説明

ヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法

【課題】銀イオン発生装置を浴槽への湯張り経路上に設置することで汚れが付着することを極力抑えてメンテナンス性を向上させるとともに、貯湯タンクに不要な加工を施すことなく湯保温回路を構成したヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法を提供する。
【解決手段】圧縮機11、水熱交換器12、膨張弁13、空気熱交換器14を順次配管接続したヒートポンプユニット10と、水熱交換器12で生成された高温水を貯留する貯湯タンク31と、高温水と水とが風呂用混合栓33にて混合されホッパー34を介して供給される浴槽50と、浴槽50の湯を循環させる風呂循環ポンプ41と、湯と高温水との間で熱交換を行う風呂熱交換器42と、から構成される湯保温回路40と、ホッパー34と浴槽50との間に設けられる銀イオン発生装置35と、ヒートポンプユニット10及び銀イオン発生装置35を制御する制御部60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に給湯された湯の浄化、殺菌のために銀イオン発生装置を利用することが行われている。銀イオン発生装置の設置の仕方は様々であるが、例えば、浴槽内に直接設置する、或いは、湯の保温、追い焚きのための循環回路内に設置する等が挙げられる。
【0003】
また、銀イオン発生装置を組み込み、浴槽への給湯路と浴槽内の湯を保温、追い焚きする湯保温回路の一部とを共通に構成した貯湯式給湯装置も以下の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−183911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、銀イオン発生装置を浴槽内に直接設置する、或いは、循環回路内に設置する方法では、使用中、使用後の湯に直接触れる場所に銀イオン発生装置が設置されることになるため、銀イオン発生装置に汚れが付着することが多くなる。この汚れが付着した状態を避けるためには、頻繁にメンテナンスを行わなければならないという煩雑さが生ずる。
【0006】
また、上述の特許文献1に開示された貯湯式給湯装置においては、湯保温回路を構成する戻り路が直接貯湯タンク内に引き込まれている。但し、この構成は、貯湯タンクの中上部に戻り路を貫通させる孔を設けなければならず、貯湯タンクの密閉性を低下させることにもなる。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、銀イオン発生装置を浴槽への湯張り経路上に設置することで汚れが付着することを極力抑えるとともにメンテナンス性を向上させるとともに、貯湯タンクに不要な加工を施すことなく湯保温回路を構成したヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、ヒートポンプ給湯システムにおいて、圧縮機、水と冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器、膨張弁、冷媒と空気との間で熱交換を行う空気熱交換器を順次配管接続したヒートポンプユニットと、水熱交換器の水回路に連結され水熱交換器で生成された高温水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンク内の高温水と水とが風呂用混合栓にて混合され、給水弁と排水弁と逆止弁およびフローセンサからなるホッパーを介して供給される浴槽と、浴槽の湯を循環させる風呂循環ポンプと、湯と貯湯タンク内の高温水との間で熱交換を行う風呂熱交換器と、から構成される湯保温回路と、ホッパーと湯保温回路との間に設けられる銀イオン発生装置と、ヒートポンプユニット及び銀イオン発生装置を制御する制御部とを備える。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、浴槽への湯張りを行うヒートポンプ給湯システムの制御方法であって、制御部が浴槽への湯張り運転を開始するステップと、浴槽への湯張り運転開始とともに、制御部が銀イオン発生装置に通電するステップと、制御部が浴槽への湯張り運転を終了するステップと、浴槽への湯張り運転の終了とともに、制御部が銀イオン発生装置への通電を遮断するステップとを備える。