説明

ダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム及びそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置。

【課題】
接着剤層を単層にすることでダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの作成時の作業工数を低減し、界面が少なく信頼性の高いダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを提供すること。
【解決手段】
基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイアタッチフィルムであって、
基材フィルム(II)のフィルム状接着剤層側の界面が離型処理されており、かつ、
フィルム状接着剤層が、アクリル酸エステル共重合体、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを用いることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム及びそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
これらの半導体装置の製造方法としては、ケイ素、ガリウム、ヒ素などからなる半導体ウエハーに粘着シートを貼付し、ダイシングにより個々の半導体素子に切断分離した後、エキスパンディング、個片チップのピックアップを行い、次いで、半導体チップを金属リードフレームあるいはテープ基板または有機硬質基板にダイボンディングする半導体装置の組立工程へ移送される。
【0003】
ピックアップされた半導体チップは、ダイボンディング工程において、フィルム状接着剤層などのダイアタッチ材を介してリードフレームあるいは基板に接着され、半導体装置が製造されている(特許文献1、2)。
【0004】
また最近では、(i)基材上、(ii)粘着剤層、(iii)剥離性工程フィルム、(iv)熱可塑性接着フィルム、および(v)ウエハー固定用接着剤層をこの順序で5層積層してなり、(iii)の剥離処理面上に、(iv)が剥離可能に積層されてなることを特徴とするウエハダイシング・接着用シートが知られている(特許文献3)。これは接着層に、(iv)熱可塑性接着フィルムと(v)ウエハー固定用接着剤層の2層を用いることで、要求される接着性能に対応した接着層を提供するものである。また剥離処理を施すことで、個片ダイのピックアップ時に(iii)と(iv)が容易に剥離できるという技術的特徴を有している。
【0005】
更に接着剤層にポリイミドを用いた4層構造のものも知られている(特許文献4)。
【特許文献1】特開2002−353252号公報
【特許文献2】特開2002−294177号公報
【特許文献3】特開2003−142505号公報
【特許文献4】特開平09−266183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献(特許文献3)記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有 していた。
第一に、接着層として(iv)と(v)の2層を用いているため、フィルム作成時によ り多くの接着層を積層する必要があるという課題が生じていた。
第二に、接着層として(iv)と(v)の2層を用いているため、界面が一つ余計に増 えることで信頼性低下が見られたりするなどの課題を残していた。
本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところはフィルム作成時の工数を減らし、1層の接着剤層により高信頼性のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを提供することにある。
また、特許文献4は、接着剤層に高Tgのポリイミドを使用しているために貼り付け温度が約200℃と高く、貼り付け時に、高度に集積されたチップに熱損傷を与えてしまうという課題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記[1]〜[8]に記載の本発明により達成される。
[1]基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイアタッチフィルムであって、
基材フィルム(II)のフィルム状接着剤層側の界面が離型処理されており、かつ、
フィルム状接着剤層が、アクリル酸エステル共重合体、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[2] [1]記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
前記アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が−30℃以上60℃以下であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[3] [1]または[2]記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[4] [1]記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであってフィルム状接着剤の剥離時にUV照射または加熱処理が不要であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[5] [1]乃至[3]のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
