穀稈の挟持力を適正に調整しながら円滑に搬送しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、機体の右側前部に操縦部(3)を設け、該操縦部(3)の後側に穀粒収納用のグレンタンク(5)を設け、機体左側部に脱穀部(6)を設け、機体の前側部に刈取搬送部(7)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送部(7)には刈取穀稈を脱穀部(6)のフィードチェンへ搬送する中継ぎ搬送装置(16)と調節搬送装置(15)と引継ぎ搬送装置(17)を設け、これら中継ぎ搬送装置(16)と調節搬送装置(15)と引継ぎ搬送装置(17)の夫々は、搬送チェンに対向している挟持ガイド杆を押圧支持手段(22)により所定押圧力で搬送チェン側に押圧し、搬送穀稈の層厚が厚くなり挟持力が強くなり過ぎると挟持ガイド杆が搬送チェンから退避する構成としたことを特徴とするコンバインとした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記中継ぎ搬送装置(16)の始端側に掻込搬送装置(14)の終端側を臨ませ、該掻込搬送装置(14)を、掻込みラグ付きの掻込みベルト(14b)と、該掻込みベルト(14b)の始端側に一体回転するように設けている大径の駆動側掻込みスターホイル(14c)をそれぞれ備えた左右一対の駆動側掻込み搬送装置(14d)及び従動側掻込み搬送装置(14e)で構成し、定位置で掻込み回転する駆動側掻込みスターホイル(14c)に遠近移動自在の従動側掻込みスターホイル(14c)を噛み合わせて駆動側掻込み搬送装置(14d)から従動側掻込み搬送装置(14e)へ動力を伝達し、前記従動側掻込みスターホイル(14c)を駆動側掻込みスターホイル(14c)に向けて押圧支持手段(22)で所定押圧力で押圧支持し、掻込み穀稈の層厚が厚くなり掻込み圧力が強くなり過ぎると、従動側掻込みスターホイル(14c)が駆動側掻込みスターホイル(14c)から退避する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記引継ぎ搬送装置(17)の上方に穂先引継ぎ搬送装置を設けてこの引継ぎ搬送装置(17)と穂先引継ぎ搬送装置とをU字型連結パイプ(37)で一体的に連結支持し、引継ぎ搬送装置(17)の引継ぎ挟持ガイド杆を油圧シリンダで構成している押圧支持手段(22)により押圧支持し、該油圧シリンダへの接続用油圧ホース(35)を前記U字型連結パイプ(37)の中を通して油圧シリンダに接続したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、中継ぎ搬送装置(16)、調節搬送装置(15)及び引継ぎ搬送装置(17)で層厚が厚薄に変化する搬送穀稈を押圧支持手段(22)により搬送挟持ガイド杆の挟持力を強くなり過ぎないように調節しながら円滑に搬送することができ、刈取作業の能率を高めることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、定位置で掻込み回転する駆動側掻込みスターホイル(14c)に遠近移動自在の従動側掻込みスターホイル(14c)を噛み合わせて駆動側掻込み搬送装置(14d)から従動側掻込み搬送装置(14e)に動力を伝達しながら、押圧支持手段(22)により掻込み穀稈の層厚の厚薄に応じて従動側掻込みスターホイル(14c)を遠近に調節し、掻込み穀稈を適正に掻込み中継ぎ搬送装置(16)に供給することができ、刈取作業の能率を高めることができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、引継ぎ搬送装置(17)と穂先引継ぎ搬送装置とを一体的に連結支持するU字型連結パイプ(37)の中を通した油圧ホース(35)を油圧シリンダに接続することができ、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバインの全体平面図。
【図3】コンバインの正面図。
【図4】掻込搬送装置の平面図。
