説明

デジタル放送受信装置

【課題】チャンネル設定後にユーザがEPGをすぐに利用可能となるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】所定の初期周波数から所定の最終周波数まで指定周波数を変更しながらチューナが指定周波数の放送信号を同調抽出できたか否かを確認する確認手段と、前記確認手段が前記チューナが同調抽出できたことを確認した場合に、操作手段の操作キーにチャンネルを設定するチャンネル設定に必要なトランスポートストリームから分離された所定の情報を第一の記憶手段に記憶させ、トランスポートストリームから分離されたEPGデータを第二の記憶手段に記憶させる制御手段とを備えたデジタル放送受信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地上デジタル放送受信に対応したハードディスクレコーダ、DVDレコーダ、テレビ等が登場している。
【0003】
このような従来のデジタル放送受信装置においては、ユーザ購入後の初回起動時に、チャンネルサーチによるいわゆるチャンネル設定がされていた。チャンネル設定後、ユーザがリモコンの数字キーを操作すれば、その数字キーの数字のチャンネルの放送がデジタル放送受信装置により選局され、ユーザは選局された放送を視聴できた。
【特許文献1】特開2003−37788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のデジタル放送受信装置では、チャンネル設定後、ユーザがEPG(電子番組表)を利用したい場合、ユーザはリモコン操作により各チャンネルの選局を行い、EPGデータをデジタル放送受信装置に取得させる必要があった。これは、地上デジタル放送においては、各放送局の放送波にはその放送局のみのEPGデータが重畳されているからである。
【0005】
また、上記従来のデジタル放送受信装置では、チャンネル設定後、ユーザがEPGを利用したい場合、ユーザがメニュー画面よりEPG取得を選択し、デジタル放送受信装置がEPGデータを取得するという方法もあったが、このときデジタル放送受信装置は自動で各チャンネルの選局を行ってEPGデータを取得していた。
【0006】
このように上記いずれの場合も、チャンネル設定後にユーザがEPGを利用したい場合、EPGが利用できるまでに時間がかかってしまうという問題点があった。
【0007】
なお、特許文献1には、選局可能なチャンネルについて放送有無の受信状態を記憶部に記憶し、サーバにアクセスしてサーバに登録された各放送サービスのチャンネル情報から各放送サービスについてチャンネル毎の放送有無を記憶部に記憶し、上記記憶された各内容の比較により放送サービスを特定し、サーバから特定された放送サービスのEPGデータをダウンロードするようなテレビが開示されているが、上記のような問題点を解決するものではない。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、チャンネル設定後にユーザがEPGをすぐに利用可能となるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、デジタル放送信号から指定された周波数の放送信号を同調抽出するチューナと、
前記チューナが同調抽出した放送信号からトランスポートストリームを取出すトランスポートストリーム取出し手段と、
所定の初期周波数から所定の最終周波数まで指定周波数を変更しながら前記チューナが指定周波数の放送信号を同調抽出できたか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段が前記チューナが同調抽出できたことを確認した場合に、操作手段の操作キーにチャンネルを設定するチャンネル設定に必要な前記トランスポートストリームから分離された所定の情報を第一の記憶手段に記憶させ、前記トランスポートストリームから分離されたEPG(電子番組表)データを第二の記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備える構成としている。
【0010】
このような構成によれば、チャンネル設定後、第二の記憶手段には受信可能な各チャンネルのEPGデータが記憶された状態であるから、チャンネル設定後にユーザはすぐにEPGを利用可能となる。
【0011】
また、上記構成において、前記所定の情報は、例えば、TS(Transport Stream)IDとすればよい。
【0012】
また、上記構成において、前記第一の記憶手段は、例えば、不揮発性メモリとすればよい。
【0013】
また、上記構成において、前記第二の記憶手段は、例えば、不揮発性メモリとすればよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のデジタル放送受信装置によれば、チャンネル設定後にユーザがEPGをすぐに利用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、ハードディスクレコーダを一例として説明する。
