フレキシブル基板および電子機器
【課題】保持したフレキシブル基板を繰り返し脱着できる構造。
【解決手段】フレキシブル基板であって、帯状のベースフィルムと、ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、ベースフィルムに固定された信号線と、ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部とを備える。上記フレキシブル基板において、保持部は、長手方向と交差する方向の移動によって信号線を着脱してもよい。
【解決手段】フレキシブル基板であって、帯状のベースフィルムと、ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、ベースフィルムに固定された信号線と、ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部とを備える。上記フレキシブル基板において、保持部は、長手方向と交差する方向の移動によって信号線を着脱してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板を固定する場合に用いられる両面テープがある(特許文献1参照)。
特許文献1 特開2006−332187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
接着されたフレキシブル基板を剥がす場合に、フレキシブル基板が傷むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一態様として、帯状のベースフィルムと、ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、ベースフィルムに固定された信号線と、ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部とを備えるフレキシブル基板が提供される。
【0005】
本発明の第二態様として、上記フレキシブル基板および他の信号線を有する電子機器が提供される。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】フレキシブル基板100の平面図である。
【図2】フレキシブル基板200の平面図である。
【図3】フレキシブル基板100、200の平面図である。
【図4】フレキシブル基板100、200の断面図である。
【図5】フレキシブル基板201の平面図である。
【図6】フレキシブル基板101の平面図である。
【図7】フレキシブル基板202の平面図である。
【図8】フレキシブル基板101、202の平面図である。
【図9】フレキシブル基板102の平面図である。
【図10】フレキシブル基板102、202の平面図である。
【図11】フレキシブル基板103の平面図である。
【図12】フレキシブル基板103、202の平面図である。
【図13】フレキシブル基板104の平面図である。
【図14】フレキシブル基板203の平面図である。
【図15】フレキシブル基板104、203の平面図である。
【図16】フレキシブル基板105の平面図である。
【図17】フレキシブル基板105、202の平面図である。
【図18】フレキシブル基板105、202の平面図である。
【図19】フレキシブル基板106の平面図である。
【図20】フレキシブル基板107の平面図である。
【図21】線材300の平面図である。
【図22】フレキシブル基板107および線材300の平面図である。
【図23】フレキシブル基板107および線材300の平面図である。
【図24】フレキシブル基板108の平面図である。
【図25】フレキシブル基板108の斜視図である。
【図26】フレキシブル基板108、202の斜視図である。
【図27】フレキシブル基板109の平面図である。
【図28】電子機器400の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、フレキシブル基板100の平面図である。フレキシブル基板100は、ベースフィルム110および配線部120を有する。
【0010】
ベースフィルム110は、十数μmから数十μm程度の厚さを有するポリイミド樹脂等により形成される。ベースフィルム110は、材料の特性により絶縁性を有する。また、ベースフィルム110は、可撓性および弾性を有する。フレキシブル基板100において、ベースフィルム110は、配線部120よりも大きな幅を有して、配線部120に沿って帯状に形成される。
【0011】
配線部120は、十数μmから数十μm程度の厚さを有する銅等の導電材料により形成される。配線部120は、ベースフィルム110の表面に固定されて、フレキシブル基板100の長手方向に沿って延在して信号線を形成する。また、フレキシブル基板100においては、ひとつのベースフィルム110上に、互いに平行に複数の配線部120が間隔をおいて配される。配線部120における個々の信号線は互いに絶縁されており、流れる信号の電気的特性に応じて相互に異なる幅を有する場合もある。
【0012】
更に、フレキシブル基板100の長手方向中間部において、配線部120はクランク状に屈曲する。配線部120が屈曲した区間において、ベースフィルム110は、フレキシブル基板100の長手方向に交差する方向に拡がって保持部130を形成する。
【0013】
保持部130は、長さL1、幅W1を有する矩形の開口部134を有する。開口部134の四隅は面取りされており、保持部130に機械的な負荷がかかった場合に、開口部134の隅部に応力集中が生じてベースフィルム110が裂けることを防止している。
【0014】
なお、フレキシブル基板100の両端においては、配線部120における信号線の間隔が狭くなり、ベースフィルム110の幅も狭くなっている。これにより、フレキシブル基板100の両端は、他の基板上のコネクタに挿し込み易くなる。
【0015】
図2は、フレキシブル基板200の平面図である。フレキシブル基板200は、ベースフィルム210および配線部220を有する。
【0016】
フレキシブル基板200におけるベースフィルム210および配線部220は、配線部220が直線的な配線経路を有することを除けば、フレキシブル基板100と同じ構造を有する。また、ベースフィルム210および配線部220の材料も、フレキシブル基板100と同じものを使用できる。
【0017】
ただし、フレキシブル基板200は、長手方向中間部において、保持部130に換えて一対の凸部231を有する。凸部231は、フレキシブル基板200の長手方向に交差する方向に拡がり、ベースフィルム210を延長して形成される。
【0018】
一対の凸部231は、フレキシブル基板100の長手方向における開口部134の長さL1よりも僅かに狭い長さL2をそれぞれ有する。また、一対の凸部231を含むフレキシブル基板200全体の幅W2は、フレキシブル基板100の開口部134の幅W1よりも大きい。
【0019】
なお、フレキシブル基板200においても、凸部231の出隅および入隅の各々は面取りされている。これにより、凸部231に機械的な負荷がかかった場合に、凸部231の付け根等で生じた応力集中によりベースフィルム110が裂けることを防止している。
【0020】
図3は、フレキシブル基板100が、他の信号線としてのフレキシブル基板200を保持した状態を示す平面図である。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0021】
フレキシブル基板200における凸部231近傍の区間は、フレキシブル基板100の保持部130の上に重ねられる。ただし、凸部231の先端縁部233近傍は、開口部134を通じて、保持部130の裏面側に挿し込まれる。
【0022】
これにより、フレキシブル基板100、200は相互に係合する。よって、例えば、フレキシブル基板100に着目すると、フレキシブル基板100は、保持部130においてフレキシブル基板200を保持する。
【0023】
図4は、フレキシブル基板200を保持したフレキシブル基板100の断面図である。図4は、図3に矢印Aで示した箇所における、フレキシブル基板100、200の長手方向に直交する断面を示す。
【0024】
保持部130において、フレキシブル基板200における凸部231の先端縁部233は、フレキシブル基板100のベースフィルム110に対して、配線部120が実装された面の裏面に位置する。これに対して、フレキシブル基板200において配線部220が実装された領域は、フレキシブル基板100のベースフィルム110に対して、配線部120が実装された面と同じ側に位置する。
【0025】
フレキシブル基板100、200のベースフィルム110、210にはそれぞれ弾力性があるので、フレキシブル基板100、200は、保持部130において互いに係合する。よって、例えば、両端をコネクタに保持されたフレキシブル基板100が電子機器に対して既に固定されているとすると、フレキシブル基板200は、フレキシブル基板100に係合することにより電子機器に対して固定される。このように、フレキシブル基板100は、それ自体が信号線であるフレキシブル基板200を保持することができる。
【0026】
また、フレキシブル基板200は、フレキシブル基板100の長手方向に交差する方向からフレキシブル基板100に保持させることができる。よって、フレキシブル基板100、200の少なくとも一方が既に固定された後であっても、開口部134および凸部231の位置が重なっていれば、相互に係合させることができる。
【0027】
更に、凸部231をフレキシブル基板100の長手方向に交差する方向から開口部134に挿し込むことによりフレキシブル基板200を係合させるので、フレキシブル基板200を、開口部134に端から通さなくてもよい。よって、フレキシブル基板100、200を含む電子機器を組み立てる場合に、任意のタイミングでフレキシブル基板100、200を係合させることができる。
【0028】