フィルム状接着剤層のウエハーへの貼り付け温度が15℃以上60℃以下であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[6]基材フィルム(II)とフィルム状接着剤層の外径がウエハーの貼り付け予定部分の外径より大きく、かつウエハーリング貼り付け予定部分の内径より小さいものである[1]乃至[5]のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
[7](A)[1]乃至[6]のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの接着剤層部分にシリコンウエハー裏面を貼り合わせる工程、
(B)粘着剤層にウエハーリングを貼り付ける工程、
(C)前記シリコンウエハーをダイシングし個片ダイに切り離す工程、
(D)裏面に接着剤層を残存させたダイを基材フィルムから剥離し取り出す工程、及び、
(E)当該ダイを、リードフレームまたは基板に、接着剤層を介して加熱接着する工程
を含む半導体装置の製造方法。
[8]半導体素子、フィルム状接着剤、リードフレーム及び基板を含んでなる半導体装置であって、
当該フィルム状接着剤が、[1]乃至[6]のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを用いて配置されたものである半導体装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、接着剤層を単層にすることでダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの作成時の作業工数を低減し、かつ信頼性の高いものであるダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを提供する。また本発明の別の効果は、ウエハーへの低温貼り付け性と加熱工程または紫外線照射工程を含まずにピックアップ工程ができるダイボンディング用材料による半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイアタッチフィルムであって、フィルム状接着剤がアクリル酸エステル共重合体及び熱硬化性樹脂からなることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムに関するものである。なお下記は例示であり、本発明は何ら下記に限定されるものではない。以下に本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの各構成要素について詳細に説明する。
【0010】
本発明で用いる基材フィルム(I)としては公知のものを使用してもよく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢ビ共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ビニルポリイソプレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂からなるフィルムの他、さらにこれらの混合物からできるフィルム、さらにこれらを積層したフィルムを用いることができる
これらの基材フィルム(I)のうち、ポリプロピレン樹脂を30〜70重量部(好ましくは40〜60重量部)と、ポリスチレンブロックとビニルイソプレンブロックからなる共重合体70〜30重量部(好ましくは60〜40重量部)の混合物を用いることが好ましい。また粘着剤層との密着性を上げるために、これら基材の表面にコロナ処理を行ってもよい。基材フィルム(I)の厚みとしては、好ましくは30〜300μm、特に好ましくは50〜200μmである。
【0011】
本発明で用いる粘着剤層としては特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステルモノマーを重合させたポリマーの他、前記モノマーと共重合可能な不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなど)とを共重合させたコポリマーが用いられる。
また本発明の粘着剤層には、凝集力を高めるためにロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等の粘着付与剤等を添加しても構わない。
【0012】
さらに上記の粘着剤層の成分として帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止剤を添加することにより、エキスパンド時あるいはピックアップ時に発生する静電気を抑制できるため、チップの信頼性が向上する。帯電防止剤としては、具体的にはアニオン性、カチオン性、非イオン性、ないし両イオン性の一般に公知の界面活性剤、カーボンブラック、銀、ニッケル、アンチモンドープスズ酸化物、スズドープインジウム酸化物などの粉体が用いられる。帯電防止剤は、粘着剤中に0〜30重量部、特に0〜20重量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0013】
また本発明における粘着剤層は基材フィルム(I)及び基材フィルム(II)を固定し、かつウエハーリングに簡便に貼り付き、かつ簡便に取り外しができるようにガラス転移温度が−30℃以上60℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が60℃を超えるとウエハーリングを60℃以下で貼り付けることが難しくなり、−30℃を下回ると粘着力が強すぎてウエハーリングの取り外しが難しくなる。
【0014】
本発明において、前記粘着剤層の厚さは特に限定されるものではないが、5〜35μm程度であるのが好ましい。5μm未満であると、粘着力が充分でなくダイシング時にチップが飛散する問題があり、35μm以上であると、ダイシング時にチッピング等が起こりやすくなる。
