ジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱
【課題】支柱を容易に立設でき、また横棒部材を簡易な方法で支柱間に差し渡して保持できるようにして、支持具の設置が容易となるジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱を提供すること。
【解決手段】ジョイント部材は、下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えるようにした。
【解決手段】ジョイント部材は、下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸用支柱に用いることのできるジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インゲンマメやエンドウマメなどの豆類や、キュウリ、ニガウリなどの蔓性植物を栽培する際に、当該植物が地表から上方へ成長するのを支持するための支持具が用いられている。
【0003】
このような支持具としては、例えば下記特許文献1および2に開示されているように、2本の支柱を上端部近傍で交差するようにして配置するとともに当該交差部分を連結具を用いて連結した一対の支柱として立設するようにしたものがある。これは、この一対の支柱を複数適宜間隔を空けて立設し、前記交差部分に横棒部材を載置するようにして当該複数の支柱間に横棒部材を差し渡し、これによって上述の植物の支持具として用いるものである。このようにすれば、支持具が転倒しにくくなり、また長い畝に沿って連続して支持具を設置することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報第3060150号公報
【特許文献2】特開2004−33075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の支持具においては、上記2本の支柱を交差させて当該交差部分を連結するのに、紐や金属製の線材、プラスチック成型品等で形成した連結具を用い、当該支柱を設置する作業の際に一つ一つ支柱同士を連結し、また交差する2本の支柱のなす角度を手で調節しながら地面に立設する必要があった。それゆえ、支柱の設置作業は非常に面倒であり、多くの時間を要するものとなっていた。
【0006】
また、この従来の支持具は、上述のとおり、一対の支柱を複数適宜間隔を空けて立設し、前記交差部分に横棒部材を載置するようにして当該複数の支柱間に横棒部材を差し渡して用いるものであるが、これを長い畝に沿って連続して設置する場合、一つの上記交差部分上に隣接する2本の横棒部材が載置されることとなる。そうすると、横棒部材の載置状態が安定しないので、2つの横棒部材を紐などで括り、さらにその横棒部材を同じく紐などで支柱に括り付けるなどする必要が生じ、支持具の設置作業が煩雑となっていた。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであって、支柱を容易に立設でき、また横棒部材を簡易な方法で支柱間に差し渡して保持できるようにして、支持具の設置が容易となるジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るジョイント部材は、下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るジョイント部材によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して農園芸用支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。
【0010】
さらに、本発明に係るジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0011】
また、本発明に係るジョイント部材において、接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されているようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、このジョイント部材を利用した支柱を地面に立設する際に、2本の棒状体のなす角度を微妙に調節することなく、簡単に立設することができ、かつ多数の支柱を立設したときに、それぞれの支柱の開き角度が統一された状態となる。
【0013】
また、本発明に係る農園芸用支柱は、下方に開口し、棒状体を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたジョイント部材と、前記各ジョイント片の嵌入孔にその上端を嵌入した棒状体とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る農園芸用支柱によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。
【0015】
さらに、本発明に係る農園芸用支柱におけるジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0016】
また、本発明に係る農園芸用支柱において、接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されているようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、支柱を地面に立設する際に、2本の棒状体のなす角度を微妙に調節することなく簡単に立設することができ、かつ多数の支柱を立設したときに、それぞれの支柱の開き角度が統一された状態となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明に係るジョイント部材によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して農園芸用支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。さらに、本発明に係るジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0019】