更に、係合させたフレキシブル基板100、200においては、凸部231が開口部134の側面に当接することにより、フレキシブル基板100、200相互の長手方向の変位が規制される。よって、互いに係合させることにより、フレキシブル基板100、200の長手方向についても相互に位置決めできる。
【0029】
また、保持部130に対して係合したフレキシブル基板200は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部231を変形させて開口部134から抜くことにより解除できる。よって、いったん係合したフレキシブル基板100、200を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板100、200の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板100、200のいずれかが劣化することはない。
【0030】
更に、保持部130および凸部231を係合させることにより、当初は複数に別れていたフレキシブル基板100、200を相互に係合させて一体的に取り扱える。換言すれば、一体的に取り扱うべきフレキシブル基板100、200を複数に分割して製造できるので、フレキシブル基板100、200の母材におけるパターン配分の自由度が高くなり、母材の利用効率を向上させることができる。
【0031】
なお、上記の例では、フレキシブル基板100がフレキシブル基板200を保持すると記載したが、逆に、フレキシブル基板200がフレキシブル基板100を保持する場合にも、開口部134および凸部231の組み合わせを利用できる。また、開口部134を有するひとつのフレキシブル基板100に、複数のフレキシブル基板200の凸部231を挿し込んで、複数のフレキシブル基板200を保持させることができる。更に、同様に、一対の凸部231を有する1本のフレキシブル基板200に対して、開口部134を有する複数のフレキシブル基板100を係合させることもできる。
【0032】
更に、フレキシブル基板100の複数箇所にそれぞれ保持部130または凸部231を設けて、フレキシブル基板100、200を複数箇所で係合させてもよい。更に、複数箇所の保持部130において、それぞれ別の他の信号線を保持してもよい。
【0033】
図5は、フレキシブル基板201の平面図である。フレキシブル基板200と共通の要素には同じ参照番号を付す。
【0034】
図示のように、フレキシブル基板201においては、凸部231の先端縁部233の中央部が更に突出して、先端縁部233が円弧状の形状を有する。これにより、凸部231をフレキシブル基板100の開口部134に挿し込む場合の作業性が向上される。
【0035】
図6は、他のフレキシブル基板101の平面図である。図1に示したフレキシブル基板100と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0036】
フレキシブル基板101は、保持部130における開口部134に代わって切り込み部132を有する。切り込み部132はH字状の形状を有する。切り込み部132は、フレキシブル基板101の長手方向に直交する方向について幅W3を有する。
【0037】
また、切り込み部132には、互いに対向する一対の凸部136が形成される。凸部136先端の間には幅W4の間隙が形成される。
【0038】
図7は、フレキシブル基板202の平面図である。フレキシブル基板202は、帯状のベースフィルム210と、ベースフィルム210上に直線的に配された配線部220とを有する。配線部220は、互いに平行な複数の信号線を含む。
【0039】
フレキシブル基板202の幅W5は、フレキシブル基板101におけるH字状の切り込み部132全体の幅W3よりも狭い。また、フレキシブル基板202の幅W5は、フレキシブル基板101における保持部130における凸部136先端の間隔W4よりも広い。
【0040】
図8は、フレキシブル基板101に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図6および図7と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0041】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の保持部130の上面に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。これにより、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101に保持される。このように、フレキシブル基板101は、切り込み部132の縁部と、凸部136との間に挟んで、一定の幅W5を有する汎用のフレキシブル基板202を保持できる。
【0042】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の切り込み部132における凸部136先端の間隙から、ベースフィルム110の弾性に抗してフレキシブル基板202を押し込むことによりフレキシブル基板101に保持させることができる。よって、フレキシブル基板202を先端から切り込み部132に挿通しなくてもよい。また、フレキシブル基板202は長手方向に均一の幅を有するので、長手方向の任意の位置をフレキシブル基板101に保持させることができる。
【0043】
また、保持部130に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。更に、フレキシブル基板101、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板101、202のいずれかが劣化することはない。
【0044】
なお、フレキシブル基板101は、保持部130に複数のフレキシブル基板202を重ねて保持できる。また、フレキシブル基板101の複数箇所に保持部130を設けて、フレキシブル基板202を複数箇所で保持してもよい。更に、複数箇所の保持部130において、それぞれ別の信号線を保持してもよい。
【0045】
図9は、また他のフレキシブル基板102の平面図である。図1および図6に示したフレキシブル基板100、101と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0046】
フレキシブル基板102は、保持部130に切り込み部132を有する。切り込み部132はU字状の形状を有する。この形状により、切り込み部132の内側には凸部136が形成される。凸部136の先端は、配線部120から遠ざかる方向に突出する。
【0047】
図10は、フレキシブル基板102に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図9と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0048】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板102の保持部130の上に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。これにより、フレキシブル基板202は、凸部136と、保持部130のその他の領域との間に挟まれて保持される。
【0049】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の切り込み部132における凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の一部を挿し込むことにより保持させることができる。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板102に保持させることができる。
【0050】
保持部130に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板102、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0051】
なお、ひとつのフレキシブル基板102に、複数の保持部130を設けてもよいことはいうまでもない。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0052】
図11は、また他のフレキシブル基板103の平面図である。図1、図6および図9に示したフレキシブル基板100、101、102と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0053】
フレキシブル基板103は、フレキシブル基板102と同じ形状の一対の切り込み部132を保持部130に有する。切り込み部132の各々はU字状の形状を有し、切り込み部132の内側に凸部136が形成される。
【0054】
ただし、凸部136の一方は配線部120に向かって突出し、凸部136の他方は配線部120から遠ざかる方向に突出する。また、一方の切り込み部132の図中上端から他方の切り込み部132の図中下端までの間隙の幅W6は、直線状のフレキシブル基板102の幅W5よりも広い。
【0055】
図12は、フレキシブル基板103に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図11と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0056】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板103の保持部130の上面に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。ここで、凸部136は互いに対向する方向に突出しているので、フレキシブル基板202は、幅方法について両側から凸部136に挟まれる。これにより、保持部130は、フレキシブル基板202を幅方向に位置決めして保持する。
【0057】
