説明

プラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物

【課題】 ラミネート時のブロッキング性を有し、ラミネート時余熱により熱硬化を完了する、ラミネート後の加熱,熟成処理が不要のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】 数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の飽和型ポリエステル樹脂(A)、数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の飽和型ポリエステル樹脂(B)、高エーテル化アミノ樹脂(C)、数平均分子量が500〜5000のエポキシ樹脂(D)、強酸化合物(E)を含有するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物であって、合計を100質量部にしたときに、(A)40〜70質量部、(B)10〜40質量部、(C)1〜10質量部、(D)5〜20質量部、(E)0.01〜10質量部を含有するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチックフィルムラミネート鋼板用剤接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に無地の塗工や図柄の印刷を施したプラスチックフィルムを鋼板表面に接着させたラミネート鋼板は、従来のような金属表面に塗装又は印刷を施すことよりも安価にでき、家電製品、暖房機器、内装建材、器物等として利用されている。この種のラミネート鋼板は金属素材に接着剤層を設けるか、またはプラスチックフィルムに接着剤層を設けるか、またはプラスチックフィルムを溶融することで金属素材にラミネートされ、製造されている。プラスチックフィルムを金属素材に接着する熱硬化型接着剤としては、ポリエステル/アミノ系接着剤(例えば、特許文献1、2、3参照)、ポリエステル/ブロックイソシアネート系接着剤(例えば、特許文献2、3、4、5、6、9参照)、エポキシ/ブロックイソシアネート系接着剤(例えば、特許文献7、8参照)、エポキシ/フェノール系接着剤(例えば特許文献9、10参照)、エポキシ/酸系接着剤(例えば特許文献11、12参照)が報告されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−162960号公報
【特許文献2】特開2000−319363号公報
【特許文献3】特開2000−328033号公報
【特許文献4】特開平11−199851号公報
【特許文献5】特開2004−107409号公報
【特許文献6】特開2001−123142号公報
【特許文献7】特開2001−107015号公報
【特許文献8】特開平9−279117号公報
【特許文献9】特開2002−206079号公報
【特許文献10】特許第4006609号公報
【特許文献11】特許第3407751号公報
【特許文献12】特許第3521929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、プラスチックフィルムの接着剤として、ラミネート時余熱により瞬時に熱硬化を完了させ、ラミネート後の加熱,熟成処理が不要である新規のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供することにある。さらに、接着剤は高温の熱水や水蒸気にも耐え、厳しい伸び・絞り加工に代表される器物用加工性と意匠性に優れたラミネ−ト鋼板を製造するための、任意に着色されたプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供することにある。加えて、環境側面として米国食品医薬局(FDA)の定める連邦食品医薬品化粧品法に基づく連邦規則集(CFR)のタイトル21、パート178のセクション3297に適合する有機顔料を使用し、同パート175のセクション300に適合するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の数平均分子量及びTgを有するポリエステル樹脂、高エーテル化アミノ樹脂、エポキシ樹脂、強酸化合物を特定の配合比率で調製することにより、ラミネート時の耐ブロッキング性を付与し、ラミネート時の余熱により瞬時に熱硬化を完了させ、接着性、耐熱性、耐水性、下地密着性に優れる接着剤組成を見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(A)、数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(B)、高エーテル化アミノ樹脂(C)、数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂(D)、強酸化合物(E)を含有するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物であって、合計を100質量部にしたときに、(A)40〜70質量部、(B)10〜40質量部、(C)1〜10質量部、(D)5〜20質量部、(E)0.01〜10質量部を含有することを特徴とするプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供する。
【0007】
更に、本発明は、有機顔料として、米国食品医薬局(FDA)の定める連邦食品医薬品化粧品法に基づく連邦規則集(CFR)のタイトル21、パート178のセクション3297に適合する有機顔料を使用することで、環境側面として、同パート175のセクション300に適合するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プラスチックフィルムに塗布、乾燥された時点において、フィルム巻き取り時の耐ブロッキング性を付与でき、更にラミネート時の熱により瞬時に熱硬化し、耐水性、下地密着性、耐熱性、加工性に優れたプラスチックフィルムラミネート用接着剤組成物を提供することができる。しかもこの接着剤は任意の酸化チタン,有機顔料等の着色剤を含有させることにより素地を隠蔽し意匠性も兼ね供えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のラミネート鋼板用接着剤組成物を構成する、数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(A)、数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(B)、高エーテル化アミノ樹脂(C)、数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂(D)、強酸化合物(E)の各成分について詳細に説明する。
