説明

トラクタ

【課題】セミクローラ型トラクタの燃料タンクの容量アップを図る。
【解決手段】ミッションケース25の左右両側に左右燃料タンク22,22を配設し、左右燃料タンク22,22の左右両側方に左右後車軸3,3で駆動される左右クローラ走行装置6,6を配設する。左右燃料タンク22,22のタンク後側部22a,22aを左右クローラ走行装置6,6と干渉しないように平面視で幅狭に構成し、タンク前側部22b,22bを左右クローラ走行装置6,6と干渉するように平面視で幅広に構成する。そして、タンク前側部22b,22bの後側下部の左右クローラ走行装置6,6に対向する部位を凹ませて左右凹部22c,22cを形成し、左右燃料タンク22,22と左右クローラ走行装置6,6とを干渉しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業機械であるトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタの左右ステップの下方空間に、燃料タンクを左右に分割して配置し、左右の燃料タンク同士を燃料取出パイプにより左右連通し、左右燃料タンクを左右対称に構成したものは公知である(特許文献1)。
【0003】
また、トラクタの燃料タンクにおいて、車体と後輪との間においては、左右幅が狭く、後輪の前方側においては左右方向外側に張り出すように左右幅を広く構成したものは公知である(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−330798号公報
【特許文献2】特開2004−210082号公報(4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の技術は、車体と後輪との間においては、左右幅が狭く、後輪の前方側においては左右方向外側に張り出すように左右幅を広く構成しているので、所謂セミクローラ型トラクタにそのまま転用すると、クローラ走行装置の前側部と燃料タンクの前側の幅広部分が干渉するという不具合があった。そこで、この発明は、燃料タンクの左右幅広の前側部とクローラ走行装置との干渉を回避し、容量の大きな燃料タンクを具現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行機体を構成するミッションケース(25)の左右両側に左右燃料タンク(22,22)を配設し、該左右燃料タンク(22,22)の左右両側方に左右後車軸(3,3)で駆動される左右クローラ走行装置(6,6)を配設し、前記左右燃料タンク(22,22)のタンク後側部(22a,22a)を前記左右クローラ走行装置(6,6)と干渉しないように平面視で幅狭に構成し、タンク前側部(22b,22b)を平面視で前記左右クローラ走行装置(6,6)と干渉するように左右外側に突出する幅広に構成し、前記タンク前側部(22b,22b)の前記左右クローラ走行装置(6,6)に対向する部位を凹ませて左右凹部(22c,22c)を形成し、前記左右燃料タンク(22,22)と前記左右クローラ走行装置(6,6)とを干渉しないように構成したことを特徴とするトラクタとする。
【0006】
前記構成によると、左右燃料タンク(22,22)のタンク後側部(22a,22a)を左右クローラ走行装置(6,6)と干渉しないように平面視で幅狭に構成し、タンク前側部(22b,22b)を平面視で左右クローラ走行装置(6,6)と干渉するように幅広に構成しながら、タンク前側部(22b,22b)の左右クローラ走行装置(6,6)に対向する部位を凹ませて左右凹部(22c,22c)を形成したので、左右燃料タンク(22,22)と左右クローラ走行装置(6,6)との干渉を回避することができる。
【0007】
請求項2の発明は、後部装置手段を車輪型とセミクローラ型に変更可能に構成し、左右フェンダ(26,26)を構成するにあたり、合成樹脂により左右後輪(21,21)、左右クローラ走行装置(6,6)の上部を覆う前後方向に長い左右フェンダ主体部(26a,26a)と、該左右フェンダ主体部(26a,26a)の左右外側部に接続して下方に伸びる左右側面部(26b,26b)と、前記左右フェンダ主体部(26a,26a)の後端部に接続し下方に伸びる左右後面部(26c,26c)とにより一体構成し、セミクローラ型のフェンダの場合には、左右フェンダ主体部(26a,26a)、左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)からなる左右フェンダ(26,26)をそのまま用い、車輪型のフェンダの場合には、左右フェンダ主体部(26a,26a)から左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)を切除した左右フェンダ主体部(26a,26a)のみのフェンダを用いることを特徴とする請求項1に記載のトラクタとする。