フレキシブル基板102に保持された場合と同様に、フレキシブル基板202は、凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の一部を挿し込むことにより保持される。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板103に保持させることができる。
【0058】
また、フレキシブル基板103に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板103、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0059】
なお、ひとつのフレキシブル基板103に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0060】
図13は、また他のフレキシブル基板104の平面図である。図1、図6、図9および図11に示したフレキシブル基板100、101、102、103と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0061】
フレキシブル基板104は、U字状の形状を有する切り込み部132を保持部130に有する。これにより、切り込み部132の内側に凸部136が形成される。ただし、凸部136は、配線部120のいずれに対しても45°傾斜して、配線部120に接近する方向に突出する。
【0062】
図14は、フレキシブル基板203の平面図である。フレキシブル基板203は、帯状のベースフィルム210と、ベースフィルム210上に配された配線部220とを有する点で、フレキシブル基板202と共通するが、長手方向の中間部に、信号経路が90°屈曲する屈曲部212を有する。
【0063】
図15は、フレキシブル基板104に、フレキシブル基板203を保持させた状態を示す平面図である。図13および図14と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0064】
フレキシブル基板203は、フレキシブル基板104の保持部130の上に重ねられるが、凸部136は、フレキシブル基板203の上に位置する。また、フレキシブル基板203の屈曲部212の外側端部は、保持部130の下側に入り込む。
【0065】
これにより、フレキシブル基板203は、屈曲部212において保持部130に保持され、フレキシブル基板104の配線部120に対して一定の間隔を保つ。フレキシブル基板203は屈曲部212を有するので、フレキシブル基板203の配線部220と、フレキシブル基板104の配線部120が交差することはない。
【0066】
フレキシブル基板203をフレキシブル基板104に保持させる場合、まず、凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の屈曲部212を挿し込む。次いで、フレキシブル基板203の角部を、保持部130のベースフィルム110の下に差し込む。これにより、フレキシブル基板203を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、フレキシブル基板203の屈曲部212をフレキシブル基板104に保持させることができる。
【0067】
また、フレキシブル基板104に保持されたフレキシブル基板203は、ベースフィルム210の弾性に抗して屈曲部212を撓ませることにより保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板203を傷めることなくフレキシブル基板104から分離できる。また、フレキシブル基板104、203の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板104、203のいずれかが劣化することはない。
【0068】
なお、ひとつのフレキシブル基板104に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0069】
図16は、また他のフレキシブル基板105の平面図である。図1、図6、図9、図11および図13に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0070】
フレキシブル基板105は、保持部130の外縁までつながった切り込み部132を有する。保持部130の内側では、切り込み部132は拡がって開口部134を形成する。
【0071】
図17は、フレキシブル基板105に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図16と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0072】
フレキシブル基板202は、保持部130の開口部134に挿通されている。フレキシブル基板202は、ベースフィルム110の弾性に抗して切り込み部132を押し開くことにより開口部134に差し込まれる。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板105に保持させることができる。
【0073】
また、フレキシブル基板105に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して切り込み部132を押し開くことにより開口部134から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板105、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0074】
図18は、フレキシブル基板105に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7、図16および図17と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0075】
図17に示した状態と同様に、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板105の開口部134に挿通されている。ただし、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板105の長手方向に交差する方向に挿通されている。
【0076】
このように、保持部130は、延在方向の異なるフレキシブル基板202を保持できる。また、保持部130は、図14に示した屈曲部212を有するフレキシブル基板203のように、形状の異なる他の信号線を保持することもできる。
【0077】
なお、ひとつのフレキシブル基板105に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0078】
図19は、また他のフレキシブル基板106の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13および図16に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0079】
フレキシブル基板106は、保持部130にX字状の形状を有する切り込み部132を有する。この形状により、切り込み部132には、2対の凸部131、133、135、137が形成される。
【0080】
よって、フレキシブル基板106は、互いに対向する一対の凸部131、135の下に差し込むことにより、フレキシブル基板202等の他の信号線を、フレキシブル基板106の長手方向に保持できる。また、フレキシブル基板106は、互いに対向する他の一対の凸部133、137の下に差し込むことにより、フレキシブル基板202等の他の信号線を、フレキシブル基板106の長手方向と交差する方向に保持できる。
【0081】
なお、ひとつのフレキシブル基板106に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0082】
図20は、また他のフレキシブル基板107の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16および図19に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0083】
フレキシブル基板107は、保持部130にU字状の切り込み部132を有する。この形状により、切り込み部132の内側には凸部136が形成される。
【0084】
また、フレキシブル基板107は、保持部130に複数の案内部138を有する。案内部138は、U字状の切り込み部132において互いに平行な2対の縁部に切り込みとして形成される。
【0085】
図21は、線材300の平面図である。線材300は、それぞれが線状の複数の信号線を含む。なお、線材300としては、単芯線、同軸線等の電気信号を伝播させる信号線の他、光信号を伝播させる光ファイバ、引っ張り力に抗するケブラー線等のテンションメンバを例示できる。
【0086】
図22は、フレキシブル基板107に、他の信号線としての線材300を保持させた状態を示す平面図である。図20および図21と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0087】
線材300は、保持部130の上面に重なって配されるが、部分的に凸部136の下側を通る。これにより、線材300の各々は、案内部138に嵌まり込んで、互いに一定の間隔を保つ。
【0088】
保持部130において、線材300は、凸部136の先端に形成された間隙から凸部136の下側に入れることができる。よって、保持部130は、線材300を端部から挿通させることなく、長手方向の任意の位置で保持できる。
【0089】
また、フレキシブル基板107に保持された線材300は、凸部136の先端に形成された間隙から抜き取ることにより、フレキシブル基板107による保持から解放できる。よって、フレキシブル基板107および線材300の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板107および線材300のいずれかが劣化することはない。
【0090】
