コンピュータ装置、電子ペンシステム及びプログラム
【課題】教材に関連する電子コンテンツを再生又は表示する際に、操作者が意図する再生又は表示条件に基づき電子コンテンツを再生することが可能なコンピュータ装置、電子ペンシステム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】コンピュータ装置は、電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付け、当該入力に基づき指定された指定エリアと、電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける。その後、コンピュータ装置は、指定エリアが選択されたと判断した場合に、指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生又は表示させる。
【解決手段】コンピュータ装置は、電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付け、当該入力に基づき指定された指定エリアと、電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける。その後、コンピュータ装置は、指定エリアが選択されたと判断した場合に、指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生又は表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンで読み取り可能なコード化パターンを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。例えば、特許文献1に記載されているように、アノトペンは、用紙に印刷された所定のドットパターンを読み取って記入情報を生成し、当該記入情報を端末装置に送信する。
【0003】
特許文献2には、ドットパターンに対向する電子ペンの角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能が記載されている。さらに、特許文献3には、授業で用いられる教材データが蓄積された配信サーバから配信された教材データを指導案と関連付けて格納する教材サーバを有し、教材サーバに格納された教材データを指導案に基づく授業の進行に沿って表示する教室端末及び大型スクリーンを備える授業支援システムが開示されている。また、特許文献4には、教師や学生・生徒といった教育現場に参加するユーザの情報端末から、インターネットを介して複数のコンテンツ提供者のコンテンツサーバにアクセスして、適切なコンテンツを取得し、そのコンテンツを教材として利用する電子教材の共有方法について開示されている。さらに、特許文献5には、授業などに活用するため、教材コンテンツをインターネット等でサーバからダウンロードして、電子黒板等に表示する技術が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献6には、教材の任意のページに、コードを記憶させたRFIDタグを埋め込み、RFIDタグのコードを読み取ることで、教材コンテンツをコンピュータから検索し、プロジェクタからスクリーンへ検索した教材コンテンツの映像を投影する技術が開示されている。また、特許文献7には、紙に印刷されたアイコンのドットパターンと、コンテンツのデータとを関連付ける技術が開示されている。そして、特許文献8には、教材のコンテンツをサーバにアップロードし、他の先生がその教材をダウンロードして使える教材配信システムが開示されている。この教材配信システムでは、デジタル教材のアイコンをクリックすると、教材コンテンツである解説の一覧表示がされる。この一覧表示では、評価の高い順にリスト表示され、教材作成者のコメントや、ダウンロード回数が表示され、利用者の評価も入力可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3872498号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特開2002−072850号公報
【特許文献4】特開2004−226459号公報
【特許文献5】特開2004−258184号公報
【特許文献6】特開2004−012539号公報
【特許文献7】特許第3956026号公報
【特許文献8】特開2001−242777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
授業中などで、開いている教科書(教材)の所定の図面部分などを講師が電子ペンなどによりタップすることで、タップした部分と関連する動画などの電子コンテンツを再生又は表示して受講者に視聴させることができると便宜である。この際、電子コンテンツが動画等の場合には、再生したい電子コンテンツの再生部分が必ずしも電子コンテンツ全体であるとは限らず、また、電子コンテンツが電子文書等の場合には、表示したい電子コンテンツの表示位置が必ずしも先頭ページであるとは限らない。そこで、本発明は、教材に関連する電子コンテンツを再生又は表示する際に、操作者が意図する再生又は表示条件に基づき電子コンテンツを再生することが可能なコンピュータ装置、電子ペンシステム、及びプログラムを提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンピュータ装置は、電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段とを備える。
【0008】
この構成により、コンピュータ装置は、電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付け、当該入力に基づき指定された指定エリアと、電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、電子コンテンツの再生又は表示条件(再生表示条件)とを関連付ける。その後、コンピュータ装置は、指定エリアが選択されたと判断した場合に、指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生又は表示(再生表示)させる。このように、コンピュータ装置は、指定された指定エリアに対し、電子コンテンツに加えて、その再生表示条件を関連付けることで、指定エリアが選択された場合に、その再生表示条件に従い電子コンテンツを再生することができる。従って、コンピュータ装置は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【0009】
上記コンピュータ装置の一態様では、前記関連付け手段は、前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更する。一般に、電子コンテンツの種類によって設定すべき再生表示条件の内容は異なる。従って、この態様により、コンピュータ装置は、電子コンテンツの種類に即した適切な再生表示条件を指定エリアに関連付けることができる。
【0010】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。この態様により、コンピュータ装置は、ユーザの操作に従い、教材に関連した動画コンテンツを再生する場合に、ユーザが意図する部分のみを再生することができる。
【0011】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。この態様により、コンピュータ装置は、ユーザの操作に従い、教材に関連した電子文書を表示する場合に、ユーザが意図するページを直ちに表示することができる。
【0012】
本発明に係る電子ペンシステムは、コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムであって、前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0013】
この態様では、電子ペンシステムは、プロジェクタにより、スクリーンに電子教材を投影表示させた場合に、関連付けがなされた指定エリアのスクリーン上の表示部分のコード化パターンを電子ペンが読み取った場合に、当該指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを、再生表示条件に従い再生表示させる。このようにすることで、電子ペンシステムは、スクリーンへの電子ペンの操作に基づき、好適に、教材と関連する電子コンテンツを、指定された再生表示条件に従い再生表示することができる。
【0014】
本発明に係る電子ペンシステムの別の態様では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンが印刷された教材と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムであって、前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、前記再生表示制御手段は、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0015】
この態様では、電子ペンシステムは、電子教材と同一内容であって、コード化パターンが印刷された教材を有し、関連付けられた指定エリアに相当する教材の位置のコード化パターンを電子ペンが読み取った場合に、当該指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを、再生表示条件に従い再生表示させる。このようにすることで、電子ペンシステムは、教材への電子ペンの操作に基づき、好適に、教材と関連する電子コンテンツを、指定された再生表示条件に従い再生表示することができる。
【0016】
上記の電子ペンシステムの一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記コンピュータ装置の関連付け手段は、前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信する。この態様により、コンピュータ装置は、好適に、電子コンテンツを受信して再生表示することができる。
【0017】
上記の電子ペンシステムの他の一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。この態様により、コンピュータ装置は、サーバ装置からダウンロードして記憶すべき電子コンテンツを少なくすることができ、使用する記憶容量を低減することができる。
【0018】
本発明に係るプログラムは、コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段として前記コンピュータ装置を機能させる。
【0019】
上記プログラムの一態様では、前記関連付け手段は、前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更する。
【0020】
上記プログラムの他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。
【0021】
上記プログラムの他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。
【0022】
本発明に係るプログラムの別の態様では、コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記再生表示制御手段は、前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0023】
本発明に係るプログラムのさらに別の態様では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンが印刷された教材と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、前記再生表示制御手段は、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0024】
上記プログラムの一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記関連付け手段は、前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信する。
【0025】
上記プログラムの他の一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記再生表示制御手段は、前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0026】
これらのプログラムをコンピュータ装置にインストールして機能させることで、本発明に係るコンピュータ装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コンピュータ装置は、表示された電子教科書から任意のエリアを指定させて、当該指定された指定エリアに対し、電子コンテンツに加えて、その再生表示条件を関連付ける。これにより、コンピュータ装置は、指定された指定エリアが選択された場合に、関連付けした再生表示条件に従い、関連付けした電子コンテンツを再生することができる。従って、コンピュータ装置は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る電子ペンシステムの構成を示す。
【図2】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図5】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
【図6】エリア指定画面の表示例である。
【図7】関連付け内容設定画面の表示例である。
【図8】指定エリア定義情報のデータ構造を示す。
【図9】見開き状態の教科書の上面図を示す。
【図10】ファイル「ワークシート.pdf」の表示例を示す。
【図11】変形例に係る電子ペンシステムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するのに好適な実施形態について説明する。以下に説明する電子ペンシステムは、学校の授業などに好適に用いられ、教科書(教材)の任意の範囲と動画などの電子コンテンツとその再生又は表示条件との関連付けを行い、電子ペンの操作により電子コンテンツを再生又は表示するシステムである。
【0030】
[電子ペンシステムの構成]
