説明

ハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法

【課題】 組立ラインでハイブリッド車に搭載されるバッテリーにトラブルが発生した場合に迅速に対応することができるハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法を提供する。
【解決手段】 バッテリーを他の部品に組み付けてバッテリーアッシーにする時、バッテリーを組み付けたバッテリーアッシーとPDUアッシーを結合してIPUアッシーにする時、バッテリーを組み込んだIPUアッシーを車体に組み付ける時に、夫々バッテリーの有効期限をIPU組付仕様書6とIPUアッシーサーバー4に記憶されているデータに基づいて検査する。バッテリーのシリアルナンバー及び有効期限情報は、車体のフレームナンバーに紐付きで車体組立ラインサーバー5に記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立ラインにおけるハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車に搭載されるバッテリーは、ハイブリッドシステムであるIMA(インテグレーテッド・モータ・アシスト)システムを構成するIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)アッシーを小組するサブラインで組み立てられ、このIPUアッシーを車体に組み付ける車体組立ラインで搭載される。ハイブリッド車に搭載されるバッテリーは、車体に搭載された時点で後流の完成車検査工程での法規テストが可能な充電量がないと不合格と判定される。
【0003】
バッテリーの有効期限とは、バッテリー製造メーカの製造年月日(満充電日)を基準にして日数で表わされた使用可能期限のことであり、例えば満充電から放電が進み充電量が60%程度を下回る可能性のある適宜の日数(例えば、27日)が設定される。そして、バッテリー組込時点における有効期限の残日数が、前記設定された日数を過ぎている場合は、「不合格」と判定される。この場合、イレギュラーとして表示装置または警報装置により異常であることを認識させる。
【0004】
充電量が満充電の60%程度を下回ったバッテリーを組み込んだ車体を車体組立ラインの最終検査工程でエンジンを作動させ、その後完成車検査工程で、各種法規テストを行う時に、IPCアッシーが十分に作動せず、検査に支障を来たす不具合が発生するからである。よって、バッテリー組込時点における残日数が、満充電の日から設定されている日数を過ぎている場合は、「不合格」と判定される。
【0005】
従来のバッテリーのデータ管理方法としては、バッテリーが組立ラインに搬入された時点で、バッテリーの搬入エフを作業者が確認し、これを管理帳票に書き写し、この管理帳票によりIPCアッシーへの組付けから車体への搭載、払い出しまで管理することが知られている。
【0006】
また、製品に補材を適用する時に、補材の有効期限を管理するため、補材の補材番号、容器番号、使用開始日時、有効期限を入力してファイルサーバーに記憶し、製品に適用する時期に容器番号をバーコードリーダにより読み取り、製品に適用する日時をタイマより取得し、有効日時との比較を行い、適用の「OK」、「NG」を判定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−278125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、管理帳票により管理する方法においては、IPCアッシーまたは車体の不具合により脇出しなどを行った場合、バッテリーの有効期限管理が煩雑となり、人為的なミスにより、有効期限が切れたバッテリーを搭載した車体が完成車検査工程まで搬入されてバッテリー異常が発見されるという不都合があった。この場合、完成車からバッテリーを取り外し、交換する工数が大であった。また、バッテリー自体に何等かの不具合が発生している場合、バッテリーはロット生産しているため、その前後に生産されたロットについて全数確認が必要となり、工数が掛かっていた。
【0009】
特許文献1に記載の技術においては、製品に補材を適用した後は、製品に補材を適用した日時、補材番号、補材の容器番号、使用開始日時、有効期限などのデータと製品とを対応付けることが成されていないため、補材に不具合が発生した時の修理対応などが迅速にできない問題がある。また、製品に一旦適用した補材を取り外し、別の補材に交換した時の履歴管理ができないため、不具合発生時の解析に手間取るなどの問題がある。