図23は、フレキシブル基板107に、他の信号線としての線材300を保持させた他の状態を示す平面図である。図20、図21および図22と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0091】
図示のフレキシブル基板107において、保持部130の形状および機能は、図20、および図22に示したフレキシブル基板107と変わらない。ただし、このフレキシブル基板107は、配線部120が直線状に配され、保持部130は配線部120の側方片側に突出して形成される。
【0092】
このような形状により、線材300は、フレキシブル基板107の配線部120と交差することなく配される。また、線材300どうしの間隔も一定に保たれる。よって、線材300相互と配線部120とのクロストークが抑制される。
【0093】
なお、ひとつのフレキシブル基板107に、複数の保持部130を設けてもよいことはいうまでもない。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。また、上記のように、フレキシブル基板107の配線部120が、保持部130に保持した線材300、フレキシブル基板202、203等の信号線と交差しない配置は、保持部130を有する他のフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106においても採用できる。
【0094】
図24は、また他のフレキシブル基板108の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16、図19および図20に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106、107と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0095】
フレキシブル基板108において、保持部130は、配線部120の両側方に突出した一対の帯状部を含む。帯状部はベースフィルム110の延長として形成される。
【0096】
図中で配線部120の上方に位置する保持部130の片方は、先端に差し込み部139を有する。差し込み部139は、先端にテーパ状部分を有すると共に、幅W7が狭くなったくびれ部を付け根部分に有する。
【0097】
図中で配線部120の下方に位置する保持部130の他方は、長穴状の切り込み部132を先端近傍に有する。切り込み部132の幅W8は、上側の帯状部におけるくびれ部の幅W7よりも広い。
【0098】
図25は、フレキシブル基板108単独で、保持部130を組み立てた状態を示す斜視図である。図25と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0099】
フレキシブル基板108においては、帯状部を屈曲させて、差し込み部139を切り込み部132に差し込むことにより、環状の保持部130が形成される。よって、環状の保持部130内に他の信号線を挿通することにより、フレキシブル基板108は、他の信号線を保持できる。
【0100】
図26は、フレキシブル基板108に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す斜視図である。図7、図24および図25と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0101】
図示のように、フレキシブル基板108の保持部130が環状に組み立てられており、フレキシブル基板202が当該保持部130に挿通されている。これにより、フレキシブル基板202はフレキシブル基板108に保持され、両者を一体的に取り扱うことができる。
【0102】
なお、説明の便宜のためにフレキシブル基板202を保持部130に挿通すると記載した。しかしながら、保持部130の組み立てられていないフレキシブル基板108に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を沿わせた後に、差し込み部139を切り込み部132に差し込んで保持部130を組み立てれば、フレキシブル基板202を端部から挿通することなく、保持部130に保持させることができる。
【0103】
また、組み立てられた保持部130は、差し込み部139を撓めて先端部の幅を狭くした状態で切り込み部132から抜くことにより、ベースフィルム110を傷めることなく、フレキシブル基板202を解放できる。よって、フレキシブル基板202の着脱を繰り返しても、フレキシブル基板108、202が劣化することはない。
【0104】
更に、フレキシブル基板108の保持部130の内径は、フレキシブル基板202の断面寸法に対して大きい。よって、保持部130に、複数のフレキシブル基板202を保持させることもできる。また、ひとつのフレキシブル基板108に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0105】
図27は、また他のフレキシブル基板109の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16、図19、図20および図24に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106、107、108と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0106】
フレキシブル基板109において、保持部130は、配線部120の両側方に突出した一対の帯状部を含む。帯状部はベースフィルム110の延長として形成される。
【0107】
帯状部の先端近傍には、帯状部の幅の半分を越えて切り込まれた切り込み部132が形成される。切り込み部132は、フレキシブル基板109の長手方向について、互いに反対の方向から帯状部に切り込まれる。
【0108】
上記のようなフレキシブル基板109は、切り込み部132において帯状部の先端を係合させることにより、図25に示したフレキシブル基板108と同様に、環状の保持部130を形成する。よって、フレキシブル基板108と同様に、他の信号線、例えばフレキシブル基板202を保持し、また解放できる。
【0109】
また、フレキシブル基板109の保持部130は、複数のフレキシブル基板202を保持できる。更に、ひとつのフレキシブル基板109に、複数の保持部130を設けてもよい。また更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0110】
図28は、電子機器400の斜視図である。電子機器400はレンズユニット等に組み込まれる振動補正ユニットであり、フレキシブル基板204、ケース410、アクチュエータ420およびフォトインタラプタ430を含む。
【0111】
電子機器400は、円筒形のケース410の内部に形成され、互いに直角に配された一対のアクチュエータ420および一対のフォトインタラプタ430を含む。フレキシブル基板204は、ケース410の内側で、これらアクチュエータ420およびフォトインタラプタ430を電気的に結合する。
【0112】
電子機器400は、更に、角速度センサ等の電子部品組み込まれ、それらに対する電気的接続を形成する他の信号線も組み込まれる。そこで、フレキシブル基板204に保持部130を設けて他の信号線を保持させることにより、容量の限られたケース410内に部品を追加することなく、信号線を結束して位置決めできる。
【0113】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0114】
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、200、201、202、203、204 フレキシブル基板、110、210 ベースフィルム、120、220 配線部、130 保持部、131、133、135、136、137、231 凸部、132 切り込み部、134 開口部、138 案内部、139 差し込み部、212 屈曲部、233 先端縁部、300 線材、400 電子機器、410 ケース、420 アクチュエータ、430 フォトインタラプタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル基板を固定する場合に用いられる両面テープがある(特許文献1参照)。
特許文献1 特開2006−332187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
接着されたフレキシブル基板を剥がす場合に、フレキシブル基板が傷むことがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一態様として、帯状のベースフィルムと、ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、ベースフィルムに固定された信号線と、ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部とを備えるフレキシブル基板が提供される。
【0005】
本発明の第二態様として、上記フレキシブル基板および他の信号線を有する電子機器が提供される。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】フレキシブル基板100の平面図である。
【図2】フレキシブル基板200の平面図である。
【図3】フレキシブル基板100、200の平面図である。
【図4】フレキシブル基板100、200の断面図である。
【図5】フレキシブル基板201の平面図である。
【図6】フレキシブル基板101の平面図である。
【図7】フレキシブル基板202の平面図である。
【図8】フレキシブル基板101、202の平面図である。
【図9】フレキシブル基板102の平面図である。
【図10】フレキシブル基板102、202の平面図である。
【図11】フレキシブル基板103の平面図である。
【図12】フレキシブル基板103、202の平面図である。
【図13】フレキシブル基板104の平面図である。
【図14】フレキシブル基板203の平面図である。
