説明

ヒンジモジュール及び電子機器

【課題】防水性を確保しつつ、複数の回転動作を実現することができるヒンジモジュールを提供する。
【解決手段】ヒンジモジュール1は、第1のケース102に装着される第1のブラケット2と第2のケース103に装着される第2のブラケット3を有する。ヒンジモジュール1は、第1の回転軸ax1及び第2の回転軸ax2で第1のケース102を第2のケース103に対し回転させる。ヒンジモジュール1は、各ケース102、103内に配置された電子部品104、105を電気的に接続するケーブル4を収納する防水チューブ5を有する。防水チューブ5は、一端部を第1のケース102に接続し、他端部を第2のケース103に接続する。ヒンジモジュール1は、第1の回転軸ax1と同一軸上で防水チューブ5の一部を収納する第1の軸部材6と、第2の回転軸ax2と同一軸上で防水チューブ5を収納する第2の軸部材7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジモジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器、例えば、携帯電話機において、表示部を有する第1のケースと、キー入力部を有する第2のケースとをヒンジ部によって回転可能に連結した構成が実用化されている。このような携帯電話は、例えば、前記ヒンジ部を中心に、第1、第2のケースを回転させ、互いに重ね合わせて携帯し、また、第1、第2のケースを回転させて展開し、互いに開いた形で使用するように構成されている。
【0003】
このような電子機器は、その使用環境に対応すべく防水性を備えていることが望ましく、第1のケースと第2のケースとを連結するヒンジ構造にも、防水性が求められる。
【0004】
防水性を備えたヒンジ構造として、以下のような構造が知られている。例えば、第1のケースと第2のケースとを回転可能に連結するヒンジ部と、このヒンジ部の内部を通して前記第1のケース内の電子回路と前記第2のケース内の電子回路とを電気的に接続する接続配線と、前記ヒンジ部の内部に配置されて前記接続配線が内部に挿入され、この状態で一端部が前記第1のケースの取付孔にその内部に開放されて密着固定されると共に、他端部が前記第2のケースの取付孔にその内部に開放されて密着固定された防水チューブとを備えたヒンジ構造が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
このようなヒンジ構造は、第1のケースと第2のケースとを回転可能に連結するヒンジ部の内部に接続配線を挿入する際、この接続配線が挿入される防水チューブの一端部が第1のケースの取付孔に密着固定される。また、この防水チューブの他端部が第2のケースの取付孔に密着固定される。これにより、ヒンジ部内に水が侵入しても、防水チューブによって第1、第2のケース内への水の侵入が防がれ、これにより防水性が確保されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−325849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近時の電子機器には、第1のケースと第2のケースとの位置関係が多様に変化するものが登場している。第1のケースと第2のケースとの位置関係を多様に変化させる場合、回転軸の数が増加する。
【0008】
しかしながら、前記従来のヒンジ構造は、一の回転軸しか設定されておらず、一種類の回転動作しか実現することができない。また、前記従来のヒンジ構造では、第1のケースに設けられた防水チューブの取付孔と第2のケースに設けられた防水チューブの取付孔を、第1のケース、第2のケースの幅方向にずらして設けている。このため、例えば、第1のケースを第2のケースに対して回転させる回転軸を設定しようとすると、最低でも取付孔をずらした距離分の回転半径が設定されることになり、装置の小型化には不利である。
これらの理由により、前記従来のヒンジ構造は、第1のケース、第2のケースを回転させて互いに重ね合わせ、又は、展開して互いに開いた形態とする回転動作以外の動作をする電子機器に適用することは困難であった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、防水性を確保しつつ、複数の回転動作を実現することができるヒンジモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本明細書開示のヒンジモジュールは、第1のケースと第2ケースとを有する電子機器に搭載され、前記第1のケースに装着される第1のブラケットと前記第2のケースに装着される第2のブラケットとを有し、第1の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるとともに、該第1の回転軸とは異なる第2の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるヒンジモジュールであって、前記第1のケース内に配置された電子部品と、前記第2のケース内に配置された電子部品とを電気的に接続するケーブルを収納するとともに、一端部を前記第1のケースに接続するとともに、他端部を前記第2のケースに接続する防水チューブと、前記第1の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの一部を収納する第1の軸部材と、前記第2の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの当該一部を除く他の部分を収納する第2の軸部材と、前記防水チューブの端部に前記第1のケース又は前記第2のケースへ取り付けられる接続部と、を有し、前記接続部は、接続部材を有し、当該接続部材は、前記防水チューブが嵌め込まれる筒状部と、前記第1のケース又は前記第2のケースに設けられたケーブル挿入口に嵌め込まれるシール部とを有することを特徴としている。
【0011】
このようなヒンジモジュールとすることにより、防水性を確保しつつ、複数の回転動作が実現される。
【0012】
すなわち、防水チューブ内にケーブルを収納し、防水チューブによってケーブルを覆うことにより、ケーブルが水分に曝されることを抑制することができる。これにより、水分がケーブルを伝わって第1のケース内及び第2のケース内に浸入することを抑制することができる。
【0013】
また、第1の軸部材、第2の軸部材を備えることにより、複数の回転動作が実現される。このとき、第1の軸部材が第1の回転軸と同一軸上で防水チューブを収納し、第2の軸部材が第2の回転軸と同一軸上で防水チューブを収納することによって防水チューブが保護され、その破損が抑制される。これにより、防水性が維持される。
【発明の効果】
【0014】
本明細書開示のヒンジモジュールは、防水性を確保しつつ、複数の回転動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ヒンジモジュールの正面図である。
【図2】図2は、ヒンジモジュールの6面図であり、図2(A)は正面図、図2(B)は右側面図、図2(C)は左側面図、図2(D)は平面図、図2(E)は底面図、図2(F)は背面図である。
【図3】図3は、ヒンジモジュールを分解した状態を示す説明図である。
【図4】図4は、第1のブラケットが第2のブラケットに対し、第1の回転軸ax1で回転する様子を示す説明図である。
【図5】図5は、第2の回転軸ax2で第2のブラケットが回転する様子を示す説明図である。
【図6】図6は、同じく第2の回転軸ax2で第2のブラケットが回転する様子を示す説明図である。
【図7】図7は、携帯電話機に搭載したヒンジモジュールの周辺を模式的に示した説明図である。
【図8】図8は、同じく携帯電話機に搭載したヒンジモジュールの周辺を模式的に示した説明図である。
【図9】図9は、ヒンジモジュールを搭載した携帯電話機の外観図である。
【図10】図10は、同じくヒンジモジュールを搭載した携帯電話機の外観図である。
【図11】図11は、防水チューブの接続部の周辺を拡大して示した説明図である。
【図12】図12は、接続部材の3面図であり、図12(A)は正面図、図12(B)は平面図、図12(C)は底面図である。
【図13】図13は、防水チューブの接続部が第1のケースに設けられたケーブル挿入口に接続される様子を示した模式図である。
【図14】第1のケース側に設けた筒状部に防水チューブを差し込み、防水チューブを第1のケースに防水チューブを接続する例を示模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。
【実施例】
【0017】
図1は、ヒンジモジュール1の正面図である。図2は、防水チューブ5を省略したヒンジモジュール1の6面図である。図2(A)は正面図、図2(B)は右側面図、図2(C)は左側面図、図2(D)は平面図、図2(E)は底面図、図2(F)は背面図である。
また、図3は、ヒンジモジュール1を分解した状態を示す説明図である。図4は、第1のブラケット2が第2のブラケット3に対し、第1の回転軸ax1で回転する様子を示す説明図である。図5及び図6は、第2の回転軸ax2で第2のブラケット3が回転する様子を示す説明図である。図7及び図8は、携帯電話機101に搭載したヒンジモジュール1の周辺を模式的に示した説明図である。また、図9及び図10は、ヒンジモジュール1を搭載した携帯電話機101の外観図である。
【0018】
まず、ヒンジモジュール1の概略構成について説明し、次いで、ヒンジモジュール1の各部を詳細に説明する。