図1は、本実施形態に係る電子ペンシステムの構成を示す。図1に示すように、電子ペンシステムは、講師が使用する電子ペン1と、各ページの略全面にドットパターンが印刷された教科書(教材)2と、電子ペン1から記入情報等を受信して処理するコンピュータ装置3と、コンピュータ装置3と接続され、そのディスプレイの表示画面と同じ画像をドットスクリーン5に投影するプロジェクタ4と、ドットパターンが印刷されたドットスクリーン5とを備える。以下、これらの各構成要素について説明する。
【0031】
(教科書)
まず、教科書(電子ペン用図書)2について説明する。教科書2の各ページには、その略全面に後述する位置座標を示すドットパターン(コード化パターン)が印刷される。また、教科書2の各ページには、それぞれ異なる座標範囲のドットパターンが印刷される。ドットパターンは、電子ペン1により読み取ることができるように赤外線を吸収するカーボンを含んだインクにより印刷され、その他の文字や図などは、赤外線を吸収しないインキにより印刷される。
【0032】
(ドットスクリーン)
ドットスクリーン5は、白地の樹脂基板に、電子ペン1により読み取ることができるよう赤外線を吸収するカーボンを含んだインクによりドットパターン(コード化パターン)が印刷され、さらにドットパターンが例えば透明なEB硬化樹脂層などで保護された層構成を有している。
【0033】
(プロジェクタ)
プロジェクタ4は、ドットスクリーン5に対して鉛直上方向から斜め下向きに光を出射するプロジェクタであり、例えば教室の壁等に設置される。プロジェクタ4は、コンピュータ装置3から画像信号を受信し、コンピュータ装置3の画面と同じ画像を構成する光を所定の投影範囲50に投影する。投影範囲50には、後述するように、教科書2を電子化した電子教科書2A(後述の図6参照)などが表示される。なお、プロジェクタ4は、ドットスクリーン5の正面へ向けて光を出射するフロントプロジェクタ、又は、ドットスクリーン5の背面へ向けて光を出射するリアプロジェクタであってもよい。
【0034】
(ドットパターン)
続いて、教科書2の各ページやドットスクリーン5に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について図2及び図3を用いて説明する。図2は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、教科書2の各ページやドットスクリーン5上の位置座標が決定されるよう構成されている。なお、教科書2のページ同士又は教科書2の各ページとドットスクリーン5とでは座標領域が重ならないようドットパターンが形成される。
【0035】
図3(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、教科書2の各ページやドットスクリーン5上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンが教科書2の各ページやドットスクリーン5上のどの位置にあるのか)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0036】
(電子ペン)
次に、電子ペン1について図4を用いて説明する。図4は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103を教科書2の各ページやドットスクリーン5上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、電子ペン1のペン先部103が教科書2の各ページ等に最初に接触することを「ペンダウン」と呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることを「ペンアップ」と呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
【0037】
バッテリー112は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1により教科書2の各ページ等に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0038】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1で教科書2の各ページ等に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報(以後、「ペンダウン情報PD」と呼ぶ。)と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1を教科書2の各ページから離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報(以後、「ペンアップ情報PU」と呼ぶ。)とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。
【0039】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、教科書2の各ページ上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が教科書2の各ページに接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。したがって、教科書2の各ページに文字や図面などが印刷されていた場合でも、印刷したインクは赤外域に吸収性を持たないため、プロセッサ108は、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0040】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の教科書2の各ページ等におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際にその機能が発揮される。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、教科書2の各ページやドットスクリーン5における6×6のドットパターンは、教科書2の各ページ及びドットスクリーン5内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が教科書2の各ページ又はドットスクリーン5のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0041】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、ドットスクリーン5のドットパターンを読み込ませて書き込むための電子ペン1Bの場合、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。この場合通信ユニット111によるコンピュータ装置3への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置3に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置3によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置3は、ペンダウン情報PD及びペンアップ情報PUによって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。
【0042】
(コンピュータ装置)
次に、コンピュータ装置3について説明する。コンピュータ装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等で構成される。なお、コンピュータ装置3は、iPad(登録商標)などのタブレットPCやPDA(Personal Data Assistance)、またはディスプレイを備えるPC(パーソナルコンピュータ)等で構成されてもよい。
【0043】
図5は、コンピュータ装置3の機能ブロック図である。コンピュータ装置3は、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段31、通信手段32、記憶手段33、処理手段34、表示手段36、インターフェース38を備える。通信手段32は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、受信した情報を処理手段34に伝送する。表示手段36は、ディスプレイ等によって構成され、処理手段34によって指示された内容を表示する。インターフェース38は、プロジェクタ4と接続するためのインターフェースである。インターフェース38は、処理手段34の処理命令に基づき、表示手段36に画像を表示するための画像信号をプロジェクタ4に送信し、表示手段36の画像と同じ画像を同期して投影させる。
【0044】
処理手段34は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置3の全体の制御を行う。処理手段34は、エリア指定受付手段341と、関連付け手段342と、再生表示制御手段343とを備える。エリア指定受付手段341は、教科書2が電子化された電子教科書2Aを表示した画面であって、表示された電子教科書2Aから電子コンテンツと関連付ける任意のエリア(範囲)を指定するための画面(「エリア指定画面」とも呼ぶ。)を、表示手段36に表示させる。そして、エリア指定受付手段341は、エリア指定画面において、マウスのドラッグ操作により、表示された電子教科書2Aから、電子コンテンツと関連付けるエリアを操作者である講師に指定させる。エリア指定画面において指定された電子教科書2A(教科書2)上のエリアを「指定エリアAs」とも呼ぶ。エリア指定画面の詳細については[関連付け処理]のセクションで図6を用いて後述する。
【0045】
次に、処理手段34の関連付け手段342は、指定された指定エリアAsに対し、関連付ける電子コンテンツ及びその電子コンテンツの再生又は表示(再生表示)を行う条件(「再生表示条件」とも呼ぶ。)を指定させるための画面(「関連付け内容設定画面」とも呼ぶ。)を表示手段36に表示させる。そして、関連付け手段342は、関連付け内容設定画面での入力に基づき、指定エリアAsと電子コンテンツと再生表示条件とを関連付けて記憶手段33に記憶させる。関連付け内容設定画面は、本発明における「設定画面」の一例であり、その詳細については[関連付け処理]のセクションで図7を用いて後述する。
【0046】
さらに、処理手段34の再生表示制御手段343は、教科書2のページ中の指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた場合、又は、ドットスクリーン5に投影された電子教科書2Aの指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた場合、電子ペン1から受信した記入情報に基づき、当該指定エリアAsが電子ペン1により指定されたことを認識する。そして、再生表示制御手段343は、指定された指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い表示手段36上に表示させる。この具体的な処理については、[関連付け活用処理]のセクションで詳しく説明する。
【0047】
また、処理手段34は、キャリブレーション用マークを少なくとも2以上、表示手段36に表示させることにより、プロジェクタ4に対し、ドットスクリーン5にもキャリブレーション用マークを投影させ、キャリブレーション用マークが投影された位置のドットパターンを電子ペン1に読み取らせて記入情報を受信することで、ドットスクリーン5のドットパターンにかかる座標系を表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換するための座標変換関数を求める(キャリブレーション処理機能)。さらに、処理手段34は、そのキャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、ドットスクリーン5のドットパターンにかかる座標系のデータを受信したときに、表示手段36のディスプレイにかかる座標系のデータに変換し、ストロークを描画したり、所定の処理を行ったりする。
【0048】
記憶手段33は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段33は、処理手段34の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶する。また、記憶手段33は、教科書2の種類ごとに当該教科書2の各ページに対応するドットパターンが示す座標範囲、及びドットスクリーン5に対応するドットパターンが示す座標範囲の情報(「座標定義情報」とも呼ぶ。)を記憶する。
【0049】
さらに、記憶手段33は、指定エリアAsと関連付けるための電子コンテンツを予め記憶しておく。この電子コンテンツには、講師が授業用に自らビデオカメラ等の撮影手段を用いて撮影を行った結果生成された映像データなどが含まれる。そして、記憶手段33は、エリア指定画面において指定エリアAsが指定された場合、エリア指定受付手段341の制御に基づき、指定エリアAsごとに、当該指定エリアAsに対応する教科書2の識別情報である教科書IDと、指定エリアAsが記載されたページ番号と、指定エリアAsが記載されたページ内における相対的な位置を示すページ内位置とを関連付けて記憶する。以後では、上述の教科書ID、ページ番号、及びページ内位置を「指定エリア特定情報」とも呼ぶ。さらに、記憶手段33は、当該指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツ及びその再生表示条件が定められた場合には、関連付け手段342の制御に基づき、指定エリアAsごとに、定められた電子コンテンツ及び再生表示条件を関連付けて記憶する。以後では、指定エリアAsごとに関連付けられた指定エリア特定情報、電子コンテンツ、及びその再生表示条件の対応関係を示す情報を「指定エリア定義情報」とも呼ぶ。指定エリア定義情報のデータ構造については、図8を参照して後述する。
【0050】
[関連付け処理]
次に、指定エリアAsを決定する処理、及び、指定エリアAsに電子コンテンツ及び再生表示条件を関連付ける処理(これらの処理を単に「関連付け処理」とも呼ぶ。)について、図6に示すエリア指定画面及び図7に示す関連付け内容設定画面を参照してそれぞれ具体的に説明する。以下に説明する関連付け処理は、後述する関連付け活用処理を実行するための前処理に相当し、授業の準備の段階で講師が入力手段31により入力する内容に基づきコンピュータ装置3が実行する処理である。従って、関連付け処理では、プロジェクタ4とコンピュータ装置3とが電気的に接続していなくてもよい。
