説明

パラレルメカニズム

【課題】 旋回軸に設けられている自在継手の磨耗を低減することが可能なパラレルメカニズムを提供する。
【解決手段】 パラレルメカニズム1は、ベース部2に取り付けられた電動モータ21に一端が接続され、他端がエンドエフェクタ部13に接続され、電動モータ21の駆動力をエンドエフェクタ部13に伝達する旋回軸ロッド20を備える。旋回軸ロッド20は、その両端に、一対のヨーク24,25を十字軸26により連結したユニバーサルジョイント22,23を有する。十字軸26は、3本のピン27,28,29と、これらのピン27,28,29が十字状に嵌挿されるピン孔が形成されたコマ30を有し、十字軸26に加わるスラスト荷重を受けるスラストベアリング33,34が、ヨーク24,25とコマ30との間に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラレルメカニズムに関し、特に、自在継手を有する旋回軸を備えたパラレルメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、支持基盤であるベース部と作動部分であるエンドエフェクタ部とが複数のリンクにより並列に結合されたパラレルメカニズムが知られている(例えば、特許文献1参照)。パラレルメカニズムでは、例えば電動モータ等のアクチュエータが並列に配置されるとともに、各電動モータに連結された複数のリンク(アーム)が最終的に一箇所のエンドエフェクタ部を操るように構成されている。また、特許文献1に記載のパラレルメカニズムは、キャリア(ブラケット)上に回転可能に支持された把持器(エンドエフェクタ部)と、ベース部に固定されたサーボモータとを連結する入れ子式のリンク機構(旋回軸)を有している。このリンク機構の両端はカルダン継手(自在継手)を介して接続されており、エンドエフェクタ部の移動に従ってリンク機構が傾いても、電動モータの駆動力をエンドエフェクタ部に伝えることができるように構成されている。
【0003】
このような構成を有するパラレルメカニズムは、シリアルメカニズム等の関節機構と比較して、関節毎に電動モータ等を設ける必要がなく、関節に設けられている電動モータ等を振り回す必要もないため関節機構を軽量に作ることができる。また、パラレルメカニズムでは、すべての電動モータ等の力が一箇所に集約されるため出力を大きくすることができる。さらに、パラレルメカニズムは、三角錐構造を採るため非常に剛性が高い。このように、パラレルメカニズムは、軽量、高出力、高剛性という特徴を有するため、エンドエフェクタ部を非常に高速で動かすことができる。
【特許文献1】特開2001−277164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速で動作するパラレルメカニズムでは、旋回軸がリンクの駆動に伴い高速で移動させられると同時に、回転駆動される。そのため、旋回軸を連結する自在継手は、回転・屈曲しつつ高速に振り回されることとなる。さらに、アーム、旋回軸ともに高加速度で駆動・反転を繰り返すため、旋回軸および自在継手には極めて大きな荷重が高頻度に加わる。そのため、自在継手が回転・屈曲する際に、十字軸(クロススパイダー)を構成するコマを中心としてラジアル力が作用し、ピンがヨーク(ドウ)との間で摺動し、磨耗が生じる。このような磨耗は、例えばピンとヨークとに表面処理を施すこと、又はラジアル軸受け(例えばニードルベアリング等)を設けることで改善することができる。しかしながら、自在継手が回転・屈曲しつつ高速に振り回された場合、ラジアル軸受けの有無に関わらずピンとヨーク、又はコマとヨークとの間で磨耗が生じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、旋回軸に設けられる自在継手の磨耗を低減することが可能なパラレルメカニズムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者達は、上記の問題点につき鋭意検討を重ねた結果、自在継手が回転・屈曲しつつ高速に振り回された場合、十字軸を構成するコマを中心としてスラスト荷重が加えられるため、十字軸(コマ)がスラスト荷重を受けながら摺動することでピンとヨーク、又はコマとヨークとの間で磨耗が生じるとの知見を得た。
【0007】
