説明

スイッチング電源装置

【課題】高速応答性を備えた安定度の高い制御回路を備え、小型で安価な絶縁型のスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】出力側制御回路に、出力電圧の誤差増幅回路34と、その出力を基準三角波を用いてパルス幅変調するPWM回路36を有する。PWM信号により主スイッチング素子14のオフのタイミング信号を生成するOFF信号発生回路38を備える。入力側制御回路に、主スイッチング素子14をオンのタイミング信号を生成する基本パルス発生回路26と、PWM回路36に三角波リセット信号を送る三角波リセット信号発生回路28を備える。ON信号VaとOFF信号Vgを受けて、主スイッチング素子14の駆動パルスを生成する駆動パルス発生回路30を備える。入力側制御回路と出力側制御回路を接続する、絶縁された信号トランス24を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力電圧をパルス幅制御によって定電圧化する絶縁型のスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置の制御方法として、出力電圧と基準電圧との誤差分を増幅した出力電圧信号と所定の基準三角波電圧とを比較してパルス幅変調(PWM)し、出力電圧が一定になるように主スイッチング素子のオン・オフの時比率を自動的に制御するパルス幅制御がある。ここで、入力側と出力側を主トランスで分離する絶縁型のスイッチング電源の場合、出力電圧を高精度に検出するため、一般に、出力電圧信号を生成する誤差増幅回路が出力側に設けられる。従って、パルス幅制御を行うとき、出力電圧信号等を、何らかの絶縁手段を介して入力側の主スイッチング素子に伝達する必要がある。
【0003】
従来、この種のスイッチング電源装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、誤差増幅回路が出力側に設けられ、主スイッチング素子の駆動回路を含むPWM回路が入力側に設けられ、誤差増幅回路が出力する出力電圧信号を、絶縁手段である伝達手段を介して入力側に伝達する構成のスイッチング電源回路がある。このスイッチング電源回路は、伝達手段に対して常に所定のバイアス電圧をかけておく構成を備え、負荷の急変に対する出力電圧の変動を比較的小さく抑えることができる。
【0004】
また、特許文献2に従来例として開示されているように、誤差増幅回路及びPWM回路が出力側に設けられ、PWM回路が出力する矩形の駆動パルスを、駆動回路の絶縁トランスを介して入力側の主スイッチング素子に伝達する構成のDC−DCコンバータがある。また、このDC−DCコンバータは、出力側の誤差増幅回路及びPWM回路に動作用電源を供給する専用の補助電源(スイッチング電源)が設けられている。
【0005】
さらに、特許文献2に係る発明として開示されているように、誤差増幅回路が出力側に設けられ、PWM回路と主スイッチング素子の駆動回路が入力側に設けられ、出力電圧信号を、主トランスに設けた第3巻線から第4巻線を通して入力側に伝達する構成のDC−DCコンバータがある。特許文献2の実施例を説明する図面には、誤差増幅回路が出力する出力電圧信号が変換された交流電圧を第3巻線に印加し、第4巻線に発生した当該交流電圧をダイオードとコンデンサで平均化し、その平均化電圧を基準三角波電圧でパルス幅変調(PWM)する回路が記載されている。
【0006】
また、特許文献3に開示されているように、上記の誤差増幅回路及びPWM回路に相当するオン期間制御回路及びランプ波発生回路が出力側に設けられ、主スイッチング素子を一定周期毎にオフからオンに反転させる駆動回路(PWM制御回路)が入力側に設けられ、オン期間制御回路が出力するオフタイミング信号を、パルストランスを介して駆動回路に伝達する構成の絶縁型DC−DCコンバータがある。特許文献3の実施例を説明する図面には、パルス幅変調を行うための基準三角波電圧(ランプ波)を、整流平滑回路が有するインダクタの両端に発生する矩形波電圧を利用して生成するランプ波発生回路の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−186254号公報
【特許文献2】特開昭59−178969号公報
【特許文献3】特開2009−124849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のスイッチング電源回路は、伝達手段としてフォトカプラを用いるのが一般的である。しかし、この種の用途に用いられる汎用フォトカプラは、数kHz以上の高周波帯域の信号を伝達するときに位相遅れを発生させ、スイッチング電源装置の制御回路全体を発振させる要因になる。この発振を回避するためには、制御回路全体で位相特性を補正したり、高周波帯域の利得を低く抑えたりする配慮が必要になる。例えば、LCフィルタ構成の出力平滑回路の高域遮断周波数を低めに抑えるために平滑用コンデンサの容量を増やしたり、誤差増幅回路等に位相補正用の回路を追加したりする等の方法が考えられるが、いずれの方法も、装置が大型化したり回路構成が複雑化するという問題が生じる。
【0009】
また、フォトカプラ自身の利得は変換効率(発光素子に流れる電流と受光素子に流れる電流の比率)によって規定されるが、この変換効率は、使用環境や使用条件によって変動し、素子ごとの個体差も大きい。従って、制御回路全体の高周波帯域の利得を設定するとき、フォトカプラの変換効率の変動や個体差も考慮して、中心値を十分に低く設定しなければならず、発振の余裕を確保するための設計や評価が面倒であった。
【0010】
また、上記のように高周波帯域の利得を低く設定し、一定の位相遅れを是認する構成にすると、スイッチング電源装置の外部環境の過渡的な変化(負荷の急変など)に対して、出力電圧の変動を抑える制御を高速に行なうことができない。従って、特許文献1のスイッチング電源装置のように、フォトカプラに所定のバイアスをかけておくという構成であっても、出力電圧の変動を格段に小さくすることはできなかった。
【0011】
一方、特許文献2の従来例に係るDC−DCコンバータは、主スイッチング素子がオン・オフ動作を開始するためには、出力側のPWM回路を先に立ち上げる必要があるので、専用の補助電源(スイッチング電源)やバッテリー等を必ず設けなければならない。従って、装置が大型化したりコストアップするという問題がある。さらに、特許文献2の発明に係るDC−DCコンバータは、出力電圧信号を平均化する処理が行われるので、その段階で大きな位相遅れが生じる。従って、特許文献1のスイッチング電源回路と同様に、出力電圧の変動を抑える制御を高速に行うことができないという問題があった。
【0012】
特許文献3の絶縁型DC−DCコンバータは、パルス幅変調を行うための基準三角波電圧(ランプ波)が、整流平滑回路のインダクタ両端の矩形波電圧を利用して生成される。しかし、当該矩形波電圧の立ち上がりや立下りの速度は、出力電流の大小によって変化し、当該矩形波電圧の振幅も、入力電圧が変動すると変化する。従って、この基準三角波電圧の不安定さが、制御回路全体を発振させる要因になる。さらに、同期整流器に代えてダイオードを用いた場合、出力電流が小さいときに主スイッチング素子を非常に短いオン幅で駆動する必要があるが、このオン期間制御回路とランプ波発生回路の構成では、主スイッチング素子のオン幅を一定時間以下に狭めることができず、制御不能になって出力電圧が上昇するおそれもある。
【0013】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、高速応答性を備えた安定度の高い制御回路を備え、小型で安価な絶縁型のスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、主スイッチング素子のオン・オフによって直流の入力電圧を断続し、交流電圧を発生させるインバータ回路と、前記インバータ回路が発生させた交流電圧が入力巻線に印加され、その交流電圧を変圧して出力巻線から出力する主トランスと、前記出力巻線の両端電圧を整流平滑し、直流の出力電圧を生成して負荷に電力供給する整流平滑回路とを備え、前記主スイッチング素子のオン・オフをパルス幅制御することによって前記出力電圧を定電圧化する絶縁型のスイッチング電源装置であって、前記出力電圧を基準電圧と比較し、誤差分を増幅した出力電圧信号を出力する誤差増幅回路と、比較器と所定の周期で繰り返す基準三角波電圧を生成する三角波発生回路とで構成され、前記出力電圧信号と前記基準三角波電圧とを前記比較器で比較することによって、前記出力電圧信号をパルス幅変調したPWM信号を出力するPWM回路と、前記PWM信号に基づき、前記主スイッチング素子をオフさせるタイミングで発生する短幅パルスであるOFF信号を生成するOFF信号発生回路と、前記OFF信号が二次巻線に入力され、絶縁された一次巻線に伝達して出力する信号トランスと、前記主スイッチング素子をオンさせるタイミングで発生する一定周期の矩形のパルスであるON信号を生成する基本パルス発生回路と、前記ON信号が発生したタイミングで前記基準三角波電圧を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号を生成し、前記信号トランスの前記一次巻線及び前記二次巻線を介して前記三角波発生回路に向けて出力する三角波リセット信号発生回路と、前記ON信号及び前記OFF信号に基づき、前記主スイッチング素子をオン・オフさせる矩形の駆動パルスを生成する駆動パルス発生回路とを備え、前記誤差増幅回路、前記PWM回路及び前記OFF信号発生回路は、前記三角波リセット信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後であって、次の三角波リセット信号が発生する前に、前記OFF信号を発生させるように構成されたスイッチング電源装置である。
【0015】