ヒンジモジュール1は、電子機器の一例である携帯電話機101に搭載される。携帯電話機101は、図7乃至図10に示すように第1のケース102と第2のケース103とを有している。
【0019】
ヒンジモジュール1は、防水性を有する第1のケース102に装着される第1のブラケット2と同じく防水性を有する第2のケース103に装着される第2のブラケット3を有している。また、ヒンジモジュール1は、第1のケース102内に配置された電子部品104と、第2のケース103内に配置された電子部品105とを電気的に接続するケーブル4を収納するシリコン製の防水チューブ5を有している。なお、防水チューブ5は、防水性を確保することができる材質を有するものであれば、他の素材を採用することもできる。防水チューブ5は柔軟性を有していることが好ましい。
【0020】
防水チューブ5の一端部5aは、第1のケース102に接続され、他端部5bは第2のケース103に接続される。これにより、携帯電話機101の防水性が維持される。
【0021】
ヒンジモジュール1は、携帯電話機101に搭載されたときに、図9及び図10に示すように第1の回転軸ax1で第1のケース102を第2のケース103に対し回転させることができる。また、第2の回転軸ax2で第1のケース102を第2のケース103に対し回転させることができる。ここで、回転には、正回転と逆回転が含まれる。
【0022】
ヒンジモジュール1は、第1の回転軸ax1と同一軸上で防水チューブ5を収納する第1の軸部材6を有している。この第1の軸部材6は、第1の回転軸ax1で第1のブラケット2を第2のブラケット3に対し回転させる。ヒンジモジュール1は、また、第2の回転軸ax2と同一軸上で防水チューブ5を収納する第2の軸部材7を有している。この第2の軸部材7は、第2の回転軸ax2で第2のブラケット3を第1のブラケット2とともに回転させる。ヒンジモジュール1は、さらに、第2の回転軸ax2で第2のブラケット3を回転させる第3の軸部材8を有している。
【0023】
第1のブラケット2は、第1の軸部材6が装着される装着孔2a1が穿設された板状のセンター部2aを有している。また、第1のケース102に取り付けるためのネジ孔2b1が穿設された板状の取付部2bを有している。取付部2bは、センター部2aの両側に鍔状に張り出すように連設されている。装着孔2a1は、第1のブラケット2の中心部に位置している。センター部2aの平滑面と取付部2bの平滑面とは90°の角度を有している。
【0024】
第2のブラケット3は、図3に示すように正面視においてコ字状をなすように、板状のセンター部3aを有するとともに、その両側に連設された側板3b、3cを有している。センター部3aには、第1の軸部材6が回転可能に装着される装着孔3a1が穿設されている。側板3bには第2の軸部材7を装着する装着孔3b1が設けられている。側板3cには、第3の軸部材8が装着される装着孔3c1が設けられている。
【0025】
第1の軸部材6は、図3に示すように一端側が第1のブラケット2のセンター部2aに設けられた装着孔2a1に嵌め込まれ、カシメられることによって第1のブラケット2に固定される。そして、他端側が第2のブラケット3に回転可能に装着される。これにより、第1のブラケット2は、第2のブラケット3に対し、第1の回転軸ax1で回転可能となる。なお、第1の軸部材6は、第2のブラケット3に固定され、第1のブラケット2に回転可能に装着することもできる。
【0026】
第1の軸部材6は、中空の筒状体であり、内部に防水チューブ5の一部を収納する。第1の軸部材6内に収納された防水チューブ5は、第1の軸部材6に保護されるため、破損のおそれが低減される。また、第1の軸部材6の中心軸は、第1の回転軸ax1と一致させられている。防水チューブ5は、このような第1の回転軸ax1と同一軸上で第1の軸部材6に収納されている。このため、第1のブラケット2が回転しても、防水チューブ5は捩じられることがない。この点においても、防水チューブ5の破損のおそれが低減されている。
【0027】
第2の軸部材7は、第2のブラケット3が有する側板3bに設けられた装着孔3b1に装着され、第2のブラケット3を回転可能とする。第2の軸部材7の側方には、第2のブラケット3を第2のケース103に取り付けるための取付部9が設けられている。取付部9にはネジ孔9aが設けられている。なお、第2の軸部材7は、第1のブラケット2に装着して第1のブラケット2を回転可能な状態とすることもできる。
【0028】
第2の軸部材7は、中空の筒状体であり、内部に防水チューブ5の一部を収納する。なお、第2の軸部材7に収納されるのは第1の軸部材6に収納される部分とは異なる部分である。