【図5】掻込搬送装置の一部省略した正面図。
【図6】掻込搬送装置の一部省略した正面図、平面図。
【図7】掻込搬送装置の斜視図。
【図8】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図9】引継ぎ搬送装置の平面図、側面図。
【図10】刈取搬送部の正面図。
【図11】引継ぎ搬送装置の平面図、側面図。
【図12】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図13】コンバインの前側部の分解した平面図。
【図14】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図15】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図16】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図17】中継ぎ搬送装置の平面図。
【図18】引継ぎ搬送装置の平面図、側面図。
【図19】刈取搬送部の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施例について説明する。まず、図1乃至図3に基づき本発明を施すコンバインの全体構成について説明する。
コンバインの走行車台1の下方には左右クローラ走行装置2,2を配設し、走行車台1上には、右側前部に座席付きの操縦部3を、操縦部3の後方下部にはエンジンを備えた原動部4を、原動部4の後方には穀粒収納用のグレンタンク5を配設している。走行車台1の左側部に脱穀部6を搭載し、走行車台1の前側部には刈取搬送部7を昇降自在に設け、脱穀部6及びグレンタンク5の後方に排稾処理装置8を設けている。
【0014】
前記刈取搬送部7には、前側から後側にかけて複数の分草杆11,…、穀稈引起し装置12、…、刈刃装置13、掻込搬送装置14、中継ぎ搬送装置16、引継ぎ搬送装置17を設け、脱穀部6のフィードチェンへ刈取穀稈を引継ぎ搬送するように構成している。しかして、圃場の穀稈を分草杆11,…により穀稈条列毎に分草して穀稈引起し装置12,…に案内し、穀稈引起し装置12,…で引起し、引き起こした穀稈を掻込搬送装置14で後方へ掻き込み搬送して刈刃装置13で刈り取り、中継ぎ搬送装置16で左右中央部へ集送しながら中継ぎ搬送し、引継ぎ搬送装置17を経て脱穀部6のフィードチェンへ引き継ぎ搬送する。
【0015】
次に、図4及び図5に基づき掻込搬送装置14について説明する。
この実施例は疎植栽培の稲に対応する掻込搬送装置に関するものである。圃場に通常の栽培方式よりも前後左右に広い間隔を空けて稲を栽培し、太陽光線を多量に収受し、種子や肥料の節約を図りながら多収量を目指す疎植栽培方式の稲の収穫に利用しようとするものである。このようにして栽培された稲をコンバインで収穫する際には、刈取穀稈が増減を繰り返しながら刈り取られ、掻込み穀稈の層厚が頻繁に厚薄に変化しながら掻込み搬送されるが、掻込搬送装置14で掻込み穀稈の挟持力を調整しようとするものである。
【0016】
前記掻込搬送装置14は、掻込みフレーム14aと、前後方向に沿って設けている掻込みラグ付きの掻込みベルト14bと、掻込みベルト14bの前側始端側部に一体的に回転するように設けている大径の掻込みスターホイル14cとを備えている駆動側掻込み搬送装置14dと従動側掻込み搬送装置14eを左右に対向配置している。
【0017】
駆動ギヤケース21に駆動側掻込み搬送装置14dを定位置で掻込み搬送するように設け、駆動ギヤケース21内の掻込み伝動装置21aから駆動側掻込み搬送装置14dに動力を伝達している。また、刈取搬送部7のフレーム部7aに従動側掻込み搬送装置14eの後側終端側を上下方向の軸回りに回動自在に軸支し、前側始端側の従動側、駆動側掻込みスターホイル14c,14cを互いに噛み合わせ、駆動側掻込み搬送装置14dから従動側掻込み搬送装置14eへ動力を伝達ししている。そして、駆動側、従動側掻込み搬送装置14d,14eを左右に複数組み設けて、多条穀稈を掻込み搬送している。