【0008】
前記構成によると、合成樹脂により前後方向に長い左右フェンダ主体部(26a,26a)、左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)とによりフェンダを一体構成し、セミクローラ型のフェンダの場合には、このフェンダをそのまま用い、車輪型のフェンダの場合には、左右フェンダ主体部(26a,26a)のみのフェンダを用いる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、左右燃料タンク(22,22)のタンク前側部(22b,22b)を平面視で左右クローラ走行装置(6,6)と干渉するように幅広に構成しタンク容量を大きくしながら、タンク前側部(22b,22b)の左右クローラ走行装置(6,6)に対向する部位を凹ませて左右凹部(22c,22c)を形成することにより、左右燃料タンク(22,22)と左右クローラ走行装置(6,6)との干渉を回避することができ、左右クローラ走行装置(6,6)の左右幅を狭くすることができる。
【0010】
請求項2の発明は、車輪型及びセミクローラ型のフェンダを同一型材により製造し、セミクローラ型の場合には、製造されたフェンダをそのまま用い、車輪型の場合にだけ、左右フェンダ(26,26)から左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)を切除することにより対応することができ、少量生産のフェンダのコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施形態について説明する。図1は本発明を具備したセミクローラ型農用トラクタの全体側面図である。
農用トラクタ1の機体前側部には左右一対の前輪2,2を設け、機体後部に設けた左右後車軸3,3に左右一対のクローラ走行装置6,6を装着し、セミクローラ型の農用トラクタ1に構成し、運転席部7をキャビン8で覆っている。また、機体の後側部には、図示省略したが、三点リンク機構を介してロータリ耕耘装置を連結し、油圧昇降シリンダにより上下回動するリフトアーム及びリフトロッドにより、ロータリ耕耘装置を昇降するように構成している。
【0012】
左右クローラ走行装置6,6は、図2に示すように、後車軸ケース4における左右後車軸3支持用の筒体回りに回動可能に取り付けられているクローラフレーム11と、後車軸3により駆動される駆動スプロケット12と、クローラフレーム11に前後方向移動自在に支持されている前側誘導輪13と、クローラフレーム111の後部に支持されている後側誘導輪14と、クローラフレーム11の下部に前後方向に沿うように支架している複数の中間転輪15,…と、駆動スプロケット12、前側誘導輪13、後側誘導輪14及び中間転輪15,…に巻き掛けた走行クローラ16により構成されている。
【0013】
また、図3に示すように、農用トラクタ1の後車軸3,3からクローラ走行装置6,6を取り外して、左右後輪21,21を取り付け、車輪型トラクタに変更できるように構成している。
【0014】
次に、図4乃至図6に基づき燃料タンク22について説明する。
トラクタ1の走行機体を構成するミッションケース25の前端部には、エンジン(図示省略)を直結し、エンジンの動力をミッションケース25内の伝動装置を経由して左右前輪2,2、左右後輪21,21あるいは左右クローラ走行装置6,6に伝達している。また、ミッションケース25の左右両側に左右燃料タンク22,22を配設し、左右燃料タンク22,22の左右両側を左右フェンダ26,26で覆っている。
【0015】
また、左右燃料タンク22,22のタンク後側部22aを、平面視で左右後輪21,21や左右クローラ走行装置6,6に干渉しないように幅狭に構成し、タンク前側部22bを、平面視で左右後輪21,21や左右クローラ走行装置6,6に干渉するように幅広に構成している。そして、タンク前側部22bの後側下部の左右走行クローラ16,16に干渉対向する部位には、凹ませた凹部22c,22cを形成している。この凹部22c,22cの前側上部を左右走行クローラ16,16に接近して沿うように後上り傾斜状に構成し、左右走行クローラ16,16がこの凹部22c,22cに入り込みながら回動するように構成している。タンク前側部22bの左右走行クローラ16,16に対向していない上部を幅広に構成し、平面視で左右走行クローラ16,16を上側から覆うように構成し、前側上部に注油口22fを設けている。