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、浴槽への湯張りを行うヒートポンプ給湯システムの制御方法において、ホッパー内に設けられているフローセンサが湯張り運転による浴槽への湯の流れを検出したことを制御部が検知するステップと、湯の流れが検出された場合に、制御部が銀イオン発生装置に通電するステップと、フローセンサが湯の流れを検出しなくなったことを制御部が検知するステップと、湯の流れが検出されなくなった場合に、制御部が銀イオン発生装置への通電を遮断するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、銀イオン発生装置を浴槽への湯張り経路上に設置することで汚れが付着することを極力抑えるとともにメンテナンス性を向上させるとともに、貯湯タンクに不要な加工を施すことなく湯保温回路を構成したヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態におけるヒートポンプ給湯システムの全体構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態における制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における貯湯タンクの全体を示す外観図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるヒートポンプ給湯システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるヒートポンプ給湯システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるヒートポンプ給湯システム1の全体構成を示す回路図である。
【0015】
図1に示すように、ヒートポンプ給湯システム1は、大きく分けてヒートポンプユニット10と、貯湯ユニット30と、供給された湯が使用される浴槽50から構成されている。また、ヒートポンプ給湯システム1は、制御部60によってそのシステムが制御されている。ヒートポンプユニット10と貯湯ユニット30とはいわゆる水回路21で、貯湯ユニット30と浴槽50とは後述する湯保温回路40でそれぞれ接続されている。なお、各管路上に示されている三角形は逆止弁であり、鋭角に示されている方向にのみ水、或いは湯が流れることができる。
【0016】
ヒートポンプユニット10には、冷凍サイクル内を循環する冷媒を圧縮する圧縮機11と、冷媒の熱を利用して水回路21を介して給水管Wから供給される水を温め貯湯タンクに貯留される高温水を生成する水熱交換器12と、膨張弁13と、膨張弁13を通ってきた水熱交換器12で液体となった冷媒を気体にする空気熱交換器14とを順次配管接続した冷凍サイクル15が設けられている。冷凍サイクル15では、蒸発器として空気熱交換器14を用いており、この空気熱交換器は外気を取り入れて冷媒を気体にする。
【0017】
貯湯ユニット30は、冷凍サイクル15を利用して生成された高温水を貯める貯湯タンク31と、浴槽50に湯張りを行う湯張り路P1と、浴槽50と接続されて浴槽50内の湯を保温、追い炊きするための湯保温回路40とから構成されている。
【0018】
ここで、ヒートポンプ給湯システム1における冷凍サイクルについて、上述の冷凍サイクル15を例に簡単に説明する。まず、気体である冷媒は圧縮機11において圧力が掛けられて高温高圧にされ水熱交換器12に供給される。一方、給水管Wから減圧弁Rを介して供給された水は一旦貯湯タンク31に貯留され、必要に応じて貯湯運転の際に貯湯タンク31から水配管を介してポンプ20にて水熱交換器12に送られる(図1に示す実線の矢印を参照)。
【0019】
水熱交換器12内では、冷媒と水との間で熱交換が行われる。すなわち、冷媒の熱がポンプ20によって水熱交換器12に送り込まれた水を熱し、冷媒はこの水によって冷やされて気体から液体に変化する。熱せられた水は、高温水となって水回路21を介して図1に示す実線の矢印の向きに配管を流れ貯湯タンク31に貯えられる。貯湯タンク31に貯留された高温水は、給湯用混合栓32において給水管Wから供給される水と適宜混合されて、台所等の各使用場所に給湯管Hを介して供給される。水熱交換器12によって熱を奪われ液体になった冷媒は膨張弁13、空気熱交換器14によって再び気体にされてこれまでのサイクルを繰り返す。
【0020】
貯湯タンク31内に貯められた高温水は、風呂用混合栓33において給水管Wから供給される水と適宜混合されて湯張り路P1を通って浴槽50に供給される。ここで湯張り路P1は、風呂用混合栓33から浴槽50まで接続される経路である。
【0021】
なお、浴槽50に供給される湯の温度は使用者が自由に設定することができるのはもちろんである。その設定温度に従って、制御部60が風呂用混合栓33の開度を制御し、水と高温水とを混合する。これによって設定された温度の湯が浴槽50に供給される。
【0022】
湯張り路P1は、風呂用混合栓33の下流にホッパー34、銀イオン発生装置35を備え、これらを順次通過することによって浴槽50に湯が供給される。すなわち、図1において太い実線の矢印にて示される向きに湯が流れる。
【0023】
ホッパー34は、図1において破線にて示され、貯湯タンク31等の上流側に下流側から湯等が逆流しないようにする役割を担っている。通常は大気圧に開放されているが、下流の圧力が上流の圧力よりも高くなった場合には圧力を開放し、上流側への逆流を防ぐ。
