説明

デジタルデータ送信装置、受信装置及びプログラム

【課題】伝送路の利用効率を向上させつつ、受信側にてデジタルデータを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限する。
【解決手段】送信装置1のチャネル割り当て部10は、速度情報1〜Iに基づいて、速度変換後の各TSの速度を決定し、速度変換後の速度がα=A×M+BとなるA,Bを算出し、チャネル数Nを算出し、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する。スロット割り当て部12−1〜12−Nは、スロット位置を決定し、チャネル毎のスロット割り当て情報を生成する。そして、分割部14−1〜14−Iは、TSを分離し、多重化部15は、TSMF1〜Nに多重化する。これにより、TSを伝送するチャネル数を、ceil(P/Q)+1以下に制限することができる。受信装置2は、送信装置1が送信するTSMFの総チャネル数よりも少ない数の受信部にてTSを受信でき、消費電力を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MPEG−2 TS信号等のパケット形式のデジタルデータを伝送するシステムにおいて、複数のデジタルデータをパケット単位で時分割多重し、複数のチャネルを用いて分割伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のMPEG−2 トランスポートストリーム(TS)(ISO/IEC(International Organization for standardization:国際標準化機構/International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)13818−1に規定されるトランスポートストリーム)を、独立性を保った状態で、単一のTSを想定した伝送路へ伝送させる方式が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
【0003】
この伝送方式は、送信装置において、TSパケット(同期バイト(0x47)で始まる固定長(188バイト)のパケット、または、これに固定長のパリティバイトを追加したパケット)列に周期的なフレーム構造を持たせ、そのスロット位置の情報を利用することによりTSパケット列を多重化するものである。受信装置は、多重化されたTSパケット列のフレームを受信し、スロット割り当て情報を利用することにより、TSパケット列を分離する。フレームのヘッダは、必要な同期語データ(同期情報)と、各TSが格納されるフレーム中の位置を示すスロット割り当て情報とを含み、TSパケット形式であることがポイントとなっている。
【0004】
以下、TSパケット形式のヘッダおよびTSパケットで構成されたフレームをTS多重フレーム(Transport Streams Multiplexing Frame:TSMF)といい、TSMFに多重化されたデータをフレーム形式データという。ここで、TSMFに多重化されるデータは、主にTSを対象としているが、TSと同様な同期バイトで始まる固定長パケット列のデータであればTSと同様に伝送可能であるため、「MPEG−2 TS」と「ISO/IEC 13818−1には準拠しないが、TSと同様に同期バイト(0x47)で始まる固定長パケット列のデータ」とを区別せず、どちらもTSと表記して説明する。
【0005】
前述の特許文献1または非特許文献1に記載された、単一のTSを想定した伝送路へ伝送させる方式の他、一つの搬送波(チャネル)で伝送可能な速度以上の高速のTSを、TSMFを用いて複数のチャネルを介して周波数多重伝送する方式も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この伝送方式は、送信装置において、高速のTSをTSMFに多重化し、1チャネルあたりの伝送速度に対しN倍の速度のフレーム形式データを生成し、パケット単位でN分割してN個のチャネルで伝送するものである。受信装置は、1チャネルあたりの伝送速度に対してN倍の速度のフレーム形式データを復元し、復元したフレーム形式データから元のTSを生成する。ここで、送信装置では、TSをTSMFに多重化する際に、ヘッダの後に(N−1)個のヌルパケットを格納するように多重化しておき、N分割する際に、前記(N−1)個のヌルパケットを前記ヘッダの複製で置き換える。このように、TSMFは、分割されたフレーム形式データのそれぞれに1個ずつのヘッダが含まれるように構成される。受信装置において、このヘッダに基づいてチャネル間の遅延差を調整し、1チャネルあたりの伝送速度に対してN倍の速度のフレーム形式データを復元することがポイントとなっている。
【0006】
また、TSがMPEG−2 TSの場合、既存の技術(例えば、非特許文献2または特許文献3を参照)を用いることにより、チャネル数をNに拡張した場合の技術を想定することができる。具体的には、送信装置において、TSをTSMFに多重化する際に、TSのPCR(プログラムクロックリファレンス)の値を、1チャネルあたりの伝送速度に対してN倍の速度に合致するように書き換える。受信装置は、復元したフレーム形式データから選択したTSを取り出す際に、選択したTS以外のTSパケットをヌルパケットに置き換える。これにより、1チャネルあたりの伝送速度に対してN倍の速度と同じ速度で、選択したTSを取り出すことができ、元のTSの速度を再生するためのPLLが不要になる。
【0007】
一方、伝送すべきTSの速度を測定し、複数のチャネルに分割する必要のあるTSの分割数と、分割が不要なTSを伝送するチャネル数とに基づいて、各TSに対するチャネルの割り当てを決める技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。この技術では、受信装置において、特許文献2の技術に比べて少ない数の周波数選択回路(チューナ)及び復調回路を動作させてTSを取り出すことができるため、受信装置の消費電力を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3051729号公報
【特許文献2】特許第3991307号公報
【特許文献3】特許第4374107号公報
【特許文献4】特許第4111438号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ITU−T Rec.J.183
【非特許文献2】JCTEA STD−002、デジタル有線テレビジョン放送「多重化装置」、社団法人日本CATV技術協会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のとおり、特許文献2の技術では、受信装置は、1チャネルあたりの伝送速度に対しN倍の速度のフレーム形式データを復元する。しかしながら、TSMFに多重化されるTSの速度に関わらず、N個の周波数選択回路(チューナ)及びN個の復調回路を同時に動作させる必要があり、受信装置の消費電力が大きくなるという問題があった。
【0011】
また、非特許文献2または特許文献3を用いてチャネル数をNに拡張した技術では、受信装置は、1チャネルの伝送速度に対してN倍の速度のTSを出力する。しかしながら、元のTSの速度が遅い場合には、消費電力が大きくなるという問題があった。
【0012】
また、特許文献4では、多重化時にTSが割り当てられない空きスロットが発生してしまい、伝送効率、すなわち各チャネルの帯域利用効率が低下するという問題があった。また、全てのTSを伝送するために必要なチャネルの総数が増加する場合があるという問題もあった。
【0013】
このような問題を解決するため、本出願と同一の出願人によりなされた、本出願の出願時に未公開の特許出願(特願2009−16477号)では、全てのTSを伝送するために必要なチャネルの総数を少なく抑えつつ、受信装置において、少ない数の周波数選択回路及び復調回路を動作させてTSを取り出すことを可能にする技術が提案されている。この技術では、1チャネルの伝送速度のN倍の速度のフレーム形式データを生成し、パケット単位でN分割してN個のチャネルで伝送するが、特許文献2の技術とは異なり、ヘッダをチャネル毎に独立に生成して伝送する。これにより、1チャネルの伝送速度に対してN倍の速度のフレーム形式データの復元を不要としている。また、元のTSの数及び伝送速度に基づいて、TSに割り当てるスロット数及びスロット位置の情報(スロット割り当て情報)、及びTSに割り当てるチャネルの情報を予め用意することによって、各TSの分割数を少なく抑えつつ、必要なチャネルの総数Nを少なく抑えることを可能としている。
【0014】
しかしながら、この技術では、チャネルの総数Nが小さい場合、元のTSの伝送速度によっては、多重化時にTSが割り当てられない空きスロットが発生する場合があり、伝送効率が低下するという問題が想定される。チャネルの総数Nが大きい場合は、多数のTSを多重化することにより、統計多重効果にて空きスロットの数を少なくすることができ、伝送効率の低下を抑える可能性が高くなる。しかし、多数のTSが多重化されるから、予め用意するスロット割り当て情報及び割り当てるチャネルの情報の種類が増大する。このため、これらの情報を生成する処理が複雑化するという問題が想定される。
【0015】
そこで、本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、パケット形式の複数のデジタルデータ(例えば、MPEG−2 TS)を多重化し、複数のチャネルを用いて分割伝送するシステムにおいて、伝送路の利用効率を向上させつつ、受信側にてデジタルデータを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限することが可能なデジタル送信装置、受信装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、複数のデジタルデータをパケット単位で時分割多重し、ヘッダスロット及びデータスロットからなるフレームを構成し、複数のチャネルを用いて並列伝送するデジタルデータ送信装置において、前記デジタルデータに対して割り当てるチャネルを決定するチャネル割り当て部と、前記デジタルデータを前記フレーム内のデータスロットに格納する際の、前記デジタルデータに対して割り当てるデータスロットを識別するための情報を、スロット割り当て情報としてチャネル毎に生成するスロット割り当て部と、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記デジタルデータを、チャネル毎に伝送するためのデータ列に分割する分割部と、前記スロット割り当て情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記ヘッダ及び前記データ列をフレームに多重化し、チャネル毎にフレームを生成する多重化部と、前記生成されたチャネル毎のフレームを送信する送信部と、を備え、前記チャネル割り当て部が、前記デジタルデータの元の速度に基づいて、速度変換後の伝送速度を決定し、前記速度変換後のデジタルデータの伝送速度に基づいて、前記デジタルデータを伝送するチャネル数を、ceil(P/Q)(Pはデジタルデータの伝送速度、Qは1チャネルあたりのデジタルデータの伝送速度、ceil(a)は、a以上の最小の整数を表す)+1以下に制限するように決定することを特徴とする。
【0017】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルデータ送信装置において、前記ヘッダ生成部が、前記複数のチャネルを用いて並列伝送する際の、全チャネル中の相対的な伝送順序を示す順序情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記順序情報を含むヘッダを生成することを特徴とする。