【0015】
前記粘着剤層を製造するには、粘着剤層を構成する成分を必要に応じて適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法に従って適宜の厚みに塗布又は散布等により基材上に塗工し、80〜100℃、30秒〜10分程度加熱処理等で乾燥させることにより得ることができる。
【0016】
本発明に用いる基材フィルム(II)としては、片面が表面離型処理されているものであれば公知のものを使用してよく、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等があげられる。離型処理としては離型剤をフィルム表面にコーティングする処理や、フィルム表面に細かい凹凸をつける処理等があげられる。前記離型剤としてはシリコーン系、アルキッド系、フッ素系等があげられるが、特にダイシング後チップ飛びの抑制とピックアップ性の両立に優れるため、シリコーン系、もしくはアルキッド系の離型剤による処理が好ましい。
基材フィルム(II)の厚みとしては、5〜100μmが好ましく、特に10〜60μmが好ましい。厚みが薄すぎるとダイシング時にチップが飛散する問題があり、厚すぎるとピックアップ不良が起こる問題がある。
本発明では、基材フィルム(II)の表面離型された面にフィルム状接着剤層を形成し、表面離型されてない面を粘着剤層に貼り付けることにより、ピックアップ工程において、基材フィルム(II)がフィルム状接着剤層間の界面から容易に剥離することを可能にし、優れたピックアップ性を実現させる。
【0017】
本発明のフィルム状接着剤層を構成する樹脂組成物は、アクリル酸エステル共重合体、及び熱硬化性樹脂及からなる。
【0018】
本発明のフィルム状接着剤層に用いるアクリル酸エステル共重合体は、接着力の向上、凝集力の向上という点で優れている。またアクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度は−20〜120℃であることが好ましい。さらに−20〜60℃がより好ましく、特に−10〜50℃が好ましい。ガラス転移温度が低すぎるとフィルム状接着剤層の粘着力が強くなり、ピックアップ不良が起こる場合や、作業性が低下する場合がある。ガラス転移温度が高すぎるとチッピングやクラックが起こる場合や、低温接着性を向上する効果が低下する場合がある。
【0019】
前記アクリル酸エステル共重合体は、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびアクリルニトリルのうち少なくとも1つをモノマー成分とした共重合体が挙げられる。この中でも、官能基としてエポキシ基、水酸基、カルボキシル基、二トリル基等を持つ化合物を有するアクリル酸エステル共重合体が好ましい。これにより、半導体素子等の被着体への密着性をより向上することができる。
前記官能基を持つ化合物として、具体的にはグリシジルエーテル基を持つグリシジルメタクリレート、水酸基を持つヒドロキシメタクリレート、カルボキシル基を持つカルボキシメタクリレート、二トリル基を持つアクリロニトリル等が挙げられる。
【0020】
前記官能基を持つ化合物の含有量は、特に限定されないが、前記アクリル酸エステル共重合体全体の0.5〜40重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好ましい。含有量が低すぎるとチッピングやクラックが起こる場合や、密着性を向上する効果が低下する場合がある。含有量が高すぎると粘着力が強すぎ、ピックアップ不良が起こる場合や、作業性を向上する効果が低下する場合がある。
【0021】
前記アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、10万以上が好ましく、特に15万以上100万以下が好ましい。重量平均分子量がこの範囲内であると、特に半導体用接着フィルムの製膜性を向上することができる。
【0022】
次に、本発明のフィルム状接着剤層に用いる熱硬化性樹脂は、例えばビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、またフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等も挙げられる。これらは単独でも混合して用いても良い。
【0023】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂が好ましく、特に結晶性エポキシ樹脂が好ましい。このような結晶性エポキシ樹脂としては、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格等の剛直な構造を主鎖に有し、比較的低分子量であるものが挙げられる。結晶性エポキシ樹脂が好ましい理由は、常温では結晶化している固体であるが、融点以上の温度域では急速に融解して低粘度の液状に変化するからである。それによって、本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの接着剤層部分にシリコンウエハー裏面とを貼り合わせる工程における、初期密着性をより向上することができる。
【0024】
本発明のフィルム状接着剤層に用いるエポキシ樹脂の配合量は、アクリル酸エステル共重合体100重量部に対し好ましくはエポキシ樹脂1〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部である。配合量が多すぎるとチッピングやクラックが起こる場合や、密着性を向上する効果が低下する場合がある。配合量が低すぎると、粘着力が強すぎ、ピックアップ不良が起こる場合や、作業性を向上する効果が低下する場合がある。
【0025】
本発明のフィルム状接着剤層は必要に応じて硬化剤を含むことができる。
