説明

ショート検出回路及びショート/オープン検出回路並びにこれらの検出方法

【課題】電位給電部とLSI等の内部回路への給電路との短絡、開放の検出等を図る。
【解決手段】外部電源24の電位と大地電位とを抵抗素子28と抵抗素子30とで分圧した電位VR1をLSI22の内部回路へ給電路34を介して給電する。この電位VR1と第1の参照電位源18の電位(VR1+α)とを第1の差動電位比較回路12で比較する一方、電位VR1と第2の参照電位源20の電位(VR1−β)とを第2の差動電位比較回路14で比較する。比較回路12,14の比較出力に基づいて判定回路16が外部電源24又は大地電位のいずか一方が給電路34に短絡しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ショート検出回路及びショート/オープン検出回路並びにこれらの検出方法に関し、詳しくはLSI等の内部回路へ外部から電位を給電しているときに、その電位の給電源の電位が直接給電されている(上記内部回路と給電源とが短絡している)か否かの検出及び上記内部回路と給電源とのオープンの検出に有効なショート検出回路及びショート/オープン検出回路並びにこれらの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、そのインタフェースの高速化、高機能化等により、アナログ電位を必要とする用途が増加している。そのめ、その電位をLSI外部から印加する抵抗素子で印加するケースが多々存在する。
ボードにASSY(アッシー)する部品点数が増加することにより、その不良も増え、その検出方法が良品を作成するための課題となる。
従来のアッシー検査方法(以下、公知の方法という)は、アッシー単位(ボード基板)で電源供給可能なテスト用装置(治具)を作成し、直接被疑対象となる個所の電位を観測し、オープン/ショートの確認(ASSY不良)を行っていた。
【0003】
特許文献1には、接触燃焼式ガスセンサの断線・短絡検査回路が開示されている。この検査回路は、直列接続された基準素子及び検知素子の断線・短絡を検出する回路である。この断線・短絡を検出するために、基準素子及び検知素子のそれぞれの両端電圧を対応する電圧検出手段で検出する。この2つの電圧検出手段の電圧のうちの大きい方の電圧と小さい方の電圧とを各別のオア回路から出力する。それぞれのオア回路から出力される電圧を、各別の比較回路で、対応する上限基準電圧及び下限基準電圧と比較して基準素子及び検知素子の断線・短絡を検出する構成を採用している。
【特許文献1】特開平11−271256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した公知の方法は、アッシー単位とは別途にテスト用装置を作成し、その装置を用いてアッシー検査をしなければならないから、個別のテスト用装置の作成、そして検査作業が不可欠である。
また、特許文献1は、基準素子及び検知素子の断線、短絡の検出ができるとはいうものの、その検出には、基準素子及び検知素子各別の両端電圧の検出出力を必要不可欠の構成要件とするものであり、その他の断線、短絡の検出へ発展させるのには、なお、改良の余地が残されている。
【0005】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、LSI等の内部回路へ外部から電位の給電において、その電位の給電源の電位が直接給電されている(上記内部回路と上記給電源とが短絡している)か否かの検出及び上記内部回路と上記給電源との開放(オープン)の検出を達成し得るショート検出回路及びショート/オープン検出回路並びにこれらの検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと上記2つの電位源のいずれか一方との短絡を検出する回路に係り、上記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位を出力する第1の参照電位源と、上記電位出力の電位と上記第1の参照電位源の上記第1の参照電位とを比較する第1の比較回路と、上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位を出力する第2の参照電位源と、上記電位出力の電位と上記第2の参照電位源の上記第2の参照電位とを比較する第2の比較回路と、上記第1の比較回路及び上記第2の比較回路の比較出力に基づいて上記短絡の有無を判定する判定回路とを備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のショート検査回路に係り、上記第1の値と上記第2の値は、上記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のショート検査回路に係り、上記第1の値と上記第2の値とは同じ値であることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載のショート検出回路に係り、 