【0018】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のデジタルデータ送信装置において、前記デジタルデータをトランスポートストリームとし、前記多重化部が、前記複数のチャネルを用いて並列伝送する際の、全チャネル中の相対的な伝送順序を示す順序情報を生成し、前記順序情報をトランスポートストリーム内のNIT(ネットワークインフォメーションテーブル)に格納することを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項4の発明は、請求項1に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからデジタルデータを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、前記複数のチャネルのフレームを受信し、所定チャネルのフレームを抽出する複数の受信部と、前記デジタルデータと前記デジタルデータが伝送されたチャネルとの間の対応を示すチャネル情報、及び要求されたデジタルデータを示す番組情報に基づいて、前記複数の受信部のうちの1以上の受信部を選択的に動作させ、前記動作させた受信部に、前記要求されたデジタルデータを含むチャネルのフレームを抽出させる制御部と、前記抽出されたフレームのヘッダを検出し、ヘッダからスロット割り当て情報を取得するヘッダ検出部と、前記取得されたスロット割り当て情報に基づいて、前記抽出されたフレームから、要求されたデジタルデータを分離する分離部と、前記分離されたデジタルデータを、要求されたデジタルデータとして合成する合成部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからデジタルデータを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、請求項4に記載の複数の受信部、制御部、ヘッダ検出部、分離部及び合成部を備え、前記合成部が、前記抽出されたフレームのヘッダに含まれる順序情報に基づいて、前記分離されたデジタルデータを合成することを特徴とする。
【0021】
また、請求項6の発明は、請求項3に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからトランスポートストリームを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、請求項4に記載の複数の受信部、制御部、ヘッダ検出部、分離部及び合成部を備え、前記合成部が、前記トランスポートストリームのNITに含まれる順序情報に基づいて、前記分離されたトランスポートストリームを合成することを特徴とする。
【0022】
さらに、請求項7の発明は、コンピュータを、請求項1から3までのいずれか一項に記載のデジタルデータ送信装置として機能させるためのデジタルデータ送信プログラムにある。
【0023】
また、請求項8の発明は、コンピュータを、請求項4から6までのいずれか一項に記載のデジタルデータ受信装置として機能させるためのデジタルデータ受信プログラムにある。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、パケット形式の複数のデジタルデータ(例えば、MPEG−2 TS)を多重化し、複数のチャネルを用いて分割伝送するシステムにおいて、予めスロット割り当て情報等を用意する必要がなく、空きスロットの数を少なくすることができるから、効率の良い多重化処理を行うことができる。特に、伝送する全てのデジタルデータの速度の合計が、1チャネルあたりの伝送速度の整数倍に等しい場合、多重化するデジタルデータの数及び速度に依存することなく、空きスロットの数を0にすることができる。
【0025】
また、受信側においてデジタルデータを取り出す際に受信が必要なチャネルの数を、伝送するデジタルデータのために少なくとも必要なチャネル数の最大値に1を加えた値以下に抑制することができる。したがって、伝送路の利用効率を向上させつつ、受信側にてデジタルデータを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態による送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】チャネル割り当て部の全体動作を説明するフローチャートである。
【図3】チャネル割り当て部の動作(1)を説明するフローチャートである。
【図4】チャネル割り当て部の動作(2)を説明するフローチャートである。
【図5】チャネル割り当て部の動作(3)を説明するフローチャートである。
【図6】スロット割り当て情報の第1の例を示す図である。
【図7】スロット割り当て情報の第2の例を示す図である。
【図8】実施例1の分割部による第1の規則に従う処理(図6または図7のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。
【図9】実施例1の分割部による第2の規則に従う処理(図6のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。
【図10】実施例1の分割部による第2の規則に従う処理(図7のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。
【図11】実施例1におけるヘッダ(ヘッダ1〜4)の例を示す図である。
【図12】実施例1におけるヘッダ(ヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図13】TSMFの順序情報とそのTSMFが伝送されるチャネルの中心周波数の対応例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図15】チャネル情報の例を示す図である。
【図16】実施例2におけるスロット割り当て情報の例を示す図である。
【図17】実施例2の分割部による第2の規則に従う処理を示す図である。
【図18】実施例2におけるヘッダ(ヘッダ1〜4)の例を示す図である。
【図19】実施例2におけるヘッダ(1〜2番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図20】実施例2におけるヘッダ(3番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図21】実施例2におけるヘッダ(4番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図22】実施例2におけるヘッダ(5番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図23】実施例2におけるヘッダ(6番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図24】実施例2におけるヘッダ(7番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図25】実施例2におけるヘッダ(8番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図26】実施例2におけるヘッダ(9番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図27】実施例2におけるヘッダ(10番目に送信するヘッダ5〜8)の例を示す図である。
【図28】NIT情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施例1,2は、パケット形式の複数のデジタルデータ(例えば、MPEG−2 TS)を多重化し、複数のチャネルを用いて分割伝送するシステムに適用がある。実施例1は、送信装置が入力する各TSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度を単位として速度変換し(TSMFの1スロットを単位として、整数値の速度に速度変換し)、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定し、チャネル毎に1個のTSMFを単位としてスロット割り当て情報及びヘッダを生成し、各TSを分割して多重化の処理を行う。実施例2は、送信装置が入力する各TSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として速度変換し(TSMFの1スロットの1/10を単位として、小数点1位までの値に速度変換し)、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定し、チャネル毎に10個のTSMFを単位としてスロット割り当て情報及びヘッダを生成し、各TSを分割して多重化の処理を行う。実施例1,2では、空きスロットの数を少なくして伝送効率を向上させる。また、全TSを伝送するチャネル数を所定数以下に制限し、受信装置にて必要となる受信部の数を少なくする。
【実施例1】
【0028】
まず、実施例1について説明する。前述のとおり、実施例1は、送信装置が入力する各TSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度を単位として速度変換する例(TSMFの1スロットを単位として、整数値の速度に速度変換する例)である。また、実施例1では、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定し、チャネル毎に1個のTSMFを単位としてスロット割り当て情報及びヘッダを生成し、各TSを分割して多重化の処理を行う。
【0029】
〔送信装置/実施例1〕
まず、本発明の実施例1による送信装置について説明する。図1は、送信装置の構成を示すブロック図であり、この送信装置は、実施例1だけでなく、後述する実施例2にも適用がある。この送信装置1は、チャネル割り当て部10、速度変換部11−1〜11−I、スロット割り当て部12−1〜12−N、ヘッダ生成部13−1〜13−N、分割部14−1〜14−I、多重化部15及び送信部16−1〜16−Nを備えている。Iは、TSの数(正の整数)を示し、Nは、TSMFを伝送するチャネル及び送信部の数(正の整数)を示す。送信装置1は、複数のTS1〜TSIを入力し、チャネル毎のスロット割り当て情報を生成し、チャネル毎のスロット割り当て情報に基づいて、複数のTS〜TSをパケット単位でチャネル毎に時分割多重し、ヘッダを付加したTSMFをチャネル毎に構成して受信装置へ送信する。
【0030】
送信装置1は、入力したTS1〜TSIの速度を示す速度情報1〜Iを取得する。速度情報1〜Iは、入力したTS1〜TSIをそれぞれ測定することによって取得してもよいし、TS1〜TSIの速度が固定である場合は、予め設定された速度を取得してもよい。
【0031】
チャネル割り当て部10は、TS1〜TSIの速度情報1〜Iを入力し、速度情報1〜Iに基づいて、以下の条件(1)及び(2)を満たすように、速度変換後の各TSの速度を決定し、速度変換情報1〜Iを生成する。
(1)速度変換後の各TSの速度が元の速度以上になること。
(2)速度変換後の各TSの速度が最小の整数値になること。
そして、チャネル割り当て部10は、速度変換情報1〜Iに基づいて、各TSに割り当てるチャネル数が、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように、使用するチャネル数Nを決定し、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数(各TSが各チャネルで使用するスロット数)を決定する。詳細については後述する。条件(1)は、入力したTSパケットが多重化時に欠落するのを防ぐためである。また、条件(2)は、速度変換時に挿入するヌルパケットまたはスタッフデータの数を少なくするためである。
【0032】
そして、チャネル割り当て部10は、速度変換情報1〜Iを対応する速度変換部11−1〜11−Iにそれぞれ出力し、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数(TS1〜TSIがチャネル1〜Nで使用するスロット数:チャネル1〜Nにて伝送するTS1〜TSIのスロット数)を対応するスロット割り当て部12−1〜12−Nにそれぞれ出力する。
【0033】
速度変換部11−1〜11−Iは、TS1〜TSIをそれぞれ入力すると共に、チャネル割り当て部10から速度変換情報1〜Iをそれぞれ入力し、速度変換情報1〜Iに基づいて各TSを速度変換し、速度変換後のTS1〜TSIを分割部14−1〜14−Iにそれぞれ出力する。ここで、速度変換部11−1はTSについての処理を行い、速度変換部11−2〜11−IはTS〜TSについての処理をそれぞれ行う。具体的には、TSがMPEG−2 TSである場合、速度変換部11−1〜11−Iは、入力したTSにヌルパケットを挿入すると共に、TS内のPCRの値を書き換えることにより速度変換する。TSが「ISO/IEC 13818−1には準拠しないが、TSと同様に同期バイト(0x47)で始まる固定長パケット列のデータ」である場合は、TSに対し適当なスタッフデータを付加して速度変換する。