【0051】
(1)エリア指定画面
図6は、コンピュータ装置3の表示手段36が出力するエリア指定画面60の表示例である。図6に示すように、エリア指定画面60は、電子教科書2Aと、操作ボタン361〜364と、指定完了ボタン365とを表示する。処理手段34のエリア指定受付手段341は、エリア指定画面60を起動させる旨の所定の入力を入力手段31により検知した場合、図6に示すエリア指定画面60を表示手段36に表示させる。
【0052】
図6に示すように、エリア指定画面60には、教科書2の各ページが電子化された見開き状態の電子教科書2Aが表示されると共に、電子教科書2Aが表示するページをユーザが指定するための操作ボタン361〜364が設けられている。操作ボタン361は、電子教科書2Aの表示ページを最初のページに戻す、即ち電子教科書2Aの1ページ目及び2ページ目を表示した状態に戻すためのボタンである。操作ボタン362は、電子教科書2Aの表示ページを2ページ分戻す(図6では20ページと21ページを表示した状態にする)ためのボタンである。操作ボタン363は、電子教科書2Aが表示するページを2ページ分進める(図6では24ページと25ページを表示する)ためのボタンである。操作ボタン364は、電子教科書2Aの表示ページを最後のページに進めるためのボタンである。
【0053】
そして、エリア指定画面60には、「リンク付けの対象とするエリアをドラッグで指定して下さい。」と表示されている。このように、エリア指定受付手段341は、エリア指定画面60において、操作者に対し、マウスによるドラッグ操作等により指定エリアAsを指定するように促す表示を行う。そして、エリア指定受付手段341は、表示された電子教科書2A上でのマウスのドラッグ操作による入力を入力手段31から検知する。エリア21A〜21Dは、マウスのドラッグ操作により指定されたエリア(領域)を示す。好適には、処理手段34は、マウスのドラッグ操作により指定したエリアを操作者が確認できるように、エリア21A〜21Dを、破線枠、着色、ハッチング等(図6では破線枠)により、指定されていないエリアと異なる態様によりエリア指定画面60上に表示させるとよい。
【0054】
指定完了ボタン365は、マウスのドラッグ操作により指定されたエリア21A〜21Dを指定エリアAsとして確定させるためのボタンである。エリア指定受付手段341は、指定完了ボタン365が選択された場合、エリア21A〜21Dに対応する教科書2の各エリアを、それぞれ指定エリアAsとして記憶手段33に記憶させる。具体的には、エリア指定受付手段341は、電子教科書2Aに付された教科書IDと、エリア21A〜21Dが属するページ番号と、当該ページ全体におけるエリア21A〜21Dの位置(範囲)を示すページ内位置とを、指定エリアAsごとに関連付けて記憶手段33に記憶させる。
【0055】
図8(A)は、指定完了ボタン365が選択された後の指定エリア定義情報のデータ構造を示す。図8(A)において、「指定エリア番号」は、指定エリアAsが指定された際に、指定された順に当該指定エリアAsに付される通し番号を指す。また、電子教科書2A(教科書2)の教科書IDは「R01」であるものとし、ページ内位置は、角の位置座標(Xn,Yn)、高さ(Y方向)、幅(X方向)で規定されている。図8(A)に示すように、エリア指定画面60においてマウスのドラッグ操作により指定されたエリア21A〜21Dにそれぞれ対応して、指定エリア番号及び教科書IDなどの指定エリア特定情報が記憶手段33に記憶されている。
【0056】
(2)関連付け内容設定画面
図7は、コンピュータ装置3の表示手段36が出力する関連付け内容設定画面61の表示例である。関連付け手段342は、図6の指定完了ボタン365が選択された場合に、関連付け内容設定画面61を表示手段36に表示させる。図7に示すように、関連付け内容設定画面61には、指定エリア表示367A〜367D(367)と、ファイル名表示欄368A〜368D(368)と、参照ボタン369A〜369D(369)と、再生表示条件入力欄370A、370Ba、370Bb、370Ca、370Cb(370)と、画面戻るボタン371と、設定完了ボタン372とが表示されている。また、関連付け内容設定画面61には、「リンク付けするコンテンツ・データを設定して下さい」と操作者に指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツ及びその再生表示条件を入力する旨が表示される。
【0057】
指定エリア表示367A〜367Dは、図6のエリア指定画面にて指定エリアAsとして指定されたエリア21A〜21Dをそれぞれ表示する。指定エリア表示367A〜367Dは、表示される指定エリアAsが属するページ番号ごとに縦に並べて表示されている。具体的には、ページ番号「22」のページにあるエリア21Aを表示する指定エリア表示367Aがページ番号と共に最上位に表示され、ページ番号「23」のページにあるエリア21B〜21Dを表示する指定エリア表示367B〜367Dがページ番号と共に指定エリア表示367Aの下に並べられている。
【0058】
ファイル名表示欄368A〜368Dは、それぞれ指定エリア表示367A〜367Dに対応する指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツのファイル名又は電子コンテンツのファイル名を含むパス(ここではファイル名のみとする)を表示する欄である。ファイル名表示欄368Aは、それぞれ、後述する参照ボタン369A〜369Dにより指定されたファイル名を表示する。参照ボタン369は、クリック操作により選択された際に、ファイルを指定するためのウィンドウを表示し、コンピュータ装置3の記憶手段33内に記憶された任意のファイルを操作者に指定させるためのボタンである。
【0059】
再生表示条件入力欄370は、指定エリア表示367A〜367Dに対応する各指定エリアAsに関連付ける再生表示条件を入力するための入力欄である。関連付け手段342は、参照ボタン369により電子コンテンツのファイルが選択された場合に、選択された電子コンテンツのファイルに対応する再生表示条件入力欄370を表示する。ここで、関連付け手段342は、ファイル名表示欄368内に表示された電子コンテンツのファイルの拡張子に基づき、当該ファイルの種類に応じた再生表示条件を入力するための再生表示条件入力欄370を表示する。
【0060】
具体的には、ファイル名表示欄368Aには、「ワークシート1.pdf」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Aに対応する指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、電子文書が指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、表示するページ番号を入力するための再生表示条件入力欄370Aを表示すると共に、再生表示条件入力欄370Aの左側に「表示ページ」と表示する。
【0061】
また、ファイル名表示欄368Bには、「断層○○町.mp4」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Aに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、動画ファイルが指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、「断層○○町.mp4」の全再生時間のうち、実際に再生させたい時間帯の開始時間(再生開始時間)と、当該時間帯の終了時間(再生終了時間)とを入力するための再生表示条件入力欄370Ba、370Bbをそれぞれ表示する。また、処理手段34は、再生表示条件入力欄370Baの左側に「再生開始」と表示して、再生表示条件入力欄370Baが再生開始時間を入力する欄であることを明確にすると共に、再生表示条件入力欄370Bbの左側に「再生終了」と表示して、再生表示条件入力欄370Bbが再生終了時間を入力する欄であることを明確にする。ここでは、再生表示条件入力欄370Baには「2分10秒」を再生開始時間に指定する旨の入力がなされ、再生表示条件入力欄370Bbには「2分40秒」を再生終了時間に指定する旨の入力がなされている。
【0062】
同様に、ファイル名表示欄368Cには、「断層△△村.mp4」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Cに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、動画ファイルが指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、再生開始時間と、再生終了時間とをそれぞれ入力するための再生表示条件入力欄370Ca、370Cbを表示する。そして、ここでは、再生表示条件入力欄370Caには「5分12秒」を再生開始時間に指定する旨の入力がなされ、再生表示条件入力欄370Cbには「6分30秒」を再生終了時間に指定する旨の入力がなされている。
【0063】
また、ファイル名表示欄368Dには、「断層□□市.jpg」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Dに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、画像ファイルが指定されていると判断する。従って、この場合には、処理手段34は、再生表示条件を定める必要がないと判断し、ファイル名表示欄368Dに対応する再生表示条件入力欄370を設けない。
【0064】
画面戻るボタン371は、図6のエリア指定画面60へ表示手段36の出力画面を戻すためのボタンである。設定完了ボタン372は、関連付け内容設定画面61での設定内容を確定するためのボタンである。
【0065】
設定完了ボタン372が選択された場合、関連付け手段342は、指定エリア表示367A〜367Dに表示された指定エリアAsの各々に対し、ファイル名表示欄368A〜368Dに表示された電子コンテンツのファイルと、各再生表示条件入力欄370に入力された再生表示条件とを関連付ける情報を指定エリア定義情報として記憶手段33に記憶させる。
【0066】
図8(B)は、設定完了ボタン372が選択された後での記憶手段33が記憶する指定エリア定義情報のデータ構造を示す。図8(B)に示すように、図7に示す状態で設定完了ボタン372が選択された場合、関連付け手段342は、関連付け内容設定画面61での入力内容に基づき、各指定エリア番号に対して、電子コンテンツの格納場所(パス)及び再生表示条件を関連付けて記憶手段33に記憶される。これにより、コンピュータ装置3は、教科書2又はドットスクリーン5に表示された電子教科書2Aの指定エリアAsの表示位置が電子ペン1によりタップされた場合、図8(B)に示す指定エリア定義情報を参照することで、電子コンテンツの再生表示を指定された再生表示条件に従い実行することが可能となる。
【0067】
[関連付け活用処理]
次に、指定エリア定義情報が生成された後に実行される関連付け活用処理について図9及び図10を参照して説明する。
【0068】
図9は、見開き状態の教科書2の上面図を示す。図9の二点鎖線枠90A〜90Dは、それぞれ、図8(B)の各指定エリア番号に対応する指定エリアAsの位置を示す仮想的な線である。
【0069】
図9に示す状態で、講師が二点鎖線枠90A〜90D内のいずれかの位置を電子ペン1によりタップすると、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、タップされた位置に対応する指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い再生する。具体的には、二点鎖線枠90A〜90D内に印刷されたドットパターンを電子ペン1が読み取ることで生成された記入情報をコンピュータ装置3が電子ペン1から受信すると、再生表示制御手段343は、座標定義情報を参照し、受信した記入情報に含まれる座標情報が示す位置座標から、当該位置座標が指し示す教科書ID、ページ番号、及びページ内位置を認識する。次に、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、認識した教科書ID、ページ番号、及びページ内位置に対応する指定エリアAsが存在することを認識する。そして、この場合、再生表示制御手段343は、認識した指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い再生する。
【0070】
例えば、図9に示す二点鎖線枠90A内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「1」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「ワークシート.pdf」の1ページ目を表示させる。
【0071】
図10は、ファイル「ワークシート.pdf」の表示例を示す。図10に示すように、ファイル「ワークシート.pdf」は、解答欄70A〜70Eを有する。そして、ドットスクリーン5に表示された「ワークシート.pdf」の解答欄70A〜70Eへ生徒等が電子ペン1により書込みを行った場合、処理手段34は、記入情報に含まれる座標情報を、座標変換関数に基づき表示手段36の画面上での座標情報に変換し、当該座標情報に基づきストロークを表示手段36に描画する。また、処理手段34は、表示手段36に画像を表示させるための画像信号をプロジェクタ4に送信し、表示手段36の画像と同じ画像を同期して投影させる。これにより、ドットスクリーン5にも同様に、電子ペン1の記入者が描いたストロークが投影される。
【0072】
再び図9を参照し、指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた際の動作について説明する。図9に示す二点鎖線枠90B内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「2」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層○○町.mp4」の動画を2分10秒から2分40秒まで表示させる。
【0073】
同様に、二点鎖線枠90C内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「3」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層△△村.mp4」の動画を5分12秒から6分30秒まで表示させる。また、二点鎖線枠90D内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「4」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層□□市.jpg」の画像を表示させる。