【図15】フレキシブル基板104、203の平面図である。
【図16】フレキシブル基板105の平面図である。
【図17】フレキシブル基板105、202の平面図である。
【図18】フレキシブル基板105、202の平面図である。
【図19】フレキシブル基板106の平面図である。
【図20】フレキシブル基板107の平面図である。
【図21】線材300の平面図である。
【図22】フレキシブル基板107および線材300の平面図である。
【図23】フレキシブル基板107および線材300の平面図である。
【図24】フレキシブル基板108の平面図である。
【図25】フレキシブル基板108の斜視図である。
【図26】フレキシブル基板108、202の斜視図である。
【図27】フレキシブル基板109の平面図である。
【図28】電子機器400の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、フレキシブル基板100の平面図である。フレキシブル基板100は、ベースフィルム110および配線部120を有する。
【0010】
ベースフィルム110は、十数μmから数十μm程度の厚さを有するポリイミド樹脂等により形成される。ベースフィルム110は、材料の特性により絶縁性を有する。また、ベースフィルム110は、可撓性および弾性を有する。フレキシブル基板100において、ベースフィルム110は、配線部120よりも大きな幅を有して、配線部120に沿って帯状に形成される。
【0011】
配線部120は、十数μmから数十μm程度の厚さを有する銅等の導電材料により形成される。配線部120は、ベースフィルム110の表面に固定されて、フレキシブル基板100の長手方向に沿って延在して信号線を形成する。また、フレキシブル基板100においては、ひとつのベースフィルム110上に、互いに平行に複数の配線部120が間隔をおいて配される。配線部120における個々の信号線は互いに絶縁されており、流れる信号の電気的特性に応じて相互に異なる幅を有する場合もある。
【0012】
更に、フレキシブル基板100の長手方向中間部において、配線部120はクランク状に屈曲する。配線部120が屈曲した区間において、ベースフィルム110は、フレキシブル基板100の長手方向に交差する方向に拡がって保持部130を形成する。
【0013】
保持部130は、長さL1、幅W1を有する矩形の開口部134を有する。開口部134の四隅は面取りされており、保持部130に機械的な負荷がかかった場合に、開口部134の隅部に応力集中が生じてベースフィルム110が裂けることを防止している。
【0014】
なお、フレキシブル基板100の両端においては、配線部120における信号線の間隔が狭くなり、ベースフィルム110の幅も狭くなっている。これにより、フレキシブル基板100の両端は、他の基板上のコネクタに挿し込み易くなる。
【0015】
図2は、フレキシブル基板200の平面図である。フレキシブル基板200は、ベースフィルム210および配線部220を有する。
【0016】
フレキシブル基板200におけるベースフィルム210および配線部220は、配線部220が直線的な配線経路を有することを除けば、フレキシブル基板100と同じ構造を有する。また、ベースフィルム210および配線部220の材料も、フレキシブル基板100と同じものを使用できる。
【0017】
ただし、フレキシブル基板200は、長手方向中間部において、保持部130に換えて一対の凸部231を有する。凸部231は、フレキシブル基板200の長手方向に交差する方向に拡がり、ベースフィルム210を延長して形成される。
【0018】
一対の凸部231は、フレキシブル基板100の長手方向における開口部134の長さL1よりも僅かに狭い長さL2をそれぞれ有する。また、一対の凸部231を含むフレキシブル基板200全体の幅W2は、フレキシブル基板100の開口部134の幅W1よりも大きい。
【0019】
なお、フレキシブル基板200においても、凸部231の出隅および入隅の各々は面取りされている。これにより、凸部231に機械的な負荷がかかった場合に、凸部231の付け根等で生じた応力集中によりベースフィルム110が裂けることを防止している。
【0020】
図3は、フレキシブル基板100が、他の信号線としてのフレキシブル基板200を保持した状態を示す平面図である。図1および図2と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0021】
フレキシブル基板200における凸部231近傍の区間は、フレキシブル基板100の保持部130の上に重ねられる。ただし、凸部231の先端縁部233近傍は、開口部134を通じて、保持部130の裏面側に挿し込まれる。
【0022】
これにより、フレキシブル基板100、200は相互に係合する。よって、例えば、フレキシブル基板100に着目すると、フレキシブル基板100は、保持部130においてフレキシブル基板200を保持する。
【0023】
図4は、フレキシブル基板200を保持したフレキシブル基板100の断面図である。図4は、図3に矢印Aで示した箇所における、フレキシブル基板100、200の長手方向に直交する断面を示す。
【0024】
保持部130において、フレキシブル基板200における凸部231の先端縁部233は、フレキシブル基板100のベースフィルム110に対して、配線部120が実装された面の裏面に位置する。これに対して、フレキシブル基板200において配線部220が実装された領域は、フレキシブル基板100のベースフィルム110に対して、配線部120が実装された面と同じ側に位置する。
【0025】
フレキシブル基板100、200のベースフィルム110、210にはそれぞれ弾力性があるので、フレキシブル基板100、200は、保持部130において互いに係合する。よって、例えば、両端をコネクタに保持されたフレキシブル基板100が電子機器に対して既に固定されているとすると、フレキシブル基板200は、フレキシブル基板100に係合することにより電子機器に対して固定される。このように、フレキシブル基板100は、それ自体が信号線であるフレキシブル基板200を保持することができる。
【0026】
また、フレキシブル基板200は、フレキシブル基板100の長手方向に交差する方向からフレキシブル基板100に保持させることができる。よって、フレキシブル基板100、200の少なくとも一方が既に固定された後であっても、開口部134および凸部231の位置が重なっていれば、相互に係合させることができる。
【0027】
更に、凸部231をフレキシブル基板100の長手方向に交差する方向から開口部134に挿し込むことによりフレキシブル基板200を係合させるので、フレキシブル基板200を、開口部134に端から通さなくてもよい。よって、フレキシブル基板100、200を含む電子機器を組み立てる場合に、任意のタイミングでフレキシブル基板100、200を係合させることができる。
【0028】
更に、係合させたフレキシブル基板100、200においては、凸部231が開口部134の側面に当接することにより、フレキシブル基板100、200相互の長手方向の変位が規制される。よって、互いに係合させることにより、フレキシブル基板100、200の長手方向についても相互に位置決めできる。
【0029】
また、保持部130に対して係合したフレキシブル基板200は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部231を変形させて開口部134から抜くことにより解除できる。よって、いったん係合したフレキシブル基板100、200を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板100、200の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板100、200のいずれかが劣化することはない。
【0030】
更に、保持部130および凸部231を係合させることにより、当初は複数に別れていたフレキシブル基板100、200を相互に係合させて一体的に取り扱える。換言すれば、一体的に取り扱うべきフレキシブル基板100、200を複数に分割して製造できるので、フレキシブル基板100、200の母材におけるパターン配分の自由度が高くなり、母材の利用効率を向上させることができる。
【0031】
なお、上記の例では、フレキシブル基板100がフレキシブル基板200を保持すると記載したが、逆に、フレキシブル基板200がフレキシブル基板100を保持する場合にも、開口部134および凸部231の組み合わせを利用できる。また、開口部134を有するひとつのフレキシブル基板100に、複数のフレキシブル基板200の凸部231を挿し込んで、複数のフレキシブル基板200を保持させることができる。更に、同様に、一対の凸部231を有する1本のフレキシブル基板200に対して、開口部134を有する複数のフレキシブル基板100を係合させることもできる。
【0032】
更に、フレキシブル基板100の複数箇所にそれぞれ保持部130または凸部231を設けて、フレキシブル基板100、200を複数箇所で係合させてもよい。更に、複数箇所の保持部130において、それぞれ別の他の信号線を保持してもよい。
【0033】
図5は、フレキシブル基板201の平面図である。フレキシブル基板200と共通の要素には同じ参照番号を付す。
【0034】
図示のように、フレキシブル基板201においては、凸部231の先端縁部233の中央部が更に突出して、先端縁部233が円弧状の形状を有する。これにより、凸部231をフレキシブル基板100の開口部134に挿し込む場合の作業性が向上される。
【0035】
図6は、他のフレキシブル基板101の平面図である。図1に示したフレキシブル基板100と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0036】
フレキシブル基板101は、保持部130における開口部134に代わって切り込み部132を有する。切り込み部132はH字状の形状を有する。切り込み部132は、フレキシブル基板101の長手方向に直交する方向について幅W3を有する。