上記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、上記第2の電位は大地電位であり、前記第1及び第2の参照電位源、第1及び第2の比較回路並びに判定回路は半導体集積回路に形成されることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の発明は、第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと上記2つの電位源のいずれか一方との短絡又は上記電位出力と上記給電ラインとの開放を検出する回路に係り、上記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位を出力する第1の参照電位源と、 上記電位出力の電位と上記第1の参照電位源の上記第1の参照電位とを比較する第1の比較回路と、上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位を出力する第2の参照電位源と、上記電位出力の電位と上記第2の参照電位源の上記第2の参照電位とを比較する第2の比較回路と、上記給電ラインに接続され、上記電位出力と上記給電ラインとが開放したときの上記給電ラインの電位を、上記電位出力の電位から所定の値だけ異なる電位へ変更させる電位変更回路と、上記電位出力と上記給電ラインとの開放時の上記給電ラインの電位と上記電位出力の電位との間に予め設定される第3の参照電位を出力する第3の参照電位源と、上記開放時の上記給電ラインの電位と上記第3の参照電位源の上記第3の参照電位とを比較する第3の比較回路と、上記第1の比較回路、上記第2の比較回路及び上記第3の比較回路の比較出力に基づいて上記短絡の有無又は上記給電ラインの開放の有無を判定する判定回路とを備えることを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のショート/オープン検出回路に係り、上記電位出力回路は、上記第1の電位源と上記第2の電位源との間に直列接続された第1の抵抗素子と第2の抵抗素子とからなり、上記第1の抵抗素子と上記第2の抵抗素子との接続点を上記電位出力とし、上記電位変更回路は、第3の参照電位源と、第4の参照電位源と、上記第3の参照電位源と上記給電ラインとの間に接続された第3の抵抗素子と、上記第4の参照電位源と上記給電ラインとの間に接続された第4の抵抗素子とからなり、上記第3の抵抗素子及び上記第4の抵抗素子の抵抗値は、上記開放が生じたとき上記給電ラインの電位を上記電位出力の電位よりも所定の値だけ異なる電位へ変更させるのに必要な値だけ上記第1の抵抗素子及び上記第2の抵抗素子の抵抗値より大きく選定されることを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のショート/オープン検出回路に係り、上記異なる電位は、上記電位出力の電位から上記所定の値だけ高い電位であることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項6記載のショート/オープン検出回路に係り、上記異なる電位は、上記電位出力の電位から上記所定の値だけ低い電位であることを特徴としている。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項5、6、7又は8記載のショート/オープン検査回路に係り、上記第1の値と上記第2の値は、上記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴としている。
【0015】
請求項10記載の発明は、請求項5乃至9のいずれか一に記載のショート/オープン検査回路に係り、上記第1の値と上記第2の値とは同じ値であることを特徴としている。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項5乃至10のいずれか一に記載のショート/オープン検出回路に係り、上記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、上記第2の電位は大地電位であり、前記第1及び第2の参照電位源、第1及び第2の比較回路並びに判定回路は半導体集積回路に形成されることを特徴としている。
【0017】