そこで、本発明に係るパラレルメカニズムは、複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが並列に連結されたパラレルメカニズムにおいて、ベース部に取り付けられたアクチュエータに一端が接続され、他端がエンドエフェクタ部に接続され、アクチュエータの駆動力をエンドエフェクタ部に伝達する旋回軸を備え、該旋回軸が、その両端に、一対のヨークを十字軸により連結した自在継手を有し、少なくともいずれか一方の自在継手が、十字軸に加わるラジアル荷重を受けるラジアル軸受けと、十字軸に加わるスラスト荷重を受けるスラスト軸受けとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るパラレルメカニズムによれば、パラレルメカニズムを構成する旋回軸の両端に設けられた自在継手の内、少なくともいずれか一方の自在継手が、十字軸に加わるラジアル荷重を受けるラジアル軸受けに加えて、十字軸に加わるスラスト荷重を受けるスラスト軸受けを有している。そのため、旋回軸が回転・屈曲しつつ高速に振り回される際に十字軸に加わるスラスト荷重をスラスト軸受けで受けることができる。すなわち、スラスト荷重によって引き起こされる十字軸の摩擦をスラスト軸受けで受けることができる。その結果、旋回軸に設けられる自在継手の磨耗を低減することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るパラレルメカニズムでは、上記十字軸が、複数のピンと、該複数のピンが十字状に嵌挿されるピン孔が形成されたコマとを有し、スラスト軸受けが、ヨークとコマとの間に配置されていることが好ましい。
【0010】
この場合、スラスト軸受けがヨークとコマとの間に配置されているため、十字軸(コマ)がスラスト荷重を受けながら摺動することで生じる、ピンとヨークとの間、又はコマとヨークとの間の磨耗を効果的に低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係るパラレルメカニズムでは、上記アクチュエータが電動モータであることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、エンドエフェクタ部を簡易かつ適切に回転制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自在継手が、十字軸に加わるラジアル荷重を受けるラジアル軸受けと、十字軸に加わるスラスト荷重を受けるスラスト軸受けとを有する構成としたので、パラレルメカニズムを構成する旋回軸に設けられる自在継手の磨耗を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1及び図2を併せて用いて、実施形態に係るパラレルメカニズムの全体構成について説明する。図1は、実施形態に係るパラレルメカニズム1の全体構成を示す斜視図である。また、図2は、図1中の矢印A1方向から見たパラレルメカニズム1を示す図である。
【0016】
パラレルメカニズム1は、上部にベース部2を有している。パラレルメカニズム1は、ベース部2の下面側に形成された平らな取付面2aが例えば水平な天井等に固定されることによって支持される。一方、ベース部2の下面側には、3つの支持部材3が設けられている。各支持部材3には、それぞれ電動モータ4が支持されている。電動モータ4は、モータ軸の軸線C2がベース部2の取付面2aに対して平行(すなわち水平)となるように支持されている。それぞれの支持部材3は、ベース部2の鉛直方向軸線C1を中心として等しい角度(120度)を開けて配置されており、各電動モータ4もまた、ベース部2の鉛直方向軸線C1を中心として等しい角度(120度)を開けて配置される(図2参照)。
【0017】
各電動モータ4の出力軸には、軸線C2に対して同軸に略六角柱形状のアーム支持部材5が固定されている。アーム支持部材5は、電動モータ4が駆動されることにより軸線C2を中心として回転する。なお、各電動モータ4は、モータドライバを含む電子制御装置(図示省略)に接続されており、電動モータ4の出力軸の回転がこの電子制御装置によって制御される。
【0018】
パラレルメカニズム1は、3本のアーム本体6を有しており、各アーム本体6は、第1アーム7及び第2アーム8を含んで構成される。第1アーム7は、例えばカーボンファイバー等で形成された長尺の中空円筒部材である。第1アーム7の基端部は、アーム支持部材5の側面に取り付けられている。第1アーム7は、その軸線が上述した軸線C2と直交するように固定される。
【0019】
第1アーム7の遊端部には、第2アーム8の基端部が連結され、第2アーム8が、第1アーム7の遊端部を中心として揺動できるように構成されている。第2アーム8は、一対の長尺のロッド9,9を含んで構成されており、一対のロッド9,9は、その長手方向において互いに平行となるように配置されている。ロッド9も、例えばカーボンファイバー等で形成された長尺の中空円筒部材である。各ロッド9の基端部は、第1アーム7の遊端部に、一対のボールジョイント10,10によって回転自在に連結されている。なお、各ロッド9の基端部における各ボールジョイント10,10の回転中心間を結ぶ軸線C3は、電動モータ4の軸線C2に対して平行となるよう配置されている。また、第2アーム8の基端部において一方のロッド9と他方のロッド9とが連結部材11で互いに連結されており、第2アーム8の遊端部において一方のロッド9と他方のロッド9とが連結部材12で互いに連結されている。連結部材11と連結部材12とは、異なる構造であっても構わないが同一構造であることが低コストの観点から好ましい。いずれの連結部材11,12も、各ロッド9が自身の長手方向に平行な軸線まわりに回転することを防止する機能を有する。
