説明

スイッチング電源回路、及び画像形成装置

【課題】低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができるスイッチング電源回路、及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】電流をスイッチングする、互いに並列接続されたFETQ1,Q2,Q3と、負荷回路が必要とする電力量に関する電力情報を取得する接続端子202と、当該電力情報で示される電力量が大きいほど、FETQ1,Q2,Q3のうちスイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、FETQ1,Q2,Q3のスイッチング動作を制御するスイッチング制御部205とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源回路、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、背景技術に係るスイッチング電源回路100を示す回路図である。図5に示すスイッチング電源回路100は、商用交流電源ACから供給された交流電圧を、ダイオードブリッジ101で整流し、コンデンサ102で平滑することにより、直流電圧を生成する。そして、この直流電圧を、並列接続されたFET(Field Effect Transistor)104,105で高周波スイッチングすることで、トランス103の一次側巻線に高周波電流を流す。
【0003】
そうすると、トランス103の二次巻線に高周波電圧が誘起され、これがダイオード106で整流され、コンデンサ107で平滑されて、直流電圧に変換される。そして、この直流電圧が、スイッチング電源回路100の出力電圧として負荷110へ供給される。また、この直流電圧は、抵抗108,109の直列回路で分圧されて、その分圧電圧がフォトカプラ111を介してPWM制御回路112へフィードバックされる。
【0004】
PWM制御回路112は、この分圧電圧に応じて、出力電圧が所望の電圧になるように、FET104,105をオン、オフさせるデューティ比を制御するようになっている。PWM制御回路112は、抵抗113,114,115を介してFET104,105のゲートに接続されている。抵抗114,115はゲートへの充電抵抗、抵抗115は同期抵抗である。抵抗113には、FET104,105のターンオフ時に素早くゲート電荷を放電するための放電用のダイオード116が並列接続されている。
【0005】
スイッチング電源回路100は、電流スイッチング用のFETを二つ並列接続することにより、FETにおけるオン抵抗を、FETが一つの場合より小さくすることで、スイッチング素子で生じる電力損失を低減するようになっている。
【0006】
また、スイッチング素子のターンオフ時間を短縮することで、スイッチング損失を低減する技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−147452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スイッチング素子における電力損失は、電流が減少すると、オン抵抗による損失よりも、スイッチング損失の方が大きくなる。そうすると、上述のように、スイッチング素子を二個並列接続した場合には、スイッチング損失が2倍になるから、負荷電流が小さい低負荷時は、スイッチング素子による電力損失がかえって増大してしまうという不都合があった。
【0008】
また、特許文献1に記載の技術は、スイッチング損失を低減することができるので、負荷電流が小さい低負荷時は、効果的に電力損失を低減することができる。一方、負荷電流が大きいときは、スイッチング損失よりもオン抵抗で生じる電力損失の方が大きくなる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、スイッチング素子がオン状態のときに生じるオン抵抗による電力損失を低減することはできないため、負荷電流が大きい高負荷時は、電力損失の低減効果が小さいという、不都合があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができるスイッチング電源回路、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスイッチング電源回路は、電流のスイッチングを繰り返すことにより所望の電圧を生成し、当該電圧を負荷回路へ出力するスイッチング電源回路であって、前記電流をスイッチングする、互いに並列接続された複数のスイッチング素子と、前記負荷回路が必要とする電力量に関する電力情報を取得する電力情報取得部と、前記電力情報取得部によって取得される電力情報で示される電力量が大きいほど、前記複数のスイッチング素子のうち前記スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御するスイッチング制御部とを備える。
【0011】