【0010】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組立ラインでハイブリッド車に搭載されるバッテリーにトラブルが発生した場合に迅速に対応することができるハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、組立ラインにおけるハイブリッド車に搭載するバッテリーのデータ管理方法であって、小組部品組立ラインのバッテリー組付工程で、バッテリーに貼付されたバーコードとバッテリーを載置して流動するパレットに貼付された小組部品組付仕様書のバーコードを夫々バーコードリーダで読み取り、バッテリーのシリアルナンバーと有効期限情報が適合している場合には、小組部品組立ラインサーバーにバッテリーのデータを記憶し、次いで、少なくとも下流の検査工程で、小組部品組付仕様書のバーコードをバーコードリーダで読み取り、前記小組部品組立ラインサーバーに記憶されているバッテリーのシリアルナンバーと有効期限情報から検査対象のバッテリーが有効期限内である場合には、パレットに貼付された小組部品組付仕様書を小組部品に貼付し、次いで、車体組立ラインの組付工程で、ハイブリッド車に貼付された車体用組付仕様書のバーコードと小組部品に貼付された小組部品組付仕様書のバーコードをバーコードリーダで読み取り、小組部品組立ラインサーバーに記憶されている小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータと、車体組立ラインサーバーに記憶されているハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータを比較し、バッテリーが有効期限内である場合には、ハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータに小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータ群を紐付きにして車体組立ラインサーバーに記憶するものである。
【0012】
また、前記車体組立ラインの最終検査工程で、ハイブリッド車に貼付された完成車検査カードのバーコードをバーコードリーダで読み取り、前記車体組立ラインサーバーに記憶されたハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータに紐付きで前記車体組立ラインサーバーに記憶された小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータ群からバッテリーの有効期限情報を検索し、バッテリーが有効期限内であるか否かの判定を行うこともできる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、バッテリーを組み付けて小組部品とする時、バッテリーを組み付けた小組部品が完成した時、バッテリーを組み付けた小組部品を車体に組み付ける時に、夫々バッテリーの有効期限を検査するので、車体組立ラインの検査工程でハイブリッド車として作動しない不具合を解消することができる。また、バッテリーのシリアルナンバー及び有効期限情報は、車体のフレームナンバーに紐付きで車体組立ラインサーバーに記憶されているので、バッテリーの製造自体に起因する不具合が発生し、その前後に生産されたロットについて全数組立ラインにおける組立ラインにおける確認が必要な場合でも、対象となるバッテリーのシリアルナンバーから該当する車体のフレームナンバーを迅速に割り出すことが可能となり、バッテリーの不具合に迅速に対応することができる。
【0014】
車体組立ラインの最終検査工程で、バッテリーが有効期限内であるか否かの判定を行うことにより、不具合のあるバッテリーを搭載したハイブリッド車が市場に出回るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法を実施するシステム構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本発明を実施するシステムは、図1に示すように、IPUアッシーを組み立てるバッテリーアッシー組立ライン1と、バッテリーアッシー組立ライン1で組み立てられたバッテリーアッシーに結合するPDU(パワー・ドライブ・ユニット)アッシーをセル生産するPDU小組工程2と、IPUアッシーを車体に組み付ける車体組立のメインライン3などを備えてなる。
【0017】
ここで、4はIPUアッシーサーバー、5は車体組立ラインサーバー、6はIPU組付仕様書、7はバーコードリーダ、8はバーコードリーダが接続される端末機器、9はPDUアッシーストック場である。また、バッテリーアッシー組立ライン1の各工程に設置された端末機器8とPDU小組工程2の各工程に設置された端末機器8は、夫々IPUアッシーサーバー4に接続されている。更に、車体組立のメインライン3の各工程に設置された端末機器8は、夫々車体組立ラインサーバー5に接続されている。そして、IPUアッシーサーバー4と車体組立ラインサーバー5も接続されてネットワークを構成している。
【0018】
IPUアッシーは、ハイブリッド車の走行状況によりモータのアシストや電力の回生の制御を司る小組部品である。IPUアッシーは、前記したようにバッテリーアッシーとPDUアッシーを結合した小組部品をいう。バッテリーアッシーは組立コンベアによって構成されるバッテリーアッシー組立ライン1により組み立てられ、PDUアッシーは前記のようにセル生産によりPDU小組工程2で組み立てられる。PDUアッシーは電気の流れを制御する小組部品である。
