説明

パターン形成装置

【課題】 ワークに対するパターン形成を正確に効率良く行いつつ、利便性を高めることができるパターン形成装置を提供する。
【解決手段】 保持部12に保持されたワークwに対する位置検出手段20による位置検出および加工手段30による加工が、保持部12の異なる割出位置において行われるように、保持テーブル10が一方向に間欠回転するように構成されたパターン形成装置1であって、制御手段は、位置検出手段20によるワーク毎の位置検出に基づいて加工座標データを生成し、ワークが装着された保持部12毎に予め設定された個別補正データにより加工座標データを補正して、補正後の加工座標データに基づき加工手段30によるパターン形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板等のワークに対して印刷やレーザ加工等によりパターン形成を行うパターン形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板等のワークに対してレーザ加工等を行う装置として、例えば特許文献1に開示されたパターン形成装置が知られている。図3に示すように、このパターン形成装置50は、両側に基板wの装着部51,51を有する支持板52と、支持板52を回動する駆動装置53と、装着部51に対する基板wの搬出入を行う搬出入装置54と、装着部51に取り付けられた基板wの位置を検出する基板位置検出装置55と、装着部51に取り付けられた基板wに対してレーザ加工等によるパターン形成を行う加工装置56とを備えている。このパターン形成装置50は、支持板52を正逆両方向に180°回動することにより、一方の装着部51が基板位置検出装置55の検出位置に来たときに、他方の装着部51が加工装置56の加工位置に来るように、各装着部51,51が基板位置検出装置55と加工装置56との間で移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4545230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のパターン形成装置50は、各装着部51,51の基板wに対する位置検出とパターン形成とを常に同時に行うことができるので、パターン形成を迅速に行うことができる。ところが、装着部51に対する基板wの搬入および搬出が同じ位置で行われるため、異なる搬送装置によって基板wの搬出入が行われる場合に不便であったり、あるいは、形成したパターンの外観検査などの付加工程が必要な場合に対応できないという問題があり、この点において更に改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、ワークに対するパターン形成を正確に効率良く行いつつ、利便性を高めることができるパターン形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、円周方向に沿って等間隔に配置された複数の保持部を有する保持テーブルと、前記保持テーブルを割出回転可能に支持する回転駆動手段と、前記保持テーブルに保持された平板状のワークの位置を検出する位置検出手段と、ワークを加工する加工手段と、設定された加工座標データに基づき前記加工手段の作動を制御して、ワークに対する所定のパターン形成を行う制御手段とを備え、前記保持部に保持されたワークに対する前記位置検出手段による位置検出および前記加工手段による加工が、前記保持部の異なる割出位置において行われるように、前記保持テーブルが一方向に間欠回転するように構成されたパターン形成装置であって、前記制御手段は、前記位置検出手段によるワーク毎の位置検出に基づいて前記加工座標データを生成し、ワークが装着された前記保持部毎に予め設定された個別補正データにより前記加工座標データを補正して、補正後の前記加工座標データに基づき前記加工手段によるパターン形成を行うパターン形成装置により達成される。
【0007】
このパターン形成装置において、前記個別補正データは、前記各保持部に保持されたダミーワークに対して、予め設定された基準座標データに基づき前記加工手段によるパターン形成を行った後、前記保持テーブルを割出回転して、前記位置検出手段によるパターンの位置検出を行うことにより生成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワークに対するパターン形成を正確に効率良く行いつつ、利便性を高めることができるパターン形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るパターン形成装置の平面図である。
【図2】個別補正データの生成手順を説明するための図である。
