説明

ドアミラー

【課題】本発明は、組立て作業性の良好なドアミラーを提供する。
【解決手段】 このような構成のドアミラー1においては、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側から第2の空間S1内にミラーホルダ7及び鏡面角度調整ユニット20を収容し、第1の空間S2内にハーネス10が収容され、第2の空間S1と第1の空間S2との間には仕切壁30が設けられている。このような構成を採用することで、ミラーハウジング6に鏡面角度調整ユニット20を固定するにあたって、第1の空間S2側から固定作業を行うことができる。つまり、第1の空間S2側からネジ32を仕切壁30の挿通孔33内に挿入させ、仕切壁30を貫通したネジ32を鏡面角度調整ユニット20に締結させることで、ミラーハウジング6に鏡面角度調整ユニット20を固定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーが固定されたミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットを備えたドアミラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2005−238954号公報がある。この公報に記載されたドアミラーは、ミラーが固定された樹脂製のミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットを備え、この鏡面角度調整ユニットは、ミラーボディ(ミラーハウジング)内に収容され、ミラーはミラーボディのミラー露出開口から露出させられている。この鏡面角度調整ユニットは、内部の二個のモータの駆動により任意の角度にミラーを調整することができ、ミラーボディのミラー露出開口側からネジによってミラーボディに固定される。その後、鏡面角度調整ユニットのピボットプレートの溝部に、ミラーホルダの裏面に設けられた爪部が差し込まれることで、鏡面角度調整ユニットとミラーホルダとが一体化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のドアミラーにおける鏡面角度調整ユニットは、ミラーボディのミラー露出開口側からネジによってミラーボディに固定され、その後、鏡面角度調整ユニットにミラーホルダを固定させている。しかしながら、目視によって、鏡面角度調整ユニットにミラーホルダを固定させるにあたって、ミラーホルダの裏面側にある爪部を、鏡面角度調整ユニットのピボットプレートの溝部に極めて嵌め難く、組立て作業性を勘に頼らざるを得ず、組立て作業性を極めて悪くしている。その理由は、ネジによってミラーボディに固定された鏡面角度調整ユニットは、ミラーボディ内に入り込んだ状態になっており、しかも、ミラーホルダは、ミラーボディのミラー露出開口を略覆うような大きなプレート形状を有しているので、目視で組立て作業をする際には、鏡面角度調整ユニットを限界に近い位置まで傾動させなければ、ミラーホルダの裏面側にある爪部を、鏡面角度調整ユニットのピボットプレートの溝部に嵌め込む状態を視認することができず、僅かな隙間から覗くような作業を作業者に強いるためである。このように、鏡面角度調整ユニットとミラーホルダとの組み付け作業の煩わしさが、ドアミラーの組立て作業性を悪くする一因になっていた。
【0005】
本発明は、組立て作業性の良好なドアミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ミラーが固定されたミラーホルダと、ミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットと、がミラーハウジング内に組み込まれ、ミラーハウジングのミラー露出開口からミラーを露出させてなるドアミラーにおいて、
ミラーハウジングには、この内部空間を前側の第1の空間と後側の第2の空間とに仕切って、第2の空間内に収容された鏡面角度調整ユニットを固定させる仕切壁が設けられ、
ミラーハウジングは、第1の空間を仕切壁との協働で形成するためのカバー部材を有し、