【0019】
バッテリーアッシー組立ライン1の結合工程15において、IPUケース内に組立が完了したバッテリーアッシーを収納し、次いでセル生産されたPDUアッシーを収納し、両者を結合してIPUアッシーを完成させる。PDUアッシーは構成部品であるECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)、PDU、コンプレッサ、コンバータを組み付けて構成された小組部品である。PDUアッシーは、組立が完了するとECUのシリアルナンバーをキーにしてPDU、コンプレッサ、コンバータのシリアルナンバーが紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶される。なお、10aはECUのバーコード、10bはコンプレッサのバーコード、10cはコンバータのバーコード、10dはPDUのバーコードである。
【0020】
バッテリーアッシー組立ライン1のバッテリー小組初工程11には、生産の順番通りに印字され積み重ねられたIPU組付仕様書6が置かれている。作業者がIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、IPUアッシーサーバー4に接続された端末機器8のディスプレイに表示されるIPUシリアルナンバーデータのうち、生産順位が1番目のデータとの照合を行う。IPUアッシーサーバー4は、バッテリーアッシー組立ライン1のラインサイドに設置されている。
【0021】
そして、データが合致する場合には、作業者は組立コンベア上に載せたパレット(不図示)に、そのIPU組付仕様書6を貼付し、更にパレットにフレーム(不図示)を載せる。パレットはバッテリー組込工程12に搬送される。一方、データが合致しない場合には、バッテリー小組初工程11に備えられたプリンタ(不図示)により正しいIPU組付仕様書6を印刷し、パレットに貼付する。
【0022】
次いで、バッテリー組込工程12では、作業者がパレットに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、更にパレットに載置されたフレームに組み込む予定のバッテリー(不図示)に貼付されたバーコード10eをバーコードリーダ7で読み取る。そして、バッテリーのシリアルナンバーとバッテリーの有効期限情報により、バッテリーの適合と有効期限内か否かの判定を行う。
【0023】
有効期限内の場合には、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでバッテリーのシリアルナンバーとバッテリーの有効期限情報をIPUアッシーサーバー4に記憶させる。有効期限が異常の場合には、別のバッテリーと取替え、同様にバッテリーに貼付されたバーコード10eをバーコードリーダ7で読み取り、バッテリーが有効期限内か否かの判定を行う。
【0024】
そして、有効期限内の場合には、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでバッテリーのシリアルナンバーとバッテリーの有効期限情報、「合格」情報をIPUアッシーサーバー4に記憶させる。合格となったバッテリーはフレームに組み込まれる。なお、長期連休の前に生産されたバッテリーについては、IPUアッシーサーバー4において、有効期限を連休の日数分だけマイナスして有効期限の検査を行う。
【0025】
次いで、ボルト自動締付工程13では、作業者がパレットに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、更に電極部(バスバープレート)のボルト18本の締付作業をIPUアッシーサーバー4に接続された自動締付装置(不図示)により行う。そして、各ボルトの締付トルク値は、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶される。締付トルクが異常なボルトについては、次工程のボルト人締付工程14で再締付・確認をし、IPUアッシーサーバー4に記憶されている当該ボルトのトルク値に上書きする。
【0026】
次いで、ボルト人締付工程14では、作業者がパレットに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、IPUアッシーサーバー4に接続された締付機(不図示)により、ジャンクションボードの4箇所をボルトで締め付ける。そして、各ボルトの締付トルク値は、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶される。締付トルクが異常なボルトについては、再締付・確認をし、IPUアッシーサーバー4に記憶されている当該ボルトのトルク値に上書きする。
【0027】
