説明

サーフエスブローチ盤及びサーフエスブローチ加工方法

【課題】最初の試作ワークで要求精度が出ても、その後の被加工品の製品加工において、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮をを含む変位を補正した、被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としないサーフエスブローチ盤を提供。
【解決手段】前後テーブル 7の左右前端に固定した1対の変位センサ 11a,11b、及びコラム 1左右前面に固定した変位センサ 11a,11bが当たる1対の基準面 12a,12bをそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物をブローチ刃具にて加工するサーフエスブローチ加工方法及びサーフエスブローチ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーフエスブローチ加工は、荒加工、中加工及び仕上げ加工が、1度被加工物を治具にセットすると、長時間に渡って連続して全工程加工完了まで加工を行なっていた。加工完了した被加工物は、大変厳しい加工精度が要求される。要求される加工精度が高く、加工箇所も多く、また、加工時間についても長時間かかるため、被加工物の加工を要求精度で、効率よく加工するためには、機械系の熱変位対策が不可欠であった。図1に示す1対の変位センサ及び1対の基準面を除いた、従来のサーフエスブローチ盤により、被加工物のサーフエスブローチ加工を行なう場合、被加工物を固定するテーブルは、ラム軸に対して、左右シフト、前後シフト、そして回転等の駆動装置があることにより加工面は、テーブルの機械本体取付け面よりもかなり上部となり、またラム駆動用の減速機等は、図1で示すように右面のみに配置され、左右対称取付けではないため、減速機による機械の熱変位については、左右対称とならない。そのため、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ等の機械寸法の変化によるブローチ刃具とテーブル位置を、加工時間や、加工回数等で機械を停止させ、テーブルの位置をその都度作業者が計測し、手動補正入力し、加工精度を保つ等の作業を行う必要があった。
【特許文献1】特許第3330722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のサーフエスブローチ加工の加工手順としては、基本的な加工手順として、まず、試作ワークを所望精度に加工する。この試作ワークの所望精度までの加工は、まず、試作ワークの荒加工、中加工及び仕上げ加工まで、要求精度を出すため何度もトライして行われる。その後、被加工製品を全工程加工していた。従来の方法では、最初の試作ワークで要求精度が出ても、その後の被加工製品の製品加工において、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮等で被加工物を要求通りに加工するために、何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力が必要であり、そのために機械の作業効率は、非常に低くなってしまい、場合によっては、機械を恒温室に入れる等の考慮まで必要となった。なお、特許文献1では、横型マシニングセンタによる加工方法に関する熱変位量の補正の記載があるが、ブローチ加工に適用することはできない。
【0004】
本発明の課題は、係る従来技術の課題を解決するためになされたものであり、最初の試作ワークで要求精度が出ても、その後の被加工製品である製品加工において、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮を含む変位を補正するように、被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としないサーフエスブローチ加工方法及びサーフエスブローチ盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため本発明の第1発明は、機械本体に固定されたコラム及び基台、コラムに往復動可能に支持されたラム及びラムに固定された1列乃至複数列のブローチ刃具、及び、基台上にそれぞれ、前後動可能に支持された前後テーブル、左右動可能に支持された左右テーブル及び回転動可能に支持された回転テーブルを順次積載したサーフエスブローチ盤において、前記前後テーブル左右前端又はコラム左右前面に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面又は前後テーブル左右前端に固定した前記変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けたことを特徴とするサーフエスブローチ盤を提供することによって上記した従来製品の課題を解決した。
本発明の第2発明は、ラムに荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具を固定し、被加工物と同じ位置に取付けた試作ワークを所望精度に加工し、その加工終了位置でラム又はテーブルに取り付けた1対の変位センサで個々のブローチ列毎に、テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を加工基準前進変位量として前記メモリーに記憶させ、その後で被加工物を前記試作ワークと同じ位置に取付け、個々のブローチ列毎に前後テーブルを前記メモリーに個別に記憶させた加工基準前進変位量まで前進させ、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うことを特徴とするサーフエスブローチ加工方法を提供することによって上記した従来製品の課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1発明又は第2発明では、前後テーブル左右前端又はコラム左右前面に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面又は前後テーブル左右前端に固定した前記変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた構成により、最初の試作ワークで要求精度が出たとき、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮をを含む変位を、前後テーブル左右前端とコラム左右前面との間の前後方向変位として捕らえ、その後の被加工製品である製品加工において、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮を含む変位を、前後テーブル左右の前進変位量を平均した加工基準前進変位量として補正できるので、被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としないサーフエスブローチ加工方法及びサーフエスブローチ盤を提供するものとなった。
