説明

ブロック共重合体と電気めっき用ハードマスクを用いた、パターニングされた磁気記録ディスクのナノインプリント加工用マスタディスクの作製方法

【課題】 ブロック共重合体と電気めっき用ハードマスクを用いた、パターニングされた磁気記録ディスクのナノインプリント加工用マスタディスクの作製方法を提供する。
【解決手段】 パターニングされた媒体ディスクを作製するためのナノインプリント工程用のマスタディスクの作製方法は、導電基板と、ブロック共重合体の、ブロック共重合体成分の1つの、略半径方向の線および/または略同心円状の輪のパターンを形成する誘導自己組織化を利用する。基板上の、線および/または輪によって保護されていない領域内に金属を電気めっきする。ブロック共重合体成分を除去した後に、残っている金属のパターンをエッチングマスクとして使用して、最終的なマスタディスクまたは、後にマスタディスクの製造に使用される2つの別々のモールドのいずれかを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、データ1ビットがディスク上の磁気的に孤立化されたデータアイランド内に保存されるパターンドメディア磁気記録ディスクに関し、より詳しくは、パターンニングされたメディアディスクのナノインプリント加工に使用されるマスタディスクを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パターニングされた磁気記録媒体を使用する磁気記録ハードディスクドライブが、データ高密度化のために提案されている。パターンニングされたメディアにおいては、ディスク上の磁気記録層が、同心円状のデータトラック内に配列された、小さな孤立化されたデータアイランド(data island)へとパターニングされている。パターニングされたデータアイランドに求められる磁気的な孤立化を実現するためには、アイランド間のスペースの磁気モーメントを消滅させるか、実質的に低減させて、これらのスペースを基本的に非磁性としなければならない。あるタイプのパターンニングされたメディアでは、データアイランドは「溝(trench)」の上方に延びる、隆起領域(elevated region)または柱状体(pillar)であり、柱状体と溝の両方を磁性材料によって覆い、溝内の磁性材料を、一般的には珪素(Si)等の材料の「ポイズニング(poisoning)」によって、非磁性化する。また別のタイプのパターンニングされたメディアの場合、まず磁性材料を平坦なディスク基板上に堆積させる。その後、磁気データアイランドを、このデータアイランドを取り囲む領域にミリング、エッチングまたはイオン衝撃法を施すことによって形成する。パターンニングされたメディアディスクは、磁化方向が記録層の平面に平行、すなわち平面内にある水平磁気記録ディスクでも、磁化方向が記録層に垂直、すなわち面から外に向かう垂直磁気記録ディスクでもよい。
【0003】
パターンニングされたメディアディスクの製造方法として提案されているものの1つが、ナノインプリント法によるもので、これは時々「スタンパ(stamper)」とも呼ばれる、三次元的表面パターンを有するテンプレートまたはディスクを用いる。この方法においては、表面に重合膜を有する磁気記録ディスク基板をテンプレートに押し付ける。重合膜にテンプレートのパターンの逆像が転写され、すると、これがディスク基板のエッチングによりディスク上に柱状体を形成する際のマスクとなる。あるタイプのパターンニングされたメディアの場合は、それから、磁性層および磁気記録ディスクに必要なその他の層を、エッチング後のディスク基板と柱状体の上に堆積させ、パターンニングされたメディアディスクを形成する。他のタイプのパターンニングされたメディアの場合、磁性層および磁気記録ディスクに必要なその他の層を、まず平坦なディスク基板上に堆積させる。次に、ナノインプリント法で使用する重合膜をこれらの層の上に押し付ける。重合膜にテンプレートパターンの逆像が転写され、すると、これが下層のミリング、エッチングまたはイオン衝撃法のためのマスクとなる。テンプレートは、ディスクに直接インプリントするためのマスタマスクであってもよい。しかしながら、より有力な手法は、ディスクに設けたい柱状体のパターンに対応する柱状体のパターンを有するマスタディスクを製造し、このマスクディスクを使って複製テンプレートを製造することである。その複製テンプレートはそれゆえ、マスタディスク上の柱状体のパターンに対応する陥凹部または穴のパターンを有することになる。そして、複製テンプレートが、ディスクに直接インプリントするために使用される。パターンドメディアのナノインプリント加工は、非特許文献1と非特許文献2に記載されている。
【0004】
パターンニングされたメディアでは、同心円状のトラックに配列された、分離しているデータアイランドのパターンまたはアレイのビットアスペクト比(BAR)は、半径方向、すなわちクロストラック方向へのトラック間隔、すなわちピッチに対する円周方向、すなわちアロングトラック方向(along-the-track direction)へのアイランド間隔、すなわちピッチの比である。これは、アロングトラック方向へのビット毎インチ(BPI)単位の線状アイランド密度(linear island destiny)に対するクロストラック方向へのトラック毎インチ(TPI)単位のトラック密度の比と同じである。BARはまた、ビットセルの半径方向の寸法に対するビットセルの円周方向の寸法の比とも等しく、この場合データアイランドはビットセル内に配列される。ビットセルには、磁気データアイランドだけでなく、データアイランドとそれに直接隣接するデータアイランドの間の非磁性空間の半分の空間も含まれる。データアイランドの半径方向の長さに対する円周方向の幅の比は、アイランドアスペクト比(IAR)と呼ぶこととし、これをBARに近付け、またはそれより大きくすることができる。
【0005】
マスタテンプレートまたはディスクの作製は、困難で高度な工程である。ガウシアンビーム回転ステージ電子ビーム(eビーム)ライタを用いるeビームリソグラフィを使用することは、BARが約1、トラックピッチ(半径方向、すなわちクロストラック方向へのアイランドとアイランドの間隔)が約35nm、アイランドピッチ(円周方向、すなわちアロングトラック方向へのアイランドとアイランドの間隔)が約35nmのパターンニングされたメディアディスクのナノインプリント加工が可能なマスタディスクを作製する方法として有望視されている。データアイランドの半径方向の長さと円周方向の幅の各々が約20nmでIARが1の場合、これらの寸法により、パターンニングされたメディアディスクの面ビット密度は一般に、約500Gbit/inに限定される。超高面ビット密度(1テラビット/in超)のパターンニングされたメディアディスクを実現するためには、トラックピッチとアイランドピッチを約20nmとする必要があるだろう。しかしながら、ディスクのデータ面積と等しい面積の上に、このような小さな寸法のパターンニングされたメディアディスクをナノインプリント加工することができるマスタディスクは、eビームリソグラフィの分解能では実現できない。
【0006】
ブロック共重合体の誘導自己組織化もまた、マスタディスク作製のために提案されており、1テラビット/inより高い面ビット密度を実現できると考えられている。本願と同じ譲受人に譲渡されている特許文献1は、ブロック共重合体の有向または誘導自己組織化を使って、マスタディスク基板上に略半径方向の線のパターンを形成し、その後、従来のリソグラフィによって半径方向の線の上に同心円状の輪のパターンを形成することを開示している。レジストと、ブロック共重合体成分の1つを除去すると、基板にはもう一方のブロック共重合体成分の柱状体のパターンができ、これらは基板をエッチングするためのエッチングマスクとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,976,715 B2号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Bandic et al.,“Patterned magnetic media:impact of nanoscale patterning on hard disk drives”,Solid State Technology S7+Suppl.S,SEP 2006
【非特許文献2】Terris et al.,“TOPICAL REVIEW:Nanofabricated and self−assembled magnetic structures as data storage media”,J.Phys.D:Appl.Phys.38(2005)R199−R222
【非特許文献3】Moritz et al,“Patterned Media Made From Pre−Etched Wafers:A Promising Route Toward Ultrahigh−Density Magnetic Recording”,IEEE Transactions on Magnetics,Vol.38,No.4,July 2002,pp.1731−1736