また、前記駆動パルス発生回路は、セット・リセット・フリップフロップを含むラッチ回路で構成され、該セット・リセット・フリップフロップは、前記ON信号がセット信号として入力され、一次巻線が出力する前記OFF信号の反転信号がリセット信号として入力されて処理を行い、前記主スイッチング素子をオンさせるために前記駆動パルスがハイレベルを示す期間は、前記ON信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後に開始するようゲートがかけられ、前記ON信号のパルス幅は、前記三角波リセット信号のパルス幅と前記OFF信号のパルス幅の合算値よりも広く設定されている。
【0016】
また、前記三角波リセット信号発生回路は、前記ON信号を微分する微分回路と、前記微分回路が出力した微分信号が自己の駆動端子・グランド端子間に入力され、前記微分信号がハイレベルのときにオンする第一のトランジスタ素子とで構成され、前記信号トランスの前記一次巻線は、一端が一次側制御回路用電圧源に接続され、前記OFF信号を出力する他の一端が前記トランジスタ素子のコレクタ端子に接続され、前記誤差増幅回路は、出力電圧を反転増幅して出力電圧信号を出力するよう構成され、前記PWM回路の前記三角波発生回路は、充電用抵抗及びタイマコンデンサの直列回路と、前記タイマコンデンサの両端に接続された第二のトランジスタ素子と、前記信号トランスの前記二次巻線の一端であって、前記一次巻線の前記一次側制御回路用電圧源に接続された一端と同極性側の一端に接続された第二のトランジスタ駆動回路とで構成され、前記PWM回路の前記比較器は、非反転入力端子に入力された出力電圧信号と、反転入力端子に入力された基準三角波電圧とを比較して矩形のPWM信号を出力するよう構成され、前記OFF信号発生回路は、前記PWM信号を微分する微分回路と、前記微分回路が出力する微分信号を受けて動作するバッファ回路と、二次側制御回路用電圧源にアノード端子が接続され、前記二次巻線と前記第二のトランジスタ駆動回路との接続点にカソード端子が接続されたダイオードとで構成され、該バッファ回路の出力は、前記二次巻線の第二のトランジスタ駆動回路が接続されていない側の一端に接続され、前記微分信号がハイレベルのときに二次側制御用電圧源の電源電圧を出力し、前記微分信号がローレベルのときにローレベル電圧を出力するよう構成され、前記第二のトランジスタ駆動回路は、前記二次巻線と前記第二のトランジスタ駆動回路との接続点の電位が、前記第一のトランジスタ素子がオンしたときに前記二次側制御用電圧源の電源電圧を超えたときに、前記第二のトランジスタ素子をオンさせるよう構成されている。
【0017】
また、この発明は、主スイッチング素子のオン・オフによって直流の入力電圧を断続し、交流電圧を発生させるインバータ回路と、前記インバータ回路が発生させた交流電圧が入力巻線に印加され、その交流電圧を変圧して出力巻線から出力する主トランスと、前記出力巻線の両端電圧を整流平滑し、直流の出力電圧を生成して負荷に電力供給する整流平滑回路とを備え、前記主スイッチング素子のオン・オフをパルス幅制御することによって前記出力電圧を定電圧化する絶縁型のスイッチング電源装置であって、前記出力電圧を基準電圧と比較し、誤差分を増幅した出力電圧信号を出力する誤差増幅回路と、比較器と所定の周期で繰り返す基準三角波電圧を生成する三角波発生回路とで構成され、前記出力電圧信号と前記基準三角波電圧とを前記比較器で比較することによって、前記出力電圧信号をパルス幅変調したPWM信号を出力するPWM回路と、前記PWM信号に基づき、前記主スイッチング素子をオフさせるタイミングで発生する短幅パルスであるOFF信号を生成するOFF信号発生回路と、前記OFF信号が二次巻線に入力され、絶縁された一次巻線に伝達して出力する第一の信号トランスと、前記主スイッチング素子をオンさせるタイミングで発生する一定周期の矩形のパルスであるON信号を生成する基本パルス発生回路と、前記ON信号が発生したタイミングで前記基準三角波電圧を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号を生成する三角波リセット信号発生回路と、
前記三角波リセット信号が一次巻線に入力され、絶縁された二次巻線から前記三角波発生回路に向けて出力する第二の信号トランスと、前記ON信号及び前記OFF信号に基づき、前記主スイッチング素子をオン・オフさせる矩形の駆動パルスを生成する駆動パルス発生回路とを備えたスイッチング電源装置である。
【0018】
前記駆動パルス発生回路は、セット・リセット・フリップフロップを含むラッチ回路で構成され、該セット・リセット・フリップフロップは、前記ON信号がセット信号として入力され、一次巻線が出力する前記OFF信号の反転信号がリセット信号として入力されて処理を行い、前記主スイッチング素子をオンさせるために前記駆動パルスがハイレベルを示す期間は、前記ON信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後に開始するようゲートがかけられ、前記ON信号のパルス幅は、前記三角波リセット信号のパルス幅と前記OFF信号のパルス幅の合算値よりも広く設定されている。
【0019】
また、前記主スイッチング素子に流れるスイッチング電流をスイッチング周期毎に検出し、スイッチング電流のピーク値が基準値を超えたときに過電流信号を前記セット・リセット・フリップフロップに向けて出力する過電流検出回路を備え、前記駆動パルス発生回路は、前記過電流信号を受けて前記セット・リセット・フリップフロップが動作し、前記主スイッチング素子がオフするように前記駆動パルスを反転させる動作を行う。
【発明の効果】
【0020】
本願発明の請求項1乃至3記載のスイッチング電源装置によれば、出力側のOFF信号発生回路が発生したOFF信号が信号トランスを介して入力側の駆動パルス発生回路に伝達されるとき、信号伝達の位相遅れが生じない。また、基準三角波電圧も固定的に生成される波形であり、上述したフォトカプラのように利得のばらつきや変動が大きい素子を含まない構成である。従って、制御回路全体の発振を容易に回避することができ、高速応答性も実現することができる。 PWM回路の三角波発生回路を駆動パルス発生回路と同期をとって動作させるための三角波リセット信号も、上記の信号トランスを通して入力側から出力側に伝達することができるので、絶縁手段である信号トランスを複数個設けなくてもよい。さらに、信号トランスを通過する三角波リセット信号及びOFF信号は、スイッチング周期に対して十分に短幅のパルス電圧であるので、信号トランスを小型に実現することができる。
【0021】
また、駆動パルス生成回路をセット・リセット・フリップフロップを含むラッチ回路で構成し、主スイッチング素子を駆動する駆動パルスのオン幅を徐々にゼロまで狭めることができる構成を備えているので、制御不能になることがなく、主スイッチング素子が狭いオン幅で動作するときでもほぼ線形で安定な制御を行うことができる。しかも、このセット・リセット・フリップフロップを利用すれば、主スイッチング素子のスイッチング電流のピーク値を制限するパルス・バイ・パルス方式の高速過電流保護回路を容易に構成することができる。
【0022】
また、ON信号を入力側制御回路部分で発生させ、OFF信号を出力側制御回路部分で発生させる構成のため、上述した特許文献2の従来例のように専用の補助電源(スイッチング電源)やバッテリー等を設けなくとも、スイッチング電源装置を起動させることができる。
【0023】
本願発明の請求項4乃至6記載のスイッチング電源装置によれば、上記のスイッチング電源装置と同様の高速応答性を実現しつつ、上記の三角波リセット信号とOFF信号を通過させる信号トランスを別個に設けることによって、三角波リセット信号発生回路とOFF信号発生回路の動作上の干渉が生じない。従って、当該干渉を防止するための回路手段が不要になり、二つの信号発生回路の構成を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態の具体的な構成を示す回路図である。
【図3】図2の回路の動作を説明するタイムチャートである。
【図4】第一の実施形態の主スイッチン素子のオン時間がゼロになる動作を説明するタイムチャートである。
【図5】第一の実施形態に過電流検出回路を付加した構成を示す回路図である。
【図6】この発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態の回路の具体的な構成を示す入力側の回路図(a)と、出力側の回路図(b)である。
【図7】図6の回路の動作を説明するタイムチャートである。
【図8】この発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態を示すブロック図である。
【図9】第三の実施形態の具体的な構成を示す回路図である。
【図10】図9の回路の動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。第一の実施形態のスイッチング電源装置10は、入力電圧を出力電圧に変換して負荷に電力を供給する電力変換回路部分と、主スイッチング素子のオン・オフ動作をパルス幅制御することによって出力電圧を定電圧化する制御回路部分を備えている。
【0026】
電力変換回路部分は、図1に示すように、直流入力電源12から入力電圧が供給され、主スイッチング素子14のオン・オフ動作によって入力電圧を断続するインバータ回路16と、入力電圧を断続することによって発生する交流電圧が入力巻線18aに印加され、出力巻線18bに絶縁された交流電圧を出力する主トランス18を備えている。主スイッチ素子14は、例えば、N−chのMOS型FET等のトランジスタ素子が好適で、ゲート・ソース端子間に、オンの閾値を超えるハイレベル電圧が印加されるとオンし、ローレベル電圧が印加されるとオフする動作を行う。さらに、出力巻線18bには、その両端に発生する交流電圧を整流平滑して直流の出力電圧Voutを生成し、負荷20に電力を供給する整流平滑回路22が接続されている。
【0027】