【0007】
好ましくは、予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置でラム又はテーブルに取り付けた前記1対の変位センサで個々のブローチ列毎に、テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させ、その後で個々のブローチ列毎に前後テーブルを前記メモリーに個別に記憶させた熱変位補正前進変位量まで前進させ、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うことにより、予め設定した回数以降の被加工物を、連続して、自動的に被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としないサーフエスブローチ加工方法を提供するものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態の一例を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態のサーフエスブローチ盤の概略正面斜視図、図2は、前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面に固定した変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具に位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。図3は、変位センサをラム側に取付けた場合の例を示し、コラム左右前面に固定した変位センサ及び前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。図4は、本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の前後テーブル位置数値制御の概略制御ブロック図、図5は本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の試作加工時の荒加工、中加工及び仕上げ加工位置の前後テーブルの熱変位基準データ格納フローチャートの前半部を示し、図6は図5に続く後半部を示し、図7は本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置で、前後テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させるフローチャートの前半部を示し、図8は図7に続く後半部を示す。
【0009】
図1に示すように、本発明の実施形態のサーフエスブローチ盤は、機械本体20に固定されたコラム 1及び基台18、コラム 1に往復動可能に支持されたラム 2及びラム 2に固定された3列のブローチ刃具3a,3b,3c(1列であってもよい)、及び、基台18上にそれぞれ、前後動可能に支持された前後テーブル 7、左右動可能に支持された左右テーブル 9及び回転動可能に支持された回転テーブル10を順次積載したサーフエスブローチ盤において、図1では前後テーブル 7左右前端に固定した(コラム 1左右前面に固定してもよい)1対の変位センサ 11a,11b、及びコラム 1左右前面に固定した(前後テーブル左右前端に固定してもよい)変位センサ 11a,11bが当たる1対の基準面 12a,12bを、それぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けたものである。 4は、ラム 2起動用サーボモータ、 5はラム駆動用減速機、 6は前後テーブルシフト用サーボモータ、 8は、左右テーブルシフト用サーボモータ、11は回転テーブルである。
【0010】
図1に示すような、本発明の実施形態のサーフエスブローチ盤は、前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面に固定した変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた構成により、最初の試作ワークで要求精度が出たとき、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮をを含む変位を、前後テーブル左右前端とコラム左右前面との間の前後方向変位として捕らえ、その後の被加工製品である製品加工において、ラムの熱変位による倒れ、ねじれ、各ボールネジの伸縮を含む変位を、前後テーブル左右の前進変位量を平均した加工基準前進変位量として補正できるので、被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としないサーフエスブローチ加工方法及びサーフエスブローチ盤を提供するものとなった。
【0011】
図1、図2、図4〜図6に示すように、本発明の実施形態のサーフエスブローチ加工方法では、ラム 2に3列のブローチ刃具3a,3b,3cを固定している。加工手順については、基本的な加工手順として、まず、形状、寸法出し用として共に図示しない被加工物と同じ位置に取付けた1溝の試作ワークを所望精度に加工する。試作ワークの加工は、1部分を荒から仕上げまで全工程加工する。そこで、要求精度を出すため何度もトライする。その後試作ワークにて全工程加工する。試作ワークを所望精度に加工したその加工終了位置において、図1ではそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた、前後テーブル 7左右前端に固定した1対の変位センサ 11a,11b、及びコラム 1左右前面に固定した変位センサ 11a,11bが当たる1対の基準面 12a,12bで、個々のブローチ列毎に、前後テーブルの左右の前進変位量を個別に計測し、その値を基準値として数値制御装置24内のメモリーに個別に記憶させ、次に左右の前進変位量を平均した前進変位量を加工基準前進変位量としてメモリー25に格納記憶させる。変位センサの取付けについては、変位センサをテーブル側に取付ける場合と、変位センサをラム側に取付ける場合がある。変位センサをテーブル側に取付ける場合は、加工位置より対称位置に、取付けるのが望ましい。また、変位センサをラム側に取付ける場合は、各ブローチ列との寸法比により、テーブル前進位置を演算する場合の定数が異なり、それぞれの寸法比による比例演算となる。変位センサの取付け高さについては、加工する被加工物の高さ中心と同じ位置に取付けるのが望ましい。変位センサからの入力は、アナログ入力や、デジタル入力等、変位センサにより適切な入力装置にて、位置データを数値制御内のメモリー内にそれぞれ格納する。