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
求められる高い面ビット密度のパターンニングされたメディア磁気記録ディスクを得ることのできるマスタディスクと、その作製方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、eビームリソグラフィの分解能では実現が難しいトラックピッチとアイランドピッチを有するパターンニングされたメディアディスクを作製するためのナノインプリント工程に使用されるマスタディスクの作製方法に関する。マスタディスクは、ディスクを直接ナノインプリント加工するために使用してもよいが、後にディスクの直接ナノインプリント加工に使用される複製テンプレートを作製するために使用する可能性の方が高い。
【0011】
本発明の1つの実施形態においては、2つの別々のモールドを作製する。各モールドは、導電性基板、たとえば高不純物濃度シリコンを使用して作製する。第一のモールドでは、ブロック共重合体の誘導自己組織化によって基板上に半径方向の線のパターンを得る。次に、この基板を電気めっきして、金属の線のパターンを形成し、これを基板のエッチング用のエッチングマスクとして使用する。金属の線を除去すると、エッチング後の基板が、半径方向の線を有する第一のモールドとして残る。同じ方法を使用して、円周方向の輪を有する第二のモールドを作製する。マスタディスク基板を、保護層とレジスト層で被覆する。第一のモールドをレジスト層の上に押し当て、その結果として得られたレジストパターンをエッチングマスクとして使用して、レジストにより被覆されていない保護層をエッチングによって除去すると、第一のモールドのパターンに対応するレジストの条片と下の保護層が残る。残ったレジストの条片を、ドライまたはウェットプロセスにより除去する。その後、残りの保護層の条片を有する基板を、再びレジスト層で覆う。これに第二のモールドを押し付け、第一のパターンで形成された条片と交差する第二のモールドの溝で、レジストの条片を生成する。その結果として得られたレジストパターンをエッチングマスクとして使用して、保護層のうちレジストにより被覆されていない残りの部分をエッチングで除去する。保護層の露出部分をエッチングした後、残りのレジスト条片を、ウェットまたはドライプロセスによって除去すると、下の保護層の柱状体が残る。すると、これらの柱状体は、マスタディスク基板のうち保護されていない部分をエッチングするエッチング工程用のエッチングマスクとして機能する。その結果として得られたマスタディスクはすると、基板内に、同心円状の輪と略半径方向の線のパターンの柱状体を有する。あるいは、2回目のインプリントの後に、得られたレジストパターンをリフトオフ用のマスクとして使用する。2回目のインプリントの後に、保護層と同じまたは同類の材料の薄い層をレジスト条片の上と基板の露出部分に堆積させ、基板上にすでに形成されている条片と交差する、保護層材料の新たな条片を形成する。保護層材料で被覆されたレジストを次に、適当な溶媒または酸中でのリフトオフプロセスによって除去する。リフトオフの後、基板は長方形の穴が露出した、保護層材料の格子で構成される。このグリッドを次に、エッチングマスクとして使用して、マスタテンプレートにエッチングで穴を形成する。
【0012】
この方法の他の実施形態においては、従来の、すなわちeビームリソグラフィを使って、導電性基板、好ましくは高不純物濃度のシリコン基板上に、略半径方向の縞(stripe)のパターンを形成し、この縞は環状の領域または帯にグループ化される。次に、バルク周期L=Lradの第一のブロック共重合体(BCP)材料をパターン上に堆積させると、第一のBCPのその成分ごとの誘導自己組織化が起こり、略半径方向の縞が多重化され、交互に配列される第一のBCP成分の、略半径方向の線となる。半径方向の線は、好ましくは、その円周方向の密度が半径方向の縞より高い。成分のうち1つの半径方向の線を除去すると、第一のBCPの残りの成分の半径方向の線が残る。次に基板を電気めっきし、第一のBCPの残りの成分を除去すると、金属の半径方向の線のパターンが残る。
【0013】
次に、バルク周期L=Lcircの第二のBCP材料を金属の半径方向の線の上に堆積させて、略同心円状の輪を画定する。第二のBCPの成分のうち1つの同心円状の輪を除去すると、残りの第二のBCP成分の同心円状の輪が残る。それによって得られる構造は、金属の半径方向の線の上の残りの第二のBCP成分の同心円状の輪のパターンを有する。その後、この構造を穴また柱状体のいずれかを有するマスタディスクの製作に使用する。
【0014】
本発明の性質と利点を十分に理解するために、添付の図面とともに以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】先行技術において開示されている、パターンニングされたメディアのタイプの磁気記録ディスクを用いるディスクドライブの上面図である。
【図2】パターンニングされたメディアのタイプの磁気記録ディスクの拡大部分の上面図であり、ディスク基板表面上の帯のうちの1つのデータアイランドの詳細な配列を示す図である。
【図3】1つのタイプのパターンニングされたメディアディスクの断面側面図であり、ディスク基板表面の上方に延びる、高い、離間された柱状体としてのデータアイランドと、柱状体間の溝を示す図である。
【図4】パターンニングされたメディアディスクの概略図であり、3つの環状帯の中の半径方向の線のパターンを示す図であり、半径方向の線の各々は、その帯内の同心円状の全トラックのデータアイランドを表すものとする。
【図5A】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5B】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5C】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5D】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5E】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5F】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5G】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5H】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5I】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5J】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5K】本発明によるマスタディスクの作製に使用されるモールドを作製する一連の段階におけるモールドの1つの環状帯の一部分の図である。
【図5L】2つのモールドを使用して作製されたマスタディスクの上面図であり、各モールドは図5A〜5Kに示される方法で作製される。
【図6A】本発明によるマスタディスクの製作方法の第二の実施形態による一連の段階におけるマスタディスクの1つの環状帯の一部分の図である。
【図6B】本発明によるマスタディスクの製作方法の第二の実施形態による一連の段階におけるマスタディスクの1つの環状帯の一部分の図である。
【図6C】本発明によるマスタディスクの製作方法の第二の実施形態による一連の段階におけるマスタディスクの1つの環状帯の一部分の図である。
【図6D】本発明によるマスタディスクの製作方法の第二の実施形態による一連の段階におけるマスタディスクの1つの環状帯の一部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、先行技術において開示されている、パターンニングされた磁気記録ディスク10を使用するディスクドライブ100の上面図である。ドライブ100は、アクチュエータ130を支持する筐体またはベース112と、磁気記録ディスク10をその中心13の周囲で回転させるドライブモータとを有する。アクチュエータ130は、ボイスコイルモータ(VCM)回転アクチュエータであってもよく、これは剛性のアーム134を有し、旋回軸132の周囲で、矢印124によって示されるように回転する。ヘッドサスペンションアセンブリには、一端がアクチュエータアーム134の端に取り付けられたサスペンション121と、サスペンション121のもう一端に取り付けられたヘッドキャリア122、たとえばエアベアリングスライダとが含まれる。サスペンション121によって、ヘッドキャリア122は、ディスク10の表面から非常に近い位置に保持される。磁気抵抗読取ヘッド(図示せず)とインダクティブ書込みヘッド(図示せず)は一般に、ヘッドキャリア122の後面(trailing surface)の上にパターニングされた一体の読取/書込みヘッドとして形成され、これは当業界で周知のとおりである。
