説明

ハンド、ロボット及びロボットシステム

【課題】把持したボルトをシームレスにタップ穴に挿入することが可能なハンド、ロボット及びロボットシステムを提供する。
【解決手段】ハンド20は、第1のフレーム25aに設けられ、ボルトBを把持する1対の把持爪21a、21bを揺動軸AXp回りに揺動させる揺動機構29と、第1のフレーム25aに設けられ、各把持爪21a、21bを内側に支持する1対の支持部22a、22bを揺動軸AXpに沿って開閉させる開閉機構28と、把持爪21a、21bが把持したボルトBの軸回りに、第1のフレーム25aを第2のフレーム25bに対して無限回転させるボルト回転機構30と、動作する機構を1)揺動機構28及び開閉機構29又は2)ボルト回転機構30に切り替える切り替え機構32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンド、ロボット及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、嵌合作業等に使用されるロボットハンドが記載されている。このロボットハンドは、部品把持用の把持部を有する指を備えている。把持部は、指に回転自在に支持されている。指には、把持部を回転させる駆動手段が設けられている。また、指には、把持部に把持される部品の把持部回転方向の位置変動を検出してこの位置変動を修正するように駆動手段を作動させる検出手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−239491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、把持したボルトをシームレスにタップ穴に挿入することが可能なハンド、ロボット及びロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るハンドは、第1のフレームに設けられ、ボルトを把持する1対の把持爪を揺動軸回りに揺動させる揺動機構と、
前記第1のフレームに設けられ、前記各把持爪を内側に支持する1対の支持部を前記揺動軸に沿って開閉させる開閉機構と、
前記把持爪が把持したボルトの軸回りに、前記第1のフレームを第2のフレームに対して無限回転させるボルト回転機構と、
動作する機構を1)前記揺動機構及び前記開閉機構又は2)前記ボルト回転機構に切り替える切り替え機構とを備える。
【0006】
第1の発明に係るハンドにおいて、前記切り替え機構は、前記第2のフレームに設けられた第1のサーボモータの駆動力を前記開閉機構又は前記ボルト回転機構に伝達できる第1の伝達部と、
前記第2のフレームに設けられた第2のサーボモータの駆動力を前記揺動機構に伝達できる第2の伝達部とを有することが好ましい。
【0007】
第1の発明に係るハンドにおいて、
1)前記第1の伝達部は、前記第1のサーボモータによって駆動される中空の第1のスプラインシャフトと、
前記第1のスプラインシャフトを軸方向に移動させる第1の進退駆動部と、
前記第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合にのみ該第1のスプラインシャフトから前記開閉機構に駆動力を伝達する開閉動作断続部と、
前記第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合にのみ該第1のスプラインシャフトから前記ボルト回転機構に駆動力を伝達するボルト回転動作断続部と、を有し、
2)前記第2の伝達部は、前記第1のスプラインシャフトの中空部に該第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に配置され、前記第2のサーボモータによって駆動される第2のスプラインシャフトと、
前記第2のスプラインシャフトを軸方向に移動させる第2の進退駆動部と、
前記第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合にのみ該第2のスプラインシャフトから前記揺動機構に駆動力を伝達する揺動動作断続部とを有することが好ましい。
【0008】
第1の発明に係るハンドにおいて、
1)前記開閉動作断続部は、開閉機構用クラッチ及び開閉機構用ブレーキを備え、
前記開閉機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記開閉機構用ブレーキは、前記開閉機構用クラッチの出力側の第1の被接触部材に接触する第1のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第1の被接触部材に接触した前記第1のブレーキシューを該第1の被接触部材から離す第1のブレーキ解除部材とを有し、
2)前記揺動動作断続部は、揺動機構用クラッチ及び揺動機構用ブレーキを備え、
前記揺動機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記揺動機構用ブレーキは、前記揺動機構用クラッチの出力側の第2の被接触部材に接触する第2のブレーキシューと、前記第2のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第2のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第2の被接触部材に接触した前記第2のブレーキシューを該第2の被接触部材から離す第2のブレーキ解除部材とを有し、
3)前記ボルト回転動作断続部は、ボルト回転機構用クラッチ及びボルト回転機構用ブレーキを備え、
前記ボルト回転機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記ボルト回転機構用ブレーキは、前記第1のフレームに固定された第3の被接触部材に接触する第3のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合に前記第3の被接触部材に接触した前記第3のブレーキシューを前記第3の被接触部材から離す第3のブレーキ解除部材とを有することが好ましい。
【0009】
第1の発明に係るハンドにおいて、前記第1のスプラインシャフトが移動する際に、前記第1のサーボモータの制御モードが位置制御から柔軟制御に切り替わり、
前記第2のスプラインシャフトが移動する際に、前記第2のサーボモータの制御モードが位置制御から柔軟制御に切り替わることが好ましい。
【0010】
第1の発明に係るハンドにおいて、
1)前記開閉動作断続部は、開閉機構用クラッチ及び開閉機構用ブレーキを備え、
前記開閉機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記開閉機構用ブレーキは、前記開閉機構用クラッチの出力側の第1の被接触部材に接触する第1のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第1の被接触部材に接触した前記第1のブレーキシューを該第1の被接触部材から離す第1のブレーキ解除部材とを有し、
2)前記揺動動作断続部は、揺動機構用クラッチ及び揺動機構用ブレーキを備え、
前記揺動機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記揺動機構用ブレーキは、前記揺動機構用クラッチの出力側の第2の被接触部材に接触する第2のブレーキシューと、前記第2のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第2のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第2の被接触部材に接触した前記第2のブレーキシューを該第2の被接触部材から離す第2のブレーキ解除部材とを有し、