前記硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が挙げられる。
これらの中でもフェノール系硬化剤が好ましく、具体的にはビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビスフェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンおよびこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各種異性体等の化合物が挙げられる。
【0026】
前記硬化剤の配合量は、特に限定されないが、前記アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して1〜90重量部が好ましく、特に3〜60重量部が好ましい。配合量が低すぎると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、配合量が高すぎると保存性が低下する場合がある。
【0027】
本発明のフィルム状接着剤層は、硬化促進剤としてイミダゾール類を含んでもよい。具体的には、2メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾール イソシアヌル付加物、2−メチルイミダゾール イソシアヌル付加物、2−フェニルー4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール臭化水素酸塩、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物などの化合物が挙げられる。
【0028】
前記硬化促進剤の配合量は、特に限定されないが、前記アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して0.01〜30重量部が好ましく、特に0.5〜10重量部が好ましい。配合量が低すぎると硬化性が不十分である場合があり、高すぎると保存性が低下する場合がある。
【0029】
本発明のフィルム状接着剤層は必要に応じてさらにカップリング剤を含むことができる。これにより樹脂と被着体及び樹脂とシリカ界面との密着性を向上させることができる。
【0030】
カップリング剤としてはシラン系、チタン系、アルミニウム系などが挙げられるが中でもシラン系カップリング剤が好ましい。カップリング剤としては例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0031】
前記カップリング剤の配合量は、特に限定されないが、前記アクリル酸エステル共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.1〜10重量部が好ましい。配合量が低すぎると密着性の効果が不十分である場合があり、高すぎるとアウトガスやボイドの原因になる場合がある。
【0032】
本発明のフィルム状接着剤層には、必要に応じてフィラーを配合してもよい。フィラーの平均粒径は0.1〜25μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満であるとフィラー添加の効果が少なく、25μmを超えるとフィルムとしての接着力の低下をもたらす可能性がある。
【0033】
本発明のフィルム状接着剤層に用いるフィラーとしては、銀、酸化チタン、シリカ、マイカ等が好ましい。フィラーの配合量は0.1%〜30重量%が好ましく、30%を超えるとフィルムとしてもろくなり接着性が低下する。
【0034】
本発明のフィルム状接着剤層のウエハーへの貼り付け温度は15℃以上60℃以下であることを特徴とする。温和な条件での貼り付けを可能にすることでウエハー貼り付け後の反り、割れを抑制することができる。
【0035】
本発明は、フィルム状接着剤層がウエハーおよび被着体に対する強い密着性と、基材フィルム(II)に対する十分な密着性と離型性を持つことにより、特開2003−142505における発明では(iv)と(v)の2層でなる接着層を本発明では1層にまとめることができる。このため、本発明では作成において接着剤層を積層させる工程を省略でき、かつ接着剤層内の界面が無くなるために信頼性も優位となり、ダイシング工程においても、切断する層が少なくなるため、耐チッピング性が優位となる。また本発明では、特開2003−142505における発明に比較して、接着層が1層分薄くなるために、チップが多段に積層された半導体装置において、半導体装置の小型化に優位となる。
【0036】
本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの製造方法としては、先ず基材フィルム(II)の離型処理された面上に、フィルム状接着剤層を構成する樹脂組成物を必要に応じて適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど、一般に周知の方法に従って、塗工し、乾燥させてフィルム状接着剤層を形成し、そこに保護シートを積層する。または耐熱性の保護シート上に、フィルム状接着剤層を構成する樹脂組成物を必要に応じて適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど、一般に周知の方法に従って塗工し、乾燥させて接着剤層を形成しそこに、基材フィルム(II)を積層する。ここで得られた基材フィルム(II)と接着剤層をハーフカットすることにより円形に得られた基材フィルム(II)及びフィルム状接着剤層と、カットされていない保護フィルムの三層構造シートが得られる。ハーフカットの円形はウエハーの貼り付け予定部分の外径より大きく、かつウエハーリング貼り付け予定部分の内径より小さいものであるため、ウエハーリングを汚染することなく半導体装置作成作業に用いることができる。
【0037】