【0024】
ホッパー34は、その内部に上流から下流に向けて給水弁34aとフローセンサ34bと排水弁34cと逆止弁とを備える。給水弁34aは例えば給水電磁弁であり、制御部60の指令により開閉が行われる。また、フローセンサ34bは、湯張り路P1を流れる湯の流量を計測する。排水弁34cは、湯張り運転後に湯張り路P1に残った湯を排水するために用いる。
【0025】
なお、このフローセンサ34bは、浴槽50への湯張り運転の際の湯の流量を計測することができるものであればどのようなセンサであっても構わない。また、湯張り路P1内を湯が流れているか否かのみを計測するセンサでも良い。
【0026】
銀イオン発生装置35は、ホッパー34の下流、湯保温回路40の上流に設置されている。銀イオン発生装置35は、主に浴槽50に供給される湯が流れる管と、その管内に水流と平行となるように設置される一対の銀プレートとから構成される。制御部60が後述するスイッチSWをONすることによって銀イオン発生装置35に通電し、この一対の銀プレートの間に銀イオンが発生する。発生した銀イオンは、銀イオン発生装置35を構成する管(湯張り路P1)内を流れる湯に対して溶解し、浴槽50に供給される。
【0027】
銀プレートの一方、或いは、他方、少なくとも正極側の電極となるプレートは、銀または銀を含む合金により形成され、制御部60の指令により通電すると、電気分解により銀イオンを溶出するようになっている。
【0028】
銀イオン発生装置35を構成する管は、湯張り路P1を構成する管の一部に接続される。また、上述したようにこの管内に一対の銀プレートが設置されているので、銀イオン発生装置35を一体にまとめて簡易に取り付けることができる。
【0029】
湯張り路P1の一部は、湯保温回路40の一部とその流路を共有している。浴槽50には、浴槽50内部に貯められている湯の温度を保つための湯保温回路40が接続されている。この湯保温回路40は、浴槽に貯められた湯を湯保温回路40内に循環させる風呂循環ポンプ41と、この浴槽50内部に貯められている湯を貯湯タンク31内の高温水との間で熱交換を行う風呂熱交換器42とから構成される。
【0030】
具体的な浴槽50に供給された湯の保温、追い炊きにおける湯の流れついては、以下の通りである(図1に示す破線の矢印を参照)。すなわち、浴槽50内の湯は、湯張り路P1と共有する管を通り、風呂循環ポンプ41を介して風呂熱交換器42に送られる。この湯の流れは、湯張り運転の際に湯が浴槽50に流れる向きと逆である。風呂熱交換器42内には、貯湯タンク31内の高温水が通るための管が設けられ、この高温水と浴槽50から送水された湯との間で熱交換が行われる。熱交換され湯温が上昇した湯は、再度浴槽50へと戻る。
【0031】
一方、風呂熱交換ポンプ43は貯湯タンク31から高温水を風呂熱交換器42へと供給するとともに、熱交換によって生成された温度の下がった湯を再度貯湯タンク31へと戻す。
【0032】
制御部60は、本発明の実施の形態におけるヒートポンプ給湯システム1のシステム全体を制御している。本発明の実施の形態においては、貯湯タンク31に設けられている。図1では図示の都合上ヒートポンプ給湯システム1の各部との接続を省略しているが、例えば、給湯用混合栓32、風呂用混合栓33、或いは湯保温回路40内の風呂循環ポンプ41や風呂熱交換ポンプ43等の駆動を制御する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態における制御部60の内部構成を示すブロック図である。制御部60は、本発明の実施の形態においては上述したように貯湯タンク31に設けられている。制御部60は、その内部にヒートポンプユニット10や貯湯ユニット30内の各機器を制御するため制御回路61が設けられているが、図2においては特に銀イオン発生装置35との接続を表わす部分のみを示している。
【0034】
制御部60は、商用電源Eから電源の供給を受けている。この商用電源Eは、さらに定電流回路62を介して銀イオン発生装置35にも電源を供給している。但し、スイッチSWによって定電流回路62(銀イオン発生装置35)は通常は電源がOFFされている。制御回路61は、浴槽50への湯張りのタイミングに同期させてスイッチSWをON、或いはOFFする。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態における貯湯タンク31の全体を示す外観図である。この図3には、ヒートポンプユニット10及び浴槽50は示されていないが、両者以外の各機器が貯湯タンク31の周囲に集められて配置されているので、ヒートポンプ給湯システム1全体がコンパクトにまとまる。給水管Wから供給された水からヒートポンプユニット10を介して高温水を生成し貯湯タンク31に貯留させる流れ及び、湯保温回路40における浴槽50内の湯の保温、追い焚きの流れは上述した通りである。
【0036】