【0074】
また、電子教科書2Aのページがドットスクリーン5の投影範囲50に表示された場合も、同様に、コンピュータ装置3は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、電子コンテンツを指定された再生表示条件に従い再生表示する。具体的には、投影範囲50内における指定エリアAsの表示位置が電子ペン1によりタップされた場合、再生表示制御手段343は、受信した記入情報の座標情報を座標変換関数により表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換し、変換後の位置座標が指し示す表示中の電子教科書2Aにおけるページ番号及びページ内位置を認識する。そして、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、表示中の電子教科書2Aに対応する教科書ID並びに認識したページ番号及びページ内位置に基づき、指定エリアAsが指定されたか否か判定し、指定エリアAsが指定されたと判断した場合には、当該指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツを、指定エリア定義情報において指定された再生表示条件に従い再生する。
【0075】
[本実施形態の電子ペンシステムによる作用効果]
本実施形態の電子ペンシステムによれば、コンピュータ装置3は、エリア指定画面において、電子教科書2Aの表示部分から指定エリアAsを指定する入力を受け付ける。さらに、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面において、指定エリアAsと、電子コンテンツと、再生表示条件とを関連付ける。そして、コンピュータ装置3は、教科書2やドットスクリーン5において電子ペン1により指定エリアAsの表示位置がタップされたと判断した場合に、タップされた指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生表示する。従って、コンピュータ装置3は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【0076】
また、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面において、関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、再生表示条件入力欄370の構成を変更する。これにより、コンピュータ装置3は、電子コンテンツの種類に即した再生表示条件を操作者に入力させることができる。
【0077】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施形態に適用してもよい。
【0078】
(変形例1)
電子コンテンツは、記憶手段33に記憶されている代わりに、コンピュータ装置3と電気的に接続したサーバに記憶されていてもよい。図11は、変形例に係る電子ペンシステムの構成を示す。図11に示すように、電子ペンシステムは、コンピュータ装置3とネットワークを介して接続したサーバ8を備える。
【0079】
まず、本変形例において、サーバ8に電子コンテンツをアップロードする方法について説明する。例えば、サーバ8が学内に構築されたLAN(Local Area Network)に接続されている場合、学内の教員がそれぞれ使用するPC(Personal Computer)などのコンピュータ装置から教科書2の内容と関連する電子コンテンツをサーバ8へアップロードする。他の例では、サーバ8がインターネットに接続されている場合、全国の教員や教材製作会社の社員がそれぞれ使用するコンピュータ装置から教科書2の内容と関連する電子コンテンツをサーバ8へアップロードする。
【0080】
次に、本変形例において、サーバ8からコンピュータ装置3が電子コンテンツをダウンロードするタイミングについて、第1の例〜第3の例を用いて具体的に説明する。第1の例では、コンピュータ装置3は、操作者の操作に基づき、上述の関連付け処理を実行する前に、使用する教科書2に関連する電子コンテンツをサーバ8からダウンロードする。そして、コンピュータ装置3は、上述の[関連付け処理]のセクションで述べた処理を行う。
【0081】
第2の例では、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面61の表示時に、所定の指定エリアAsと関連付ける旨の指定があった電子コンテンツをサーバ8からダウンロードする。第3の例では、コンピュータ装置3は、関連付け処理が完了した後、指定エリアAsが選択され、当該指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを再生表示する際に、サーバ8から当該電子コンテンツをダウンロードする。なお、第3の例において、電子コンテンツが動画である場合には、コンピュータ装置3は、電子コンテンツをダウンロードする代わりに、ストリーミングにより当該電子コンテンツを再生してもよい。
【0082】
ここで、第2の例及び第3の例では、好適には、図7の関連付け内容設定画面61において、いずれかの参照ボタン369が選択された場合に、コンピュータ装置3は、サーバ8の記憶手段等にアクセスすることで、サーバ8が記憶する電子コンテンツについても、指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツとして選択可能にする。
【0083】
(変形例2)
図7の関連付け内容設定画面61では、コンピュータ装置3は、参照ボタン369により、指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツを操作者に選択させていた。これに代えて、コンピュータ装置3は、電子コンテンツを閲覧可能な動画サイトなどのURL(Uniform Resource Locator)を操作者に指定させてもよい。例えば、この場合、ファイル名表示欄368A〜368Dは、キーボードによる入力等により直接入力が可能な入力欄であり、操作者は、任意のファイル名表示欄368を選択して、キーボード入力等により所望のURLを当該ファイル名表示欄368に入力する。
【0084】
(変形例3)
電子ペンシステムは、ドットスクリーン5に代えて、圧力を検知することが可能に構成された感圧式ボード(シート)又はボード表面の直下にワイヤが埋め込まれた電磁式ボードなどの電子ボードを備えてもよい。例えば、感圧式ボードの場合、所定のペン(スタイラス)で圧力を加えるとボード中に設けられた電気伝導性の2枚のシートが接触して電気信号が発生し、当該電気信号に基づき、コンピュータ装置3は、接触位置を検出する。また、電磁式ボードの場合、電子ペンシステムは、電子ペン1に代えてコイルを埋め込んだスタイラスを備え、ステイラスを電磁式ボードに接触させると、電磁式ボードは、スタイラスとの電磁誘導に基づき接触位置に相当する電気信号を発生し、当該電気信号に基づき、コンピュータ装置3は、接触位置を検出する。
【0085】
そして、いずれの入力方式のボード(シート)を用いる場合であっても、コンピュータ装置3は、ドットスクリーン5と同様の方法により、ボードかかる座標系を表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換するための座標変換関数を関連付け処理等を行う前に予め求める。そして、コンピュータ装置3は、求められた座標変換関数を用いて、ボード上の接触位置に相当する座標データを受信した場合に、表示手段36のディスプレイにかかる座標系のデータに変換し、表示された電子教科書2A中の指定エリアAsが選択されたか否か等を検知する。
【0086】
(変形例4)
電子ペンシステムは、電子ペン1及び教科書2に代えて、電子教科書2Aのデータが記憶されたiPad(登録商標)などのタッチパネルを備えるタブレットPCを備えてもよい。
【0087】
この場合、タブレットPCは、電子教科書2Aを見開き状態で表示すると共に、タッチパネル操作に基づき表示中のページを変更する。また、関連付け活用処理では、操作者が指定エリアAsの表示部分を指により触れた場合、タブレットPCは、接触があった電子教科書2Aに関連づけられた教科書IDと、接触があったページのページ番号と、及び当該ページにおけるページ内位置とに関する検出信号をコンピュータ装置3に送信し、コンピュータ装置3は、当該検出信号に基づき接触があった指定エリアAsを特定し、当該指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツの再生表示を行う。
【0088】
(変形例5)
電子コンテンツは、音声を含む動画コンテンツであってもよく、音声のみのコンテンツであってもよい。この場合、コンピュータ装置3は、スピーカなどの音声出力手段をさらに備え、再生表示制御手段343は、再生すべき電子コンテンツが音声を含む場合には、音声出力手段により音声を出力させる。
【0089】
(変形例6)
上記実施形態においては、図6に示すように、電子教科書2Aを表示させた状態で、マウスのドラッグ操作により、任意のエリアを指定した。その代わりに、電子教科書2Aに掲載されている写真、イラスト、文字が表示されたブロックなどのエリアが、マウスのクリック操作により指定できるよう予め設定されていてもよい。これにより、ユーザが、電子コンテンツと関連付ける対象を、任意の写真、イラスト、ブロックなどのエリアをマウスのクリック操作で指定できるようにしてもよい。
【0090】
(変形例7)
上記実施形態において、電子ペン、ドットパターン(コード化パターン)、記入情報に、アノト方式を用いたが、アノト方式に限られなくともよい。
【符号の説明】
【0091】
1…電子ペン
2…ドットパターン用紙
3…コンピュータ装置
4…プロジェクタ
5…ドットスクリーン
8…サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンで読み取り可能なコード化パターンを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。例えば、特許文献1に記載されているように、アノトペンは、用紙に印刷された所定のドットパターンを読み取って記入情報を生成し、当該記入情報を端末装置に送信する。
【0003】
特許文献2には、ドットパターンに対向する電子ペンの角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能が記載されている。さらに、特許文献3には、授業で用いられる教材データが蓄積された配信サーバから配信された教材データを指導案と関連付けて格納する教材サーバを有し、教材サーバに格納された教材データを指導案に基づく授業の進行に沿って表示する教室端末及び大型スクリーンを備える授業支援システムが開示されている。また、特許文献4には、教師や学生・生徒といった教育現場に参加するユーザの情報端末から、インターネットを介して複数のコンテンツ提供者のコンテンツサーバにアクセスして、適切なコンテンツを取得し、そのコンテンツを教材として利用する電子教材の共有方法について開示されている。さらに、特許文献5には、授業などに活用するため、教材コンテンツをインターネット等でサーバからダウンロードして、電子黒板等に表示する技術が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献6には、教材の任意のページに、コードを記憶させたRFIDタグを埋め込み、RFIDタグのコードを読み取ることで、教材コンテンツをコンピュータから検索し、プロジェクタからスクリーンへ検索した教材コンテンツの映像を投影する技術が開示されている。また、特許文献7には、紙に印刷されたアイコンのドットパターンと、コンテンツのデータとを関連付ける技術が開示されている。そして、特許文献8には、教材のコンテンツをサーバにアップロードし、他の先生がその教材をダウンロードして使える教材配信システムが開示されている。この教材配信システムでは、デジタル教材のアイコンをクリックすると、教材コンテンツである解説の一覧表示がされる。この一覧表示では、評価の高い順にリスト表示され、教材作成者のコメントや、ダウンロード回数が表示され、利用者の評価も入力可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3872498号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特開2002−072850号公報
【特許文献4】特開2004−226459号公報
【特許文献5】特開2004−258184号公報
【特許文献6】特開2004−012539号公報
【特許文献7】特許第3956026号公報
【特許文献8】特開2001−242777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
授業中などで、開いている教科書(教材)の所定の図面部分などを講師が電子ペンなどによりタップすることで、タップした部分と関連する動画などの電子コンテンツを再生又は表示して受講者に視聴させることができると便宜である。この際、電子コンテンツが動画等の場合には、再生したい電子コンテンツの再生部分が必ずしも電子コンテンツ全体であるとは限らず、また、電子コンテンツが電子文書等の場合には、表示したい電子コンテンツの表示位置が必ずしも先頭ページであるとは限らない。そこで、本発明は、教材に関連する電子コンテンツを再生又は表示する際に、操作者が意図する再生又は表示条件に基づき電子コンテンツを再生することが可能なコンピュータ装置、電子ペンシステム、及びプログラムを提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンピュータ装置は、電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段とを備える。
【0008】