制御回路部分は、互いに絶縁された入力側制御回路部分と出力側制御回路部分で構成され、2つの制御回路部分は、信号トランス24の一次巻線24aと二次巻線24bを介して接続されている。入力側制御回路部分は、基本パルス発生回路26、三角波リセット信号発生回路28及び駆動パルス発生回路30で構成されている。基本パルス発生回路26は、主スイッチング素子14をオンさせるタイミングで発生する所定のパルス幅を有した一定周期の矩形のパルスであるON信号Vaを生成して出力する。
【0028】
三角波リセット信号発生回路28は、ON信号Vaが発生したタイミングで、基準三角波電圧Vd1を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号Vbを生成して出力し、その三角波リセット信号Vbは、一次巻線24aから二次巻線24bを介して後述する三角波発生回路42に伝達される。駆動パルス発生回路30は、基本パルス発生回路26のON信号Vaと、信号トランス24の一次巻線24aから出力されるOFF信号Vgとを受け、主スイッチング素子14をオン・オフさせる矩形の駆動パルスViを生成する。OFF信号Vgについては後述する。
【0029】
一方、出力側制御回路部分は、誤差増幅回路34、PWM回路36及びOFF信号発生回路38で構成されている。誤差増幅回路34は、出力電圧Voutを基準電圧と比較し、基準電圧との誤差分を増幅した出力電圧信号Vd2を出力する増幅回路である。PWM回路36は、比較器40と、所定の周期で繰り返される鋸波状の基準三角波電圧Vd1を生成する三角波発生回路42とで構成され、出力電圧信号Vd2と基準三角波電圧Vd1とを比較器40で比較することによって、出力電圧信号Vd2をパルス幅変調し、主スイッチング素子14をオフさせるタイミングで反転する矩形パルスであるPWM信号Veを出力する。OFF信号発生回路38は、PWM信号Veに基づき、主スイッチング素子14をオフさせるタイミングを示す短幅パルスであるOFF信号Vfを生成して出力し、そのOFF信号Vfは、二次巻線24bから一次巻線24bを介して電圧値の異なるOFF信号Vgに変換され、上述した駆動パルス発生回路30に伝達される。さらに、上記の入力側制御回路部分は、入力側制御回路用電圧源32から電源電圧Vcc1の供給を受けて動作し、出力側制御回路部分は、出力側制御回路用電圧源44から電源電圧Vcc2の供給を受けて動作する。
【0030】
図1のスイッチング電源装置10は、例えば、図2に示すような具体的な回路素子で構成することができる。以下、図2に示すスイッチング電源装置10の構成について説明する。電力変換回路部分のインバータ回路16は、直流入力電源12の両端に、主スイッチング素子14が主トランス18の入力巻線18aを介して接続され、主スイッチング素子14がオンのときに入力巻線18aの両端に入力電圧Vinを印加し、オフのときに入力巻線18aを開放する。整流平滑回路22は、主スイッチング素子14がオンのときに二次巻線18bに発生する電圧を整流する2つのダイオード素子で成る整流回路22aと、その整流電圧をLCフィルタ構成の高域遮断フィルタで平滑する平滑回路22bを備えている。すなわち、この電力変換回路部分は、一般的なシングルエンディッドフォワード型の一石式コンバータ回路である。
【0031】
三角波リセット信号発生回路28は、ON信号Vaを微分する微分回路50と、微分回路50の微分出力である三角波リセット信号Vbがベース・エミッタ端子間に入力される第一のトランジスタ素子52とで構成されている。微分回路50は、ON信号Vaが入力されると、当該信号がローレベルからハイレベルに反転したタイミングで、ON信号Vaよりも短幅のパルスである三角波リセット信号Vbを出力する。ここでは、コンデンサと抵抗の直列回路で低域遮断フィルタを構成した微分回路50を用いているが、例えば、各種のゲート回路と受動素子を組み合わせて成るパルス幅短縮回路の構成であってもよい。第一のトランジスタ素子52は、ここではNPNトランジスタが用いられ、三角波リセット信号Vbがハイレベルのときにオンし、ローレベルのときにオフする。
【0032】
信号トランス24の一次巻線24aは、ドットが付された側の一端が入力側制御回路用電圧源32に接続され、他の一端が第一のトランジスタ素子52のコレクタ端子に接続されている。従って、第一のトランジスタ素子52にハイレベルの三角波リセット信号Vbが入力されると、一次巻線24aの両端に、三角波リセット信号Vbと同じパルス幅で、ピーク値がVcc1のパルス電圧が発生する。
【0033】
なお、一次巻線24aに並列接続されたダイオード54は、信号トランス24の励磁エネルギーを放出するリセット時に動作するダイオードで、一次及び二次巻線24a,24bに負方向(ドットを付した側と逆の側)に高電圧が発生するのを防止することによって正方向(ドットを付した側)にリンギング電圧が発生するのを抑制し、且つ、信号トランス24の偏磁を防止するリセット動作が円滑に行われよう補助する働きをする。このダイオード54は、必要に応じて削除しても構わない。
【0034】
駆動パルス発生回路30は、一般的なセット・リセット・フリップフロップ55(以下、RS−FF55と称す)とアンド・ゲート56(以下、AND56と称す)を用いたラッチ回路の構成を有している。RS−FF55は、ノット・ゲート1(以下、NOT1と称す)と、互いの入力と出力がたすき掛けに接続された2つのナンド・ゲート1,2(以下、NAND1,2と称す)で構成され、NOT1の出力がNAND1の第二の入力に接続されている。NOT1の入力には基本パルス発生回路26の出力が接続され、ON信号Vaがセット信号として取り扱われる。また、NAND2の第二の入力には、信号トランス24の一次巻線24aのドットが付されていない側の一端が接続され、OFF信号Vgがリセット信号の反転信号として取り扱われる。
【0035】
NAND1の出力には、論理演算の結果として電圧信号Vhが発生する。電圧信号Vhは、直接的に主スイッチング素子14の駆動パルスとして使用することも可能であるが、ここでは、さらにAND56を設け、NAND1の出力とNOT1の出力とをAND56に入力し、AND56から出力される電圧信号を主スイッチング素子14の駆動パルスViとして使用している。このようにAND56を用いてゲートをかける構成することによって、駆動パルスViのハイレベルの期間(主スイッチング素子14がオンする期間)が、ON信号Vaのハイレベルの期間が経過した後から始まるよう設定されている。
【0036】
出力側制御回路部分は、出力電圧Voutが電源電圧Vcc2として利用されている。スイッチング電源装置10は、入力電圧Vinが投入されると、入力電圧Vinから電源供給を受けた入力側制御回路用電圧源32が電源電圧Vcc1を発生させ、上記の入力側制御回路部分が動作を開始する。すなわち、出力側制御回路部分の動作状態に関わらず、主スイッチング素子14のオン・オフ動作を開始させることができる。従って、出力側制御回路用電圧源44は、主スイッチング素子14がオン・オフを開始した後に確立してもよいので、特許文献2の従来例に係るDC−DCコンバータのように、専用の補助電源(スイッチング電源)を設ける必要がない。よって、ここでは、出力電圧Voutをそのまま電源電圧Vcc2として利用した簡単な出力側制御回路用電圧源44が設けられている。出力電圧Voutが電源電圧Vcc2として適さない電圧値である場合は、主トランス18に第三の巻線を設ける等の簡単な方法により、適正な電源電圧Vcc2を得る構成にしてもよい。 誤差増幅回路34は、出力側制御回路用電圧源44から電源供給を受けて動作するオペアンプ57を備え、オペアンプ57の反転入力端子に、出力電圧Voutを分圧する2つの分圧抵抗58の出力が接続されている。また、カソード端子がオペアンプ57の非反転入力端子に接続され、アノード端子がグランドに接続されたツェナーダイオード60aと、出力側制御回路用電圧源44からツェナーダイオード60aにバイアス電流を供給する抵抗60bとで成る基準電圧発生回路60が設けられ、基準電圧発生回路60は、オペアンプ57の非反転入力端子に向け、ツェナーダイオード60aのツェナー電圧で定まる基準電圧を供給する。さらに、オペアンプ57の反転入力端子と出力端子の間に、信号増幅の利得や位相を調整する帰還回路62が接続されている。そして、誤差増幅回路34は、出力電圧Voutと基準電圧との誤差分を反転増幅した電圧であって、電源電圧Vcc2以下の範囲を連続的に変化するアナログ信号である出力電圧信号Vd2を出力する。
【0037】
PWM回路36の比較器40は、非反転入力端子に誤差増幅回路34の出力から出力電圧信号Vd2が入力される。一方、反転入力端子には三角波発生回路42の出力から基準三角波電圧Vd1が入力される。そして、比較器40は、基準三角波電圧Vd1が出力電圧信号Vd2がよりも低い期間はハイレベルを出力し、高い期間はローレベルを出力する。このとき、比較器40は、電源電圧Vcc2から電源供給を受けて動作しているので、ハイレベルの電圧は電源電圧Vcc2にほぼ等しくなる。
【0038】
PWM回路36の三角波発生回路42は、比較器40の反転入力端子とグランドの間に接続されたタイマコンデンサ64と、出力側制御回路用電圧源44からタイマコンデンサ64に充電電流を供給する充電抵抗66と、タイマコンデンサ64に並列接続されたNPNトランジスタである第二のトランジスタ素子68と、第二のトランジスタ素子68のベース端子を駆動する第二のトランジスタ素子駆動回路70で構成されている。
【0039】
第二のトランジスタ素子駆動回路70は、信号トランス24の二次巻線24bのドットが付された側の一端にカソード端子が接続されたツェナーダイオード70aと、ツェナーダイオード70aのアノード端子とグランドとの間に設けられた2つの分圧抵抗70bで構成され、2つの分圧抵抗70bの接続点が、第二のトランジスタ素子68のベース端子に接続されている。そして、ツェナーダイオード70aのカソード端子に印加される三角波リセット信号Vcが、第一のトランジスタ素子52がオンして電源電圧Vcc2を超えたときに、第二のトランジスタ素子68がオンするように設定されている。