【0037】
また、切り込み部132には、互いに対向する一対の凸部136が形成される。凸部136先端の間には幅W4の間隙が形成される。
【0038】
図7は、フレキシブル基板202の平面図である。フレキシブル基板202は、帯状のベースフィルム210と、ベースフィルム210上に直線的に配された配線部220とを有する。配線部220は、互いに平行な複数の信号線を含む。
【0039】
フレキシブル基板202の幅W5は、フレキシブル基板101におけるH字状の切り込み部132全体の幅W3よりも狭い。また、フレキシブル基板202の幅W5は、フレキシブル基板101における保持部130における凸部136先端の間隔W4よりも広い。
【0040】
図8は、フレキシブル基板101に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図6および図7と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0041】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の保持部130の上面に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。これにより、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101に保持される。このように、フレキシブル基板101は、切り込み部132の縁部と、凸部136との間に挟んで、一定の幅W5を有する汎用のフレキシブル基板202を保持できる。
【0042】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の切り込み部132における凸部136先端の間隙から、ベースフィルム110の弾性に抗してフレキシブル基板202を押し込むことによりフレキシブル基板101に保持させることができる。よって、フレキシブル基板202を先端から切り込み部132に挿通しなくてもよい。また、フレキシブル基板202は長手方向に均一の幅を有するので、長手方向の任意の位置をフレキシブル基板101に保持させることができる。
【0043】
また、保持部130に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。更に、フレキシブル基板101、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板101、202のいずれかが劣化することはない。
【0044】
なお、フレキシブル基板101は、保持部130に複数のフレキシブル基板202を重ねて保持できる。また、フレキシブル基板101の複数箇所に保持部130を設けて、フレキシブル基板202を複数箇所で保持してもよい。更に、複数箇所の保持部130において、それぞれ別の信号線を保持してもよい。
【0045】
図9は、また他のフレキシブル基板102の平面図である。図1および図6に示したフレキシブル基板100、101と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0046】
フレキシブル基板102は、保持部130に切り込み部132を有する。切り込み部132はU字状の形状を有する。この形状により、切り込み部132の内側には凸部136が形成される。凸部136の先端は、配線部120から遠ざかる方向に突出する。
【0047】
図10は、フレキシブル基板102に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図9と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0048】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板102の保持部130の上に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。これにより、フレキシブル基板202は、凸部136と、保持部130のその他の領域との間に挟まれて保持される。
【0049】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板101の切り込み部132における凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の一部を挿し込むことにより保持させることができる。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板102に保持させることができる。
【0050】
保持部130に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板102、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0051】
なお、ひとつのフレキシブル基板102に、複数の保持部130を設けてもよいことはいうまでもない。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0052】
図11は、また他のフレキシブル基板103の平面図である。図1、図6および図9に示したフレキシブル基板100、101、102と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0053】
フレキシブル基板103は、フレキシブル基板102と同じ形状の一対の切り込み部132を保持部130に有する。切り込み部132の各々はU字状の形状を有し、切り込み部132の内側に凸部136が形成される。
【0054】
ただし、凸部136の一方は配線部120に向かって突出し、凸部136の他方は配線部120から遠ざかる方向に突出する。また、一方の切り込み部132の図中上端から他方の切り込み部132の図中下端までの間隙の幅W6は、直線状のフレキシブル基板102の幅W5よりも広い。
【0055】
図12は、フレキシブル基板103に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図11と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0056】
フレキシブル基板202は、フレキシブル基板103の保持部130の上面に重ねられる。ただし、切り込み部132において、フレキシブル基板202は、凸部136の下側を通過する。ここで、凸部136は互いに対向する方向に突出しているので、フレキシブル基板202は、幅方法について両側から凸部136に挟まれる。これにより、保持部130は、フレキシブル基板202を幅方向に位置決めして保持する。
【0057】
フレキシブル基板102に保持された場合と同様に、フレキシブル基板202は、凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の一部を挿し込むことにより保持される。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板103に保持させることができる。
【0058】
また、フレキシブル基板103に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して凸部136を変形させることにより、保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板103、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0059】
なお、ひとつのフレキシブル基板103に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0060】
図13は、また他のフレキシブル基板104の平面図である。図1、図6、図9および図11に示したフレキシブル基板100、101、102、103と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0061】
フレキシブル基板104は、U字状の形状を有する切り込み部132を保持部130に有する。これにより、切り込み部132の内側に凸部136が形成される。ただし、凸部136は、配線部120のいずれに対しても45°傾斜して、配線部120に接近する方向に突出する。
【0062】
図14は、フレキシブル基板203の平面図である。フレキシブル基板203は、帯状のベースフィルム210と、ベースフィルム210上に配された配線部220とを有する点で、フレキシブル基板202と共通するが、長手方向の中間部に、信号経路が90°屈曲する屈曲部212を有する。
【0063】
図15は、フレキシブル基板104に、フレキシブル基板203を保持させた状態を示す平面図である。図13および図14と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0064】
フレキシブル基板203は、フレキシブル基板104の保持部130の上に重ねられるが、凸部136は、フレキシブル基板203の上に位置する。また、フレキシブル基板203の屈曲部212の外側端部は、保持部130の下側に入り込む。
【0065】
これにより、フレキシブル基板203は、屈曲部212において保持部130に保持され、フレキシブル基板104の配線部120に対して一定の間隔を保つ。フレキシブル基板203は屈曲部212を有するので、フレキシブル基板203の配線部220と、フレキシブル基板104の配線部120が交差することはない。
【0066】
フレキシブル基板203をフレキシブル基板104に保持させる場合、まず、凸部136先端をベースフィルム110の弾性に抗して持ち上げ、その下にフレキシブル基板202の屈曲部212を挿し込む。次いで、フレキシブル基板203の角部を、保持部130のベースフィルム110の下に差し込む。これにより、フレキシブル基板203を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、フレキシブル基板203の屈曲部212をフレキシブル基板104に保持させることができる。
