説明

コンバイン

【課題】排出オーガに設けるカメラを保護すると共に、排出オーガを適正穀粒排出位置に位置決め操作する際の指標になるガードを備えたコンバインを提供する。
【解決手段】前処理部により刈取られた穀稈を脱穀3で脱穀し穀粒をグレンタンク内に貯留し、穀粒搬送オーガによって穀粒を排出するに、穀粒搬送オーガの排出オーガ7に設置したカメラ10によって穀粒排出状況を撮影し、映像をモニタに表示させながら穀粒排出作業を行うコンバインであって、排出オーガ7にカメラ10の外側を囲うガード30を設けると共に、ガード30の一部をカメラ10の撮像範囲内で撮像可能に位置させ、モニタに表示されるガード30を排出オーガ7の排出位置合せの指標とするように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒排出作業の状況を撮影するカメラを排出オーガに備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取られた穀稈を脱穀部によって脱穀し、排稈は後方のカッタ装置によって切断排出すると共に、穀粒はグレンタンク内に貯留しながら穀粒搬送オーガ(アンローダ)によって、地上に待機しているトラックの荷台等の穀粒容器内に穀粒排出するコンバインは既に公知である(例えば特許文献1。)。
上記特許文献1のコンバインは、穀粒搬送オーガの排出オーガ(横オーガ)の先端側に開口している穀粒排出口の近傍にカメラ(作業用カメラ)を設置しており、排出オーガから排出される穀粒の排出状況を撮影し、撮影された映像を操作部のモニタを見ながら穀粒排出作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−5712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で示されるコンバインは、カメラを排出オーガの先端側面に露出状態で取付けているので、排出オーガが昇降や旋回作動するとき物と不慮に接当したり、モニタの映像を見ながら排出オーガを穀粒容器に接近させ穀粒排出の位置決め操作を行うとき、排出オーガを穀粒容器に接近させ過ぎて接当させるような誤操作があったとき、カメラが穀粒容器に接当し破損や変形を生じ易い等の欠点がある。
また排出オーガの位置決め作業を行うとき、オペレータはモニタに映し出される穀粒容器とその開口縁との平面的な映像情報によって、オーガの排出位置を判断しなければならないため、排出オーガを迅速に位置決めすることに困難性があり熟練を要する等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明によるコンバインは、第1に、前処理部2により刈取られた穀稈を脱穀部3で脱穀し穀粒をグレンタンク6内に貯留し、穀粒搬送オーガ5によって穀粒を排出するに、穀粒搬送オーガ5の排出オーガ7に設置したカメラ10によって穀粒排出状況を撮影し、映像をモニタ12に表示させながら穀粒排出作業を行うコンバイン1において、前記排出オーガ7にカメラ10の外側を囲うガード30を設けると共に、該ガード30の一部をカメラ10の撮像範囲内で撮像可能に位置させ、モニタ12に表示されるガード30を排出オーガ7の排出位置合せの指標とするように構成したことを特徴としている。
【0006】
第2に、排出オーガ7に設置されるカメラ10を、下向きの排出状況撮影姿勢と、後方向きの後方状況撮影姿勢とに切換え自在に設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、排出オーガにカメラの外側を囲うガードを設け、該ガードの一部をカメラの撮像範囲内で撮像可能に位置させることにより、排出オーガが昇降や旋回作動するとき物と不慮に接当しても、ガードがカメラと物との直接的な接当を防止する。またモニタの映像を見ながら排出オーガを穀粒容器に接近させ穀粒排出の位置決めを行うとき、モニタに表示される映像には、排出オーガの穀粒排出口と一定の関係にあるガードの一部が映し出されているので、ガードが排出位置合せの指標となり、排出オーガを穀粒容器に対し適正穀粒排出位置に簡単に位置決め操作することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、排出オーガに設置されるカメラを、下向きの排出状況撮影姿勢と、後方向きの後方状況撮影姿勢とに切換え自在に設けることにより、オペレータはカメラの後方状況撮影姿勢への切換えにより後方の映像をモニタによって速やかに視認することができる。これにより機体左側方に近接する物や地面の状況等の確認も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用されたコンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの穀粒排出作業を示す側面図である。
