説明

セメント質硬化体

【課題】色調がほぼ均一であり、打放しコンクリートに似た表面を有する超高強度を発現するセメント質硬化体を提供する。
【解決手段】セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、白色顔料、減水剤及び水を含む配合物を硬化させてなるセメント質硬化体であって、白色顔料の配合量がセメント100質量部に対して0.3質量部以上であるセメント質硬化体。
上記配合物は、繊維類(金属繊維、有機質繊維、炭素繊維)や、平均粒径3〜20μmの無機粉末や、平均粒度1mm以下の繊維状粒子等を含むことができる。
上記セメント質硬化体は、表面粗さ(Ry)が10μm以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打放しコンクリートに似た表面を有し、かつ、色調がほぼ均一である超高強度を発現するセメント質硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高級感や重厚感に優れ、一般住宅やビル等の部材(壁材、床材、天井材等)の厚さを薄くすることができる超高強度を発現するセメント質硬化体が提案されている(特許文献1)。前記特許文献1に記載のセメント質硬化体は、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、水及び減水剤、さらには必要に応じて、金属繊維や無機粉末等を含む配合物の硬化体であり、その表面粗さ(Ry)が10μm以下のものである(特許文献1)。
上記超高強度セメント質硬化体は、通常のコンクリートに比べて単位セメント量が多いため、通常のコンクリートに比べて明度(L値)が小さく黒っぽいため、打放しコンクリートとは異なる印象の外観を有するものであった(後述実施例参照)。
一方、近年、打放しコンクリート意匠が、その素材の持つ自然の美しさや独特な外観等から多くの建築物に採用されており、超高強度セメント質硬化体においても、打放しコンクリートに似せた表面を有することが望まれている。
また、前記特許文献1に記載のセメント質硬化体は、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、水、減水剤、さらには必要に応じて、金属繊維や無機粉末等を含む配合物を成形し、一次養生し、脱型した後、該成形体を60〜90℃で3〜48時間程度蒸気養生(二次養生)して、製造されているが、該セメント質硬化体では、二次養生終了時にその表面に不均一に白華が発生し色むらが生じることがあるので、色調をほぼ均一にすることも望まれている。
【特許文献1】特開2001−270756
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、打放しコンクリートに似た表面を有し、かつ、色調がほぼ均一である超高強度を発現するセメント質硬化体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、超高強度セメント質硬化体に白色顔料を特定量添加することにより、上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、白色顔料、減水剤及び水を含む配合物を硬化させてなるセメント質硬化体であって、白色顔料の配合量がセメント100質量部に対して0.3質量部以上であることを特徴とするセメント質硬化体である(請求項1)。
そして、白色顔料としては、酸化チタンの表面をシリカ成分で被覆した粉末を使用することが好ましい(請求項2)。
そして、上記配合物は、繊維類(金属繊維、有機質繊維、炭素繊維)や、平均粒径3〜20μmの無機粉末や、平均粒度1mm以下の繊維状粒子等を含むことができる(請求項3〜5)。
そして、上記セメント質硬化体は、表面粗さ(Ry)が10μm以上であることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0005】
本発明のセメント質硬化体は、打放しコンクリートに似せた表面を有し、かつ、色調がほぼ均一であるので、本発明のセメント質硬化体を使用することにより、打放しコンクリートに似せた表面を有するプレキャスト部材(壁材、床材、天井材等)を製造することができる。また、本発明のセメント質硬化体は、100N/mm2以上の圧縮強度を発現するので、本発明のセメント質硬化体を使用することにより、部材(壁材、床材、天井材等)の厚さを薄くすることで軽量化を図ることができ、プレキャスト部材においては施工を容易に行うことができる。従って、本発明のセメント質硬化体を使用することにより、打放しコンクリートに似た表面を有するコンクリート構造物を容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
セメント質硬化体用の材料及び好ましい配合割合について説明する。
セメントの種類としては、特に限定されることがなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを使用することができる。
本発明において、硬化体の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0007】
ポゾラン質微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。
一般に、シリカフュームやシリカダストは、その平均粒径が1.0μm以下であり、粉砕等を行なう必要がないので、本発明のポゾラン質微粉末として好適である。