【0067】
また、フレキシブル基板104に保持されたフレキシブル基板203は、ベースフィルム210の弾性に抗して屈曲部212を撓ませることにより保持部130から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板203を傷めることなくフレキシブル基板104から分離できる。また、フレキシブル基板104、203の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板104、203のいずれかが劣化することはない。
【0068】
なお、ひとつのフレキシブル基板104に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0069】
図16は、また他のフレキシブル基板105の平面図である。図1、図6、図9、図11および図13に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0070】
フレキシブル基板105は、保持部130の外縁までつながった切り込み部132を有する。保持部130の内側では、切り込み部132は拡がって開口部134を形成する。
【0071】
図17は、フレキシブル基板105に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7および図16と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0072】
フレキシブル基板202は、保持部130の開口部134に挿通されている。フレキシブル基板202は、ベースフィルム110の弾性に抗して切り込み部132を押し開くことにより開口部134に差し込まれる。よって、フレキシブル基板202を、端部から切り込み部132に挿通させることなく、長手方向の任意の位置でフレキシブル基板105に保持させることができる。
【0073】
また、フレキシブル基板105に保持されたフレキシブル基板202は、ベースフィルム210の弾性に抗して切り込み部132を押し開くことにより開口部134から取り外すことができる。よって、いったん保持されたフレキシブル基板202を傷めることなく、両者を分離できる。また、フレキシブル基板105、202の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板102、202のいずれかが劣化することはない。
【0074】
図18は、フレキシブル基板105に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す平面図である。図7、図16および図17と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0075】
図17に示した状態と同様に、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板105の開口部134に挿通されている。ただし、フレキシブル基板202は、フレキシブル基板105の長手方向に交差する方向に挿通されている。
【0076】
このように、保持部130は、延在方向の異なるフレキシブル基板202を保持できる。また、保持部130は、図14に示した屈曲部212を有するフレキシブル基板203のように、形状の異なる他の信号線を保持することもできる。
【0077】
なお、ひとつのフレキシブル基板105に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0078】
図19は、また他のフレキシブル基板106の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13および図16に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0079】
フレキシブル基板106は、保持部130にX字状の形状を有する切り込み部132を有する。この形状により、切り込み部132には、2対の凸部131、133、135、137が形成される。
【0080】
よって、フレキシブル基板106は、互いに対向する一対の凸部131、135の下に差し込むことにより、フレキシブル基板202等の他の信号線を、フレキシブル基板106の長手方向に保持できる。また、フレキシブル基板106は、互いに対向する他の一対の凸部133、137の下に差し込むことにより、フレキシブル基板202等の他の信号線を、フレキシブル基板106の長手方向と交差する方向に保持できる。
【0081】
なお、ひとつのフレキシブル基板106に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0082】
図20は、また他のフレキシブル基板107の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16および図19に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0083】
フレキシブル基板107は、保持部130にU字状の切り込み部132を有する。この形状により、切り込み部132の内側には凸部136が形成される。
【0084】
また、フレキシブル基板107は、保持部130に複数の案内部138を有する。案内部138は、U字状の切り込み部132において互いに平行な2対の縁部に切り込みとして形成される。
【0085】
図21は、線材300の平面図である。線材300は、それぞれが線状の複数の信号線を含む。なお、線材300としては、単芯線、同軸線等の電気信号を伝播させる信号線の他、光信号を伝播させる光ファイバ、引っ張り力に抗するケブラー線等のテンションメンバを例示できる。
【0086】
図22は、フレキシブル基板107に、他の信号線としての線材300を保持させた状態を示す平面図である。図20および図21と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0087】
線材300は、保持部130の上面に重なって配されるが、部分的に凸部136の下側を通る。これにより、線材300の各々は、案内部138に嵌まり込んで、互いに一定の間隔を保つ。
【0088】
保持部130において、線材300は、凸部136の先端に形成された間隙から凸部136の下側に入れることができる。よって、保持部130は、線材300を端部から挿通させることなく、長手方向の任意の位置で保持できる。
【0089】
また、フレキシブル基板107に保持された線材300は、凸部136の先端に形成された間隙から抜き取ることにより、フレキシブル基板107による保持から解放できる。よって、フレキシブル基板107および線材300の脱着を繰り返しても、フレキシブル基板107および線材300のいずれかが劣化することはない。
【0090】
図23は、フレキシブル基板107に、他の信号線としての線材300を保持させた他の状態を示す平面図である。図20、図21および図22と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0091】
図示のフレキシブル基板107において、保持部130の形状および機能は、図20、および図22に示したフレキシブル基板107と変わらない。ただし、このフレキシブル基板107は、配線部120が直線状に配され、保持部130は配線部120の側方片側に突出して形成される。
【0092】
このような形状により、線材300は、フレキシブル基板107の配線部120と交差することなく配される。また、線材300どうしの間隔も一定に保たれる。よって、線材300相互と配線部120とのクロストークが抑制される。
【0093】
なお、ひとつのフレキシブル基板107に、複数の保持部130を設けてもよいことはいうまでもない。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。また、上記のように、フレキシブル基板107の配線部120が、保持部130に保持した線材300、フレキシブル基板202、203等の信号線と交差しない配置は、保持部130を有する他のフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106においても採用できる。
【0094】
図24は、また他のフレキシブル基板108の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16、図19および図20に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106、107と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0095】
フレキシブル基板108において、保持部130は、配線部120の両側方に突出した一対の帯状部を含む。帯状部はベースフィルム110の延長として形成される。
【0096】
図中で配線部120の上方に位置する保持部130の片方は、先端に差し込み部139を有する。差し込み部139は、先端にテーパ状部分を有すると共に、幅W7が狭くなったくびれ部を付け根部分に有する。
【0097】
図中で配線部120の下方に位置する保持部130の他方は、長穴状の切り込み部132を先端近傍に有する。切り込み部132の幅W8は、上側の帯状部におけるくびれ部の幅W7よりも広い。
【0098】
図25は、フレキシブル基板108単独で、保持部130を組み立てた状態を示す斜視図である。図25と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0099】
フレキシブル基板108においては、帯状部を屈曲させて、差し込み部139を切り込み部132に差し込むことにより、環状の保持部130が形成される。よって、環状の保持部130内に他の信号線を挿通することにより、フレキシブル基板108は、他の信号線を保持できる。