【図4】カメラ及びガードを備えた排出オーガによる穀粒排出作業の態様を示す側面図である。
【図5】排出オーガの先端部の構成を示す正面図である。
【図6】排出オーガの先端部の構成を示す底面図である。
【図7】穀粒ガイドの構成を示す側断面図である。
【図8】結束装置の構造を示す側面図である。
【図9】結束装置の構造を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2で示すコンバイン1は、走行機台1aの前部に前処理部2を昇降自在に設け、その後方左側に脱穀部3を配設し、右側にキャビン4aで囲われた操縦部4と、その後方に穀粒搬送オーガ5を有するグレンタンク6を配設している。上記走行機台1aは左右の下部にクローラ方式の走行装置1bを備え、脱穀部3は脱穀機体の後部に着脱可能に装着される排藁処理装置として、脱穀済みの排稈を稈身方向に細く切断するカッタ装置3aを備えている。尚、図1はカッタ装置3aの後部に、後述する結束装置3bを装着した場合のコンバイン1を示す。
【0011】
上記穀粒搬送オーガ5は、グレンタンク6の後壁に沿って立設される縦オーガ5aと、該縦オーガ5aの上部に設置されて穀粒を継送する穀粒継送部5bと、該穀粒継送部5bを介して先端から穀粒を排出する排出オーガ7とから構成している。この穀粒搬送オーガ5は、キャビン4a内で操縦部4に設置されるオーガ操作部8、及び排出オーガ7の先端に着脱自在に装着される手元操作自在なリモート操作具8aの操作により、穀粒排出作動を入り切りすると共に、排出オーガ7の上下作動及び縦オーガ5aを回動中心とする旋回作動、並びに排出オーガ7の先端に設置される、後述する穀粒排出流板9と撮像用のカメラ10等の操作を自在に行うことができる。
【0012】
そして、コンバイン1は、穀粒の排出状況及び機体の前部側等を撮影するカメラ10を、排出オーガ7の先端に形成される穀粒排出口7aの近傍に、本発明に係るカメラ設置構造によって設けている。また機体後方を撮影する後部カメラ11をカッタ装置3aの後部に設置している。またカメラ10,11で撮影した画像は、キャビン4a内に設けられるモニタ12に表示され、オペレータが操縦しながら視認することができる。
モニタ12は図2,図3で示すように、キャビン4aの右側において天井パネル13から下向きに取付けられるアーム等の取付部材14に支持されている。
【0013】
これによりオペレータは、モニタ12を視認し易い位置に取付け角度又は取付け位置を調節して位置決めすることができると共に、オペレータが地上から前記リモート操作具8aを操作し穀粒の排出作業を行う際に、図3で示すようにその視認位置を取付部材14を介して位置変更し、地上からモニタ12を視認しながら穀粒排出作業を行う。このとき排出オーガ7と、例えば路上に待機しているトラック16に搭載される穀粒容器(荷台タンク)17との位置関係及び作業状況等を視認しながら穀粒排出作業を容易に行うことができる。尚、モニタ12は図示しない切換スイッチの操作により、前部のカメラ10と後部のカメラ11とで撮影される映像を、同時に又は択一的に切換表示することができる。
【0014】
次に、図4〜図6を参照し排出オーガ7の先端部構造及びカメラ設置構造について説明する。排出オーガ7は穀粒排出口7aを筒先端の下部側で下向きに開口しており、穀粒排出口7aの周囲に断面方形状の口筒18を下向きに設けている。また排出オーガ7の先端部を閉鎖する端壁19には、下方を照らすランプ20を取付けていると共に、リモート操作具8aを着脱自在に装着する取付具21を取付けている。
また口筒18の下端外周には、可撓性を有する透明シートからなる筒状の穀粒流下ガイド22を取付けている。
【0015】
そして、口筒18の前部側には、左右の側壁に支軸23を回動自在に軸支し、該支軸23に板状の穀粒ガイド24の上部を固設している。この支軸23は、右端を右側壁に装着される回動装置(モータ)26に接続し、左端に前記カメラ10を取付けている。
この構成により、オーガ操作部8又はリモート操作具8aの操作に基づく回動装置26の作動により支軸23を正逆回転し、図7で示すように穀粒ガイド24が穀粒排出口7aを閉じる閉鎖姿勢と、穀粒排出口7aの下部を開放する排出姿勢とに切換えることができる。
【0016】