仕切壁には、第1の空間側から締結部品を挿入させる挿通孔が形成され、鏡面角度調整ユニットには、挿通孔内に挿入された締結部品を締結させる固定孔が設けられていることを特徴とすることを特徴とする。
【0007】
このドアミラーにおいては、ミラーハウジングのミラー露出開口側から第2の空間内にミラーホルダ及び鏡面角度調整ユニットを収容し、第1の空間内にハーネスが収容され、第2の空間と第1の空間との間には仕切壁が設けられている。このような構成を採用することで、ミラーハウジングに鏡面角度調整ユニットを固定するにあたって、第1の空間側から固定作業を行うことができる。つまり、第1の空間側から締結部品を仕切壁の挿通孔内に挿入させ、仕切壁を貫通した締結部品を鏡面角度調整ユニットに締結させることで、ミラーハウジングに鏡面角度調整ユニットを固定させることができる。このように、第1の空間側から締結部品の締結作業を行うようにしているので、従来のような作業の煩わしさが無く、良好な組立て作業性を実現することができる。さらに、ミラーハウジングは、第1の空間を仕切壁との協働で覆うためのカバー部材を有しているので、カバー部材を装着することにより、締結部品を第1の空間内に隠すことができ、締結部品を露出させることなく、ドアミラーの外観品質を向上させることができる。
【0008】
また、鏡面角度調整ユニットは、仕切壁に固定されるモータホルダと、ミラーホルダに固定されると共に、モータの駆動によって中心軸線方向に進退するアジャスターロッドにより傾動するピボットプレートと、モータホルダとピボットプレートとの間に配置されて、モータホルダ内のモータを保持させると共に、ピボットプレートの傾動中心をなす軸部が設けられたインナー部材と、を備え、インナー部材には、固定孔が形成され、モータホルダには、締結部品としてのネジが貫通する貫通孔が形成されている。
このような構成を採用すると、ミラーハウジングの仕切壁に鏡面角度調整ユニットを固定するにあたって、締結部品としてのネジは、仕切壁の挿通孔及びモータホルダの貫通孔内に第1の空間側から挿入され、最終的に、ネジは、インナー部材の固定孔に螺着される。従って、ネジを締め込み続けると、インナー部材がモータホルダに強い力で圧着され続け、その結果として、ネジの締め込み作業だけで、仕切壁に鏡面角度調整ユニットを固定させると同時に、モータをインナー部材とモータホルダとで確実且つ強固に挟み込むことができ、鏡面角度調整ユニット内でモータのガタ付きを確実に防止することができ、インナー部材とモータホルダを強固に固着し、インナー部材とモータホルダとで挟まれるモータの水密性を向上させることができる。
【0009】
また、仕切壁には、鏡面角度調整ユニットの背面に設けられたターミナル部を露出させるための開口部が形成され、開口部の周囲には、締結部品を挿入させるための挿通孔が形成されている。
このような構成を採用すると、外部電力の供給に利用されるハーネスと鏡面角度調整ユニットのターミナル部との連結を、第1の空間側から行うことができ、このことも、良好な組立て作業性を実現する一助をなす。さらに、ターミナル部を露出させるための開口部の周囲に挿通孔を配置させることで、鏡面角度調整ユニットの背面の小型化を図ることができ、このことは、鏡面角度調整ユニットの小型化に寄与する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドアミラーの組立て作業性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るドアミラーの一実施形態を示す正面図である。
【図2】ドアミラーの分解斜視図である。
【図3】ミラーユニット組立体の分解斜視図である。
【図4】ドアミラーの断面図である。
【図5】ミラーハウジングのハウジング本体を示す正面図である。
【図6】ミラーユニット組立体と位置調整治具との関係を示す平面図である。
【図7】ドアミラー を上下方向に分解してなる断面図である。
【図8】ドアミラーの他の例を示す断面図である。
【図9】鏡面角度調整ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るドアミラーの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、ドアミラー1における「前後」は、車両の前後方向に合わせるように表現されている。