第2の軸部材7内に収納された防水チューブ5は、第2の軸部材7に保護されるため、破損のおそれが低減される。また、第2の軸部材7の中心軸は、第2の回転軸ax2と一致させられている。防水チューブ5は、このような第2の回転軸ax2と同一軸上で第2の軸部材7に収納されている。このため、第2のブラケット3が回転しても、防水チューブ5は捩じられることがない。この点でも、防水チューブ5の破損のおそれが低減されている。
【0029】
第2のブラケット3には、第3の軸部材8が設けられている。第3の軸部材8は、第2のブラケット3が有する側板3cに設けられた装着孔3c1に装着され、第2のブラケット3を回転可能とする。第3の軸部材8の側方には、第2のブラケット3を第2のケース103に取り付けるための取付部10が設けられている。取付部10にはネジ孔10aが設けられている。第2のブラケット3は、取付部9と取付部10とによって第2のケース103に安定して取り付けられ、第2の回転軸ax2での安定した回転を実現することができる。
【0030】
防水チューブ5の一端側には第1のケース102への接続部5aが設けられ、他端側には第2のケース103への接続部5bが設けられている。図11は、接続部5aの周辺を拡大して示した説明図である。接続部5aは、防水チューブ5の先端に接続部材11を装着することによって設けられている。図12は、接続部材11の3面図であり、図12(A)は正面図、図12(B)は平面図、図12(C)は底面図である。接続部材11はプラスチック製の本体部12と、この本体部12に装着されたゴム製のOリング13を有している。
接続部材11は、防水チューブ5の先端が被せられて嵌め込まれる筒状部11aを有している。また、第1のケース102に設けられたケーブル挿入口102cに嵌め込まれるシール部11bを有している。図13は、接続部5aが第1のケース102に設けられたケーブル挿入口102aに接続される様子を示した模式図である。接続部5aは、シール部11bがケーブル挿入口102aに嵌め込まれることによって第1のケース102に接続される。
【0031】
筒状部11aは、先端部11a1と基端部11a2とで異なる直径を有している。すなわち、先端部11a1の直径と比較して基端部11a2の直径は拡大されている。このように先端部11a1の直径を細くすることにより防水チューブ5の接続を容易にし、基端部11b2の直径を拡大することにより防水チューブ5の強固な接続状体を実現することができる。
【0032】
シール部11bは、本体部12に設けられた溝部12aにゴム製のOリング13を嵌め込むことによって設けられている。なお、Oリング13の素材はゴム製に限定されるものでなく、シール性を確保することができる他の素材であってもよい。また、Oリング13の装着に代えて、溝部12aに相当する位置に周状に凸部を設け、この凸部をケーブル挿入口102cに嵌め込む構成とすることもできる。
【0033】
接続部5bにも接続部5aと同様の接続部材11が装着される。そして、第2のケース103に設けたケーブル挿入口103cに嵌め込まれる。接続部5bの第2のケース103への接続は、接続部5aの第1のケース102への接続と共通するので、その詳細な説明は省略する。
【0034】
このように、本実施例のヒンジモジュール1は、ケース102、103内に配置された電子部品104、105に電気的に接続されるケーブル4を収納する防水チューブ5を備える。そして、防水チューブ5に設けられた接続部材11を有するケーブルの防水接続構造を備えている。
【0035】
以上のようなヒンジモジュール1において、第1の軸部材6と第2の軸部材7とは第1に回転軸ax1と第2の回転軸ax2とが直交するように配置されている。このようなヒンジモジュール1は、図4に示すように、第1の回転軸ax1で第1のブラケット2を第2のブラケット3に対して回転させることができる。この回転動作は、第1のブラケット2が第2のブラケット3に対してあたかも首を振るような回転動作である。ヒンジモジュール1は、図5及び図6に示すように第2の回転軸ax2で第1のブラケット2を第2のブラケット3に対し回転させることができる。この回転動作は、第1のブラケット2が第2のブラケット3に対してあたかも折れ曲がるような回転動作である。
【0036】
このようなヒンジモジュール1は、第1のケース102と第2のケース103との結合に用いられる。
【0037】
第1のケース102は、携帯電話機101の情報表示部を形成するもので、液晶表示面102aを有している。第1のケース102は、液晶表示面102aの背面側にカバー面102bを有している。そして、ケース自体に防水加工が施されている。そして、第1のケース102の内部には、電子部品104が配置されている。また、第1のケース102は、ケーブル挿入口102cを有しており、このケーブル挿入口102cから内部にケーブル4が引き込まれている。この際、ケーブル4は、防水チューブ5内に収納され、前記のようにケーブル挿入口102cにシール部11bが嵌め込まれ、防水性が確保されている。ケーブル挿入口102cから第1のケース102内に引き込まれたケーブル4は、その先端に設けられたコネクタ4aを介して電子部品104に接続されている。
