説明

ダブルハンドロボットの減速機構

【課題】
ダブルハンドロボットにおいて、下側に配された歯付ベルト伝動機構の組み立てと歯付ベルトの張力の調整を容易に行えるようにすることである。
【解決手段】
第2アームA2 の床板部2における下側の減速プーリユニットU2 が配置される部分は部分的に開口されて、当該下面部分開口3は下蓋体21により閉塞される構成にして、下側に配置される減速プーリユニットU2 の第2アームA2 の長手方向Qに沿った固定位置を当該第2アームA2 の下側から前記下面部分開口3を通して調整可能にすることにより、下側の減速プーリユニットU2 の軸心C41,C42とハンド旋回軸36,37の軸心C3 との軸心間距離L1,L2 を調整して、下側の歯付ベルトV22の張力を調整可能な構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空状のアーム内に2つのハンドの歯付ベルト伝動機構が上下二段に配置され、しかも1つのハンドに対して複数の歯付ベルトが使用されて減速されるダブルハンドロボットの減速機構であって、更に詳しくは、下側に配置される歯付ベルト伝動機構の組み立て、及び下側の歯付ベルトの張力調整をアームの下側から行えるようにしたダブルハンドロボットの減速機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダブルハンドロボットでは、2つのハンドを個別に駆動させるためにアーム内に2つの駆動モータが配置されて、中空状のアーム内に2つのハンドに対応した歯付プーリ、歯付ベルトから成る歯付ベルト伝動機構が上下二段に配置されて、各駆動モータの動力は、各歯付ベルト伝動機構を介して各ハンドの旋回軸に伝達される。特許文献1に示されるダブルハンドロボットは、1つのハンドに対して使用される歯付ベルトは1つであるために、減速比を大きくするために、歯付ベルトが掛装される各プーリの径の比を大きくするには、ハンド旋回軸と駆動モータの距離を大きくするか、或いは駆動モータの出力軸側に歯車減速機構を組み込む必要がある。前者では水平方面内におけるスペースが、一方後者では垂直面内におけるスペースが増す問題がある。また、歯付ベルトの数は、1つのハンドに対して1つであるために、トルクを増大させるには、容量の大きな駆動モータを使用せざるを得ないという問題がある。
【0003】
また、特許文献2にも、ダブルハンドロボットの減速機構が開示されているが、本件に関しても、1つのハンドに対して1つの歯付ベルトが使用されているために、天井(上面)側から歯付ベルトの張力を調整する場合には、上面側にある歯付ベルト伝動機構が取付けられた状態では、床面(下面)側の歯付ベルト伝動機構の部品交換等ができないと共に、歯付ベルトの張力調整もできないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152490号公報
【特許文献2】特開2008−36762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、2つの駆動モータの回転を上下2段に配した各歯付ベルト伝動機構を介して2つのハンドに減速させて伝達する構成のダブルハンドロボットにおいて、下側に配された歯付ベルト伝動機構の組み立てと歯付ベルトの張力の調整を容易に行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、上面が開口した中空状をなしていて当該開口が上蓋体により閉塞されて、先端部に2つの各ハンドが上下二段に配置されて、ハンド旋回軸を介してそれぞれ連結されるアームと、駆動軸に取付けられた歯付プーリが上下方向に沿ってずれて前記アーム内に配置され、前記各ハンドを駆動する各駆動モータと、上下二段に配置された各プーリ支持体が前記アームに、その長手方向に沿った固定位置を独立して調整可能にして前記アーム内に固定され、各プーリ支持体に大小の各歯付プーリが上下にずれて取付けられた上下2段の各減速プーリユニットとを備え、前記各駆動モータの各駆動軸に取付けられた各歯付プーリと、前記各減速プーリユニットの大きな各歯付プーリとの間に歯付ベルトがそれぞれ掛装されると共に、前記各減速プーリユニットの小さな各歯付プーリと、内外二重構造の前記ハンド旋回軸に取付けられた各歯付プーリとの間に歯付ベルトがそれぞれ掛装されて、各駆動モータの回転を減速させて前記各ハンドをそれぞれ独立して旋回させるダブルハンドロボットの減速機構であって、前記アームの床板部における下側の減速プーリユニットが配置される部分は部分的に開口されて、当該部分開口は下蓋体により閉塞される構成にして、下側に配置される前記減速プーリユニットのアームの長手方向に沿った固定位置を当該アームの下側から前記部分開口を通して調整可能にすることにより、下側の前記減速プーリユニットと前記ハンド旋回軸の軸心間距離を調整して、下側の歯付ベルトの張力を調整可能にしたことを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、上蓋体を取り外してアームの上面を開口させて、上下二段に配置された上側の歯付ベルト伝動機構の組み付け、及び歯付ベルトの張力の調整を行う。