【0010】
本発明の接着剤組成物に用いる、数平均分子量5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(A)としては、多塩基酸成分と多価アルコール成分とをエステル化反応させたものであり、少なくとも一方の成分として三官能以上の成分を用いたポリエステル樹脂であればよい。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの1種以上の二塩基酸及び、これらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
【0011】
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどのニ価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することが出来る。
【0012】
本発明において用いられるポリエステル樹脂(A)の市販品としては、例えば、東洋紡績(株)社製のバイロン300、同500、同560、同600、同630、同650、同670、バイロンGK130、同140、同150、同190、同330、同590、同680、同780、同810、同890ユニチカ(株)社製エリーテルUE−3220、同3500、同3210、同3215、同3216、同3620、同3240、同3250、同3300、東亞合成(株)社製アロンメルトPES−310、同318、同334などが挙げられる。
【0013】
本発明の接着剤組成物に用いる、数平均分子量5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(B)としては、Tg以外は、前記した組成と同様であり、市販品としては例えば、東洋紡績(株)社製のバイロン200、同226、同240、同245、同270、同280、同290、同296、同660、同885、バイロンGK250、同360、同640、同880、ユニチカ(株)社製エリーテルUE−3200、同9200、同3201、同3203、同3350、同3370、同3380、同3600、同3980、同3660、同3690、同9600、同9800、東亞合成(株)社製アロンメルトPES−316、同360などが挙げられる。
【0014】
前記した飽和型ポリエステル樹脂は加工性・ブロッキング性を両立させるためにTgの異なる2種類のものをブレンドさせることが必要であり、飽和型ポリエステル樹脂(A):(B)の比率としては、(A):(B)が、1:1〜7:1の範囲でブレンドすることが望ましい。飽和型ポリエステル樹脂(A)が(B)に対し、1:1の比率を下回った場合には、皮膜のTgが高いことにより、加工追従性が低下し、金属下地との間に密着不良が発生する場合があり、ポリエステル樹脂(A)が(B)に対し、7:1の比率を上回った場合には、皮膜のTgが低いことにより、ブロッキング性が低下する例が確認されている。
【0015】
また、前記飽和型ポリエステル樹脂(A)、(B)の数平均分子量が5000未満のものを用いた場合には高速でラミネートした場合に下地に追従できずに、密着不良を引き起こす例があり、50000を超えるものを使用した場合には塗料粘度が高いことにより、塗工の際に塗面ムラが発生し易く、これがラミネートの際に不均一になり、外観不良となる例が確認されている。
【0016】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物に用いる、高エーテル化アミノ樹脂(C)としては、メチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってエーテル化したものが適しており、中でも、このエーテル化度が高いものが好適に使用できる。エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
【0017】
上記アミノ樹脂の市販品としては、DIC(株)社製スーパーベッカミンL−105−60、三井サイテック(株)社製サイメル235、サイメル300、サイメル303、サイメル370、サイメル325などを挙げることができる。
【0018】
前記した高エーテル化アミノ樹脂(C)の配合量は、全体の合計を100質量部とした場合に1〜10質量部である。高エーテル化アミノ樹脂(C)が1質量部未満の場合は、熱硬化反応が遅くなるため、ラミネート時の熱だけでは十分な硬化反応が進行せず、着色剤の凝集力が低下し、密着性が低下する。10質量部よりも多い場合は、熱硬化反応は十分に速くなるが、内部応力が増大するため加工時の密着性が低下する例が確認されている。
【0019】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物に用いる、数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂(D)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0020】
前記したビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じて酸またはアルカリ触媒(燐酸系またはアンモニウム塩系触媒等)の存在下に高分子量まで縮合させてなる樹脂、エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応させることにより得られた樹脂のいずれであってもよい。
【0021】
上記ビスフェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンなどを挙げることができる。上記ビスフェノール類は単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0022】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製の、JER1004、同1007、同1009、同1010、旭化成エポキシ(株)製の、AER6097、同6099及びDIC(株)のエピクロン7050、同9050などを挙げることができる。