【0020】
また、パラレルメカニズム1は、エンドエフェクタ部(手先)13を回動可能に取り付けるためのブラケット14を有している。ブラケット14は、略正三角形状をした板状部材である。このブラケット14は、3本のアーム本体6によって、ブラケット14のエンドエフェクタ部13の取付面14a(図1におけるブラケット14の下面)がベース部2の取付面2aと平行(すなわち水平)になるように保持される。
【0021】
ブラケット14の各辺には取付片15が形成されている。各取付片15がそれぞれのアーム本体6の遊端部(第2アーム8を構成する一対のロッド9,9の遊端部)に連結されることで、ブラケット14は、各アーム本体6に対して、各アーム本体6の遊端部を中心として揺動する。詳しくは、ブラケット14の各取付片15の各端部が、対応する各ロッド9,9の遊端部に各ボールジョイント16,16によって連結される。なお、一対のボールジョイント16,16を結ぶ軸線C4(図2参照)も、電動モータ4の軸線C2に対して平行となる。このため、ブラケット14は、水平な軸線C4を中心として各アーム本体6に対して揺動することができる。そして、略正三角形状のブラケット14のすべての辺において、水平な軸線C4を中心として揺動できるように、ブラケット14が3本のアーム本体6によって支持されている。
【0022】
第1アーム7と第2アーム8との連結部における一対のボールジョイント10,10間の距離と、第2アーム8の各ロッド9とブラケット14との連結部における一対のボールジョイント16,16間の距離とは等しく設定されている。そのため、上述したように、第2アームを構成する一対のロッド9は、その長手方向の全長において互いに平行に配置される。軸線C2,C3,C4のいずれもが、ベース部2の取付面2aに平行であるから、第1アーム7、第2アーム8及びブラケット14がそれぞれ軸線C2,C3,C4を中心にどのように揺動したとしても、ブラケット14のエンドエフェクタ部13の取付面14aとベース部2の取付面2aとの平行関係が維持される。
【0023】
そして、電子制御装置からの指令に応じて、各電動モータ4の出力軸に固定されたアーム支持部材5の回転位置が制御されることで、各第1アーム7の遊端部の位置が制御される。この制御された各第1アーム7の遊端部の位置に、各第2アーム8の遊端部の位置が追従し、その結果、ブラケット14のエンドエフェクタ部13の取付面14aの位置が決まる。このとき、上述したように、ブラケット14は、水平姿勢を維持したまま移動する。
【0024】
また、パラレルメカニズム1は、その中央に鉛直方向に延びる旋回軸ロッド20と、この旋回軸ロッド20を回転するための電動モータ21とを有する。電動モータ21は、その軸出力を鉛直下方に向けた状態でベース部2に固定されている。旋回軸ロッド20の一端部は、自在継手(以下「ユニバーサルジョイント」という)22を介して電動モータ21の出力軸に連結されている。一方、旋回軸ロッド20の他端部は、ユニバーサルジョイント23を介してエンドエフェクタ部13に接続されている。旋回軸ロッド20は、ロッド20aとシリンダ20bとにより実現され、伸縮自在に構成されている。さらに、旋回軸ロッド20はボールスプラインであるため、ロッド20aの回転をシリンダ20bに伝達することが可能である。旋回軸ロッド20の両端部にユニバーサルジョイント22,23が採用されているため、ブラケット14が3つの電動モータ4の駆動により上下、前後左右の所定の位置に移動したとしても、旋回軸ロッド20は、その所定位置に追従して移動することができる。なお、電動モータ21も、上述した電子制御装置に接続されており、電動モータ21の出力軸の回転がこの電子制御装置により制御されることにより、エンドエフェクタ部13の回転位置が制御される。
【0025】
続いて、図3を参照して、旋回軸ロッド20の他端部に取り付けられているユニバーサルジョイント23の構造について説明する。ここで、図3は、パラレルメカニズム1に用いられるユニバーサルジョイント23の断面図である。なお、電動モータ21の出力軸と旋回軸ロッド20とを連結するユニバーサルジョイント22の構造と、旋回軸ロッド20とエンドエフェクタ部13とを連結するユニバーサルジョイント23の構造とは、同一であるので、ここでは、旋回軸ロッド20とエンドエフェクタ部13とを連結するユニバーサルジョイント23の構造について説明し、電動モータ21の出力軸と旋回軸ロッド20とを連結するユニバーサルジョイント22の構造については説明を省略する。