【0034】
スロット割り当て部12−1〜12−Nは、チャネル割り当て部10から、当該スロット割り当て部12−1〜12−Nが処理するチャネルについての各TSに割り当てるスロット数をそれぞれ入力する。ここで、スロット割り当て部12−1はチャネル1についての処理を行い、スロット割り当て部12−2〜12−Nはチャネル2〜Nについての処理をそれぞれ行う。そして、スロット割り当て部12−1〜12−Nは、各TSに割り当てるスロット数に基づいて、当該チャネルにおいて送信すべき各TSに割り当てるスロット位置をそれぞれ決定し、各TSに割り当てるスロット数及びスロット位置の情報からなるスロット割り当て情報1〜Nを生成する。そして、スロット割り当て部12−1〜12−Nは、スロット割り当て情報1〜Nを対応するヘッダ生成部13−1〜13−Nにそれぞれ出力する。また、スロット割り当て部12−1〜12−Nは、スロット割り当て情報1〜Nを分割部14−1〜14−I及び多重化部15に出力する。つまり、全てのスロット割り当て情報1〜Nが、分割部14−1〜14−I及び多重化部15に出力される。
【0035】
ヘッダ生成部13−1〜13−Nは、スロット割り当て部12−1〜12−Nから対応するスロット割り当て情報1〜Nをそれぞれ入力し、スロット割り当て情報1〜N及びTSMF1〜Nの順序を規定する順序情報を含むヘッダ1〜Nを生成し、多重化部15に出力する。
【0036】
分割部14−1〜14−Iは、速度変換部11−1〜11−Iから対応する速度変換後のTS1〜TSIをそれぞれ入力すると共に、スロット割り当て部12−1〜12−Nからスロット割り当て情報1〜Nを入力し、全てのスロット割り当て情報1〜N及び予め規定された規則に基づいて、速度変換後のTS〜TSをそれぞれs1〜sI個(s1〜sIはN以下の正の整数)のデータ列に分割し、多重化部15に出力する。すなわち、分割部14−1は、速度変換後のTSをデータ列TS1,1,TS1,2,・・・,TS1,s1に分割し、同様に、分割部14−Iは、速度変換後のTSをデータ列TSI,1,TSI,2,・・・,TSI,sIに分割する。sk(kは1以上I以下の整数)の値が1の場合は、分割部14−kは、入力した速度変換後のTSkを分割しないで、そのまま多重化部15に出力する。
【0037】
多重化部15は、分割部14からそれぞれs〜s個に分割されたデータ列TS1,1〜TS1,s1,・・・,TSI,1〜TSI,sIを入力し、スロット割り当て部12−1〜12−Nからスロット割り当て情報1〜Nを入力し、ヘッダ生成部13−1〜13−Nからヘッダ1〜Nを入力する。そして、多重化部15は、スロット割り当て情報1〜Nに基づいて、データ列TS1,1〜TS1,s1,・・・,TSI,1〜TSI,sI及びヘッダ1〜Nを多重化し、TSMF1〜Nを生成して対応する送信部16−1〜16−Nにそれぞれ出力する。具体的には、多重化部15は、スロット割り当て情報1に基づいて、データ列TS1,1〜TS1,s1,・・・,TSI,1〜TSI,sIのうちのチャネル1で伝送するデータ列及びヘッダ1を多重化し、TSMF1を生成する。同様に、多重化部15は、スロット割り当て情報2〜Nに基づいて、データ列TS1,1〜TS1,s1,・・・,TSI,1〜TSI,sIのうちのチャネル2〜Nで伝送するデータ列及びヘッダ2〜Nをそれぞれ多重化し、TSMF2〜Nをそれぞれ生成する。
【0038】
送信部16−1〜16−Nは、多重化部15から対応するTSMF1〜Nをそれぞれ入力し、TSMF1〜Nをチャネル1〜Nにて出力する。
【0039】
〔具体例〕
次に、図1に示した送信装置1の動作について、具体例を挙げて説明する。送信装置1が入力するTS数を7(I=7)とし、各TSの正規化速度、すなわち、1スロットあたりの伝送速度を基準にして正規化した速度をそれぞれTS1=35.53・・・,TS2=14.11・・・,TS3=10.5,TS4=9,TS5=5.63・・・,TS6=5.09・・・,TS7=4.67とし、TSMFのデータスロットの数を11個とし、ヘッダスロットの数を1個として説明する。尚、この具体例では説明の便宜上、速度の高い順にTSに番号を付与しているが、番号の付与はどのように行ってもよい。また、TSの速度は一定としているが、可変であっても適用可能である。
【0040】
ここで、正規化速度とは、TSの速度を、1スロットあたりの伝送速度、すなわち1スロットを用いたときのデータの伝送速度で除算した速度を表す。例えば、伝送路の伝送速度、すなわちTSMFを用いたときのヘッダを含む全データの伝送速度が12Mbpsであるとき、1スロットあたりの伝送速度は1Mbpsである。この場合、入力するTSの速度が2Mbpsであるとき、正規化速度は2/1=2となる。
【0041】
チャネル割り当て部10は、TS1〜TS7の元の正規化速度である速度情報1〜7(TS1=35.53・・・,TS2=14.11・・・,TS3=10.5,TS4=9,TS5=5.63・・・,TS6=5.09・・・,TS7=4.67)を入力する。そして、チャネル割り当て部10は、前述したように、速度変換後の各TSの正規化速度(各TSに割り当てるスロット数)を、当該TSの元の正規化速度以上となり(前記条件(1))、かつ、最小の整数値になるように(前記条件(2))決定する。速度変換後のTSは、スロットをいくつ使用しても良いが、変換時にTSに挿入するヌルパケットまたはスタッフデータの数は、伝送効率の観点からなるべく少ない方が良いため、速度変換後の正規化速度は、前記TS1〜TS7の元の正規化速度以上となる最小の整数となるようにする。そして、チャネル割り当て部10は、速度変換後の各TSの正規化速度に基づいて、使用するチャネル数及び各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する。
【0042】
これにより、速度変換後の正規化速度は、TS1=36,TS2=15,TS3=11,TS4=9,TS5=6,TS6=6,TS7=5に決定される。この具体例では、使用するスロット数の合計は88(=36+15+11+9+6+6+5)である。TSMFのデータスロット数が11個であるから、使用するチャネル数は8となり、少なくとも8チャネルにてTS〜TSを伝送することができる。
【0043】
したがって、チャネル割り当て部10は、速度変換情報1〜7としてそれぞれTS1=36,TS2=15,TS3=11,TS4=9,TS5=6,TS6=6,TS7=5を対応する速度変換部11−1〜11−7に出力する。
【0044】
この具体例におけるチャネルの割り当て手法と、前述した特願2009−16477号におけるチャネルの割り当て手法について比較する。まず、特願2009−16477号におけるチャネルの割り当て手法について説明する。この手法は、予め用意したスロット割り当て情報に基づいて、1チャネルの伝送速度に対して整数倍の伝送速度を持つフレームを生成し、そのフレームを均等に分割して伝送する。例えば、前記具体例において1チャネルのフレームで11スロットのデータが伝送されるとすると、1チャネルの4倍の伝送速度を持つフレームを生成する場合、1フレームで44スロット分の伝送が可能である。そこで、伝送速度の合計が44を超えない範囲で最大になるようにTSを組み合わせると、{TS1(36),TS5(6)}、{TS2(15),TS3(11),TS4(9),TS6(6)}、{TS7(5)}、となり、空きスロットが各フレームで発生する。また、4×3=12チャネルで伝送可能であるから、前述の具体例における8チャネルでの伝送が不可能となる。
【0045】
フレームを1チャネルの8倍の伝送速度を持つように生成すれば、8チャネルでの伝送を1チャネルにて伝送することができるが、1フレームに多重化されるTSの数が増えるため、予め用意するスロット割り当て情報の種類が増大してしまう。
【0046】
前記具体例では、チャネル割り当て部10は、各TSに割り当てるチャネル数が、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する。ここで、少なくとも必要なチャネル数とは、そのTSだけ伝送すると仮定したときに必要となる最小のチャネル数を表す。すなわち、あるTSの伝送速度をP、1チャネルを全て使用したときのヘッダを除く全データの伝送速度をQとしたとき、ceil(P/Q)(ceil(a)は、a以上の最小の整数を表す。)に等しい数である。TSに割り当てるスロット数(速度変換後の正規化速度)が36であるから、ceil(P/Q)=ceil(36/11)=ceil(3.27・・・)=4となり、同様に、TSはceil(P/Q)=ceil(15/11)=2となり、TS〜TSはceil(P/Q)=1となる。例えば、TSの場合、スロット数(速度変換後の正規化速度)が36、36=11×3+3であり、1TSMFのデータスロット数は11個であり、このTSだけを伝送すると仮定したとき4TSMFが必要となるから、少なくとも必要なチャネル数は4となる。また、このTSに割り当てるチャネル数は、少なくとも必要なチャネル数である4に1を加算した数である5以下(4または5)となる。これは、端数3のTSが、他のTSの端数との関係で、2個のTSMF(2チャネル)に分けて伝送される可能性があるからである。
【0047】
(チャネル割り当て部の動作)
以下、チャネル割り当て部10が、チャネル1〜8で伝送する各TSのスロット数を決定する手順について説明する。図2は、チャネル割り当て部10の全体動作を説明するフローチャートである。尚、この動作は一例であり、チャネル割り当て部10は、各TSに割り当てるチャネル数が、少なくとも必要なチャネル数+1以下となるように、他の動作を適用するようにしてもよい。
【0048】
チャネル割り当て部10は、各TSの速度情報1〜Iを入力し(ステップS21)、速度情報1〜Iに基づいて、前記条件(1)及び(2)を満たすように、速度変換後の各TSの正規化速度αを決定する(ステップS22)。そして、チャネル割り当て部10は、速度変換後の各TSの正規化速度αに基づいて、伝送のために使用するチャネル数Nを決定すると共に、各TSに割り当てるチャネル数が、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数(各TSが各チャネルで使用するスロット数)を決定する(ステップS23)。このステップS23の処理の詳細については後述する。そして、チャネル割り当て部10は、速度変換後の正規化速度αである速度変換情報1〜I及び各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を出力する(ステップS24)。
【0049】
(各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する処理)
次に、ステップS23における、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する処理の詳細について説明する。チャネル割り当て部10は、速度変換後の正規化速度α=A×M+B(MはTSMFのデータスロット数、Aは正の整数、BはM以下の正の整数)となるパラメータA,Bを算出し(ステップS231)、パラメータA,Bに基づいて、伝送にて使用するチャネル数Nを算出する(ステップS232)。そして、チャネル割り当て部10は、ゼロでないAのTSに対し、A個のチャネルの全スロットを割り当て(ステップS233)、端数BのTSに対し、残りのチャネルのスロットを割り当てる(ステップS234)。このステップS233及びステップS234の処理により、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数が決定される。また、各TSに割り当てるチャネル数は、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように決定されることにもなる。
【0050】
図3は、図2に示したチャネル割り当て部10の全体動作のうちのステップS231〜ステップS233の動作(1)の詳細を示すフローチャートである。
(パラメータA,Bを算出する処理:ステップS301〜ステップS302)
チャネル割り当て部10は、速度変換後の正規化速度を決定した後、iをI以下の正の整数とし、速度変換後のTSの正規化速度αをα=A×M+Bとして、パラメータA,Bの値を算出する。本具体例ではM=11であるため、以下の値となる。
=3,B=3
=1,B=4
=1,B=0
=0,B=9
=0,B=6
=0,B=6
=0,B=5
例えば、TSでは、(TS=)α=36=3×11+3だからである。