この構成によれば、電力情報取得部によって、負荷回路が必要とする電力量に関する電力情報が取得される。そして、スイッチング制御部によって、当該電力情報で示される電力量が大きいほど、並列接続された複数のスイッチング素子のうちスイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、当該複数のスイッチング素子のスイッチング動作が制御される。
【0012】
そうすると、スイッチング損失の影響が大きくなる低負荷時には、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が減ってスイッチング損失が低減される。一方、スイッチング素子のオン抵抗による電力損失の影響が大きくなる高負荷時には、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増大され、スイッチング素子の並列数が増大されることによりオン抵抗による電力損失が低減される。これにより、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができる。
【0013】
また、前記負荷回路は、消費電力の異なる複数の動作状態を有し、前記電力情報取得部は、前記負荷回路の動作状態を示す情報を、前記電力情報として取得することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、スイッチング制御部は、動作状態に対応してスイッチングに用いられるスイッチング素子の数が設定すればよいので、スイッチング素子数の設定処理が簡素化される。
【0015】
また、前記負荷回路は、前記複数の動作状態として、通常の動作を行う通常モードと、当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードとを有することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、通常モードと省電力モードとでは、負荷回路の消費電力が大きく異なると考えられるので、スイッチング制御部が、通常モードであるか省電力モードであるかに応じてスイッチングに用いるスイッチング素子の数を設定するようにすれば、効果的に電力損失を低減できる。
【0017】
また、前記複数のスイッチング素子はFETであり、前記各FETのゲートは、それぞれゲート電荷放電用のダイオードと抵抗との並列回路を介して前記スイッチング制御部に接続されていることが好ましい。
【0018】
複数のFETを並列接続すると、流れる電流が各FETでバランスするから、前記スイッチング素子として適する。また、ダイオードによってFETのターンオフ時間が短縮されるから、スイッチング損失が低減される。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述のスイッチング電源回路と、前記負荷回路と、前記動作状態を示す情報を、前記電力情報として前記電力情報取得部へ送信する動作状態送信部とを備え、前記負荷回路は、用紙に画像を形成する画像形成部を含むことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、動作状態送信部によって、画像形成装置の動作状態を示す情報が、電力情報として電力情報取得部へ送信される。そして、画像形成装置のスイッチング電源回路において、画像形成装置の動作状態に応じて、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が設定されるので、画像形成装置において、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができる。
【0021】
また、前記負荷回路は、原稿から画像を読み取る読取部をさらに備え、前記動作状態送信部は、さらに、前記読取部の動作、及び前記画像形成部の動作を示す情報を、前記電力情報として前記電力情報取得部へ送信することが好ましい。
【0022】
画像形成装置において、読取部の動作、画像形成部の動作、及び読取部と画像形成部との並列動作は、画像形成装置において電力消費に影響する主要な動作状態であるので、このような動作を示す情報は、電力情報として適する。
【0023】
また、前記スイッチング制御部は、前記電力情報取得部によって受信される電力情報で示される各部の動作を示す情報において、動作する部分の数が多いほど、前記スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御することが好ましい。
【0024】
電力情報で示される各部の動作を示す情報において、動作する部分の数が多いほど、すなわち並列動作する部分の数が多いほど、消費電力が増大すると考えられるので、動作する部分の数が多いほど、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するようにすれば、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することが容易である。
【発明の効果】
【0025】