3)前記ボルト回転動作断続部は、ボルト回転機構用クラッチ及びボルト回転機構用ブレーキを備え、
前記ボルト回転機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記ボルト回転機構用ブレーキは、前記第1のフレームに固定された第3の被接触部材に接触する第3のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合に引かれ、前記第3の被接触部材に接触した前記第3のブレーキシューを前記第3の被接触部材から離すブレーキ解除ワイヤとを有することが好ましい。
【0011】
第1の発明に係るハンドにおいて、前記噛み合いクラッチの入力側及び出力側の結合面に、それぞれ一方向に延びて突出する凸部が並んで形成されてもよい。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係るロボットシステムは、第1の発明に係るハンドと、
前記第1及び第2のサーボモータのそれぞれのエンコーダの出力値に基づいて、前記ハンドの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記切り替え機構を動作させる前に、記憶装置に前記各エンコーダの現在の出力値を記憶し、該記憶装置から前回記憶された前記各エンコーダの出力値を読み出し、該各出力値を前記切り替え機構が動作した後の前記各エンコーダの出力値としてそれぞれ設定する。
【0013】
前記目的に沿う第3の発明に係るロボットは、アームの先端部にハンドを備え、
前記ハンドは、第1のフレームに設けられ、ボルトを把持する1対の把持爪を揺動軸回りに揺動させる揺動機構と、
前記第1のフレームに設けられ、前記各把持爪を内側に支持する1対の支持部を前記揺動軸に沿って開閉させる開閉機構と、
前記把持爪が把持したボルトの軸回りに、前記第1のフレームを第2のフレームに対して無限回転させるボルト回転機構と、
動作する機構を1)前記揺動機構及び前記開閉機構又は2)前記ボルト回転機構に切り替える切り替え機構とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るハンド、ロボット及びロボットシステムにおいては、把持したボルトをシームレスにタップ穴に挿入することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るロボットのアーム先端部の斜視図である。
【図2】同ロボットが有するハンドの斜視図である。
【図3】同ロボットが有するハンドの把持爪が閉じた状態における開閉機構及び揺動機構の説明図である。
【図4】同ロボットが有するハンドの把持爪が開いた状態における開閉機構及び揺動機構の説明図である。
【図5】同ロボットが有するハンドの把持機構が動作する場合における内部構造を示す説明図である。
【図6】同ロボットが有するハンドのボルト回転機構が動作する場合における内部構造を示す説明図である。
【図7】(a)、(b)は、それぞれ同ロボットが有するハンドの開閉機構用ブレーキの動作を示す説明図及びブレーキシューの斜視図であり、(c)、(d)は、それぞれボルト回転機構用ブレーキの動作を示す説明図及びブレーキシューの斜視図である。
【図8】(a)、(b)は、それぞれ同ロボットが有するハンドの開閉機構用ブレーキの解除動作を示す説明図及びブレーキ解除部材の斜視図であり、(c)、(d)は、それぞれボルト回転機構用ブレーキの解除動作を示す説明図及びブレーキ解除部材の斜視図である。
【図9】同ロボットが有するハンドの波形クラッチの動作説明図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るロボットが有するハンドの内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るロボット10は、アーム11の先端にハンド20を備え、ハンド20がボルトBを把持した状態で、このボルトBをタップ穴Tに挿入(仮締め)することができる。
ハンド20は、アーム11の先端に設けられた回転軸AXt回りに回転する手首フランジ12に力覚センサ13を介して設けられている。なお、ハンド20は、力覚センサ13を介さずに手首フランジ12に設けることも可能である。ロボット10は、例えば、7軸の多関節ロボットである。
【0018】
図2に示すように、ハンド20は、ボルトBを把持する1対の把持爪21a、21bを有している。各把持爪21a、21bは、例えば回転軸AXtの方向に延びる1対の支持部22a、22bの内側先端部にて支持されている。把持爪21a、21bの先端部は、ハンド20を側面視すると、先端に向かうに従って厚みが薄くなっている。また、把持爪21a、21bの先端部は、内側に突出している。この突出部分には、把持爪21a、21bの先端方向に延びる、例えば断面V字状の溝部37が形成されている。
把持爪21a、21bは、支持部22a、22bが開閉することによって、各支持部22a、22bの長手方向と交差する揺動軸AXpに沿って開閉し、溝部37にボルトBの頭を把持することができる。把持爪21a、21bは、揺動軸AXp回りに揺動し、その先端の向きを変えることができる。
【0019】
また、把持爪21a、21bは、第1のフレーム25aが力覚センサ13に設けられた第2のフレーム25bに対して相対回転することによって、回転軸AXt回りに無限回転することができる(図1に示す矢印参照)。従って、把持爪21a、21bにて把持したボルトBをボルトBの軸回りに回転させ、前述の通りボルトBをタップ穴Tに挿入することができる。
【0020】
ここで、把持爪21a、21b(支持部22a、22b)が開閉する開閉動作は、第1のフレーム25aに設けられた開閉機構28によって実現される(図3、図5、図6参照)。把持爪21a、21bの先端の向きが変わる揺動動作は、第1のフレーム25aに設けられた揺動機構29により実現される。なお、以下、開閉動作及び揺動動作をまとめて把持動作という場合があり、開閉機構28及び揺動機構29をまとめて把持機構という場合がある。把持したボルトBをボルトBの軸回りに回転させるボルト回転動作は、ボルト回転機構30により実現される(図5、図6参照)。
【0021】
開閉機構28及びボルト回転機構30は、図5、図6に示す第2のフレーム25bに設けられた共通の第1のサーボモータ26aによって駆動される。揺動機構29は、第2のフレーム25bに設けられた第2のサーボモータ26bによって駆動される。なお、第1のサーボモータ26a及び第2のサーボモータ26bは、図示しないサーボアンプによって駆動される。また、サーボアンプは、図示しないコントローラによって制御される。なお、このサーボアンプ及びコントローラは、制御部の一例を構成する。また、ロボット10及び制御部は、ロボットシステムの一例を構成する。
但し、把持機構及びボルト回転機構30は、切り替え機構32によって、動作する機構がいずれか一方に切り替わる。
以下、開閉機構28、揺動機構29、ボルト回転機構30及び切り替え機構32について説明する。
【0022】
(開閉機構)
開閉機構28は、図3、図4に示すように、開閉機構駆動シャフト31と、開閉機構駆動シャフト31によって回転する左右ねじシャフト33と、左右ねじシャフト33の回転によって、互いに反対方向に移動する1対の移動部34とを有している。
【0023】
開閉機構駆動シャフト31は、その長手方向が、揺動軸AXpと平行となるように、第1のフレーム25aに取り付けられている。なお、ここに言う「平行」とは、厳密な意味での平行ではない。即ち、「平行」とは、設計上、製造上の誤差が許容され、「実質的に平行」という意味である(以下、同様)。