次いで、PDUアッシーとバッテリーアッシーの結合工程15では、作業台に予め作業者が載置したIPUケースに組立が完了したバッテリーアッシーを収納し、更にPDUアッシーストック場9にストックされていたPDUアッシーをIPUケースに収納し、両者を結合してIPUアッシーを完成させる。作業者がパレットに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、更にPDUアッシーを載せた搬送台車より先積めされたPDUアッシーをその順番で取り出し、PDUアッシーのECUに付記されたバーコード10aをバーコードリーダ7で読み取る。
【0028】
ECUのシリアルナンバーが先に読み込んだIPUシリアルナンバーに対応するものである場合は、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでECUのシリアルナンバーをキーにしてPDU、コンプレッサ、コンバータのシリアルナンバーが紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶されたデータをIPUアッシーサーバー4に記憶する。
【0029】
また、結合工程15では、バッテリーの有効期限の確認が行われる。これは、バッテリー小組初工程11から結合工程15までの間にバッテリーアッシーの構成部品に不具合が発生し、短時間で構成部品の組み替え補修ができない場合には、一旦該当するIPUアッシーを組立コンベア外に脇出して補修するので、この脇出しが長期に及ぶ場合、バッテリーの有効期限切れとなる可能性があるからである。
【0030】
ここで、バッテリーが有効期限切れとなった場合は、バッテリーの組み替えを行い、再度検査を行って「合格」となった場合、IPUアッシーに関する構成部品のシリアルナンバー、締付トルク値などのすべてのデータが、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶される。バッテリーを組み替えた場合、バッテリーのシリアルナンバー、有効期限情報は更新される。
【0031】
次いで、IPUアッシーの検査工程16では、自動機(不図示)でIPUアッシーの検査(電圧値、絶縁値、ECUのエアーコードなど)を行い、全ての検査が「合格」となった時点で、後工程に払い出される。検査工程16では、前記した通電系の検査とバッテリーの機能検査と共に、バッテリーの有効期限の確認がデータ上で行われる。
【0032】
次いで、IPUアッシーの払出工程17では、全ての検査が「合格」となったIPUアッシーを生産順序通りに搬送台車に先積みして積載し、車体組立のメインライン3へ搬送する。バッテリーアッシー組立ライン1でのIPUアッシーの小組は、構成小組部品であるPDUアッシー及びバッテリーアッシーの組付工数の関係でメインライン3の生産計画に対して半日分先行して造り置き、IPUアッシーストック場18に先積みしてストックしておく。
【0033】
次いで、車体組立のメインライン3のメインライン組付工程31では、作業者が車体に貼付された車体用組付仕様書20のバーコード20aをバーコードリーダ7で読み取る。また、IPUアッシーストック場18から先積みされた順に搬送台車を取り出し、この搬送台車に先積みされた順にIPUアッシーを取り出し、IPUアッシーに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取る。そして、読み取ったIPUアッシーのデータが車体側のデータに適合している場合には、IPUアッシーを車体に組み付ける。
【0034】
すると、IPUアッシーサーバー4に記憶され対応するIPUシリアルナンバーに紐付きでIPUアッシーサーバー4に記憶されているバッテリーのシリアルナンバー、有効期限情報、「合格」情報を含む全てのデータが、車体組立ラインサーバー5に記憶され対応するフレームナンバーをキーとして紐付きで車体組立ラインサーバー5に記憶される。メインライン組付工程31でもバッテリーの有効期限検査がデータ上で行われる。
【0035】
また、作業者の過誤により、搬送台車がIPUアッシーストック場18に長期滞留する場合があり、このような搬送台車に積載されたIPUアッシーを車体に組み付けようとすると、車体組立ラインサーバー5がバッテリーの有効期限切れをディスプレイまたは警報装置で報知する。そして、IPUアッシーを別の搬送台車のものと交換し、再度IPUアッシーに貼付されたIPU組付仕様書6のバーコード6aをバーコードリーダ7で読み取り、有効期限の確認を行い、「合格」の場合には、IPUアッシーを車体に組み付ける。
【0036】
次いで、車体組立のメインライン3の最終工程であるメインライン検査工程32では、作業者が車体に貼付された車体用組付仕様書20のバーコード20aをバーコードリーダ7で読み取り、車体組立ラインサーバー5にIPUシリアルナンバーに紐付きで記憶されているバッテリーの有効期限の確認を行う。ここでは、車体に関する全てのデータの確認が実施され、全ての検査項目について「合格」が確認されると完成車検査工程で、各種法規テストを実施する。完成車検査工程において、車体に関する全てのデータに異常が発見されなければ、バッテリーを搭載したハイブリッド車が市場に出荷される。