また、本発明に係る農園芸用支柱によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。さらに、本発明に係る農園芸用支柱におけるジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るジョイント部材、およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱の一実施形態を示すものであり、その使用状態図である。
【図2】図1においてPで示された部分の拡大図である。
【図3】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を閉じた状態)の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を閉じた状態)の一実施形態を示す正面図である。
【図5】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を開いた状態)の一実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す背面図である。
【図8】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す右側面図である。
【図9】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す平面図である。
【図10】図7に示すジョイント片の矢印Q方向から見た嵌入孔の入口近辺の形状を示す図である。
【図11】図8に示すジョイント片のX−X線における断面図である。
【図12】図11の断面図において、キャップ部の嵌入孔に棒状体を嵌入した状態を示す図である。
【図13】図6に示すジョイント片のY−Y線における断面図である。
【図14】図7に示すジョイント片のZ−Z線における断面図である。
【図15】2つのジョイント片を接続する様子を示す説明図(正面図)である。
【図16】2つのジョイント片を接続する動作を示す説明図(平面図)である。
【図17】図5のW−W線における断面図である。
【図18】本発明に係る農園芸用支柱における棒状体の一実施形態を示す(a)正面図、および(b)底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るジョイント部材、及びこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱の一実施形態を示す使用状態図である。
【0022】
図1に示されるように、この実施形態における農園芸用支柱1は、複数の農園芸用支柱1を適宜間隔を空けて畝Gに立設し、これら農園芸用支柱1の上端間に横棒部材7を差し渡して支柱枠体を形成するようにしている。さらに、この支柱枠体にネットNを掛けて植物支持具Fを形成し、畝Gに植えた植物SがこのネットNを這うように生長するようになされている。すなわち、植物Sの蔓などがネットNや支柱1に巻き付くことにより植物Sが支持され、これにより植物SがネットNに沿って這うように上方へ生長するのを助けるものである。
【0023】
農園芸用支柱1は、2本の棒状体2とジョイント部材3とからなる。2本の棒状体2は、ジョイント3を介して接続され、かつ接続された2本の棒状体2が所定の角度をなすように開いて畝Gに立設することができるものとされている。
【0024】
図2は、図1においてPで示される部分を拡大した図である。また、図3は、図1及び図2に示す実施形態の農園芸用支柱ジョイント部材3において、横棒部材7を取り外し、棒状体2、2を閉じた状態を示す図である。
【0025】
ジョイント部材3は、図6〜図10に示すジョイント片4を二つ組み合わせて形成されるものであり、それぞれに、棒状体2の上端を嵌入することが可能な嵌入孔411を有するキャップ部41と、横棒部材7を保持するための保持部42と、二つのジョイント片4を互いに回動可能に接続するための接続部43とを備えている。これによって、図4及び図5に示すように、接続部43の回動軸435を中心として回動させることにより、農園芸用支柱1の開閉を行うことができるようになっている(図4が「閉」の状態であり、図5が「開」の状態である)。
【0026】
棒状体2は、図18に示すように、棒状体2は鋼管の表面を合成樹脂材料で被覆して形成した円筒形状の棒状部材21からなり、その上端部近傍に、その周面を周回する環状の突条22が形成されている。また、棒状体2の周面には、上下方向に間隔を置いて多数の突起23が形成されている。この突起23が形成されていることで、植物の蔓がしっかり巻き付いて滑り落ちないし、棒状体2にネットNをクリップ等(図示せず)で固定する際に、クリップが滑り落ちない。尚、上下方向に間隔を置いて形成されるこの突起の列は、図18に示すように、90度の間隔で4列形成されている。さらに、棒状体2の下端部は、地中への埋め込みが容易なように、先細りのテーパー形状(円すい形状)となされている。
【0027】
尚、上記鋼管に替えて、アルミニウム合金やステンレス鋼等の他の金属、あるいは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ABS、AAS、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、FRP等の合成樹脂からなる管状体を用いてもよい。また、上記鋼管の表面を被覆する合成樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンの重合体を用いてもよく、エチレンにα−オレフィンを共重合させたもの、或いはエチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、更にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂を用いることができ、或いはこれらの樹脂を適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0028】