【0023】
ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DIC(株)社製のエピクロンN−665、同670、同673、同680、同690、同695、同730、同740、同770、同865、同870、旭化成エポキシ(株)社製のECN−1273、同ECN−1299などが挙げられる。
【0024】
前記したエポキシ樹脂の数平均分子量が500未満の場合は、高エーテル化アミノ樹脂との反応性が劣り、十分な架橋が得られず高温熱水処理時にレトルト性不良、密着不良を発生する場合がある。また、同様の理由から塗工されたフィルムを巻き取った際にフィルムとブロッキングが発生する危険がある。一方、数平均分子量が5000を超える場合は溶液粘度が高くなり、作業性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0025】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物に用いる、強酸化合物(E)は前記した飽和型ポリエステル樹脂(A)、(B)と高エーテル化アミノ樹脂(C)、エポキシ樹脂(D)を短時間の加熱で反応を促進させる硬化触媒として使用することを目的とする。この強酸化合物としてはスルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が適している。スルホン酸化合物の代表例としては、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などを挙げることができる。この市販品としてはp−トルエンスルホン酸アルコール混合物としてテイカ(株)社製テイカキュアAC−700、クメンスルホン酸のアルコール混合物としてテイカ(株)社製テイカキュアAC−800、ドデシルベンゼンスルホン酸のアルコール混合物として米国キングインダストリーズ社製ネイキュア5076、テイカ(株)社製テイカキュアAC−400S、ジノニルナフタレンスルホン酸のアルコール混合物として米国キングインダストリーズ社製ネイキュア1051、テイカ(株)社製テイカキュアAC−901、ジノニルナフタレンジスルホン酸のアルコール混合物として米国キングインダストリーズ社製ネイキュア155などが挙げられる。
【0026】
前記した強酸化合物(E)を使用しない場合には、エポキシ樹脂の数平均分子量が500未満の場合に、高エーテル化アミノ樹脂との反応性が劣り、十分な架橋が得られないことと同様に架橋不足により高温熱水処理時にレトルト性不良、密着不良、ブロッキング性の低下を起こす場合がある。
【0027】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物に用いる有機顔料(F)としては、各種食品容器の内外面への使用を可能とさせる為に米国食品医薬局(FDA)の定める連邦食品医薬品化粧品法に基づく連邦規則集(CFR)のタイトル21、パート178のセクション3297に適合するものが好適である。
【0028】
前記有機顔料としては、カーボンブラックとして、デグサ(株)社製PRINTEX FP、同Falpha、同F80、同F85、イエロー顔料として、BASF社製PALIOTOL YELLOWK2270、CLARIANT(株)社製PV FASTYELLOW HG、同HGR、同H3R、Ciba(株)社製CROMOPHTAL YELLOW 3RT、同GPR、同3G、同4GV、レッド顔料として、Ciba社製 CINQUASIA Red BRT−790−D、CROMOPHTAL Red 2020、同2080、同2030、同A2B、同A3B、同G、IRGALITE Red 2030、MICROLEN Red 2020−MC、同2028−MC、同2030−MC、同A3B−MC、同RT−195−MC、ブルー顔料として、Ciba(株)社製CROMOPHTAL Blue 4GNP、IRGALITE Blue GA Granules、同LGLD、同NGA、同NGA−SG、MICROLEN Blue 4GNP−MC、MICROLITH Blue 4G−A、同GS−T、バイオレッド顔料として、Ciba(株)社製CINQUASIA Violet R NRT−887−D、同R RT−891−D、グリーン顔料として、Ciba(株)社製IRGALITE Green GFNP、同GLN、同GLNPなどが挙げられる。
【0029】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物では、耐ブロッキング性並びに加工性を更に向上させるために沈降性硫酸バリウム、シリカ等の透明無機顔料を添加することができる。これらの顔料は5μm以下の微粒子であることが好ましい。接着剤組成物の樹脂固形分100質量部に対する添加量は、沈降性硫酸バリウムの場合、1〜100質量部、シリカの場合、0.1〜2質量部程度が望ましい。特に燐酸変性化合物と併用すると効果が顕著である。耐ブロッキング性の向上は顔料分散による見かけのガラス転移温度の上昇、塗工面粗度を大きくすることで発現する。また、加工性の向上は接着剤中の応力が顔料の分散により緩和されていることが考えられる。なお、耐ブロッキング性を向上させる方法としてはポリエチレン、テフロン(登録商標)等を添加しても効果がある。この他各種カップリング剤等の添加でも密着性を向上できる。
【0030】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物に使用される溶剤は、特に限定されるものではないが、通常、塗料または接着剤に用いられている酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルケチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0031】
該組成物の乾燥塗布量は1.0〜2.5g/mの範囲内が好ましい。1.0g/m未満になった場合は連続均一塗布性に難点が生じ、意匠性の発現が困難である。また、加圧熱水処理における水蒸気のバリヤー性が劣り、接着剤/プラスチィックフィルム界面に水分が滞留し、レトルト白化を引き起こす可能性がある。一方、2.5g/mを超えると、塗布後における溶剤離脱性が低下し、作業性が著しく低下する上に残留溶剤の問題が生じ易くなることによりフィルム巻き取り時のブロッキング性が著しく低下する場合がある。