またオーガ操作部8又はリモート操作具8aの操作に基づく支軸23の回動調節操作により、穀粒ガイド24を垂下状となして穀粒排出口7aを全開させる全開姿勢と、穀粒ガイド24を閉じ方向に傾斜させる傾斜姿勢とに姿勢を変更調節することができる。これにより、穀粒ガイド24は穀粒排出口7aから排出される穀粒の排出流下位置を選択調節しながら、穀粒を穀粒容器17内に効率よく貯留させることができる。また穀粒排出作業を終えて排出オーガ7が元の格納姿勢に復帰するとき、その復帰作動を検出する例えば旋回位置センサ等の検出信号に基づき回動装置26がモータ回転を制御することにより、穀粒ガイド24は穀粒排出口7aを排出オーガ7の格納位置で自動的に閉動することができ、且つ穀粒ガイド24は排出オーガ7が格納位置から移動すると開動することができる。
【0017】
カメラ10は図4〜図6で示すように、カメラ10の両側を支持する下向きコ字状のブラケット27を、穀粒ガイド24を全開姿勢に回動させた状態の支軸23の下面に沿って、ボルト29によって取付けている。これによりカメラ10は穀粒ガイド24と共に支軸23を中心に回動するので、穀粒ガイド24が穀粒の排出流下位置を案内する排出方向と一致し、カメラ10は穀粒の排出状況や穀粒容器17内への排出位置等を正確に撮影することができる。
【0018】
また排出オーガ7が前記格納姿勢になるとき、支軸23の回動により穀粒ガイド24が穀粒排出口7aを自動的に閉鎖して穀粒の漏れ落ちを防止すると共に、カメラ10を図1,図2に実線で示す後方向きの後方状況撮影姿勢に自動的に切換える。従って、オペレータは穀粒排出口7a側でカメラ10の取付け姿勢を人為的に切換える等の労力を要することなく、穀粒排出状況を撮影する下向きの排出状況撮影姿勢から、後方状況撮影姿勢への切換えにより後方の映像を速やかに撮影することができる。
【0019】
また後方状況撮影姿勢においてカメラ10は、図2に点線A,Bで示す撮像範囲の撮影を行うことができる。これにより、操縦部4からは見ることが困難な機体左側での刈取部2と脱穀部3による穀稈の搬送状況を、モニタ12によって正確に視認することができる。また機体左側方に近接する物(近接物)或いは地面の状況等の確認も容易に行うことができる。
そして、このカメラ10はその外周を囲うガード30を排出オーガ7に備えており、該ガード30はその一部を穀粒排出位置を定める際の指標として兼用することができるように構成にしている。
【0020】
即ち、ガード30は丸棒状の線材を折り曲げて形成しており、この線材の両端部を口筒18の前壁面と後壁面にボルト18aによって取付けている。そして、ガード30は図5に示すように、カメラ10を下向き姿勢にした状態において、該カメラ10の下方に下ガード距離Hと、側方に向けてカメラ10から外側に突出する横突出距離Lを有した位置に、前ガード部(下ガード部)31と後ガード部(下ガード部)32を形成している。そして、前ガード部31と後ガード部32とは、カメラ10との間にそれぞれ前後方向の前方間隔と後方間隔を有して配設され、その外端部を上方に向けて屈曲させることにより、側面視で門型形状に起立させた側方ガード部33を一体的に形成している。
【0021】
これによりガード30は、カメラ10のレンズ部の下方側を前ガード部31と後ガード部32とによりガードすると共に、カメラ10の前後及び左側方を側方ガード部33によってガードすることができる。またガード30の後ガード部32は、下ガード距離Hと後方間隔を有した位置に設置されるので、カメラ10から斜め後方下部に指標距離Sを有した位置において撮像される。従って、後ガード部32は、カメラ10と後ガード部32を結ぶ延長線をモニタ映像のガード指標線S1として、撮像指標にすることができる。このカメラ10は、図4に点線Cと点線Dで示す間を前後方向の撮像範囲としており、この撮像範囲において、後方側の撮像限界線Dから内側(前側)寄りに指標角(撮像角)βを有した位置に後ガード部32を臨ませている。そして、ガード指標線S1は、排出オーガ7から排出される穀粒の排出位置より後方に設定される。即ち、穀粒はガード指標線S1より前側に排出される。
【0022】
これにより図3及び図4で示す穀粒排出作業時に、カメラ10は前後及び左右方向の撮像範囲に入るガード30部分と下方の映像をモニタ12に表示することができる。そして、オペレータは後ガード部32の映像と穀粒容器17との映像との関係を見ながら、排出オーガ7の位置決め操作及び穀粒排出の状況等を観察し作業の対応をすることができる。また穀粒容器17の開口部に排出オーガ7の穀粒排出口7aを臨ませ、穀粒を飛散防止し適正供給するように排出オーガ7の位置決め操作を容易にする。
【0023】