【0017】
パターニングされた磁気記録ディスク10は、ディスク基板11と、基板11上の磁性材料の分離されたデータアイランド30を含む。データアイランド30は、データを保存するための分離磁性ビットとして機能し、半径方向に離間された円形のトラック118内に配列され、トラック118は、環状帯119a、119b、119cにグループ化される。データトラックを環状領域または帯にグループ化することによって、帯状の記録が可能となり、その場合、データアイランドの角距離(angular spacing)、およびひいてはデータレートは各帯で異なる。図1においては、内側帯119aと外側帯119cの中の数個のアイランド30と代表的なトラック118だけが示されている。ディスク10がその中心13の周囲で、矢印20の方向に回転すると、アクチュエータ130の運動によって、ヘッドキャリア122の後端(trailing edge)の読取/書込みヘッドはディスク10上の異なるデータトラック118にアクセスできる。アクチュエータ130が旋回軸132の周囲で回転して、ヘッドキャリア122の後端の読取/書込みヘッドがディスク内径(ID)付近からディスク外径(OD)付近へと移動すると、読取/書込みヘッドはディスク10を横切って円弧状の経路を形成する。
【0018】
図2は、ディスク10の拡大部分の上面図であり、先行技術によるディスク基板11の表面上の帯の1つにおけるデータアイランド30の詳細な配列を示す。アイランド30は、円形の形状で示されているが、他の形状、たとえば略長方形または略楕円形であってもよい。アイランド30は、磁化可能な記録材料を含み、半径方向、すなわちクロストラック方向に離間されたトラックに配列され、これはトラック118a〜118eで示される。トラックは一般に、ほとんど一定のトラックピッチ、すなわち間隔TSだけ離間されている。各トラック118a〜118eの中で、アイランド30はほとんど一定のアロングトラック方向(along-the-track direction)のアイランドピッチ、すなわち間隔ISで大体等しく離間されており、これは概してアイランド30a、30bで示され、ここで、ISは1つのトラック内の2つの隣接するアイランドの中心間の間隔である。図2において、TSとISは等しく描かれているため、BARは1である。アイランド30はまた、略半径方向の線に配列され、これはディスクの中心13(図1)から延びる半径方向の線129a、129b、129cで示されている。図2にはディスク基板11のごく一部分のみが数個のデータアイランドのみとともに示されているため、アイランド30のパターンは垂直線の2つの集合のように見える。しかしながら、トラック118a〜118eは、ディスク10の中心13を中心とする同心円状の輪であり、線129a、129b、129cは平行線ではなく、ディスク10の中心13から延びる半径方向の線である。それゆえ、半径方向に内側のトラック(トラック118e等)において隣接する、線129aと129bの中の隣接アイランドに関する、ディスクの中心13から測定した隣接アイランド間の角距離は、半径方向に外側のトラック(トラック118a等)において隣接する、線129aと129bの中のアイランドに関する角距離と同じである。
【0019】
略半径方向の線(線129a、129b、129c等)は、完全に直線の半径方向の線であってもよいが、好ましくは、回転アクチュエータ上の読取/書込みヘッドの弓形経路を再現する、円弧または弓形の半径方向の線である。このような弓形の半径方向の線により、ヘッドがデータトラックを横切って掃引する際のデータアイランドの相位置(phase position)が一定となる。読取ヘッドと書込みヘッドの間の半径方向のオフセットが非常に小さいため、トラックの書込みに使用される同期磁界が実際には、異なるトラックから読み出される。半径方向の線が弓形である場合のように、2つのトラック間のアイランドが同相であると、書込みは大幅に単純化される。
【0020】
図2に示されるようなパターンドメディアディスクは、磁化可能な記録材料内の磁化方向がアイランド内の記録層の平面に平行、すなわちその平面内にある水平磁気記録ディスクでも、または磁化方向がアイランド内の記録層の平面に垂直、すなわちその平面から出る方向である垂直磁気記録ディスクでもよい。パターンニングされたデータアイランドに必要な磁気的孤立化を実現するためには、アイランド間の領域の磁性モーメントを消滅させるか、実質的に低減させて、これらのスペースを基本的に非磁性化しなければならない。パターンドメディアは、いくつかの公知の方法のいずれによって作製してもよい。あるタイプのパターンニングされたメディアにおいて、データアイランドは、隆起した(高くなっている)、離間された柱状体であり、これはディスク基板表面の上方に延びて、基板表面上の柱状体間には谷または溝が画定される。このタイプのパターンニングされたメディアは、図3において断面図で示されている。このタイプのパターンニングされたメディアでは、プリエッチングされた柱状体(pillar)31と谷(trench)、すなわち柱状体間の領域のパターンを有する基板11を、マスタテンプレートまたはディスクを使って、比較的低コストで大量生産できるナノインプリント工程で生産することができる。この場合、磁気記録層材料をプリエッチングされた基板の表面全体に堆積させ、柱状体31の端と柱状体31間の谷の両方を覆うと、磁気記録層材料のデータアイランド30と磁気記録層材料の谷32が得られる。記録層材料の谷32は、読取/書込みヘッドから十分に離間させて、アイランド30内の記録層材料へ読み書きに不利な影響を与えないようにしてもよく、または、谷を、Si等の材料の「ポイズニング」によって非磁性化してもよい。このタイプのパターンドメディアは、非特許文献3に記載されている。
【0021】
図4は、パターンニングされたメディアディスク10の概略図であり、3つの環状帯119a〜119cの中の略半径方向の線のパターンを示している。半径方向の線の各々は、その帯内のすべての同心円上のトラックのデータアイランドを表すものとする。半径方向の線の円周方向の密度は3つの帯すべてにおいて同じであり、半径方向の線の角距離は、帯内で、ディスクの内径(ID)から外径(OD)に向かう方向に角距離がより小さくなるように調整され、それゆえ、半径方向の線の円周方向の密度および、ひいてはデータアイランドの「線密度」またはアロングトラック方向への密度は、ディスク上のすべての帯について、比較的一定のままとなる。実際には、一般的なディスクは約20の環状帯に分割され、これによって線密度が、すべての帯で数パーセントの範囲内で一定のままである。各帯内では、半径方向の線が、同心円状の輪に配列された、非常に短い半径方向の区分または長さに細分され(図示せず)、各輪がデータトラックであり、半径方向の区分または長さの各々が、分離されたデータアイランドである。各環状帯、たとえば帯119cは、帯のIDと帯のODとを有する。また、実際には、略半径方向の線は、より一般的に、略弓形線であり、これは回転アクチュエータの端に取り付けられた読取/書込みヘッドの経路を再現している。
【0022】
マスタテンプレートまたはディスクを作製して超高密度のパターンニングされたメディアディスクを実現することは、困難で高度な工程である。ガウシアンビーム回転ステージ電子(eビーム)ビームライタを用いたeビームリソグラフィを利用することが、BARが約1、トラックピッチ(半径方向、すなわちクロストラック方向へのアイランドとアイランドの間隔)が約35nm、アイランドピッチ(円周方向、すなわちアロングトラック方向へのアイランドとアイランドの間隔)が約35nmのパターンニングされたメディアディスクをナノインプリント加工できるマスタディスクを作るための方法として、有力視されている。データアイランドの半径方向の長さと円周方向の幅が、IARを1とするためにそれぞれ約20nmである場合、これらの寸法によって、パターンニングされたメディアディスクの面ビット密度が概して約500Gbit/inに制限される。超高面ビット密度(1超テラビット/in)を有するパターンニングされたメディアディスクを実現するには、トラックピッチとアイランドピッチは約25nmとする必要がある。しかしながら、ディスクのデータ面積と等しい面積の上にこのような小さな寸法のパターンニングされたメディアディスクをナノインプリント加工できるマスタディスクは、eビームリソグラフィの分解能では実現不能である。
【0023】