このような構成のスイッチング電源回路及び画像形成装置では、スイッチング損失の影響が大きくなる低負荷時には、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が減ってスイッチング損失が低減される。一方、スイッチング素子のオン抵抗による電力損失の影響が大きくなる高負荷時には、スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増大され、スイッチング素子の並列数が増大されることにより、オン抵抗による電力損失が低減される。これにより、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源回路を用いた画像形成装置の一例である複写機の内部構成を概略的に示す側面図である。図2は、図1に示す複写機1の電気的構成の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置は、複写機に限られず、例えばプリンタやファクシミリ、あるいはこれらを複合した複合機等であってもよい。
【0027】
複写機1は、本体部2と、本体部2の用紙搬出側、例えば左側に配設された後処理部3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5(読取部)と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6と、本体部2の内部に配設された制御部10と、スイッチング電源回路200とを有している。また、複写機1のフロント部には、略長方形の操作パネル47が設けられている。
【0028】
操作パネル47は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部473と、操作者から操作指示が入力される操作キー部476とを備える。操作キー部476は、スタートボタン471、及び節電キー472等を備える。
【0029】
スタートボタン471は、コピー動作やスキャン動作等の各動作を開始させる指示を操作者から受け付ける。節電キー472は、複写機1を、通常の動作を行う通常モードより消費電力が少ない省電力モードへ移行させる指示を操作者から受け付けるキーである。
【0030】
表示部473は、タッチパネルとLCDとを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成される。表示部473は、種々の操作画面を表示すると共に、操作者が表示画面(表示されている操作キー)を押下することで種々の設定や機能の実行指令を入力することが可能とされている。
【0031】
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)512及び露光ランプ511等からなるスキャナ51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部10へ出力する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部10へ出力する。
【0032】
原稿給送部6は、原稿載置部601、給紙ローラ602、原稿搬送部603及び原稿排出部604を備える。給紙ローラ602は、原稿載置部601にセットされた所要枚数分の原稿を一枚ずつ繰り出し、原稿搬送部603は、繰り出される原稿を順次スキャナ51の読み取り位置に搬送する。スキャナ51は搬送される原稿の画像を順次読み取り、読み取られた原稿は原稿排出部604に排出される。原稿搬送部603は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構を備え、原稿の両面の画像を原稿読取スリット53を介してスキャナ51から読取可能にしている。
【0033】
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザが載置できるようになっている。
【0034】
本体部2は、手差トレイ460、複数の給紙カセット461、複数の給紙ローラ462、画像形成部4、排出口209、排出トレイ48、及び制御部10等を備える。画像形成部4は、像形成部40、定着部45、及び画像形成部4内の用紙搬送路中に設けられた種々の搬送ローラ等からなる用紙搬送部46を備える。像形成部40は、転写ローラ41、露光装置42、感光体ドラム43、及び現像装置44を備える。
【0035】
感光体ドラム43は、矢印方向に回転しながら帯電装置(図示省略)によって一様に帯電される。露光装置42は、原稿読取部5において読み取られた原稿の画像に応じて変調されたレーザ光を感光体ドラム43上に走査し、ドラム表面に静電潜像を形成する。現像装置44は、黒色の現像剤を感光体ドラム43に供給してトナー画像を形成する。
【0036】
一方、給紙ローラ462は、用紙が収納された手差トレイ460や給紙カセット461から用紙を引き出し、転写ローラ41まで給送する。転写ローラ41は、搬送された用紙に感光体ドラム43上のトナー像を転写させ、定着部45は、転写されたトナー像を加熱して用紙に定着させる。その後、用紙は、本体部2の排出口209から後処理部3に搬入される。また、用紙は、必要に応じて排出トレイ48へも排出される。
【0037】