【図3】従来のパターン形成装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るパターン形成装置の平面図である。図1に示すように、パターン形成装置1は、保持テーブル10と、保持テーブル10に保持されたワークwの位置を検出する位置検出装置20と、保持テーブル10に保持されたワークwを加工する加工装置30とを備えている。
【0011】
保持テーブル10は、基板等の平板状のワークを真空吸引等により保持する複数の保持部12を有しており、各保持部12は円周方向に沿って等間隔に配置されている。この保持テーブル10は、例えば、機械式など公知のインデックステーブルにより構成され、不図示のモータにより水平回転可能に支持されて、ロータリーエンコーダの検出に基づく所定角度の割出回転によって各保持部12を各割出位置に位置決めすることができる。本実施形態の保持テーブル10は、4つの保持部12を備えており、90°の割出回転によって4か所の割出位置に順次位置決めされるように、矢示方向に間欠回転駆動される。但し、保持部12の数は4つに限定されるものではなく、保持テーブル10の周囲に配置されるステーションの数に合わせて適宜決定することができる。
【0012】
保持部12の4つの割出位置には、搬入ステーションS1、検出ステーションS2、加工ステーションS3および搬出ステーションS4がそれぞれ配置されており、各ステーションS1〜S4に、搬入装置2、位置検出装置20、加工装置30および搬出装置4が設けられている。搬入装置2は、ベルトコンベア等の搬送装置3により搬送されるワークwを、吸盤やベルヌーイチャック等からなる吸着部2aにより吸引保持し、割出位置に停止中の保持部12に向けて搬送することができる。こうして、搬入ステーションS1において、保持部12に向けてワークwが順次供給され、保持部12に保持される。
【0013】
位置検出装置20は、検出ステーションS2で停止中の保持部12に保持されたワークwの外縁の一部やアライメントマーク等を検出することにより、ワークwの表面と平行なXY平面におけるワークwの位置検出を行う。本実施形態においては、検出対象となるワークwが矩形状の基板であることから、ワークwの角部cをそれぞれ検出できるように、4つの検出部20aを備えている。検出部20aとしては、CCDカメラなどの撮像装置を例示することができる。検出部20aの数は特に限定されるものではなく、ワークwの特徴箇所を検出して、ワークwのX方向、Y方向およびθ方向(XY平面における回転方向)のずれ量を検出可能であれば、他の配置であってもよい。
【0014】
加工装置30は、本実施形態ではワークの表面にレーザ加工を施すレーザ照射装置であり、加工ステーションS3で停止中の保持部12に保持されたワークwに対し、光源から出射されたレーザ光を照射することにより、ワークwの表面に配線やマーキングなどの所定のパターンを形成する。本実施形態においては、レーザ光の走査が、加工装置30に内蔵されたCPUやメモリ等を備える制御部(図示せず)によって行われ、例えば、太陽電池基板である矩形状のワークwの外縁に沿って、枠状の溝部からなるパターン形成を行い、電極のPN分離を行うことができる。制御部は、例えばX軸ミラーおよびY軸ミラーからなるガルバノミラーの角度制御を行うことにより、ワークwの表面と平行なXY平面上でレーザスポットを走査する。但し、ワークwを保持する各保持部12をXYテーブルにより構成し、制御部が、XYテーブルの駆動によりワークwを移動させてレーザ光を走査するように構成することも可能である。
【0015】
搬出装置4は、搬入装置2と同様に、ワークwを吸引保持する吸引部4aを備えており、搬出ステーションS4で停止中の保持部12がワークwの吸引を解除した後に、ワークwを吸引して、ベルトコンベア等の搬送装置5に載置する。
【0016】
上記の構成を備えるレーザ加工装置1は、搬入ステーションS1でワークwが装着された保持部12が、検出ステーションS2の割出位置に位置決めされる毎に、位置検出装置20によるワークwの位置検出が行われる。位置検出装置20は、ワークwの検出位置と基準位置とのX方向、Y方向およびθ方向のずれを検出することができる。本実施形態では、4つの検出部20aにより、ワークwの検出箇所である角部cの位置と、基準位置(例えば、撮像領域の中心位置)とのX方向およびY方向のずれ量を検出することにより、ワークwのX方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量を容易且つ正確に把握することができる。位置検出装置20の検出データは、加工装置30の制御部に出力される。
【0017】