【0051】
チャネル割り当て部10は、以下の式により、伝送にて使用するチャネル数Nを算出する。
【数1】

これは以下の式と同等である。
【数2】

本具体例では、N=8となる。これは、1チャネルにて1TSMFを伝送するとして、TSの3×11=33スロット分のデータを3チャネルにて伝送し(3TSMFにて伝送し)、TSの1×11=11スロット分のデータを1チャネルにて伝送し(1TSMFにて伝送し)、TSの1×11=11スロット分のデータを1チャネルにて伝送(1TSMFにて伝送)することを示している。また、TSの3スロット分のデータ、TS2の4スロット分のデータ、TSの9スロット分のデータ、TSの6スロット分のデータ、TSの6スロット分のデータ、及びTSの5スロット分のデータを残りの3チャネル(8−(3+1+1)=3)にて伝送(3TSMFにて伝送)することを示している。前者の5チャネル分の割り当ての処理は、同じTSに対して1チャネルの全スロットを割り当てる処理であり、後述するステップS303〜ステップS309により行われる。これにより、1チャネルの全スロットには同じTSが格納されることになる。また、後者の3チャネル分の割り当ての処理は、同じTSに対して1チャネルの全スロットを割り当てることができない場合に、端数のTSに対して1チャネルのスロットを割り当てる処理であり、後述する図4のステップS401〜ステップS410及び後述する図5のステップS501〜ステップS504により行われる。これにより、1チャネルのスロットには異なるTSが格納され、空きスロットが存在する場合もあり得る。また、同じTSが格納される場合もあるが、この場合は空きスロットが存在することになる。
【0052】
(同一のTSにチャネルの全スロットを割り当てる処理:ステップS303〜ステップS309)
チャネル割り当て部10は、ステップS302にて算出したゼロでないAをとるTSに対し、N個のチャネルのうち、A個のチャネルの全スロット(Mスロット)を割り当てる。本具体例では以下のようになる。
チャネル1に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル1の全スロット=11)
チャネル2に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル2の全スロット=11)
チャネル3に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル3の全スロット=11)
チャネル4に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル4の全スロット=11)
チャネル5に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル5の全スロット=11)
【0053】
図4及び図5は、図2に示したチャネル割り当て部10の全体動作のうちのステップS234の動作(2)(3)の詳細を示すフローチャートである。
(端数のTSにチャネルのスロットを割り当てる処理:ステップS401〜ステップS410,ステップS501〜ステップS504)
チャネル割り当て部10は、ステップS302にて算出したパラメータBをiの小さい順に加算し、Mの値と等しくなるようにBを分割し、合計数がM以下となるスロット数の組を決定する。このとき、全てのBについて、分割数は必ず2以下となる。本具体例では、B=3,B=4,B=0、及びB=9のうち4を加算すると11となるので、B=9を、4と5に分割する。このような処理を順次行うと、以下に示すスロット数の組が決定される。()内の数値はB〜Bそれぞれの値を示している。
{B(3)のうち3、B(4)のうち4、B(9)のうち4}
{B(9)のうち5、B(6)のうち6}
{B(6)のうち6、B(5)のうち5}
【0054】
そして、チャネル割り当て部10は、図3に示したステップS303〜ステップS309におけるチャネルの全スロットを割り当てる処理によってTSが割り当てられなかった残りのチャネルについて、決定したスロット数の組に従って、Bに対応するTSにスロットを割り当てる。本具体例では、以下のようになる。
(a)チャネル6に、TSの3スロット、TSの4スロット、TSの4スロット(TSに対しチャネル6の3スロット、TSに対しチャネル6の4スロット、TSに対しチャネル6の4スロット)
(b)チャネル7に、TSの5スロット、TSの6スロット(TSに対しチャネル7の5スロット、TSに対しチャネル7の6スロット)
(c)チャネル8に、TSの6スロット、TSの5スロット(TSに対しチャネル8の6スロット、TSに対しチャネル8の5スロット)
【0055】
尚、前記(a)は、図4及び図5に示すステップS402(Y)、ステップS403及びステップS404によって割り当てられる。前記(b)(c)は、ステップS402(N)、ステップS501(Y)及びステップS502によって割り当てられる。前記(a)〜(c)では、各チャネルにおいて合計11スロット(データスロット数M)が割り当てられるからである。
【0056】
また、処理が図4に示すステップS410または図5に示すステップS504に進んだ場合、全てのTSについて処理を終えたときに、空きスロットを含むTSMFのチャネルが存在することになる。これは、各TSに割り当てるスロット数の合計が、1チャネルのデータスロット数の整数倍と等しくない場合である。
【0057】
このようにして、チャネル割り当て部10は、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を、チャネル1〜8に対応するスロット割り当て部12−1〜12−8に出力する。本具体例では、以下のとおりとなる。
スロット割り当て部12−1に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−2に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−3に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−4に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−5に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−6に、TSに割り当てるスロット数3、TSに割り当てるスロット数4及びTSに割り当てるスロット数4
スロット割り当て部12−7に、TSに割り当てるスロット数5及びTSに割り当てるスロット数6
スロット割り当て部12−8に、TSに割り当てるスロット数6及びTSに割り当てるスロット数5
【0058】
尚、各TSの分割数は、以下のようになる。()内は分割後のスロット数を表す。
TSの分割数=4 (11+11+11+3)
TSの分割数=2 (11+4)
TSの分割数=1 (11)
TSの分割数=2 (4+5)
TSの分割数=1 (6)
TSの分割数=1 (6)
TSの分割数=1 (5)
この分割数は、分割部14−1〜14−Iにおいて、スロット割り当て部12−1〜12−Nにより生成されたスロット割り当て情報1〜Nに基づいて算出される。
【0059】
(スロット割り当て情報)
図1に示した送信装置1の動作についての具体例を挙げた説明に戻る。スロット割り当て部12−1〜12−8は、チャネル割り当て部10から、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を入力し、各TSがチャネル1〜8で使用するスロット数に基づいて、各TSに割り当てるTSMF内のスロット位置を決定し、スロット割り当て情報1〜8を生成する。スロット位置は、TSMFのデータスロット数の範囲内であれば(規定のスロット数を満たしていれば)、どのように決定してもよい。
【0060】
図6は、実施例1におけるスロット割り当て情報の第1の例を示す図であり、図7は、実施例1におけるスロット割り当て情報の第2の例を示す図である。図6及び図7において、スロット割り当て情報1〜8の欄の数字はTS番号(1〜7)を示している。図6は、TS番号の若い順にスロット位置が連続するように割り当てた例であり、図7は、スロット番号毎に、各TSについて「既に割り当てられたスロットの総数÷割り当てるべきスロット数」を求め、この値が最も小さい順にスロットを割り当てた例である。除算結果が同一のTSについては、TS番号の若い順に割り当てる。
【0061】
(TSを分割するための規則)
分割部14−1〜14−7は、スロット割り当て部12−1〜12−8から、図6または図7に示したスロット割り当て情報1〜8を入力し、スロット割り当て情報1〜8に基づいて、TSの分割数及び分割後の各データ列に振り分けるパケット数を算出し、予め設定された規則に基づいて、速度変換後のTS〜TSをチャネル毎のデータ列に分割し、多重化部15に出力する。すなわち、本具体例では、分割部14−1,14−2,14−4は、TS,TS,TSをそれぞれs=4,s=2,s=2個のデータ列に分割して多重化部15に出力する。このとき、分割部14−1は、TSを11パケット、11パケット、11パケット、3パケットに分割し、分割数4のデータ列に振り分ける。分割部14−2は、TSを11パケット、4パケットに分割し、分割数2のデータ列に振り分ける。分割部14−4は、TSを4パケット、5パケットの分割数2のデータ列に振り分ける。尚、分割部14−3,14−5〜14−7は、s=s=s=s=1であるため、入力したTSを分割しないで、そのまま多重化部15に出力する。
【0062】
TSを分割数のデータ列に分割するための規則について説明する。図8は、分割部14−1〜14−Iによる第1の規則に従う処理(図6または図7のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。図9は、第2の規則に従う処理(図6のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。図10は、第2の規則に従う処理(図7のスロット割り当て情報が与えられた場合の処理)を示す図である。
【0063】
図8は、チャネル番号の若い順(データ列の番号の若い順)に、割り当てるスロット数と同数のTSパケットを連続してデータ列に振り分ける規則(規則1)の例を示している。分割部14−1は、図6または図7のスロット割り当て情報1〜8を入力し、予め設定された規則1に基づいて、36個のTSパケット1〜36のTSを4系統のデータ列1〜4に分割する際に、11個のTSパケット1〜11のTSをデータ列1に、11個のTSパケット12〜22のTSをデータ列2に、11個のTSパケット23〜33のTSをデータ列3に、3個のTSパケット34〜36のTSをデータ列4にそれぞれ分割する。
【0064】
また、図9は、チャネル番号の若い順及びスロット番号の若い順に、1TSパケットずつ振り分ける規則(規則2)の例を示している。分割部14−1は、図6のスロット割り当て情報1〜8を入力し、予め設定された規則2に基づいて、36個のTSパケット1〜36のTSを4系統のデータ列1〜4に分割する際に、11個のTSパケット1,5,9,・・・,34のTSをデータ列1に、11個のTSパケット2,6,10,・・・,35のTSをデータ列2に、11個のTSパケット3,7,11,・・・,36のTSをデータ列3に、3個のTSパケット4,8,12のTSをデータ列4にそれぞれ分割する。
【0065】
また、図10において、分割部14−1は、図7のスロット割り当て情報1〜8を入力し、予め設定された規則2に基づいて、36個のTSパケット1〜36のTSを4系統のデータ列1〜4に分割する際に、11個のTSパケット1,5,8,・・・,33のTSをデータ列1に、11個のTSパケット2,6,9,・・・,34のTSをデータ列2に、11個のTSパケット3,7,10,・・・,35のTSをデータ列3に、3個のTSパケット4,20,36のTSをデータ列4にそれぞれ分割する。尚、分割部14−1は、図7のスロット割り当て情報1〜8を入力した場合、予め設定された規則1に基づいて、TSを、図8に示したデータ列1〜4と同じデータ列に分割する。
【0066】