ジョイント部材3は、上述のとおり、二つのジョイント片4を組み合わせてなるものである。この二つのジョイント片4は、同一形状のものであり、図6〜図10に示すように、棒状体2の上端を嵌入することが可能な嵌入孔411を有するキャップ部41と、横棒部材7を保持するための保持部42と、二つのジョイント片4を互いに回動可能に接続するための接続部43とを備えている。ジョイント片4は、合成樹脂材料により一体的に形成されたものであり、当該材料としては、AAS樹脂、AES樹脂、ポリカーボネート、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミド等を単独で用いてもよく、或いはこれらを適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。キャップ部41は、図10〜図12に示されるように、下方に開口する略円柱状の嵌入孔411を有し、この嵌入孔411に棒状体2の上端部が嵌入される。
【0029】
尚、この嵌入孔411の内壁面には、棒状体2を嵌入したときに棒状体2の環状の突条22を係止するための係止手段45として、環状の突条22を嵌めこむことのできる抜け止め穴451が周方向に形成されている(図10〜図12参照)。この実施形態においては、4箇所の接続柱413部分を除き、抜け止め穴451は、キャップ部41の嵌入孔411の内壁から、外周面まで貫通した貫通穴となされている。
【0030】
また、同じく嵌入孔411の内壁面には、棒状体2を嵌入したときに棒状体2の環状の突条22を係止するための係止手段45として、多数の抜け止め突起452が形成されている。抜け止め突起452は、嵌入孔411の内壁面からその径方向(内側方向)へ伸びるように突設され、かつ下方から上方へ向かうにつれてその高さが高くなるように形成されており、その上端面452aは平坦となされ、抜け止め穴451につながる。これによって、抜け止め突起452の側断面形状は嵌入孔411の内壁面から三角形状に突き出た形状となされている。そして、この抜け止め突起452の最も高い点を結んで描く円の径が嵌入孔411の内径の最小値となる。
【0031】
上記抜け止め突起452の「高さ」とは、キャップ部41の嵌入孔411の内周面から径方向への長さ寸法を指しており、当該高さが最大となる抜け止め突起452の上端部分において、嵌入孔411の内径が最小となっている。この実施形態において示されるように、支柱部材2の環状の突条22部分における支柱部材2の最大外径は、キャップ部41の嵌入孔411の最小内径よりも大きくなるようになされ、かつキャップ部41の嵌入孔内に圧入可能なものとなされているのが好ましい。
【0032】
すなわち、この嵌入孔411の最小内径は、棒状体2の突条22部分における最大外径よりも小さい寸法となされている。また、ジョイント片4は合成樹脂材料で形成されており、棒状体2をキャップ部41の嵌入孔411に圧入すると、抜け止め突起452は、棒状体2の環状突条22に押されて嵌入孔の径方向(外側方向)へ弾性的に後退する。そして、棒状体2を圧入し終えて環状の突条22が抜け止め穴451に嵌めこまれると、抜け止め突起452は、元の状態に戻ろうとして棒状体2の側周面を押圧し、これによりキャップ部41が棒状体2の上端部に安定的に取り付けられる。図12に示すように、キャップ部41を棒状体2の上端部に嵌着した状態においては、棒状体2の環状の突条22が、キャップ部41の抜け止め穴451に嵌め込まれるとともに、環状の突条22の下部が抜け止め突起452の上端に載置されて係止されるようになされており、これによってキャップ部41が棒状体2の上端部に安定的に取り付けられるようになっている。
【0033】
また、この実施形態においては、キャップ部41の接続柱413部分の嵌入孔411内側面に、図10、図11及び図13に示す通り、上下方向に延びる凹溝416が形成されている。この凹溝416は、当該凹溝416に棒状体2の長さ方向に4列形成された多数の突起23を挿入可能となっており、かつ突起23の先端部が凹溝416の底部に接触する寸法とされている。すなわち、凹溝416の底部を通る嵌入孔411の内径寸法と、突起23の先端部を通る棒状体2の外径は略同一の寸法となされており、これによって、キャップ部41を棒状体2の上端部に取り付けた際の取り付け状態が安定する。
【0034】
尚、このキャップ部41の構成や、ジョイント片4の棒状体2への取り付け方法については、上記の形態に限られない。例えば、従来から用いられている高周波溶着や、超音波溶着、或いは回転溶着などの方法により溶着するようにしてもよいし、また接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
【0035】
さらに、このキャップ部41の下端部近傍には、ネットNを掛けて係止するための掛部417がキャップ部41と一体的に形成されている。この掛部417は、先端が上方へ延びるL字型形状の突起であり、かつその先端部には、キャップ部41の外周面方向へ突出する突部417aが形成されている。この掛部417にネットNの線材を引っ掛けることにより、支柱1に容易にネットNを掛けることが可能となる。
【0036】
接続部43は、図6〜図9に示すように、キャップ部41の上端部近傍に一体的に形成され、それぞれ板状に突出する第一接続片431と、第二接続片432とからなる。第一接続片431には、第二接続片432と対向する面と反対側の面に、接続片から垂直方向に突出する円筒形状の接続軸431aが形成されている。また、第二接続片432には、第一接続片431の接続軸431aを嵌挿可能な円柱形状の接続軸穴432aが形成されている。
【0037】
このような接続部43を備えたジョイント片4を二つ、それぞれの接続部43が互いに対向するようにし、図15及び図16に示すような手順で接続する。すなわち、図15のように、二つのジョイント片4を近接させ接続するのであるが、より詳しくは、図16に示すように、先ずは矢印Hに示す方向に二つのジョイント片4を接近させ、さらに矢印Iの方向へ二つのジョイント片4を近づけて一方のジョイント片4の接続軸431aが他方のジョイント片4の接続軸穴432aに嵌挿されるようにする。