【0012】
図2は、例として、前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面に固定した変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた場合の平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。a は、左側のブローチにて切削する場合、b は、中央のブローチにて切削する場合、c は、右側のブローチにて切削する場合のそれぞれの左右の変位センサと被加工物の1例の加工位置を示す。
各加工時の補正量である、加工基準前進変位量を荒加工(A1)、中加工(B1)、仕上げ加工(C1)とし、試作ワーク加工時に格納した各基準値データは、荒加工(X1.X11)、中加工(Y1.Y11)、仕上げ加工(Z1.Z11)とする。( )内は、(左.右)を示す。
A1=(X1+X11)/2
B1=(Y1+Y11)/2
C1=(Z1+Z11)/2
となる。その後で共に図示しない被加工物を試作ワークと同じ位置に取付け、個々のブローチ列3a,3b,3c毎に前後テーブル 7をメモリーに個別に記憶させた上記加工基準前進変位量まで前進させ、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うものである。
【0013】
図3は、変位センサをラム側に取付けた場合の例を示し、コラム左右前面に固定した変位センサ及び前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具に位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。a は、左側のブローチにて切削する場合、b は、中央のブローチにて切削する場合、c は、右側のブローチにて切削する場合のそれぞれの被加工物の加工位置を示す。
【0014】
図4は、本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の前後テーブルの前後テーブル位置数値制御の概略制御ブロック図、図5は本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の試作加工時の荒加工、中加工及び仕上げ加工位置の前後テーブルの熱変位基準データ格納フローチャートの前半部を示し、図6は図5に続く後半部を示す。
ステップ1 スタート
ステップ2 荒加工を加工完了しているか(条件分岐)
ステップ3 中加工を加工完了しているか(条件分岐)
ステップ4 仕上げ加工を完了しているか(条件分岐)
ステップ5 左右テーブルのロックをゆるめる
ステップ6 左右テーブルを荒加工位置へ移動させる
ステップ7 左右テーブルのロックをゆるめる
ステップ8 左右テーブルを中加工位置へ移動させる
ステップ9 左右テーブルのロックをゆるめる
ステップ10 左右テーブルを仕上げ加工位置へ移動させる
ステップ11 左右テーブルのロックを締める
ステップ12 前後テーブルを前進させる
ステップ13 前後テーブルロックを締める
ステップ14 変位センサが前後テーブルのデータを左右個別に読み込む
ステップ15 左右個別のデータを所定のメモリアドレスに格納する
ステップ16 ラム下降(加工)
ステップ17 前後テーブルロックをゆるめる
ステップ18 前後テーブルを後退させる。その後ステップ2に戻り中加工、仕上げ加 工でそれぞれステップ5〜ステップ18を繰り返す。
ステップ19 END
【0015】
図7は本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置で、前後テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させるフローチャートの前半部を示し、図8は図7に続く後半部を示す。予め設定した被加工物の補正量チェックカクンタ加工回数、または、加工時間等が設定値に到達したことにより、加工時の前後テーブルが前進位置に位置決めした時のテーブル前進位置を左右個別に数値制御装置内の所定メモリーの格納場所へ格納する。
図7、図8では、例として荒補正量チェックカウンタ(CC1)を20回に設定し、その回数が20回に到達した場合、加工中の前後テーブルが前進位置へ位置決めした時の、前記変位センサにて計測した荒加工での前後テーブル前進位置データを(X2.X12)とする。この場合、次回の荒加工における前後テーブル前進補正量データである熱変位補正基準前進変位量は、
A1={(X2−X1)+(X12−X11)}/ 2 となる。
そして、次回の加工時は、この補正データにより、前後テーブル前進の位置決め数値データを算出し、実行する。その後、前記加工回数に到達する毎に、それぞれの加工による前後テーブル前進補正データを演算し、この補正データにより、前後テーブル前進の位置決め数値データを算出し、実行する。このように、試作ワーク加工時に、変位センサにて計測し、格納されたテーブル前進基準位置に対し、製品被加工物加工時においても、同じ変位センサにて同じ測定場所にて計測を行い、補正値を算出する。荒加工(CC1)、中加工(CC2)、仕上げ加工(CC3)と別々にカクンタを設けることにより、要求加工精度に応じたきめ細かい補正量算出が可能となる。この方法は、変位センサのゼロセット等の寸法管理は、精度的に厳しく管理しなくてもよく、管理作業方法の負担とはならない。また、左右個別に計測するため、大型のテーブルであっても、減速機等での偏った熱変位にも対応可能となる。熱変位による計測に要する時間においても短時間で処理できるため、能率、精度の両面で効果的である。
【0016】
図7、図8のて本発明の製品荒加工時の前後テーブル補正位置データ算出のフローチャートにおいては、
ステップ1 スタート
ステップ2 荒加工用補正量チェックカウンタと設定値との比較(条件分岐)
ステップ3 前後テーブルを前進させる
ステップ4 前後テーブルロックを締める
ステップ5 変位センサが前後テーブルのデータを左右個別に読み込む
ステップ6 左右個別の前後テーブルのデータを所定のメモリアドレスに格納する
ステップ7 荒加工用補正量データの算出する
ステップ8 荒加工用補正量チェックカウンタを1カウント加算する
ステップ9 荒加工用補正量チェックカウンタをリセットする
ステップ10 ラム下降(加工)
ステップ11 左右テーブルのロックをゆるめる
ステップ12 前後テーブルを後退させる
ステップ13 END
【0017】