【0100】
図26は、フレキシブル基板108に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を保持させた状態を示す斜視図である。図7、図24および図25と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0101】
図示のように、フレキシブル基板108の保持部130が環状に組み立てられており、フレキシブル基板202が当該保持部130に挿通されている。これにより、フレキシブル基板202はフレキシブル基板108に保持され、両者を一体的に取り扱うことができる。
【0102】
なお、説明の便宜のためにフレキシブル基板202を保持部130に挿通すると記載した。しかしながら、保持部130の組み立てられていないフレキシブル基板108に、他の信号線としてのフレキシブル基板202を沿わせた後に、差し込み部139を切り込み部132に差し込んで保持部130を組み立てれば、フレキシブル基板202を端部から挿通することなく、保持部130に保持させることができる。
【0103】
また、組み立てられた保持部130は、差し込み部139を撓めて先端部の幅を狭くした状態で切り込み部132から抜くことにより、ベースフィルム110を傷めることなく、フレキシブル基板202を解放できる。よって、フレキシブル基板202の着脱を繰り返しても、フレキシブル基板108、202が劣化することはない。
【0104】
更に、フレキシブル基板108の保持部130の内径は、フレキシブル基板202の断面寸法に対して大きい。よって、保持部130に、複数のフレキシブル基板202を保持させることもできる。また、ひとつのフレキシブル基板108に、複数の保持部130を設けてもよいことはもちろんである。更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0105】
図27は、また他のフレキシブル基板109の平面図である。図1、図6、図9、図11、図13、図16、図19、図20および図24に示したフレキシブル基板100、101、102、103、104、105、106、107、108と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0106】
フレキシブル基板109において、保持部130は、配線部120の両側方に突出した一対の帯状部を含む。帯状部はベースフィルム110の延長として形成される。
【0107】
帯状部の先端近傍には、帯状部の幅の半分を越えて切り込まれた切り込み部132が形成される。切り込み部132は、フレキシブル基板109の長手方向について、互いに反対の方向から帯状部に切り込まれる。
【0108】
上記のようなフレキシブル基板109は、切り込み部132において帯状部の先端を係合させることにより、図25に示したフレキシブル基板108と同様に、環状の保持部130を形成する。よって、フレキシブル基板108と同様に、他の信号線、例えばフレキシブル基板202を保持し、また解放できる。
【0109】
また、フレキシブル基板109の保持部130は、複数のフレキシブル基板202を保持できる。更に、ひとつのフレキシブル基板109に、複数の保持部130を設けてもよい。また更に、複数設けた保持部130の構造、形状、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0110】
図28は、電子機器400の斜視図である。電子機器400はレンズユニット等に組み込まれる振動補正ユニットであり、フレキシブル基板204、ケース410、アクチュエータ420およびフォトインタラプタ430を含む。
【0111】
電子機器400は、円筒形のケース410の内部に形成され、互いに直角に配された一対のアクチュエータ420および一対のフォトインタラプタ430を含む。フレキシブル基板204は、ケース410の内側で、これらアクチュエータ420およびフォトインタラプタ430を電気的に結合する。
【0112】
電子機器400は、更に、角速度センサ等の電子部品組み込まれ、それらに対する電気的接続を形成する他の信号線も組み込まれる。そこで、フレキシブル基板204に保持部130を設けて他の信号線を保持させることにより、容量の限られたケース410内に部品を追加することなく、信号線を結束して位置決めできる。
【0113】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0114】
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、200、201、202、203、204 フレキシブル基板、110、210 ベースフィルム、120、220 配線部、130 保持部、131、133、135、136、137、231 凸部、132 切り込み部、134 開口部、138 案内部、139 差し込み部、212 屈曲部、233 先端縁部、300 線材、400 電子機器、410 ケース、420 アクチュエータ、430 フォトインタラプタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のベースフィルムと、
前記ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、前記ベースフィルムに固定された信号線と、
前記ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、前記ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部と
を備えるフレキシブル基板。
【請求項2】
前記保持部は、前記長手方向と交差する方向の移動によって前記信号線を着脱する請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記保持部には開口が設けられるともに、前記保持部は前記開口内に突出する凸部を有し、前記保持部における前記開口の周囲と前記凸部との間で前記他の信号線を挟んで保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記開口はU字状の切込みである請求項3に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記開口はH字状の切込みである請求項3に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記保持部には開口が設けられ、前記開口に前記他の信号線の凸部が収容されることにより前記保持部が前記他の信号線を保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
前記保持部には開口および前記開口から周縁部に切り込まれた切り込みが設けられ、前記切り込みから前記他の信号線が挿脱され、前記開口の周囲で前記他の信号線の表裏面を挟んで保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
前記保持部は、他の信号線としてフレキシブル基板を保持する請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項9】
前記保持部は、複数の前記他の信号線を保持する請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板および前記他の信号線を有する電子機器。
【請求項1】
帯状のベースフィルムと、
前記ベースフィルムの長手方向に沿って延伸し、前記ベースフィルムに固定された信号線と、
前記ベースフィルムの長手方向に交差する方向に、前記ベースフィルムと一体的に延長され、他の信号線を着脱自在に保持する保持部と
を備えるフレキシブル基板。
【請求項2】
前記保持部は、前記長手方向と交差する方向の移動によって前記信号線を着脱する請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記保持部には開口が設けられるともに、前記保持部は前記開口内に突出する凸部を有し、前記保持部における前記開口の周囲と前記凸部との間で前記他の信号線を挟んで保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記開口はU字状の切込みである請求項3に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記開口はH字状の切込みである請求項3に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記保持部には開口が設けられ、前記開口に前記他の信号線の凸部が収容されることにより前記保持部が前記他の信号線を保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
前記保持部には開口および前記開口から周縁部に切り込まれた切り込みが設けられ、前記切り込みから前記他の信号線が挿脱され、前記開口の周囲で前記他の信号線の表裏面を挟んで保持する請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
前記保持部は、他の信号線としてフレキシブル基板を保持する請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項9】
前記保持部は、複数の前記他の信号線を保持する請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のフレキシブル基板および前記他の信号線を有する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−209479(P2012−209479A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75067(P2011−75067)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]