【0018】
そして、従動側掻込搬送装置14の従動側掻込みスターホイル14cを例えば油圧シリンダ22により駆動側の掻込みスターホイル14cに所定圧力で押圧するように構成している。そして、油圧ポンプから逆止弁を経由して送られる所定圧の油圧を油圧シリンダ22の供給部22aへ供給し、また、油圧シリンダ22の排出部22bから油圧タンクに連なる回路にはリリーフ弁を設けて、基準圧力以上の油圧をタンクに逃がし、駆動側掻込み搬送装置14dと従動側掻込み搬送装置14eの始端側の間隔を拡縮調節し、掻込み挟持力が強くなり過ぎないようにしている。
【0019】
しかして、駆動側、従動側掻込みスターホイル14c,14c間に層厚の厚い穀稈が掻き込まれると、油圧シリンダ22の排出部22bから油圧を逃がし、駆動側、従動側掻込みスターホイル14c,14cの間隔を拡げる。また、層厚の薄い穀稈が掻き込まれると、間隔を狭くしながら、駆動側、従動側掻込みスターホイル14c,14cにより動力を伝達している。なお、油圧シリンダ22をダンパーや、空気シリンダに代えて同様に構成してもよい。
【0020】
次に、図6について説明する。
4条刈りコンバインを構成するにあたり、駆動側掻込み搬送装置14d,14dと従動側掻込み搬送装置14e,14eを2組左右に並列配置し、駆動側掻込み搬送装置14d,14dを左右両側に配置し、左右両側の駆動ギヤケース21,21の掻込み伝動装置21a,21aから動力を伝達している。また、従動側掻込み搬送装置14e,14eを左右中央寄りに配置して、駆動側掻込みスターホイル14c,14cと従動側掻込みスターホイル14c,14cを噛み合わせて、従動側に動力を伝達している。そして、中央寄りに左右に並設している従動側掻込み搬送装置14e,14eを単一の油圧シリンダ22で駆動側掻込み搬送装置14d,14dに向けて伸縮自在に圧接し、構成の簡素化とコストの低減を図っている。
【0021】
次に、図7に基づき他の実施例について説明する。フレーム部7aに従動側掻込み搬送装置14eの掻込みフレーム14aの後部を上下方向の支持軸23で軸支し、フレーム7aと支持軸23との間にコイルスプリング24を介装し、従動側掻込みスターホイル14cを駆動側掻込みスターホイル14cに押圧して噛み合わせ動力を伝達している。
【0022】
次に、図8乃至図10に基づき中継ぎ搬送装置16及び引継ぎ搬送装置17の搬送穀稈挟持圧調整構成について説明する。
図10に示すように、駆動側掻込み搬送装置14d、従動側掻込み搬送装置14eの終端側に中継ぎ搬送装置16,16の始端側を接続し、中継ぎ搬送装置16の終端側に調節搬送装置15を介して引継ぎ搬送装置17の始端側に接続し、引継ぎ搬送装置17の終端側を脱穀部6のフィードチェンに接続している。
【0023】
この中継ぎ搬送装置16は、図8に示すように、中継ぎフレーム16aと、前側始端側の駆動スプロケット16bと後側終端側の従動スプロケット16cに巻き掛けた中継ぎ搬送チェン16dと、駆動スプロケット16bと一体的に回転する大径の掻込みスターホイル16eと、中継ぎ搬送チェン16dの搬送部に遠近調節自在に対向配置している中継ぎ挟持ガイド杆16fと、中継ぎ挟持ガイド杆16fを中継ぎ搬送チェン16d側に押圧付勢するスプリング16gとで、構成されている。そして、中継ぎ駆動動力を駆動スプロケット16bに伝達し、中継ぎ搬送装置17を駆動している。なお、中継ぎ搬送装置17の上方には穂先中継ぎ搬送装置を設けている。
【0024】
また、フレーム部7aに取り付けているブラケット26には、中継ぎ搬送装置16の搬送層厚の厚薄を検出する中継ぎ穀稈層厚検出センサ28を設け、中継ぎ挟持ガイド杆16fを遠近に調節する中継ぎ調節モータ27を設けている。
【0025】
しかして、中継ぎ穀稈層厚検出センサ28の穀稈の厚薄検出情報がコントローラ(図示省略)に入力されると、コントローラから穀稈層厚の厚薄に関連した制御指令が中継ぎ調節モータ27に出力される。即ち、搬送層厚が厚いときには、中継ぎ搬送チェン16dから中継ぎ挟持ガイド杆16fが遠ざかるように調節される。また、搬送層厚が薄いときには、中継ぎ搬送チェン16dに中継ぎ挟持ガイド杆16fが近づくように関連的に調節され、中継ぎ穀稈を所定の挟持力で安定して挟持しながら円滑に搬送するようにしている。