歯付ベルトの張力の調整は、アームの長手方向に沿った上側の減速プーリユニットの固定位置を調整することにより、当該上側の減速プーリユニットの軸心とハンド旋回軸の軸心との軸心間距離を調整して行う。
【0008】
一方、下側の歯付ベルト伝動機構を構成する歯付プーリ、或いは歯付ベルトの交換等を行う際には、上側の歯付ベルト伝動機構を構成する歯付プーリ、或いは歯付ベルト等の各要素が障害となるために、上側の歯付ベルト伝動機構を構成する各要素を取り外した状態で、下側の歯付ベルト伝動機構を構成する各要素の交換等を行った後に、再度、上側の歯付ベルト伝動機構を構成する各要素の再組み付けを行っていたため、下側の歯付ベルト伝動機構の各要素の交換等の作業は大変に面倒であった。全く同様に、下側の減速プーリユニットとハンド旋回軸との間に掛装された歯付ベルトの張力の調整を行う場合にも、上記と同様にして上側の歯付ベルト伝動機構を構成する各要素を取り外して、下側の減速プーリユニットを構成する歯付ベルトの張力の調整後に、上側の減速プーリユニットの再組み付けを行っていた。
【0009】
しかし、請求項1の発明では、アームの下蓋体を取り外して、下側の減速プーリユニットが配置された部分のみを開口させられるので、上蓋体を取り外すことなくそのまま覆蓋させたままの状態で、当該部分開口を利用して、アームの下側から、下側の減速プーリユニットを構成する各要素の交換等を行うことができると共に、下側の減速プーリユニットとハンド旋回軸との間に掛装された歯付ベルトの張力の調整を行えるので、当該交換作業等、及び張力調整の各作業が容易となる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、各駆動モータの各駆動軸に取付けられた各歯付プーリと、各減速プーリユニットの大きな各歯付プーリとの間にそれぞれ掛装される上下二段の各歯付ベルトの張力を調整するための各アイドラーが、前記アームの幅方向に沿った固定位置を調整可能にして設けられていることを特徴としている。
【0011】
各駆動モータからの動力伝達方向に沿って当該各駆動モータに近い側の歯付ベルトの張力調整は、アームの幅方向に沿った固定位置を調整可能にして配置された各アイドラーにより行う構成であるので、上下のいずれの歯付ベルトの張力の調整を行う場合でも、上蓋体を取り外して行える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2つの駆動モータの回転を上下2段に配した各歯付ベルト伝動機構を介して2つのハンドにそれぞれ減速させて伝達する構成のダブルハンドロボットにおいて、アームの床板部における下側の歯付ベルト伝動機構を構成する減速プーリユニットの部分を開口させて、当該部分開口が下蓋体により閉塞された構造の採用により、上側の歯付ベルト伝動機構を取り外すことなく、アームの下側の部分開口を開口させることにより、アームの下側から、下側に配置された歯付ベルト伝動機構の組み立てと歯付ベルトの張力の調整を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a),(b)は、それぞれ本発明を実施したダブルハンドロボットの第1及び第2の各アームA1 ,A2 が伸長した状態、及び収縮した状態の各斜視図である。
【図2】第2アームA2 の上蓋体8及び下蓋体21をそれぞれ取り外して上面開口1及び下面部分開口3を開口させた状態の斜視図である。
【図3】同じく下面部分開口3のみを開口させた状態を斜下方から見た斜視図である。
【図4】上蓋体8を取り外した状態の第2アームA2 の平面図である。
【図5】第2アームA2 の縦断面図である。
【図6】第2アームA2 の中央を縦断面した斜視図である。
【図7】図4のX1 −X1 線断面図である。
【図8】図4のX2 −X2 線断面図である。