BCPの誘導自己組織化もまた、マスタディスク作製用として提案されており、1超テラビット/inの面ビット密度を実現できると考えられている。本願と同じ出願人に譲渡された特許文献1には、BCPの誘導自己組織化を利用して、マスタディスク基板上に略半径方向の線のパターンを形成し、その後、従来のリソグラフィで半径方向の線の上に同心円状の輪のパターンを形成することが記載されている。レジストとBCP成分の1つを除去した後、基板には、他のBCP成分の柱状体のパターンができ、これはその後、基板をエッチングするためのエッチングマスクとして使用される。その結果、パターンドメディアディスクに望まれるデータアイランドのパターンに対応する基板材料の柱状体を有するマスクディスクが得られる。
【0024】
本発明は、パターンニングされたメディアディスクを作製するためのナノインプリント工程に使用されるマスタディスクの作製方法に関する。この方法は、導電性基板と、BCPの誘導自己組織化を使用して、BCP成分の1つの略半径方向の線および/または略同心円状の輪のパターンを形成する。次に、金属を基板上の、線および/または輪によって保護されていない領域に電気めっきする。BCP成分を除去した後に、残った金属パターンをエッチングマスクとして使用して、最終マスタディスクまたは2つの別々のモールド(mold)のいずれかを製造し、これがその後、マスタディスクの作製に使用される。
【0025】
自己組織化BCPは、周期的なナノメータ(nm)スケールの特徴物を創出するために提案されてきた。自己組織化BCPは一般に、非相溶性の2つまたはそれ以上の異なるブロック重合体成分、たとえば成分AとBを含む。適当な条件下で、これらの2つまたはそれ以上の非相溶性ブロック重合体成分は、ナノメータスケールで2つまたはそれ以上の異なる相またはミクロドメインに分離し、それによって孤立化されたナノサイズの構造的ユニットの規則化パターンが形成される。自己組織化した周期的パターンを形成するには、多様なタイプのBCPを使用できる。成分AまたはBの一方が、もう一方を除去することなく、選択的に除去可能であれば、除去されていない成分の規則的に配列された構造ユニットを形成できる。
【0026】
自己組織化した周期的パターンを形成するために使用できる適当なBCPの具体的な例としては、これらに限定されないが、ポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PS−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキサイド−ブロック−イソプレン)(PEO−b−PI)、ポリ(エチレンオキサイド−ブロック−ブタジエン)(PEO−b−PBD)、ポリ(エチレンオキサイド−ブロック−スチレン)(PEO−b−PS)、ポリ(エチレンオキサイド−ブロック−メチルメタクリレート)(PEO−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキサイド−ブロック−エチルエチレン)(PEO−b−PEE)、ポリ(スチレン−ブロック−ビニルピリジン)(PS−b−PVP)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン)(PS−b−PI)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)(PS−b−PBD)、ポリ(スチレン−ブロック−フェロセニルジメチルシラン)(PS−b−PFS)、ポリ(ブタジエン−ブロック−ビニルピリジン)(PBD−b−PVP)、ポリ(イソピレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PI−b−PMMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ジメチルシロキサン)(PS−b−PDMS)がある。
【0027】
BCPによって形成される具体的な自己組織化した周期的パターンは、第一と第二のブロック重合体成分AとBとのモル容積比により決まる。第二のブロック重合体成分Bのモル容積の、第一のブロック重合体成分Aのモル容積に対する比が約80:20より小さく、約60:40より大きい時、このBCPは第二のブロック重合体成分Bからなるマトリクスの中に第一のブロック重合体成分Aからなるシリンダ(cylinder)が規則的に配列したアレイを形成する。第一のブロック重合体成分Aのモル容積の、第二のブロック重合体成分Bのモル容積に対する比が約60:40より小さく、約40:60より大きい時、このBCPは、第一と第二のブロック重合体成分AとBからなる交互配列のラメラ(lamellae)を形成する。本発明においては、除去されない成分をエッチングマスクとして使用するため、交互配列のラメラおよび交互配列のシリンダの規則的なアレイが関心対象である。
【0028】
周期的パターンの反復構造単位の周期性、すなわちバルク周期(L)は、固有の重合特性、たとえば重合度NやFlory−Hugginsの相互作用パラメータχによって決まる。Lは重合度Nに対応し、重合度N自体は分子量Mと相関する。したがって、本発明のBCPの総分子量を調整することによって、反復構造単位のバルク期間(L)を選択できる。
【0029】
自己組織化の周期パターンを形成するためには、BCPをまず適当な溶媒系に溶解させてBCP溶液を形成してから表面に塗布して薄いBCP層を形成し、その後、薄いBCP層のアニーリングを行うと、BCPに含まれる異なるブロック重合体成分間が相分離(phase isolation)する。BCPを溶解させ、BCP溶液を形成するために使用される溶媒系は、どのような適当な無極性溶媒でもよく、たとえば、これらに限定されないが、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、アセトンがある。BCP溶液は、どのような適当な方法で基板表面に塗布することもでき、たとえば、これらに限定されないが、スピンキャスト、コーティング、溶射、インクコーティング、浸漬コーティングがある。好ましくは、BCP溶液を基板表面にスピンキャストして、薄いBCP層を形成する。薄いBCP層を基板表面に形成した後に、基板全体にアニーリングを行うことによって、BCPに含まれる異なるブロック成分のミクロ相分離を起こさせ、それによって、反復構造単位の周期的パターンを形成する。
【0030】
上記のような方法におけるBCP膜は、方向付けや誘導を一切必要とせずに自己組織化する。このような方向付けのない自己組織化によって欠陥のあるパターンができるため、長い範囲にわたる規則化が必要な用途、たとえばパターンニングされたメディアディスクのナノインプリント用マスタディスクに半径方向の線の環状帯を作製するためには実用的ではない。しかしながら、方向付けまたは誘導によるBCPの自己組織化を利用してBCP成分の1つを略半径方向の線および/または略同心円状の輪にパターニングすることが、本願と同じ出願人に譲渡された特許文献1に記載されている。
【0031】
本発明の第一の実施形態においては、一方は略半径方向の線を有し、もう一方は略同心円状の輪を有する、2つの別々のモールドを作製する。その後、2つのモールドを使って、マスタディスクを作製する。各モールドの作製方法を、図5A〜5Kに関して説明する。図5A〜5C、5E〜5Iおよび5Kは、この製造方法のさまざまな段階における断面側面図であり、図5Dと5Jは、その方法のさまざまな段階における上面図である。まず図5Aを参照すると、基板200は導電性である(または、導電性表面を有する)。好ましい基板は高不純物濃度シリコン、たとえば、単結晶シリコンウェハに十分な量のボロン(B)、リン(P)、アンチモン(Sb)、ヒ素(As)をドープして、導電性ウェハとしたものがある。このようなウェハは一般に、2nmの自然表面酸化物層(SiO)を有し、これは酸化物層200aとして描かれている。しかしながら、HF溶液中でエッチングすることにより、ウェハ表面から自然酸化物を除去することが可能である。HF溶液中でエッチングされたシリコン表面は、表面の水素終端(surface termination with hydrogen)により、空気中での酸化に対して一時的に耐性を有することが知られている。導電性基板はまた、スパッタ法で堆積された薄い金属膜を有する基板、たとえばSiウェハであってもよい。金属膜は、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)によって除去可能な、どのような材料であってもよい。タングステン(W)、モリブデン(Mo)またはルテニウム(Ru)を金属膜として使用する場合、これらの材料は従来のフッ素化学を利用したRIEによって除去できる。
【0032】