加工装置30の制御部には、加工装置30の座標系において所定のパターン形状に対応する基準座標データが予め格納されており、位置検出装置20から検出データが入力される毎に、検出データに基づき基準座標データを修正して加工座標データを生成する。すなわち、加工座標データは、位置検出装置20によるワークwの検出箇所(例えば、角部c)と、基準位置(例えば、検出画像領域の中心)とが、全ての検出部20aにおいて一致する場合に、基準座標データと一致する一方、保持部12に保持されるワークwの位置ずれが生じる場合には、X方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量に応じて基準座標データが修正されることで、ワークwの所定位置にパターン形成が正確に行われる。パターン形成が終了したワークwは、搬出ステーションS4において搬出装置4により順次搬出される。
【0018】
ところで、保持テーブル10の中心と保持テーブル10を回転駆動するモータ(図示せず)の回転中心とを完全に一致させることは通常は困難であり、保持テーブル10の中心が回転中心の周りを回転する、いわゆる芯振れを生じるおそれがある。
【0019】
更に、保持テーブル10の割出回転は、保持テーブル10が1回転する間にロータリーエンコーダにより検出される総パルス数を割出位置毎に分割したパルス数に基づき行われるため、正確な割出回転を行うためには、総パルス数をなるべく大きくする必要がある。ところが、総パルス数が大きくなり過ぎると、保持テーブル10の所望の回転速度が得られなくなるおそれがあることから、総パルス数には一定の限界があり、このために分割したパルス数による割出角度の誤差が大きくなるおそれがある。
【0020】
本発明者らの試験によれば、上述した保持テーブル10の芯振れや割出角度の誤差に起因して、ワークwの表面におけるパターンの形成位置と基準位置との間にずれを生じ、このずれ量が各保持部12によって異なることが明らかになった。特に、太陽電池基板に対する配線パターンの形成のように、ワークに対するパターン形成を高精度で行う必要がある場合には、形成されたパターンの位置ずれが無視できないおそれがあった。
【0021】
そこで、本実施形態においては、保持部12毎に個別補正データを予め設定しておき、位置検出装置20の位置検出により生成されたワークwの加工座標データを、このワークwを保持する保持部12に対応する個別補正データを用いて補正する。保持部12が位置検出装置20から加工装置30まで移動する間に上記の原因によって生じる位置ずれ量は、各保持部12によって相違する一方、同一の保持部12については保持テーブル10が繰り返し回転しても一定である。したがって、加工装置30が、個別補正データによる補正後の加工座標データに基づき加工することにより、ワークwに対するパターン形成を高精度で行うことができる。
【0022】
上述した個別補正データは、下記の手順により設定することができる。まず、ワークwよりも大きい任意の形状を有するダミーワークを保持部12に設置し、この保持部12を加工ステーションS3の割出位置まで移動する。そして、パターン形成を行うための基準座標データに基づき、ダミーワークに対して加工装置30によりパターン形成を行う。形成するパターンの形状や大きさは、ドットや線、図形など特に限定されるものではないが、後述するように、位置検出装置20の各検出部20aにより、パターンの特定位置を検出可能であることが好ましい。
【0023】
ついで、パターン形成後のダミーワークが装着された保持部12を、検出ステーションS2の割出位置まで移動させ、位置検出装置20によりパターンの位置検出を行う。こうして得られた検出データは、加工装置30の制御部に出力される。加工ステーションS3から検出ステーションS2への保持部12の移動は、本実施形態では図1の矢示方向と反対方向としているが、矢示方向への移動であってもよい。
【0024】
図2は、ダミーワークdwに形成したパターンpを位置検出装置20で撮像したときの、1つの検出部20aの撮像領域Aの一例を示す図である。図2に示すパターンpは、外周線Lが実際のワークの外形線に一致するように基準座標データに基づき形成されたものであり、本来は、パターンpの外周線Lの角部c1が、検出部20aの基準位置である撮像領域Aの中心c2に一致する。したがって、このときに生じる角部c1と中心c2との間のX方向およびY方向の位置ずれ量X1,Y1は、上述した保持テーブル10の芯振れや割出角度の誤差によって生じる各保持部12に固有のものである。そこで、制御部が、4つの検出部20aが検出したそれぞれの位置ずれ量に基づき、実際のワークの角部が基準位置c2に正確に配置された場合を基準とするパターンpの外周線LのX方向、Y方向およびθ方向の位置ずれ量を算出することで、ダミーワークdwが装着された保持部12の個別補正データを得ることができる。