【0024】
左右ねじシャフト33は、第1のフレーム25aに設けられた軸受38によって回転可能に支持されている。左右ねじシャフト33は、開閉機構駆動シャフト31よりもハンド20の先端側にて、開閉機構駆動シャフト31の長手方向と平行に設けられている。左右ねじシャフト33の一方側と他方側には、それぞれ互いに逆向きのねじ(左右ねじ)が形成されている。左右ねじシャフト33は、タイミングベルト40及びプーリ41によって主として構成された第1のベルトプーリ部42を介して開閉機構駆動シャフト31によって駆動される。
【0025】
1対の移動部34は、それぞれ左右ねじシャフト33に形成された左右ねじによって移動する。即ち、1対の移動部34は、それぞれ、左右ねじシャフト33の回転に伴い、左右ねじシャフト33の軸方向に沿って互いに反対方向に移動する。移動部34には、それぞれ1対の支持部22a、22bの基端部が固定されている。
【0026】
(揺動機構)
揺動機構29は、図2、図3に示すように、揺動機構駆動シャフト51と、揺動機構駆動シャフト51の駆動力を伝達するスプラインシャフト52及び1対のスプラインナット53と、1対のリンク部55とを有している。
揺動機構駆動シャフト51は、その長手方向が、揺動軸AXpと平行となるように、第1のフレーム25aに取り付けられている。また、揺動機構駆動シャフト51は、開閉機構駆動シャフト31とは被駆動側が反対向きを向くように配置される。更に、揺動機構駆動シャフト51は、ハンド20を側面視して(揺動機構駆動シャフト51又は開閉機構駆動シャフト31の被駆動側から見て)、開閉機構駆動シャフト31と並んで配置される。
【0027】
スプラインシャフト52は、左右ねじシャフト33よりもハンド20の先端側の位置にて、第1のフレーム25aに設けられた軸受58によって回転可能に支持されている。また、スプラインシャフト52は、揺動機構駆動シャフト51よりもハンド20の先端側の位置にて、揺動機構駆動シャフト51の長手方向と平行となるように設けられている。スプラインシャフト52は、タイミングベルト56及びプーリ57によって主として構成された第2のベルトプーリ部59を介して揺動機構駆動シャフト51によって駆動される。
【0028】
1対のスプラインナット53は、それぞれ内周側に位置する第1のスプラインナット部53aと、外周側に位置する第2のスプラインナット部53bによって、少なくとも構成されている。
第1のスプラインナット部53aは、スプラインシャフト52と共に回転し、スプラインシャフト52の軸方向に移動することができる。第1のスプラインナット部53aは、例えば、ボールスプラインインナーである。
第2のスプラインナット部53bは、第1のスプラインナット部53aと共にスプラインシャフト52の回転軸に沿って移動でき、第1のスプラインナット部53aの回転軸回りに第1のスプラインナット部53aに対して相対回転することができる。第2のスプラインナット部53bは、支持部22a、22bの基端部の内側にて固定されている。第2のスプラインナット部53bは、例えば、ボールスプラインアウターである。
【0029】
各リンク部55は、それぞれ揺動軸AXp回りに回転する円板60及びこの円板60と第1のスプラインナット部53aとを連結する1対の棒状のリンク61を備え、リンク機構により各第1のスプラインナット部53aの回転を把持爪21a、21bに伝達することができる。
【0030】
各リンク61の一端は、第1のスプラインナット部53aの外側端面に突出して設けられた1対の第1のリンクピン63(図2参照)に連結される。この第1のリンクピン63は、第1のスプラインナット部53aの回転軸方向から見て、この回転軸に関して対称となるように配置されている。なお、ここに言う「対称」とは、厳密な意味での対称ではない。即ち、「対称」とは、設計上、製造上の誤差が許容され、「実質的に対称」という意味である(以下、同様)。各リンク61の一端は、第1のリンクピン63の軸回りに回転可能に連結される。
【0031】
一方、各リンク61の他端は、円板60の外側の面に突出して設けられた1対の第2のリンクピン64に連結される。この1対の第2のリンクピン64は、揺動軸AXp方向から見て、この揺動軸AXpに関して対称となるように配置されている。各リンク61の他端は、第2のリンクピン64の軸回りに回転可能に連結される。
円板60の内側の面の回転中心部には、揺動軸AXpを回転中心とするシャフト65の一端が固定されている。このシャフト65の他端には、支持部22a、22bの内側にて、把持爪21a、21bの基端部が固定される。
【0032】
(ボルト回転機構)
ボルト回転機構30は、第1のフレーム25aを第2のフレーム25bに対して無限回転させることができる。ボルト回転機構30は、図5に示すように、第2のフレーム25bに設けられた第1のサーボモータ26aの回転が、切り替え機構32を介して第1のフレーム25aに伝達されることにより構成されている。
【0033】
(切り替え機構)
切り替え機構32は、第1のサーボモータ26aの回転を開閉機構28及びボルト回転機構30のいずれか一方に伝達し、開閉動作とボルト回転動作を切り替えることができる。また、切り替え機構32は、第2のサーボモータ26bによる駆動を断続し、揺動動作を有効にしたり、無効にしたりすることができる。
切り替え機構32は、第1のサーボモータ26aの駆動力を開閉機構28又はボルト回転機構30に伝達する第1の伝達部と、第2のサーボモータ26bの回転を揺動機構29に伝達する第2の伝達部とを有している。
【0034】
第1の伝達部は、第1のスプラインシャフト70a、第1のスプラインナット71a、第1のDCソレノイド(第1の進退駆動部の一例)75a、開閉動作断続部78、及びボルト回転動作断続部80から主として構成されている。
【0035】
第1のスプラインシャフト70aは、第1のサーボモータ26aの回転を開閉機構28及びボルト回転機構30に伝達することができる、中空のシャフトである。第1のスプラインシャフト70aは、第1のサーボモータ26aによって、かさ歯車82及び第1のスプラインナット71aを介して駆動される。この第1のスプラインシャフト70aは、開閉動作断続部78及びかさ歯車85を介して開閉機構28を駆動する。また、第1のスプラインシャフト70aは、ボルト回転動作断続部80を介してボルト回転機構30を駆動する。
【0036】
第1のスプラインナット71aは、第1のスプラインシャフト70aに組み合わされ、かさ歯車82を介して伝達された第1のサーボモータ26aの回転を第1のスプラインシャフト70aに伝達することができる。第1のスプラインナット71aは、第2のフレーム25bに回転可能に設けられている。第1のスプラインシャフト70aは、第1のスプラインナット71aに対して軸方向に相対移動することができる。
【0037】
第1のDCソレノイド75aは、第2のフレーム25bに固定されている。第1のDCソレノイド75aのシャフト87には、プレート88を介して第1のスプラインシャフト70aの一端部が軸回りに回転可能に固定されている。第1のDCソレノイド75aのシャフト87は、通電すると引き込まれる。反対にシャフト87は、非通電にすると、ばね89の力によって進出する。従って、第1のスプラインシャフト70aは、第1のDCソレノイド75aによって駆動され、軸方向に進退することができる。
【0038】
開閉動作断続部78は、開閉機構用クラッチ91及び開閉機構用ブレーキ93を有し、第1のスプラインシャフト70aが進出した場合にのみ、第1のスプラインシャフト70aの駆動力を開閉機構28に伝達することができる。