請求項12記載の発明は、第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと上記2つの電位源のいずれか一方との短絡を検出する方法に係り、上記電位出力の電位と前上記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位とを比較し、上記電位出力の電位と上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位とを比較し、上記2つの比較の結果に基づいて上記短絡の有無を判定することを特徴としている。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項12記載のショート検出方法に係り、上記第1の値と上記第2の値は、上記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴としている。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項12又は13記載のショート検出方法に係り、上記第1の値と上記第2の値とは同じ値であることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項12、13又は14記載のショート検出方法に係り、上記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、上記第2の電位は大地電位であることを特徴としている。
【0021】
請求項16記載の発明は、第1の電位と第2の電位との間の所定電位を出力する電位出力回路の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと上記2つの電位源のいずれか一方との短絡又は上記電位出力と上記給電ラインとの開放を検出する方法に係り、上記電位出力の電位と上記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位とを比較し、上記電位出力の電位と上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位とを比較し、上記電位出力と上記給電ラインとの開放時に上記電位出力の電位から所定の値だけ異なる電位へ変更される上記給電ラインの電位と上記電位出力の電位との間に予め設定される第3の参照電位と上記開放時の上記給電ラインの電位とを比較し、上記3つの比較の結果に基づいて上記短絡の有無又は上記開放の有無を判定することを特徴としている。
【0022】
請求項17記載の発明は、請求項16記載のショート/オープン検出回路に係り、上記異なる電位は、上記第1の参照電位と上記給電ラインとの間に接続された第3の抵抗素子及び上記第2の参照電位と上記給電ラインとの間に接続された第4の抵抗素子の抵抗値が、上記異なる電位へ変更させるのに必要な値だけ、上記第1の電位と上記第2の電位との間に直列接続されて上記電位出力回路を構成する第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の抵抗値より大きく選定されて設定されることを特徴としている。
【0023】
請求項18記載の発明は、請求項16又は17記載のショート/オープン検出方法に係り、上記異なる電位は、上記電位出力の電位より高い電位であることを特徴としている。
【0024】
請求項19記載の発明は、請求項16又は17記載のショート/オープン検出方法に係り、上記異なる電位は、上記電位出力の電位より低い電位であることを特徴としている。
【0025】
請求項20記載の発明は、請求項16、17、18又は19記載のショート/オープン検査方法に係り、上記第1の値と上記第2の値は、上記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴としている。
【0026】
請求項21記載の発明は、請求項16乃至20のいずれか一に記載のショート/オープン検査方法に係り、上記第1の値と上記第2の値とは同じ値であることを特徴としている。
【0027】
請求項22記載の発明は、請求項16乃至21のいずれか一に記載のショート/オープン検出方法に係り、上記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、上記第2の電位は大地電位であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位と上記電位出力の電位とを比較し、上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位と上記電位出力の電位とを比較することにより、上記給電ラインと上記2つの電位源のいずれか一方との短絡(ショート)を検出することができる。
また、上記2つの比較に加えて、前記電位出力と前記給電ラインとの開放時の前記給電ラインの電位と前記電位出力の電位との中間に予め設定される第3の参照電位と、前記開放時の前記給電ラインの電位との比較を考慮することにより、前記電位出力と前記給電ラインとの開放(オープン)を検出することができる。
上記両検出に、従来のような専用の装置の作成の必要性もないし、検出作業も必要で無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明は、第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位と上記電位出力の電位との比較と、上記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位と上記電位出力の電位との比較とを利用して構成される。