【0038】
尚、第一接続片431の先端部には、図9及び図14等に示されるような平面視三角形状の嵌入片431bが一体的に形成され、一方、第二接続片432の基端部近傍には、接続される他のジョイント片4の嵌入片431aを嵌入可能な嵌入溝432bが一体的に形成されている。これにより、二つのジョイント片4を接続した際に、一方のジョイント片4の嵌入片431bが、他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入された状態となる(図17の断面図参照)。
【0039】
また、接続軸431aは、図9に示すように、その一部が切り欠かれて切欠面431cが形成されている。これにより、図15に示すように二つのジョイント片4を接続する際、矢印Hの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入できるようになされている。
【0040】
さらに、矢印Hの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入した状態で、更に矢印Iの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の接続軸431aを他方のジョイント片4の接続軸穴432aに圧入すると、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bの側壁432kに当接、係合する。また同時に、一方のジョイント片4の接続軸431aの外周面における、第一接続片431の最も基端部側の側片部431dが、他方のジョイント片4の接続軸穴432aの内周壁面に当接する(図17の断面図参照)ので、一旦接続された二つのジョイント片4の接続は容易には解除されず、このように二つのジョイント片4は接続され、その回動軸435を中心として互いに回動自在となされている。
【0041】
また、ジョイント片4には、ストッパー部47が形成されている。この実施形態におけるストッパー部47は、ジョイント片4に一体的に板状に形成されている。このストッパー部4は、ジョイント部材3を所定角度に開くと(図5)、それぞれのストッパー部4の当接面471が互いに当接することによって、それ以上ジョイント部材3が開かないようになされている。
【0042】
さらに、ジョイント片4は、それぞれその上端に保持部42を備えている。図1に示すとおり、この保持部42は、横棒部材7を保持させることにより、複数の農園芸用支柱1の上端間に横棒部材7を差し渡すように保持できるようにするものである。
【0043】
この実施形態における保持部42は、互いに対向して円弧状に延びる保持片421からなる。すなわち、両保持片421は、円弧状を描き、上方に向かうにつれ一旦は互いに遠ざかる方向へ延び、凡そ中間部あたりからは逆に互いに近づく方向へ延びていて、これにより図6に示す正面視で輪の上端の一部を切り欠いたような形状となされ、両保持片421の間に円形の空間部425を形成するようになされている。
【0044】
この保持部42に対し、その上方から横棒部材7を下ろし、空間部425に位置するようにするのであるが、この実施形態においては、対向する2つの保持片421の先端に、その先端に向かうにつれ互いの距離が遠ざかる傾斜面422aを備えた受け部422が形成されている(図6参照)。これにより、横棒部材7を両受け部422の上に載せることができ、それゆえ横棒部材7が保持部42の空間部425に誘導され易く、容易に横棒部材7を取り付ける作業が出来る。
【0045】
また、両保持片421の先端部同士の距離は、最も接近しているところでは、横棒部材7の外径よりも小さくなっている。これのような構成をとることで、横棒部材7を上方から空間部425に向けて圧入すると、横棒部材7に押されて両保持片421の先端部は互いに遠ざかる方向へ弾性的に動き、横棒部材7を空間部425に圧入し終えると、両保持片421は元の状態に戻ろうとして横棒部材7の周面を弾性的に押圧するようになされており、これによって横棒部材7は、保持部42に安定的に保持されるようになる。
【0046】
さらに、この実施形態においては、保持片421の内側周面には、当該周面から空間部425の内側方向へ突出する複数の突起部423、424が形成されている(図7参照)。このようにすることで、横棒部材は、保持片421の内側周面全体ではなく、突起部のみにおいて接し押圧されるため、より安定的に保持部42に保持されるようになる。
【0047】
また、このように二つのジョイント片4のそれぞれに保持部42を備えることによって、畑などで長い畝を形成する際、図1のPにおいて示されるように、隣接する複数の横棒部材7を紐などで括り付ける必要がないので、農園芸用支柱1及び横棒部材7の設置が容易となる。
尚、この保持部42は上記のような形態に限られず、横棒部材7の断面形状に応じて様々な形状の保持部を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 農園芸用支柱
2 棒状体
3 ジョイント部材
4 ジョイント片
41 キャップ部
42 保持部
43 接続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸用支柱に用いることのできるジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インゲンマメやエンドウマメなどの豆類や、キュウリ、ニガウリなどの蔓性植物を栽培する際に、当該植物が地表から上方へ成長するのを支持するための支持具が用いられている。
【0003】
このような支持具としては、例えば下記特許文献1および2に開示されているように、2本の支柱を上端部近傍で交差するようにして配置するとともに当該交差部分を連結具を用いて連結した一対の支柱として立設するようにしたものがある。これは、この一対の支柱を複数適宜間隔を空けて立設し、前記交差部分に横棒部材を載置するようにして当該複数の支柱間に横棒部材を差し渡し、これによって上述の植物の支持具として用いるものである。このようにすれば、支持具が転倒しにくくなり、また長い畝に沿って連続して支持具を設置することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報第3060150号公報