【0039】
開閉機構用クラッチ91は、第1のスプラインシャフト70aが第1のDCソレノイド75aによって駆動されてハンド20の先端側に進出すると、入力側フランジ91aと出力側フランジ(第1の被接触部材の一例)91bとが結合される。この入力側フランジ91aは、第1のスプラインシャフト(入力軸)70aの軸端に固定されている。また、出力側フランジ91bは、開閉機構駆動シャフト31を駆動するかさ歯車85に連結されている。反対に、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の基端側に後退すると、入力側フランジ91aと出力側フランジ91bが分離される。
【0040】
即ち、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の先端側に進出すると、開閉機構28が動作する。反対に、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の基端側に後退すると、開閉機構28の動作は停止する。
【0041】
開閉機構用クラッチ91の入力側フランジ91aと出力側フランジ91bの対向する結合面には、それぞれ一方向に延びて突出する凸部が並んで形成されている。この結合面を断面視すると、例えば波形となっている(図9参照)。以下、この結合面を有するクラッチを「波形クラッチ」という場合がある。第1のスプラインシャフト70aは、入力側フランジ91aの凸部と、出力側フランジ91bの凸部以外の部分とが噛み合うことによって連結される。
【0042】
開閉機構用ブレーキ93は、図7(a)に示すように、1対のブレーキシュー(第1のブレーキシュー)95が開閉機構用クラッチ91(出力側フランジ91b)の外周面に接触することによって動作する。ブレーキシュー95は、第1のフレーム25aに固定されたリニアガイド97によって、第1のスプラインシャフト70aの径方向に移動可能に設けられている。また、ブレーキシュー95は、ばね99によって開閉機構用クラッチ91の出力側フランジ91bに押し付けられ、出力側の第1のスプラインシャフト70aを固定する。ブレーキシュー95は、図7(b)に示すように、開閉機構用クラッチ91の外周面に接する内周面を有する略半円筒状の部材であり、ブレーキシュー95のハンド20の基端側の端部は、基端側先端に向かうに従って内径が大きくなるように形成されている。
【0043】
開閉機構用ブレーキ93は、図8(a)に示すように、第1のブレーキ解除部材101を更に備えている。第1のブレーキ解除部材101は、入力側フランジ91aの外周に軸受102を介して設けられ、入力側フランジ91aと同軸に、入力側フランジ91aに対して相対回転することができる。換言すると、第1のブレーキ解除部材101は、第1のスプラインシャフト70aと同軸に、第1のスプラインシャフト70a対して相対回転可能に設けられている。なお、ここに言う「同軸」とは、厳密な意味ではない。即ち、「同軸」とは、設計上、製造上の誤差が許容され、「実質的に同軸」という意味である(以下、同様)。第1のブレーキ解除部材101は、図8(b)に示すように、略円筒状の部材であり、第1のブレーキ解除部材101のハンド20の先端側の端部は、先端に向かうに従って外径が小さくなるように形成されている。
【0044】
従って、開閉機構用クラッチ91が繋がる際には、第1のブレーキ解除部材101が第1のスプラインシャフト70aの軸方向先端側に移動し、第1のブレーキ解除部材101の先端が、ブレーキシュー95の基端側の端部の内周側に接触する。その結果、ブレーキシュー95が出力側フランジ91bから離れ、開閉機構用ブレーキ93が解除される。一方、開閉機構用クラッチ91が切れる際には、第1のブレーキ解除部材101が第1のスプラインシャフト70aの軸方向基端側に移動し、ブレーキシュー95の基端側の端部の内周側から離れる。その結果、ブレーキシュー95がばね99によって押し出され、出力側フランジ91bに接触し、開閉機構用ブレーキ93が作動する。
【0045】
ボルト回転動作断続部80は、ボルト回転機構用クラッチ111及びボルト回転機構用ブレーキ113を有し、第1のスプラインシャフト70aが後退した場合にのみ、第1のスプラインシャフト70aの駆動力をボルト回転機構30に伝達することができる。
【0046】
ボルト回転機構用クラッチ111は、第1のスプラインシャフト70aが第1のDCソレノイド75aによって駆動され、ハンド20の先端側に進出すると、入力側フランジ111aと出力側フランジ(第3の被接触部材の一例)111bとが分離される。この入力側フランジ111aは、第1のスプラインシャフト(入力軸)70aに固定されている。また、出力側フランジ111bは、第1のフレーム25aに連結されている。反対に、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の基端側に後退すると、入力側フランジ111aと出力側フランジ111bが結合される。
【0047】
即ち、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の先端側に進出すると、ボルト回転機構用クラッチ111の出力側に位置する第1のフレーム25aに第1のスプラインシャフト70aの回転が伝達されず、第1のフレーム25aの回転が停止する。反対に、第1のスプラインシャフト70aがハンド20の基端側に後退すると、第1のフレーム25aに第1のスプラインシャフト70aの回転が伝達され、第1のフレーム25aが回転する。
ボルト回転機構用クラッチ111は、例えば波形クラッチによって構成される。
【0048】
ボルト回転機構用ブレーキ113は、図7(c)に示すように、1対のブレーキシュー(第3のブレーキシュー)115が第1のフレーム25aの回転軸と同軸に設けられた円筒部材(第3の被接触部材の一例)117の外周面に接触することによって動作する。この円筒部材117は、第1のフレーム25aに固定されている。ブレーキシュー115は、第2のフレーム25bに固定されたリニアガイド116によって、第1のスプラインシャフト70aの径方向に移動可能に設けられている。また、ブレーキシュー115は、ばね119によって円筒部材117に押し付けられ、第1のフレーム25aを第2のフレーム25bに対して固定する。ブレーキシュー115は、図7(d)に示すように円筒部材117の外周面に接する内周面を有する略半円筒状の部材であり、ハンド20の基端側の端部は、基端側先端に向かうに従って内径が小さくなるように形成されている。
【0049】
ボルト回転機構用ブレーキ113は、図8(c)に示すように、第3のブレーキ解除部材121を更に備えている。第3のブレーキ解除部材121は、第1のスプラインシャフト70aの外周に軸受123を介して設けられ、第1のスプラインシャフト70aと同軸に、第1のスプラインシャフト70aに対して相対回転することができる。第3のブレーキ解除部材121は、図8(d)に示すように、略円筒状の部材であり、第3のブレーキ解除部材121の外径はハンド20の先端側に向かうに従って大きくなるように形成されている。
【0050】
従って、ボルト回転機構用クラッチ111が繋がる際には、第3のブレーキ解除部材121が第1のスプラインシャフト70aの軸方向基端側に移動する。その結果、ブレーキシュー115が円筒部材117から離れ、ボルト回転機構用ブレーキ113が解除される。反対に、ボルト回転機構用クラッチ111が切れる際には、第3のブレーキ解除部材121が第1のスプラインシャフト70aの軸方向先端側に移動する。その結果、ブレーキシュー115が円筒部材117に接触し、ボルト回転機構用ブレーキ113が作動する。