また、これらの両比較に、前記電位出力と前記給電ラインとの開放時の前記給電ラインの電位と前記電位出力の電位との中間に予め設定される第3の参照電位と、前記開放時の前記給電ラインの電位との比較を組み込んで構成される。
【実施例1】
【0030】
図1は、この発明の実施例1であるショート検出回路の電気的構成を示す図、また、図2は、同ショート検出回路の真理値表である。
この実施例のショート検出回路10は、外部電源と大地電位との間に接続された分圧用抵抗素子の分圧出力が外部電源の電圧へ振れている(分圧出力と外部電源とが短絡している)か又は大地電位へ振れている(分圧出力と大地電位とが短絡している)かを検出し得る回路に係り、図1に示すように、第1の差動電位比較回路12と、第2の差動電位比較回路14と、判定回路16と、第1の参照電位源18と、第2の参照電位源20とからなり、これらの回路は、LSI22内に構成される。
第1の差動電位比較回路12及び第2の差動電位比較回路14の反転入力は、LSI22の外部接続端子22Pを介して外部電源24と大地電位26との間に直列に接続された抵抗素子28及び抵抗素子30との接続点32に接続されている。この接続点32が外部接続端子22Pを介してLSI22内の給電路34に接続されている。
【0031】
第1の差動電位比較回路12の非反転入力には、第1の参照電位源18が接続され、第2の差動電位比較回路14の非反転入力には、第2の参照電位源20が接続される。第1の参照電位源18は、接続点32に現れる電位(VR1)よりαなる値だけ高い第1の参照電位(VR1+α)を出力し、第2の参照電位源20は、電位(VR1)よりβなる値だけ低い第2の参照電位(VR1−β)を出力する。
上述のα及びβの値は、上記接続点32からLSI内の回路へ供給される電位(VR1)の精度、該電位の範囲によって決定される。
判定回路16は、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aと第2の差動電位比較回路14の比較結果Bとに基づいて接続点32の電位が正常な値にあるか(図3の判定正常)、外部電源24の電位となっているか(図3のVDDショート)、或るいは大地電位となっているか(図3のGNDショート)の判定を行う回路である。
【0032】
次に、図1及び図2を参照して、この実施例の動作を説明する。
外部電源24の電位と大地電位とが抵抗素子28と抵抗素子30とによって分圧された電位VR1は、給電電位VRinとして、外部接続端子22Pを介してLSI22の内部回路へ給電路34を介して給電される。
この電位VR1が正常な電位範囲、すなわち、(VR1+α)未満で、かつ、(VR1−β)超える範囲にあるならば、第1の差動電位比較回路12の出力レベルは低レベルLとなる(図2のAがL)一方、第2の差動電位比較回路14の出力レベルは高レベルHとなり(図2のBがH)、これらの出力レベルを受け取る判定回路16は、電位VR1が正常である旨の判定を出力する(図2の判定が正常)。
【0033】
上記電位VR1が(VR1+α)を超えると、第1の差動電位比較回路12の出力レベルも、また、第2の差動電位比較回路14の出力レベルも高レベルHとなり(図2のA及びBがH)、これらの出力レベルを受け取る判定回路16は、VDDショート、すなわち、電源電圧がそのまま給電されている旨の判定を出力する(図2の判定がVDDショート)。
上記電位VR1が(VR1−β)未満になると、第1の差動電位比較回路12の出力レベルも、また、第2の差動電位比較回路14の出力レベルも低レベルLとなり(図2のA及びBがL)、これらの出力レベルを受け取る判定回路16は、GNDショート、すなわち、大地電位がそのまま給電されている旨の判定を出力する(図2の判定がGNDショート)。
【0034】
このように、この実施例の構成によれば、LSI等内に、被給電部(LSIの内部回路)へ給電される給電電位のみと第1の参照電位及び第2の参照電位とを用いることにより、外部電源又は大地電位と上記給電路との短絡(ショート)の発生の有無を判定することができる。この判定に要する回路の構成要素の削減を達成することができる。
このショート検査回路はLSI等内に構成されているから、LSI等を構成するASSY(アッシー)の不良検出に、ASSY単位で電源供給可能なテスト用装置を作製し、直接被疑対象となる個所の電位を観測してショートの確認を行う必要がなくなり、その作業コストも必要でなくなる。
【実施例2】
【0035】
図3は、この発明の実施例2であるショート/オープン検査回路を示す図、また、図4は、同ショート/オープン検査回路の真理値表である。
この実施例の構成が、実施例1のそれと大きく異なる点は、外部電源又は大地電位と給電路とのショートに加えて、LSIへの給電電位出力部とLSIの外部接続端子(給電路)との開放(オープン)を判定し得るようにした点である。