後処理部3は、搬入口301、用紙搬送部302、仕分け部303、用紙加工部304、搬出口305およびスタックトレイ306等を備える。この後処理部3には、印刷後に、ステープルやパンチなどの後処理が必要となった用紙が、本体部2の排出口209から搬入口301に搬入され、用紙搬送部302から仕分け部303に順次搬送され、適宜仕分け(ソート)や先端揃えが行われた後、用紙加工部304においてステープルやパンチなどの処理が行われ、搬出口305からスタックトレイ306へ排出される。スタックトレイ306は、搬出口305から搬出された用紙の集積枚数に応じて矢印方向に上下動可能に構成されている。
【0038】
制御部10は、装置全体の動作制御を司るもので、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御部10は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成制御部11、節電制御部12、及び動作状態送信部13として機能する。
【0039】
画像形成制御部11は、操作パネル47によって受け付けられた各種設定や操作指示に応じて、画像形成部4及び後処理部3等、複写機1の各部の動作を制御して、手差トレイ460や給紙カセット461に収容された用紙に原稿の画像を形成させる。
【0040】
節電制御部12は、例えば節電キー472が押下されたり、操作パネル47が予め設定された設定時間の間操作されなかったりした場合に、通常モードから省電力モードに移行する。省電力モードでは、節電制御部12は、例えば定着部45のヒータをオフしたり、操作キー部476やCPU等、ユーザの操作指示を受け付けるために必要な最小限の回路ブロックを残して他の回路部への電源供給を遮断したり、制御部10のCPUを消費電力の少ない動作モードに移行させたりすることで、複写機1の消費電力を低減するようになっている。
【0041】
動作状態送信部13は、通常モードであるか、省電力モードであるかを示す情報、及び原稿読取部5,画像形成部4、後処理部3がそれぞれ動作中であるか否かを示す信号を、信号Spw(電力情報)としてスイッチング電源回路200の接続端子202(電力情報取得部)へ出力する。
【0042】
図3は、図2に示すスイッチング電源回路200の構成の一例を示す回路図である。図3に示すスイッチング電源回路200は、接続端子201,202,203,204、ダイオードブリッジD1、ダイオードD2,D3,D4,D5、コンデンサC1,C2、トランスT1、FETQ1,Q2,Q3(スイッチング素子)、抵抗R1,R2,R3,R5,R6、フォトカプラPC1、及びスイッチング制御部205を備えて構成されている。
【0043】
接続端子203,204は、商用交流電源ACに接続される接続端子である。そして、接続端子203,204によって受電された交流電圧が、ダイオードブリッジD1で整流された後、コンデンサC1で平滑される。そして、コンデンサC1の両端電圧が、トランスT1の一次巻線とFETQ1,Q2,Q3の並列回路との直列回路に、印加される。
【0044】
FETQ1のゲートは、抵抗R1とダイオードD3とを介してスイッチング制御部205に接続されている。FETQ2のゲートは、抵抗R2とダイオードD4とを介してスイッチング制御部205に接続されている。FETQ3のゲートは、抵抗R3とダイオードD5とを介してスイッチング制御部205に接続されている。そして、ダイオードD3,D4,D5のカソード側が、スイッチング制御部205に接続されている。
【0045】
これにより、スイッチング制御部205からの制御信号に応じてFETQ1,Q2,Q3がオンオフすると、トランスT1の一次巻線に高周波電流が流れて、電磁結合によりトランスT2の二次巻線に高周波電圧が誘起される。トランスT2の二次巻線に誘起された高周波電圧は、ダイオードD2で整流された後、コンデンサC2で平滑されて、直流電圧が生成される。
【0046】
また、FETQ1,Q2,Q3のターンオフ時には、ダイオードD3,D4,D5によってゲート電荷が放電されて、ターンオフ時間が短縮される結果、FETQ1,Q2,Q3のスイッチング損失が低減されるようになっている。
【0047】
この直流電圧が電源電圧Vopとして、接続端子201を介して複写機1の各部へ供給されるようになっている。この場合、スイッチング電源回路200から電源電圧Vopの供給を受ける複写機1内の回路が、負荷回路の一例に相当している。
【0048】
また、電源電圧Vopは、抵抗R5,R6の直列回路で分圧される。そして、その分圧電圧が、フォトカプラPC1を介してスイッチング制御部205へ出力される。これにより、電源電圧Vopがスイッチング制御部205にフィードバックされるので、スイッチング制御部205は、フィードバックされた電圧が予め設定された目標値に近づくように、FETQ1,Q2,Q3をオンオフさせるデューティ比を変化させることで、電源電圧Vopを予め設定された一定の電圧にするようになっている。
【0049】
また、スイッチング制御部205は、動作状態送信部13から接続端子202を介して受け付けられた信号Spwに応じて、FETQ1,Q2,Q3のうち直流電圧のスイッチングに用いるFETの数を決定する。
【0050】
なお、接続端子201,202,203,204は、制御部10とスイッチング制御部205とを電気的に接続するものであればよく、例えば電極やコネクタ、端子台等であってもよく、ランドやパッド等の配線パターンであってもよい。