【0051】
第2の伝達部は、図5に示すように、第2のスプラインシャフト70b、第2のスプラインナット71b、第2のDCソレノイド(第2の進退駆動部の一例)75b、及び揺動動作断続部150から主として構成されている。
【0052】
第2のスプラインシャフト70bは、第2のサーボモータ26bの回転を揺動機構29に伝達することができる。第2のスプラインシャフト70bは、第1のスプラインシャフト70aの中空部に第1のスプラインシャフト70aと実質的に同軸に設けられている。第2のスプラインシャフト70bは、第2のサーボモータ26bによって、かさ歯車153及び第2のスプラインナット71bを介して駆動される。この第2のスプラインシャフト70bは、揺動動作断続部150及びかさ歯車165を介して揺動機構29を駆動する。
【0053】
第2のスプラインナット71bは、第2のスプラインシャフト70bに組み合わされ、かさ歯車153を介して伝達された第2のサーボモータ26bの回転を第2のスプラインシャフト70bに伝達することができる。第2のスプラインナット71bは、第2のフレーム25bに回転可能に設けられている。第2のスプラインシャフト70bは、第2のスプラインナット71bに対して軸方向に相対移動することができる。
【0054】
第2のDCソレノイド75bは、第2のフレーム25bに固定されている。第2のDCソレノイド75bのシャフト155には、プレート157を介して第2のスプラインシャフト70bの一端が軸回りに回転可能に固定されている。第2のDCソレノイド75bのシャフト155は、通電すると引き込まれる。反対にシャフト155は、非通電にすると、ばね159の力によって進出する。従って、第2のスプラインシャフト70bは、第2のDCソレノイド75bによって駆動され、軸方向に進退することができる。
【0055】
揺動動作断続部150は、揺動機構用クラッチ161及び揺動機構用ブレーキ163を有し、第2のスプラインシャフト70bが進出した場合にのみ、第2のスプラインシャフト70bの駆動力を揺動機構29に伝達することができる。
【0056】
揺動機構用クラッチ161は、第2のスプラインシャフト70bが第2のDCソレノイド75bによって駆動され、ハンド20の先端側に進出すると、第2のスプラインシャフト(入力軸)70bの軸端に固定された入力側フランジ161aと揺動機構駆動シャフト51を駆動するかさ歯車165に連結された出力側フランジ(第2の被接触部材の一例)161bとが結合される。反対に、第2のスプラインシャフト70bがハンド20の基端側に後退すると、入力側フランジ161aと出力側フランジ161bが分離される。
【0057】
即ち、第2のスプラインシャフト70bがハンド20の先端側に進出すると、揺動機構29が動作する。反対に、第2のスプラインシャフト70bがハンド20の基端側に後退すると、揺動機構29の動作は停止する。
揺動機構用クラッチ161は、例えば波形クラッチ(図9参照)によって構成される。
【0058】
揺動機構用ブレーキ163は、1対のブレーキシュー(第2のブレーキシュー)169が揺動機構用クラッチ161(出力側フランジ161b)の外周面に接触することによって構成される。詳細な構造は、開閉機構用ブレーキ93と同様であるので、その説明は省略する。
【0059】
従って、揺動機構用クラッチ161が繋がる際には、第2のブレーキ解除部材167が第2のスプラインシャフト70bの軸方向先端側に移動し、第2のブレーキ解除部材167の先端が、ブレーキシュー169の基端側の端部の内周側に接触する。その結果、ブレーキシュー169が出力側フランジ161bから離れ、揺動機構用ブレーキ163が解除される。一方、揺動機構用クラッチ161が切れる際には、第2のブレーキ解除部材167が第2のスプラインシャフト70bの軸方向基端側に移動し、ブレーキシュー169の基端側の端部の内周側から離れる。その結果、ブレーキシュー169が出力側フランジ161bに接触し、揺動機構用ブレーキ163が作動する。
【0060】
ところで、切り替え機構32を動作させ、ボルト回転機構30から把持機構へと動作機構を切り替える際、コントローラは、切り替え機構32を動作させる前に、図示しない記憶装置に第1及び第2のサーボモータ26a、26bのエンコーダの現在の出力値を記憶する。
また、切り替え機構32を動作させ、把持機構からボルト回転機構30へと動作機構を切り替える際にも、コントローラは、切り替え機構32を動作させる前に、記憶装置に第1及び第2のサーボモータ26a、26bのエンコーダの現在の出力値を記憶する。
これにより、第1及び第2のサーボモータ26a、26bのエンコーダの出力値及び第1及び第2のサーボモータ26a、26bに対する指令値を元の状態に戻すことができる。
なお、記憶装置は、コントローラの外部に設けられていてもよい。
【0061】
次に、ハンド20の動作(把持爪21a、21bの開閉動作、揺動動作、ボルト回転動作、及び各機構を切り替える切り替え動作)について説明する。
【0062】
(開閉動作)
まず第1のDCソレノイド75aによって、第1のスプラインシャフト70aが進出し、開閉機構用クラッチ91が繋がる。また、第1のスプラインシャフト70aが進出することによって、開閉機構用ブレーキ93が解除される。付言すると、第1のスプラインシャフト70aが進出することによって、ボルト回転機構用クラッチ111は切れ、ボルト回転機構用ブレーキ113が作動する。
【0063】
第1のサーボモータ26aが一方向に回転すると、その回転がかさ歯車82及び第1のスプラインナット71aを介して第1のスプラインシャフト70aに伝達される。第1のスプラインシャフト70aが回転すると、開閉機構用クラッチ91及びかさ歯車85を介して、開閉機構駆動シャフト31が回転する
【0064】
開閉機構駆動シャフト31が回転すると、その回転が第1のベルトプーリ部42を介して伝達され、左右ねじシャフト33が回転する(図3参照)。左右ねじシャフト33には、左右ねじが形成されているので、移動部34は、それぞれ左右ねじシャフト33に沿って、内側に移動する。移動部34の移動に伴い、移動部34にそれぞれ固定された支持部22a、22bの間隔は狭まり、把持爪21a、21bが閉じる。
【0065】
なお、支持部22a、22bは揺動機構29のスプラインナット53(より詳しくは、第2のスプラインナット部53b)に固定されているが、スプラインナット53(より詳しくは、第1のスプラインナット部53a)はスプラインシャフト52に沿って自在に移動できる。従って、把持爪21a、21bが揺動機構29のスプラインナット53に固定されていることは、把持爪21a、21bの開閉動作を妨げるものではない。
一方、第1のサーボモータ26aが反対方向に回転すると、図4に示すように把持爪21a、21bが開くことは明らかであるので、その説明は省略する。
【0066】
(揺動動作)
まず第2のDCソレノイド75bによって、第2のスプラインシャフト70bが進出し、揺動機構用クラッチ161が繋がる。また、第2のスプラインシャフト70bが進出することによって、揺動機構用ブレーキ163が解除される。
【0067】
第2のサーボモータ26bが一方向に回転すると、その回転がかさ歯車153及び第2のスプラインナット71bを介して第2のスプラインシャフト70bに伝達される。第2のスプラインシャフト70bが回転すると、揺動機構用クラッチ161及びかさ歯車165を介して、揺動機構駆動シャフト51が回転する
【0068】