【0032】
本発明のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を用いるプラスチックフィルムとしては特に限定するものでは無いが、PETフィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム並びにアクリルフィルムに対して用いることができる。また、ラミネートする鋼板としては、シート状又はコイル状の鋼板、鋼箔、鉄箔、該鋼板に表面処理を施したものが挙げられる。鋼板以外にもアルミ板を用いることもできる。特に、上層がクロム水和酸化物、下層が金属クロムの二層構造をもつ電解クロム酸処理鋼板、極薄スズめっき、ニッケルめっき鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロム水和酸化物被覆鋼板或いはリン酸塩処理クロム酸塩処理した鋼板等が挙げられる。
【0033】
プラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物を塗布したフィルムを前述の鋼板にラミネートする方法の一例をあげる。プラスチックフィルムに接着剤を均一にドライ膜厚2μm程度になるように塗布し、溶剤を蒸発させる。使用するプラスチックフィルムは予め印刷処理を施したものを使用しても良い。プラスチックフィルムと鋼板を、接着剤を介して板温180〜250℃の任意の温度になるように加熱ロールを用いて熱圧着する。本発明の接着剤組成物は、ラミネート時に熱により、瞬時に熱硬化が起こり、密着力が出現する。このようにして得られたプラスチックフィルムラミネート鋼板は、意匠性、耐食性、加工密着性に優れ、多種な用途に使用できる。
【実施例】
【0034】
実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0035】
(実施例1)
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中、50質量部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)、を配合・混合し、実施例1の接着剤組成物を得た。
【0036】
(実施例2)高Tgポリエステル樹脂比率がやや高い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100
質量部中、40質量部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、40質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例2の接着剤組成物を得た。
【0037】
(実施例3)高Tgポリエステル樹脂比率がやや低い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中、70質量部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、10質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例3の接着剤組成物を得た。
【0038】
(実施例4)ポリエステル樹脂分子量のやや低い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中、50質量部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロンGK130(数平均分子量:7000、Tg:15℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロンGK885(数平均分子量:8000、Tg:79℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例4の接着剤組成物を得た。
【0039】
(実施例5)ポリエステル樹脂分子量のやや高い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中、50質量部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロンUR8300(数平均分子量:30000、Tg:23℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロンUR8200(数平均分子量:25000、Tg:73℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例5の接着剤組成物を得た。
【0040】
(実施例6) フェノールノボラック型エポキシ樹脂を使用した例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中50部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でフェノールノボラック型エポキシ樹脂:エピクロンN−740(数平均分子量700、DIC社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例6の接着剤組成物を得た。
【0041】
(実施例7) エポキシ樹脂分子量のやや低い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中50部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1001(数平均分子量900、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例7の接着剤組成物を得た。
【0042】
(実施例8) エポキシ樹脂分子量のやや高い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中50部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1009(数平均分子量3800、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例8の接着剤組成物を得た。
【0043】