ブロック重合体のうちのいずれの1つに対しても、それ以外のものに対するより強い湿潤親和性を示さない材料である、ほとんど中立の層205を以下、「中立層」と呼ぶが、この中立層を基板200の上に堆積させる。中立層は、官能化重合体ブラシ、架橋性重合体、官能化重合体「A」または「B」または、官能化ランダム共重合体「A−r−B」であってもよいが、これらに限定されない。官能基は、たとえば、ヒドロキシル基であってもよい。この例において、中立層205は、使用されるBCPより分子量が低い、末端ヒドロキシル基ポリスチレンブラシである。ブラシ材料をスピンコートにより基板200上に約1〜10nm(6nm以下が好ましい)の厚さに塗布する。中立層の目的は、表面エネルギーを、所望のドメイン配向(垂直ラメラ)を促進するように十分に調整することと、密度増倍のための十分な湿潤状態を提供することである。
【0033】
略半径方向の線を有するモールドを作製するための方法が図5A〜5Kに示されているが、この方法は、略同心円状の輪を有するモールドを作製する場合と同じである。図5Bにおいて、レジスト層が、ブラシ層(brush layer)205に堆積され、略半径方向の棒状体210のレジストとしてパターニングされている。レジストは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはZeon Chemicals,L.P.のZEP520のようなポジ型電子ビームレジストであってもよい。レジスト層は、電子ビームによってパターニングし、ブラシ層205の一部を露出させる半径方向のスペース211によって分離された半径方向の棒状体210のパターンを形成するように現像する。電子ビームツールでレジスト層をパターニングして、半径方向のスペース211の円周方向の間隔が、約Lの整数倍(すなわち、nL)、すなわち、後に堆積することになる選択されたBCPの既知のバルク期間となるようにする。図5Bにおいて、nは2である。半径方向のスペース211の各々の円周方向の幅は、約0.5Lとなるように選択される。
【0034】
図5Cにおいて、構造は酸素プラズマ反応性イオンエッチング(O RIE)によるエッチングで、ブラシ層205のうちの半径方向のスペース211にある部分が除去され、それによって酸化物層200aの一部が露出している。あるいは、ブラシ層205の、半径方向のスペース211の中の露出部分の化学構造を、(酸素プラズマエッチングまたは、反応性イオンエッチング、中性原子(Ar等)または分子ミリング、イオン衝撃および光分解により)化学的に変成して、ブラシ層205の露出部分が共重合体の1つについて優先的親和性(または反発力)を持つようにすることができる。図5Dは上面図であり、レジスト210が除去され、基板200上には、酸化物の、略半径方向の縞(stripe)200aによって分離された重合体ブラシ材料の、略半径方向の棒状体205のパターンが残っている。このパターンの中で、略半径方向の縞200aの円周方向の幅は0.5Lであり、円周方向のピッチは2Lである。図5Dはマスタディスクのごく一部分であるため、縞200aは平行な縞に見える。しかしながら、縞200aは、図4に示されるように、略半径方向に配列される。縞200aは完全に直線の半径方向の縞であってもよいが、好ましくは、回転アクチュエータ上の読取/書込みヘッドの弓形の経路を再現する、円弧または弓形の半径方向の縞である。
【0035】
次に、図5Eにおいて、BCP材料の層220が、ブラシ材料の半径方向の棒状体205と半径方向のスペース211内の半径方向の縞200aの上に堆積されている。好ましいBCP材料は、Lが約8nmから30nmのジブロック共重合体ポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート(PS−b−PMMA)であり、スピンコートによって約0.5Lから3Lの厚さに堆積される。
【0036】
図5Fでは、BCP層に、たとえば約250℃まで約60分間、窒素雰囲気化で加熱することによって、アニーリングが行われており、その結果、BCPに含まれる異なる成分間で相分離している。この例において、成分B(PMMA)は縞200aの表面に対して、または化学的に変成されたブラシ205の極性基に対して親和性を有し、それゆえ、半径方向の縞200aの上に、略半径方向の線215を形成する。縞200aの円周方向の幅が約0.5Lであるため、成分A(PS)は、重合体ブラシ材料の半径方向の棒状体205の上で、隣り合う半径方向の線212を形成する。それにより、成分AとBの自己組織化の結果として、成分Bもまた、重合体ブラシ材料の半径方向の棒状体205の各々の中心に、略半径方向の線215を形成する。それゆえ、略半径方向の縞200aは成分PSとPMMAの自己組織化を誘導して、図5Fに示されるように、構造中に半径方向の線212、215の交互配列を形成する。成分AとBは周期Lの平行線で自己組織化しようとするが、半径方向の縞200aの基板パターンによって線212、215の交互配列が誘導されて、半径方向の線が形成されており、これは、Lが半径方向の長さ全体にわたって一定となりえないことを意味する。しかしながら、半径方向の線212、215の交互配列のパターンは、Lからの変動が約10パーセントを超えなければ、重大な欠陥を生じさせることなく実現できる。それゆえ、これを実現するために、帯のIDの半径方向の縞200aの円周方向の間隔は約0.9nL以上とするべきであり、帯のODにおける半径方向の縞200aの円周方向の間隔は約1.1nL以下とするべきである(nは整数で、L=LradまたはL=Lcirc)。
【0037】
あるいは、BCPを溶解させて溶液にした時に使用した無極性溶媒と同じまたは同様の蒸気に曝すことによって、BCPに「アニーリング」を行うことができる。蒸気への曝露は、「溶媒アニール」とも呼ばれ、蒸気に曝すと、膜のガラス転移温度Tgが室温を下回る。蒸気を除くと(またはパージすると)膜はその最終結晶状態となる。
【0038】
次に、図5Gにおいては、成分B(PMMA)が、ウェットエッチング(酢酸、IPAまたはその他の選択的溶媒)またはドライエッチング工程(O RIE)によって選択的に除去されて、成分A(PS)の略半径方向の線212が残っている。自然酸化物層200aが不純物ドープシリコン基板200からまだ除去されていなければ、酸化物層200aの、半径方向の線212間で露出している部分を、フッ素含有プラズマを用いたドライエッチングまたはHF含有溶液を用いたウェットエッチングのいずれかによって除去して、これらの領域に不純物ドープ導電性シリコン基板200を露出させると、図5Hに示される構造が得られる。
【0039】
次に、図5Iにおいて、基板は電気めっき浴、好ましくはNiめっき浴、たとえばホウ酸、硫酸ニッケルおよび塩化ニッケルを含み、室温においてpH3.5で運転されるワット浴中に置かれる。Niの代わりに、その他の金属、たとえばNiPまたは、Co、Fe、CrまたはCuまたはそれらの合金のうちの1つまたはそれ以上を、これらの金属のための公知のめっき浴および方法を用いて電気めっきしてもよい。これによって、成分Aの半径方向の線212間にNiの半径方向の線213が得られる。Niの厚さは、好ましくは1nmから20nmの範囲である。
【0040】
次に、成分A(PS)の半径方向の線212と、その下のブラシ層205と酸化物200aの領域をO RIE工程またはフォーミングガスRIEまたは灰化によって除去すると、基板200上にNiの半径方向の線213が残る。得られた構造は、図5Jの上面図に示されており、同図は、円周方向の間隔Lを有する、略半径方向の金属線213を示す。図5Jでは、Niの半径方向の線213の円周方向の密度が図5Dの半径方向の縞200aの円周方向の密度の2倍になっている。
【0041】
次に、Niの半径方向の線213をエッチングマスクとして使用して、基板200の保護されていない部分をエッチングで除去する。
【0042】
その後、Niの半径方向の線を、酸含有溶液、たとえば硝酸またはピラニア洗浄液によるウェットエッチングにより除去する。図5Kは、その結果として得られるエッチング後の基板の断面図であり、環状帯の中に略半径方向の線として配列されたエッチングされた陥凹部214を示しており、この時点で、これはマスタディスクの作製中に略半径方向の線をパターニングするために使用される第一のモールドとして機能できる。
【0043】
基板200を直接エッチングするためのマスクとして金属(Ni)の半径方向の線213(図5J)を使用する代わりに、金属の半径方向の線213は、基板200の上に形成された二重層の上層をエッチングするためのマスクとして使用できる。この方法では、二重層を基板200の表面上に形成してから、中立層205を堆積させる。二重層は、基板200をエッチングするためのハードマスクとして使用される、たとえばCr、Cr合金またはCrN層である厚さ約5nmの下層と、たとえばSi合金、SiOまたはSiN層である厚さは約5nmの上層であってもよい。金属の線213をマスクとして使用したエッチングによって、二重層の、露出している上層を除去し、下層を露出させる。金属の半径方向の線213をエッチングして除去した後、得られた構造は、図5Kのそれと同様に見えるが、高い部分が上層となり、下層がその上層の真下に配置される点が異なる。すると、上層の高い部分が次に、下層の露出部分をエッチングにより除去するためのエッチングマスクとして使用される。上層を除去した後に、パターニングされたハードマスク、たとえばCr、Cr合金またはCrNのハードマスクが残る。このハードマスクを次に、下地の基板200をエッチングするために使用する。ハードマスクを除去した後、構造は図5Kのようになる。二重層を、下地の基板200をエッチングするために用いられるハードマスクを作製するために使用する利点は、上層を1回またはそれ以上のマスキングステップでパターニングできる点である。下層は、基板200を上層のパターニングに使用される工程から保護する。下層のパターニングが終われば、基板200を1回のエッチングステップでパターニングし、基板200全体にわたり均一な深さの特徴部を作ることができる。