また、粘着剤層を構成する成分を必要に応じて適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法に従って適宜の厚みに塗布又は散布等により基材フィルム(I)上に塗工し、基材フィルム(I)上に粘着剤層が塗られた2層構造シートが得られる。または耐熱性の保護シート上に、粘着剤層を構成する樹脂組成物を必要に応じて適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーターなど、一般に周知の方法に従って塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成しそこに、基材フィルム(I)を積層することにより、基材フィルム(I)上に粘着剤層が塗られた2層構造シートが得られる。
【0038】
前述の粘着剤層が塗られた基材フィルム(I)の2層構造シートに前述のハーフカットされた3層構造シートを積層することで、基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイアタッチフィルムを得ることができる。
【0039】
本発明の一つの態様として、基材フィルム(II)と接着剤層の外径がウエハーの貼り付け予定部分の外径より大きく、かつウエハーリング貼り付け予定部分の内径より小さいことを特徴とするものがある。基材フィルム(II)上のフィルム状接着剤層の外径がウエハーの貼り付け予定部分より大きいことでウエハー全面にフィルム状接着剤層が貼りつき、ウエハーリング貼り付け予定部分の内径より小さいことでウエハーリングとフィルム状接着剤層が貼り付くことを防ぎ、基材フィルム(I)上の粘着剤にウエハーリングを貼り付けることができる。ウエハーリングとフィルム状接着剤層が接するとフィルム状接着剤層がウエハーリングに貼りつきウエハーリングが汚染されるという問題が生じる。
【0040】
本発明の半導体装置の製造方法は、まず、シリコンウエハーの裏面に本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの接着剤層を室温あるいは60℃以下の温和な条件で貼付した後、ウエハーリングを粘着剤層に貼り付けた後ダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを、ダイシング装置上に固定し、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のダイアタッチフィルム付きシリコンウエハーを個片単位に切断して個片ダイとした半導体チップを得る。
【0041】
続いて、ダイアタッチフィルムのフィルム状接着剤層を半導体チップの裏面に固着残存させたままで、加熱工程または紫外線照射工程を含まずに基材フィルム(II)とフィルム状接着剤層界面で剥離する。
【0042】
このようにして、ダイアタッチフィルムのフィルム状接着剤層が固着されている半導体チップを、そのまま金属リードフレームや基板に、フィルム状接着剤層を介し、加熱・圧着することで、ダイボンディングすることができる。加熱・圧着の条件として、通常は、100〜300℃の加熱温度、1〜10秒の圧着時間であり、好ましくは100〜200℃の加熱、1〜5秒の圧着時間である。つづいて、加熱にすることにより、ダイアタッチフィルム中のエポキシ樹脂を硬化させ、半導体チップとリードフレームや基板等とを、強固に接着させた半導体装置を得ることができる。この場合の加熱温度は、通常は100〜300℃程度、好ましくは150〜250℃程度であり、加熱時間は通常は1〜240分間、好ましくは10〜60分間である。
最終的に硬化したダイアタッチフィルムは、高い耐熱性を有するとともに、アクリルゴム樹脂成分のため硬化物は、脆質性が低く、優れた剪断強度と高い耐衝撃性、耐熱性を有する。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
[1]基材フィルム(I)及び粘着剤層
基材フィルム(I)としてハイブラ60重量部ポリプロピレン40重量部からなるクリアテックCT−H717(クラレ製)を、押し出し機で、厚み100μmのフィルムを形成し、表面をコロナ処理した。次にアクリル酸2−エチルヘキシル50重量部とアクリル酸ブチル10重量部、酢酸ビニル37重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3重量部とを共重合して得られた重量平均分子量500000の共重合体を剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルムに乾燥後の厚さが10μmになるように塗工し、80℃で5分間乾燥し、粘着剤層を得た。その後粘着剤層を基材フィルム(I)のコロナ処理面にラミネートして基材フィルム(I)及び粘着剤層を得た。
【0044】
[2]フィルム状接着剤層成分
アクリル酸エステル共重合体(グリシジル基含有アクリル酸エステル共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、熱硬化性樹脂として結晶性のクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、日本化薬(株)製)32重量部と、エポキシ樹脂(NC6000、日本化薬(株)製)48重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)39重量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.2重量部、とをメチルエチルケトン(MEK)に溶解して樹脂固形分40%の樹脂ワニスを得た。
【0045】
[3]フィルム状接着剤層及び基材フィルム(II)