(実施例9) アミノ樹脂比率がやや高い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中53部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、32質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、10質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例9の接着剤組成物を得た。
【0044】
(実施例10) アミノ樹脂比率がやや低い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中53部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、32質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、1質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例10の接着剤組成物を得た。
【0045】
(実施例11)有機顔料比率がやや低い例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中52部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、31質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、1質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例11の接着剤組成物を得た。
【0046】
(実施例12)有機顔料比率が下限に満たない例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=3763の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中52.5部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、31質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、0.5質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、実施例12の接着剤組成物を得た。
【0047】
(比較例1) 後加熱処理を必要とする従来型接着剤
メチルエチルケトン/トルエン=50/50の質量比からなる混合溶剤中へ固形分85質量部の割合でポリエステル樹脂:エリーテルUE3200(数平均分子量:16000、Tg65℃、ユニチカ社製)、12.5質量部(固形分:10質量部)の割合でブロック化ポリイソシアネート化合物:デュラネートTPA−B80E(ヘキサメチレンジイソシアネート、旭化成社製)、5質量部の割合でポリイソシアネート化合物:デュラネートTPA100(旭化成社製、ヘキサメチレンジイソシアネート)、0.5質量部の割合で硬化触媒としてジブチル錫ジラウレートを混合・分散させて比較例1の接着剤組成物を得た。
【0048】
(比較例2)高Tgポリエステル樹脂(B)を使用せず、低Tgポリエステル樹脂(A)のみの例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中80部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOLYELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例2の接着剤組成物を得た。
【0049】
(比較例3)低Tgポリエステル樹脂(A)を使用せず、高Tgポリエステル樹脂(B)のみの例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中80部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOLYELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例3の接着剤組成物を得た。
【0050】
(比較例4)アミノ樹脂比率が上限を超えた例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中44部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃東洋紡績社製)、27質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、15質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例4の接着剤組成物を得た。
【0051】
(比較例5)アミノ樹脂比率が下限に満たない例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中53.5部の割合でポリエステル樹脂:バイロンUR−3500(数平均分子量:40000、Tg:10℃ 東洋紡績社製)、32質量部の割合でポリエステル樹脂:バイロンUR−1400(数平均分子量:40000、Tg:83℃ 東洋紡績)、0.5質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例5の接着剤組成物を得た。
【0052】
(比較例6)エポキシ樹脂比率が上限を超えた例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中38部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、22質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、30質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例6の接着剤組成物を得た。
【0053】
(比較例7)エポキシ樹脂比率が下限に満たない例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中54部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:23000、Tg:7℃ 東洋紡績社製)、33質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平均分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、3質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、0.1質量部の割合で強酸化合物:ネイキュア5076(ドデシルベンゼンスルホン酸 KING社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)を配合・混合し、比較例7の接着剤組成物を得た。