【0051】
次に、このように構成された複写機1の動作について説明する。図4は、図1に示す複写機1の動作の一例を説明するための説明図である。図4は、横軸方向が時間の経過を示し、省電力モードになっている期間、通常モードになっている期間、及び原稿読取部5、画像形成部4、後処理部3がそれぞれ動作している期間を矢印で示している。また、各期間において、スイッチングに用いられるFETの数を示している。
【0052】
まず、節電制御部12によって、複写機1が省電力モードにされている。そして、動作状態送信部13によって、省電力モードを示す信号Spwが接続端子202を介してスイッチング制御部205へ出力される。省電力モードでは、複写機1における負荷回路の消費電力が最も少なく、FETQ1,Q2,Q3における電力損失は、スイッチング損失が支配的になる。
【0053】
そこで、スイッチング制御部205は、高周波スイッチングさせるFETの数を1つに設定し、例えばFETQ1のみオンオフさせ、FETQ2,Q3はオフさせる。これにより、負荷回路が必要とする電力量が最も少ない省電力モードにおいて、FETQ2,Q3はスイッチングされない結果、FETのスイッチング損失が低減される。
【0054】
次に、例えばユーザが、原稿載置部601に原稿束を載置してスタートボタン471を押下すると、節電制御部12によって通常モードに設定される。そして、画像形成制御部11からの制御信号に応じて、原稿読取部5による原稿の読み取りが開始される(タイミングt1)。さらに、動作状態送信部13によって、原稿読取部5が動作することを示す信号Spwが接続端子202を介してスイッチング制御部205へ出力される。
【0055】
そうすると、原稿読取部5を動作させるために電力が必要となるから、スイッチング制御部205によって、高周波スイッチングさせるFETの数が2つに設定される。スイッチング制御部205は、例えばFETQ1,Q2のみオンオフさせ、FETQ3はオフさせる。このように、負荷回路が必要とする電力量が増大し、スイッチング素子におけるオン抵抗による電力損失が増大すると、スイッチングされるFETの数が増加される。
【0056】
そして、スイッチングされるFETの数が増加すると、FETの並列抵抗が減少し、オン抵抗の並列抵抗値が低減される。これにより、負荷回路の消費電力が増大することによる電力損失の増大を低減することができる。
【0057】
原稿読取部5により原稿の画像が読み取られ、その画像データが画像形成部4へ送信される。そうすると、画像形成部4がその画像データに基づいて用紙への画像形成動作を開始する。このとき、原稿載置部601には複数の原稿が載置されているから、原稿読取部5は引き続き、残りの原稿の読み取りを継続する。
【0058】
そして、動作状態送信部13によって、原稿読取部5と画像形成部4とが動作することを示す信号Spwが接続端子202を介してスイッチング制御部205へ出力される(タイミングt2)。図4では、スイッチング制御部205は、原稿読取部5と画像形成部4とが同時動作するときは、高周波スイッチングさせるFETの数を2つにする例を示している。
【0059】
なお、画像形成部4が新たに動作開始することにより、複写機1の消費電力は増大する。従って、もしスイッチングさせるFETの数を増やすことによるオン抵抗での電力損失の低減効果の方が、FETのスイッチング損失の増大より大きくなるのであれば、スイッチング制御部205は、タイミングt2で高周波スイッチングさせるFETの数を3つにするようにしてもよい。
【0060】
次に、画像形成部4で画像形成された用紙が後処理部3へ送られると、後処理部3が動作を開始する。そして、動作状態送信部13によって、原稿読取部5と画像形成部4と後処理部3とが動作することを示す信号Spwが接続端子202を介してスイッチング制御部205へ出力される(タイミングt3)。そうすると、スイッチング制御部205によって、高周波スイッチングさせるFETの数が3つに設定される。すなわち、スイッチング制御部205は、FETQ1,Q2,Q3をオンオフさせて、高周波スイッチングを行わせる。
【0061】
このように、負荷回路が必要とする電力量が増大し、スイッチング素子におけるオン抵抗による電力損失が増大すると、スイッチングされるFETの数が増加される。そして、スイッチングされるFETの数が増加すると、FETの並列抵抗が減少し、オン抵抗の並列抵抗値が低減される。これにより、負荷回路の消費電力が増大することによる電力損失の増大を低減することができる。
【0062】
次に、原稿読取部5が、原稿載置部601に載置されている原稿束の読取を終了すると、動作状態送信部13によって、画像形成部4と後処理部3とが動作することを示す信号Spwが接続端子202を介してスイッチング制御部205へ出力される(タイミングt4)。そうすると、負荷回路の消費電力が減少してFETのオン抵抗で生じる電力損失よりスイッチング損失の影響が大きくなるので、スイッチング制御部205によって、高周波スイッチングさせるFETの数が2つに減らされる。
【0063】