揺動機構駆動シャフト51が回転すると、その回転が第2のベルトプーリ部59を介して伝達され、スプラインシャフト52が回転する(図3参照)。スプラインシャフト52の回転は、スプラインナット53の第1のスプラインナット部53aに伝達され、第1のスプラインナット部53aが回転する。その際、第2のスプラインナット部53bは第1のスプラインナット部53a(スプラインシャフト52)の回転とは無関係に、スプラインシャフト52の軸回りに回転することができるので、第1のスプラインナット部53aの回転が、支持部22a、22bに伝達されることはない。
【0069】
第1のスプラインナット部53aが回転すると、リンク61が移動し、このリンク61を介して円板60及びシャフト65が揺動軸AXp回りに回転する。その結果、図2に示すように、把持爪21a、21bは、揺動軸AXp回りに揺動することができる。なお、把持爪21a、21bは、第2のサーボモータ26bの回転角度を制御することにより、任意の角度にて位置決めされる。
【0070】
(ボルト回転動作)
まず、図5に示す第1のDCソレノイド75aによって、第1のスプラインシャフト70aが後退し、ボルト回転機構用クラッチ111が繋がる。また、第1のスプラインシャフト70aが後退することによって、ボルト回転機構用ブレーキ113が解除される。付言すると、開閉機構用クラッチ91は切れ、開閉機構用ブレーキ93が作動する。
【0071】
第1のサーボモータ26aが一方向に回転すると、その回転がかさ歯車82及び第1のスプラインナット71aを介して第1のスプラインシャフト70aに伝達される。第1のスプラインシャフト70aが回転すると、ボルト回転機構用クラッチ111を介して、第1のフレーム25aが第2のフレーム25bに対し、第1のスプラインシャフト70aの軸回りに回転する。第1のフレーム25aの回転は制限されないので、第1のフレーム25aは無限回転し、図1に示すように、把持爪21a、21bに把持されたボルトBを軸回りに回転させてタップ穴Tに挿入することが可能である。
【0072】
(切り替え動作)
次に、各機構の切り替え動作について、図5、図6を参照して説明する。
前述の通り、把持機構(開閉機構28及び揺動機構29)とボルト回転機構30は、切り替え機構によって切り替えられ、把持機構及びボルト回転機構30のいずれか一方が動作する。
【0073】
まず、図5に示すように、動作機構をボルト回転機構30から把持機構に切り替える場合の切り替え動作について説明する。
まず、前述の通り、コントローラが、切り替え前の(現在の)第1及び第2のサーボモータ26a、26bのエンコーダの出力値及び第1及び第2のサーボモータ26a、26bに対する位置指令値をそれぞれ記憶装置に記憶する。但し、コントローラは第2のサーボモータ26bのエンコーダの出力値及び第2のサーボモータ26bに対する位置指令値を記憶しなくてもよい。
【0074】
次に、第1のDCソレノイド75aを駆動して第1のスプラインシャフト70aを進出させる。また、第2のDCソレノイド75bを駆動して第2のスプラインシャフト70bを進出させる。
【0075】
次に、第1及び第2のサーボモータ26a、26bの制御モードを位置制御から柔軟制御に切り替える。柔軟制御は、サーボアンプに対するトルク指令に制限をかけ、サーボ制御の位置追従性を下げることにより、外力に対して柔軟に倣うように制御するものである(例えば、特開平09−076184号公報参照)。柔軟制御を行うことによって、開閉機構用クラッチ91及び揺動機構用クラッチ161の入力側フランジ91a、161aは、それぞれ第1のスプラインシャフト70a、第2のスプラインシャフト70bから加えられる軸方向の力(第1のスプラインシャフト70a、第2のスプラインシャフト70bが進出する力)によって入力側フランジ91a、161aを回転させる力に倣う(図9に示す矢印参照)、その結果、開閉機構用クラッチ91及び揺動機構用クラッチ161がそれぞれ繋がる。即ち、開閉動作断続部78及び揺動動作断続部150は、それぞれ第1及び第2のスプラインシャフト70a、70bの駆動力を開閉機構28及び揺動機構29に伝達する。
【0076】
最後に、コントローラが、前回把持機構が動作していた際の各エンコーダの出力値並びに第1及び第2のサーボモータ26a、26bに対する位置指令値を記憶装置から読み出して現在の設定値とする。また、コントローラは、第1及び第2のサーボモータ26a、26bの制御モードを柔軟制御から位置制御へと戻す。
【0077】
次に、図6に示すように、動作機構を把持機構からボルト回転機構30に切り替える場合の切り替え動作について説明する。
まず、前述の通り、コントローラが、切り替え前の(現在の)第1及び第2のサーボモータ26a、26bのエンコーダの出力値及び第1及び第2のサーボモータ26a、26bに対する位置指令値をそれぞれ記憶装置に記憶する。
【0078】
次に、第1のDCソレノイド75aを駆動して第1のスプラインシャフト70aを後退させる。また、第2のDCソレノイド75bを駆動して第2のスプラインシャフト70bを後退させる。
【0079】
次に、第1のサーボモータ26aの制御モードを位置制御から柔軟制御に切り替える。その結果、ボルト回転機構用クラッチ111が繋がる。即ち、ボルト回転動作断続部80は、第1のスプラインシャフト70aの駆動力をボルト回転機構30に伝達する。なお、揺動動作断続部150は、第2のスプラインシャフト70bの駆動力を揺動機構29には伝達しなくなる。
【0080】
最後に、コントローラが、前回ボルト回転機構30が動作していた際の各エンコーダの出力値並びに第1及び第2のサーボモータ26a、26bに対する位置指令値を記憶装置から読み出して現在の設定値とする。但し、コントローラは第2のサーボモータ26bのエンコーダの出力値及び第2のサーボモータ26bに対する位置指令値を読み出さなくてもよい。また、コントローラは、第1のサーボモータ26aの制御モードを柔軟制御から位置制御へと戻す。
【0081】
次に、ロボット10がボルトBをタップ穴に挿入する動作について説明する。
ロボット10は、図示しない画像認識装置から得られた把持対象のボルトBの位置及び姿勢の情報に基づいて、ハンド20を把持対象とするボルトBの近くへと移動させる。
次に、ロボット10は、切り替え機構32を動作させて、動作対象となる機構を把持機構とする。ロボット10は、ハンド20全体を回転軸AXt回りに回転させ、続いて把持爪21a、21bを揺動軸AXp回りに揺動させ、適宜ボルトBをつまみ易い向きに変更した後、把持爪21a、21bを閉じて、ボルトBをつまむ。
例えば、ロボット10は、把持爪21a、21bの長手方向がボルトBの軸線と平行となるように、ハンド20全体を回転(一旦、ボルト回転機構に切り替える)させ、把持爪21a、21bを揺動させる。そして、ロボット10は、把持爪21a、21bをボルトBの上方から接近させることにより、アーム11が周囲に配置された物品に干渉する可能性を低減させて、ボルトBの頭をつまむことができる。
なお、ボルトBをつまむ力は、第1のサーボモータ26aによって制御される。
【0082】
このように、ロボット10は、アーム11を大きく移動させることなく、主としてハンド20を回転させ、把持爪21a、21bの向きを変更することによって、ボルトBをつまむことができる。即ち、ロボット10は、把持爪21a、21bが揺動軸AXp回りに揺動しない場合に比べ、ボルトBをつまむために姿勢を大きく変える必要がない。
従って、把持爪21a、21bが揺動軸AXp回りに揺動しない場合に比べ、ボルトBをつまむためのアーム11の姿勢変化が小さく、ボルトBを把持するために要する時間を短縮することができる。また、ロボット10がボルトBをつまむことのできる範囲を広くとることができる。