【0026】
次に、図12について説明する。
中継ぎ搬送装置16には中継ぎ挟持ガイド杆17fの始端側及び終端側を調節する油圧シリーズ22,22を設け、中継ぎ穀稈層厚を検出する中継ぎ層厚検出センサ28,28を設けている。中継ぎ層厚検出センサ28,28の層厚検出情報に基づき、油圧シリンダ22,28により中継ぎ挟持ガイド杆17fを遠近に調節するように構成している。
【0027】
なお、調節搬送装置15も調節搬送チェン15aと調節挟持ガイド杆15bを備え、油圧シリンダ22で同様に挟持圧を調節するように構成している。
次に、図9に基づき引継ぎ搬送装置17の搬送穀稈の挟持力調整構成について説明する。
【0028】
引継ぎ搬送装置17は、引継ぎフレーム17aと、前側の駆動スプロケット17bと後側の従動スプロケット17cに巻き掛けている引継ぎ搬送チェン17dと、引継ぎ搬送チェン17dの搬送部に対向配置している遠近調節自在の引継ぎ挟持ガイド杆17eと、引継ぎ挟持ガイド杆17eを引継ぎ搬送チェン17d側に押圧付勢するスプリング(図示省略)と、により構成されている。そして、引継ぎ駆動動力を駆動スプロケット17bに伝達し、引継ぎ搬送装置17を駆動している。
【0029】
また、フレーム部7aに取り付けているブラケット26には、引継ぎ搬送装置17の搬送層厚の厚薄を検出する引継ぎ穀稈層厚検出センサ30を設け、引継ぎ挟持ガイド杆17eを遠近に調節する引継ぎ調節モータ31を設けている。
【0030】
しかして、引継ぎ穀稈層厚検出センサ30の層厚検出情報がコントローラ(図示省略)に入力されると、コントローラから穀稈層厚の厚薄に関連した制御指令が引継ぎ調節モータ31に出力される。搬送層厚が厚いときには、引継ぎ搬送チェン17dから引継ぎ挟持ガイド杆17eが遠ざかるように調節される。また、搬送層厚が薄いときには、引継ぎ搬送チェン17dに引継ぎ挟持ガイド杆17eを近づけるように関連的に調節され、引継ぎ穀稈を所定の挟持力で安定して挟持しながら円滑に搬送し、脱穀部6のフィードチェンに引き継ぐようにしている。
【0031】
また、図18のように構成してもよい。引継ぎ搬送装置17の引継ぎ挟持ガイド杆17eの始端側と終端側を油圧シリンダ22,22で押圧し、それぞれ挟持圧を調節可能に構成している。引継ぎ挟持ガイド杆17eの始端側と終端側に引継ぎ穀稈層厚検出センサ30,30をそれぞれ設ける。
【0032】
引継ぎ穀稈層厚検出センサ30,30の層厚検出情報に基づき、油圧シリンダ22,22の排出部22のリリーフ弁のリリース圧をそれぞれ調節し、搬送層厚が厚いときには、引継ぎ挟持ガイド杆17eを引継ぎ搬送チェン17dから遠ざかるように調節する。また、搬送層厚が薄いときには、引継ぎ挟持ガイド杆17eを引継ぎ搬送チェン17dに近づけるように関連的に調節する。
【0033】
また、図19に示すように、引継ぎ搬送装置16から調節搬送装置15を経て引継ぎ搬送装置17に穀稈を引継ぎ搬送するように構成し、これらの中継ぎ挟持ガイド杆16f、調節挟持ガイド杆15b、引継ぎ挟持ガイド杆17eの穀稈挟持力を搬送上手側から搬送下手側に連動させて所定タイミングずつ遅らせて順次関連的に調節するように構成してもよい。
【0034】
次に、図11について説明する。
引継ぎ搬送装置17の引継ぎ挟持ガイド杆17eの始端側と終端側を、引継ぎ搬送チェン17dに向けて油圧シリンダ22,22により遠近調節可能に構成し、油圧装置から油圧シリンダ22,22の供給部22aへ所定圧力の油圧を供給し、油圧シリンダ22,22の排出部22bから基準圧力以上の油圧を逃がし、引継ぎ挟持ガイド杆17eと引継ぎ搬送チェン17dとの間隔を拡縮調節し、挟持力が強くなり過ぎないようにしている。
【0035】
なお、油圧シリンダ22に代えて、ダンパー、空気シリンダで構成してもよい。