【0044】
図5A〜5Kに関して上述したものと同じ工程で、マスタディスクの作製中に同心円状の輪をパターニングするために使用される第二のモールドを作製できる。唯一の相違点は、図5Bでは、ブラシ層205上に堆積されたレジスト層が、レジストの同心円状の棒状体210にパターニングされている点である。eビームツールにより、レジスト層をパターニングして、スペース211の半径方向の間隔が、その後堆積することになる選択されたBCPに関する既知のバルク周期であるLの約整数倍(すなわち、nL)となるようにする。それゆえ、上面図である図5Dには、略同心円状の縞200aによって分離される重合体ブラシ材料の同心円状の棒状体205がある。同様に、図5Jには、エッチングマスクとして機能する同心円状の金属の輪213がある。それゆえ、図5Kにおいて、基板200には環状帯内に略同心円状の輪として配列された、エッチングによる陥凹部214があり、この時点で、これはマスタディスクの作製中に略同心円状の輪をパターニングするために使用される第二のモールドとして機能できる。
【0045】
2つのモールド、一方が略半径方向の線のパターンを有し、もう一方が略同心円状の輪のパターンを有する2つのモールドを使用してマスタディスクを作製するために、マスタディスク基板を保護層とレジスト層で被覆する。マスタディスクの基板は、どのような適当な材料で形成してもよく、たとえば、これらに限定されないが、単結晶Si、非晶質Si、シリカ、石英、窒化珪素、炭素、タンタル、モリブデン、クロム、アルミナ、サファイアがある。保護層は、Cr、SiOまたはそれらの多層構造で形成してもよい。第一のモールド、たとえば半径方向の線を有するものをレジスト層に押し付け、その結果得られるレジストパターンをエッチングマスクとして使用して、レジストによって被覆されていない保護層をエッチングで除去すると、第一のモールドのパターンに対応するレジストとその下の保護層の線が残る。残りのレジストを、ドライまたはウェットプロセスで除去する。基板を再びインプリントレジストで被覆する。次に、第二のモールド、すなわち同心円状の輪を有するものを、第二のモールドの輪が第一のパターンに形成された保護層の線と交差するようにレジストに押し付ける。その結果として得られたレジストパターンを、エッチングマスクまたはリフトオフマスクのいずれかとして使用して、それぞれ柱状体形成用または穴形成用テンプレートを形成する。柱状体形成用に使用する場合、レジストパターンをマスクとして使用し、保護層の、レジストにより被覆されていない残りの部分をエッチングして除去すると、レジストとその下の保護層の柱状体が残る。すると、この柱状体は、マスタディスク基板の保護されていない部分をエッチングするエッチング工程のためのエッチングマスクとして機能する。その結果として得られるマスタディスクが、図5Lの上面図に描かれている。結果として得られたマスタディスク220は、基板内に柱状体225を有し、これは略半径方向の線234と略同心円状の輪225のパターンである。マスタディスク220を使って作製されたパターンニングされたメディアディスクは、陥凹部225と基本的に同じパターンと形状のデータアイランドを有することになる。図5Lの例において、半径方向の線234は円周方向の間隔Lradを有し、これは、半径方向の線を有するモールドを作製するために使用されるBCPが、バルク周期L=Lradとなるように選択されたからである。同様に、同心円状の輪244は半径方向の間隔Lcircを有し、これは、同心円状の輪を有するモールドを作製するために使用されるBCPが、バルク周期L=Lcircとなるように選択されたからである。それゆえ、マスタモールドを使って作製されるパターンニングされたメディアディスクは、BARがLcirc/Lradのデータアイランドを有することになる。2つのモールドを作製するために使用されるBCPは、所望のBARのデータアイランドを有するディスクが得られるように、適当な数値のバルク周期のものを選択できる。
【0046】
方法の第二の実施形態では、マスタディスクを直接作製する。工程は、図5A〜5Jに関して上述したものと同じである。この方法の出発構造として、図5Jに示される金属の線213は、金属の半径方向の線または金属の同心円状の輪とすることができるが、ここでは金属の半径方向の線として説明する。次に、図6Aの断面図に示されているように、表面改質層または、重合体ブラシ層205のような中立の重合体ブラシ層302を図5Jの構造の上に、すなわち金属の半径方向の線213の上と、基板200の、金属の半径方向の線213間の領域の上に塗布する。次に、図6Bの上面図において、eビームレジスト303の層がブラシ層302の上に堆積されている。レジスト303に対して回転ステージeビームツールを使用し、現像して、同心円状の境界領域307を露出させる。境界領域307の半径方向の幅は、約0.5Lcircとなるように選択され、Lcircは第二のBCPのバルク周期である。eビームに暴露される境界領域307間の中心から中心の距離はncircとなるように選択され、nは1またはそれ以上の整数である。次に、この構造に酸素プラズマを照射し、境界領域307の中立のブラシ材料302を改質する。レジスト303は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはZeon Chemicals,L.P.のZEP520のようなポジ型eビームレジストであってもよい。これにより、現像後、レジスト303で被覆された、半径方向の幅がncircの円周方向の領域313が残り、改質されたブラシ層302の境界領域307はレジストで被覆されない。
【0047】
次に、図6Cにおいて、レジストが除去されて、第二のBCP層が堆積され、アニーリングが行われており、その結果、BCPに含まれる異なる成分間で相分離している。この例において、成分B(PMMA)は、境界領域307内の改質されたブラシ層302に対する親和性を有し、それゆえ略円周方向の輪318を形成する。境界領域307の半径方向の幅が約0.5Lcircであるため、成分A(PS)は円周方向の輪319を形成する。第二のBCPの成分AとBの自己組織化の結果、成分Bはまた、半径方向の間隔Lcircの成分Aの輪319間に、略円周方向の輪318を形成する。その後、この構造に紫外線(UV)照射および酢酸湿式現像または乾式現像を施して、同心円状の輪318の第二の共重合体の成分B(PMMA)を除去すると、図6Dに示されているように、金属の半径方向の線213の上の成分A(PS)の同心円状の輪319が残り、導電性基板200の長方形の領域が露出する。
【0048】
マスタディスクを作製するための工程のこの段階では、2つの選択肢がある。第一の選択肢は、穴または陥凹部を有するマスタディスクを作製することである。図6Dの構造を金属めっき浴の中に置き、露出した金属の線213と、基板200の領域をNi等の金属でめっきする。次に、同心円状の輪319の成分A(PS)を酸素含有プラズマで除去する。これによって、金属の半径方向の線213と、同心円状の輪318(図6C)があった場所の金属の同心円状の輪の格子が残る。この格子を次に、エッチングマスクとして使用して、基板をエッチングし、穴または陥凹部のパターンを作る。すると、その結果として得られるマスタディスクは図5Lに示されるマスタディスクと同じである。
【0049】