すなわち、この実施例のショート/オープン検査回路10Aの特徴部分は、図3に示すように、実施例1の構成要素に加えて、抵抗素子44と、抵抗素子48と、第3の参照電位源50と、第3の参照電位源50を非反転入力に接続し、かつ、給電路34を反転入力に接続した第3の差動電位比較回路52とを設けて構成されている。抵抗素子44と抵抗素子48とは、外部電源42と大地電位46との間に直列接続され、その接続点54は、給電路34に接続されている。外部電源42の電位は、外部電源24の電位と同じであっても異なってもよい。
【0036】
抵抗素子44及び抵抗素子48の抵抗値は、抵抗素子28及び抵抗素子30の抵抗値より非常に大きな値、例えば、抵抗素子28及び抵抗素子30の抵抗値の百倍乃至千倍の値(例えば、数百Ω)で、LSI22の内部回路への給電(印加)がないときには、接続点54の電位VR2がVDDとVR1(給電電位)との間の電位に為らしめる値に予め選ばれる。
このような選定を為した上記特徴部分の回路部が電位変更回路を構成する。
また、第3の参照電位源50の参照電位は、VR2とVR1との間の電位に予め設定する。
この構成以外のこの実施例の構成は、実施例1と同じであるので、同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その逐一の説明は省略する。
【0037】
次に、図3及び図4を参照して、この実施例の動作について説明する。
この実施例におけるVDDショート及びGNDショートの判定は、実施例1のそれとほぼ同じである。すなわち、その判定には、第1の差動電位比較回路12の比較結果A及び第2の差動電位比較回路14の比較結果Bに加えて、第3の差動電位比較回路52の比較結果Cを用いる。
【0038】
したがって、この実施例の判定においても、実施例1と同様、接続点32及び接続点54の電位VR1、VR2が正常にあるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aは低レベルLとなる一方、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bは高レベルHとなるし、また、電位VR1、VR2がVDDになるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aも、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bも高レベルHとなるし、また、電位VR1、VR2が大地電位になるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aも、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bも低レベルLとなるが、第3の差動電位比較回路52の比較結果Cは、電位VR1、VR2が正常のとき低レベルLに、VDDショートのとき高レベルHに、そしてGNDショートのとき低レベルLになる。
【0039】
そして、LSI22の内部回路への給電が停止した状態、すなわち、該外部接続端子がオープンになるときには、第1の差動電位比較回路12からの比較結果Aが低レベルLにあるが、第2の差動電位比較回路14からの比較結果Bも、また、第3の差動電位比較回路52からの比較結果Cも、共に、高レベルになるので、判定回路16Aは、上述のオープンが発生していることの判定を出力することが可能になる。
【0040】
このように、この実施例の構成によれば、上述の特徴部分から出力される比較結果を実施例1の構成の中に組み入れることにより、給電の正常性、VDDショート及び大地電位ショートのほかに、外部接続端子のオープンの発生の有無を検出することが可能になる。
また、実施例1と同様に、LSI等を構成するASSY(アッシー)の不良検出に、ASSY単位で電源供給可能なテスト用装置を作製し、直接被疑対象となる個所の電位を観測してショート/オープンの確認を行う必要がなくなり、その作業コストも必要でなくなる。
【実施例3】
【0041】
図5は、この発明の実施例3であるショート/オープン検査回路を示す図、また、図6は、同ショート/オープン検査回路の真理値表である。
この実施例の構成が、実施例2のそれと大きく異なる点は、LSIへの給電電位出力部とLSIの外部接続端子(給電路)とのオープン判定を行う電位変更回路の構成を変更するようにした点である。
すなわち、この実施例のショート/オープン検査回路10Bの特徴部分は、図5に示すように、実施例2の構成要素のうちの、抵抗素子44と、抵抗素子48と、第3の参照電位源50と、差動電位比較回路52に後述するような変更を加えて、抵抗素子44Bと、抵抗素子48Bと、第3の参照電位源50Bと、差動電位比較回路52Bとして構成される。また、この変更に伴って、実施例2の判定回路16Aは、接続点32と接続点54との電位VR1、VR2が正常のとき、電位VR1、VR2がVDDになるとき、電位VR1、VR2が大地電位になるとき、そして外部接続端子がオープンになるときに各差動電位比較回路12、14、52Bから出力される比較結果に応じて対応する判定を行い得るように変更される。