【0040】
第二のトランジスタ素子68は、第二のトランジスタ素子駆動回路70に駆動されてオンし、タイマコンデンサ64の両端を短絡することによってその両端電圧を瞬時に低下させ、電圧をリセットする。その後、第二のトランジスタ68がオフしてタイマコンデンサ64の両端が解放されると、充電抵抗66を介してタイマコンデンサ64に充電電流が流れ込み、タイマコンデンサ64の両端電圧が電源電圧Vcc2を目指して上昇する。この動作を繰り返すことによって、タイマコンデンサ64の両端に鋸波状の基本三角波電圧Vd1を生成し、比較器40に向けて出力する。従って、基本三角波電圧Vd1は、入力電圧Vinや負荷20に供給する出力電流に依存しない一定の波形になる。
【0041】
OFF信号発生回路38は、PWM信号Veを微分する微分回路72と、微分回路72の微分信号が入力され、信号トランス24の二次巻線24bのドットが付されていない側の一端に信号出力するバッファ回路74と、二次側制御回路用電圧源44にアノード端子が接続され、二次巻線24bのドットが付された側の一端にカソード端子が接続されたダイオード76とで構成されている。
【0042】
微分回路72は、PWM信号Veが入力されると、ハイレベルからローレベルに反転するタイミングで、PWM信号よりも短幅のローレベル・パルスである微分信号を出力する。ここでは、コンデンサと抵抗の直列回路で低域遮断フィルタを構成した微分回路72を用いているが、例えば、各種のゲート回路と受動素子を組み合わせて成るパルス幅短縮回路の構成であってもよい。
【0043】
バッファ回路74は、二次側制御回路用電圧源44から電圧供給を受けて動作するバッファ素子であり、入力された電圧を低インピーダンスに出力する。従って、その出力信号であるOFF信号Vfは、微分回路72の出力がハイレベルのときは、ハイレベル電圧である電源電圧Vcc2となり、微分信号がローレベルの短い期間だけ、ほぼゼロ電圧となる。
【0044】
ダイオード76は、第一のトランジスタ素子52がオンして二次巻線24bに三角波リセット信号Vcが発生する期間を除いた期間に、信号トランス24の二次巻線24bのドットが付された側の一端を、電源電圧Vcc2に保持する働きをする。従って、OFF信号Vfが短幅のローレベルを示しているとき、二次巻線24bの両端に、正方向(ドットを付した側)に電源電圧Vcc2が発生し、一次巻線24aに正方向(ドットを付した側)に電圧が発生する。そして、OFF信号Vfがローレベルのときに一次巻線24に発生した当該正電圧が、上述したOFF信号Vgとして、駆動パルス発生回路30に入力される。
【0045】
次に、図2に示すスイッチング電源装置10の動作を、図3のタイムチャートに基づいて説明する。ここで、説明の便宜のため、電源電圧Vcc1と電源電圧Vcc2は等しくVccであり、信号トランス24の一次及び二次巻線24a,24bの巻数は互いに等しいとする。また、制御回路部分の各トランジスタ素子は、オンしたときの飽和電圧が十分小さく、ダイオード76の順方向電圧も十分小さいとして無視する。また、比較器40やバッファ回路74の出力は、ローレベルはゼロ電圧であり、同じくハイレベルは電源電圧Vccに等しく、出力反転の遅延時間は十分短く無視できるものする。
【0046】
スイッチング電源装置10は、図3に示すように、一定のスイッチング周波数(周期T)で動作する。以下、1周期T内の動作を期間T1〜T5に分けて説明する。
【0047】
期間T1になると、基本パルス発生回路26が出力するON信号Vaがローレベルからハイレベルに反転する。ON信号Vaは、期間T1が開始する毎にローレベルからハイレベルに反転し、所定の時間tckが経過した時点でローレベルに反転する固定の信号である。三角波リセット信号発生回路28の微分回路50は、ハイレベルのON信号Vaを通過させ、第一のトランジスタ素子52のベース・エミッタ間に、ハイレベルの三角波リセット信号Vbが発生する。そして、第一のトランジスタ素子52がオンし、信号トランス24の二次巻線24bの両端に、正方向の電圧Vccが発生する。
【0048】
このとき、二次巻線24bのドットが付されていない側の一端の電圧は、OFF信号Vfの波形に示されるように、バッファ回路74の動作によってVccになっているので、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧として現れる三角波リセット信号Vcは、ピーク値がVccの2倍の電圧になる。すると、第二のトランジスタ素子駆動回路70が第二のトランジスタ素子68をオンさせ、タイマコンデンサ64の両端電圧である基準三角波電圧Vd1が初期値のゼロ電圧に低下し、いわゆるリセット状態になる。
【0049】
基準三角波電圧Vd1がゼロ電圧に低下すると、直流的に発生している出力電圧信号Vd2の方が高電圧になるので、比較器40の出力であるPWM信号Veがローレベルからハイレベルに反転する。しかし、PWM信号Veが反転しても、バッファ回路74の出力はハイレベルを継続し、OFF信号Vfはハイレベルのまま変化しない。従って、主スイッチング素子14をオフさせるための信号が一次巻線24aに発生することはない。
【0050】
一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、第一のトランジスタ素子52がオンすることによって、ハイレベル(電圧Vcc)から、ローレベルに反転する。そして、ローレベルのOFF信号Vgが駆動パルス発生回路30に入力される。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはローレベルからハイレベルに反転する。しかし、上述したAND56の働きによって、駆動パルスViはローレベルのままなので、主スイッチング素子14はオフを継続する。
【0051】
期間T2になると、ON信号Vaはハイレベルを継続するが、三角波リセット信号Vbが微分回路50の動作によってローレベルに反転する。三角波リセット信号Vbがローレベルになると、第一のトランジスタ素子52がオフし、信号トランス24の一次巻線24aが開放される。このとき、二次巻線24bのドットが付された側の一端は、ダイオード76が導通して電圧Vccに保持され、ドットが付されていない側の一端の電圧もバッファ回路74の動作によって電圧Vccになっているので、各巻線24a,24bの両端電圧は、ほぼゼロ電圧になる。そして、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧として現れる三角波リセット信号Vcの電圧値はVccになる。すると、第二のトランジスタ素子駆動回路70が第二のトランジスタ素子68をオフさせ、タイマコンデンサ64のリセット状態が解除される。
【0052】
第二のトランジスタ素子68がオフすると、タイマコンデンサ64に充電抵抗66を介して充電電流が流れ込み、基準三角波電圧Vd1は、タイマコンデンサ64と充電抵抗66で決定される時定数に従って上昇し始める。しかし、期間T2の間は、出力電圧信号Vd2の方が基準三角波電圧Vd1よりの高電圧なので、比較器40の出力であるPWM信号Veはハイレベルを継続し、さらにバッファ回路74の出力もハイレベルを継続し、OFF信号Vfはハイレベルのまま変化しない。
【0053】
第一のトランジスタ素子52がオフすると、一次巻線24aの両端電圧は、二次巻線24bの両端電圧と同様にほぼゼロ電圧になるため、一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、ローレベルからハイレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号Vaと反転したOFF信号Vgが入力されても、RS−FF55の出力信号Vhはラッチ機能によりハイレベルを継続し、AND56の出力である駆動パルスViもローレベルを継続する。
【0054】
期間T3になると、ON信号Vaがハイレベルからローレベルに反転する。このとき、三角波リセット信号発生回路28の微分回路50から、ハイレベルの三角波リセット信号Vbが出力されることがないので、第一のトランジスタ素子52のオフが継続する。従って、出力側制御回路部分及び信号トランス24は期間T2の動作を継続し、OFF信号Vgも変化しない。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはハイレベルを継続するが、NOT1の出力がローレベルからハイレベルに反転するので、AND56の働きによって、駆動パルスViがローレベルからハイレベルに反転する。そして主スイッチング素子14がオンに転じる。
【0055】
期間T4になると、上昇する基準三角波電圧Vd1が出力電圧信号Vd2を超え、比較器40の出力であるPWM信号Veが、ハイレベルからローレベルに反転する。すると、PWM信号Veが微分回路72を通じてバッファ回路74に入力され、バッファ回路74の出力がハイレベルからローレベルに反転し、OFF信号Vfはゼロ電圧になる。また、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧は、三角波リセット信号Vcの波形に示されるように、電圧Vccに保持されている。
【0056】
一方、ON信号Va及び三角波リセット信号Vbはローレベルを継続しているので、第一のトランジスタ素子52はオフを継続する。従って、一次巻線24aの両端電圧は、二次巻線24bの両端電圧と同様の電圧Vccが正方向に発生し、一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、ハイレベルからローレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhがハイレベルからローレベルに反転し、AND56の出力である駆動パルスViもハイレベルからローレベルに反転する。従って、主スイッチング素子14がオフに転じる。
【0057】