この構成により、コンピュータ装置は、電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付け、当該入力に基づき指定された指定エリアと、電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、電子コンテンツの再生又は表示条件(再生表示条件)とを関連付ける。その後、コンピュータ装置は、指定エリアが選択されたと判断した場合に、指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生又は表示(再生表示)させる。このように、コンピュータ装置は、指定された指定エリアに対し、電子コンテンツに加えて、その再生表示条件を関連付けることで、指定エリアが選択された場合に、その再生表示条件に従い電子コンテンツを再生することができる。従って、コンピュータ装置は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【0009】
上記コンピュータ装置の一態様では、前記関連付け手段は、前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更する。一般に、電子コンテンツの種類によって設定すべき再生表示条件の内容は異なる。従って、この態様により、コンピュータ装置は、電子コンテンツの種類に即した適切な再生表示条件を指定エリアに関連付けることができる。
【0010】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。この態様により、コンピュータ装置は、ユーザの操作に従い、教材に関連した動画コンテンツを再生する場合に、ユーザが意図する部分のみを再生することができる。
【0011】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。この態様により、コンピュータ装置は、ユーザの操作に従い、教材に関連した電子文書を表示する場合に、ユーザが意図するページを直ちに表示することができる。
【0012】
本発明に係る電子ペンシステムは、コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムであって、前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0013】
この態様では、電子ペンシステムは、プロジェクタにより、スクリーンに電子教材を投影表示させた場合に、関連付けがなされた指定エリアのスクリーン上の表示部分のコード化パターンを電子ペンが読み取った場合に、当該指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを、再生表示条件に従い再生表示させる。このようにすることで、電子ペンシステムは、スクリーンへの電子ペンの操作に基づき、好適に、教材と関連する電子コンテンツを、指定された再生表示条件に従い再生表示することができる。
【0014】
本発明に係る電子ペンシステムの別の態様では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンが印刷された教材と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムであって、前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、前記再生表示制御手段は、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0015】
この態様では、電子ペンシステムは、電子教材と同一内容であって、コード化パターンが印刷された教材を有し、関連付けられた指定エリアに相当する教材の位置のコード化パターンを電子ペンが読み取った場合に、当該指定エリアと関連付けられた電子コンテンツを、再生表示条件に従い再生表示させる。このようにすることで、電子ペンシステムは、教材への電子ペンの操作に基づき、好適に、教材と関連する電子コンテンツを、指定された再生表示条件に従い再生表示することができる。
【0016】
上記の電子ペンシステムの一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記コンピュータ装置の関連付け手段は、前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信する。この態様により、コンピュータ装置は、好適に、電子コンテンツを受信して再生表示することができる。
【0017】
上記の電子ペンシステムの他の一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。この態様により、コンピュータ装置は、サーバ装置からダウンロードして記憶すべき電子コンテンツを少なくすることができ、使用する記憶容量を低減することができる。
【0018】
本発明に係るプログラムは、コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段として前記コンピュータ装置を機能させる。
【0019】
上記プログラムの一態様では、前記関連付け手段は、前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更する。
【0020】
上記プログラムの他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。
【0021】
上記プログラムの他の一態様では、前記関連付け手段は、前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設ける。
【0022】
本発明に係るプログラムの別の態様では、コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記再生表示制御手段は、前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0023】
本発明に係るプログラムのさらに別の態様では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、コード化パターンが印刷された教材と、コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンとを備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、前記再生表示制御手段は、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0024】
上記プログラムの一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記関連付け手段は、前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信する。
【0025】
上記プログラムの他の一態様では、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、前記再生表示制御手段は、前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させる。
【0026】
これらのプログラムをコンピュータ装置にインストールして機能させることで、本発明に係るコンピュータ装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コンピュータ装置は、表示された電子教科書から任意のエリアを指定させて、当該指定された指定エリアに対し、電子コンテンツに加えて、その再生表示条件を関連付ける。これにより、コンピュータ装置は、指定された指定エリアが選択された場合に、関連付けした再生表示条件に従い、関連付けした電子コンテンツを再生することができる。従って、コンピュータ装置は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態に係る電子ペンシステムの構成を示す。
【図2】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図3】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図5】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
【図6】エリア指定画面の表示例である。
【図7】関連付け内容設定画面の表示例である。
【図8】指定エリア定義情報のデータ構造を示す。
【図9】見開き状態の教科書の上面図を示す。
【図10】ファイル「ワークシート.pdf」の表示例を示す。
【図11】変形例に係る電子ペンシステムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するのに好適な実施形態について説明する。以下に説明する電子ペンシステムは、学校の授業などに好適に用いられ、教科書(教材)の任意の範囲と動画などの電子コンテンツとその再生又は表示条件との関連付けを行い、電子ペンの操作により電子コンテンツを再生又は表示するシステムである。
【0030】
[電子ペンシステムの構成]
図1は、本実施形態に係る電子ペンシステムの構成を示す。図1に示すように、電子ペンシステムは、講師が使用する電子ペン1と、各ページの略全面にドットパターンが印刷された教科書(教材)2と、電子ペン1から記入情報等を受信して処理するコンピュータ装置3と、コンピュータ装置3と接続され、そのディスプレイの表示画面と同じ画像をドットスクリーン5に投影するプロジェクタ4と、ドットパターンが印刷されたドットスクリーン5とを備える。以下、これらの各構成要素について説明する。
【0031】
(教科書)
まず、教科書(電子ペン用図書)2について説明する。教科書2の各ページには、その略全面に後述する位置座標を示すドットパターン(コード化パターン)が印刷される。また、教科書2の各ページには、それぞれ異なる座標範囲のドットパターンが印刷される。ドットパターンは、電子ペン1により読み取ることができるように赤外線を吸収するカーボンを含んだインクにより印刷され、その他の文字や図などは、赤外線を吸収しないインキにより印刷される。
【0032】
(ドットスクリーン)
ドットスクリーン5は、白地の樹脂基板に、電子ペン1により読み取ることができるよう赤外線を吸収するカーボンを含んだインクによりドットパターン(コード化パターン)が印刷され、さらにドットパターンが例えば透明なEB硬化樹脂層などで保護された層構成を有している。
【0033】
(プロジェクタ)
プロジェクタ4は、ドットスクリーン5に対して鉛直上方向から斜め下向きに光を出射するプロジェクタであり、例えば教室の壁等に設置される。プロジェクタ4は、コンピュータ装置3から画像信号を受信し、コンピュータ装置3の画面と同じ画像を構成する光を所定の投影範囲50に投影する。投影範囲50には、後述するように、教科書2を電子化した電子教科書2A(後述の図6参照)などが表示される。なお、プロジェクタ4は、ドットスクリーン5の正面へ向けて光を出射するフロントプロジェクタ、又は、ドットスクリーン5の背面へ向けて光を出射するリアプロジェクタであってもよい。
【0034】
(ドットパターン)
続いて、教科書2の各ページやドットスクリーン5に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について図2及び図3を用いて説明する。図2は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、教科書2の各ページやドットスクリーン5上の位置座標が決定されるよう構成されている。なお、教科書2のページ同士又は教科書2の各ページとドットスクリーン5とでは座標領域が重ならないようドットパターンが形成される。
【0035】
図3(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図3(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、教科書2の各ページやドットスクリーン5上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンが教科書2の各ページやドットスクリーン5上のどの位置にあるのか)を保持している。図3(b)は、図3(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0036】
(電子ペン)
次に、電子ペン1について図4を用いて説明する。図4は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103を教科書2の各ページやドットスクリーン5上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、電子ペン1のペン先部103が教科書2の各ページ等に最初に接触することを「ペンダウン」と呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることを「ペンアップ」と呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
【0037】
バッテリー112は電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1により教科書2の各ページ等に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0038】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1で教科書2の各ページ等に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報(以後、「ペンダウン情報PD」と呼ぶ。)と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1を教科書2の各ページから離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報(以後、「ペンアップ情報PU」と呼ぶ。)とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。