ポゾラン質微粉末を配合することによって、そのマイクロフィラー効果及びセメント分散効果が発揮されて、硬化体が緻密化し、圧縮強度が向上する。一方、ポゾラン質微粉末の添加量が多過ぎると、単位水量が増大し、硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等が低下するので、ポゾラン質微粉末の添加量は、セメント100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0008】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂またはこれらの混合物を使用することができる。本発明においては、配合物の作業性や分離抵抗性、硬化後のクラック抵抗性等から、85%質量累積粒径が2mm以下の細骨材を用いることが好ましく、配合物の分離抵抗性や硬化後の強度発現性等から、最大粒径が2mm以下の細骨材を用いることがより好ましく、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることが特に好ましい。
細骨材の配合量は、配合物の作業性や分離抵抗性、硬化後の強度、緻密性や耐衝撃性等の面から、セメント100質量部に対して50〜250質量部が好ましく、80〜180質量部がより好ましい。
【0009】
白色顔料としては、酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末等が挙げられ、中でもセメント質硬化体の明度や表面を打放しコンクリートに似せる効果や色調を均一にする効果等から、酸化チタン粉末を使用することが好ましく、酸化チタンの表面をシリカ成分で被覆した粉末を使用することが特に好ましい。
本発明においては、白色顔料の平均粒径は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。10μm以下の平均粒径を有する白色顔料を配合することによって、配合物の流動性や強度発現性を低下させることなく、色調がほぼ均一で打放しコンクリートに似せた表面を有する超高強度を発現するセメント質硬化体を製造することができる。白色顔料の平均粒径が10μmを超えると、セメント質硬化体の明度や表面を打放しコンクリートに似せることが困難となるうえ、色調をほぼ均一にすることも困難となるので好ましくない。
白色顔料の配合量は、セメント100質量部に対して0.3質量部以上である。白色顔料の配合量がセメント100質量部に対して0.3質量部未満では、色調をほぼ均一にすることが困難となるうえ、セメント質硬化体の明度や表面を打放しコンクリートに似せることも困難となるので好ましくない。なお、白色顔料をセメント100質量部に対して6質量部を超えて配合しても、セメント質硬化体表面の明度等はそれほど変化せず、配合物の流動性等が低下するので、白色顔料の配合量はセメント100質量部に対して6質量部以下とすることが好ましく、セメント質硬化体の表面を打放しコンクリートに似せる効果、色調を均一にする効果や、配合物の流動性、硬化体の緻密性や強度等から、白色顔料の配合量は、セメント100質量部に対して0.5〜5質量部とすることがより好ましく、1〜4質量部とすることが特に好ましい。
【0010】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。中でも、ポリカルボン酸系の高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することが好ましい。減水剤を配合することによって、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化後の緻密性や強度等が向上する。
減水剤の配合量は、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化後の緻密性や強度、コスト等の面から、セメント100質量部に対して固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
【0011】
水としては、水道水等を使用することができる。
本発明において、水/セメント比は、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化体の強度、耐久性、緻密性や耐衝撃性等の面から、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0012】
本発明においては、硬化後の曲げ強度や破壊エネルギーを向上するために、配合物に金属繊維、有機質繊維及び炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維を含ませることが好ましい。金属繊維としては、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられるが、中でも鋼繊維は強度に優れており、またコストや入手のし易さの点からも好ましいものである。金属繊維は、径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。径が0.01mm未満では繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れやすくなる。径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際ファイバーボールが生じやすくなる。長さが2mm未満では曲げ強度を向上させる効果が低下する。金属繊維の配合量は、配合物の体積の4%未満が好ましく、より好ましくは3%未満である。金属繊維の含有量が多くなると混練時の作業性等を確保するために単位水量も増大するので、金属繊維の配合量は前記の量が好ましい。
【0013】
有機質繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維等を使用することができる。中でも、強度、コスト、入手のし易さ等の面から、ビニロン繊維が好ましい。炭素繊維としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維を使用することができる。