【0016】
また、左右燃料タンク22,22を製造するにあたり、型材により平面視で内外燃料タンク半体22d,22eに分割成形し、左右内燃料タンク半体22d,22dを車輪型及びセミクローラ型に共用し、左右外燃料タンク半体22e,22eを車輪型、セミクローラ型で別個の型材で成形している。即ち、車輪型の外燃料タンク22,22は、平面視で幅狭のタンク後側部22aと、後輪21,21に干渉しない幅広のタンク前側部22bで構成している。また、セミクローラ型の燃料タンク22,22は、平面視で幅狭のタンク後側部22aと、幅広のタンク前側部22bに凹部22cを形成した構成としている。
【0017】
前記構成によると、左右外燃料タンク半体22e,22eのセミクローラ型の型材により、左右タンク前側部22b,22bに凹部22cを形成することにより、車輪型の燃料タンク22,22に対しセミクローラ型の燃料タンク22,22の容量減少を最小限に抑えることができる。
【0018】
従来の燃料タンクは左右走行クローラの内側に納める形状とするために、容量が少なくなるという不具合があった。
前記構成によると、左右燃料タンク22,22の前側部左右両側の左右走行クローラ16,16に対向干渉する部位を凹ませた凹部22c,22cに形成し、左右走行クローラ16,16がこの凹部22c,22cに入り込みながら回動するように構成しているので、凹部21a,21a以外の部分は平面視で左右走行クローラ22a,22aの内側まで突出することができ、容量を増加させることができる。
【0019】
次に、図7に基づき左右フェンダ26,26について説明する。
左右フェンダ26,26を構成するにあたり、合成樹脂により後輪21及びクローラ走行装置6の上部を覆う前後方向に長いフェンダ主体部26aと、フェンダ主体部26aの左右側部から下方に伸びる左右側面部26bと、フェンダ主体部26aの後部から下方に伸びる左右後面部26cとにより構成している。
【0020】
そして、泥跳ねの多いクローラ走行装置6,6装着の場合には、左右側面部26b及び左右後面部26cの付いている左右フェンダ26,26をそのまま使用し、また、泥跳ねの少ない車輪型の場合には、左右側面部26b,26b及び左右後面部26c,26cを切除した左右フェンダ主体部26a,26aだけを使用するものである。
【0021】
合成樹脂製のフェンダの場合には、型材を用いて成形することが殆どであり、少量生産の場合には型代が高額となり、コストアップの原因となる。
しかし、前記構成によると、車輪型及びセミクローラ型のものを同一型材により製造することができ、車輪型の場合にだけ、左右フェンダ26,26の下方に伸びる左右側面部26b,26b及び左右後面部26c,26cを切除することにより対応でき、コストの低減を図ることができる。また、左右フェンダ26,26の下方に伸びる左右側面部26b,26b及び左右後面部26c,26cの下側端縁を凹凸状にしながら切除することにより、フェンダを変わったデザインとすることもできる。
【0022】
次に、図8に基づきトラクタの前後進の速度調節機構について説明する。
ミッションケース25には無段変速装置(図示省略)を設け、エンジンからの動力を無段変速装置で前後進に変速し、更に副変速装置(図示省略)で変速し、前輪2,2及び後輪21,21に動力を伝達し、主変速レバー(図示省略)の前後操作により、無段変速装置を変速操作するように構成している。
【0023】
また、無段変速装置の油圧昇圧曲線を高傾斜の高速曲線(図8−E)、中傾斜の標準曲線(図8−D)及び低傾斜の低速曲線(図8−C)に切り替え可能に構成している。その油圧昇圧曲線の切り替えは、操作パネル31に設けた切替スイッチ32により切替可能とし、この切替スイッチ32の切替操作は主変速レバー(図示省略)が中立位置にあるときにだけ行なえるように構成している。
【0024】
また、無段変速装置操作用の主変速レバーを中立位置以外のときに切替スイッチ32を操作すると、警報用ブザーが鳴り、表示画面31aに「主変速レバーを中立位置へ操作」と警報表示し、中立位置への操作を促すように構成している。
【0025】