このように、規則2に基づいてTSを分割する場合は、規則1に基づいてTSを分割する場合に比べ、送信装置1及び受信側において、TSを格納するために必要となるバッファ量を少なくすることができる。データ列1〜4はそれぞれ別々のTSMFに格納され、規則1では、TSを構成する連続したTSパケットを、複数のTSMFの先頭のスロットから順番に格納し読み出すことができず、規則2では、TSを構成する連続したTSパケットを、複数のTSMFの先頭のスロットから順番に格納し読み出すことができるからである。つまり、規則1では、TSMF毎に処理するためのバッファ量が必要になるのに対し、規則2では、スロット毎または複数のスロット毎に処理するためのバッファ量が必要になり、規則1の場合よりも少ないバッファ量で済むことになる。
【0067】
(ヘッダ)
ヘッダ生成部13−1〜13−8は、スロット割り当て部12−1〜12−8から対応するスロット割り当て情報1〜8を入力し、スロット割り当て情報1〜8に基づいて、順序情報を含むヘッダ1〜8を生成する。順序情報は、多重化部15により生成される8個のTSMFの順序を識別するための情報であり、後述する受信装置2においてTSを取り出す際の、分割されたデータ列のチャネル単位での合成順序を示す。本具体例では、順序情報の大きさを8ビットとし、それぞれヘッダ1では0x1、ヘッダ2では0x2、・・・、ヘッダ8では0x8とする。この場合、表現できる最大チャネル数は255となる。順序情報の大きさは、想定するチャネル数に応じて適切に設定する必要がある。
【0068】
図11は、ヘッダ生成部13−1〜13−4により生成されるヘッダ1〜4の例を示す図である。図12は、ヘッダ生成部13−5〜13−8により生成されるヘッダ5〜8の例を示す図である。図11及び図12に示すように、ヘッダは、パケット同期情報、TSMF同期情報、TS1〜TS15の識別子であるTS_id(TS識別子)及びOriginal_network_id(オリジナルネットワーク識別子)、スロット1〜11の相対TS_id、順序情報及びその他の情報から構成される。パケット同期情報(0x47、ビット数8)は、TSパケット形式のデータの先頭を表し、パケット同期を確立するためのデータである。TSMF同期情報(0x1a86、ビット数16)は、フレーム同期を確立するためのデータ、すなわち、ヘッダを検出するためのデータである。順序情報は、前述のとおり、多重化により生成されるTSMFの順序を識別するための情報である。
【0069】
ヘッダ内のスロット割り当て情報は、多重するTS数を最大15として、相対TS_idを4ビットで表し、スロット毎に相対TS_idを記述した表及び多重するTSの最大数と同数のTS_id及びOriginal_network_idを記述した表から構成される。これら2つの表によって各スロットのTSパケットを指定している。本具体例では、実際に伝送されるTS数は7であるため、TS8〜15のTS_id、Original_network_idの値は、「0xFFFF」としている。
【0070】
尚、図11及び図12のTS_id、Original_network_idと相対TS_idの対応表は、各TSMFで伝送していないTSも含め、全てのTSについて記述されているが、必ずしも全てのTSについて記述される必要はなく、各TSMFで伝送しているTSについてのみ記述し、残りの領域は「0xFFFF」としてもよい。全てのヘッダに、全てのTSのTS_id、Original_network_idを、相対TS_idが同じになるように記述した場合は、後述する受信装置2において、ヘッダ1〜8のうちのいずれかのヘッダからこの表を取得すればよい。
【0071】
多重化部15は、スロット割り当て部12−1〜12−8から入力したスロット割り当て情報1〜8に基づいて、各チャネルで伝送するデータ列及びヘッダ1〜8をTSMF1〜8に多重化し、対応する送信部16−1〜16−8に出力する。
【0072】
送信部16−1〜16−8は、多重化部15から入力したTSMF1〜8を、チャネル1〜8で伝送可能な信号形式に変換して出力する。例えば、チャネルを6MHzの周波数帯域幅を持つ高周波信号の伝送路とする場合、ITU−T J.83 Annex C方式に従ってTSMFを64QAMまたは256QAM変調し、高周波信号として出力する。
【0073】
図13は、TSMFの順序情報とそのTSMFが伝送されるチャネルの中心周波数の対応例を示す図である。送信部16−1は、TSMF1のヘッダから順序情報「0x01」を取得し、図13に示す対応例の情報が格納されたテーブルから、その順序情報「0x01」に対応する中心周波数fを取得し、この中心周波数fにおける6MHzの周波数帯域幅を持つ高周波信号として、TSMF1を出力する。同様に、送信部16−2〜16−8は、それぞれの順序情報に対応する中心周波数f,f,・・・,fを取得し、TSMF2〜8を高周波信号として出力する。
【0074】
以上のように、実施例1の送信装置1によれば、チャネル割り当て部10が、各TSの速度情報1〜Iに基づいて、前記条件(1)及び(2)を満たすように、速度変換後の各TSの速度を決定し、速度変換後の各TSの速度がα=A×M+BとなるパラメータA,Bを算出するようにした。そして、パラメータA,Bに基づいて、伝送にて使用するチャネル数Nを算出すると共に、各TSに割り当てるチャネル数が、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように、ゼロでないAのTSに対しA個のチャネルの全スロットを割り当て、端数BのTSに対し残りのチャネルのスロットを割り当てるようにした。そして、スロット割り当て部12−1〜12−Nが、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数に基づいて、チャネル毎のスロット割り当て情報を生成するようにした。このチャネル毎のスロット割り当て情報に基づいて、TSMF1〜Nが多重化されて生成され、出力される。この場合、チャネル割り当て部10は、TSがTSMFの全データスロットに格納されるように、チャネル毎に、各TSに割り当てるスロット数を算出する。したがって、空きスロットは、最後に割り当て処理が行われるチャネルのTSMFのみに存在するか、または、空きスロットはゼロになる。これにより、TSMFのデータスロットには、必要最小限の空きスロットしか存在しなくなる。特に、速度変換後のTSに割り当てるスロット数の合計が、1TSMFのデータスロット数の整数倍に等しい場合は、多重化されるTSの数または速度に依存することなく、TSMF内の空きスロット数が必ず0となる。前記具体例では、速度変換後のTSに割り当てるスロット数の合計は88(36+15+11+9+6+6+5)であり、1TSMFのデータスロット数はM=11であるから、速度変換後のTSに割り当てるスロット数の合計88が1TSMFのデータスロット数M=11の整数倍に等しいから、TSMF内の空きスロット数が必ず0となる。つまり、送信装置1が出力するチャネル1〜8のTSMF1〜8における全てのデータスロットに、TS1〜TS7のうちのいずれかのTSのTSパケットが格納されるから、空きスロットは0となる。したがって、効率的な伝送が可能となり、伝送路の利用効率を向上させることができる。
【0075】
また、実施例1の送信装置1によれば、チャネル割り当て部10は、図2〜図5に示したフローチャートに従って処理を行うから、TSの数であるIが増加しても、処理負荷はさほど変わることがない。したがって、チャネル割り当て部10の処理は、TSの数に依存することなく、TSの数が増加しても容易に行うことができる。
【0076】
また、実施例1の送信装置1によれば、分割部14−1〜14−Iにより分割される各TSの分割数は、送信装置1が使用する総チャネル数に依存することなく、各TSを伝送するために少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下にすることができる。これにより、受信装置2では、TSの速度に応じて、送信装置1が送信する総チャネル数よりも少ない数の受信部にて当該TSを受信することができ、消費電力を低減することができる。また、入力するTSの最大速度が予め明確になっている場合、そのTSをチャネルに分割する数が一義的に(少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下に)決定されるから、多重するTSの数、速度、及び送信装置1が使用する総チャネル数に依存することなく、受信装置2にて必要となる受信部の数の最大値(少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下の値)を規定することができ、回路規模を低減することができる。このように、伝送路の利用効率を向上させつつ、受信側にてTSを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限することが可能となる。
【0077】
〔受信装置/実施例1〕
次に、本発明の実施例1による受信装置について説明する。図14は、受信装置の構成を示すブロック図であり、この受信装置は、実施例1だけでなく、後述する実施例2にも適用がある。この受信装置2は、制御部20、受信部21−1〜21−Nr、ヘッダ検出部22、分離部23、合成部24及び速度再生部25を備えている。Nrは、受信部の数(正の整数)を示す。受信装置2は、送信装置1からチャネル1〜Nにて送信されたTSMFの高周波信号を受信し、要求されたTSを含むTSMFを抽出し、TSMFから要求されたTSを分離し、要求されたTSを合成する。
【0078】
制御部20は、チャネルの中心周波数及びTSの識別子(TS_id/Original_network_id)からなるチャネル情報、及び、ユーザーのリモコン等の操作によって要求されたTSの識別子からなる番組情報を入力し、チャネル情報及び番組情報に基づいて、要求されたTSの識別子に対応するチャネルの中心周波数を特定し、特定したチャネルの中心周波数の数を算出する。そして、制御部20は、特定したチャネルの中心周波数及びon信号を、受信部21−1〜21−Nrのうちの前記算出結果の数の受信部に出力し、off信号を受信部21−1〜21−Nrのうちの残りの受信部に出力する。また、制御部20は、チャネル情報をヘッダ検出部22に出力し、番組情報をヘッダ検出部22及び分離部23に出力する。
【0079】
図15は、チャネル情報の例を示す図である。このチャネル情報は、チャネルの中心周波数及びTSの識別子により構成される。例えば、チャネル情報はテーブルに予め格納されており、制御部20は、このテーブルから読み出すことにより、チャネル情報を取得するようにしてもよい。また、受信装置2の受信部21−1が、制御部20からの指令に従い全てのチャネルをスキャンすることによって、すなわち、チャネルの中心周波数f,f,・・・,fをそれぞれ設定して、そのチャネルの高周波信号をTSMFに変換し、TSMFのヘッダからTSの識別子を取得することによって、制御部20は、受信部21−1からチャネルの中心周波数及びTSの識別子を入力し、チャネル情報を生成するようにしてもよい。
【0080】
受信部21−1〜21−Nrは、送信装置1から、例えばITU−T J.83 Annex C方式の高周波信号(チャネル1〜Nにて送信されたTSMFの高周波信号)を入力すると共に、制御部20からチャネルの中心周波数及びon信号、またはoff信号を入力する。受信部21−1〜21−Nrは、それぞれ周波数選択回路及び復調回路を有しており、チャネルの中心周波数及びon信号を入力した場合、これらの回路により、チャネルの中心周波数における6MHzの周波数帯域幅を持つ高周波信号をTSMFに変換し、TSMF1〜Nrをヘッダ検出部22に出力する。off信号を入力した場合は、TSMFへの変換処理を行わない。ここでは、受信部21−1〜21−nがチャネルの中心周波数及びon信号を入力し、高周波信号をTSMF1〜nに変換してヘッダ検出部22に出力し、受信部21−(n+1)〜21−Nrがoff信号を入力する。nは1以上Nr以下の整数とする。つまり、受信部21−1〜21−nは、チャネル1〜Nにて送信されたTSMF1〜Nから、ユーザーにより要求されたTSを含むTSMFのみを抽出する。
【0081】
ヘッダ検出部22は、受信部21−1〜21−nからTSMF1〜nを入力すると共に、制御部20からチャネル情報及び番組情報を入力する。ヘッダ検出部22は、チャネル情報及び番組情報に基づいて、要求されたTSを含むTSMFが変換された受信部を特定し、受信部21−1〜21−Nrのうちの受信部21−1〜21−nから入力したTSMF1〜nを処理の対象とする。ヘッダ検出部22は、入力したTSMF1〜n内のヘッダからTSMF同期情報(0x1a86)のパターンを取得することによりフレーム同期を確立し、TSMF1〜nのヘッダをそれぞれ検出する。そして、ヘッダを同期合成の基準信号として用いることにより、各TSMFの到達時間差を吸収して到達時間の最も遅いTSMFにタイミングを合わせ、時間差を吸収したTSMF1〜nを分離部23に出力する。また、ヘッダ検出部22は、TSMF1〜nのヘッダからスロット割り当て情報及び順序情報を抽出し、TSMF毎のスロット割り当て情報を分離部23に出力し、TSMF毎の順序情報を合成部24に出力する。