期間T5になると、PWM信号Veはローレベルを継続するが、バッファ回路74の入力は、微分回路72の動作によってハイレベルに反転する。よって、バッファ回路74の出力がローレベルからハイレベルに反転し、OFF信号VfはVccになる。また、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧は、三角波リセット信号Vcの波形に示されるように、電圧Vccに保持される。
【0058】
一方、ON信号Va及び三角波リセット電圧Vbはローレベルを継続しているので、第一のトランジスタ素子52はオフを継続している。従って、一次巻線24aの両端電圧は、二次巻線24bの両端電圧と同様にゼロ電圧となり、一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、ローレベルからハイレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはローレベルを継続し、AND56の出力である駆動パルスViもローレベルを継続する。従って、主スイッチング素子14もオフを継続する。
【0059】
そして、上述した期間T1〜T5の動作を繰り返し、主スイッチング素子14のオン期間(期間T3,T4)とオフ時間(期間T1,T2,T5)の時比率が制御され、出力電圧Voutが定電圧化される。
【0060】
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、OFF信号発生回路38が発生したOFF信号Vfを、信号トランス24を介して入力側の駆動パルス発生回路32に伝達するが、このとき伝達の位相遅れがほとんど生じないので、高速応答性を実現することができ、制御回路全体の発振も容易に回避することができる。
【0061】
ところで、スイッチング電源装置10は、入力電圧Vinが高くなったり、出力電流が少なくなると、誤差増幅回路26の出力である出力電圧信号Vd2を低下させることによって期間T3を短くし、主スイッチング素子14のオン幅を狭くする制御を行い、出力電圧Voutが上昇するのを抑制する。そして、主スイッチング素子14のオン時間が非常に短い状態で制御されるとき、図4に示すような特徴的な動作を行う。以下、主スイッチング素子14のオン幅を狭くする方向に制御が行われてオン時間がゼロになる動作を、図4に基づいて説明する。
【0062】
図4のタイムチャートには、主スイッチング素子14のオン期間(T3,T4)が存在しない。また、期間1と期間5の動作は図3の動作と同じである。しかし、三角波リセット信号Vbがハイレベルからローレベルに反転した後、ON信号Vaがハイレベルからローレベルに反転するまでの期間(期間T2)の動作が図3のときと異なる。以下、特徴的な動作を行う期間T2について、期間T21,T22,T23に分けて説明する。
【0063】
なお、スイッチング電源装置10は、三角波リセット信号Vbのパルス幅tb(ハイレベルの期間)と、OFF信号Vfのパルス幅Vf(ローレベルの期間)との合計値が、ON信号Vaのパルス幅Tck(ハイレベルの期間)よりも短くなるように設定されている。さらに、OFF信号Vfは、三角波リセット信号Vbがハイレベルからローレベルに転じた後に発生するように設定され、OFF信号Vfと三角波リセット信号Vbが重ならないようになっている。これらは適正な動作を行うための条件であり、その目的や作用についても、以下の動作説明の中で述べる。
【0064】
期間21は、図3における期間2と同様の動作を行う。すなわち、ON信号Vaはハイレベルを継続するが、三角波リセット信号Vbは、微分回路50の動作によってローレベルに反転する。そして、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧である三角波リセット信号Vcが電圧Vccまで低下し、タイマコンデンサ64のリセット状態が解除され、基準三角波電圧Vd1が上昇し始める。しかし、出力電圧信号Vbは、基準三角波電圧Vd1のリセット状態の電圧値よりも常に高くなるように設定されているので、期間T21の間は、必ず出力電圧信号Vd2の方が基準三角波電圧Vd1よりの高電圧になる。従って、PWM信号Veはハイレベルを継続し、OFF信号VfはハイレベルであるVccのまま変化しない。一次巻線24aの両端電圧は、二次巻線24bの両端電圧と同様にほぼゼロ電圧になるため、OFF信号Vgはローレベルからハイレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはハイレベルを継続し、AND56の出力である駆動パルスViもローレベルを継続する。
【0065】
期間T22になると、上昇する基準三角波電圧Vd1が、ON信号Vaがローレベルに反転する前に出力電圧信号Vd2を超え、比較器40の出力であるPWM信号Veが、ハイレベルからローレベルに反転する。すると、PWM信号Veが微分回路72を通じてバッファ回路74に入力され、バッファ回路74の出力がハイレベルからローレベルに反転し、OFF信号Vfはゼロ電圧になる。また、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧は、三角波リセット信号Vcの波形に示すように、電圧Vccに保持されている。
【0066】
一方、ON信号Vaはハイレベル、三角波リセット信号Vbはローレベルを継続し、第一のトランジスタ素子52がオフを継続する。従って、一次巻線24aの両端電圧には、二次巻線24bの両端電圧と同様に、正方向の電圧Vccが発生し、一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、ハイレベルからローレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号VaとOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはハイレベルからローレベルに反転するが、AND56の出力である駆動パルスViはローレベルを継続する。従って、主スイッチング素子14はオフを継続する。
【0067】
期間T23になると、PWM信号Veはローレベルを継続するが、バッファ回路74に入力は、微分回路72の動作によってハイレベルに反転する。よって、バッファ回路74の出力がローレベルからハイレベルに反転し、OFF信号VfはVccになる。また、二次巻線24bのドットが付された側の一端の電圧は、三角波リセット信号Vcの波形に示されるように、電圧Vccに保持されている。
【0068】
一方、ON信号Vaはハイレベルを継続し、三角波リセット信号Vbはローレベルを継続しているので、第一のトランジスタ素子52もオフを継続する。従って、一次巻線24aの両端電圧は、二次巻線24bの両端電圧と同様にゼロ電圧となり、一次巻線24aのドットが付されていない一端の電圧は、OFF信号Vgの波形に示されるように、ローレベルからハイレベルに反転する。駆動パルス発生回路30にON信号Vaと反転したOFF信号Vgが入力されると、RS−FF55の出力信号Vhはローレベルを継続し、AND56の出力である駆動パルスViもローレベルを継続する。従って、主スイッチング素子14はオフを継続する。そして、期間T5においても、図3における期間T5と同様に、主スイッチング素子14がオフを継続する。
【0069】
以上の動作により、駆動パルスViは期間T1,T2(T21,T22,T23),T5の全期間においてローレベルとなり、主スイッチング素子14のオン幅をゼロにすることができる。従って、出力電圧信号Vd2が図3に示す高い状態から図2に示す低い状態に移行する過程で、当該オン幅を徐々に狭くして滑らかにゼロにする動作が行われ、特許文献3の絶縁型DC−DCコンバータのようにオン幅を一定以下に短くできずに制御不能になるようなことはない。また、主スイッチング素子14が狭いオン幅で動作するときでも、ほぼ線形で安定なパルス幅制御を行うことができる。
【0070】
また、上記の動作説明から分かるように、当該オン幅を徐々に狭くしてゼロにする動作を線形に制御するため、三角波リセット信号Vbのパルス幅tb(ハイレベルの期間)と、OFF信号Vfのパルス幅Vf(ローレベルの期間)との合計値が、ON信号Vaのパルス幅Tck(ハイレベルの期間)よりも短く設定し、且つ、ON信号Vaがハイレベルの間は駆動パルスViがハイレベルに反転しないように、駆動パルス発生回路30のAND56でゲートをかけることによって実現されている。しかし、例えば、整流回路22aが双方向に導通可能な同期整流素子で構成され、主スイッチング素子14が狭いオン幅で動作しない態様のスイッチング電源装置等の場合は、上記の条件を満たす必要がないので、AND56でゲートをかける構成を削除し、NAND1の出力信号Vhをそのまま駆動パルスViとして使用してもよい。
【0071】
また、上記の動作説明から分かるように、三角波リセット信号Vbがハイレベルからローレベルに転じた後でOFF信号Vfが発生するように設定するという条件は、1つの信号トランス24の中で2つの信号Vf,Vbが互いに干渉しないようにするために必要な条件である。また、駆動パルス発生回路30のRS−FF55は、ハイレベルのON信号VaとローレベルのOFF信号Vgとを同時に受けると、出力が不定になってしまうという問題もある。従って、主スイッチング素子14の動作不良を回避するため、この条件を満たす必要がある。
【0072】
また、三角波リセット信号Vb及びOFF信号Vfは、短幅パルスであることが好ましい。ここで、短幅とは、微分回路50によって決定される三角波リセット信号Vb,Vcのパルス幅tb(ハイレベルの期間)と、微分回路72によって決定されるOFF信号Vfのパルス幅tf(ローレベルの期間)が可及的に短いことを言う。パルス幅tb,tfを短くすれば、信号トランス24の磁性コア内に発生する磁束を小さく抑えることができるので、所定のインダクタンスと飽和特性を備えた信号トランス24を、比較的小さな磁性コアと少ない巻数の巻線24a,24bで構成することができ、信号トランス24を小型で安価に実現することができる。その一方で、三角波リセット信号Vb及びOFF信号Vfは、ノイズと識別可能なものであり、また、信号トランス24に寄生する浮遊容量などが存在しても信号として正確に伝達可能なものでなければならないので、ある程度のパルス幅を確保する必要がある。従って、三角波リセット信号VbとOFF信号Vfは、10〜100nsec程度の短幅に設定することが望ましい。