【図9】図4のX3 −X3 線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1(a),(b)は、それぞれ本発明を実施したダブルハンドロボットの第1及び第2の各アームA1 ,A2 が伸長した状態、及び縮小した状態の各斜視図である。図1に示されるように、ダブルハンドロボットは、ベースKに第1アームA1 が第1旋回軸心C1 を中心にして旋回可能に連結されていると共に、当該第1アームA1 の先端部に第2旋回軸心C2 を中心にして第2アームA2 が旋回可能に連結され、更に、第2アームA2 の先端部に、上側及び下側の各ハンドH2 ,H1 がハンド旋回軸心C3 を中心にして独立して旋回可能に連結されている。第1及び第2の各アームA1 ,A2 は、いずれも上面が開口した中空構造をなしていて、ベースKの内部には、第1アームA1 を旋回させるための歯付ベルト伝動機構(図示せず)が配置され、第1アームA1 の内部には、第2アームA2 を旋回させるための歯付ベルト伝動機構(図示せず)が配置され、更に、第2アームA2 の内部には、各ハンドH2 ,H1 を独立して駆動させるための上側及び下側の各歯付ベルト伝動機構T1 ,T2 (図5参照)が上下二段となって配置されている。
【0015】
次に、図2〜図9を参照して、本発明に係る上側及び下側の各歯付ベルト伝動機構T1 ,T2 の部分について説明する。図2は、第2アームA2 の上蓋体8及び下蓋体21をそれぞれ取り外して上面開口1及び下面部分開口3を開口させた状態の斜視図であり、図3は、同じく下面部分開口3のみを開口させた状態を斜下方から見た斜視図であり、図4は、上蓋体8を取り外した状態の第2アームA2 の平面図であり、図5は、第2アームA2 の縦断面図であり、図6は、第2アームA2 の中央を縦断面した斜視図であり、図7〜図9は、それぞれ図4のX1 −X1 線、X2 −X2 線及びX3 −X3 線の各断面図である。第2アームA2 は、上面の全体が開口されて上面開口1となっていて、床板部2における上側及び下側の各減速プーリユニットU1 ,U2 が配置される部分は、部分的に方形状に開口して下面部分開口3となっている。第2アームA2 の対向する周壁部4における各減速プーリユニットU1 ,U2 が配置される部分には、大歯付プーリP21a(P22a)及び小歯付プーリP21b(P22b)を軸心を同一にして相上下して支持するためのプーリ支持体5を当該第2アームA2 の長手方向Qに沿って固定位置を調整可能にして固定するためのプーリ支持体固定部6が対向して突設されている。プーリ支持体5は、第2アームA2 の内幅よりも僅かに小さな寸法を一辺とする方形状をした固定板部5aを備えていて、プーリ支持体固定部6の上下の各端面は、前記固定板部5aの固定面6aとなっている。プーリ支持体固定部6における上下の各固定面6aには、各減速プーリユニットU1 ,U2 を構成する大歯付プーリP21a(P22a)との干渉を回避して配置可能とするための切欠き部6bが形成されている。また、プーリ支持体固定部6の固定面6aには、前記切欠き部6bを挟んでプーリ支持体5の固定板部5aを固定するボルト7と螺合する雌螺子孔6cが形成されている。また、第2アームA2 の上面開口1は、上蓋体8によって閉塞される。上蓋体8の周縁部には、多数のボルト挿通孔8aが形成され、当該各ボルト挿通孔8aに挿通されたボルト9は、第2アームA2 の周壁部4の上端面に形成された雌螺子孔11に螺合される。
【0016】
また、図2、図4、図5及び図7に示されるように、第2アームA2 の内部には、上側及び下側の各駆動モータM1 ,M2 が当該第2アームA2 の長手方向Qに沿って同一の位置に、幅方向Sに沿って並べられて配置されている。各駆動モータM1 ,M2 は、各ハンドH2 ,H1 の旋回角度を制御して駆動するモータであって、各駆動軸10が互いに反対側を向き、しかも歯付ベルト伝動機構T1 ,T2 を構成する上側及び下側の歯付ベルトV11,V12(V21,V22)の配置位置に対応する位置に配置されるように、第2アームA2 に固定されている。各駆動モータM1 ,M2 の駆動軸10には、小歯付プーリP11,P12がそれぞれ取付けられている。
【0017】