また、引継ぎ搬送装置17には引継ぎ搬送層厚の厚薄を検出する引継ぎ層厚検出センサ30,30を、引継ぎ挟持ガイド杆17eの始端側と終端側に設け、油圧シリンダ22の供給部22a、排出部22bの油圧を大小に調節する油圧調節手段を設けている。
【0036】
しかして、引継ぎ層厚検出センサ30,30により引継ぎ層厚の厚い検出情報を検出しコントローラ(図示省略)に入力されると、コントローラの指令により、油圧シリンダ22の排出部22bのリリーフ圧が低圧側に調節され、引継ぎ挟持ガイド杆17eが引継ぎ搬送チェン17dから遠ざかるように調節され、引継ぎ穀稈を適正な引継ぎ搬送挟持力で搬送する。また、引継ぎ層厚の薄い検出情報を検出すると、油圧シリンダ22の排出部22bのリリーフ圧が高圧側に調節され、引継ぎ挟持ガイド杆17eが引継ぎ搬送チェン17dに近づくように関連的に調節される。
【0037】
また、図11に示すように、引継ぎ搬送装置17の上方には穂先引継ぎ搬送装置を設け、引継ぎ搬送装置17と穂先引継ぎ搬送装置をU字型連結パイプ37で連結し一体構成としている。そして、油圧シリンダ22,…へ接続する油圧ホース35,…や、センサへ接続するハーネス36を、U字型連結パイプ37の中を通して接続し、構成の簡素化とコストの低減を図っている。
【0038】
次に、図13について説明する。
引継ぎ搬送装置17の始端側には駆動スプロケット17bを設け、刈取搬送部7の引継ぎ伝動軸38と駆動スプロケット17とを着脱自在に連結して動力を伝達している。また、引継ぎ搬送装置17を駆動スプロケット17bの軸心回りに回動調節し、脱穀部6のフィードチェンとの引継ぎ関係位置を調節し、穀稈の扱ぎ深さを調節している。
【0039】
そして、前記油圧ホース35,…、ハーネス36を引継ぎ搬送装置17の始端側の回動中心近傍で分割し、接続具40,…を介して着脱自在に連結し、先端側の油圧ホース35,…、ハーネス36をU字型連結パイプ37の中を通して油圧シリンダ22,…、引継ぎ穀稈層厚検出センサ30に導いて連結している。
【0040】
しかして、引継ぎ伝動軸38から引継ぎ搬送装置17の駆動スプロケット17bを取り外す際には、接続具40,…を取り外すことにより、油圧ホース35、ハーネス36を分割することができ、引継ぎ搬送装置17のメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0041】
次に、図14について説明する。
中継ぎ搬送装置16の中継ぎ挟持ガイド杆16f,16fの始端側及び終端側を空気シリンダ25,…で挟持圧を調節するように支持し、油圧シリンダ22と同様に、空気シリンダ25,…の供給部から所定圧力の空気を供給し、空気シリンダ25の空気圧力が基準圧力より高くなると、排出部のリリーフ弁から空気を排出し、挟持圧を調整するように構成している。また、中継ぎ搬送装置16に穀稈が詰った場合には、挟持解除スイッチ(図示省略)をONし、空気シリンダ25,…のリリーフ弁を全開し、中継ぎ挟持ガイド杆16fの挟持力をなくし、詰った穀稈を容易に取り除くようにし、メンテナンスの容易化を図っている。
【0042】
次に、図15について説明する。
中継ぎ搬送装置16の中継ぎ挟持ガイド杆16f,16fの始端側及び終端側を油圧シリンダ22,…で挟持圧を調節するように構成している。そして、中継ぎ搬送装置16に穀稈が詰った場合には、挟持解除スイッチ(図示省略)をONし、油圧シリンダ22,…の排出部22bのリリーフ弁を全開し、中継ぎ挟持ガイド杆16f,16fの挟持力をなくし、詰り穀稈を容易に取り除き、メンテナンスの容易化を図っている。
【0043】
次に、図16について説明する。
3条型の中継ぎ搬送装置16,16を左右に並設し、左右の中継ぎ挟持ガイド杆16f,16fの始端側及び終端側を油圧シリンダ22,…で押圧支持するにあたり、例えば、右側の中継ぎ搬送装置16のフレーム部から延出しているブラケット39に複数の油圧シリンダ22,…を取り付け、左右の中継ぎ挟持ガイド杆16f,16fを支持するようにし、構成を簡素化しコストの低減を図っている。
【0044】
次に、図17について説明する。