【0013】
図1に示されるように、電動ドアミラー1は、車両のフロントドアにボルト止めされるドアミラーベース2と、ドアミラーベース2のベース本体2aに取り付けられて、フロントドアに密着させてシール機能を有するガスケット3と、ドアミラーベース2の台座部2bに回動自在に取り付けられたドアミラー本体4と、で主として構成されている。
【0014】
ドアミラー本体4は、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側に配置されたミラーホルダ7と、表側にミラー7aが固定されたミラーホルダ7の裏面7fに嵌合されて、ミラーホルダ7の角度を調整するための鏡面角度調整ユニット20と、ドアミラーベース2の台座部2bに連結されて、ドアミラー本体4自体を回動させてドアミラー本体4を格納状態にするための電動格納ユニット9と、ミラーハウジング6に固定されたターンランプユニット8と、を備えている。
【0015】
また、電動ドアミラー1には、鏡面角度調整ユニット20内のモータと、電動格納ユニット9内のモータと、ターンランプユニット8内のランプと、にそれぞれ電力を供給するために、ドアミラーベース2及びドアミラー本体4内で配回されたハーネス10が設けられている。このハーネス10は、ドアミラーベース2のベース本体2aに取り付けられたガスケット3から外部に露出させられている。ハーネス10の一端には、車両内の配線に接続するためのコネクタ部10aが設けられ、ハーネス10の他端には、鏡面角度調整ユニット20に接続されるコネクタ部10bと、電動格納ユニット9に接続されるコネクタ部10cと、ターンランプユニット8に接続されるコネクタ部10dと、が設けられている。
【0016】
更に、電動ドアミラー1には、ミラーハウジング6の一部をなすカバー部材6bが設けられている。このカバー部材6bは、通常、車両のボディと同色になっており、ミラーハウジング6の前側に位置している。ミラーハウジング6は、鏡面角度調整ユニット20及び電動格納ユニット9を収容するためのハウジング本体6Aと、カバー部材6bと、から構成されている。そして、電動格納ユニット9は、ハウジング本体6Aに固定されると共に、ハーネス10を通過させるためのハーネス引き出孔9aを有している。
【0017】
図3に示されるように、ミラーホルダ7の裏面7fには、鏡面角度調整ユニット20の固定を可能にするために突出させられたクランプ爪部7cと、ミラーホルダ7に対する鏡面角度調整ユニット20の位置決めを可能にする3本の突起部7bと、が形成されている。そして、ミラーホルダ7の裏面7fにおいて、3本の突起部7bの外側には4個のクランプ爪部7cが周方向で等間隔に配置させられている。
【0018】
鏡面角度調整ユニット20に設けられた傾動自在なピボットプレート21は円形の外周を有し、このピボットプレート21には、径方向に突出する引掛け部22が形成されている。この引掛け部22には、ミラーホルダ7のクランプ爪部7cによって挟み込まれる引掛けバー22aが設けられている。また、鏡面角度調整ユニット20のピボットプレート21には、ミラーホルダ7の突起部7bを挿入させるための位置決め孔21a(図7参照)が形成されている。
【0019】
鏡面角度調整ユニット20の背面20aには、ハーネス10のコネクタ部10bを接続するための凹状のターミナル部23が設けられ、このターミナル部23には、雌側の給電端子23aが配置されている。そして、凹状をなすターミナル部23の周囲には、雌ネジ孔(固定孔)24が配置されている。なお、クランプ爪部7cと引掛けバー22aとの協働により、ミラーホルダ7と鏡面角度調整ユニット20とが一体化されて、ミラーユニット組立体25が構成される。
【0020】
給電端子23aは、4本で構成され、給電端子23aのうちの2本は、鏡面角度ユニット20内の第1のモータM1(図9参照)に接続され、他の2本は、鏡面角度ユニット20内の第2のモータM2(図9参照)に接続される。なお、第1のモータM1は、鏡面を鉛直方向で傾動させ、第2のモータM2は、鏡面を水平方向で傾動させる。
【0021】