【0042】
抵抗素子44B及び抵抗素子48Bの抵抗値は、抵抗素子28及び抵抗素子30の抵抗値より非常に大きな値、例えば、抵抗素子28及び抵抗素子30の抵抗値の百倍乃至千倍の値(例えば、数百Ω)で、LSI22の内部回路への給電(印加)がないときには、接続点54の電位VR2が大地電位GNDとVR1(給電電位)との間の電位に為らしめる値に予め選ばれる。
このような選定を為した上記特徴部分の回路部が電位変更回路を構成する。
これに伴って、第3の参照電位源50Bの参照電位は、実施例2から変更後のVR2とVR1との間の電位に予め設定する。
この構成以外のこの実施例の構成は、実施例2と同じであるので、同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その逐一の説明は省略する。
【0043】
次に、図5及び図6を参照して、この実施例の動作について説明する。
この実施例におけるVDDショート及びGNDショートの判定における第1の差動電位比較回路12で得られる比較結果A及び第2の差動電位比較回路14で得られる比較結果Bは、実施例2のそれと同じである。この実施例でのVDDショート及びGNDショートの判定は、第1の差動電位比較回路12の比較結果A及び第2の差動電位比較回路14の比較結果Bに加えて、第3の差動電位比較回路52Bの比較結果Dを用いる(図6)。
【0044】
したがって、この実施例の判定においても、実施例2と同様、接続点32及び接続点54の電位VR1、VR2が正常にあるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aは低レベルLとなる一方、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bは高レベルHとなるし、また、電位VR1、VR2がVDDになるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aも、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bも高レベルHとなるし、また、電位VR1、VR2が大地電位になるときには、第1の差動電位比較回路12の比較結果Aも、第2の差動電位比較回路14の比較結果Bも低レベルLとなるが、第3の差動電位比較回路52Bの比較結果Dは、電位VR1、VR2が正常のとき高レベルHに、VDDショートのとき高レベルHに、そしてGNDショートのとき低レベルLになる。
【0045】
そして、LSI22の内部回路への給電が停止した状態、すなわち、該外部接続端子がオープンになるときには、実施例2と同様に、第1の差動電位比較回路12からの比較結果Aが低レベルLにあり、第2の差動電位比較回路14からの比較結果Bは高レベルHにあるが、第3の差動電位比較回路52Bからの比較結果Dは、低レベルLになるので、判定回路16Bは、上述のオープンに発生していることの判定を出力することが可能になる。
【0046】
このように、この実施例の構成によれば、上述の特徴部分での比較態様の変更と判定回路での判定の変更とにより、給電の正常性、VDDショート及び大地電位ショートのほかに、外部接続端子のオープンの発生の有無を検出することが可能になる。
また、実施例2と同様に、LSI等を構成するASSY(アッシー)の不良検出に、ASSY単位で電源供給可能なテスト用装置を作製し、直接被疑対象となる個所の電位を観測してショート/オープンの確認を行う必要がなくなり、その作業コストも必要でなくなる。
【0047】
以上、この発明の実施例を、図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。
例えば、外部電源、大地電位をその他の電位源で構成してもよい。
また、上述のα及びβの値は、同一であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ここに開示しているショート検出回路及びショート/オープン検出回路並びにこれらの検出方法は、被給電部が外部電源等から必要な電位の給電を受ける任意の回路構成の中でも利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の実施例1であるショート検出回路の電気的構成を示す図である。
【図2】同ショート検出回路の真理値表である。
【図3】この発明の実施例2であるショート/オープン検出回路の電気的構成を示す図である。
【図4】同ショート/オープン検出回路の真理値表である。
【図5】この発明の実施例3であるショート/オープン検出回路の電気的構成を示す図である。
【図6】同ショート/オープン検出回路の真理値表である。
【符号の説明】
【0050】
10 ショート検出回路
10A、10B ショート/オープン検出回路
12 第1の差動電位比較回路(第1の比較回路)
14 第2の差動電位比較回路(第2の比較回路)
16、16A、16B 判定回路
18 第1の参照電位源