【特許文献2】特開2004−33075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の支持具においては、上記2本の支柱を交差させて当該交差部分を連結するのに、紐や金属製の線材、プラスチック成型品等で形成した連結具を用い、当該支柱を設置する作業の際に一つ一つ支柱同士を連結し、また交差する2本の支柱のなす角度を手で調節しながら地面に立設する必要があった。それゆえ、支柱の設置作業は非常に面倒であり、多くの時間を要するものとなっていた。
【0006】
また、この従来の支持具は、上述のとおり、一対の支柱を複数適宜間隔を空けて立設し、前記交差部分に横棒部材を載置するようにして当該複数の支柱間に横棒部材を差し渡して用いるものであるが、これを長い畝に沿って連続して設置する場合、一つの上記交差部分上に隣接する2本の横棒部材が載置されることとなる。そうすると、横棒部材の載置状態が安定しないので、2つの横棒部材を紐などで括り、さらにその横棒部材を同じく紐などで支柱に括り付けるなどする必要が生じ、支持具の設置作業が煩雑となっていた。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであって、支柱を容易に立設でき、また横棒部材を簡易な方法で支柱間に差し渡して保持できるようにして、支持具の設置が容易となるジョイント部材およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係るジョイント部材は、下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るジョイント部材によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して農園芸用支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。
【0010】
さらに、本発明に係るジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0011】
また、本発明に係るジョイント部材において、接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されているようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、このジョイント部材を利用した支柱を地面に立設する際に、2本の棒状体のなす角度を微妙に調節することなく、簡単に立設することができ、かつ多数の支柱を立設したときに、それぞれの支柱の開き角度が統一された状態となる。
【0013】
また、本発明に係る農園芸用支柱は、下方に開口し、棒状体を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたジョイント部材と、前記各ジョイント片の嵌入孔にその上端を嵌入した棒状体とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る農園芸用支柱によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。
【0015】
さらに、本発明に係る農園芸用支柱におけるジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0016】
また、本発明に係る農園芸用支柱において、接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されているようにしてもよい。
【0017】
このようにすれば、支柱を地面に立設する際に、2本の棒状体のなす角度を微妙に調節することなく簡単に立設することができ、かつ多数の支柱を立設したときに、それぞれの支柱の開き角度が統一された状態となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明に係るジョイント部材によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して農園芸用支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。さらに、本発明に係るジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することができる。
【0019】
また、本発明に係る農園芸用支柱によれば、予め2本の棒状体をジョイント部材の嵌入孔に嵌入して支柱を形成しておき、当該支柱を設置する現場においては、回動可能な接続部を動作させて2本の棒状体が所定の角度をなすように立設すればよく、支柱の設置が非常に容易となる。さらに、本発明に係る農園芸用支柱におけるジョイント部材の各ジョイント片の上端には、横棒部材を載置して保持することが可能な保持部が備えられているため、支柱を立設した後に、横棒部材を保持部に載置して保持させるだけで、横棒部材を支柱間に差し渡して設置することができ、これにより容易に支持具の設置を完了することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るジョイント部材、およびこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱の一実施形態を示すものであり、その使用状態図である。
【図2】図1においてPで示された部分の拡大図である。
【図3】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を閉じた状態)の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を閉じた状態)の一実施形態を示す正面図である。
【図5】本発明に係る農園芸用支柱のジョイント部分(ジョイント部材を開いた状態)の一実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す正面図である。