このように、スイッチング制御部205によって、負荷回路の動作状態、すなわち負荷回路の消費電力に応じて、FETのオン抵抗で生じる電力損失とスイッチング損失との合計が、より小さくなるように、スイッチングに用いるFETの数を変更することができるので、低負荷時における電力損失の増大を抑制しつつ、高負荷時における電力損失を低減することができる。
【0064】
なお、信号Spwは、複写機1内における各部の動作の有無を示す例に限られず、負荷回路の消費電力そのものを示す信号であってもよい。また、スイッチング電源回路200におけるスイッチング用のFETの数を4個以上にして、スイッチングさせるFETの数をきめ細かく制御するようにしてもよい。また、スイッチング用のFETは2個であってもよい。また、スイッチング電源回路200は、画像形成装置に適用される例に限られず、他の電気機器に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係るスイッチング電源回路を用いた画像形成装置の一例である複写機の内部構成を概略的に示す側面図である。
【図2】図1に示す複写機の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示すスイッチング電源回路の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図1に示す複写機の動作の一例を説明するための説明図である。
【図5】背景技術に係るスイッチング電源回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0066】
1 複写機
3 後処理部
4 画像形成部
5 原稿読取部
10 制御部
11 画像形成制御部
12 節電制御部
13 動作状態送信部
40 像形成部
41 転写ローラ
42 露光装置
43 感光体ドラム
44 現像装置
45 定着部
46 用紙搬送部
47 操作パネル
200 スイッチング電源回路
201,202,203,204 接続端子
205 スイッチング制御部
471 スタートボタン
472 節電キー
Q1,Q2,Q3 FET
Spw 信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流のスイッチングを繰り返すことにより所望の電圧を生成し、当該電圧を負荷回路へ出力するスイッチング電源回路であって、
前記電流をスイッチングする、互いに並列接続された複数のスイッチング素子と、
前記負荷回路が必要とする電力量に関する電力情報を取得する電力情報取得部と、
前記電力情報取得部によって取得される電力情報で示される電力量が大きいほど、前記複数のスイッチング素子のうち前記スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御するスイッチング制御部と
を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。
【請求項2】
前記負荷回路は、消費電力の異なる複数の動作状態を有し、
前記電力情報取得部は、前記負荷回路の動作状態を示す情報を、前記電力情報として取得すること
を特徴とする請求項1記載のスイッチング電源回路。
【請求項3】
前記負荷回路は、前記複数の動作状態として、通常の動作を行う通常モードと、当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードとを有すること
を特徴とする請求項2記載のスイッチング電源回路。
【請求項4】
前記複数のスイッチング素子はFETであり、
前記各FETのゲートは、それぞれゲート電荷放電用のダイオードと抵抗との並列回路を介して前記スイッチング制御部に接続されていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスイッチング電源回路。
【請求項5】
請求項1〜4記載のスイッチング電源回路と、
前記負荷回路と、
前記動作状態を示す情報を、前記電力情報として前記電力情報取得部へ送信する動作状態送信部とを備え、
前記負荷回路は、用紙に画像を形成する画像形成部を含むこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記負荷回路は、原稿から画像を読み取る読取部をさらに備え、
前記動作状態送信部は、さらに、
前記読取部の動作、及び前記画像形成部の動作を示す情報を、前記電力情報として前記電力情報取得部へ送信すること
を特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記スイッチング制御部は、
前記電力情報取得部によって受信される電力情報で示される各部の動作を示す情報において、動作する部分の数が多いほど、前記スイッチングに用いられるスイッチング素子の数が増加するように、前記複数のスイッチング素子のスイッチング動作を制御すること
を特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−278836(P2009−278836A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129948(P2008−129948)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】