【0016】
図1に、本発明に係るハードディスクレコーダの概略構成図を示す。図1に示すよう、本発明に係るハードディスクレコーダは、チューナ2と、復調部3と、誤り訂正部4と、デマルチプレクサ5と、映像音声デコード部6と、音声D/A変換部7と、映像合成部8と、映像D/A変換部9と、制御部10と、HDD(ハードディスクドライブ)11と、不揮発性メモリ12と、OSD(On Screen Display)部13と、リモコン受信部14と、を備える。また、アンテナ1はチューナ2に接続され、テレビ15は音声D/A変換部7および映像D/A変換部9に接続される。
【0017】
アンテナ1は、地上波放送局から送信されてくる地上デジタル放送波を受信し、放送波を高周波放送信号に変換してチューナ2に出力する。
【0018】
チューナ2は、アンテナ1から入力される高周波放送信号から制御部10が送信する選局データで指定される周波数の信号を同調抽出し、抽出された信号を中間周波信号に周波数変換して中間周波信号を復調部3に出力する。
【0019】
復調部3は、チューナ2から入力される中間周波信号をデジタル復調しトランスポートストリームを取り出して誤り訂正部4に出力する。
【0020】
誤り訂正部4は、復調部3から入力されるトランスポートストリームに対して誤り訂正処理を行い、処理後のトランスポートストリームをデマルチプレクサ5に出力する。
【0021】
デマルチプレクサ5は、誤り訂正部4から入力されるトランスポートストリームから映像データ、音声データおよび付加データを分離し、映像データおよび音声データを映像音声デコード部6に出力し、付加データを制御部10に出力する。
【0022】
映像音声デコード部6は、デマルチプレクサ5から入力される映像データおよび音声データをデコードし、デコードされた映像データを映像合成部8に出力し、デコードされた音声データを音声D/A変換部7に出力する。
【0023】
音声D/A変換部7は、映像音声デコード部6から入力される音声データをD/A変換し、アナログ音声信号をテレビ15に出力する。
【0024】
OSD部13は、制御部10の指示によりOSD映像データを生成して映像合成部8に出力する。映像合成部8は、映像音声デコード部6から入力される映像データおよびOSD部13から入力されるOSD映像データを合成して合成映像データを映像D/A変換部9に出力する。また、映像合成部8は、上記合成をせずにOSD映像データを映像D/A変換部9に出力もする。
【0025】
映像D/A変換部9は、映像合成部8から入力される合成映像データやOSD映像データをD/A変換し、アナログ映像信号をテレビ15に出力する。
【0026】
HDD11は、ハードディスクを内蔵し、映像音声データをハードディスクに記録させたり、ハードディスクから映像音声データを再生したりする。
【0027】
不揮発性メモリ12は、例えばEEPROMであり、各種設定情報やEPGデータが記憶される。
【0028】
リモコン16は、数字キー、EPG表示用キー等のキーを有しており、キー操作されるとその操作に対応するリモコンコードを赤外線信号に変換してリモコン受信部14に送信する。リモコン受信部14は、リモコン16から赤外線信号を受信すると赤外線信号をリモコンコードに変換しリモコンコードを制御部10に出力する。
【0029】
次に、本発明に係るハードディスクレコーダにおけるチャンネル設定動作について図2に示すフローチャートを用いて説明する。本チャンネル設定動作は、工場出荷後、ハードディスクレコーダの初回起動時に行われる。
【0030】
まず、制御部10は、所定の初期周波数を指定して選局データをチューナ2に送信し、ステップS20で、チューナ2が指定した周波数の高周波放送信号を同調抽出できたか否かを確認する。
【0031】
そして、チューナ2の同調抽出を確認した場合は(ステップS21のY)、ステップS22に進み、チューナ2が同調抽出できないことを確認した場合は(ステップS21のN)、ステップS24に進む。
【0032】
ステップS22で、制御部10は、デマルチプレクサ5がトランスポートストリームから分離したTS(Transport Stream) IDを不揮発性メモリ12に記憶させる(図3)。TS IDは放送局名を表す情報である。また、このとき制御部10は、現在の指定周波数をTS IDに対応させて不揮発性メモリ12に記憶させる(図3)。
【0033】
ステップS22の後、ステップS23で、制御部10は、デマルチプレクサ5がトランスポートストリームから分離したEPGデータを不揮発性メモリ12に記憶させる。そして、ステップS24に進む。
【0034】
ステップS24では、制御部10は、現在の指定周波数が所定の最終周波数であるか否かを判定する。もし、最終周波数でなければ(ステップS24のN)、ステップS25に進む。
【0035】
ステップS25で、制御部10は、現在の指定周波数に所定値を加算した周波数を新たな指定周波数として選局データをチューナ2に送信し、ステップS20に戻り、制御部10は、チューナ2が同調抽出できたか否かを確認する。