【0039】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、教科書2の各ページ上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が教科書2の各ページに接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。したがって、教科書2の各ページに文字や図面などが印刷されていた場合でも、印刷したインクは赤外域に吸収性を持たないため、プロセッサ108は、ドットパターンを認識することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0040】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の教科書2の各ページ等におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際にその機能が発揮される。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、教科書2の各ページやドットスクリーン5における6×6のドットパターンは、教科書2の各ページ及びドットスクリーン5内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が教科書2の各ページ又はドットスクリーン5のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0041】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、ドットスクリーン5のドットパターンを読み込ませて書き込むための電子ペン1Bの場合、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。この場合通信ユニット111によるコンピュータ装置3への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置3に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置3によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置3は、ペンダウン情報PD及びペンアップ情報PUによって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。
【0042】
(コンピュータ装置)
次に、コンピュータ装置3について説明する。コンピュータ装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等で構成される。なお、コンピュータ装置3は、iPad(登録商標)などのタブレットPCやPDA(Personal Data Assistance)、またはディスプレイを備えるPC(パーソナルコンピュータ)等で構成されてもよい。
【0043】
図5は、コンピュータ装置3の機能ブロック図である。コンピュータ装置3は、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段31、通信手段32、記憶手段33、処理手段34、表示手段36、インターフェース38を備える。通信手段32は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、受信した情報を処理手段34に伝送する。表示手段36は、ディスプレイ等によって構成され、処理手段34によって指示された内容を表示する。インターフェース38は、プロジェクタ4と接続するためのインターフェースである。インターフェース38は、処理手段34の処理命令に基づき、表示手段36に画像を表示するための画像信号をプロジェクタ4に送信し、表示手段36の画像と同じ画像を同期して投影させる。
【0044】
処理手段34は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置3の全体の制御を行う。処理手段34は、エリア指定受付手段341と、関連付け手段342と、再生表示制御手段343とを備える。エリア指定受付手段341は、教科書2が電子化された電子教科書2Aを表示した画面であって、表示された電子教科書2Aから電子コンテンツと関連付ける任意のエリア(範囲)を指定するための画面(「エリア指定画面」とも呼ぶ。)を、表示手段36に表示させる。そして、エリア指定受付手段341は、エリア指定画面において、マウスのドラッグ操作により、表示された電子教科書2Aから、電子コンテンツと関連付けるエリアを操作者である講師に指定させる。エリア指定画面において指定された電子教科書2A(教科書2)上のエリアを「指定エリアAs」とも呼ぶ。エリア指定画面の詳細については[関連付け処理]のセクションで図6を用いて後述する。
【0045】
次に、処理手段34の関連付け手段342は、指定された指定エリアAsに対し、関連付ける電子コンテンツ及びその電子コンテンツの再生又は表示(再生表示)を行う条件(「再生表示条件」とも呼ぶ。)を指定させるための画面(「関連付け内容設定画面」とも呼ぶ。)を表示手段36に表示させる。そして、関連付け手段342は、関連付け内容設定画面での入力に基づき、指定エリアAsと電子コンテンツと再生表示条件とを関連付けて記憶手段33に記憶させる。関連付け内容設定画面は、本発明における「設定画面」の一例であり、その詳細については[関連付け処理]のセクションで図7を用いて後述する。
【0046】
さらに、処理手段34の再生表示制御手段343は、教科書2のページ中の指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた場合、又は、ドットスクリーン5に投影された電子教科書2Aの指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた場合、電子ペン1から受信した記入情報に基づき、当該指定エリアAsが電子ペン1により指定されたことを認識する。そして、再生表示制御手段343は、指定された指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い表示手段36上に表示させる。この具体的な処理については、[関連付け活用処理]のセクションで詳しく説明する。
【0047】
また、処理手段34は、キャリブレーション用マークを少なくとも2以上、表示手段36に表示させることにより、プロジェクタ4に対し、ドットスクリーン5にもキャリブレーション用マークを投影させ、キャリブレーション用マークが投影された位置のドットパターンを電子ペン1に読み取らせて記入情報を受信することで、ドットスクリーン5のドットパターンにかかる座標系を表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換するための座標変換関数を求める(キャリブレーション処理機能)。さらに、処理手段34は、そのキャリブレーション処理により求められた座標変換関数を用いて、ドットスクリーン5のドットパターンにかかる座標系のデータを受信したときに、表示手段36のディスプレイにかかる座標系のデータに変換し、ストロークを描画したり、所定の処理を行ったりする。
【0048】
記憶手段33は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段33は、処理手段34の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶する。また、記憶手段33は、教科書2の種類ごとに当該教科書2の各ページに対応するドットパターンが示す座標範囲、及びドットスクリーン5に対応するドットパターンが示す座標範囲の情報(「座標定義情報」とも呼ぶ。)を記憶する。
【0049】
さらに、記憶手段33は、指定エリアAsと関連付けるための電子コンテンツを予め記憶しておく。この電子コンテンツには、講師が授業用に自らビデオカメラ等の撮影手段を用いて撮影を行った結果生成された映像データなどが含まれる。そして、記憶手段33は、エリア指定画面において指定エリアAsが指定された場合、エリア指定受付手段341の制御に基づき、指定エリアAsごとに、当該指定エリアAsに対応する教科書2の識別情報である教科書IDと、指定エリアAsが記載されたページ番号と、指定エリアAsが記載されたページ内における相対的な位置を示すページ内位置とを関連付けて記憶する。以後では、上述の教科書ID、ページ番号、及びページ内位置を「指定エリア特定情報」とも呼ぶ。さらに、記憶手段33は、当該指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツ及びその再生表示条件が定められた場合には、関連付け手段342の制御に基づき、指定エリアAsごとに、定められた電子コンテンツ及び再生表示条件を関連付けて記憶する。以後では、指定エリアAsごとに関連付けられた指定エリア特定情報、電子コンテンツ、及びその再生表示条件の対応関係を示す情報を「指定エリア定義情報」とも呼ぶ。指定エリア定義情報のデータ構造については、図8を参照して後述する。
【0050】
[関連付け処理]
次に、指定エリアAsを決定する処理、及び、指定エリアAsに電子コンテンツ及び再生表示条件を関連付ける処理(これらの処理を単に「関連付け処理」とも呼ぶ。)について、図6に示すエリア指定画面及び図7に示す関連付け内容設定画面を参照してそれぞれ具体的に説明する。以下に説明する関連付け処理は、後述する関連付け活用処理を実行するための前処理に相当し、授業の準備の段階で講師が入力手段31により入力する内容に基づきコンピュータ装置3が実行する処理である。従って、関連付け処理では、プロジェクタ4とコンピュータ装置3とが電気的に接続していなくてもよい。
【0051】
(1)エリア指定画面
図6は、コンピュータ装置3の表示手段36が出力するエリア指定画面60の表示例である。図6に示すように、エリア指定画面60は、電子教科書2Aと、操作ボタン361〜364と、指定完了ボタン365とを表示する。処理手段34のエリア指定受付手段341は、エリア指定画面60を起動させる旨の所定の入力を入力手段31により検知した場合、図6に示すエリア指定画面60を表示手段36に表示させる。
【0052】
図6に示すように、エリア指定画面60には、教科書2の各ページが電子化された見開き状態の電子教科書2Aが表示されると共に、電子教科書2Aが表示するページをユーザが指定するための操作ボタン361〜364が設けられている。操作ボタン361は、電子教科書2Aの表示ページを最初のページに戻す、即ち電子教科書2Aの1ページ目及び2ページ目を表示した状態に戻すためのボタンである。操作ボタン362は、電子教科書2Aの表示ページを2ページ分戻す(図6では20ページと21ページを表示した状態にする)ためのボタンである。操作ボタン363は、電子教科書2Aが表示するページを2ページ分進める(図6では24ページと25ページを表示する)ためのボタンである。操作ボタン364は、電子教科書2Aの表示ページを最後のページに進めるためのボタンである。
【0053】
そして、エリア指定画面60には、「リンク付けの対象とするエリアをドラッグで指定して下さい。」と表示されている。このように、エリア指定受付手段341は、エリア指定画面60において、操作者に対し、マウスによるドラッグ操作等により指定エリアAsを指定するように促す表示を行う。そして、エリア指定受付手段341は、表示された電子教科書2A上でのマウスのドラッグ操作による入力を入力手段31から検知する。エリア21A〜21Dは、マウスのドラッグ操作により指定されたエリア(領域)を示す。好適には、処理手段34は、マウスのドラッグ操作により指定したエリアを操作者が確認できるように、エリア21A〜21Dを、破線枠、着色、ハッチング等(図6では破線枠)により、指定されていないエリアと異なる態様によりエリア指定画面60上に表示させるとよい。
【0054】
指定完了ボタン365は、マウスのドラッグ操作により指定されたエリア21A〜21Dを指定エリアAsとして確定させるためのボタンである。エリア指定受付手段341は、指定完了ボタン365が選択された場合、エリア21A〜21Dに対応する教科書2の各エリアを、それぞれ指定エリアAsとして記憶手段33に記憶させる。具体的には、エリア指定受付手段341は、電子教科書2Aに付された教科書IDと、エリア21A〜21Dが属するページ番号と、当該ページ全体におけるエリア21A〜21Dの位置(範囲)を示すページ内位置とを、指定エリアAsごとに関連付けて記憶手段33に記憶させる。
【0055】
図8(A)は、指定完了ボタン365が選択された後の指定エリア定義情報のデータ構造を示す。図8(A)において、「指定エリア番号」は、指定エリアAsが指定された際に、指定された順に当該指定エリアAsに付される通し番号を指す。また、電子教科書2A(教科書2)の教科書IDは「R01」であるものとし、ページ内位置は、角の位置座標(Xn,Yn)、高さ(Y方向)、幅(X方向)で規定されている。図8(A)に示すように、エリア指定画面60においてマウスのドラッグ操作により指定されたエリア21A〜21Dにそれぞれ対応して、指定エリア番号及び教科書IDなどの指定エリア特定情報が記憶手段33に記憶されている。
【0056】
(2)関連付け内容設定画面
図7は、コンピュータ装置3の表示手段36が出力する関連付け内容設定画面61の表示例である。関連付け手段342は、図6の指定完了ボタン365が選択された場合に、関連付け内容設定画面61を表示手段36に表示させる。図7に示すように、関連付け内容設定画面61には、指定エリア表示367A〜367D(367)と、ファイル名表示欄368A〜368D(368)と、参照ボタン369A〜369D(369)と、再生表示条件入力欄370A、370Ba、370Bb、370Ca、370Cb(370)と、画面戻るボタン371と、設定完了ボタン372とが表示されている。また、関連付け内容設定画面61には、「リンク付けするコンテンツ・データを設定して下さい」と操作者に指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツ及びその再生表示条件を入力する旨が表示される。
【0057】
指定エリア表示367A〜367Dは、図6のエリア指定画面にて指定エリアAsとして指定されたエリア21A〜21Dをそれぞれ表示する。指定エリア表示367A〜367Dは、表示される指定エリアAsが属するページ番号ごとに縦に並べて表示されている。具体的には、ページ番号「22」のページにあるエリア21Aを表示する指定エリア表示367Aがページ番号と共に最上位に表示され、ページ番号「23」のページにあるエリア21B〜21Dを表示する指定エリア表示367B〜367Dがページ番号と共に指定エリア表示367Aの下に並べられている。
【0058】
ファイル名表示欄368A〜368Dは、それぞれ指定エリア表示367A〜367Dに対応する指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツのファイル名又は電子コンテンツのファイル名を含むパス(ここではファイル名のみとする)を表示する欄である。ファイル名表示欄368Aは、それぞれ、後述する参照ボタン369A〜369Dにより指定されたファイル名を表示する。参照ボタン369は、クリック操作により選択された際に、ファイルを指定するためのウィンドウを表示し、コンピュータ装置3の記憶手段33内に記憶された任意のファイルを操作者に指定させるためのボタンである。