20 第2の参照電位源
24 外部電源(第1の電位源)
26 大地電位(第2の電位源)
28 抵抗素子(電位出力回路の一部)
30 抵抗素子(電位出力回路の残部)
42 外部電源(電位変更回路の一部)
46 大地電位(電位変更回路の一部)
44、44B 抵抗素子(電位変更回路の一部)
48、48B 抵抗素子(電位変更回路の残部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと前記2つの電位源のいずれか一方との短絡を検出する回路であって、
前記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位を出力する第1の参照電位源と、
前記電位出力の電位と前記第1の参照電位源の前記第1の参照電位とを比較する第1の比較回路と、
前記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位を出力する第2の参照電位源と、
前記電位出力の電位と前記第2の参照電位源の前記第2の参照電位とを比較する第2の比較回路と、
前記第1の比較回路及び前記第2の比較回路の比較出力に基づいて前記短絡の有無を判定する判定回路とを備えることを特徴とするショート検出回路。
【請求項2】
前記第1の値と前記第2の値は、前記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴とする請求項1記載のショート検査回路。
【請求項3】
前記第1の値と前記第2の値とは同じ値であることを特徴とする請求項1又は2記載のショート検査回路。
【請求項4】
前記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、前記第2の電位は大地電位であり、前記第1及び第2の参照電位源、第1及び第2の比較回路並びに判定回路は半導体集積回路に形成されることを特徴とする請求項1、2又は3記載のショート検出回路。
【請求項5】
第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の単一の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと前記2つの電位源のいずれか一方との短絡又は前記電位出力と前記給電ラインとの開放を検出する回路であって、
前記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位を出力する第1の参照電位源と、
前記電位出力の電位と前記第1の参照電位源の前記第1の参照電位とを比較する第1の比較回路と、
前記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位を出力する第2の参照電位源と、
前記電位出力の電位と前記第2の参照電位源の前記第2の参照電位とを比較する第2の比較回路と、
前記給電ラインに接続され、前記電位出力と前記給電ラインとが開放したときの前記給電ラインの電位を、前記電位出力の電位から所定の値だけ異なる電位へ変更させる電位変更回路と、
前記電位出力と前記給電ラインとの開放時の前記給電ラインの電位と前記電位出力の電位との間に予め設定される第3の参照電位を出力する第3の参照電位源と、
前記開放時の前記給電ラインの電位と前記第3の参照電位源の前記第3の参照電位とを比較する第3の比較回路と、
前記第1の比較回路、前記第2の比較回路及び前記第3の比較回路の比較出力に基づいて前記短絡の有無又は前記給電ラインの開放の有無を判定する判定回路とを備えることを特徴とするショート/オープン検出回路。
【請求項6】
前記電位出力回路は、前記第1の電位源と前記第2の電位源との間に直列接続された第1の抵抗素子と第2の抵抗素子とからなり、前記第1の抵抗素子と前記第2の抵抗素子との接続点を前記電位出力とし、
前記電位変更回路は、第3の参照電位源と、第4の参照電位源と、前記第3の参照電位源と前記給電ラインとの間に接続された第3の抵抗素子と、前記第4の参照電位源と前記給電ラインとの間に接続された第4の抵抗素子とからなり、前記第3の抵抗素子及び前記第4の抵抗素子の抵抗値は、前記開放が生じたとき前記給電ラインの電位を前記電位出力の電位よりも所定の値だけ異なる電位へ変更させるのに必要な値だけ前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の抵抗値より大きく選定されることを特徴とする請求項5記載のショート/オープン検出回路。
【請求項7】
前記異なる電位は、前記電位出力の電位から前記所定の値だけ高い電位であることを特徴とする請求項6記載のショート/オープン検出回路。
【請求項8】
前記異なる電位は、前記電位出力の電位から前記所定の値だけ低い電位であることを特徴とする請求項6記載のショート/オープン検出回路。
【請求項9】
前記第1の値と前記第2の値は、前記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴とする請求項5、6、7又は8記載のショート/オープン検査回路。