次に、浴槽50に湯張りを行う際の流れについて、銀イオン発生装置35の駆動制御を含めて図4に示すフローチャートを利用して説明する。
【0037】
制御部60は、例えば浴槽50の付近において浴槽50への湯張り運転開始の指示がなされたか否かを確認する(ST1)。通常は浴室に設置されるリモコンに設けられた、例えば「湯張りボタン」が押し下げられたか否かで判断される。この湯張り運転開始の指示がなされない限り(ST1のNO)、制御部60はそのまま待機している。
【0038】
湯張りボタンが押され湯張り運転開始の指示を受信した場合には(ST1のYES)、制御部60は湯張り運転を開始するとともに、スイッチSWを入れて(リレーをONして)商用電源Eから定電流回路62を介して銀イオン発生装置35にも電源が供給されるようにする。これによって銀イオン発生装置35がONされる(ST2)。
【0039】
銀イオン発生装置35に電源が供給されることによって、一対の銀プレート間に通電し銀イオンが発生する。湯張り運転が開始されていることから、風呂用混合栓33によって設定温度となるように混合された湯が湯張り路P1内を通り浴槽50に供給される。その際、この湯が銀イオン発生装置35を通過する際発生した銀イオンをも流すので、銀イオンも併せて浴槽50に供給される。
【0040】
制御部60は、ホッパー34内のフローセンサ34bからの流量検出の情報を随時、或いは、適宜取得しており、湯張り運転において指定された湯量に到達したか否かを判断する。浴槽50に所定の湯量が供給された場合には、制御部60は湯張り運転を終了させ(ST3のYES)、併せて銀イオン発生装置35に対して電源OFFの指令を出す(ST4)。これによってスイッチSW(リレー)がOFFとなり、銀プレートへの通電が遮断される。従って、浴槽50に湯の供給が終了すると同時に銀イオン発生装置35による銀イオンの発生も終了する。
【0041】
以上説明したように、銀イオン発生装置を浴槽への湯張り経路上に設置することで汚れが付着することを極力抑えるとともにメンテナンス性を向上させるとともに、貯湯タンクに不要な加工を施すことなく湯保温回路を構成したヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法を提供することができる。
【0042】
特に、湯張り路は浴槽への湯張りのためのみに使用される流路であり、浴槽における使用中、使用後の湯が流れ込むことはない。また、湯張り以外以外には使用されないため、管内に湯が残っていることもない。
【0043】
従って、この湯張り路のホッパーと湯保温回路との間に銀イオン発生装置を設置することによって、銀イオン発生装置に汚れが付着することを極力抑えることができるとともに、銀イオン発生装置が一体化して構成されていることとも相まって元水栓を閉めることなく銀イオン発生装置を交換できる等、メンテナンス性も向上させることができる。
【0044】
併せて、湯保温回路内に風呂熱交換器を設けたことで貯湯タンクに不要な加工を施す必要がないため、貯湯タンクの機密性を保つことができるとともに配管の取り回し等、貯湯ユニットの設計の自由度を確保することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0046】
第1の実施の形態においては、湯張り運転の開始、終了をもって銀イオン発生装置35のON、OFFを制御していた。第2の実施の形態では、ホッパー34内のフローセンサ34bを利用して銀イオン発生装置35の制御を行う点に特徴がある。
【0047】
図5のフローチャートに示されているように、制御部60は、湯張り路P1内を湯張りの際の湯が流れているか否かをチェックする。具体的には、フローセンサ34bが湯の流れを検知するか否かである(ST11)。フローセンサ34bによって湯の流れが検知されない場合には(ST11のNO)、銀イオン発生装置35のONについては制御部60はそのままの状態で待機する。
【0048】
制御部60が湯張り運転を開始してフローセンサ34bが湯の流れを検知した場合には(ST11のYES)、制御部60はスイッチSWを入れて(リレーをONして)商用電源Eから定電流回路62を介して銀イオン発生装置35にも電源が供給されるようにする。これによって銀イオン発生装置35がONされる(ST12)。
【0049】
銀イオン発生装置35に電源が供給されることによって、一対の銀プレート間に通電し銀イオンが発生する。湯張り運転が開始されると、風呂用混合栓33によって設定温度となるように混合された湯が湯張り路P1内を通り浴槽50に供給される。その際、この湯が銀イオン発生装置35を通過する際発生した銀イオンをも流すので、銀イオンも併せて浴槽50に供給される。
【0050】
制御部60は、ホッパー34内のフローセンサ34bから湯張り路P1内を湯が流れているか否かについての情報を随時、或いは適宜取得しており、湯張り路P1内を湯が流れているか否か判断する。浴槽50に所定の湯量が供給されて制御部60が湯張り運転を終了させると、湯張り路P1内には湯は流れなくなる。すなわち、フローセンサ34bは湯の流れを検知することができなくなる(非検知)(ST13のYES)。