【0083】
次に、ロボット10は、ボルトBがタップ穴Tに入るように把持爪21a、21bを揺動させて、把持したボルトBの先端をタップ穴Tに向ける。
続いて、ロボット10は、切り替え機構32を動作させて、動作機構をボルト回転機構30に切り替える。更に、ロボット10は、アーム11を力制御し、予め決められた力をボルトBの軸方向に加えた状態で、ボルト回転機構30を動作させる。その結果、ボルトBが軸回りに回転し、ボルトBはタップ穴Tに挿入される(図1参照)。
【0084】
このように、共通の第1のサーボモータ26aによって開閉機構28とボルト回転機構30とを動作させることができるため、ハンド20を小型化及び軽量化することができる。また、省配線化することもできる。
【0085】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るロボットについて説明する。第1の実施の形態に係るロボット10と同一の構成要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
第2の実施の形態に係るロボットは、第1の実施の形態に係るロボット10とは、ボルト回転機構用ブレーキを解除するための機構が相違する。
本実施の形態においては、第3のブレーキ解除部材121を用いてボルト回転機構用ブレーキ113を解除するのではなく、図10に示す1対のブレーキ解除ワイヤ171を用いてボルト回転機構用ブレーキ113aを解除する。
【0086】
図10に示す各ブレーキ解除ワイヤ171は、ガイド172によって案内され、一端が第1のDCソレノイド75aと第1のスプラインシャフト70aとを連結するプレート173に固定されている。各ブレーキ解除ワイヤ171の他端は、ブレーキシュー175に固定されている。
動作対象となる機構が把持機構からボルト回転機構30に切り替わる際、プレート173はハンド20の基端側に移動する。その結果、ブレーキ解除ワイヤ171が引かれ、ばね119がブレーキシュー175を円筒部材117に押し付ける力に打ち勝って、ブレーキシュー175が円筒部材117から離れる。即ち、ボルト回転機構用ブレーキ113aが解除される。
【0087】
なお、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述の実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0088】
開閉機構用ブレーキ93、揺動機構用ブレーキ163、及びボルト回転機構用ブレーキ113のブレーキシューは、それぞれ2つであったが、これに限定されるものではなく、3つ以上としてもよい。
【0089】
また、開閉機構用クラッチ91、揺動機構用クラッチ161、及びボルト回転機構用クラッチ111は、波形クラッチに限定されるものではなく、結合面が波形クラッチとは異なる他の噛み合いクラッチを適用することも可能である。更に、開閉機構用クラッチ91、揺動機構用クラッチ161、及びボルト回転機構用クラッチ111のうち、少なくとも1つを、湿式クラッチ又は乾式クラッチ等の摩擦クラッチとしてもよい。摩擦クラッチとした場合は、入力軸と出力軸は任意の回転位置で結合できるので、柔軟制御を行う必要はない。
【0090】
また、開閉動作断続部78が、第1のスプラインシャフト70aが後退した場合にのみ第1のスプラインシャフト70aから開閉機構28に駆動力を伝達し、ボルト回転動作断続部80は、第1のスプラインシャフト70aが進出した場合にのみ第1のスプラインシャフト70aからボルト回転機構30に駆動力を伝達するように構成してもよい。揺動動作断続部150が、第2のスプラインシャフト70bが後退した場合にのみ第2のスプラインシャフト70bから揺動機構29に駆動力を伝達するように構成してもよい。
【0091】
リンク部55に用いられたリンク機構は、第1のスプラインナット部53aの回転をシャフト65に伝達することができれば任意のリンク機構でよい。例えば、揺動スライダクランク機構等の他のリンク機構を適用することも可能である。なお、リンク部55は、リンク機構により各第1のスプラインナット部53aの回転を把持爪21a、21bに伝達しているが、リンク機構に代えてベルトプーリ機構とすることもできる。ただし、ベルトプーリ機構よりもリンク機構の方が、ハンド20の先端部を小型化する観点からは好ましい。
【0092】
また、第1のベルトプーリ部42に代えて、平歯車等の歯車によって主として構成された回転伝達機構とすることもできる。
【符号の説明】
【0093】
10:ロボット、11:アーム、12:手首フランジ、13:力覚センサ、20:ハンド、21a、21b:把持爪、22a、22b:支持部、25a:第1のフレーム、25b:第2のフレーム、26a:第1のサーボモータ、26b:第2のサーボモータ、28:開閉機構、29:揺動機構、30:ボルト回転機構、31:開閉機構駆動シャフト、32、切り替え機構、33:左右ねじシャフト、34:移動部、37:溝部、38:軸受、40:タイミングベルト、41:プーリ、42:第1のベルトプーリ部、51:揺動機構駆動シャフト、52:スプラインシャフト、53:スプラインナット、53a:第1のスプラインナット部、53b:第2のスプラインナット部、55:リンク部、56:タイミングベルト、57:プーリ、58:軸受、59:第2のベルトプーリ部、60:円板、61:リンク、63:第1のリンクピン、64:第2のリンクピン、65:シャフト、70a:第1のスプラインシャフト、70b:第2のスプラインシャフト、71a:第1のスプラインナット、71b:第2のスプラインナット、75a:第1のDCソレノイド、75b:第2のDCソレノイド、78:開閉動作断続部、80:ボルト回転動作断続部、82:かさ歯車、85:かさ歯車、87:シャフト、88:プレート、89:ばね、91:開閉機構用クラッチ、91a:入力側フランジ、91b:出力側フランジ、93:開閉機構用ブレーキ、95:ブレーキシュー、97:リニアガイド、99:ばね、101:第1のブレーキ解除部材、102:軸受、111:ボルト回転機構用クラッチ、111a:入力側フランジ、111b:出力側フランジ、113、113a:ボルト回転機構用ブレーキ、115:ブレーキシュー、116:リニアガイド、117:円筒部材、119:ばね、121:第3のブレーキ解除部材、123:軸受、150:揺動動作断続部、153:かさ歯車、155:シャフト、157:プレート、159:ばね、161:揺動機構用クラッチ、161a:入力側フランジ、161b:出力側フランジ、163:揺動機構用ブレーキ、165:かさ歯車、167:第2のブレーキ解除部材、169:ブレーキシュー、171:ブレーキ解除ワイヤ、172:ガイド、173:プレート、175:ブレーキシュー、B:ボルト、T:タップ穴



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレームに設けられ、ボルトを把持する1対の把持爪を揺動軸回りに揺動させる揺動機構と、
前記第1のフレームに設けられ、前記各把持爪を内側に支持する1対の支持部を前記揺動軸に沿って開閉させる開閉機構と、
前記把持爪が把持したボルトの軸回りに、前記第1のフレームを第2のフレームに対して無限回転させるボルト回転機構と、
動作する機構を1)前記揺動機構及び前記開閉機構又は2)前記ボルト回転機構に切り替える切り替え機構とを備えたハンド。
【請求項2】
請求項1記載のハンドにおいて、前記切り替え機構は、前記第2のフレームに設けられた第1のサーボモータの駆動力を前記開閉機構又は前記ボルト回転機構に伝達できる第1の伝達部と、