【0082】
分離部23は、ヘッダ検出部22からTSMF1〜n及びTSMF毎のスロット割り当て情報を入力すると共に、制御部20から番組情報を入力し、番組情報が示す要求されたTSの識別子及びスロット割り当て情報から、要求されたTSが格納されているTSMF1〜nのスロット番号を特定し、TSMF1〜nから要求されたTSを分離する。そして、分離部23は、TSMF1〜nから分離させたTSのデータ列(TSMF毎のデータ列)を合成部24に出力する。
【0083】
合成部24は、分離部23からTSMF毎のデータ列を入力すると共に、ヘッダ検出部22からTSMF毎の順序情報を入力し、順序情報及び予め設定された規則(送信装置1の分割部14−1〜14−I、図8〜図10と同じ規則1または規則2)に基づいて、データ列内のTSパケットを合成してTSを生成し、生成したTS(要求されたTS)を速度再生部25に出力する。
【0084】
速度再生部25は、合成部24からTSを入力し、TSの速度を再生して出力する。具体的には、速度再生部25は、伝送路の伝送速度を分周・逓倍する回路を備えており、この回路にて再生したクロックに同期させてTSを出力する。
【0085】
〔具体例〕
次に、図14に示した受信装置2の動作について、具体例を挙げて説明する。受信装置2は、前述した具体例の送信装置1により送信された高周波信号を受信し、識別子としてTS_id=0x0001、Original_network_id=0x1001であるTSがユーザーにより要求されているものとする。尚、受信装置2は、図15に示したチャネル情報を予め取得するものとする。また、Nr=8とする。
【0086】
制御部20は、チャネル情報に基づいて、TSが伝送されるチャネルの中心周波数を取得する。TSは、中心周波数がf,f,f,fのチャネルで伝送されることから、制御部20は、受信部21−1〜21−8のうちの4個(n=4)の受信部21−1〜21−4を選択的に動作(on)させるために、チャネルの中心周波数f,f,f,f及びon信号を対応する受信部21−1〜21−4にそれぞれ出力し、受信部21−1〜21−4にf,f,f,fの周波数を選択(チューニング)させる。また、制御部20は、残りの受信部21−5〜21−8を動作させないために(休止(off)させるために)、off信号を受信部21−5〜21−8にそれぞれ出力する。
【0087】
受信部21−1〜21−4は、制御部20からチャネルの中心周波数f,f,f,f及びon信号をそれぞれ入力し、チャネルの中心周波数f,f,f,fをそれぞれ選択し(チューニングし)、そのチャネルの高周波信号を復調しTSMF1〜4に変換する。そして、受信部21−1〜21−4は、復調したTSMF1〜4をヘッダ検出部22に出力する。
【0088】
ヘッダ検出部22は、受信部21−1〜21−4からTSMF1〜4を入力し、TSMF1〜4のTSMF同期情報によってヘッダを検出し、TSMF1〜4の到達時間差を吸収し、ヘッダからスロット割り当て情報1〜4及び順序情報を取得し、TSMF1〜4及びスロット割り当て情報1〜4を分離部23に出力し、TSMF毎の順序情報を合成部24に出力する。これにより、要求されたTSが伝送されるTSMFの合成順序を取得することができる。具体的には、中心周波数がそれぞれf,f,f,fであるチャネルのTSMF1〜4をヘッダ検出部22が入力した場合、図13に示したTSMFの順序情報とそのTSMFが伝送されるチャネルの中心周波数の対応例より、ヘッダ1〜4内の順序情報は2,1,3,4である。したがって、合成部24においてTSを合成する順序は、TSMF2,TSMF1,TSMF3,TSMF4となる。ヘッダ検出部22は、順序情報として(2,1,3,4)を合成部24に出力する。
【0089】
分離部23は、ヘッダ検出部22からTSMF1〜4及びスロット割り当て情報1〜4を入力し、スロット割り当て情報1〜4に基づいて、TSMF1〜4のデータスロットからTSを構成するTSパケットのみを抽出して分離し、分離したデータ列として合成部24に供給する。具体的には、まず、分離部23は、いずれかのスロット割り当て情報1〜4から、要求されたTSの識別子であるTS_id=0x0001、Original_network_id=0x1001のTSについて、その相対TS_id(=0x1)を取得する。次に、分離部23は、スロット割り当て情報1〜4の相対TS_idの表を参照し、相対TS_id=0x1であるスロット位置のTSパケットを抽出して分離し、TSMF1〜4から分離したTSのデータ列1〜4を出力する。
【0090】
合成部24は、分離部23から、TSMF1〜4から分離したTSのデータ列1〜4を入力すると共に、ヘッダ検出部22から順序情報(2,1,3,4)を入力し、順序情報に基づき、4個のデータ列1〜4をTSに合成する。また、合成部24は、図8〜図10に示した規則(規則1または規則2)に整合するようにデータ列を合成し、パケット単位の順序が狂わないようにする。このようにして、ユーザーにより要求されたTSが受信装置2から出力される。
【0091】
以上のように、実施例1の受信装置2によれば、送信装置1によりチャネル1〜Nにて送信されたTSMF1〜Nの高周波信号を受信し、制御部20が、ユーザーにより要求されたTSを含むTSMF1〜nを抽出するための受信部の数を特定し、Nr個の受信部のうちのn個の受信部21−1〜21−nを動作させるようにした。そして、ヘッダ検出部22が、TSMF1〜nのヘッダを検出してTSMF1〜nの到達時間差を吸収し、ヘッダから順序情報を抽出し、分離部23が、スロット割り当て情報及び予め設定された規則に基づいて、TSMF1〜nからユーザーにより要求されたTSのデータ列を分離し、合成部24が、順序情報に基づいてデータ列を合成するようにした。これにより、送信装置1によりチャネル1〜Nにて送信されたTSMF1〜Nのうち、ユーザーにより要求されたTSを含むTSMF1〜nを選択し、ユーザーにより要求されたTSを生成することができる。前述のとおり、送信装置1から送信されるTSMF1〜Nのデータスロットには、必要最小限の空きスロットしか存在しないか、または空きスロットは存在しない。したがって、送信装置1と、送信装置1から効率的な伝送を実現するTSMF1〜Nの高周波信号を受信し、ユーザーにより要求されたTSを生成する受信装置2とにより構成される伝送システムにおいて、伝送路の利用効率を向上させることができる。
【0092】
また、実施例1の受信装置2によれば、制御部20が、ユーザーにより要求されたTSを含むTSMF1〜nを抽出するための受信部の数を特定し、その数の受信部21−1〜21−nのみを動作させるようにした。つまり、制御部20は、送信装置1がチャネル1〜Nにて送信するTSMF1〜Nのうちの、ユーザーにより要求されたTSを含むTSMF1〜nを特定し、そのTSMF1〜nを抽出する受信部21−1〜21−nを動作させる。これにより、送信装置1がTSMF1〜Nを送信する総チャネル数Nよりも少ない数nの受信部21−1〜21−nにおいて、ユーザーにより要求されたTSを受信することができるから、消費電力を低減することができる。また、送信装置1が入力するTSの最大速度が予め明確になっている場合、そのTSをチャネルに分割する数が一義的に(少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下に)決定されるから、多重するTSの数I、速度、及び送信装置1が使用する総チャネル数Nに依存することなく、受信装置2にて必要となる受信部の数の最大値Nr(少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下の値)を予め設定することができ、回路規模を低減することができる。このように、伝送路の利用効率を向上させつつ、受信側にてTSを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限することが可能となる。
【実施例2】
【0093】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、送信装置が入力する各TSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として速度変換する例(TSMFの1スロットの1/10を単位として、小数点1位までの値に速度変換する例)である。また、実施例2では、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定し、チャネル毎に10個のTSMFを単位としてスロット割り当て情報及びヘッダを生成し、各TSを分割して多重化の処理を行う。
【0094】
実施例1では、送信装置1が入力するTSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度を単位として速度変換したが、その他の単位を用いて速度変換する場合であっても、本発明を適用することが可能である。そこで、実施例2では、TSMFの1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として速度変換する。これにより、実施例1と比べて速度変換時にTSに挿入するヌルパケットの数を少なくすることができ、伝送効率を一層向上させることができる。
【0095】
実施例2の送信装置1及び受信装置2の構成要素は、図1及び図14に示した実施例1と同様である。実施例2の送信装置1に備えたチャネル割り当て部10は、実施例1のチャネル割り当て部10とは異なる処理を行う。
【0096】
〔チャネル割り当て部の動作〕
以下、実施例2におけるチャネル割り当て部10の動作について、具体例を挙げて説明する。実施例2では、実施例1と同様に、送信装置1が入力するTS数を7(I=7)とし、各TSの正規化速度をそれぞれTS=35.53・・・,TS=14.11・・・,TS=10.5,TS=9,TS=5.63・・・,TS=5.09・・・,TS=4.67とし、TSMFのデータスロット数を11個とし、ヘッダスロットの数を1個として説明する。実施例2では、元のTSを、小数点1位までの値の速度になるように速度変換する。実施例1では、速度変換後の正規化速度を、元の正規化速度以上であって、かつ最小の整数値になるように速度変換するのに対し、実施例2では、速度変換後の正規化速度を、元の正規化速度以上であって、かつ、小数点1位までの値のうち最小の値になるように速度変換する。
【0097】
チャネル割り当て部10は、速度情報1〜Iに基づいて、前記(1)及び(2)の条件を満たすように、すなわち、速度変換後の各TSの正規化速度が各TSの元の正規化速度以上になること(1)、及び、速度変換後の各TSの正規化速度が小数点1位までの値のうち最小値になること(2)の条件を満たすように、速度変換後の正規化速度(各TSに割り当てるスロット数)を決定する。これにより、速度変換後の正規化速度は、TS=35.6,TS=14.2,TS=10.5,TS=9.0,TS=5.7,TS=5.1,TS=4.7に決定される。
【0098】
また、チャネル割り当て部10は、実施例1と同様に、各TSに割り当てるチャネル数が、各TSそれぞれの伝送に少なくとも必要なチャネル数に1を加算した数以下となるように、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する。ここで、各TSの少なくとも必要なチャネル数は、実施例1と同様に、TSでは4、TSでは2、その他のTSでは1である。これは、TSに割り当てるスロット数(速度変換後の正規化速度)が35.6であるから、ceil(P/Q)=ceil(35.6/11)=ceil(3.23・・・)=4となり、同様に、TSはceil(P/Q)=ceil(14.2/11)=2となり、TS〜TSはceil(P/Q)=1となるからである。
【0099】
各TSに割り当てるチャネル数及び割り当てたチャネル内のスロット数を決定する具体的処理(各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する具体的処理)は、実施例1の場合と同様に、図2に示したステップS23、ステップS231〜ステップS234、及び図3〜図5に示したフローチャートにより説明することができる。但し、実施例2では、Bの値が整数にならない場合がある点で実施例1と異なる。