有機質繊維又は炭素繊維は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。直径が0.005mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、硬化体の破壊エネルギー等を向上する効果が低下する。長さが2mm未満では、マトリックスとの付着力が低下して、破壊エネルギー等を向上する効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。有機質繊維又は炭素繊維の配合量は、配合物の体積の10%以下が好ましく、1.0〜7.0%がより好ましい。繊維の配合量は、流動性と硬化体の破壊エネルギーの観点から定められる。すなわち、一般に、繊維の含有量が多くなると、破壊エネルギーが向上する反面、流動性を確保するために単位水量が増大する。そのため、有機質繊維又は炭素繊維の配合量は、前記の数値範囲内とするのが好ましい。
【0014】
本発明においては、配合物の流動性や硬化後の強度、緻密性等を向上するために、配合物に無機粉末を含ませることが好ましい。無機粉末としては、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化後の品質安定性の点で好ましい。
無機粉末の平均粒径は、3〜20μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。この範囲内の平均粒径を有する無機粉末を配合することによって、配合物の流動性が向上し、硬化体がより緻密化する。無機粉末の平均粒径が前記範囲外では、配合物の流動性、硬化体の緻密性や強度等が低下するので好ましくない。
無機粉末の配合量は、配合物の流動性、硬化体の緻密性や強度等の面から、セメント100質量部に対して50質量部以下が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
【0015】
本発明においては、硬化後の靭性を向上するために、配合物に繊維状粒子もしくは薄片状粒子を含ませることが好ましい。繊維状粒子としては、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられ、薄片状粒子としては、例えば、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の平均粒度は1mm以下であることが好ましい。前記粒度の繊維状粒子もしくは薄片状粒子を配合することによって、硬化体の靭性が向上する。平均粒度が1mmを超えると、配合物の流動性や硬化体の強度等が低下するので好ましくない。なお、本発明における粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の配合量は、配合物の流動性、硬化後の強度や靭性等の面から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、1〜25質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明においては、配合物の混練方法は、特に限定するものではなく、例えば、
1)水、減水剤以外の材料を予め混合しておき(プレミックス)、該プレミックス、水、減水剤をミキサに投入し、混練する。
2)水以外の材料を予め混合しておき(プレミックス、ただし減水剤は粉末タイプのもの を使用する)、該プレミックス、水をミキサに投入し、混練する。
3) 各材料を、それぞれ個別にミキサに投入し、混練する。
などの方法が挙げられる。
混練に用いる装置は特に限定するものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
【0017】
混練後、所定の型枠に配合物を投入して成形し、その後、養生して硬化させる。
養生は、気中養生や蒸気養生等を行えば良い。
【0018】
本発明のセメント質硬化体の表面粗さ(以降、Ryと称す)は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。表面粗さ(Ry)とは、測定対象物の表面の断面曲線の最大高さ(最高点と最低点の高低差)をいい、「JIS B 0601-1994」に準じて測定される。セメント質硬化体のRyが10μm未満では、該セメント質硬化体に光沢が生じてしまい、該セメント質硬化体の設置場所によっては、打放しコンクリートと異なる(似ていない)との印象が強くなる可能性があるので好ましくない。
セメント質硬化体のRyを10μm以上にするには、例えば、普通合板製の型枠を使用して成形する方法や、セメント質硬化体表面をショットブラスト処理する方法等が挙げられる。
なお、通常、打放しコンクリートは、平坦な面を有することが多いので、本発明のセメント質硬化体においては、Ryは、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。セメント質硬化体のRyが5mmを越えると、打放しコンクリートと異なる(似ていない)との印象が強くなる可能性があるので好ましくない。
【0019】
本発明の配合物は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定したフロー値が、200mm以上と流動性に優れるものであり、型枠への投入等の作業が容易である。また、本発明の配合物の硬化体は、100N/mm2以上の圧縮強度と20N/mm2以上の曲げ強度を発現するので、本発明のセメント質硬化体を使用することにより部材(壁材、床材、天井材等)の厚さを薄くすることができる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例によって本発明を説明する。
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