このときモニタ12には、後ガード部32と穀粒容器17の開口部の開口縁17a等が同時に映し出されるので、オペレータは、後ガード部32の映像に対し開口縁17aの映像が外側(後側)に向けて十分に離れた距離であるかを、視認して判断をすることができる。即ち、この映像のときに排出オーガ7の位置決め操作を停止すると、穀粒排出口7aから排出される穀粒は、穀粒流下ガイド22を介して穀粒容器17内に外部飛散を生ずることなく適正に収容することができる。
【0024】
次に、以上のように構成されるコンバイン1の穀粒排出作業について説明する。オペレータが操作部4に居ながら穀粒排出作業を行う場合は、排出オーガ7と穀粒容器17を外観しつつキャビン4a内前部のモニタ12を見ながら、操縦部4に設置されるオーガ操作部8を操作する。またオペレータが地上に居ながら穀粒排出作業を行う場合には、図3で示すように、視認し易い位置にセットしたモニタ12を見ながら、取付具21から取外したリモート操作具8a或いは操縦部4から外したリモート型のオーガ操作部8を手に持って行う。そして、オペレータは先ず排出オーガ7の動きを直接外観しながら、穀粒流下ガイド22が穀粒容器17の上方に臨むように操作する。次いで、モニタ12中の後ガード部32の映像が前記適正穀粒排出位置となるように操作し、位置決め停止をする。こののちグレンタンク6内の穀粒の排出を開始する。
【0025】
上記のようにモニタ12の映像を見ながら排出オーガ7の位置決め作業を行うとき、図4で模式的に示す前記ガード指標線S1に対し、点線Eで示す穀粒容器17の開口縁17aが外側寄りに接近し過ぎている場合と、点線Fで示す穀粒容器17の開口縁17aが内側寄りに接近し過ぎている場合には、カメラ10で撮影されてモニタ12に表示される平面的な映像において、いずれも後ガード部32の映像に対し、開口縁17aの映像は外側又は内側寄りに接近している映像を視認することができる。この後ガード部32を指標とする映像によりオペレータは、穀粒流下ガイド22の下部が平面視的に開口縁17aと接近している様子を容易に判断することができる。
【0026】
そして、オペレータは排出オーガ7の高さ調節、或いは穀粒容器17側にコンバイン1を移動させて近づける等の修正操作を行うことにより、穀粒容器17に対し排出オーガ7を適正穀粒排出位置となるように位置決め操作を正確且つ能率よく行うことができる。またこのとき、オペレータが排出オーガ7を穀粒容器17に接近させ過ぎて、口筒18を穀粒容器17に接当させるような誤操作を行ったとしても、カメラ10よりガード30が先に接当するため、カメラ10に対する直接的な接当が回避され損傷を防止することができる。
【0027】
尚、この実施形態ではガード30の後ガード部32が撮像指標となるように構成したが、例えば図4,図5に点線で示すように、カメラ10の下部側方の形成される横ガード32a或いは前ガード部31等を撮像指標にすることもできる。この場合には指標を、穀粒排出口7aから排出される穀粒の位置と指標との関係を、例えば、排出位置より指標を外側に設定する等すれば、穀粒の飛散を防止して能率よく排出作業を行うことができる。また排出オーガ7を旋回並びに昇降作動させるとき、穀粒容器17並びに物との近接状況の判断指標として効果的に利用することができる。尚、カメラ10は図示例のものに限定されることなく、必要により穀粒排出口7aの前後側に設置してもよい。
【0028】
次いで、オペレータは機体側からモニタ12を見ながら、排出オーガ7が適正穀粒排出位置であることを確認したのちに穀粒排出を開始する。また穀粒容器17内に順次収容されて増量する穀粒の貯留状況も、後ガード部32の映像に対して接近する穀粒貯留面の映像を視認することができるので、穀粒満杯時を看過することなく穀粒排出を停止させることができる等の特徴がある。
【0029】
次に、カッタ装置3a並びに結束装置3bに設置される後部カメラの設置構造について説明する。先ず図1,図2に示すようにカッタ装置3aは、脱穀部3から横向きの姿勢で搬送供給される排稈を稈身方向に切断する切断部を備えたカッタ本体38の上部に、背面視で下向きコ字状断面のカッタ上部カバー39を装着している。カッタ本体38は、箱型のカッタ枠内に図示しない複数の回転切断刃と回転受歯とからなる切断部を構成している。また切断部の上方には排稈の搬送経路を切換える経路切換部材を設け、該経路切換部材は操縦部4に設置され切換レバーの操作に基づき、排稈を切断部に供給する切断姿勢と切断部上を通過させて後方に搬送し排出する排出姿勢にすることができる。そして、上記構成においてカッタ装置3aは、カッタ上部カバー体39の後部上辺部に、後方撮像用の後部カメラ11を機体幅の略中央に位置させて着脱自在に取付けている。
【0030】