前記構成によると、主変速レバーを中立位置に操作し、操作パネル31の切替スイッチ32と例えば旋回設定スイッチ(図示省略)をONすると、無段変速装置の昇圧曲線変更モードに移行する。
【0026】
しかして、切替スイッチ32を路上走行操作位置32aに操作すると、操作パネル31のモニタ表示画面31aに路上走行時の所定時間における高速変速曲線が表示される(図8−C)。また、切替スイッチ32を乾田作業操作位置32bに操作すると、モニタ表示画面31aに乾田作業走行時の所定時間における中速変速曲線が表示される(図8−D)。また、切替スイッチ32を湿田作業操作位置32cに操作すると、モニタ表示画面31aに湿田作業走行時の所定時間における低速変速曲線が表示される(図8−E)。従って、オペレータは路上走行や作業環境に合った走行速度を容易に選択し、適正速度で走行することができる。
【0027】
なお、切替スイッチ32に遅い側への調節位置、速い側への調節位置を表示し、切替スイッチ32を回動操作することにより、昇圧曲線を無段階に変更できるように構成してもよい。
【0028】
また、車輪型とセミクローラ型に変更できるトラクタにおいて、型式設定モードで車輪型あるいはセミクローラ型の型式を設定し、コントローラ(図示省略)に入力されると、当該型式の走行速度に適した昇圧曲線が自動的に選択設定されるように構成してもよい。
【0029】
次に、図9に基づきステップ36の他の実施形態について説明する。運転席部7のシート37の前方にはステップ36を設け、ステップ36の前側部左右両側に左右作業灯38,38を取り付け、左右前輪2,2を後側から照らすように構成し、ステアリングハンドル(図示省略)の操舵操作に関連して、左右作業灯38,38の照射方向を変更すように構成している。前記構成によると、左右前輪2,2の旋回方向周辺を左右作業灯38,38により照らすことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0030】
次に、図10に基づきトラクタのクラッチぺダル41の足載せ防止装置について説明する。
ミッションケース25の前側部にはエンジンからの伝達動力を入切する主クラッチ(図示省略)を設け、クラッチぺダル41の踏み込みあるいは解除により、主クラッチを入切するように構成している。このクラッチぺダル41の軸支部近傍のアーム部41aにポテンショメータ42を設け、クラッチぺダル41の踏み込み状態を検出可能に構成している。
【0031】
また、エンジン始動用のキースイッチ(図示省略)のON信号がコントローラ44に入力されると、エンジンが始動され、次いで、ポテンショメータ42の検出内容がコントローラ44に入力される。しかして、ポテンショメータ42によりクラッチぺダル41の半クラッチ状態が例えば5秒継続して検出されると、コントローラ44から操作パネル31の表示画面31aに「クラッチ操作異常」の点滅表示がなされる。
【0032】
また、この異常操作が例えば10秒以上継続すると、表示画面31aの「クラッチ操作異常」の点滅表示に加えて、ブザー(図示省略)を鳴らし警報する。そして、クラッチぺダル41から足を離すと、この異常報知が解除されるように構成している。
【0033】
また、更に長い時間異常操作が継続すると、表示画面31aの異常表示は継続される。そして、この異常表示は、エンジンを再始動させたり、表示画面31aの表示切替をした場合にも、継続して表示される構成である。そして、キースイッチをONしエンジンを再始動し、次いで、クラッチぺダル41を最踏み込み位置まで踏み込むと、異常表示を解除できるように構成している。
【0034】
前記構成によると、オペレータにクラッチぺダル41の適正な操作を促し、主クラッチの耐久性を高めることができる。
また、次のように構成してもよい。表示画面31aの異常表示が例えば10秒間継続し、更に、異常表示を無視して例えば10秒間クラッチぺダル41に足を載せたままである場合には、コントローラ44がその行為を記憶しておく。そして、次にエンジンを始動する際に、表示画面31aに異常表示及びブザーでの音声警告を発し、「クラッチぺダル41に足載せがあった」ことをオペレータに知らせる。そして、この警告をオペレータに認識させるために、この警告が発せられた状態では、スイッチ操作あるいはクラッチぺダル41の足載せ解除あるいは最踏み込み位置までの踏み込みによっても警告表示解除を不能にし、また、主変速レバーを操作しても前後進走行ができないようにする。そして、操作パネル31の表示切替スイッチ(図示省略)を例えば3秒以上押すと、表示画面31aにクラッチぺダル41への足載せ注意画面が表示され、エンジンが停止される。