【0059】
再生表示条件入力欄370は、指定エリア表示367A〜367Dに対応する各指定エリアAsに関連付ける再生表示条件を入力するための入力欄である。関連付け手段342は、参照ボタン369により電子コンテンツのファイルが選択された場合に、選択された電子コンテンツのファイルに対応する再生表示条件入力欄370を表示する。ここで、関連付け手段342は、ファイル名表示欄368内に表示された電子コンテンツのファイルの拡張子に基づき、当該ファイルの種類に応じた再生表示条件を入力するための再生表示条件入力欄370を表示する。
【0060】
具体的には、ファイル名表示欄368Aには、「ワークシート1.pdf」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Aに対応する指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、電子文書が指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、表示するページ番号を入力するための再生表示条件入力欄370Aを表示すると共に、再生表示条件入力欄370Aの左側に「表示ページ」と表示する。
【0061】
また、ファイル名表示欄368Bには、「断層○○町.mp4」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Aに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、動画ファイルが指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、「断層○○町.mp4」の全再生時間のうち、実際に再生させたい時間帯の開始時間(再生開始時間)と、当該時間帯の終了時間(再生終了時間)とを入力するための再生表示条件入力欄370Ba、370Bbをそれぞれ表示する。また、処理手段34は、再生表示条件入力欄370Baの左側に「再生開始」と表示して、再生表示条件入力欄370Baが再生開始時間を入力する欄であることを明確にすると共に、再生表示条件入力欄370Bbの左側に「再生終了」と表示して、再生表示条件入力欄370Bbが再生終了時間を入力する欄であることを明確にする。ここでは、再生表示条件入力欄370Baには「2分10秒」を再生開始時間に指定する旨の入力がなされ、再生表示条件入力欄370Bbには「2分40秒」を再生終了時間に指定する旨の入力がなされている。
【0062】
同様に、ファイル名表示欄368Cには、「断層△△村.mp4」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Cに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、動画ファイルが指定されていると判断する。従って、関連付け手段342は、再生開始時間と、再生終了時間とをそれぞれ入力するための再生表示条件入力欄370Ca、370Cbを表示する。そして、ここでは、再生表示条件入力欄370Caには「5分12秒」を再生開始時間に指定する旨の入力がなされ、再生表示条件入力欄370Cbには「6分30秒」を再生終了時間に指定する旨の入力がなされている。
【0063】
また、ファイル名表示欄368Dには、「断層□□市.jpg」と表示されていることから、関連付け手段342は、指定エリア表示367Dに表示された指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツとして、画像ファイルが指定されていると判断する。従って、この場合には、処理手段34は、再生表示条件を定める必要がないと判断し、ファイル名表示欄368Dに対応する再生表示条件入力欄370を設けない。
【0064】
画面戻るボタン371は、図6のエリア指定画面60へ表示手段36の出力画面を戻すためのボタンである。設定完了ボタン372は、関連付け内容設定画面61での設定内容を確定するためのボタンである。
【0065】
設定完了ボタン372が選択された場合、関連付け手段342は、指定エリア表示367A〜367Dに表示された指定エリアAsの各々に対し、ファイル名表示欄368A〜368Dに表示された電子コンテンツのファイルと、各再生表示条件入力欄370に入力された再生表示条件とを関連付ける情報を指定エリア定義情報として記憶手段33に記憶させる。
【0066】
図8(B)は、設定完了ボタン372が選択された後での記憶手段33が記憶する指定エリア定義情報のデータ構造を示す。図8(B)に示すように、図7に示す状態で設定完了ボタン372が選択された場合、関連付け手段342は、関連付け内容設定画面61での入力内容に基づき、各指定エリア番号に対して、電子コンテンツの格納場所(パス)及び再生表示条件を関連付けて記憶手段33に記憶される。これにより、コンピュータ装置3は、教科書2又はドットスクリーン5に表示された電子教科書2Aの指定エリアAsの表示位置が電子ペン1によりタップされた場合、図8(B)に示す指定エリア定義情報を参照することで、電子コンテンツの再生表示を指定された再生表示条件に従い実行することが可能となる。
【0067】
[関連付け活用処理]
次に、指定エリア定義情報が生成された後に実行される関連付け活用処理について図9及び図10を参照して説明する。
【0068】
図9は、見開き状態の教科書2の上面図を示す。図9の二点鎖線枠90A〜90Dは、それぞれ、図8(B)の各指定エリア番号に対応する指定エリアAsの位置を示す仮想的な線である。
【0069】
図9に示す状態で、講師が二点鎖線枠90A〜90D内のいずれかの位置を電子ペン1によりタップすると、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、タップされた位置に対応する指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い再生する。具体的には、二点鎖線枠90A〜90D内に印刷されたドットパターンを電子ペン1が読み取ることで生成された記入情報をコンピュータ装置3が電子ペン1から受信すると、再生表示制御手段343は、座標定義情報を参照し、受信した記入情報に含まれる座標情報が示す位置座標から、当該位置座標が指し示す教科書ID、ページ番号、及びページ内位置を認識する。次に、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、認識した教科書ID、ページ番号、及びページ内位置に対応する指定エリアAsが存在することを認識する。そして、この場合、再生表示制御手段343は、認識した指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを、同じく関連付けられた再生表示条件に従い再生する。
【0070】
例えば、図9に示す二点鎖線枠90A内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「1」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「ワークシート.pdf」の1ページ目を表示させる。
【0071】
図10は、ファイル「ワークシート.pdf」の表示例を示す。図10に示すように、ファイル「ワークシート.pdf」は、解答欄70A〜70Eを有する。そして、ドットスクリーン5に表示された「ワークシート.pdf」の解答欄70A〜70Eへ生徒等が電子ペン1により書込みを行った場合、処理手段34は、記入情報に含まれる座標情報を、座標変換関数に基づき表示手段36の画面上での座標情報に変換し、当該座標情報に基づきストロークを表示手段36に描画する。また、処理手段34は、表示手段36に画像を表示させるための画像信号をプロジェクタ4に送信し、表示手段36の画像と同じ画像を同期して投影させる。これにより、ドットスクリーン5にも同様に、電子ペン1の記入者が描いたストロークが投影される。
【0072】
再び図9を参照し、指定エリアAsが電子ペン1によりタップされた際の動作について説明する。図9に示す二点鎖線枠90B内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「2」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層○○町.mp4」の動画を2分10秒から2分40秒まで表示させる。
【0073】
同様に、二点鎖線枠90C内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「3」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層△△村.mp4」の動画を5分12秒から6分30秒まで表示させる。また、二点鎖線枠90D内の任意の位置が電子ペン1によりタップされると、再生表示制御手段343は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、指定エリア番号が「4」の指定エリアAsが選択されたことを認識する。従って、この場合、再生表示制御手段343は、表示手段36及びプロジェクタ4に画像信号を送信し、表示手段36及びドットスクリーン5の投影範囲50に「断層□□市.jpg」の画像を表示させる。
【0074】
また、電子教科書2Aのページがドットスクリーン5の投影範囲50に表示された場合も、同様に、コンピュータ装置3は、電子ペン1から送信される記入情報及び図8(B)に示す指定エリア定義情報に基づき、電子コンテンツを指定された再生表示条件に従い再生表示する。具体的には、投影範囲50内における指定エリアAsの表示位置が電子ペン1によりタップされた場合、再生表示制御手段343は、受信した記入情報の座標情報を座標変換関数により表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換し、変換後の位置座標が指し示す表示中の電子教科書2Aにおけるページ番号及びページ内位置を認識する。そして、再生表示制御手段343は、指定エリア定義情報を参照し、表示中の電子教科書2Aに対応する教科書ID並びに認識したページ番号及びページ内位置に基づき、指定エリアAsが指定されたか否か判定し、指定エリアAsが指定されたと判断した場合には、当該指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツを、指定エリア定義情報において指定された再生表示条件に従い再生する。
【0075】
[本実施形態の電子ペンシステムによる作用効果]
本実施形態の電子ペンシステムによれば、コンピュータ装置3は、エリア指定画面において、電子教科書2Aの表示部分から指定エリアAsを指定する入力を受け付ける。さらに、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面において、指定エリアAsと、電子コンテンツと、再生表示条件とを関連付ける。そして、コンピュータ装置3は、教科書2やドットスクリーン5において電子ペン1により指定エリアAsの表示位置がタップされたと判断した場合に、タップされた指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツを再生表示条件に従い再生表示する。従って、コンピュータ装置3は、操作者が意図する電子コンテンツを意図した再生表示条件に従い再生表示することができ、利便性を向上させることができる。
【0076】
また、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面において、関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、再生表示条件入力欄370の構成を変更する。これにより、コンピュータ装置3は、電子コンテンツの種類に即した再生表示条件を操作者に入力させることができる。
【0077】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施形態に適用してもよい。
【0078】
(変形例1)
電子コンテンツは、記憶手段33に記憶されている代わりに、コンピュータ装置3と電気的に接続したサーバに記憶されていてもよい。図11は、変形例に係る電子ペンシステムの構成を示す。図11に示すように、電子ペンシステムは、コンピュータ装置3とネットワークを介して接続したサーバ8を備える。
【0079】
まず、本変形例において、サーバ8に電子コンテンツをアップロードする方法について説明する。例えば、サーバ8が学内に構築されたLAN(Local Area Network)に接続されている場合、学内の教員がそれぞれ使用するPC(Personal Computer)などのコンピュータ装置から教科書2の内容と関連する電子コンテンツをサーバ8へアップロードする。他の例では、サーバ8がインターネットに接続されている場合、全国の教員や教材製作会社の社員がそれぞれ使用するコンピュータ装置から教科書2の内容と関連する電子コンテンツをサーバ8へアップロードする。
【0080】
次に、本変形例において、サーバ8からコンピュータ装置3が電子コンテンツをダウンロードするタイミングについて、第1の例〜第3の例を用いて具体的に説明する。第1の例では、コンピュータ装置3は、操作者の操作に基づき、上述の関連付け処理を実行する前に、使用する教科書2に関連する電子コンテンツをサーバ8からダウンロードする。そして、コンピュータ装置3は、上述の[関連付け処理]のセクションで述べた処理を行う。
【0081】
第2の例では、コンピュータ装置3は、関連付け内容設定画面61の表示時に、所定の指定エリアAsと関連付ける旨の指定があった電子コンテンツをサーバ8からダウンロードする。第3の例では、コンピュータ装置3は、関連付け処理が完了した後、指定エリアAsが選択され、当該指定エリアAsに関連付けられた電子コンテンツを再生表示する際に、サーバ8から当該電子コンテンツをダウンロードする。なお、第3の例において、電子コンテンツが動画である場合には、コンピュータ装置3は、電子コンテンツをダウンロードする代わりに、ストリーミングにより当該電子コンテンツを再生してもよい。
【0082】
ここで、第2の例及び第3の例では、好適には、図7の関連付け内容設定画面61において、いずれかの参照ボタン369が選択された場合に、コンピュータ装置3は、サーバ8の記憶手段等にアクセスすることで、サーバ8が記憶する電子コンテンツについても、指定エリアAsに関連付ける電子コンテンツとして選択可能にする。