【請求項10】
前記第1の値と前記第2の値とは同じ値であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一に記載のショート/オープン検査回路。
【請求項11】
前記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、前記第2の電位は大地電位であり、前記第1及び第2の参照電位源、第1及び第2の比較回路並びに判定回路は半導体集積回路に形成されることを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一に記載のショート/オープン検出回路。
【請求項12】
第1の電位源の電位と第2の電位源の電位との中間の所定電位を出力する電位出力回路の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと前記2つの電位源のいずれか一方との短絡を検出する方法であって、
前記電位出力の電位と前前記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位とを比較し、
前記電位出力の電位と前記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位とを比較し、
前記2つの比較の結果に基づいて前記短絡の有無を判定することを特徴とするショート検出方法。
【請求項13】
前記第1の値と前記第2の値は、前記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴とする請求項12記載のショート検出方法。
【請求項14】
前記第1の値と前記第2の値とは同じ値であることを特徴とする請求項12又は13記載のショート検出方法。
【請求項15】
前記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、前記第2の電位は大地電位であることを特徴とする請求項12、13又は14記載のショート検出方法。
【請求項16】
第1の電位と第2の電位との間の所定電位を出力する電位出力回路の電位出力に接続された給電ラインを介して該給電ラインと前記2つの電位源のいずれか一方との短絡又は前記電位出力と前記給電ラインとの開放を検出する方法であって、
前記電位出力の電位と前記電位出力の電位より予め設定される第1の値だけ高い第1の参照電位とを比較し、
前記電位出力の電位と前記電位出力の電位より予め設定される第2の値だけ低い第2の参照電位とを比較し、
前記電位出力と前記給電ラインとの開放時に前記電位出力の電位から所定の値だけ異なる電位へ変更される前記給電ラインの電位と前記電位出力の電位との間に予め設定される第3の参照電位と前記開放時の前記給電ラインの電位とを比較し、
前記3つの比較の結果に基づいて前記短絡の有無又は前記開放の有無を判定することを特徴とするショート/オープン検出方法。
【請求項17】
前記異なる電位は、前記第1の参照電位と前記給電ラインとの間に接続された第3の抵抗素子及び前記第2の参照電位と前記給電ラインとの間に接続された第4の抵抗素子の抵抗値が、前記異なる電位へ変更させるのに必要な値だけ、前記第1の電位と前記第2の電位との間に直列接続されて前記電位出力回路を構成する第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の抵抗値より大きく選定されて設定されることを特徴とする請求項16記載のショート/オープン検出回路。
【請求項18】
前記異なる電位は、前記電位出力の電位より高い電位であることを特徴とする請求項16又は17記載のショート/オープン検出方法。
【請求項19】
前記異なる電位は、前記電位出力の電位より低い電位であることを特徴とする請求項16又は17記載のショート/オープン検出方法。
【請求項20】
前記第1の値と前記第2の値は、前記電位出力の電位の精度、当該電位の範囲によって決定されることを特徴とする請求項16、17、18又は19記載のショート/オープン検査方法。
【請求項21】
前記第1の値と前記第2の値とは同じ値であることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか一に記載のショート/オープン検査方法。
【請求項22】
前記第1の電位は、外部電位源から給電される電位であり、前記第2の電位は大地電位であることを特徴とする請求項16乃至21のいずれか一に記載のショート/オープン検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−249642(P2008−249642A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94297(P2007−94297)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】