【0100】
(各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を決定する処理)
図2を参照して、チャネル割り当て部10は、実施例1と同様に、速度変換後の正規化速度α=A×M+BとなるパラメータA,Bを算出し(ステップS231)、パラメータA,Bに基づいて、伝送にて使用するチャネル数Nを算出する(ステップS232)。そして、チャネル割り当て部10は、ゼロでないAのTSに対し、A個のチャネルの全スロットを割り当て(ステップS233)、端数BのTSに対し、残りのチャネルのスロットを割り当てる(ステップS234)。
【0101】
(パラメータA,Bを算出する処理:ステップS301〜ステップS302)
図3を参照して、チャネル割り当て部10は、速度変換後の正規化速度を決定した後、iをI以下の正の整数とし、速度変換後のTSの正規化速度(1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として正規化した伝送速度)αを、α=A×M+B(MはTSMFのデータスロット数、Aは正の整数、BはM以下の小数点1位までの数)として、A,Bの値を算出する。本具体例ではM=11であるため、以下の値となる。
=3,B=2.6
=1,B=3.2
=0,B=10.5
=0,B=9
=0,B=5.7
=0,B=5.1
=0,B=4.7
例えば、TSでは、(TS=)α=35.6=3×11+2.6だからである。
【0102】
チャネル割り当て部10は、前記式(1)により、使用するチャネル数Nを算出する。本具体例では、N=8となる。これは、1チャネルにて1TSMFを伝送するとして、TSの3×11=33スロット分のデータを3チャネルにて伝送し(3TSMFにて伝送し)、TSの1×11=11スロット分のデータを1チャネルにて伝送(1TSMFにて伝送)することを示している。また、TSの2.6スロット分のデータ、TSの3.2スロット分のデータ、TSの10.5スロット分のデータ、TSの9スロット分のデータ、TSの5.7スロット分のデータ、TSの5.1スロット分のデータ、及びTSの4.7スロット分のデータを残りの4チャネル(8−(3+1)=4)にて伝送(4TSMFにて伝送)することを示している。前者の4チャネル分の割り当ての処理は、同じTSに対して1チャネルの全スロットを割り当てる処理であり、図3に示したステップS303〜ステップS309により行われる。これにより、1チャネルの全スロットには同じTSが格納されることになる。また、後者の4チャネル分の割り当ての処理は、同じTSに対して1チャネルの全スロットを割り当てることができない場合に、端数のTSに対して1チャネルのスロットを割り当てる処理であり、図4に示したステップS401〜ステップS410及び図5に示したステップS501〜ステップS504により行われる。これにより、1チャネルの全スロットには異なるTSが格納され、空きスロットが存在する場合もあり得る。また、同じTSが格納される場合もあるが、この場合は空きスロットが存在することになる。
【0103】
(同じTSにチャネルの全スロットを割り当てる処理:ステップS303〜ステップS309)
チャネル割り当て部10は、ステップS302にて算出したゼロでないAをとるTSに対し、N個のチャネルのうち、A個のチャネルの全スロット(Mスロット)を割り当てる。本具体例では以下のようになる。
チャネル1に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル1の全スロット=11)
チャネル2に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル2の全スロット=11)
チャネル3に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル3の全スロット=11)
チャネル4に、TSの11スロット(TSに対し、チャネル4の全スロット=11)
【0104】
(端数のTSにチャネルのスロットを割り当てる処理:ステップS401〜ステップS410,ステップS501〜ステップS504)
図4を参照して、チャネル割り当て部10は、ステップS302にて算出したパラメータBをiの小さい順に加算し、Mの値と等しくなるようにBを分割し、合計数がM以下となるスロット数の組を決定する。このとき、全てのBについて、分割数は必ず2以下となる。本具体例では、B=2.6,B=3.2、及びB=10.5のうち5.2を加算すると11となるので、B=10.5を、5.2と5.3に分割する。このような処理を順次行うと、以下に示すスロット数の組が決定される。()内の数値はB〜Bそれぞれの値を示している。
{B(2.6)のうち2.6、B(3.2)のうち3.2、B(10.5)のうち5.2}
{B(10.5)のうち5.3、B(9)のうち5.7}
{B(9)のうち3.3、B(5.7)のうち5.7、B(5.1)のうち2}
{B(5.1)のうち3.1、B(4.7)のうち4.7}
【0105】
そして、チャネル割り当て部10は、図3に示したステップS303〜ステップS309におけるチャネルの全スロットを割り当てる処理によってTSが割り当てられなかった残りのチャネルについて、決定したスロット数の組に従って、Bに対応するTSにスロットを割り当てる。本具体例では、以下のようになる。
(a)チャネル5に、TSの2.6スロット、TSの3.2スロット、TSの5.2スロット(TSに対しチャネル5の2.6スロット、TSに対しチャネル5の3.2スロット、TSに対しチャネル5の5.2スロット)
(b)チャネル6に、TSの5.3スロット、TSの5.7スロット(TSに対しチャネル6の5.3スロット、TSに対しチャネル6の5.7スロット)
(c)チャネル7に、TSの3.3スロット、TSの5.7スロット、TSの2スロット(TSに対しチャネル7の3.3スロット、TSに対しチャネル7の5.7スロット、TSに対しチャネル7の2スロット)
(d)チャネル8に、TSの3.1スロット、TSの4.7スロット(TSに対しチャネル8の3.1スロット、TSに対しチャネル8の4.7スロット)
【0106】
尚、前記(a)(b)(c)は、図4及び図5に示したステップS402(Y)、ステップS403及びステップS404によって割り当てられる。前記(d)は、ステップS402(N)、ステップS501(N)、ステップS503(N)及びステップS504によって割り当てられる。この場合、チャネル8のTSMFは空きスロットを含むことになる。これは、各TSに割り当てるスロット数の合計が、1チャネルのデータスロット数の整数倍と等しくないからである。前記(a)〜(c)では、各チャネル1〜7において合計11スロット(データスロット数M)が割り当てられるから、空きスロットは含まない。
【0107】
このようにして、チャネル割り当て部10は、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を、チャネル1〜8に対応するスロット割り当て部12−1〜12−8に出力する。本具体例では、以下のとおりとなる。
スロット割り当て部12−1に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−2に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−3に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−4に、TSに割り当てるスロット数11
スロット割り当て部12−5に、TSに割り当てるスロット数2.6、TSに割り当てるスロット数3.2及びTSに割り当てるスロット数5.2
スロット割り当て部12−6に、TSに割り当てるスロット数5.3及びTSに割り当てるスロット数5.7
スロット割り当て部12−7に、TSに割り当てるスロット数3.3、TSに割り当てるスロット数5.7及びTSに割り当てるスロット数2
スロット割り当て部12−8に、TSに割り当てるスロット数3.1及びTSに割り当てるスロット数4.7
【0108】
尚、各TSの分割数は、以下のようになる。()内は分割後のスロット数を表す。
TSの分割数=4(11+11+11+2.6)
TSの分割数=2(11+3.2)
TSの分割数=2(5.2+5.3)
TSの分割数=2(5.7+3.3)
TSの分割数=1(5.7)
TSの分割数=2(2+3.1)
TSの分割数=1(4.7)
この分割数は、分割部14−1〜14−Iにおいて、スロット割り当て部12−1〜12−Nにより生成されたスロット割り当て情報1〜Nに基づいて算出される。
【0109】
実施例2では、実施例1に比べて、速度変換の単位を細かくするようにした。これにより、速度変換時に挿入するヌルパケット等の数を少なくすることができる。また、チャネル8にて伝送するTSMFにおいて、11スロット中7.8(=3.1+4.7)スロットを使用し、残りの3.2スロットが空きとなり、この空きスロットは、別のTSの伝送に使用できる。したがって、実施例1の場合と比べて伝送効率を向上させることができる。
【0110】
スロット割り当て部12−1〜12−8は、実施例1と同様に、チャネル割り当て部10から、各TSに割り当てるチャネル毎のスロット数を入力し、各TSがチャネル1〜8で使用するスロット数に基づいて、各TSに割り当てるTSMF内のスロット位置を決定し、スロット割り当て情報1〜8を生成する。実施例2では、実施例1で示したスロット割り当て情報の第1の例及び第2の例の場合とも、最大で10TSMF周期でスロット位置が固定となる。これは、TSの速度は、TSMFの1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として速度変換され、割り当てるスロット数の最小値が「10TSMF中で1スロット」となるからである。したがって、実施例2のスロット割り当て部12−1〜12−8は、各TSがチャネル1〜8で使用するスロット数に基づいて、10TSMFを単位とするスロット割り当て情報1〜8を生成する。
【0111】
図16は、実施例2におけるスロット割り当て情報5の例を示す図である。スロット割り当て部12−5は、チャネル割り当て部10から、チャネル5について各TSに割り当てるスロット数である、TSに割り当てるスロット数2.6、TSに割り当てるスロット数3.2及びTSに割り当てるスロット数5.2を入力する。そして、スロット割り当て部12−5は、10TSMFを単位とした場合のデータスロット数110について、TS1に対しスロット数2.6×10=26を、TS2に対しスロット数3.2×10=32を、TS3に対しスロット数5.2×10=52をこの順番に割り当て、図16に示す10個のスロット割り当て情報5を生成する。図16の例は、実施例1で示したスロット割り当て情報の第1の例を示している。尚、スロット割り当て情報が示すスロット位置は、実施例1と同様に、割り当てるスロット数を満たしていれば、第1の例及び第2の例以外によって決定するようにしてもよい。
【0112】
分割部14は、実施例1と同様に、スロット割り当て部12−1〜12−8からスロット割り当て情報1〜8を入力し、スロット割り当て情報1〜8に基づいて、予め設定された規則(図8〜図10に示した規則1,2)に従って、入力したTS〜TSのTSパケットを振り分け、分割する。実施例2では、実施例1で示した規則2(チャネル番号の若い順及びスロット番号の若い順に、1TSパケットずつ振り分ける規則)を適用する。
【0113】
図17は、実施例2において、スロット割り当て情報の第1の例及び分割部14−1による第2の規則に従う処理を示す図である。分割部14−1は、スロット割り当て情報1〜8を入力し、TSに割り当てるスロット数を含むスロット割り当て情報1〜3,5を特定し、スロット割り当て情報1〜3,5からTSに割り当てるスロット数11,11,11,2.6を取得する。そして、分割部14−1は、予め設定された規則2に基づいて、速度変換後のTSの正規化速度に相当する356個のTSパケット1〜356のTSを、4系統のデータ列1〜4に分割する際に、11×10=110個のTSパケット1,5,9,・・・,354をデータ列1に、11×10=110個のTSパケット2,6,10,・・・,355をデータ列2に、11×10=110個のTSパケット3,7,11,・・・,356をデータ列3に、2.6×10=26個のTSパケット4,8,12,・・・,104をデータ列4にそれぞれ分割する。
【0114】