前記第2のフレームに設けられた第2のサーボモータの駆動力を前記揺動機構に伝達できる第2の伝達部とを有するハンド。
【請求項3】
請求項2記載のハンドにおいて、
1)前記第1の伝達部は、前記第1のサーボモータによって駆動される中空の第1のスプラインシャフトと、
前記第1のスプラインシャフトを軸方向に移動させる第1の進退駆動部と、
前記第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合にのみ該第1のスプラインシャフトから前記開閉機構に駆動力を伝達する開閉動作断続部と、
前記第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合にのみ該第1のスプラインシャフトから前記ボルト回転機構に駆動力を伝達するボルト回転動作断続部と、を有し、
2)前記第2の伝達部は、前記第1のスプラインシャフトの中空部に該第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に配置され、前記第2のサーボモータによって駆動される第2のスプラインシャフトと、
前記第2のスプラインシャフトを軸方向に移動させる第2の進退駆動部と、
前記第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合にのみ該第2のスプラインシャフトから前記揺動機構に駆動力を伝達する揺動動作断続部とを有するハンド。
【請求項4】
請求項3記載のハンドにおいて、
1)前記開閉動作断続部は、開閉機構用クラッチ及び開閉機構用ブレーキを備え、
前記開閉機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記開閉機構用ブレーキは、前記開閉機構用クラッチの出力側の第1の被接触部材に接触する第1のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第1の被接触部材に接触した前記第1のブレーキシューを該第1の被接触部材から離す第1のブレーキ解除部材とを有し、
2)前記揺動動作断続部は、揺動機構用クラッチ及び揺動機構用ブレーキを備え、
前記揺動機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記揺動機構用ブレーキは、前記揺動機構用クラッチの出力側の第2の被接触部材に接触する第2のブレーキシューと、前記第2のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第2のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第2の被接触部材に接触した前記第2のブレーキシューを該第2の被接触部材から離す第2のブレーキ解除部材とを有し、
3)前記ボルト回転動作断続部は、ボルト回転機構用クラッチ及びボルト回転機構用ブレーキを備え、
前記ボルト回転機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記ボルト回転機構用ブレーキは、前記第1のフレームに固定された第3の被接触部材に接触する第3のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合に前記第3の被接触部材に接触した前記第3のブレーキシューを前記第3の被接触部材から離す第3のブレーキ解除部材とを有するハンド。
【請求項5】
請求項4記載のハンドにおいて、前記第1のスプラインシャフトが移動する際に、前記第1のサーボモータの制御モードが位置制御から柔軟制御に切り替わり、
前記第2のスプラインシャフトが移動する際に、前記第2のサーボモータの制御モードが位置制御から柔軟制御に切り替わるハンド。
【請求項6】
請求項3記載のハンドにおいて、
1)前記開閉動作断続部は、開閉機構用クラッチ及び開閉機構用ブレーキを備え、
前記開閉機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記開閉機構用ブレーキは、前記開閉機構用クラッチの出力側の第1の被接触部材に接触する第1のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第1のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第1のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第1の被接触部材に接触した前記第1のブレーキシューを該第1の被接触部材から離す第1のブレーキ解除部材とを有し、
2)前記揺動動作断続部は、揺動機構用クラッチ及び揺動機構用ブレーキを備え、
前記揺動機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記揺動機構用ブレーキは、前記揺動機構用クラッチの出力側の第2の被接触部材に接触する第2のブレーキシューと、前記第2のスプラインシャフトと実質的に同軸に、該第2のスプラインシャフトに対して相対回転可能に設けられ、該第2のスプラインシャフトが一方向に移動した場合に前記第2の被接触部材に接触した前記第2のブレーキシューを該第2の被接触部材から離す第2のブレーキ解除部材とを有し、
3)前記ボルト回転動作断続部は、ボルト回転機構用クラッチ及びボルト回転機構用ブレーキを備え、
前記ボルト回転機構用クラッチは、噛み合いクラッチ又は摩擦クラッチであり、
前記ボルト回転機構用ブレーキは、前記第1のフレームに固定された第3の被接触部材に接触する第3のブレーキシューと、前記第1のスプラインシャフトが他方向に移動した場合に引かれ、前記第3の被接触部材に接触した前記第3のブレーキシューを前記第3の被接触部材から離すブレーキ解除ワイヤとを有するハンド。
【請求項7】
請求項4又は6記載のハンドにおいて、前記噛み合いクラッチの入力側及び出力側の結合面に、それぞれ一方向に延びて突出する凸部が並んで形成されたハンド。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載のハンドと、
前記第1及び第2のサーボモータのそれぞれのエンコーダの出力値に基づいて、前記ハンドの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記切り替え機構を動作させる前に、記憶装置に前記各エンコーダの現在の出力値を記憶し、該記憶装置から前回記憶された前記各エンコーダの出力値を読み出し、該各出力値を前記切り替え機構が動作した後の前記各エンコーダの出力値としてそれぞれ設定するロボットシステム。
【請求項9】
アームの先端部にハンドを備え、
前記ハンドは、第1のフレームに設けられ、ボルトを把持する1対の把持爪を揺動軸回りに揺動させる揺動機構と、
前記第1のフレームに設けられ、前記各把持爪を内側に支持する1対の支持部を前記揺動軸に沿って開閉させる開閉機構と、
前記把持爪が把持したボルトの軸回りに、前記第1のフレームを第2のフレームに対して無限回転させるボルト回転機構と、
動作する機構を1)前記揺動機構及び前記開閉機構又は2)前記ボルト回転機構に切り替える切り替え機構とを有するロボット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−81564(P2012−81564A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230779(P2010−230779)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】