【図7】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す背面図である。
【図8】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す右側面図である。
【図9】本発明に係るジョイント部材におけるジョイント片の一実施形態を示す平面図である。
【図10】図7に示すジョイント片の矢印Q方向から見た嵌入孔の入口近辺の形状を示す図である。
【図11】図8に示すジョイント片のX−X線における断面図である。
【図12】図11の断面図において、キャップ部の嵌入孔に棒状体を嵌入した状態を示す図である。
【図13】図6に示すジョイント片のY−Y線における断面図である。
【図14】図7に示すジョイント片のZ−Z線における断面図である。
【図15】2つのジョイント片を接続する様子を示す説明図(正面図)である。
【図16】2つのジョイント片を接続する動作を示す説明図(平面図)である。
【図17】図5のW−W線における断面図である。
【図18】本発明に係る農園芸用支柱における棒状体の一実施形態を示す(a)正面図、および(b)底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るジョイント部材、及びこのジョイント部材を利用した農園芸用支柱の一実施形態を示す使用状態図である。
【0022】
図1に示されるように、この実施形態における農園芸用支柱1は、複数の農園芸用支柱1を適宜間隔を空けて畝Gに立設し、これら農園芸用支柱1の上端間に横棒部材7を差し渡して支柱枠体を形成するようにしている。さらに、この支柱枠体にネットNを掛けて植物支持具Fを形成し、畝Gに植えた植物SがこのネットNを這うように生長するようになされている。すなわち、植物Sの蔓などがネットNや支柱1に巻き付くことにより植物Sが支持され、これにより植物SがネットNに沿って這うように上方へ生長するのを助けるものである。
【0023】
農園芸用支柱1は、2本の棒状体2とジョイント部材3とからなる。2本の棒状体2は、ジョイント3を介して接続され、かつ接続された2本の棒状体2が所定の角度をなすように開いて畝Gに立設することができるものとされている。
【0024】
図2は、図1においてPで示される部分を拡大した図である。また、図3は、図1及び図2に示す実施形態の農園芸用支柱ジョイント部材3において、横棒部材7を取り外し、棒状体2、2を閉じた状態を示す図である。
【0025】
ジョイント部材3は、図6〜図10に示すジョイント片4を二つ組み合わせて形成されるものであり、それぞれに、棒状体2の上端を嵌入することが可能な嵌入孔411を有するキャップ部41と、横棒部材7を保持するための保持部42と、二つのジョイント片4を互いに回動可能に接続するための接続部43とを備えている。これによって、図4及び図5に示すように、接続部43の回動軸435を中心として回動させることにより、農園芸用支柱1の開閉を行うことができるようになっている(図4が「閉」の状態であり、図5が「開」の状態である)。
【0026】
棒状体2は、図18に示すように、棒状体2は鋼管の表面を合成樹脂材料で被覆して形成した円筒形状の棒状部材21からなり、その上端部近傍に、その周面を周回する環状の突条22が形成されている。また、棒状体2の周面には、上下方向に間隔を置いて多数の突起23が形成されている。この突起23が形成されていることで、植物の蔓がしっかり巻き付いて滑り落ちないし、棒状体2にネットNをクリップ等(図示せず)で固定する際に、クリップが滑り落ちない。尚、上下方向に間隔を置いて形成されるこの突起の列は、図18に示すように、90度の間隔で4列形成されている。さらに、棒状体2の下端部は、地中への埋め込みが容易なように、先細りのテーパー形状(円すい形状)となされている。
【0027】
尚、上記鋼管に替えて、アルミニウム合金やステンレス鋼等の他の金属、あるいは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ABS、AAS、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、FRP等の合成樹脂からなる管状体を用いてもよい。また、上記鋼管の表面を被覆する合成樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンの重合体を用いてもよく、エチレンにα−オレフィンを共重合させたもの、或いはエチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、更にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂を用いることができ、或いはこれらの樹脂を適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0028】
ジョイント部材3は、上述のとおり、二つのジョイント片4を組み合わせてなるものである。この二つのジョイント片4は、同一形状のものであり、図6〜図10に示すように、棒状体2の上端を嵌入することが可能な嵌入孔411を有するキャップ部41と、横棒部材7を保持するための保持部42と、二つのジョイント片4を互いに回動可能に接続するための接続部43とを備えている。ジョイント片4は、合成樹脂材料により一体的に形成されたものであり、当該材料としては、AAS樹脂、AES樹脂、ポリカーボネート、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミド等を単独で用いてもよく、或いはこれらを適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。キャップ部41は、図10〜図12に示されるように、下方に開口する略円柱状の嵌入孔411を有し、この嵌入孔411に棒状体2の上端部が嵌入される。
【0029】