【0026】
ユニバーサルジョイント23は、旋回軸ロッド20及びエンドエフェクタ部13の相対向する軸端部それぞれに取り付けられる一対の二股状のヨーク(ドウ)24,25と、これらの中間に挿入され、一対のヨーク24,25を互いに直角に連結する十字軸(クロススパイダ)26とを含んで構成されている。
【0027】
十字軸26は、3本のピン27,28,29と、これら3本のピン27,28,29が十字状に嵌挿される4つのピン孔が形成された略立方体(正四角柱体)のコマ(十字コマ)30とを含んで構成されている。ここで、ピン27,28は、コマ30から片面のみに延びるハーフピンであり、ピン29は、コマ30を貫通して両面に延びるストレートピンである。コマ30は、一平面内の互いに直角な4方向、すなわち4つの側面中央にピン孔が形成されており、これらのピン孔に上述したハーフピン27,28及びストレートピン29が嵌挿される。
【0028】
一方、ヨーク24,25の二股部分には円孔がそれぞれ形成されており、各円孔に十字軸26を構成するピン27,28,29が回動可能に嵌め込まれることにより、十字軸26と一対のヨーク24,25とが連結される。このように、一対のヨーク24,25を互いに直角方向になるようにコマ30の両側に配置し、コマ30のピン孔にピン27,28,29を嵌挿してヨーク24,25をコマ30(十字軸26)に連結すれば、ヨーク24,25は各ピンで構成される直行軸に対してそれぞれ自由に回転できるため、駆動軸(旋回軸ロッド20)と被駆動軸(エンドエフェクタ部13)との折れ曲がりを許容しつつ、ヨーク24とヨーク25との間で回転力を伝達することができる。
【0029】
ピン27,28,29に対するヨーク24,25の回転を円滑にするため、ヨーク24,25の円孔の直径がピン27,28,29の直径と同じか若干大きく形成されるとともに、ヨーク24,25の円孔とピン27,28,29との間にニードルベアリング31,32が挿入されている。ニードルベアリング31,32は、十字軸26を構成するピン27,28,29の径方向の荷重(ラジアル荷重)を受けるラジアル軸受けである。なお、図3は、ハーフピン27,28の中心軸を含み、ストレートピン29の中心軸に垂直な平面で切断したときの断面図であり、ヨーク25とストレートピン29との間に挿入されるニードルベアリングは図示されていないが、ニードルベアリング31,32と同様に挿入されている。
【0030】
また、ヨーク24,25とコマ30との間(かつニードルベアリング31,32とコマ30との間)には、十字軸26を構成するピン27,28,29の軸方向の荷重(スラスト荷重)を受けるスラストベアリング(スラスト軸受け)33,34が挿入されている。なお、上述したように図3は、ハーフピン27,28の中心軸を含み、ストレートピン29の中心軸に垂直な平面で切断したときの断面図であり、ヨーク25とコマ30との間に挿入されるスラストベアリングは図示されていないが、スラストベアリング33,34と同様に挿入されている。スラストベアリング33,34としては、例えば、一対の鉄製のワッシャ状部材の間に鋼球を挟み込んだもの等が好適に用いられる。この場合、一対のワッシャの間に油が注入されているものが好ましい。ただし、スラストベアリング33,34の形式、形状、大きさ、及び材質等は、例えばPV値、すなわちP(軸受け面圧)とV(軸の周速(=回転数×軸径))との乗算値に基づいて決定することが好ましい。
【0031】
ここで、スラストベアリング33,34の形式としては、例えば、すべり軸受け、及び玉軸受け等を挙げることができる。また、スラストベアリング33,34の材質としては、鉄、ステンレス等の金属他、例えばPOM(ポリアセタール)等の自己潤滑性樹脂を用いることもできる。例えば、旋回軸ロッド20(又はエンドエフェクタ部13)の振れ幅が大きい場合には、金属製のスラストベアリングを用い、振れ幅が小さいときには樹脂製のスラストベアリングを採用することもできる。
【0032】
以上の構成において、パラレルメカニズム1を構成するアーム本体6、及び旋回軸ロッド20が駆動され、ユニバーサルジョイント23が回転・屈曲しつつ振られた場合、十字軸26に対して、ラジアル方向(ピン27,28,29の径方向)の荷重に加え、図3中に矢印A2,A3で示されるスラスト方向(ピン27,28,29の軸方向)の荷重が付与される。その際に、十字軸26に付与されるスラスト荷重は、ヨーク24,25とコマ30との間に挿入されたスラストベアリング33,34によって受けられる。なお、十字軸26に付与されるラジアル荷重はニードルベアリング31,32によって受けられる。
【0033】