これによりコンバインは、前処理部2によって刈取った穀稈を後方の脱穀部3に搬送供給して脱穀し、排稈を脱穀部3の後方に設置されるカッタ装置3aに供給し、切断された切藁を機体後方の刈取跡地に排出する。このようなコンバイン作業において、後部カメラ11はスイッチ操作によって機体後方の映像、及び切藁の排出状況や刈取跡地の地面並びに穀稈刈取り状況等の撮像をモニタ12に表示する。またトラックに乗車させたコンバイン1を降車させる際には、トラックの荷台後部並びに歩み板等を表示することができる。従って、オペレータはモニタ12を見ながらコンバイン作業及び機体の後進走行等を容易に行うことができる。
【0031】
さらに、コンバイン1は図7,図8に示すように、カッタ装置3aの後部に後部カメラ11aを備える結束装置3bを着脱自在に装着することができる。実施形態の結束装置3bはカッタ装置3a等の機体側に取付固定される装置フレーム40に対し、ノッタ部41a及びスイーパ等からなる結束部41を左右方向にスライド自在に支持している。そして、結束部41はその上方に、背面視で下向きコ字状断面をなす結束部カバー42を取付けて覆い、該結束部カバー42の後部にはノッタ部41aの上方位置に後部カメラ11aを取付けている。
【0032】
結束部41は、上下のスライド部材43,44を装置フレーム40の上下に横設されるガイドレール45,46に嵌挿し、装置フレーム40に設置される横移動機構47の作動により、左右に移動可能に支持している。また横移動機構47は前記経路切換部材が排稈を結束部41に供給する経路切換姿勢にあるとき、供給される排稈の株元位置を検出する稈長検出センサ48の検知指令により、横移動機構47を作動し結束部41を自動的に左右移動させ、結束部41により排稈の所定位置を結束させる。この場合の結束部41の移動量はストロークセンサ49によって検出される。
【0033】
また横移動機構47は、上記経路切換部材が排稈を結束部41に供給しない非経路切換姿勢に操作されると、自動的に左右スライド移動して結束部41をストロークセンサ49に設定された位置、即ち、前記後部カメラ11aが機体幅の略中央に臨む位置まで移動させて停止する。従って、コンバイン1は結束装置3bによって排稈の結束を行う結束作業時に、オペレータはモニタ12で、後部カメラ11aが結束部41側において排稈が結束される状態を映像によって視認しながら、コンバイン作業を行うことができる。
【0034】
また結束装置3bを装着したまま路上走行及びバック走行を行う場合には、前記経路切換部材が非経路切換姿勢に操作される動作に基づき、結束部41の左側(株元側)移動により後部カメラ11aは機体幅の略中央位置に戻るので、オペレータは後部カメラ11aが広い撮像範囲で撮影する機体後方の映像を、モニタ12によって確認しながら安全に運転をすることができる。また作業機クラッチを切り結束装置3bを停止し、且つ走行レバーを走行状態に操作したとき、結束装置3bを横移動機構47を介し中央位置に自動的に戻すように構成すると、前記経路切換部材の操作に関わりなく後部カメラ11aにより機体後方の撮影を行うことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
5 穀粒搬送オーガ
6 グレンタンク
7 排出オーガ
7a 穀粒排出口
10 カメラ
12 モニタ
17 穀粒容器
30 ガード
32 後ガード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理部(2)により刈取られた穀稈を脱穀部(3)で脱穀し穀粒をグレンタンク(6)内に貯留し、穀粒搬送オーガ(5)によって穀粒を排出するに、穀粒搬送オーガ(5)の排出オーガ(7)に設置したカメラ(10)によって穀粒排出状況を撮影し、映像をモニタ(12)に表示させながら穀粒排出作業を行うコンバイン(1)において、前記排出オーガ(7)にカメラ(10)の外側を囲うガード(30)を設けると共に、該ガード(30)の一部をカメラ(10)の撮像範囲内で撮像可能に位置させ、モニタ(12)に表示されるガード(30)を排出オーガ(7)の排出位置合せの指標とするように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
排出オーガ(7)に設置されるカメラ(10)を、下向きの排出状況撮影姿勢と、後方向きの後方状況撮影姿勢とに切換え自在に設ける請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−205582(P2012−205582A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76004(P2011−76004)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】