【0035】
次に、図11に基づきトラクタ1の旋回制御について説明する。
トラクタ1の機体前側部に衝突防止用の距離センサ46を設け、作業切替スイッチ(図示省略)で「耕耘モード」を選択している耕耘作業時にのみ、この旋回制御を可能にする。トラクタ1での水田耕耘作業中には、距離センサ46により前方の障害物である畔との距離が常に測定されコントローラ44に入力される。また、トラクタ1の走行速度が車速センサ(図示省略)からコントローラ44に入力される。そして、トラクタ1の走行速度に合致した旋回開始地点への到達を速度センサ46が検出すると、コントローラ44からの旋回開始指令により、音声出力である「ピ、ピ、ピ」という音や、「旋回を開始してください」等の旋回開始指示が出される。
【0036】
前記構成によると、畔際の旋回走行を適正に実行し、安全に能率的に耕耘作業をすることができる。
また、図12に示すように、キャビン8のドア51を構成してもよい。ドア51の内側には上下方向中間部に、左右方向に沿うようにドアフレーム52を設けている。このドアフレーム52の後側部をヒンジ53でキャビンフレーム8aに支持し、ドア51を開閉可能に構成している。ドアフレーム52の前側部にドアロック装置54を設け、ドアフレーム52の左右方向中間部に第2ドアロック装置54aを設け、ドアロック装置54からロックワイヤ55をドアフレーム52の下方を通して中間部まで延出し、第2ドアロック装置54aに連係している。
【0037】
ドア51の前側部にドアロック装置54を設けた構成であると、キャビン8内でドアを開けるときに、少し前屈みになり、手を伸ばす必要がある。しかし、前記構成によると、オペレータはドア51の左右中間部に位置する第2ドアロック装置54aを操作することにより、ドアロック装置64を解除し、楽にドア51を開けることができる。
【0038】
次に、図13に基づき作業機の油圧昇降構成について説明する。
ミッションケース25の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース61を設け、このシリンダケース61の左右両側部にリフトアーム62,62を回動自在に軸架し、油圧シリンダ(図示省略)のピストンの伸縮作動により、リフトアーム62,62を上下回動可能に構成している。また、ミッションケース12の後側部には、上部リンクと左右下部リンクとからなる三点リンク機構(図示省略)を設けて、各種作業機を連結するように構成している。
【0039】
シリンダケース61には昇降制御弁63を内装し、シリンダケース61の前側部には昇降レバー64を左右方向の軸で軸支し、昇降制御弁63の弁軸63aの一側に取り付けた操作アーム部63bと昇降レバー64とを、長さ調節自在の連動ロッド65を介して連動連結している。また、昇降制御弁63の弁軸63aの他側に取り付けたフィードバックアーム63cとリフトアーム62とを、長さ調節自在のフィードバックロッド66を介して連動連結している。
【0040】
しかして、昇降レバー64を反時計方向に回動し上昇位置に操作すると、昇降制御弁63が上昇側に操作され、昇降シリンダに油圧が送られて左右リフトアーム62,62が上昇回動し作業機を上昇させる。左右リフトアーム62,62が上昇回動すると、フィードバックロッド66を介して昇降制御弁63の弁軸63a及び昇降レバー64が中立位置に戻され、左右リフトアーム62,62が上昇位置で停止するリフト制御がなされる。
【0041】
また、昇降レバー64の握持部には微調整レバー67を設け、この微調整レバー67のアーム部をワイヤ68を介して、昇降制御弁63の弁軸63aの一側に取り付けている微調整アーム部63dに連係している。
【0042】
しかして、昇降レバー64を上昇位置に操作し左右リフトアーム62,62を所定位置まで上昇させ、次いで、微調整レバー67を握り反時計方向に操作すると、弁軸63aが上昇側に微量に作動され、左右リフトアーム62,62を微量高さ更に上昇させることができる。そして、微調整レバー67から手を放すと、バネ(図示省略)により弁軸63aと微調整レバー67は中立位置に復帰し、左右リフトアーム62,62を微調整された上昇位置で停止する。
【0043】
前記構成によると、左右リフトアーム62,62の上昇位置を微量調整することができるので、畔際での作業機の上昇位置楽に微調整し、昇降操作を楽にすることができる。