コンマコーターを用いて上述の樹脂ワニスを、基材フィルム(II)であるポリエチレンテレフタレートフィルム(王子製紙(株)製、25RL−07NS、厚さ25μm)のアルキッド系離型処理面に塗布し、70℃、10分間乾燥して、基材フィルム(II)つきのフィルム状接着剤層を得た。
【0046】
[4]ダイシングシート機能付きダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム
上述の基材フィルム(II)つきのフィルム状接着剤層に保護フィルムを貼り付け、基材フィルム(II)及びフィルム状接着剤層をハーフカットし、上述の基材フィルム(I)上の粘着剤層に貼り付け、保護フィルムを剥がすことにより、基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを得た。
【0047】
(実施例2)
フィルム状接着剤層成分の樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にしてダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを得た。
アクリル酸エステル共重合体(グリシジル基含有アクリル酸エステル共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−P3、Tg:15℃、重量平均分子量:850,000)100重量部と、熱硬化性樹脂としてクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、日本化薬(株)製)32重量部、エポキシ樹脂(NC6000、日本化薬(株)製)48重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)39重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.2重量部とを用いた。
【0048】
(比較例1)
基材フィルム(II)に離型処理がされていないポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にしてダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを得た。
【0049】
(比較例2)
フィルム状接着剤層成分の樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にしてダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを得た。
アクリル酸エステル共重合体(グリシジル基含有アクリル酸エステル共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.2重量部、とを用いた。
【0050】
次に、ダイシング機能付きダイアタッチフィルムを用いた半導体装置について説明する。
【0051】
実施例および比較例で得られたダイシング機能付きダイアタッチフィルムを6インチ550μmウエハーの裏面に100℃で貼り付けし、ダイシング機能付きダイアタッチフィルム付きウエハーを得た。その後ダイシング機能付きダイアタッチフィルム付きウエハーを、ダイシングソーを用いて、スピンドル回転数30,000rpm、切断速度50mm/secで5mm×5mm角の半導体素子のサイズにダイシング(切断)して、次にダイシングシート機能付きダイシングシートの裏面から突上げし基材フィルム(II)及びフィルム状接着剤層間で剥離しダイアタッチフィルムが接合した半導体素子をビスマレイミド−トリアジン樹脂基板に、130℃、1MPa、1.0秒間圧着して、ダイボンディングし、180℃1時間で加熱し、樹脂で封止して10個の半導体装置を得た。
【0052】
各実施例および比較例で得られたダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムおよび半導体装置に関して次の評価を行った。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1、2に示す。
【0053】
(1) ダイシング後のチップの飛散
半導体ウェハーをダイシングした後に、粘着が弱いためにダイアタッチフィルム上から剥離する半導体チップの個数を計測することにより評価した。
【0054】
(2) ピックアップ性
半導体ウェハーのダイシング後に紫外線照射し、ダイアタッチフィルム付き半導体チップを光透過性基材から取り上げること(ピックアップ)ができるかを評価した。
○:ほぼ全てのチップがピックアップ可能なもの
△:ダイシングしたチップの50〜90%がピックアップ可能なもの
×:ピックアップが50%以下のもの
【0055】
(3)チッピング特性
○:チップのかけの幅が最大で30μm以下のもの。
△:チップのかけの幅が最大で30〜50μmのもの。
×:チップのかけの幅が最大で50μm以上のもの。
【0056】
(4)ウエハーリング汚染
実施例1,2では粘着剤層に比較例では接着剤層にウエハーリングを貼り付け一週間放置後取り外した時のウエハーリングへの接着剤の転写を目視で評価した。ウエハーリングが汚染されていなければ○、汚染されていれば×の評価を行った。
【0057】
(5)接着フィルムの初期接着性
ダイアタッチフィルムとビスマレイミド―トリアジン基板との接着性は、ダイアタッチフィルムが接合した半導体素子と、ビスマレイミド―トリアジン基板とを130℃、1MPa、1.0秒間の条件で接合し、そのまま未処理(硬化処理前)の状態でチップとリードフレームとの剪断強度を評価した。
◎:剪断強度が、1.0MPa以上である
○:剪断強度が、0.75以上、かつ1.0MPa未満である
△:剪断強度が、0.5以上、かつ0.75MPa未満である
×:剪断強度が、0.5MPa未満である
【0058】
(6)吸湿処理後の接着性
各実施例および比較例で得られた半導体装置を85℃/85%RH/168時間吸湿処理をした後、半導体素子とリードフレームとの剪断強度を評価した。