また、図9に示されるように、上側及び下側の各減速プーリユニットU1 ,U2 は、同一構成であって、プーリ支持体5に大歯付プーリP21a(P22a)と小歯付プーリP21b(P22b)とが同一の回転軸12に支持されていて、プーリ支持体5を構成する固定板部5aの幅方向Sの両端部に第2アームA2 の長手方向Qに沿って形成された長孔13に挿通されたボルト14を前記雌螺子孔6cに螺合させることにより、当該第2アームA2 の長手方向Qに沿った固定位置を調整可能にしてプーリ支持体固定部6に固定される。この構造により、上側及び下側の各減速プーリユニットU1 ,U2 の回転軸心C41,C42とハンド旋回軸心C3 との各軸心間距離L1 ,L2 を微調整して、各減速プーリユニットU1 ,U2 を構成する小歯付プーリP21b,P22b と、ハンド旋回軸心C3 を中心に回転する後述の各歯付プーリP31,P32との間に掛装される各歯付ベルトV21,V22の張力調整を可能にしている。なお、プーリ支持体5は、軸支持板部を兼用した固定板部5aと軸支持板部5bとが連結板部5cで連結されており、前記回転軸12は、固定板部5a及び軸支持板部5bに嵌合された各軸受15で支持されている。なお、固定板部5a及び軸支持板部5bと連結板部5cとは、いずれもボルトを介して連結されているが、当該ボルトは図示していない。また、図3〜図5に示されるように、プーリ支持体固定部6に対してプーリ支持体5が複数本のボルト14により固定された状態において、固定板部5aと、第2アームA2 の内部に形成された壁体17との間には、当該固定板部5aの前記壁体17と対向する面に螺合された当ボルト18が配置されて、当該壁体17に当接することにより、歯付ベルトV21,V22の張力により各減速プーリユニットU1 ,U2 がハンドH2 ,H1 の側に移動させられるのを防止している。
【0018】
また、図2、図4、図5及び図8に示されるように、第2アームA2 の幅方向Sに沿って並んで配置された各駆動モータM1 ,M2 と、各減速プーリユニットU1 ,U2 の間には、各駆動モータM1 ,M2 の各駆動軸10に取付けられた小歯付プーリP11,P12と、各減速プーリユニットU1 ,U2 を構成する大歯付プーリP21a,P22a との間に掛装された歯付ベルトV11,V12に張力を付与させるためのアイドラーR1 ,R2 が当該第2アームA2 の幅方向Sの固定位置を調整可能にして固定されている。即ち、図8において、アイドラーR1 ,R2 を取付けているアイドラー取付体31,31’には、それぞれ第1アームA1 の幅方向Sに沿った長孔32,32’が形成されて、当該各長孔32,32’に挿入されたボルト33,33’により、各アイドラー取付体31,31’は、それぞれ高さ確保台34及び第1アームA1 の床板部2に固定される。なお、歯付ベルトV11,V12の張力により各アイドラー取付体31,31’が第1アームA1 の幅方向Sの外側に移動されるのを防止するための移動規制ボルト35,35’が周壁部4に螺合されている。
【0019】
また、ハンド旋回軸心C3 の部分は、当該ハンド旋回軸心C3 を共通にした二重構造軸になっていて、各減速プーリユニットU1 ,U2 を構成する小歯付プーリP21b,P22b と、ハンド旋回軸心C3 を中心に回転する大歯付プーリP31,P32との間には、上下二段となって歯付ベルトV21,V22が掛装されている。駆動モータM1 の動力が上側の歯付ベルト伝動機構T1 を介して伝達されて旋回する外側ハンド旋回軸36に下側のハンドH1 の基端部が連結されていると共に、駆動モータM2 の動力が下側の歯付ベルト伝動機構T2 を介して伝達されて旋回される内側ハンド旋回軸37に上側のハンドH2 の基端部が連結されている。
【0020】
上記したように、第2アームA2 の床板部2に形成された下面部分開口3は、方形状の下蓋体21により閉塞される構成になっている。下面部分開口3の部分は、第2アームA2 の底面に対して段差状に形成されて、当該段差部に下蓋体21が嵌め込まれた状態で、全体が同一平面となる。下面部分開口3の両側の段差面には、下蓋体21の各コーナー部の各ボルト挿通孔22に挿通されるボルト23を螺合させる雌螺子孔24が形成されている。
【0021】
上記構成により、各駆動モータM1 ,M2 の回転は、上下二段に配置された各歯付ベルト伝動機構T1 ,T2 を介して独立してハンドH2 ,H1 に伝達されることにより、各ハンドH2 ,H1 は、各駆動モータM1 ,M2 により定められた角度だけ設定方向に旋回する。
【0022】
このため、各歯付ベルト伝動機構T1 ,T2 を新規に組み立てる際には、上蓋体8を取り外して、下側の歯付ベルト伝動機構T2 を組付けた後に、上側の歯付ベルト伝動機構T1 を組付ける。下側の歯付ベルト伝動機構T2 の動力が伝達される内側ハンド旋回軸37は、後に組付けられる上側の歯付ベルト伝動機構T1 の動力が伝達されて旋回される外側ハンド旋回軸36の内側に、先に配置されるので組付け可能である。