(a)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
(b)ポゾラン質微粉末:シリカフューム(平均粒径:0.7μm)
(c)細骨材:珪砂5号
(d)減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤
(e)水:水道水
(f)白色顔料A:酸化チタンの表面をシリカ成分で被覆した粉末(平均粒径:0.2μm)
(g)白色顔料B:酸化チタン粉末(平均粒径:0.3μm)
(h)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(i)石英粉末(平均粒径:7μm)
(j)繊維状粒子:ウォラストナイト(平均長さ:0.3mm、長さ/直径の比:4)
【0021】
2.実施例1
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、高性能減水剤0.7質量部(セメントに対する固形分)、水22質量部、石英粉末30質量部、ウォラストナイト4質量部、鋼繊維(配合物中の体積の2%)及び表1に示す量の白色顔料を二軸練りミキサに投入し、混練した。各配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。また、各配合物をφ50×100mmの型枠(鋼製)に流し込み、20℃で24時間前置きし90℃で48時間蒸気養生後、圧縮強度を測定した(3本)。また、各配合物を4×4×16cmの型枠(鋼製)に流し込み、20℃で24時間前置きし90℃で48時間蒸気養生後、曲げ強度を測定した(3本)。
その結果を表1に併記する。
【0022】
また、上記各配合物を30×30×1cmの型枠(普通合板製)に流し込み、20℃で24時間前置きし90℃で48時間蒸気養生して、30×30×1cmのセメント質硬化体をそれぞれ5枚ずつ製造した。該セメント質硬化体表面を目視観察し、(1)打放しコンクリートに似ているか否か、及び(2)色調を調べた。また、色差計(ミノルタ社製CR-210)を使用して、該セメント質硬化体表面の明度を測定した。また、該セメント質硬化体のRyを「JIS B 0601-1994」に基づいて表面粗さ計を使用して測定した。
その結果を表2に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
表1〜2から、本発明のセメント質硬化体は、明度が普通コンクリートとほぼ同じであり、打放しコンクリートに似た表面を有する超高強度セメント質硬化体であった。また、色調もほぼ均一であった。なお、白色顔料の配合量がセメント100質量部に対して、7.5質量部と多いNo.10の硬化体は、打放しコンクリートに似た表面を有する硬化体であったが、配合物のフロー値は小さかった。
一方、白色顔料を含まないか、配合量が少ない硬化体(No.11、12)では、明度が普通コンクリートに比べて小さかった。また、目視観察の結果も、普通コンクリートに比べて黒っぽく、打放しコンクリートとは異なる(似ていない)ものであった。
【0026】
3.実施例2
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、白色顔料A1.5質量部、高性能減水剤0.7質量部(セメントに対する固形分)、水22質量部を二軸練りミキサに投入し、混練した。該配合物を30×30×1cmの型枠(普通合板製)に流し込み、20℃で24時間前置きし90℃で48時間蒸気養生して、30×30×1cmのセメント質硬化体を5枚製造した。該セメント質硬化体表面を目視観察した。また、実施例1と同様に明度とRyを測定した。
その結果、硬化体の明度は64、Ryは25μmであり、目視観察の結果も、色調は均一であり、打放しコンクリートに似ているものであった。
【0027】
4.実施例3
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、細骨材120質量部、白色顔料A1.5質量部、高性能減水剤0.7質量部(セメントに対する固形分)、水22質量部、鋼繊維(配合物中の体積の2%)を二軸練りミキサに投入し、混練した。該配合物を30×30×1cmの型枠(普通合板製)に流し込み、20℃で24時間前置きし90℃で48時間蒸気養生して、30×30×1cmのセメント質硬化体を5枚製造した。該セメント質硬化体表面を目視観察した。また、実施例1と同様に明度とRyを測定した。
その結果、硬化体の明度は64、Ryは25μmであり、目視観察の結果も、色調は均一であり、打放しコンクリートに似ているものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、白色顔料、減水剤及び水を含む配合物を硬化させてなるセメント質硬化体であって、白色顔料の配合量がセメント100質量部に対して0.3質量部以上であることを特徴とするセメント質硬化体。
【請求項2】
白色顔料が、酸化チタンの表面をシリカ成分で被覆した粉末である請求項1に記載のセメント質硬化体。
【請求項3】
配合物が、金属繊維、有機質繊維及び炭素繊維から選ばれる1種以上の繊維を含む請求項1又は2に記載のセメント質硬化体。
【請求項4】
配合物が平均粒径3〜20μmの無機粉末を含む請求項1〜3のいずれかに記載のセメント質硬化体。
【請求項5】
配合物が平均粒度1mm以下の繊維状粒子又は薄片状粒子を含む請求項1〜4のいずれかに記載のセメント質硬化体。
【請求項6】
表面粗さ(Ry)が10μm以上である請求項1〜5のいずれかに記載のセメント質硬化体。

【公開番号】特開2008−201631(P2008−201631A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40689(P2007−40689)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】