◎:剪断強度が、1.0MPa以上である
○:剪断強度が、0.75以上、かつ1.0MPa未満である
△:剪断強度が、0.5以上、かつ0.75MPa未満である
×:剪断強度が、0.5MPa未満である
(7)耐クラック性
耐クラック性は、各実施例および比較例で得られた半導体用接着フィルムを用いた半導体装置を85℃/85%RH/168時間吸湿処理をした後、260℃のIRリフローを3回行い走査型超音波探傷機(SAT)で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:クラックが全く無し
○:クラックが、7/10個以上無し
△:クラックが、9/10個以上、かつ7/10個未満有り
×:クラックが、10/10個有り
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
表2から明らかなように、実施例1、2は、ピックアップ性に優れ、かつチップの飛散も無くチッピングにも優れ、耐クラック性も優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムは、チップをリードフレームまたは基板に接着する際に好適に用いられる。その他の半導体構成要素の接着にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの断面図を示す。
【0064】
【図2】図2は本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを使用した半導体装置の製造方法の1工程を示す。
【0065】
【図3】図3は本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを使用した半導体装置の製造方法の1工程を示す。
【0066】
【図4】図4は本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを使用した半導体装置の製造方法の1工程を示す。
【0067】
【図5】図5は本発明のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを使用した半導体装置の製造方法の1工程を示す。
【符号の説明】
【0068】
1基材フィルム(I)
2粘着剤層
3基材フィルム(II)
4フィルム状接着剤層
5シリコンウエハー
6ウエハーリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム(I)、粘着剤層、基材フィルム(II)およびフィルム状接着剤層がこの順に構成されてなるダイアタッチフィルムであって、
基材フィルム(II)のフィルム状接着剤層側の界面が離型処理されており、かつ、
フィルム状接着剤層が、アクリル酸エステル共重合体、熱硬化性樹脂を含むことを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項2】
請求項1記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
前記アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が−30℃以上60℃以下であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項3】
請求項1または2記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項4】
請求項1記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであってフィルム状接着剤の剥離時にUV照射または加熱処理が不要であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムであって、
フィルム状接着剤層のウエハーへの貼り付け温度が15℃以上60℃以下であることを特徴とするダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項6】
基材フィルム(II)とフィルム状接着剤層の外径がウエハーの貼り付け予定部分の外径より大きく、かつウエハーリング貼り付け予定部分の内径より小さいものである請求項1乃至5のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルム。
【請求項7】
(A)請求項1乃至6のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムの接着剤層部分にシリコンウエハー裏面を貼り合わせる工程、
(B)粘着剤層にウエハーリングを貼り付ける工程、
(C)前記シリコンウエハーをダイシングし個片ダイに切り離す工程、
(D)裏面に接着剤層を残存させたダイを基材フィルムから剥離し取り出す工程、及び、
(E)当該ダイを、リードフレームまたは基板に、接着剤層を介して加熱接着する工程
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体素子、フィルム状接着剤、リードフレーム及び基板を含んでなる半導体装置であって、
当該フィルム状接着剤が、請求項1乃至6のいずれかに記載のダイシングシート機能付きダイアタッチフィルムを用いて配置されたものである半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−237483(P2006−237483A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53242(P2005−53242)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】