第二の選択肢は、柱状体を有するマスタディスクを作製することである。半径方向の線を電気めっきし、残りのBCPを除去した後、SiOまたはSiN等の保護層を基板の上および電子めっきされた半径方向の線の上に堆積させる。その後、図6Aの断面図に示されるように、重合体ブラシ層205のような、表面改質層または中立の重合体ブラシ層302を、新たに堆積された保護層(図6Aには示されていない)の上、すなわち、すべて新たな保護層で被覆された金属の半径方向の線213と基板200の領域の上に塗布する。次に、図6Bの上面図において、eビームレジスト層303をブラシ層302の上に堆積させる。レジスト303に回転ステージeビームツールに暴露し、現像して、同心円状の境界領域307を露出させる。境界領域307の半径方向の幅は約0.5Lcircとなるように選択され、Lcircは第二のBCPのバルク周期である。eビームにより露出した、境界領域307間の中心間距離はncircとなるように選択され、nは1またはそれ以上の整数である。次に、この構造に酸素プラズマを照射し、境界領域307内の中立のブラシ材料302を改質する。レジスト303は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはZeon Chemicals,L.P.のZEP520のようなポジ型eビームレジストであってもよい。現像後、これによって、図6Bに示されているように、半径方向の幅がncircの、レジスト303により被覆された円周方向の領域313が残り、改質されたブラシ層302の境界領域307はレジストで被覆されない。レジスト303を除去した後、第二のBCPの層を堆積させ、アニーリングを行い、図6Cに示されているような円周方向の縞を形成する。次に、図6Dに示されているように、この構造にUV照射と酢酸湿式現像または乾式現像を行い、同心円状の輪318の中の第二の共重合体の成分B(PMMA)を除去すると、保護層(図6Dには示されていない)により被覆された金属の半径方向の線213の上にある成分A(PS)の同心円状の輪319が残り、導電性基板200のうち、保護層(図6Dには示されていない)により被覆された長方形の領域を露出させる。成分Aの同心円状の輪319をマスクとして使用し、保護層の露出部分をエッチングして、金属の導電性基板200の部分を露出させる。次に、残りの成分Aにより被覆された保護層の縞をエッチングマスクとして使用し、金属の半径方向の線213の露出部分をエッチングする。エッチングの後に、残っている成分Aの縞と残っている保護層の縞を、ドライまたはウェットプロセスで除去する。その結果、金属層213の長方形のアイランドまたは柱状体が得られ、これをエッチングマスクとして使用して、エッチングにより基板に柱状体を形成できる。
【0050】
本発明を、好ましい実施形態に関して具体的に示し、説明したが、当業者にとっては当然のことながら、本発明の真の主旨と範囲から逸脱することなく、形態や詳細部分に各種の変更を加えることができる。したがって、開示した発明は例示的にすぎないとみなし、範囲においては、付属の特許請求の範囲に明記されているようにのみ限定される。
【符号の説明】
【0051】
10 磁気記録ディスク
11 ディスク基板
13 ディスク中心
30 データアイランド
31 柱状体
32 記録層材料の谷
100 ドライブ
112 ベース
118 データトラック
119 環状帯
121 サスペンション
122 ヘッドキャリア
129、212、213、215、234 半径方向の線
130 アクチュエータ
132 旋回軸
134 アクチュエータアーム
200 基板
200a 酸化物層
205、302 ブラシ層
210 半径方向の棒状体
211 半径方向のスペース
214 陥凹部
220 BCP材料の層
225、244、318、319 同心円状の輪
303 電子ビームレジスト
307 境界領域
ID 内径
OD 外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録ディスクのインプリント用のマスタディスクを作製するためのモールドの作製方法において、
中心を有する導電性基板の上に、環状帯内に配列された縞のパターンを形成するステップと、
パターニングされた前記導電性基板の上にブロック共重合体を含む材料の層を形成するステップであって、前記ブロック共重合体を含む材料が、前記縞によって、前記ブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列へと自己組織化するように誘導される、ステップと、
前記第二の成分を除去して、前記第一の成分を残すステップと、
前記導電性基板の、前記第一の成分間の領域に金属を電気めっきするステップと、
前記第一の成分を除去して、金属のパターンを残すステップと、
前記金属のパターンをマスクとして使用して前記導電性基板をエッチングするステップと、
前記金属を除去して、環状帯内に配列された陥凹部のパターンを有するモールドを残すステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記縞のパターンを形成するステップが、略半径方向の縞のパターンを形成するステップを含み、前記ブロック共重合体を含む材料が、前記縞によって、前記ブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略半径方向の線へと自己組織化するように誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縞の円周方向の間隔が約nLradであり、nが2またはそれ以上の整数であり、
前記ブロック共重合体のバルク周期がLradであり、
前記ブロック共重合体を含む材料が、前記縞により、前記ブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略半径方向の線へと自己組織化するように誘導され、各成分の前記半径方向の線の円周方向の間隔が約Lradである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記略半径方向の縞が略弓形である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記縞のパターンを形成するステップが、略同心円状の縞のパターンを形成するステップを含み、前記ブロック共重合体を含む材料が、前記縞によって、前記ブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略同心円状の輪へと自己組織化するように誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記縞の半径方向の間隔が約nLcircであり、nが2またはそれ以上の整数であり、
前記ブロック共重合体のバルク周期がLcircであり、
前記ブロック共重合体を含む材料が、前記縞により、前記ブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略同心円状の輪へと自己組織化するように誘導され、各成分の前記同心円状の輪の半径方向の間隔が約Lcircである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記導電性基板が不純物ドープシリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性基板が、その基板上に金属膜を有するシリコンウェハを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記不純物ドープシリコンがその表面上に酸化物層を有し、前記金属を電気めっきするステップの前に、前記酸化物層を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性基板が、その表面上に形成された二重層を有する基板を含み、前記二重層の下層がCrを含み、
前記導電性基板をエッチングするステップが、前記金属のパターンをマスクとして使用して前記二重層の上層をエッチングして、前記下層の一部を露出させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属を電気めっきするステップが、ニッケル−リン(NiP)と、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)のうちの1つまたはそれ以上から選択される材料を電気めっきするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記パターニングされた基板上にブロック共重合体を含む材料の層を形成するステップが、ブロック共重合体材料の層を堆積させるステップと、前記堆積されたブロック共重合体材料をアニーリングし、前記第一の成分と第二の成分への相分離を起こさせるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ブロック共重合体を含む材料が、ポリスチレン(PS)とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の共重合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
磁気記録ディスクのインプリント用のマスタディスクの作製方法であって、
請求項2の前記方法を使用して第一のモールドを作製するステップと、
請求項5の前記方法を使用して第二のモールドを作製するステップと、
マスタディスク基板の上にレジスト材料の層を形成するステップと、
前記第一のモールドで前記レジスト材料をインプリントして、前記マスタディスク基板上にレジスト材料の第一の線を形成するステップと、