【0054】
(比較例8)強酸化合物を使用しない例
酢酸プロピル/メチルエチルケトン=37/63の質量比からなる混合溶剤中へ固形分の合計が100質量部中50部の割合で低Tgポリエステル樹脂:バイロン300(数平均分子量:2300Tg:7℃ 東洋紡績社製)、30質量部の割合で高Tgポリエステル樹脂:バイロン200(数平分子量:17000、Tg:67℃ 東洋紡績社製)、6質量部の割合で高エーテル化アミノ樹脂:サイメル303(完全アルキル化型メチル化メラミン樹脂 三井サイテック社製)、10質量部の割合でエポキシ樹脂:JER1004(数平均分子量1400、ジャパンエポキシレジン社製)、4質量部の割合で有機顔料:PALIOTOL YELLOWK2270 BASF社製)、を配合・混合し、比較例8の接着剤組成物を得た。
【0055】
(評価サンプルの作製)
(1)前記実施例1〜10、比較例1〜7の接着剤組成物を厚さ12μmのPETフィルムに乾燥膜厚1.4〜1.8g/mの厚みになるようにバーコーターにて塗布し、115℃8秒間乾燥処理した。
(2)このフィルムを金属板(ティンフリースチール)に225℃−3.6m/minでラミネートし、テストピースを得た。次いで以下に示す評価試験方法に従って測定した。結果を表1〜3に示す。
【0056】
(評価項目)
(1)ラミネート外観
気泡の発生、フィルムの皺など、ラミネート鋼板の外観を目視により4段階で評価した。
非常に良好(◎)、良好(○)、僅かに不良(△)、不良(×)
(2)発色度
日本電色社製スペクトロホトメーターSE2000にて測定したb値を用いた(JIS Z8722)。
(3)密着性:クロスカットセロハン粘着テープ剥離試験
ラミネート鋼板のフィルム上にクロスカットを入れ、125℃30分の高温熱水処理後にセロハン粘着テープにて強制剥離したときに剥離した面積を%で表示した(JIS G3312)。
(4)加工性:デュポン衝撃試験
1/2インチ、300g荷重、30cm高さの条件でラミネート鋼板のフィルム面を裏打ちし、125℃30分の高温熱水処理後のフィルムの接着状態を上記と同じ4段階で評価した。
(5)加工密着性:キャップ密着性試験
直径φ26mm、高さ17mmのキャップに成形し、125℃30分の高温熱水処理後にキャップ側面をセロハン粘着テープにて強制剥離したときのフィルムの密着性を上記と同じ4段階で評価した。
(6)耐熱水性
125℃,30分の高温熱水処理後のラミネート鋼板の接着剤層の白化状態を目視で観察し上記と同じ4段階で評価した。
(7)ブロッキング性
8cm×8cmにカットしたサンプルフィルムのインキ塗工面を張り合わせ、0.3MPaの圧力で40℃の雰囲気に72時間保持した際に張り合わせたフィルム同士を剥離速度1000mm/minで180°の角度でピールした際の剥離強度を測定した。
ピール強度値:20g/cm未満(◎)、20〜40g/cm(○)、41〜60g/cm(△)、61g/cm以上(×)。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、プラスチックフィルムに塗布、乾燥された時点において、ラミネート時の熱に対する耐ブロッキング性を付与でき、更にラミネート時の熱により瞬時に熱硬化し、耐水性、下地密着性、耐熱性、加工性に優れたプラスチックフィルムラミネート用接着剤組成物を提供することができる。しかもこの接着剤は任意の酸化チタン,有機顔料等の着色剤を含有させることにより素地を隠蔽し意匠性も兼ね供えることが出来、食缶等、各種缶用に広く活用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が5000〜30000、Tgが5〜50℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(A)、数平均分子量が5000〜30000、Tgが51〜100℃の範囲にある飽和型ポリエステル樹脂(B)、高エーテル化アミノ樹脂(C)、数平均分子量500〜5000の範囲にあるエポキシ樹脂(D)、スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物から選ばれる1種以上の強酸化合物(E)を含有するプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物であって、(A)〜(E)の合計を100質量部としたときに、
飽和型ポリエステル樹脂(A)40〜70質量部、
飽和型ポリエステル樹脂(B)10〜40質量部、
高エーテル化アミノ樹脂(C)1〜10質量部、
エポキシ樹脂(D)5〜20質量部、
強酸化合物(E)0.01〜10質量部を含有することを特徴とするプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物。
【請求項2】
前期したエポキシ樹脂(D)がフェノールノボラック型エポキシ樹脂である請求項1に記載のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物。
【請求項3】
前記した接着剤組成物固形分100質量部に、有機顔料(F)を固形分1〜10質量部、及び、無機顔料(G)を固形分1〜200の割合で配合したものである請求項1又は2に記載のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物。
【請求項4】
前記した有機顔料(F)が、米国食品医薬局(FDA)の定める連邦食品医薬品化粧品法に基づく連邦規則集(CFR)のタイトル21、パート178のセクション3297に適合する請求項1〜3の何れかに記載のプラスチックフィルムラミネート鋼板用接着剤組成物。

【公開番号】特開2010−116514(P2010−116514A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292049(P2008−292049)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】