【0038】
このような第1のケース102には、ヒンジモジュール1が有する第1のブラケット2が取り付けられる。第1のブラケット2の第1のケース102への取り付けは、取付部2bを介して行われる。
【0039】
第2のケース103は、携帯電話機101の主要な操作を行うため操作部を形成するもので、各種操作ボタンが配置された操作ボタン面103aを有している。第2のケース103は、ケース自体に防水加工が施されている。そして、第2のケース103の内部には、電子部品105が配置されている。また、第2のケース103は、ケーブル挿入口103cを有しており、このケーブル挿入口103cから内部にケーブル4が引き込まれている。この際、ケーブル4は、防水チューブ5内に収納され、前記のようにケーブル挿入口103cにシール部11bが嵌め込まれ、防水性が確保されている。ケーブル挿入口103cから第2のケース103内に引き込まれたケーブル4は、その先端に設けられたコネクタ4bを介して電子部品105に接続されている。
【0040】
このような第2のケース103には、ヒンジモジュール1が有する第2のブラケット3が取り付けられる。第2のブラケット3の第2のケース103への取り付けは、取付部9及び10を介して行われる。
【0041】
以上のようにヒンジモジュール1を介して第1のケース2と第2のケース3とが結合された携帯電話機101は、図9及び図10に示すように複数の回転動作を実現している。すなわち、図中、矢示31で示すように第1の回転軸ax1で第1のケース102を第2のケース103に対して回転させることができる。この回転動作により、第1のケース102は、図9に示す液晶表示面102aが操作ボタン面103aと同じ側を向いた状態から、図10に示すカバー面102bが操作ボタン面103aと同じ側を向いた状態とすることができる。
【0042】
また、携帯電話機101は、図中、矢示32で示すように第2の回転軸ax2で第1のケース102を第2のケース103に対して回転させることができる。この回転動作により、第1のケース102と第2のケース103とを開いた状態、すなわち、第2のケース103が有する操作ボタン面103aが現れるように展開された状態とすることができる。また、第1のケース102と第2のケース103とが重ね合わされた状態とすることができる。このとき、第1の回転軸ax1での回転動作を組み合わせることにより、液晶表示面102aが外側に露出すように第1のケース102を重ね合わせたり、カバー面102bが外側にくるように重ね合わせたりすることができる。
【0043】
携帯電話機101は、このような単独の、又は、複合的な回転動作をする場合であっても、ケーブル4は、防水チューブ5内に収納されているので、ケーブル4を伝わって各ケース内に水分が流入することを抑制することができる。防水チューブ5は、第1の軸部材6内、第2の軸部材7内に収納されているので、回転動作中のストレスが緩和されており、破損のおそれが軽減されている。
【0044】
また、第1のケース102、第2のケース103への防水チューブ5の装着に接続部材11が用いられたことにより、防水性が確保されている。なお、接続部材11が採用されたことにより、防水チューブ5の装着作業が容易となっている。すなわち、防水チューブ5の装着作業時に、接続部材11を摘むことができるのでその装着作業が容易となる。ただし、接続部材11を用いることなく防水チューブ5を第1のケース102、第2のケース103へ装着することもできる。すなわち、図14に示すように、第1のケース102側に筒状部102c1を設け、この筒状部102c1に防水チューブ5の先端部を被冠させるように差し込むことによって装着することもできる。このように接続部材11を用いることなく防水チューブ5の接続を行うこともできる。
【0045】
以上のように、本実施例のヒンジモジュール1を用いることにより、携帯電話機101の防水性を確保し、維持することができる。
【0046】
また、本実施例のヒンジモジュール1を用いることにより、さらに、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、防水性維持と同時に防塵性も確保することができる。
また、ヒンジをモジュール化することにより、組立性の向上を図ることができる。モジュール化する際にケーブル4をモジュールに含めることにより携帯電話機101のさらなる組立性の向上が図られる。さらにケーブル4自体が防水チューブ5内に収納された形で第1の軸部材6、第2の軸部材7内に収納される。このため、ケーブル4の通過経路が安定して確保され、ケーブル4はむやみに捩じられたり、圧縮されたりすることがないので安定した信号特性を得ることができる。