【0023】
また、一旦、組付けた後に、上側の歯付ベルト伝動機構T1 の部品交換、或いは歯付ベルトV11,V12の張力調整を行う場合には、上蓋体8を取り外して、第1アームA1 の上面を全面開口して行う。一方、下側の歯付ベルト伝動機構T2 の歯付ベルトV22の張力調整を行う場合には、下蓋体21を取り外すことにより、減速プーリユニットU2 をプーリ支持体固定部6に固定しているボルト14が下面部分開口3に露出して、第1アームA1 の下面から回転操作可能となる。よって、減速プーリユニットU2 を第1アームA1 の長手方向Qに微動させることにより、減速プーリユニットU2 の軸心C42とハンド旋回軸心C3 との軸心間距離L2 が微調整されて、歯付ベルトV22の張力が調整される。このように、歯付ベルトV22の張力調整のために、上側の歯付ベルト伝動機構T1 を取り外す必要がないので、歯付ベルトV22の張力の調整が容易となる。
【0024】
なお、各歯付ベルトV21,V22の張力の調整のために、各減速プーリユニットU1 ,U2 の第1アームA1 の長手方向Qに沿った固定位置を変化させると、各歯付ベルトV11,V12 の張力が変化するが、当該各歯付ベルトV11,V12 の張力の調整は、上蓋体8を取り外して、第1アームA1 の上面開口1を全面開口させた状態で、いずれも当該上面開口1の側からアイドラーR1 ,R2 の第1アームA1 の幅方向Sに沿った固定位置を変化させることにより行う。
【符号の説明】
【0025】
1 :第1アーム
2 :第2アーム
3 :ハンド旋回軸心
1 ,H2 :ハンド
1 ,L2 :ハンド旋回軸心と減速プーリユニットの軸心との軸心間距離
1 ,M2 :駆動モータ
P11,P12,P21a,P22a,P21b,P22b,P31,P32 :歯付プーリ
Q:第2アームの長手方向
S:第2アームの幅方向
11,V12,V21,V22:歯付ベルト
1:上面開口
2:床板部
3:下面部分開口
5:プーリ支持体
8:上蓋体
21:下蓋体
36:外側ハンド旋回軸(ハンド旋回軸)
37:内側ハンド旋回軸(ハンド旋回軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した中空状をなしていて当該開口が上蓋体により閉塞されて、先端部に2つの各ハンドが上下二段に配置されて、ハンド旋回軸を介してそれぞれ連結されるアームと、
駆動軸に取付けられた歯付プーリが上下方向に沿ってずれて前記アーム内に配置され、前記各ハンドを駆動する各駆動モータと、
上下二段に配置された各プーリ支持体が前記アームに、その長手方向に沿った固定位置を独立して調整可能にして前記アーム内に固定され、各プーリ支持体に大小の各歯付プーリが上下にずれて取付けられた上下2段の各減速プーリユニットとを備え、
前記各駆動モータの各駆動軸に取付けられた各歯付プーリと、前記各減速プーリユニットの大きな各歯付プーリとの間に歯付ベルトがそれぞれ掛装されると共に、前記各減速プーリユニットの小さな各歯付プーリと、内外二重構造の前記ハンド旋回軸に取付けられた各歯付プーリとの間に歯付ベルトがそれぞれ掛装されて、各駆動モータの回転を減速させて前記各ハンドをそれぞれ独立して旋回させるダブルハンドロボットの減速機構であって、
前記アームの床板部における下側の減速プーリユニットが配置される部分は部分的に開口されて、当該部分開口は下蓋体により閉塞される構成にして、下側に配置される前記減速プーリユニットのアームの長手方向に沿った固定位置を当該アームの下側から前記部分開口を通して調整可能にすることにより、下側の前記減速プーリユニットと前記ハンド旋回軸の軸心間距離を調整して、下側の歯付ベルトの張力を調整可能にしたことを特徴とするダブルハンドロボットの減速機構。
【請求項2】
各駆動モータの各駆動軸に取付けられた各歯付プーリと、各減速プーリユニットの大きな各歯付プーリとの間にそれぞれ掛装される上下二段の各歯付ベルトの張力を調整するための各アイドラーが、前記アームの幅方向に沿った固定位置を調整可能にして設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダブルハンドロボットの減速機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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