図4及び図5に示されるように、ミラーハウジング6のハウジング本体6Aには、ミラーユニット組立体25を収容するために後側に位置するミラー収容空間(第2の空間)S1と、鏡面角度調整ユニット20からドアミラー1の外部に引き出されるハーネス10を収容するために前側に位置するハーネス収容空間(第1の空間)S2と、を仕切るための仕切壁30が設けられている。そして、ハウジング本体6Aの仕切壁30とカバー部材6bとの協働により、ハーネス収容空間S2が形成され、このハーネス収容空間S2内でハーネス10が配回される。
【0022】
鏡面角度調整ユニット20を固定するための仕切壁30には、鏡面角度調整ユニット20のターミナル部23を露出させるための開口部31が形成され、この開口部31の周囲には、締結部品としてのネジ32を挿入させるための挿通孔33が形成されている。そして、この挿通孔33の周囲には、仕切壁30から立設させられた補強筒部34が設けられている。これに対して、鏡面角度調整ユニット20の背面20aには、挿通孔33に対応した位置に、ネジ32の固定を可能にした雌ネジ孔(固定孔)24が形成されている。このように、ターミナル部23を露出させるための開口部31の周囲に挿通孔33を配置させることで、鏡面角度調整ユニット20の背面20aの小型化を図ることができ、このことは、鏡面角度調整ユニット20のモータホルダ51の小型化に寄与する。
【0023】
ハウジング本体6Aの仕切壁30に鏡面角度調整ユニット20の背面20aを位置決めした状態で当接させ、仕切壁30の開口部31から鏡面角度調整ユニット20のターミナル部23を露出させた状態で、ハーネス収容空間S2側から挿通孔33内にネジ32を差し込む。このネジ32を鏡面角度調整ユニット20の雌ネジ孔24に螺合させ、ネジ32を締め込むことで、ミラーユニット組立体25がハウジング本体6Aの仕切壁30に固定される。このようなネジ締め作業後、開口部31から露出させられた鏡面角度調整ユニット20の背面20aのターミナル部23に、ハーネス10のコネクタ部10bを接続する。
【0024】
また、ハーネス10のコネクタ部10cは電動格納ユニット9に接続され、ハーネス10のコネクタ部10dはターンランプユニット8に接続される。そして、ハウジング本体6Aにターンランプユニット8をネジ止めし、その後、ハウジング本体6Aの前面側にカバー部材6bが着脱可能に嵌め込まれる。
【0025】
ここで、鏡面角度調整ユニット20について詳述する。
【0026】
図9に示されるように、鏡面角度調整ユニット20は、仕切壁30に固定されるカップ状のモータホルダ51と、クランプ爪部7cと引掛けバー22aとの協働により、ミラーホルダ7に固定されると共に、モータM1,M2の駆動によって中心軸線A方向に進退するアジャスターロッド52a,52bにより傾動するピボットプレート21と、モータホルダ51とピボットプレート21との間でモータホルダ51内に収容されて、モータホルダ51内のモータM1,M2を保持させると共に、ピボットプレート21の傾動中心をなす軸部56が設けられたインナー部材52と、を備えている。
【0027】
モータホルダ51の裏面には、コネクタ部10bが接続されるターミナル部23が設けられ、モータホルダ51の内側には、モータ着座部51cが形成されていると共に、2本のアジャスターボルト51a,51bが立設されている。各アジャスターボルト51a,51bは、アジャスターロッド52a,52bの内部に設けられた雌ネジと螺着されている。
【0028】
各アジャスターロッド52a,52bは、ウォームホイール53a,53bに対してスプラインを介して連結され、これによってウォームホイール53a,53bと一緒に供回りすると同時に、中心軸線A方向への進退が可能になっている。そして、ウォームホイール53a,53bは、モータM1,M2に設けられたウォーム54a,54bに噛合させられている。また、アジャスターロッド52a,52bの頂部に設けられた玉部52c,52dは、ピボットプレート21の玉受け部(不図示)に嵌め込まれている。
【0029】