【0073】
また、パルス幅tb,tfを短幅にすることによって、ON信号Vaのパルス幅tck(ハイレベルの期間)も合わせて短く設定することができる。スイッチング電源装置10は、パルス幅tckの期間は主スイッチング素子14がオンできない期間なので、パルス幅Tckを短くすれば、主スイッチング素子14の最大オン幅を広くすることができる。従って、パルス幅tb,tf及びtckを短く設定し、主スイッチング素子14の最大オン幅を広げることによって、パルス幅制御の制御可能範囲を広げることができる。
【0074】
次に、図2のスイッチング電源装置10の変形例について、図5に基づいて説明する。ここで、図2と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。図5に示す変形例のスイッチング電源装置10は、図2の構成に加え、パルス状に流れるスイッチング電流を監視するパルス・バイ・パルス方式の過電流保護回路が付加されている。
【0075】
一般的なスイッチング電源装置には、負荷が故障したとき等に負荷の焼損事故を防止する目的で、出力電流を所定の値以下に制限する過電流保護回路が設けられる。過電流を検出する箇所は様々に選択できるが、主スイッチング素子に流れるスイッチング電流を観測して行う場合が多い。これは、スイッチング電流の増加を制限すれば、出力電流を制限できると同時に、主スイッチング素子を含むスイッチング電源装置自体の故障も回避できるからである。特に、スイッチング電流をスイッチング周期ごとに毎パルス観測し、そのピーク値が所定の基準値を超えると瞬時に主スイッチング素子をオフさせるパルス・バイ・パルス方式の過電保護は、高速応答性に優れており、主スイッチング素子などの半導体素子を保護するのに好適である。
【0076】
スイッチング電源装置10は、図5に示すように、主スイッチング素子14に流れるスイッチング電流を観測して過電流状態であるか否かを検出する過電流検出回路80が設けられている。過電流検出回路80は、主スイッチング素子14のソース端子とグランドとの間に挿入され、スイッチング電流を電圧に変換する電流検出抵抗82と、比較器83と、一定の電源電圧Vccを分圧し、比較器83の非反転入力端子に基準電圧を供給する分圧抵抗84と、電流検出抵抗82の両端電圧に重畳したノイズを除去して比較器83の反転入力端子に出力するRCフィルタ86とで構成されている。そして、比較器83の出力は、駆動パルス発生回路30のNAND2が有する第三の入力に接続されている。その他の構成は、図2の構成と同様である。
【0077】
図5の電流スイッチング電源装置10は、適正なスイッチング電流が流れているときは、比較器83の出力はハイレベルを継続し、図3及び図4に基づいて説明した動作を妨げない。しかし、負荷が故障する等してスイッチング電流が増加すると、電流検出抵抗82に発生するパルス状電圧のピーク値が上昇し、分圧抵抗84が出力する基準電圧を超えると、比較器83の出力が瞬時に反転し、NAND2にローレベルが入力される。すると、AND56が出力する駆動パルスViがハイレベルからローレベルに反転し、主スイッチング素子14をオフさせる。また、主スイッチング素子14がオフすると、スイッチング電流が流れなくなるので、比較器83の出力はハイレベルからローレベルに反転するが、駆動パルス発生回路30のラッチ動作により、ON信号Vaがハイレベルに反転する次の周期Tが開始するまでは、主スイッチング素子14のオフが継続する。この動作は、出力電圧を定電圧化するための信号であるOFF信号Vgの状態に関係なく行われ、過電流が検出されると、出力電圧Voutも同時に低下する。
【0078】
このように、駆動パルス生成回路30は、RS−FF55を含むラッチ回路の構成を備えているので、簡単な構成の過電流検出装置80を付加することによって、パルス・バイ・パルス方式の高速過電流保護回路を容易に構成することができる。また、主スイッチング素子のオン幅を原理的にゼロまで狭めることができるので、出力電圧が垂下したときに出力電流が急増してしまう問題、すなわち、出力電流のすそ引きの問題も容易に回避することができる。
【0079】
次に、この発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態について、図6、図7に基づいて説明する。ここで、上記のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。第二の実施形態のスイッチング電源装置90は、図6に示すように、電力変換回路部分であるインバータ回路16、主トランス18及び整流平滑回路22が、一般的なハーフ・ブリッジ型の2石式コンバータ回路の構成になっている。また、入力側制御回路部分は、2つの主スイッチング素子92a,94bを駆動するため、2出力の駆動パルス発生回路94を備え、さらに、過電流検出回路96が設けられている。その他の構成は、スイッチング電源回路10と同様である。
【0080】
インバータ回路16は、図6(a)に示すように、直流入力電源12の両端に接続された主スイッチング素子92a,92bの直列回路を有し、ハイサイド側が主スイッチング素子92aで、ローサイド側が主スイッチング素子92bである。また、同じく直流入力電源12の両端に接続された2つのコンデンサ96a,96bの直列回路を有し、ハイサイド側がコンデンサ96aで、ローサイド側がコンデンサ96bである。そして、主スイッチング素子92a,92bの接続点とコンデンサ96a,96bの接続点の間に、主トランス18の入力巻線18aが接続されている。
【0081】
また、図6(b)に示すように、主トランス18は2つの二次巻線18bを有し、整流平滑回路22は、2つのダイオードで2つの二次巻線18bに発生する電圧を全波整流する整流回路98aと、その整流電圧をLCフィルタ構成の高域遮断断フィルタで平滑する平滑回路98bを備えている。
【0082】
主スイッチング素子92a,92bは、スイッチング周期Tごとに交代で動作し、1周期Tの中で行われるオン・オフ動作は、スイッチング電源装置10の主スイッチング素子14が行う動作と同じである。また、主スイッチング素子92aがオン・オフ動作している周期Tにおいては、他方の主スイッチング素子92bは継続的にオフし、反対に主スイッチング素子92bがオン・オフ動作する周期Tにおいても、他方の主スイッチング素子92aは継続的にオフする。そして、スイッチング電源装置90は、スイッチング電源装置10と同様のパルス幅制御を、スイッチング周期Tごとに交代で、主スイッチング素子92a及び主スイッチング素子92bに施すことによって、出力電圧Voutを定電圧化することができる。従って、スイッチング電源装置90における信号トランス24、三角波リセット信号発生回路28、及び、図示しない誤差増幅回路34、PWM回路36、OFF信号発生回路38は、スイッチング電源装置10のものと構成が同じである。
【0083】
駆動パルス発生回路94は、主スイッチング素子92a,92bを、スイッチング周期Tごとに交代で動作させる駆動パルスVk,Vjを発生する。具体的には、上述した駆動パルス生成回路30が有するRS−FF55とAND56の構成に加え、トリガ・フリップフロップ100(以下、T−FF100と称す)と2つのアンド・ゲート102,104(以下、AND102,104と称す)を図6(a)のように接続する。そして、AND102,104の出力に駆動パルスVk,Vjを発生させ、駆動パルスVkを絶縁トランス等のハイサイド駆動手段106を介して主スイッチング素子92aの駆動端子に入力し、駆動パルスVkは主スイッチング素子92bの駆動端子に直接入力する。
【0084】
また、スイッチング電源装置90は、パルス状に流れるスイッチング電流を監視するパルス・バイ・パルス方式の過電流保護回路が設けられている。主スイッチング素子92a及び92bの各スイッチング電流は、何れもトランス18の入力巻線18aに流れ、その流れる向きがスイッチング周期Tごとに反転する。従って、過電流検出回路96は、上述した過電流検出回路80の構成に加え、主トランス18の入力巻線18aに流れるスイッチング電流を巻数比変換して出力するカレント・トランス108と、カレント・トランス108の出力電流を全波整流する整流回路110を図6に示すように接続し、整流回路110が出力する電流が電流検出抵抗82で電圧に変換され、RCフィルタ86に入力される構成になっている。従って、2つの主スイッチング素子92a,92bに流れるスイッチング電流を1つの過電流検出回路96で観測することができる。
【0085】
スイッチング電源装置90がパルス幅制御を行う動作は、図7のタイムチャートに示す通りである。すなわち、各部の信号Va,Vb,Vc,Vd1,Vd2,Ve,Vf,Vg,Vh,Viの動作は、図3に示す動作と同じであるが、駆動パルス発生回路90は、さらに、ON信号Vaと出力信号ViをT−FF100とAND102,104に入力して処理を行い、2つの主スイッチング素子92a,92bの駆動パルスVj,Vkを発生させる。そして、図7に示すように、先の周期Tの間に発生する駆動パルスVjは、当該先の周期Tの信号Viと同様の動作を示し、後の周期Tの間に発生する駆動パルスVkは、当該後の周期Tの信号Viと同様の動作を示す。
【0086】
このように、電力変換回路部分がハーフ・ブリッジ型に例示される2石式のコンバータ回路の構成であっても、駆動パルス発生回路94のようなRS−FF55を含むラッチ回路に構成すれば、スイッチング電源装置10のような一石式のコンバータ回路で説明したのと同様の優れた効果を得ることができる。また、フル・ブリッジ型に例示される4石式のコンバータ回路の構成であっても、同様の考え方の4出力の駆動パルス発生回路を構成すれば、スイッチング電源装置10,90と同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