ヘッダ生成部13−1〜13−8は、実施例1と同様に、対応するスロット割り当て部12−1〜12−8からスロット割り当て情報1〜8をそれぞれ入力し、スロット割り当て情報1〜8に基づいて、順序情報を含むヘッダを生成する。
【0115】
図18〜図27は、実施例2において、スロット割り当て情報の第1の例の1番目から10番目に送信するヘッダ1〜4、並びに、1〜2番目、3番目、4番目、5番目、6番目、7番目、8番目、9番目及び10番目に送信するヘッダ5〜8の例を示す図である。実施例2では、TSMF8の3.2スロット(11−(3.1+4.7))、すなわち、10個のTSMF8において3.2×10=32スロットが空きとなる。図25〜図27では、ヘッダ8において、空きスロットの相対TS_idを0x0としている。
【0116】
実施例2の受信装置2は、実施例1と同様の処理を行い、要求されたTSを出力する。実施例2の受信装置2による処理は、実施例1と同様であるから説明を省略する。
【0117】
尚、実施例2では、送信装置1が入力するTSの速度に対し、TSMFの1スロットあたりの伝送速度の1/10を単位として速度変換したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1以上の任意の整数をXとして、1/Xスロット単位で速度変換する場合にも適用がある。例えば、X=1のときは実施例1に相当し、X=10のときは実施例2に相当する。1/Xスロット単位でTSを速度変換する場合、スロット位置が固定となるTSMFの周期はXとなる。したがって、送信装置1は、X個のTSMFを単位として、スロット割り当て情報の生成、各TSの分割、ヘッダの生成、多重化の処理を行う。例えば、実施例2では、送信装置1は、10個のTSMFを単位として処理を行う。
【0118】
以上のように、実施例2の送信装置1及び受信装置2によれば、実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、伝送路の利用効率を向上させつつ、受信装置2がTSを取り出す際に受信が必要なチャネル数を一定以下に制限することが可能となる。
【0119】
実施例1,2の具体例では、TSは、4個のチャネルにてそれぞれ送信される。TSがMPEG−2 TSである場合、送信装置1の速度変換部11−1は、TSが伝送される総チャネル数4の合計の伝送速度(正規化速度で44)、すなわち1チャネルあたりの伝送速度の4倍の速度に合わせてPCRの値を書き換えるようにしてもよい。そして、受信装置2の分離部23は、TSの分離処理として、TSMF1〜4内の、TSを構成するTSパケット以外のTSパケットをヌルパケットに置き換えて出力する。これにより、合成部24から出力されるTSの速度は、1チャネルあたりの伝送速度の4倍、すなわち、1スロットあたりの伝送速度で正規化した速度で44となり、合成部24から速度44のTSを入力する速度再生部25は、速度44を再生すればよい。したがって、速度再生部25は、速度変換後のTSの速度(実施例1では36、実施例2では35.6)を再生する必要がなく、元の速度を再生するための分周・逓倍回路が不要になる。
【0120】
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、実施例1,2において、順序情報は、ヘッダ生成部13−1〜13−Nによってヘッダ内に格納されるものとした。また、受信装置2の制御部20が入力するチャネル情報は、テーブルに予め格納されており、そのテーブルから読み出すことによって取得されるものとした。または、全てのチャネルをスキャンすることによって取得されるものとした。これに対し、送信装置1の多重化部15は、順序情報をTSのNITに、チャネルの中心周波数と併せて記述し、受信装置2のヘッダ検出部22は、順序情報をTSのNITから取得し、制御部20及びヘッダ検出部22は、チャネルの中心周波数をTSのNITから取得するようにしてもよい。
【0121】
図28は、NIT情報の例を示す図である。図28では、自らのTSだけではなく、全てのTSについて、伝送するチャネルの中心周波数がその順序と共に記述されている。このように全てのTSについて伝送するチャネルの中心周波数及び順序情報を記述する場合、受信装置2は、当該TSを受信してNITを参照すれば、図15に示したチャネル情報を取得することができる。これにより、受信装置2は、全チャネルをスキャンしてチャネル情報を取得する必要がないから、処理負荷を低減することができる。一方、NIT情報として自らのTSについてのみ伝送するチャネルの中心周波数及び順序情報を記述する場合、受信装置2は、図15に示したチャネル情報を取得するためのスキャンが必要になる。
【0122】
また、実施例1,2において、送信装置1は速度変換部11−1〜11−Iを備えるようにしたが、速度変換部11−1〜11−Iは必ずしも必要ではない。すなわち、実施例1,2の送信装置1と同等の機能を、チャネル割り当て部10、スロット割り当て部12−1〜12−N、ヘッダ生成部13−1〜13−N、分割部14−1〜14−I、多重化部15及び送信部16−1〜16−Nを備えた送信装置と、速度変換部11−1〜11−Iを備えた速度変換装置とにより構成される送信システムに実現させる。送信装置のチャネル割り当て部10は、速度変換後の速度変換情報1〜Iを速度変換装置へ出力する。速度変換装置の速度変換部11−1〜11−Iは、送信装置から速度変換後の速度変換情報1〜Iを入力し、速度変換処理を行い、速度変換後のTS〜TSを送信装置へ出力する。送信装置の分割部14−1〜14−Iは、速度変換装置から速度変換後のTS〜TSを入力し、多重化処理を行う。
【0123】
本発明の実施例による送信装置1及び受信装置2のハード構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。送信装置1及び受信装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。送信装置1に備えたチャネル割り当て部10、速度変換部11−1〜11−I、スロット割り当て部12−1〜12−N、ヘッダ生成部13−1〜13−N、分割部14−1〜14−I、多重化部15及び送信部16−1〜16−Nの各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、受信装置2に備えた制御部20、受信部21−1〜21−Nr、ヘッダ検出部22、分離部23、合成部24及び速度再生部25の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0124】
1 送信装置
2 受信装置
10 チャネル割り当て部
11 速度変換部
12 スロット割り当て部
13 ヘッダ生成部
14 分割部
15 多重化部
16 送信部
20 制御部
21 受信部
22 ヘッダ検出部
23 分離部
24 合成部
25 速度再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデジタルデータをパケット単位で時分割多重し、ヘッダスロット及びデータスロットからなるフレームを構成し、複数のチャネルを用いて並列伝送するデジタルデータ送信装置において、
前記デジタルデータに対して割り当てるチャネルを決定するチャネル割り当て部と、
前記デジタルデータを前記フレーム内のデータスロットに格納する際の、前記デジタルデータに対して割り当てるデータスロットを識別するための情報を、スロット割り当て情報としてチャネル毎に生成するスロット割り当て部と、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記デジタルデータを、チャネル毎に伝送するためのデータ列に分割する分割部と、
前記スロット割り当て情報を含むヘッダを生成するヘッダ生成部と、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記ヘッダ及び前記データ列をフレームに多重化し、チャネル毎にフレームを生成する多重化部と、
前記生成されたチャネル毎のフレームを送信する送信部と、を備え、
前記チャネル割り当て部は、前記デジタルデータの元の速度に基づいて、速度変換後の伝送速度を決定し、前記速度変換後のデジタルデータの伝送速度に基づいて、前記デジタルデータを伝送するチャネル数を、ceil(P/Q)(Pはデジタルデータの伝送速度、Qは1チャネルあたりのデジタルデータの伝送速度、ceil(a)は、a以上の最小の整数を表す)+1以下に制限するように決定することを特徴とするデジタルデータ送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルデータ送信装置において、
前記ヘッダ生成部は、前記複数のチャネルを用いて並列伝送する際の、全チャネル中の相対的な伝送順序を示す順序情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記順序情報を含むヘッダを生成することを特徴とするデジタルデータ送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタルデータ送信装置において、
前記デジタルデータをトランスポートストリームとし、
前記多重化部は、前記複数のチャネルを用いて並列伝送する際の、全チャネル中の相対的な伝送順序を示す順序情報を生成し、前記順序情報をトランスポートストリーム内のNIT(ネットワークインフォメーションテーブル)に格納することを特徴とするデジタルデータ送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからデジタルデータを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、
前記複数のチャネルのフレームを受信し、所定チャネルのフレームを抽出する複数の受信部と、
前記デジタルデータと前記デジタルデータが伝送されたチャネルとの間の対応を示すチャネル情報、及び要求されたデジタルデータを示す番組情報に基づいて、前記複数の受信部のうちの1以上の受信部を選択的に動作させ、前記動作させた受信部に、前記要求されたデジタルデータを含むチャネルのフレームを抽出させる制御部と、
前記抽出されたフレームのヘッダを検出し、ヘッダからスロット割り当て情報を取得するヘッダ検出部と、
前記取得されたスロット割り当て情報に基づいて、前記抽出されたフレームから、要求されたデジタルデータを分離する分離部と、
前記分離されたデジタルデータを、要求されたデジタルデータとして合成する合成部と、を備えることを特徴とするデジタルデータ受信装置。
【請求項5】
請求項2に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからデジタルデータを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、
請求項4に記載の複数の受信部、制御部、ヘッダ検出部、分離部及び合成部を備え、
前記合成部は、前記抽出されたフレームのヘッダに含まれる順序情報に基づいて、前記分離されたデジタルデータを合成することを特徴とするデジタルデータ受信装置。
【請求項6】
請求項3に記載のデジタルデータ送信装置により並列伝送されたチャネル毎のフレームを受信し、前記チャネル毎のフレームからトランスポートストリームを分離して合成するデジタルデータ受信装置であって、
請求項4に記載の複数の受信部、制御部、ヘッダ検出部、分離部及び合成部を備え、
前記合成部は、前記トランスポートストリームのNITに含まれる順序情報に基づいて、前記分離されたトランスポートストリームを合成することを特徴とするデジタルデータ受信装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から3までのいずれか一項に記載のデジタルデータ送信装置として機能させるためのデジタルデータ送信プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項4から6までのいずれか一項に記載のデジタルデータ受信装置として機能させるためのデジタルデータ受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−234160(P2011−234160A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103092(P2010−103092)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】