インナー部材52は、モータホルダ51のモータ着座部51cに載置されたモータM1,M2を上から押さえ付けるための部品であり、インナー部材52の表(おもて)面には、ピボットプレート21の傾動中心をなす軸部56が設けられている。この軸部56は、インナー部材52の表面に立設された雌ネジ部56aと、この雌ネジ部56aに螺着される雄ネジ56bと、ピボットプレート21の中央に形成された凹部21b内に嵌め込まれる回動サポートキャップ56cと、回動サポートキャップ56cの内面と雄ネジ56bの頭部との間に配置される圧縮バネ56dと、で構成されている。よって、軸部56と中心にしてピボットプレート21を傾動させることができる。
【0030】
また、アジャスターロッド52aの玉部52cとアジャスターロッド52bの玉部52dは、ピボットプレート21の周方向において90度の位相角度をもって係合し、独立して制御されるモータM1,M2により、アジャスタロット52a,52bは、独立して中心軸線A方向へ進退する。そして、アジャスタロット52a,52bの独立した移動量の変化により、軸部56を中心にピボットプレート21を所定の傾き角度にすることができる。
【0031】
更に、インナー部材52の外周には、雌ネジ孔(固定孔)24が形成され、モータホルダ51には、ネジ32が貫通する貫通孔55が形成されている。雌ネジ部24と貫通孔55とは同軸上に位置する。
【0032】
このような構成を採用すると、ミラーハウジング6の仕切壁30に鏡面角度調整ユニット20を固定するにあたって、ネジ32は、仕切壁30の挿通孔33及びモータホルダ51の貫通孔55内にハーネス収容空間S2側から挿入され、最終的に、ネジ32は、インナー部材52の雌ネジ孔(固定孔)24に螺着される。従って、ネジ32を締め込み続けると、インナー部材52がモータホルダ51に強い力で圧着され続け、その結果として、ネジ32の締め込み作業だけで、仕切壁30に鏡面角度調整ユニット20を固定させると同時に、モータM1,M2をインナー部材52とモータホルダ51とで確実且つ強固に挟み込むことができ、鏡面角度調整ユニット20内でモータM1,M2のガタ付きを確実に防止することができ、インナー部材52とモータホルダ51を強固に固着し、インナー部材52とモータホルダ51とで挟まれるモータM1,M2の水密性を向上させることができる。
【0033】
このような構成のドアミラー1においては、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側からミラー収容空間S1内にミラーホルダ7及び鏡面角度調整ユニット20を収容し、ハーネス収容空間S2内にハーネス10が収容され、ミラー収容空間S1とハーネス収容空間S2との間には仕切壁30が設けられている。このような構成を採用することで、ミラーハウジング6に鏡面角度調整ユニット20を固定するにあたって、ハーネス収容空間S2側から固定作業を行うことができる。つまり、ハーネス収容空間S2側からネジ32を仕切壁30の挿通孔33内に挿入させ、仕切壁30を貫通したネジ32を鏡面角度調整ユニット20に締結させることで、ミラーハウジング6に鏡面角度調整ユニット20を固定させることができる。このように、ハーネス収容空間S2側からネジ32の締結作業を行うようにしているので、従来のような作業の煩わしさが無く、良好な組立て作業性を実現することができる。
【0034】
さらに、ミラーハウジング6は、ハーネス収容空間S2を仕切壁30との協働で覆うためのカバー部材6bを有しているので、カバー部材6bを装着することにより、ネジ32をハーネス収容空間S2内に隠すことができ、ネジ32を露出させることなく、ドアミラー1の外観品質を向上させることができる。
【0035】
次に、電動ドアミラー1の組立方法について説明する。
【0036】
図6に示されるように、ミラー7aを下にした状態でミラーユニット組立体25を位置調整治具40によって保持する。この場合、ミラーホルダ7の裏面7fには、ミラーホルダ7の中心(すなわち重心)Cを通る直線L上に、中心Cを境にして対向して配置された断面円形の位置決め突起7dが一対設けられている。また、各位置調整治具40の先端には、各位置決め突起7dを挟み込むためのクランプ部41がそれぞれ設けられている。クランプ部41は、二股に分かれた指部41aを有し、指部41aの間で位置決め突起7dが挟み込まれる。また、各位置調整治具40は、リニアアクチュエータ(図示ぜず)によって、直線Lに沿って往復動する。