また、ケーブル4は第1の回転軸ax1、第2の回転軸ax2と同一軸上で防水チューブ5に収納されることになる。このため、ケーブル4がヒンジモジュール1の第1の回転軸ax1での回転、第2の回転軸ax2での回転を阻害することがなく、ヒンジモジュール1の小型化、ひいては、電子機器の小型化を図ることができる。
【0047】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。例えば、上記実施例では、電子機器の一例として、携帯電話機の例について説明したが、第1のケースと第2のケースを有する他の携帯端末装置に本明細書開示のヒンジモジュールを適用することができる。
【0048】
(付記)
(付記1) 第1のケースと第2ケースとを有する電子機器に搭載され、前記第1のケースに装着される第1のブラケットと前記第2のケースに装着される第2のブラケットとを有し、第1の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるとともに、該第1の回転軸とは異なる第2の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるヒンジモジュールであって、
前記第1のケース内に配置された電子部品と、前記第2のケース内に配置された電子部品とを電気的に接続するケーブルを収納するとともに、一端部を前記第1のケースに接続するとともに、他端部を前記第2のケースに接続する防水チューブと、
前記第1の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの一部を収納する第1の軸部材と、
前記第2の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの当該一部を除く他の部分を収納する第2の軸部材と、
を有することを特徴とするヒンジモジュール。
【0049】
(付記2) 前記第1の軸部材は、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれか一方に固定され、他方に回転可能に装着されたことを特徴とする付記1記載のヒンジモジュール。
【0050】
(付記3) 前記第2の軸部材は、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれかに装着され、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれかを回転可能とすることを特徴とした付記1又は2記載のヒンジモジュール。
【0051】
(付記4) 前記防水チューブの端部に前記第1のケース又は前記第2のケースへ取り付けられる接続部が設けられたことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載のヒンジモジュール。
【0052】
(付記5) 前記接続部は、接続部材を有し、当該接続部材は、前記防水チューブが嵌め込まれる筒状部と、前記第1のケース又は前記第2のケースに設けられたケーブル挿入口に嵌め込まれるシール部とを有することを特徴とした付記4記載のヒンジモジュール。
【0053】
(付記6) 前記第1の軸部材と、前記第2の軸部材とは、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸とが直交するように配置されたことを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載のヒンジモジュール。
【0054】
(付記7) 第1のケースと、
第2のケースと、
該第1のケースに対し該第2のケースを第1の回転軸及び該第1の回転軸とは異なる第2の回転軸で回転可能に連結するヒンジモジュールと、
を備え、
該ヒンジモジュールは、前記第1のケースに装着される第1のブラケットと前記第2のケースに装着される第2のブラケットと、前記第1のケース内に配置された電子部品と前記第2のケース内に配置された電子部品とを電気的に接続するケーブルを収納する防水チューブと、
前記第1の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの一部を収納する第1の軸部材と、
前記第2の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの当該一部を除く他の部分を収納する第2の軸部材と、
を有することを特徴とする電子機器。
【0055】
(付記8) 前記接続部は、接続部材を有し、当該接続部材は、前記防水チューブが嵌め込まれる筒状部と、前記第1のケース又は前記第2のケースに設けられたケーブル挿入口に嵌め込まれるシール部とを有することを特徴とした付記7記載の電子機器。