刈取搬送部7には駆動動力を変速する例えば静油圧式無段変速装置(図示省略)を設け、中継ぎ搬送装置16の中継ぎ挟持ガイド杆16fには搬送穀稈の層厚を検出する中継ぎ穀稈層厚検出センサ28を設けている。
【0045】
しかして、中継ぎ穀稈層厚検出センサ28が厚い穀稈層厚を検出しコントローラに入力されると、コントローラの指令により、静油圧式無段変速装置を高速側に変速し、中継ぎ搬送装置16の搬送速度を速くし、層厚の厚い穀稈を終端側に分散しながら搬送し、搬送挟持力の適正化を図っている。
【0046】
また、中継ぎ穀稈層厚検出センサ28が薄い穀稈層厚を検出すると、静油圧式無段変速装置を低速変速に戻し、中継ぎ穀稈を低速搬送に復帰させ、適正な挟持力で適正速度で中継ぎ穀稈を搬送するようにしている。
【符号の説明】
【0047】
3 操縦部
5 グレンタンク
6 脱穀部
7 刈取搬送部
14 掻込搬送装置
14b 掻込みラグ付きの掻込みベルト
14c 掻込みスターホイル
14d 駆動側掻込み搬送装置
14e 従動側掻込み搬送装置
15 調節搬送装置
15b 挟持ガイド杆
16 中継ぎ搬送装置
16f 挟持ガイド杆
17 引継ぎ搬送装置
17e 挟持ガイド杆
22 押圧支持手段
35 油圧ホース
37 U字型連結パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の右側前部に操縦部(3)を設け、該操縦部(3)の後側に穀粒収納用のグレンタンク(5)を設け、機体左側部に脱穀部(6)を設け、機体の前側部に刈取搬送部(7)を設けたコンバインにおいて、前記刈取搬送部(7)には刈取穀稈を脱穀部(6)のフィードチェンへ搬送する中継ぎ搬送装置(16)と調節搬送装置(15)と引継ぎ搬送装置(17)を設け、これら中継ぎ搬送装置(16)と調節搬送装置(15)と引継ぎ搬送装置(17)の夫々は、搬送チェンに対向している挟持ガイド杆を押圧支持手段(22)により所定押圧力で搬送チェン側に押圧し、搬送穀稈の層厚が厚くなり挟持力が強くなり過ぎると挟持ガイド杆が搬送チェンから退避する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記中継ぎ搬送装置(16)の始端側に掻込搬送装置(14)の終端側を臨ませ、該掻込搬送装置(14)を、掻込みラグ付きの掻込みベルト(14b)と、該掻込みベルト(14b)の始端側に一体回転するように設けている大径の駆動側掻込みスターホイル(14c)をそれぞれ備えた左右一対の駆動側掻込み搬送装置(14d)及び従動側掻込み搬送装置(14e)で構成し、定位置で掻込み回転する駆動側掻込みスターホイル(14c)に遠近移動自在の従動側掻込みスターホイル(14c)を噛み合わせて駆動側掻込み搬送装置(14d)から従動側掻込み搬送装置(14e)へ動力を伝達し、前記従動側掻込みスターホイル(14c)を駆動側掻込みスターホイル(14c)に向けて押圧支持手段(22)で所定押圧力で押圧支持し、掻込み穀稈の層厚が厚くなり掻込み圧力が強くなり過ぎると、従動側掻込みスターホイル(14c)が駆動側掻込みスターホイル(14c)から退避する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記引継ぎ搬送装置(17)の上方に穂先引継ぎ搬送装置を設けてこの引継ぎ搬送装置(17)と穂先引継ぎ搬送装置とをU字型連結パイプ(37)で一体的に連結支持し、引継ぎ搬送装置(17)の引継ぎ挟持ガイド杆を油圧シリンダで構成している押圧支持手段(22)により押圧支持し、該油圧シリンダへの接続用油圧ホース(35)を前記U字型連結パイプ(37)の中を通して油圧シリンダに接続したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−72212(P2011−72212A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224939(P2009−224939)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】