次に、この発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態について、図8〜図10に基づいて説明する。ここで、上記のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明する。第三の実施形態のスイッチング電源装置110の電力変換部分は、図8に示すように、上記のスイッチング電源装置10と同様に、インバータ回路16と、入力巻線18a,出力巻線18bを有する主トランス18と、整流平滑回路22で構成されている。
【0088】
制御回路部分は、互いに絶縁された入力側制御回路部分と出力側制御回路部分で構成され、2つの制御回路部分は、第一の信号トランス112の一次巻線112aと二次巻線112b、及び第二の信号トランス114の一次巻線114aと二次巻線114bを介して接続されている。入力側制御回路部分は、基本パルス発生回路26、三角波リセット信号発生回路28及び駆動パルス発生回路30で構成されている。基本パルス発生回路26は、上記のスイッチング電源装置10のものと同様である。
【0089】
三角波リセット信号発生回路28は、ON信号Vaがハイレベルに反転するタイミングで基準三角波電圧Vd1を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号Vbを生成して出力し、その三角波リセット信号Vbは、第二の信号トランス114の一次巻線114aから二次巻線114bを介して三角波発生回路42に伝達される。駆動パルス発生回路30は、基本パルス発生回路26のON信号Vaと、第一の信号トランス112の一次巻線112aから出力されるOFF信号Vgとを受け、主スイッチング素子14をオン・オフさせる矩形の駆動パルスViを生成する。
【0090】
一方、出力側制御回路部分は、誤差増幅回路34、PWM回路36及びOFF信号発生回路120で構成されている。誤差増幅回路34、出力電圧Voutを基準電圧と比較し、基準電圧との誤差分を増幅した出力電圧信号Vd2を出力する増幅回路である。PWM回路36は、比較器40と、所定の周期で繰り返される鋸波状の基準三角波Vd1を生成する三角波発生回路42とで構成され、出力電圧信号Vd2と基準三角波Vd1とを比較器40で比較することによって、出力電圧信号Vd2をパルス幅変調し、主スイッチング素子14をオフさせるタイミングで反転する矩形パルスであるPWM信号Veを出力する。OFF信号発生回路120は、PWM信号Veに基づいて、主スイッチング素子14をオフさせるタイミングで反転する矩形のパルスであるOFF信号Vfを生成して出力し、OFF信号Vfは、第一の信号トランス112の二次巻線112bから一次巻線112bを介してOFF信号Vgに変換され、駆動パルス発生回路30に伝達される。さらに、上記の入力側制御回路部分は、入力側制御回路用電圧源32から電源電圧Vcc1の供給を受けて動作を行い、出力側制御回路部分は、出力側制御回路用電圧源44から電源電圧Vcc2の供給を受けて動作を行う。
【0091】
スイッチング電源装置110は、例えば、図9に示すような具体的な回路素子で構成することができる。以下、図9に示すスイッチング電源装置110の構成について説明する。電力変換回路部分のインバータ回路16、主トランス18、及び整流平滑回路22は、一般的なシングルエンディッドフォワード型の一石式コンバータ回路である。三角波リセット信号発生回路28は、入力側制御回路部分の基本パルス発生回路26のON信号Va受け、三角波リセット信号Vbを出力する機能を有し、上記スイッチング電源装置10のものと同様の構成である。
【0092】
第二の信号トランス114の一次巻線114aは、ドットが付された側の一端が入力側制御回路用電圧源32に接続され、他の一端が第一のトランジスタ素子52のコレクタ端子に接続されている。従って、第一のトランジスタ素子52に三角波リセット信号Vbが入力されると、一次巻線24aの両端に、三角波リセット信号Vbと同じパルス幅で、ピーク値がVcc1のパルス電圧が発生する。
【0093】
駆動パルス発生回路30は、上記スイッチング電源装置10と同様のもので、NOT1の入力に基本パルス発生回路26の出力が接続され、ON信号Vaがセット信号として取り扱われる。また、NAND2の第二の入力には、第二の信号トランス114の一次巻線114aのドットが付されていない側の一端が接続され、OFF信号Vgがリセット信号の反転信号として取り扱われる。そして、AND56の出力から主スイッチング素子14を駆動するための駆動パルスViを出力する。
【0094】
出力側制御回路部分は、出力電圧Voutが電源電圧Vcc2として利用されている。これは、スイッチング電源装置110の構成であれば、特許文献2のような専用の補助電源(スイッチング電源)を設けなくても、入力投入時にスイッチング素子14がオン・オフ動作を開始することができるからである。誤差増幅回路34は、出力電圧Voutと基準電圧との誤差分を反転増幅した電圧であって、電源電圧Vcc2以下の範囲を連続的に変化する出力電圧信号Vd2を出力する機能を有し、スイッチング電源装置10のものと同様の構成である。PWM回路28の比較器40は、スイッチング電源装置10のものと同様に、非反転入力端子には誤差増幅回路34の出力から出力電圧信号Vd2が入力され、反転入力端子には三角波発生回路42の出力から基準三角波電圧Vd1が入力される。従って、基準三角波電圧Vd1が出力電圧信号Vd2がよりも低い期間はハイレベル(電圧Vcc)を出力し、高い期間はローレベルを出力する。PWM回路28の三角波発生回路34は、三角波リセット信号Vcを受けて第二のトランジスタ素子68がタイマコンデンサ64の両端電圧をリセットし、その後、第二のトランジスタ68がオフしてタイマコンデンサ64の両端を解放し、鋸波状の基準三角波電圧Vd1を発生させる機能を有し、構成は、上記のスイッチング電源装置10のものと同様である。
【0095】
第一の信号トランス112の二次巻線112bは、ドットが付された側の一端が出力側制御回路用電圧源44に接続され、他の一端がバッファ回路74の出力に接続されている。OFF信号発生回路120は、上記スイッチング電源装置10と同様に、PWM信号Veを微分する微分回路72と、微分回路72の微分信号が入力され、信号トランス24の二次巻線24bのドットが付されていない側の一端に信号出力するバッファ回路74を備えているが、ダイオード76は削除されている。従って、その出力信号であるOFF信号Vfは、微分回路72の出力がハイレベルのときは、ハイレベル電圧である電源電圧Vcc2となり、微分信号がローレベルの短い期間だけ、ほぼゼロ電圧となる。
第一の信号トランス112の一次巻線112aは、ドットが付された一端が入力側制御回路用電圧源32に接続され、他の一端が駆動パルス発生回路30のNAND2の入力に接続されている。従って、OFF信号Vfが短幅のローレベルを示しているとき、一次巻線112aに正方向(ドットを付した側)に電圧が発生する。そして、OFF信号Vfがローレベルのときに一次巻線112aに発生した正電圧が、上述したOFF信号Vgとして、駆動パルス発生回路30に入力される。
【0096】
スイッチング電源装置110がパルス幅制御を行う動作は、図10のタイムチャートに示す通りである。各信号Va,Vb,Vc,Vd1,Vd2,Ve,Vf,Vh,Viの動作は、図3に示す動作と同じであるが、OFF信号Vgだけが異なり、三角波リセット信号Vcが信号トランス114に発生する期間T1も、ハイレベルを維持する。これは、三角波リセット信号を伝達する信号トランスとOFF信号を伝達する信号トランスとが別個に設けられて、互いに干渉することがないからである。
【0097】
このように、スイッチング電源装置110は、2つの信号トランス112,114を備えているので、三角波リセット信号発生回路28とOFF信号発生回路120の動作上の干渉が発生することがないので、当該干渉による不安定動作を回避するための補助的回路などを付加する必要がなく、回路構成をより簡単にすることができる。また、2つの信号トランス112,114は、短幅パルスを通過させ得る性能を備えていればよいので、いずれも小型で安価に構成することができる。
【0098】
なお、この発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、三角波リセット信号発生回路やOFF信号発生回路は、入力されたパルス信号に基づいて、信号トランスの巻線の両端に所定のパルス信号を発生させる機能を備えた回路であればよく、周知のトランス励磁回路の中から適宜選択することができる。また、三角波発生回路についても、三角波リセット信号に基づいてリセット可能なPWM変調用の基準三角波電圧を発生させる構成であれば、自由に変更できる。
【0099】
また、制御用の各信号のロジックは、必ずしも図3、図7及び図10で例示した動作と同一である必要はなく、駆動パルスViが主スイッチング素子14をオン・オフするための所定のロジックを有し、且つ、信号トランスの二次巻線にハイレベルの電圧が印加される時間が短幅であれば、各信号のハイレベルとローレベルが逆位相になる回路構成であってもよい。
【0100】
また、入力側制御回路部分及び出力側制御回路部分は、アナログ/デジタル変換器(A/D変換器)、クロック、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ内に集積して設けてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10,90,110 スイッチング電源装置
14,92a,92b 主スイッチング素子
16 インバータ回路
18 主トランス
18a 入力巻線
18b 出力巻線
22 整流平滑回路
22a,98a 整流回路
22b,98b 平滑回路
24 信号トランス
24a 一次巻線
24b 二次巻線