【符号の説明】
【0056】
1…ヒンジモジュール 2…第1のブラケット
2b,9,10…取付部 3…第2のブラケット
4…ケーブル 5…防水チューブ
6…第1の軸部材 7…第2の軸部材
8…第3の軸部材 11…接続部材
11a…筒状部 11b…シール部
101…携帯電話機 102…第1のケース
102…第2のケース 104,105…電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケースと第2ケースとを有する電子機器に搭載され、前記第1のケースに装着される第1のブラケットと前記第2のケースに装着される第2のブラケットとを有し、第1の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるとともに、該第1の回転軸とは異なる第2の回転軸で前記第1のケースを前記第2のケースに対し回転させるヒンジモジュールであって、
前記第1のケース内に配置された電子部品と、前記第2のケース内に配置された電子部品とを電気的に接続するケーブルを収納するとともに、一端部を前記第1のケースに接続するとともに、他端部を前記第2のケースに接続する防水チューブと、
前記第1の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの一部を収納する第1の軸部材と、
前記第2の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの当該一部を除く他の部分を収納する第2の軸部材と、
前記防水チューブの端部に前記第1のケース又は前記第2のケースへ取り付けられる接続部と、を有し、
前記接続部は、接続部材を有し、当該接続部材は、前記防水チューブが嵌め込まれる筒状部と、前記第1のケース又は前記第2のケースに設けられたケーブル挿入口に嵌め込まれるシール部とを有することを特徴としたヒンジモジュール。
【請求項2】
前記第1の軸部材は、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれか一方に固定され、他方に回転可能に装着されたことを特徴とする請求項1記載のヒンジモジュール。
【請求項3】
前記第2の軸部材は、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれかに装着され、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットのいずれかを回転可能とすることを特徴とした請求項1または2記載のヒンジモジュール。
【請求項4】
前記第1の軸部材と、前記第2の軸部材とは、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸とが直交するように配置されたことを特徴とする請求項付記1乃至3のいずれか1項に記載のヒンジモジュール。
【請求項5】
第1のケースと、
第2のケースと、
該第1のケースに対し該第2のケースを第1の回転軸及び該第1の回転軸とは異なる第2の回転軸で回転可能に連結するヒンジモジュールと、
を備え、
該ヒンジモジュールは、前記第1のケースに装着される第1のブラケットと前記第2のケースに装着される第2のブラケットと、前記第1のケース内に配置された電子部品と前記第2のケース内に配置された電子部品とを電気的に接続するケーブルを収納する防水チューブと、
前記第1の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの一部を収納する第1の軸部材と、
前記第2の回転軸と同一軸上で前記防水チューブの当該一部を除く他の部分を収納する第2の軸部材と、
前記防水チューブの端部に前記第1のケース又は前記第2のケースへ取り付けられる接続部と、を有し、
前記接続部は、接続部材を有し、当該接続部材は、前記防水チューブが嵌め込まれる筒状部と、前記第1のケース又は前記第2のケースに設けられたケーブル挿入口に嵌め込まれるシール部とを有することを特徴とした電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−71464(P2010−71464A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185238(P2009−185238)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【分割の表示】特願2008−237342(P2008−237342)の分割
【原出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】