【0037】
対向して配置された位置調整治具40のクランプ部41が、直線Lに沿って外側から中心Cに向けて互いに接近するように移動し、クランプ部41の指部41aによって位置決め突起7dを挟み込んで、ミラーユニット組立体25の位置決めが行われる。
【0038】
このような位置調整治具40を利用することで、ミラーユニット組立体25のミラー7aを下にし、鏡面角度調整ユニット20を上にした状態で、ミラーユニット組立体25を精度良く確実に位置決めさせることができる。そして、この位置決め後に、ミラーユニット組立体25にミラーハウジング6を被せるようにすることで、ミラーユニット組立体25の鏡面角度調整ユニット20の背面20aと、ミラーハウジング6の内面と、を精度良く所定の位置に当接させることができる。その結果、ミラーハウジング6の上方から締結部品としてのネジ32の螺着作業を確実に行うことができる。
【0039】
さらに、位置決め突起7dは、ミラーホルダ7の外周縁7eの近傍に設けられている。このような構成を採用すると、中心Cと位置決め突起7dとの距離を長くとることができ、これによって、ミラーユニット組立体25の位置決め精度を向上させることができる。
【0040】
図7に示されるように、このようにして位置決めされたミラーユニット組立体25の上方から、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a内にミラーユニット組立体25を挿入し、ミラー収容空間S1内にミラーユニット組立体25を収容させる。そして、ハウジング本体6A内に設けられた仕切壁30に鏡面角度調整ユニット20の背面20aを当接させ、仕切壁30の開口部31からターミナル部23を露出させる。
【0041】
このとき、仕切壁30には、内部に挿通孔33を内部に有してミラー収容空間S1側に突出する円筒部35が形成され、鏡面角度調整ユニット20の背面20aには、雌ネジ孔24の周囲に位置する複数の凸片36が形成されているので、円筒部35の周面が、複数の凸片36に当接させられるので、ハウジング本体6Aとミラーユニット組立体25との位置合わせがなされる。なお、ミラーハウジング6にドアミラーベース2を組み付けた状態で上記作業が行われる
【0042】
その後、ミラーハウジング6のミラー露出開口6aに対向する側、すなわち上方からネジ32を挿通孔33に挿入させ、ミラーハウジング6を貫通させて鏡面角度調整ユニット20の雌ネジ孔(固定孔)24にネジ32を螺着させて、ミラーユニット組立体25を仕切壁30に固定させる。なお、ミラーハウジング6のミラー露出開口6aに対向する側とは、カバー部材6bの装着を予定している側又はハーネス収容空間S2側をも意味する。
【0043】
その後、外部電力の供給に利用されるハーネス10のコネクタ部10bを、開口部31を通してターミナル部23に連結させる。このような構成を採用することで、外部電力の供給に利用されるハーネス10と鏡面角度調整ユニット20との連結を、ミラーハウジング6とミラーユニット組立体との締結後に行うことができる。特に、ミラーハウジング6の前側にカバー部材(通常、車両のボディと同色になっている)が設けられているドアミラーにあって、ミラーハウジング6の上側からハーネス10のコネクタ部10bと鏡面角度調整ユニット20のターミナル部23とを容易に接続させることができる。このことも、良好な組立て作業性を実現する一助をなす。
【0044】
このドアミラー製造方法では、先ず、ミラーホルダ7の裏面7fに鏡面角度調整ユニット20を固定してミラーユニット組立体25にし、このミラーユニット組立体25を、ミラーハウジング6にネジ32を利用して固定する手順を踏んでいる。すなわち、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側からミラーハウジング6内にミラーユニット組立体25を収容し、その後、ミラーユニット組立体25の鏡面角度調整ユニット20の背面20aと、ミラーハウジング6の内面と、を当接させる。
【0045】