【0037】
このように、バッテリーを他の部品に組み付けてバッテリーアッシーにする時、バッテリーアッシーとPDUアッシーを結合してIPUアッシーにする時、バッテリーを組み込んだIPUアッシーを車体に組み付ける時に、夫々バッテリーの有効期限を検査しているので、車体組立ラインの検査工程でハイブリッド車として作動しない不具合を解消することができる。
【0038】
また、バッテリーのシリアルナンバー及び有効期限情報は、車体のフレームナンバーに紐付きで車体組立ラインサーバー5に記憶されているので、バッテリーの製造自体に起因する不具合が発生し、その前後に生産されたロットについて全数確認が必要な場合でも、対象となるバッテリーのシリアルナンバーから該当する車体のフレームナンバーを迅速に割り出すことが可能となり、バッテリーの不具合に迅速に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、バッテリーが車体に搭載されるまでの各工程において有効期限の確認をするので、有効期限切れのバッテリーを車体に搭載するのを有効に防止することが可能なハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…バッテリーアッシー組立ライン、2…PDU小組工程、3…車体組立のメインライン、4…IPUアッシーサーバー(小組部品組立ラインサーバー)、5…車体組立ラインサーバー、6…IPU組付仕様書(小組部品組付仕様書)、6a,10a,10b,10c,10d,10e,20a…バーコード、7…バーコードリーダ、8…端末機器、9…PDUアッシーストック場、11…バッテリー小組初工程、12…バッテリー組込工程、13…ボルト自動締付工程、14…ボルト人締付工程、15…結合工程、16…IPUアッシーの検査工程、17…IPUアッシーの払出工程、18…IPUアッシーストック場、20…車体用組付仕様書、31…メインライン組付工程、32…メインライン検査工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立ラインにおけるハイブリッド車に搭載するバッテリーのデータ管理方法であって、小組部品組立ラインのバッテリー組付工程で、バッテリーに貼付されたバーコードとバッテリーを載置して流動するパレットに貼付された小組部品組付仕様書のバーコードを夫々バーコードリーダで読み取り、バッテリーのシリアルナンバーと有効期限情報が適合している場合には、小組部品組立ラインサーバーにバッテリーのデータを記憶し、次いで、少なくとも下流の検査工程で、小組部品組付仕様書のバーコードをバーコードリーダで読み取り、前記小組部品組立ラインサーバーに記憶されているバッテリーのシリアルナンバーと有効期限情報から検査対象のバッテリーが有効期限内である場合には、パレットに貼付された小組部品組付仕様書を小組部品に貼付し、次いで、車体組立ラインの組付工程で、ハイブリッド車に貼付された車体用組付仕様書のバーコードと小組部品に貼付された小組部品組付仕様書のバーコードをバーコードリーダで読み取り、小組部品組立ラインサーバーに記憶されている小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータと、車体組立ラインサーバーに記憶されているハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータを比較し、バッテリーが有効期限内である場合には、ハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータに小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータ群を紐付きにして車体組立ラインサーバーに記憶することを特徴とするハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法において、前記車体組立ラインの最終検査工程で、ハイブリッド車に貼付された完成車検査カードのバーコードをバーコードリーダで読み取り、前記車体組立ラインサーバーに記憶されたハイブリッド車固有のシリアルナンバーをキーとしたデータに紐付きで前記車体組立ラインサーバーに記憶された小組部品シリアルナンバーをキーとしたデータ群からバッテリーの有効期限情報を検索し、バッテリーが有効期限内であるか否かの判定を行うことを特徴とするハイブリッド車に搭載されるバッテリーのデータ管理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−59844(P2011−59844A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206721(P2009−206721)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】