本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法により、予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置でラム又はテーブルに取り付けた前記1対の変位センサで個々のブローチ列毎に、テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させ、その後で個々のブローチ列毎に前後テーブルを前記メモリーに個別に記憶させた熱変位補正前進変位量まで前進させ、自動補正を行い、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うことにより、被加工物を要求通りに加工するために何度も加工途中での測定、補正値入力等の作業者による手入力を必要としない、機械の加工効率を上げ、予め設定した回数以降の被加工物を、自動的に、連続して、加工の全行程を要求精度にて自動加工行うサーフエスブローチ加工方法を提供するものとなった。
なお、本発明の実施例のサーフエスブローチ盤及びサーフエスブローチ加工方法はブローチ又は被加工物が上下方向に移動する、いわゆる縦型のものを例示したが、ブローチ又は被加工物が水平方向に移動する、いわゆる横型のサーフエスブローチ盤及びサーフエスブローチ加工方法にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態のサーフエスブローチ盤の概略正面斜視図。
【図2】前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面に固定した変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具に位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。
【図3】変位センサをラム側に取付けた場合の例を示し、コラム左右前面に固定した変位センサ及び前後テーブル左右前端に固定した1対の変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けた平面図で、荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具位置に左右テーブルがそれぞれ移動した位置を示す。
【図4】本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の前後テーブル位置数値制御の概略制御ブロック図。
【図5】本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の試作加工時の荒加工、中加工及び仕上げ加工位置の前後テーブルの熱変位基準データ格納フローチャートの前半部を示す。
【図6】図5に続く熱変位基準データ格納フローチャートの後半部を示す。
【図7】本発明の実施例のサーフエスブローチ加工方法の予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置で、前後テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させるフローチャートの前半部を示す。
【図8】図7に続くフローチャートの後半部を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 :コラム、2 :ラム、3a,3b,3c:ブローチ刃具、7 :前後テーブル、9 :左右テーブル10:回転テーブル、11a,11b :変位センサ、12a,12b :基準面、18:基台、20:機械本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体に固定されたコラム及び基台、コラムに往復動可能に支持されたラム及びラムに固定された1列乃至複数列のブローチ刃具、及び、基台上にそれぞれ、前後動可能に支持された前後テーブル、左右動可能に支持された左右テーブル及び回転動可能に支持された回転テーブルを順次積載したサーフエスブローチ盤において、前記前後テーブル左右前端又はコラム左右前面に固定した1対の変位センサ及びコラム左右前面又は前後テーブル左右前端に固定した前記変位センサが当たる1対の基準面をそれぞれ被加工物と同じ高さの位置に取付けたことを特徴とするサーフエスブローチ盤。
【請求項2】
ラムに荒加工、中加工及び仕上げ加工用を含む複数列のブローチ刃具を固定し、被加工物と同じ位置に取付けた試作ワークを所望精度に加工し、その加工終了位置でラム又はテーブルに取り付けた1対の変位センサで個々のブローチ列毎に、テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を加工基準前進変位量として前記メモリーに記憶させ、その後で被加工物を前記試作ワークと同じ位置に取付け、個々のブローチ列毎に前後テーブルを前記メモリーに個別に記憶させた加工基準前進変位量まで前進させ、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うことを特徴とするサーフエスブローチ加工方法。
【請求項3】
予め設定した回数だけ被加工物のブローチ加工を行った後、その加工終了位置でラム又はテーブルに取り付けた前記1対の変位センサで個々のブローチ列毎に、テーブルの左右の前進変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に記憶させ、次に前記左右の前進変位量を平均した前進変位量を熱変位補正基準前進変位量として前記メモリーに記憶させ、その後で個々のブローチ列毎に前後テーブルを前記メモリーに個別に記憶させた熱変位補正前進変位量まで前進させ、個々のブローチ列毎に被加工物のブローチ加工を行うことを特徴とする請求項2記載のサーフエスブローチ加工方法。
【請求項4】
請求項2記載の前記変位センサは、テーブル上の左右に被加工物とほぼ同じ高さで取付けられており、前進位置のデータをかかる変位センサにてブローチ刃具が複数列あっても、個々のブローチ列で、ラムとテーブルの左右変位量を個別に、計測し、その値を基準値として数値制御装置内のメモリーに個別に格納し、記憶させることを特徴とする請求項2記載のサーフエスブローチ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−78333(P2009−78333A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250441(P2007−250441)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】