この状態で、ミラーハウジング6のミラー露出開口6aに対向する側(すなわち、ミラーハウジング6のミラー露出開口6a側を後側と定義した場合、ミラーハウジング6の前側)から、ミラーハウジング6を貫通させたネジ32を鏡面角度調整ユニット20に固定させて、ミラーユニット組立体25をミラーハウジング6に固定させる。このようなドアミラー1にあっては、ミラーハウジング6のミラー露出開口6aに対向する側(すなわち上方側)から、ネジ32の締結作業を行うようにしているので、従来のような作業の煩わしさが無く、良好な組立て作業性を実現することができる。
【0046】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、締結手段として、ネジに限らず、図8に示されるように、打ち込みピン32Aであってもよい。この場合、鏡面角度調整ユニット20には、圧入孔(固定孔)24Aが形成されている。
【符号の説明】
【0047】
1…電動ドアミラー、2…ドアミラーベース、4…ドアミラー本体、6…ミラーハウジング、6A…ハウジング本体、6a…ミラー露出開口、6b…カバー部材、7…ミラーホルダ、7a…ミラー、7d…位置決め突起、7e…ミラーホルダの外周縁、7f…ミラーホルダの裏面、8…ターンランプユニット、9…電動格納ユニット、10…ハーネス、10b…コネクタ部、20…鏡面角度調整ユニット、20a…鏡面角度調整ユニットの背面、21…ピボットプレート、23…ターミナル部、23a…給電端子、24…雌ネジ孔(固定孔)、24A…圧入孔(固定孔)、25…ミラーユニット組立体、30…仕切壁、31…開口部、32…ネジ(締結部品)、32A…打ち込みピン(締結部品)、33…挿通孔、40…位置調整治具、41…クランプ部、51…モータホルダ、52…インナー部材、52a,52b…アジャスターロッド、55…貫通孔、56…軸部、A…中心軸線、C…中心、L…直線、S1…ミラー収容空間(第2の空間)、S2…ハーネス収容空間(第1の空間)、M1,M2…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーが固定されたミラーホルダと、前記ミラーホルダの角度を調整するための鏡面角度調整ユニットと、がミラーハウジング内に組み込まれ、前記ミラーハウジングのミラー露出開口から前記ミラーを露出させてなるドアミラーにおいて、
前記ミラーハウジングには、この内部空間を前側の第1の空間と後側の第2の空間とに仕切って、前記第2の空間内に収容された前記鏡面角度調整ユニットを固定させる仕切壁が設けられ、
前記ミラーハウジングは、前記第1の空間を前記仕切壁との協働で形成するためのカバー部材を有し、
前記仕切壁には、前記第1の空間側から締結部品を挿入させる挿通孔が形成され、前記鏡面角度調整ユニットには、前記挿通孔内に挿入された前記締結部品を締結させる固定孔が設けられていることを特徴とすることを特徴とするドアミラー。
【請求項2】
前記鏡面角度調整ユニットは、前記仕切壁に固定されるモータホルダと、前記ミラーホルダに固定されると共に、モータの駆動によって中心軸線方向に進退するアジャスターロッドにより傾動するピボットプレートと、前記モータホルダと前記ピボットプレートとの間に配置されて、前記モータホルダ内の前記モータを保持させると共に、前記ピボットプレートの傾動中心をなす軸部が設けられたインナー部材と、を備え、
前記インナー部材には、前記固定孔が形成され、前記モータホルダには、前記締結部品としてのネジが貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1記載のドアミラー。
【請求項3】
前記仕切壁には、前記鏡面角度調整ユニットの背面に設けられたターミナル部を露出させるための開口部が形成され、前記開口部の周囲には、前記締結部品を挿入させるための前記挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のドアミラー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−67194(P2013−67194A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205284(P2011−205284)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】