他の保持部12についても新たなダミーワークdwを用いて同様の手順を行うことにより、保持部12毎に個別補正データを取得することができる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、保持テーブル10の割出位置を、搬入ステーションS1、検出ステーションS2、加工ステーションS3および搬出ステーションS4の4か所に設定しているが、これ以外に、例えば、外観検査用のステーションや洗浄用のステーションなど他のステーションを配置して、これら全てのステーション位置に保持テーブル10が割出回転するように構成してもよい。また、本実施形態においては、搬入ステーションS1と搬出ステーションS4とを異なる位置に配置し、搬送コンベア等による搬入経路と搬出経路とが異なる用途に対応させているが、搬入ステーションS1と搬出ステーションS4とを一致させ、保持テーブル10に対するワークの搬出入を同じ箇所で行うように構成することも可能である。
【0026】
また、本実施形態においては、加工装置30としてレーザ照射装置を使用しているが、パターン形成を行うための加工座標データを補正可能な構成であれば特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、転写ローラによる印刷、エンドミル加工、放電加工などを挙げることができる。加工装置30がスクリーン印刷装置である場合、スクリーンをサーボモータ等によりX方向、Y方向およびθ方向に移動可能に構成することで、個別補正データによる加工座標データの補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0027】
1 パターン形成装置
10 保持テーブル
12 保持部
20 位置検出装置
30 加工装置
w ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に沿って等間隔に配置された複数の保持部を有する保持テーブルと、
前記保持テーブルを割出回転可能に支持する回転駆動手段と、
前記保持テーブルに保持された平板状のワークの位置を検出する位置検出手段と、
ワークを加工する加工手段と、
設定された加工座標データに基づき前記加工手段の作動を制御して、ワークに対するパターン形成を行う制御手段とを備え、
前記保持部に保持されたワークに対する前記位置検出手段による位置検出および前記加工手段による加工が、前記保持部の異なる割出位置において行われるように、前記保持テーブルが一方向に間欠回転するように構成されたパターン形成装置であって、
前記制御手段は、前記位置検出手段によるワーク毎の位置検出に基づいて前記加工座標データを生成し、ワークが装着された前記保持部毎に予め設定された個別補正データにより前記加工座標データを補正して、補正後の前記加工座標データに基づき前記加工手段によるパターン形成を行うパターン形成装置。
【請求項2】
前記個別補正データは、前記各保持部に保持されたダミーワークに対して、予め設定された基準座標データに基づき前記加工手段によるパターン形成を行った後、前記保持テーブルを割出回転して、前記位置検出手段によるパターンの位置検出を行うことにより生成される請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記保持部に対するワークの装着および離脱が、前記保持部の異なる割出位置において行われる請求項1または2に記載のパターン形成装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、矩形状のワークの角部をそれぞれ検出する4つの検出部を備える請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成装置。
【請求項5】
前記加工手段は、ワークの表面にレーザ光を照射するレーザ照射装置であり、
前記制御手段は、ワークの表面に沿って前記レーザ照射装置のレーザスポットを走査する請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成装置。
【請求項6】
前記加工手段は、ワークの表面に印刷を施すスクリーン印刷装置であり、
前記制御手段は、ワークの表面に沿って前記スクリーン印刷装置のスクリーンを移動する請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−109433(P2012−109433A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257788(P2010−257788)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【特許番号】特許第4702965号(P4702965)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(505095224)
【Fターム(参考)】