また、昇降レバー64の握持部に微調整レバー67を設けるにあたり、図14に示すように、微調整レバー67の中間部をピンで軸支し、微調整レバー67の一端にワイヤ68を介して、昇降制御弁63の弁軸63aに連係してもよい。
【0044】
また、図15に示すように、ステップ36に微調整ぺダル69を上下動自在に支持すると共に、バネ(図示省略)により上動位置に復帰しがちに付勢し、微調整ぺダル69の下端にワイヤ68を介して、昇降制御弁63の弁軸63aに連係してもよい。
【0045】
前記構成によると、ステップ36に設けた微調整ぺダル69の踏み込み操作により、左右リフトアーム62,62の上昇位置の微量調整を楽に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】セミクローラ型の農用トラクタの全体側面図
【図2】クローラ走行装置の側面図、切断平面図、切断背面図
【図3】車輪型トラクタの側面図
【図4】燃料タンクの斜視図
【図5】トラクタ後部の一部省略した平面図
【図6】クローラ走行装置の側面図
【図7】フェンダの斜視図
【図8】(A)操作パネルの正面図 (B)切替スイッチの正面図 (C)無段変速装置の油圧低速曲線を示す図 (D)無段変速装置の油圧標準曲線を示す図 (E)無段変速装置の油圧高速曲線を示す図
【図9】トラクタのステップ部の斜視図、トラクタの全体平面図
【図10】クラッチぺダルの側面図及び制御ブロック図
【図11】圃場の平面図、圃場の切断側面図
【図12】キャビンのドア部の斜視図、側面図
【図13】トラクタ後部の側面図
【図14】トラクタ後部の側面図
【図15】トラクタ後部の側面図、ステップ部の背面図
【符号の説明】
【0047】
1 農用トラクタ
2 前輪
3 後車軸
6 クローラ走行装置
10 後輪
12 駆動スプロケット
22 燃料タンク
21 後輪
22a タンク後側部
22b タンク前側部
22c 凹部
25 ミッションケース
26 フェンダ
26a 左右フェンダ主体部
26b 左右側面部
26c 左右後面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体を構成するミッションケース(25)の左右両側に左右燃料タンク(22,22)を配設し、該左右燃料タンク(22,22)の左右両側方に左右後車軸(3,3)で駆動される左右クローラ走行装置(6,6)を配設し、前記左右燃料タンク(22,22)のタンク後側部(22a,22a)を前記左右クローラ走行装置(6,6)と干渉しないように平面視で幅狭に構成し、タンク前側部(22b,22b)を平面視で前記左右クローラ走行装置(6,6)と干渉するように左右外側に突出する幅広に構成し、前記タンク前側部(22b,22b)の前記左右クローラ走行装置(6,6)に対向する部位を凹ませて左右凹部(22c,22c)を形成し、前記左右燃料タンク(22,22)と前記左右クローラ走行装置(6,6)とを干渉しないように構成したことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
後部装置手段を車輪型とセミクローラ型に変更可能に構成し、左右フェンダ(26,26)を構成するにあたり、合成樹脂により左右後輪(21,21)、左右クローラ走行装置(6,6)の上部を覆う前後方向に長い左右フェンダ主体部(26a,26a)と、該左右フェンダ主体部(26a,26a)の左右外側部に接続して下方に伸びる左右側面部(26b,26b)と、前記左右フェンダ主体部(26a,26a)の後端部に接続し下方に伸びる左右後面部(26c,26c)とにより一体構成し、セミクローラ型のフェンダの場合には、左右フェンダ主体部(26a,26a)、左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)からなる左右フェンダ(26,26)をそのまま用い、車輪型のフェンダの場合には、左右フェンダ主体部(26a,26a)から左右側面部(26b,26b)及び左右後面部(26c,26c)を切除した左右フェンダ主体部(26a,26a)のみのフェンダを用いることを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−107523(P2009−107523A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283281(P2007−283281)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】