【0083】
(変形例2)
図7の関連付け内容設定画面61では、コンピュータ装置3は、参照ボタン369により、指定エリアAsと関連付ける電子コンテンツを操作者に選択させていた。これに代えて、コンピュータ装置3は、電子コンテンツを閲覧可能な動画サイトなどのURL(Uniform Resource Locator)を操作者に指定させてもよい。例えば、この場合、ファイル名表示欄368A〜368Dは、キーボードによる入力等により直接入力が可能な入力欄であり、操作者は、任意のファイル名表示欄368を選択して、キーボード入力等により所望のURLを当該ファイル名表示欄368に入力する。
【0084】
(変形例3)
電子ペンシステムは、ドットスクリーン5に代えて、圧力を検知することが可能に構成された感圧式ボード(シート)又はボード表面の直下にワイヤが埋め込まれた電磁式ボードなどの電子ボードを備えてもよい。例えば、感圧式ボードの場合、所定のペン(スタイラス)で圧力を加えるとボード中に設けられた電気伝導性の2枚のシートが接触して電気信号が発生し、当該電気信号に基づき、コンピュータ装置3は、接触位置を検出する。また、電磁式ボードの場合、電子ペンシステムは、電子ペン1に代えてコイルを埋め込んだスタイラスを備え、ステイラスを電磁式ボードに接触させると、電磁式ボードは、スタイラスとの電磁誘導に基づき接触位置に相当する電気信号を発生し、当該電気信号に基づき、コンピュータ装置3は、接触位置を検出する。
【0085】
そして、いずれの入力方式のボード(シート)を用いる場合であっても、コンピュータ装置3は、ドットスクリーン5と同様の方法により、ボードかかる座標系を表示手段36のディスプレイにかかる座標系に変換するための座標変換関数を関連付け処理等を行う前に予め求める。そして、コンピュータ装置3は、求められた座標変換関数を用いて、ボード上の接触位置に相当する座標データを受信した場合に、表示手段36のディスプレイにかかる座標系のデータに変換し、表示された電子教科書2A中の指定エリアAsが選択されたか否か等を検知する。
【0086】
(変形例4)
電子ペンシステムは、電子ペン1及び教科書2に代えて、電子教科書2Aのデータが記憶されたiPad(登録商標)などのタッチパネルを備えるタブレットPCを備えてもよい。
【0087】
この場合、タブレットPCは、電子教科書2Aを見開き状態で表示すると共に、タッチパネル操作に基づき表示中のページを変更する。また、関連付け活用処理では、操作者が指定エリアAsの表示部分を指により触れた場合、タブレットPCは、接触があった電子教科書2Aに関連づけられた教科書IDと、接触があったページのページ番号と、及び当該ページにおけるページ内位置とに関する検出信号をコンピュータ装置3に送信し、コンピュータ装置3は、当該検出信号に基づき接触があった指定エリアAsを特定し、当該指定エリアAsと関連付けられた電子コンテンツの再生表示を行う。
【0088】
(変形例5)
電子コンテンツは、音声を含む動画コンテンツであってもよく、音声のみのコンテンツであってもよい。この場合、コンピュータ装置3は、スピーカなどの音声出力手段をさらに備え、再生表示制御手段343は、再生すべき電子コンテンツが音声を含む場合には、音声出力手段により音声を出力させる。
【0089】
(変形例6)
上記実施形態においては、図6に示すように、電子教科書2Aを表示させた状態で、マウスのドラッグ操作により、任意のエリアを指定した。その代わりに、電子教科書2Aに掲載されている写真、イラスト、文字が表示されたブロックなどのエリアが、マウスのクリック操作により指定できるよう予め設定されていてもよい。これにより、ユーザが、電子コンテンツと関連付ける対象を、任意の写真、イラスト、ブロックなどのエリアをマウスのクリック操作で指定できるようにしてもよい。
【0090】
(変形例7)
上記実施形態において、電子ペン、ドットパターン(コード化パターン)、記入情報に、アノト方式を用いたが、アノト方式に限られなくともよい。
【符号の説明】
【0091】
1…電子ペン
2…ドットパターン用紙
3…コンピュータ装置
4…プロジェクタ
5…ドットスクリーン
8…サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、
前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、
前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項2または3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、
画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムであって、
前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、
前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする電子ペンシステム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンが印刷された教材と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムであって、
前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、
前記再生表示制御手段は、
前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする電子ペンシステム。
【請求項7】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記コンピュータ装置の関連付け手段は、
前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信することを特徴とする請求項5または6に記載の電子ペンシステム。
【請求項8】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、
前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする請求項5または6に記載の電子ペンシステム。
【請求項9】
コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、
前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、
前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段
として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項10または11に記載のプログラム。
【請求項13】
コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、
画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記再生表示制御手段は、
前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンが印刷された教材と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、
前記再生表示制御手段は、
前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信することを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記再生表示制御手段は、
前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【請求項1】
電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、
前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、
前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項2または3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、
画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムであって、
前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、
前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする電子ペンシステム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンが印刷された教材と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムであって、
前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、
前記再生表示制御手段は、
前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする電子ペンシステム。
【請求項7】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記コンピュータ装置の関連付け手段は、
前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信することを特徴とする請求項5または6に記載の電子ペンシステム。
【請求項8】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記コンピュータ装置の再生表示制御手段は、
前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする請求項5または6に記載の電子ペンシステム。
【請求項9】
コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
電子教材を表示手段に表示させ、前記電子教材の表示部分から任意のエリアを指定する入力を受け付けるエリア指定受付手段と、
前記入力に基づき指定された指定エリアと、前記電子教材の内容に関連する電子コンテンツと、前記電子コンテンツの再生又は表示条件とを関連付ける関連付け手段と、
前記指定エリアが選択されたと判断した場合、当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び音声出力手段に再生又は表示させる再生表示制御手段
として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに対し、関連付ける電子コンテンツと、当該電子コンテンツの再生又は表示条件とを設定するための設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記関連付ける電子コンテンツが設定された場合、当該電子コンテンツの種類に応じて、前記再生又は表示条件として設定すべき内容を変更することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が動画の場合には、当該電子コンテンツにおける再生開始時間又は/及び再生終了時間を入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記関連付け手段は、
前記設定画面において設定された電子コンテンツの種類が電子文書の場合には、当該電子コンテンツの表示ページを入力するための入力欄を前記設定画面中に設けることを特徴とする請求項10または11に記載のプログラム。
【請求項13】
コード化パターンが表面に付されたスクリーンと、
画像信号に基づく光を前記スクリーンの表面に出射するプロジェクタと、
前記プロジェクタに画像信号を送信する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記再生表示制御手段は、
前記スクリーンに電子教材を投影表示させた状態で、前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記スクリーンに投影された電子教材の前記指定エリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置と、
コード化パターンが印刷された教材と、
コード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標を含む記入情報を前記コンピュータ装置に送信する電子ペンと
を備える電子ペンシステムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記電子教材は前記教材を電子化したものであり、
前記再生表示制御手段は、
前記電子ペンから受信した記入情報に基づき、前記電子教材の前記指定エリアに相当する前記教材のエリアが前記電子ペンにより選択されたと判断した場合、
当該指定エリアと関連付けられた前記電子コンテンツを、前記再生又は表示条件に従い前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記関連付け手段は、
前記指定エリアに前記サーバ装置が記憶する電子コンテンツを関連付ける場合に、当該電子コンテンツを前記サーバ装置から受信することを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して電子コンテンツを記憶するサーバ装置と接続し、
前記再生表示制御手段は、
前記指定エリアが選択された場合、当該指定エリアに関連付けられた電子コンテンツを前記サーバ装置からダウンロードすることで、又は、前記サーバ装置から当該電子コンテンツのストリーミングの配信を受けることで、当該電子コンテンツを前記表示手段又は/及び前記音声出力手段に再生又は表示させることを特徴とする請求項13または14に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−76720(P2013−76720A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214830(P2011−214830)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]