尚、この嵌入孔411の内壁面には、棒状体2を嵌入したときに棒状体2の環状の突条22を係止するための係止手段45として、環状の突条22を嵌めこむことのできる抜け止め穴451が周方向に形成されている(図10〜図12参照)。この実施形態においては、4箇所の接続柱413部分を除き、抜け止め穴451は、キャップ部41の嵌入孔411の内壁から、外周面まで貫通した貫通穴となされている。
【0030】
また、同じく嵌入孔411の内壁面には、棒状体2を嵌入したときに棒状体2の環状の突条22を係止するための係止手段45として、多数の抜け止め突起452が形成されている。抜け止め突起452は、嵌入孔411の内壁面からその径方向(内側方向)へ伸びるように突設され、かつ下方から上方へ向かうにつれてその高さが高くなるように形成されており、その上端面452aは平坦となされ、抜け止め穴451につながる。これによって、抜け止め突起452の側断面形状は嵌入孔411の内壁面から三角形状に突き出た形状となされている。そして、この抜け止め突起452の最も高い点を結んで描く円の径が嵌入孔411の内径の最小値となる。
【0031】
上記抜け止め突起452の「高さ」とは、キャップ部41の嵌入孔411の内周面から径方向への長さ寸法を指しており、当該高さが最大となる抜け止め突起452の上端部分において、嵌入孔411の内径が最小となっている。この実施形態において示されるように、支柱部材2の環状の突条22部分における支柱部材2の最大外径は、キャップ部41の嵌入孔411の最小内径よりも大きくなるようになされ、かつキャップ部41の嵌入孔内に圧入可能なものとなされているのが好ましい。
【0032】
すなわち、この嵌入孔411の最小内径は、棒状体2の突条22部分における最大外径よりも小さい寸法となされている。また、ジョイント片4は合成樹脂材料で形成されており、棒状体2をキャップ部41の嵌入孔411に圧入すると、抜け止め突起452は、棒状体2の環状突条22に押されて嵌入孔の径方向(外側方向)へ弾性的に後退する。そして、棒状体2を圧入し終えて環状の突条22が抜け止め穴451に嵌めこまれると、抜け止め突起452は、元の状態に戻ろうとして棒状体2の側周面を押圧し、これによりキャップ部41が棒状体2の上端部に安定的に取り付けられる。図12に示すように、キャップ部41を棒状体2の上端部に嵌着した状態においては、棒状体2の環状の突条22が、キャップ部41の抜け止め穴451に嵌め込まれるとともに、環状の突条22の下部が抜け止め突起452の上端に載置されて係止されるようになされており、これによってキャップ部41が棒状体2の上端部に安定的に取り付けられるようになっている。
【0033】
また、この実施形態においては、キャップ部41の接続柱413部分の嵌入孔411内側面に、図10、図11及び図13に示す通り、上下方向に延びる凹溝416が形成されている。この凹溝416は、当該凹溝416に棒状体2の長さ方向に4列形成された多数の突起23を挿入可能となっており、かつ突起23の先端部が凹溝416の底部に接触する寸法とされている。すなわち、凹溝416の底部を通る嵌入孔411の内径寸法と、突起23の先端部を通る棒状体2の外径は略同一の寸法となされており、これによって、キャップ部41を棒状体2の上端部に取り付けた際の取り付け状態が安定する。
【0034】
尚、このキャップ部41の構成や、ジョイント片4の棒状体2への取り付け方法については、上記の形態に限られない。例えば、従来から用いられている高周波溶着や、超音波溶着、或いは回転溶着などの方法により溶着するようにしてもよいし、また接着剤を用いて接着するようにしてもよい。
【0035】
さらに、このキャップ部41の下端部近傍には、ネットNを掛けて係止するための掛部417がキャップ部41と一体的に形成されている。この掛部417は、先端が上方へ延びるL字型形状の突起であり、かつその先端部には、キャップ部41の外周面方向へ突出する突部417aが形成されている。この掛部417にネットNの線材を引っ掛けることにより、支柱1に容易にネットNを掛けることが可能となる。
【0036】
接続部43は、図6〜図9に示すように、キャップ部41の上端部近傍に一体的に形成され、それぞれ板状に突出する第一接続片431と、第二接続片432とからなる。第一接続片431には、第二接続片432と対向する面と反対側の面に、接続片から垂直方向に突出する円筒形状の接続軸431aが形成されている。また、第二接続片432には、第一接続片431の接続軸431aを嵌挿可能な円柱形状の接続軸穴432aが形成されている。
【0037】
このような接続部43を備えたジョイント片4を二つ、それぞれの接続部43が互いに対向するようにし、図15及び図16に示すような手順で接続する。すなわち、図15のように、二つのジョイント片4を近接させ接続するのであるが、より詳しくは、図16に示すように、先ずは矢印Hに示す方向に二つのジョイント片4を接近させ、さらに矢印Iの方向へ二つのジョイント片4を近づけて一方のジョイント片4の接続軸431aが他方のジョイント片4の接続軸穴432aに嵌挿されるようにする。
【0038】
尚、第一接続片431の先端部には、図9及び図14等に示されるような平面視三角形状の嵌入片431bが一体的に形成され、一方、第二接続片432の基端部近傍には、接続される他のジョイント片4の嵌入片431aを嵌入可能な嵌入溝432bが一体的に形成されている。これにより、二つのジョイント片4を接続した際に、一方のジョイント片4の嵌入片431bが、他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入された状態となる(図17の断面図参照)。
【0039】
また、接続軸431aは、図9に示すように、その一部が切り欠かれて切欠面431cが形成されている。これにより、図15に示すように二つのジョイント片4を接続する際、矢印Hの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入できるようになされている。
【0040】