26 基本パルス発生回路
28 三角波リセット信号発生回路
30,94 駆動パルス発生回路
32 入力側制御回路用電圧源
34 誤差増幅回路
36 PWM回路
38,120 OFF信号発生回路
40 比較器
42 三角波発生回路
44 出力側制御回路用電圧源
50 微分回路
52 第一のトランジスタ素子
54 ダイオード
58 分圧抵抗
57 オペアンプ
60 基準電圧発生回路
62 帰還回路
64 タイマコンデンサ
66 充電抵抗
68 第二のトランジスタ素子
70 第二のトランジスタ素子駆動回路
72 微分回路
74 バッファ回路
76 ダイオード
80 過電流検出回路
82 電流検出抵抗
83 比較器
84 分圧抵抗
86 RCフィルタ
96a,96b コンデンサ
106 ハイサイド駆動手段
108 カレント・トランス
110 整流回路
112 第一の信号トランス
112a 一次巻線
112b 二次巻線
114 第二の信号トランス
114a 一次巻線
114b 二次巻線
Va ON信号
Vb,Vc 三角波リセット信号
Vd1 基準三角波電圧
Vd2 誤差増幅回路
Ve PWM信号
Vf,Vg OFF信号
Vi,Vk,Vj 駆動パルス
Vcc,Vcc1,Vcc2 電源電圧


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主スイッチング素子のオン・オフによって直流の入力電圧を断続し、交流電圧を発生させるインバータ回路と、
前記インバータ回路が発生させた交流電圧が入力巻線に印加され、その交流電圧を変圧して出力巻線から出力する主トランスと、
前記出力巻線の両端電圧を整流平滑し、直流の出力電圧を生成して負荷に電力供給する整流平滑回路とを備え、
前記主スイッチング素子のオン・オフをパルス幅制御することによって前記出力電圧を定電圧化する絶縁型のスイッチング電源装置において、
前記出力電圧を基準電圧と比較し、誤差分を増幅した出力電圧信号を出力する誤差増幅回路と、
比較器と所定の周期で繰り返す基準三角波電圧を生成する三角波発生回路とで構成され、前記出力電圧信号と前記基準三角波電圧とを前記比較器で比較することによって、前記出力電圧信号をパルス幅変調したPWM信号を出力するPWM回路と、
前記PWM信号に基づき、前記主スイッチング素子をオフさせるタイミングで発生する短幅パルスであるOFF信号を生成するOFF信号発生回路と、
前記OFF信号が二次巻線に入力され、絶縁された一次巻線に伝達して出力する信号トランスと、
前記主スイッチング素子をオンさせるタイミングで発生する一定周期の矩形のパルスであるON信号を生成する基本パルス発生回路と、
前記ON信号が発生したタイミングで前記基準三角波電圧を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号を生成し、前記信号トランスの前記一次巻線及び前記二次巻線を介して前記三角波発生回路に向けて出力する三角波リセット信号発生回路と、
前記ON信号及び前記OFF信号に基づき、前記主スイッチング素子をオン・オフさせる矩形の駆動パルスを生成する駆動パルス発生回路とを備え、
前記誤差増幅回路、前記PWM回路及び前記OFF信号発生回路は、前記三角波リセット信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後であって、次の三角波リセット信号が発生する前に、前記OFF信号を発生させるように構成されていることを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記駆動パルス発生回路は、セット・リセット・フリップフロップを含むラッチ回路で構成され、該セット・リセット・フリップフロップは、前記ON信号がセット信号として入力され、一次巻線が出力する前記OFF信号の反転信号がリセット信号として入力されて処理を行い、
前記主スイッチング素子をオンさせるために前記駆動パルスがハイレベルを示す期間は、前記ON信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後に開始するようゲートがかけられ、
前記ON信号のパルス幅は、前記三角波リセット信号のパルス幅と前記OFF信号のパルス幅の合算値よりも広く設定されている請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記三角波リセット信号発生回路は、前記ON信号を微分する微分回路と、前記微分回路が出力した微分信号が自己の駆動端子・グランド端子間に入力され、前記微分信号がハイレベルのときにオンする第一のトランジスタ素子とで構成され、
前記信号トランスの前記一次巻線は、一端が一次側制御回路用電圧源に接続され、前記OFF信号を出力する他の一端が前記トランジスタ素子のコレクタ端子に接続され、
前記誤差増幅回路は、出力電圧を反転増幅して出力電圧信号を出力するよう構成され、
前記PWM回路の前記三角波発生回路は、充電用抵抗及びタイマコンデンサの直列回路と、前記タイマコンデンサの両端に接続された第二のトランジスタ素子と、前記信号トランスの前記二次巻線の一端であって、前記一次巻線の前記一次側制御回路用電圧源に接続された一端と同極性側の一端に接続された第二のトランジスタ駆動回路とで構成され、
前記PWM回路の前記比較器は、非反転入力端子に入力された出力電圧信号と、反転入力端子に入力された基準三角波電圧とを比較して矩形のPWM信号を出力するよう構成され、
前記OFF信号発生回路は、前記PWM信号を微分する微分回路と、前記微分回路が出力する微分信号を受けて動作するバッファ回路と、二次側制御回路用電圧源にアノード端子が接続され、前記二次巻線と前記第二のトランジスタ駆動回路との接続点にカソード端子が接続されたダイオードとで構成され、該バッファ回路の出力は、前記二次巻線の第二のトランジスタ駆動回路が接続されていない側の一端に接続され、前記微分信号がハイレベルのときに二次側制御用電圧源の電源電圧を出力し、前記微分信号がローレベルのときにローレベル電圧を出力するよう構成され、
前記第二のトランジスタ駆動回路は、前記二次巻線と前記第二のトランジスタ駆動回路との接続点の電位が、前記第一のトランジスタ素子がオンしたときに前記二次側制御用電圧源の電源電圧を超えたときに、前記第二のトランジスタ素子をオンさせるよう構成された請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
主スイッチング素子のオン・オフによって直流の入力電圧を断続し、交流電圧を発生させるインバータ回路と、
前記インバータ回路が発生させた交流電圧が入力巻線に印加され、その交流電圧を変圧して出力巻線から出力する主トランスと、
前記出力巻線の両端電圧を整流平滑し、直流の出力電圧を生成して負荷に電力供給する整流平滑回路とを備え、
前記主スイッチング素子のオン・オフをパルス幅制御することによって前記出力電圧を定電圧化する絶縁型のスイッチング電源装置において、
前記出力電圧を基準電圧と比較し、誤差分を増幅した出力電圧信号を出力する誤差増幅回路と、
比較器と所定の周期で繰り返す基準三角波電圧を生成する三角波発生回路とで構成され、前記出力電圧信号と前記基準三角波電圧とを前記比較器で比較することによって、前記出力電圧信号をパルス幅変調したPWM信号を出力するPWM回路と、
前記PWM信号に基づき、前記主スイッチング素子をオフさせるタイミングで発生する短幅パルスであるOFF信号を生成するOFF信号発生回路と、
前記OFF信号が二次巻線に入力され、絶縁された一次巻線に伝達して出力する第一の信号トランスと、
前記主スイッチング素子をオンさせるタイミングで発生する一定周期の矩形のパルスであるON信号を生成する基本パルス発生回路と、
前記ON信号が発生したタイミングで前記基準三角波電圧を初期値にリセットするための短幅パルスである三角波リセット信号を生成する三角波リセット信号発生回路と、
前記三角波リセット信号が一次巻線に入力され、絶縁された二次巻線から前記三角波発生回路に向けて出力する第二の信号トランスと、
前記ON信号及び前記OFF信号に基づき、前記主スイッチング素子をオン・オフさせる矩形の駆動パルスを生成する駆動パルス発生回路とを備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記駆動パルス発生回路は、セット・リセット・フリップフロップを含むラッチ回路で構成され、該セット・リセット・フリップフロップは、前記ON信号がセット信号として入力され、一次巻線が出力する前記OFF信号の反転信号がリセット信号として入力されて処理を行い、
前記主スイッチング素子をオンさせるために前記駆動パルスがハイレベルを示す期間は、前記ON信号が発生し該パルス幅の期間が経過した後に開始するようゲートがかけられ、
前記ON信号のパルス幅は、前記三角波リセット信号のパルス幅と前記OFF信号のパルス幅の合算値よりも広く設定されている請求項4記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記主スイッチング素子に流れるスイッチング電流をスイッチング周期毎に検出し、スイッチング電流のピーク値が基準値を超えたときに過電流信号を前記セット・リセット・フリップフロップに向けて出力する過電流検出回路を備え、
前記駆動パルス発生回路は、前記過電流信号を受けて前記セット・リセット・フリップフロップが動作し、前記主スイッチング素子がオフするように前記駆動パルスを反転させる請求項2,3又は5のいずれか記載のスイッチング電源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−78188(P2011−78188A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226004(P2009−226004)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000103208)コーセル株式会社 (80)
【Fターム(参考)】