【0036】
そして、ステップS25での加算により上記初期周波数から指定周波数が序々に高くなり上記最終周波数に達すると、ステップS24で現在の指定周波数が最終周波数であると判定され(ステップS24のY)、ステップS26に進む。
【0037】
ステップS26で、制御部10は、TS IDとリモコン16の数字キーに対応するリモコンコードとの対応関係を表す不図示のROMに記憶されたテーブル(数字キーの数字はTS IDが表す放送局のチャンネル番号)(図4)を用いて、不揮発性メモリ12に記憶された各TS IDに対応する各リモコンコードを不揮発性メモリ12に各TS IDに対応させて記憶させる(図3)。
【0038】
以上でチャンネル設定動作は完了する。このとき、不揮発性メモリ12には、受信可能な各チャンネルについてのTS ID、指定周波数およびリモコンコードの対応関係と、受信可能な各チャンネルのEPGデータが記憶されている。
【0039】
以降、リモコン16の数字キーが操作されると、リモコン16は操作された数字キーに対応するリモコンコードを赤外線信号としてリモコン受信部14に送信し、リモコン受信部14は赤外線信号を受信してリモコンコードを制御部10に出力し、制御部10は、不揮発性メモリ12に記憶されたリモコンコードと指定周波数の対応関係においてリモコン受信部14から入力されるリモコンコードに対応している指定周波数を指定して選局データをチューナ2に送信する。すると、チューナ2が同調抽出する指定周波数の高周波放送信号に基づきテレビ15において映像が表示され音声が発せられる。この映像および音声は、操作された数字キーの数字のチャンネルの放送映像および放送音声となる。
【0040】
また、上記チャンネル設定動作の後、リモコン16のEPG表示用キーが操作されると、制御部10はリモコン受信部14から対応するリモコンコードを入力され、不揮発性メモリ12に記憶されたEPGデータをOSD部13に出力し、OSD部13はEPGデータに基づきOSD映像データを生成して映像合成部8に出力し、テレビ15にEPGが表示される。このように、チャンネル設定後にユーザはEPGをすぐに利用可能となる。
【0041】
なお、上記の実施形態はハードディスクレコーダであったが、本発明はこれに限らず、DVDレコーダ、テレビ等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】は、本発明に係るハードディスクレコーダの概略構成図である。
【図2】は、本発明に係るハードディスクレコーダにおけるチャンネル設定動作に関するフローチャートである。
【図3】は、不揮発性メモリの記憶内容の説明図である。
【図4】は、TS IDとリモコンコードの対応関係を表すテーブルの説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 アンテナ
2 チューナ
3 復調部
4 誤り訂正部
5 デマルチプレクサ
6 映像音声デコード部
7 音声D/A変換部
8 映像合成部
9 映像D/A変換部
10 制御部
11 HDD
12 不揮発性メモリ
13 OSD部
14 リモコン受信部
15 テレビ
16 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号から指定された周波数の放送信号を同調抽出するチューナと、
前記チューナが同調抽出した放送信号からトランスポートストリームを取出すトランスポートストリーム取出し手段と、
所定の初期周波数から所定の最終周波数まで指定周波数を変更しながら前記チューナが指定周波数の放送信号を同調抽出できたか否かを確認する確認手段と、
前記確認手段が前記チューナが同調抽出できたことを確認した場合に、操作手段の操作キーにチャンネルを設定するチャンネル設定に必要な前記トランスポートストリームから分離された所定の情報を第一の記憶手段に記憶させ、前記トランスポートストリームから分離されたEPG(電子番組表)データを第二の記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記所定の情報は、TS(Transport Stream)IDであることを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記第一の記憶手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記第二の記憶手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−294888(P2008−294888A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140062(P2007−140062)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】