本実施形態によれば、パラレルメカニズム1を構成する旋回軸ロッド20の両端に設けられたユニバーサルジョイント22,23が、ラジアル荷重を受けるニードルベアリング31,32に加えて、スラスト荷重を受けるスラストベアリング33,34を有している。そのため、回転・屈曲しつつ高速に振り回される際に十字軸26に加えられるスラスト荷重をスラストベアリング33,34で受けることができる。すなわち、スラスト荷重によって引き起こされるコマ30とヨーク24,25の摩擦をスラストベアリング33,34で受けることができる。その結果、旋回軸ロッド20に設けられるユニバーサルジョイント22,23の磨耗を低減することが可能となる。
【0034】
特に、本実施形態では、スラストベアリング33,34がヨーク24,25とコマ30との間に配置されているため、コマ30がスラスト荷重を受けながら摺動することで生じる、コマ30とヨーク24,25との間の磨耗を効果的に低減することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態によれば、ヨーク24,25とコマ30との間にスラストベアリング33,34を挿入して遊びを減少するにより、バックラッシュを低減することが可能となる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、十字軸26が、コマ30と、2本のハーフピン27,28と、1本のストレートピン29とで構成されていたが、十字軸をコマと4本のハーフピンとで構成してもよい。また、上記実施形態では、3本のピン27,28,29がコマ30のピン孔に嵌挿されていたが、ピン孔に螺子止めする構成とすることもできる。さらに、コマとピンとが一体で形成された十字軸を用いてもよい。
【0037】
上記実施形態では、電動モータ21の出力軸と旋回軸ロッド20とを連結するユニバーサルジョイント22にも、旋回軸ロッド20とエンドエフェクタ部13とを連結するユニバーサルジョイント23にも、スラストベアリング33,34を備えるタイプのものを用いたが、いずれか一方のユニバーサルジョイントに、本実施形態に係るユニバーサルジョイント22,23に代えて、スラストベアリングを有しない従来から用いられているユニバーサルジョイントを使用する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施形態に係るパラレルメカニズムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1中の矢印A1方向から見たパラレルメカニズムを示す図である。
【図3】実施形態に係るパラレルメカニズムに用いられる自在継手の断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 パラレルメカニズム
2 ベース部
3 支持部材
4,21 電動モータ
5 アーム支持部材
6 アーム本体
7 第1アーム
8 第2アーム
9 ロッド
10,16 ボールジョイント
11,12 連結部材
13 エンドエフェクタ部
14 ブラケット
15 取付片
20 旋回軸ロッド
22,23 ユニバーサルジョイント
24,25 ヨーク
26 十字軸
27,28, ハーフピン
29 ストレートピン
30 コマ
31,32 ニードルベアリング
33,34 スラストベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクを介してベース部とエンドエフェクタ部とが並列に連結されたパラレルメカニズムにおいて、
前記ベース部に取り付けられたアクチュエータに一端が接続され、他端が前記エンドエフェクタ部に接続され、前記アクチュエータの駆動力を前記エンドエフェクタ部に伝達する旋回軸を備え、
前記旋回軸は、その両端に、一対のヨークを十字軸により連結した自在継手を有し、
少なくともいずれか一方の前記自在継手は、
前記十字軸に加わるラジアル荷重を受けるラジアル軸受けと、
前記十字軸に加わるスラスト荷重を受けるスラスト軸受けと、を有することを特徴とするパラレルメカニズム。
【請求項2】
前記十字軸は、複数のピンと、該複数のピンが十字状に嵌挿されるピン孔が形成されたコマとを有し、
前記スラスト軸受けは、前記ヨークと前記コマとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパラレルメカニズム。
【請求項3】
前記アクチュエータは電動モータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパラレルメカニズム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−248286(P2009−248286A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102965(P2008−102965)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】