【0051】
そこで、制御部60はこの非検知の状態を基に銀イオン発生装置35に対して電源OFFの指令を出す(ST14)。これによってスイッチSW(リレー)がOFFとなり、銀プレートへの通電が遮断される。従って、浴槽50に湯の供給が終了すると同時に銀イオン発生装置35による銀イオンの発生も終了する。
【0052】
以上説明したように、銀イオン発生装置を浴槽への湯張り経路上に設置することで汚れが付着することを極力抑えるとともにメンテナンス性を向上させるとともに、貯湯タンクに不要な加工を施すことなく湯保温回路を構成したヒートポンプ給湯システム及びヒートポンプ給湯システムの制御方法を提供することができる。
【0053】
特に、湯張り路は浴槽への湯張りのためのみに使用される流路であり、浴槽における使用中、使用後の湯が流れ込むことはない。また、湯張り以外以外には使用されないため、管内に湯が残っていることもない。
【0054】
従って、この湯張り路上に設けられているフローセンサを用いることで湯張り路内を湯が流れているか否かを確実に把握することができる。そのため銀イオン発生装置のON、OFFも確実に制御することができる。
【0055】
その他、この湯張り路のホッパーと湯保温回路との間に銀イオン発生装置を設置することによって、銀イオン発生装置に汚れが付着することを極力抑えることができるとともに、銀イオン発生装置が一体化して構成されていることとも相まって元水栓を閉めることなく銀イオン発生装置を交換できる等、メンテナンス性も向上させることができる。
【0056】
併せて、湯保温回路内に風呂熱交換器を設けたことで貯湯タンクに不要な加工を施す必要がないため、貯湯タンクの機密性を保つことができるとともに配管の取り回し等、貯湯ユニットの設計の自由度を確保することができる。
【0057】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…ヒートポンプ給湯システム、10…ヒートポンプユニット、11…圧縮機、12…水熱交換器、13…膨張弁、14…空気熱交換器、15…冷凍サイクル、20…ポンプ、21…水回路、30…貯湯ユニット、31…貯湯タンク、32…給湯用混合栓、33…風呂用混合栓、34…ホッパー、35…銀イオン発生装置、40…湯保温回路、41…風呂循環ポンプ、42…風呂熱交換器、43…風呂熱交換ポンプ、50…浴槽、60…制御部、H…給湯管、R…減圧弁、W…給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、水と冷媒との間で熱交換を行う水熱交換器、膨張弁、前記冷媒と空気との間で熱交換を行う空気熱交換器を順次配管接続したヒートポンプユニットと、
前記水熱交換器の水回路に連結され前記水熱交換器で生成された高温水を貯留する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の高温水と前記水とが風呂用混合栓にて混合され、給水弁と排水弁と逆止弁およびフローセンサからなるホッパーを介して供給される浴槽と、
前記浴槽の湯を循環させる風呂循環ポンプと、前記湯と前記貯湯タンク内の前記高温水との間で熱交換を行う風呂熱交換器と、から構成される湯保温回路と、
前記ホッパーと前記湯保温回路との間に設けられる銀イオン発生装置と、
前記ヒートポンプユニット及び前記銀イオン発生装置を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするヒートポンプ給湯システム。
【請求項2】
浴槽への湯張りを行うヒートポンプ給湯システムの制御方法であって、
制御部が浴槽への湯張り運転を開始するステップと、
前記浴槽への湯張り運転開始とともに、前記制御部が銀イオン発生装置に通電するステップと、
前記制御部が前記浴槽への湯張り運転を終了するステップと、
前記浴槽への湯張り運転の終了とともに、前記制御部が前記銀イオン発生装置への通電を遮断するステップと、
を備えることを特徴とするヒートポンプ給湯システムの制御方法。
【請求項3】
浴槽への湯張りを行うヒートポンプ給湯システムの制御方法であって、
ホッパー内に設けられているフローセンサが湯張り運転による前記浴槽への湯の流れを検出したことを制御部が検知するステップと、
前記湯の流れが検出された場合に、前記制御部が銀イオン発生装置に通電するステップと、
前記フローセンサが前記湯の流れを検出しなくなったことを前記制御部が検知するステップと、
前記湯の流れが検出されなくなった場合に、前記制御部が前記銀イオン発生装置への通電を遮断するステップと、
を備えることを特徴とするヒートポンプ給湯システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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