さらに、矢印Hの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bに嵌入した状態で、更に矢印Iの方向に二つのジョイント片4を近接させ、一方のジョイント片4の接続軸431aを他方のジョイント片4の接続軸穴432aに圧入すると、一方のジョイント片4の嵌入片431bが他方のジョイント片4の嵌入溝432bの側壁432kに当接、係合する。また同時に、一方のジョイント片4の接続軸431aの外周面における、第一接続片431の最も基端部側の側片部431dが、他方のジョイント片4の接続軸穴432aの内周壁面に当接する(図17の断面図参照)ので、一旦接続された二つのジョイント片4の接続は容易には解除されず、このように二つのジョイント片4は接続され、その回動軸435を中心として互いに回動自在となされている。
【0041】
また、ジョイント片4には、ストッパー部47が形成されている。この実施形態におけるストッパー部47は、ジョイント片4に一体的に板状に形成されている。このストッパー部4は、ジョイント部材3を所定角度に開くと(図5)、それぞれのストッパー部4の当接面471が互いに当接することによって、それ以上ジョイント部材3が開かないようになされている。
【0042】
さらに、ジョイント片4は、それぞれその上端に保持部42を備えている。図1に示すとおり、この保持部42は、横棒部材7を保持させることにより、複数の農園芸用支柱1の上端間に横棒部材7を差し渡すように保持できるようにするものである。
【0043】
この実施形態における保持部42は、互いに対向して円弧状に延びる保持片421からなる。すなわち、両保持片421は、円弧状を描き、上方に向かうにつれ一旦は互いに遠ざかる方向へ延び、凡そ中間部あたりからは逆に互いに近づく方向へ延びていて、これにより図6に示す正面視で輪の上端の一部を切り欠いたような形状となされ、両保持片421の間に円形の空間部425を形成するようになされている。
【0044】
この保持部42に対し、その上方から横棒部材7を下ろし、空間部425に位置するようにするのであるが、この実施形態においては、対向する2つの保持片421の先端に、その先端に向かうにつれ互いの距離が遠ざかる傾斜面422aを備えた受け部422が形成されている(図6参照)。これにより、横棒部材7を両受け部422の上に載せることができ、それゆえ横棒部材7が保持部42の空間部425に誘導され易く、容易に横棒部材7を取り付ける作業が出来る。
【0045】
また、両保持片421の先端部同士の距離は、最も接近しているところでは、横棒部材7の外径よりも小さくなっている。これのような構成をとることで、横棒部材7を上方から空間部425に向けて圧入すると、横棒部材7に押されて両保持片421の先端部は互いに遠ざかる方向へ弾性的に動き、横棒部材7を空間部425に圧入し終えると、両保持片421は元の状態に戻ろうとして横棒部材7の周面を弾性的に押圧するようになされており、これによって横棒部材7は、保持部42に安定的に保持されるようになる。
【0046】
さらに、この実施形態においては、保持片421の内側周面には、当該周面から空間部425の内側方向へ突出する複数の突起部423、424が形成されている(図7参照)。このようにすることで、横棒部材は、保持片421の内側周面全体ではなく、突起部のみにおいて接し押圧されるため、より安定的に保持部42に保持されるようになる。
【0047】
また、このように二つのジョイント片4のそれぞれに保持部42を備えることによって、畑などで長い畝を形成する際、図1のPにおいて示されるように、隣接する複数の横棒部材7を紐などで括り付ける必要がないので、農園芸用支柱1及び横棒部材7の設置が容易となる。
尚、この保持部42は上記のような形態に限られず、横棒部材7の断面形状に応じて様々な形状の保持部を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 農園芸用支柱
2 棒状体
3 ジョイント部材
4 ジョイント片
41 キャップ部
42 保持部
43 接続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたことを特徴とするジョイント部材。
【請求項2】
接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のジョイント部材。
【請求項3】
下方に開口し、棒状体を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたジョイント部材と、
前記各ジョイント片の嵌入孔にその上端を嵌入した棒状体とを備えたことを特徴とする農園芸用支柱。
【請求項4】
接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の農園芸用支柱。
【請求項1】
下方に開口して棒状体の上端部を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたことを特徴とするジョイント部材。
【請求項2】
接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のジョイント部材。
【請求項3】
下方に開口し、棒状体を嵌入可能な嵌入孔を備えたジョイント片を二つ組み合わせてなり、該二つのジョイント片は互いに回動可能に接続される接続部を介して接続され、前記二つのジョイント片の上端には、それぞれ横棒部材を載置して保持することが可能な保持部を備えたジョイント部材と、
前記各ジョイント片の嵌入孔にその上端を嵌入した棒状体とを備えたことを特徴とする農園芸用支柱。
【請求項4】
接続部には、二つのジョイント片を所定角度に開いた状態で保持可能なストッパー部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の農園芸用支柱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−142871(P2011−142871A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6875(P2010−6875)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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