前記第一の線をエッチングマスクとして使用して、前記マスタディスク基板をエッチングするステップと、
前記第二のモールドで前記レジスト材料をインプリントして、前記マスタディスク基板上にレジスト材料の第二の線を形成するステップと、
前記マスタディスク基板をエッチングして、マスタディスク基板材料の柱状体を、環状帯内に配列された複数の同心円状の輪と複数の略半径方向の線の配列によって形成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
磁気記録ディスクのインプリント用のマスタディスクの作製方法において、
中心を有する導電性基板の上に、環状帯内に配列された第一の縞のパターンを形成するステップと、
パターニングされた前記導電性基板の上に第一のブロック共重合体を含む材料の層を形成するステップであって、前記第一のブロック共重合体を含む材料が、前記第一の縞のパターンによって、前記第一のブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の線の交互配列へと自己組織化するように誘導される、ステップと、
前記第一のブロック共重合体の前記第二の成分の線を除去して、前記第一のブロック共重合体の前記第一の成分の線を残すステップと、
前記導電性基板の、前記第一のブロック共重合体の前記第一の成分の前記線間の領域に金属を電気めっきするステップと、
前記第一のブロック共重合体の前記第一の成分の前記線を除去して、金属の線のパターンを残すステップと、
前記導電性基板と前記金属の線のパターンの上に重合体ブラシ材料の層を堆積させるステップと、
前記重合体ブラシ材料の上に、レジストの棒状体のパターンを形成するステップと、
前記レジストの棒状体によって保護されていない前記重合体ブラシ材料を改質するステップと、
前記レジストを除去して、改質された重合体ブラシ材料の第二の縞のパターンを残すステップと、
前記導電性基板、前記金属の線のパターン、および前記改質された重合体ブラシ材料の第二の縞のパターンの上に前記第二のブロック共重合体材料の層を堆積させるステップであって、前記第二のブロック共重合体の材料が、前記第二の改質された重合体ブラシ材料の第二の縞のパターンにより、前記第二のブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の線の交互配列へと自己組織化するように誘導される、ステップと、
前記第二のブロック共重合体の前記第二の成分の前記線を除去して、前記金属の線の上にある前記第二のブロック共重合体の第一の成分の線のパターンを残すステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記金属の線と、前記導電性基板の、前記金属の線間の領域とに金属を電気めっきするステップと、
前記第二のブロック共重合体の前記第一の成分を除去して、交差する金属の線の格子を残すステップと、
前記交差する金属の線の格子をマスクとして使用して前記導電性基板をエッチングするステップと、
前記金属の線を除去して、環状帯内に配列された陥凹部のパターンを有するマスタディスクを残すステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電性基板が、その表面上に形成された二重層を有する基板を含み、前記二重層の下層がCrを含み、
前記導電性基板をエッチングするステップが、前記金属の線のパターンをマスクとして使用して前記二重層の上層をエッチングするステップと、前記金属の線を除去するステップと、前記二重層の前記上層をマスクとして使用して前記二重層の前記下層をエッチングするステップと、前記二重層の前記上層を除去するステップと、前記二重層の前記下層をハードマスクとして使用して前記導電性基板をエッチングするステップとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第二のブロック共重合体の前記第一の成分の前記線によって保護されていない前記金属の線をエッチングするステップと、
前記第二のブロック共重合体の前記第一の成分の線を除去して、前記導電性基板上に金属の柱状体のパターンを残すステップと、
前記金属の柱状体をマスクとして使用して前記導電性基板をエッチングするステップと、
前記金属の柱状体を除去して、環状帯内に配列された柱状体のパターンを有するマスタディスクを残すステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性基板が、その表面上に形成された二重層を有する基板を含み、前記二重層の下層がCrを含み、
前記導電性基板をエッチングするステップが、前記金属の柱状体のパターンをマスクとして使用して前記二重層の上層をエッチングするステップと、前記金属の柱状体を除去するステップと、前記二重層の前記上層をマスクとして使用して前記二重層の前記下層をエッチングするステップと、前記二重層の前記上層を除去するステップと、前記二重層の前記下層をハードマスクとして使用し前記導電性基板をエッチングするステップと、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の縞のパターンを形成するステップが、略半径方向の縞のパターンを形成するステップを含み、
前記第一のブロック共重合体の材料が、前記略半径方向の縞によって、前記第一のブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略半径方向の線へと自己組織化するように誘導され、
前記改質された重合体ブラシ材料の第二の縞のパターンが、略同心円状の縞のパターンを含み、
前記第二のブロック共重合体の材料が、前記略同心円状の縞のパターンにより、前記第二のブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略同心円状の輪へと自己組織化するように誘導される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記第一のブロック共重合体のバルク周期がL=Lradであり、
前記略半径方向の縞の円周方向への間隔が約nLradであり、nが2またはそれ以上の整数であり、
前記第一のブロック共重合体の材料が、前記略半径方向の縞により、前記第一のブロック共重合体の第一と第二の成分の交互配列の、略半径方向の線へと自己組織化するように誘導され、
前記第一のブロック共重合体の各成分の前記半径方向の線の円周方向の間隔が約Lradであり、
前記第二のブロック共重合体のバルク周期がL=Lcircであり、
前記略同心円状の縞の半径方向の間隔が約nLcircであり、nが2またはそれ以上の整数であり、
前記第二のブロック共重合体の材料が、前記略同心円状の縞により、前記第一のブロック共重合体の第一の成分と第二の成分の交互配列の、略同心円状の輪へと自己組織化するように誘導され、前記第二のブロック共重合体の各成分の前記同心円状の輪の半径方向の間隔が約Lcircである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記略半径方向の縞が略弓形である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記導電性基板が不純物ドープシリコンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記不純物ドープシリコンがその表面上に酸化物層を有し、前記金属を電気めっきするステップの前に、前記酸化物層を除去するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記第一のブロック共重合体材料が、ポリスチレン(PS)とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の共重合体である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記第一と第二のブロック共重合体材料の各々が、ポリスチレン(PS)の第一の成分とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の第二の成分のジブロック共重合体材料であり、前記第一のブロック共重合体材料の分子量が前記第二のブロック共重合体材料の分子量と異なる、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2013−65392(P2013−65392A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204220(P2012−204220)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(503116280)エイチジーエスティーネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】