説明

プリント基板

【課題】半田付着量を一定にすると共に、半田の未付着を低減したプリント基板を提供する。
【解決手段】この取付部4は、一定長の長円形状パターン6を複数有し、長円形状パターン6の方向が同一となるようにレジスト面10を形成したものである。この例では、約45度の角度で左方向に傾いて形成されている。また、各長円形状パターン6の両端部6a、6bの形状を円形としている。また、各長円形状パターン6の面積を略同一になるように形成している。尚、本実施形態では、長円形状パターン6の数を8としたが、この数に限定することなく、多くても少なくても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に関し、さらに詳しくは、プリント基板に形成された取り付け部のパターン面形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線板の電気的なアース(接地)を確保するために、プリント配線板に設けたアースパターンを装置本体側の筐体と接続するための取付け部を設けている。しかし、この取り付け部のアースパターンにおいて、レジストの開口形状、開口面積等が統一されていないことから、レジスト開口部に半田付けを行う際に、半田の高さが一定とならなかったり、或いは半田が付着しない箇所が発生して半田量にばらつきが生じている。また、半田量を一定にするためにレジストの開口形状を円形にすることも実施されているが、開口面積が小さいことにより、半田が付着しない箇所が発生している。また、半田量のばらつきを修正するため、半田付け工程後、人手による半田修正を行っている。
特許文献1には、プリント基板のアース接続をプリント基板に開口形成された取付穴部分に挿入したネジを介してシャーシと接続するために、プリント基板上に取付穴の周囲を含めアース用のパターン面を形成し、非マスク部分は、アース用のパターン面が表出箇所として線状に表出形成され、表出箇所上に半田を線状でかつ均一に形成できるプリント基板の取り付け部構造について開示されている。
【特許文献1】特開2002−217502公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来は、図4及び図5に示すようなアースパターンが形成されていた。例えば、図4は取り付け穴22の周囲に半田付着部20を一定の角度で斜めに開口したレジスト塗布部21を形成している場合、半田付着部20の面積が一定でないため、各半田付着部20の半田付着量にばらつきが生じるといった問題があった。また、図5(特許文献1)のように、取り付け穴24の周囲に放射状に配置した半田付着部23が隣接する半田付着部間の角度を同一となるようにレジスト塗布部25を形成している場合、半田付着部23を一定にしているが、配列角度が一定でないため、フロー工程での半田付け時にプリント基板の移動方向に対する半田付着部23の角度が異なるため、半田付着量にばらつきが生じるといった問題がある。また、図4と図5において、半田付着部20、23の端部が鋭角であることから、端部に半田が付着しない場合がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、プリント基板に設けたアースパターンを装置本体と取り付けるための取り付け部の半田付着部形状と配列を最適化することにより、半田付着量を一定にすると共に、半田の未付着を低減したプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、基板上に積層された銅箔を絶縁コーティングしたレジスト層の一部を開口して形成したアースパターンを装置本体の筐体と接続するための取付部を備えたプリント基板であって、前記取付部は、ネジを介して前記筐体に取り付けるために前記プリント基板に開口形成された取付穴と、該取付穴の周囲を含め前記プリント基板上に形成された前記アースパターンと、を備え、前記アースパターンは、同一形状により構成されるパターンを複数備え、前記各パターンの大きさが同じで、且つ各パターンの配列方向を同じとしたことを特徴とする。
請求項2は、前記同一形状により構成されるパターンの端部を鈍角に構成したことを特徴とする。
請求項3は、前記同一形状により構成されるパターンを長円形状としたことを特徴とする。
請求項4は、前記パターンは前記長円形状を交差させて十字形状に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、基板上に積層された銅箔を絶縁コーティングしたレジスト層の一部を開口して形成したアースパターンを装置本体の筐体と接続するための取付部を備えたプリント基板であって、前記取付部は、ネジを介して前記筐体に取り付けるために前記プリント基板に開口形成された取付穴と、該取付穴の周囲を含め前記プリント基板上に形成された前記アースパターンと、を備え、前記アースパターンは、同一形状により構成されるパターンを複数備え、前記各パターンの大きさが同じで、且つ各パターンの配列方向を同じとしたので、半田フロー時にパターン面に半田が均一に付着して未付着部を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1(a)は本発明のプリント基板の取付部構造を示す斜視図である。図1(a)のプリント基板1は、アース接続する取付部4部分のみ拡大してある。この取付部4には、プリント基板1をアース部に取り付けるための取付穴5が開口形成されている。装置の筐体をなすシャーシ8には、金属製のボス(支柱)7が設けられ、プリント基板1の取付穴5がネジ2を介して取り付けられる。プリント基板1の面上には、取付穴5の周囲を含めてアース用のパターン面9がパターン形成されている。このパターン面9は、銅箔からなり、エッチングでパターン形成されたものである。 そして、この取付穴5の周囲のパターン面9上には、取付穴5を中心とする所定の円の範囲内に複数本の線状の半田6が半田付けされる。この半田6は、後述するように所定幅を有する線状に形成され、図示の例では、取付穴5の周囲に一定方向に計8本形成されている。半田6は、パターン面9上に形成されたレジスト面10の形成パターンに基づき所定形状に形成可能である。
図1(b)はプリント基板をシャーシに取り付けた状態の断面図である。この図から分かるとおり、レジスト面10の開口部に付着した半田6はパターン面9に半田付けされているので、その半田6がネジ2と電気的に接続してボス7を介してシャーシ8に接続される。また、それ以外の部分はレジスト面10により表面が絶縁されている。
【0007】
図2は本発明の第1の実施形態に係る取り付け部に形成したアースパターンの一例を示す図である。このアースパターン15は、一定長の長円形状パターン6を複数有し、長円形状パターン6の方向が同一となるようにレジスト面10に開口して形成したものである。この例では、約45度の角度で左方向に傾いて形成されている。また、各長円形状パターン6の両端部6a、6bの形状は鋭角にはならず円形となる。また、各長円形状パターン6の面積が略同一になるように形成している。尚、本実施形態では、長円形状パターン6の数を8としたが、この数に限定することなく、多くても少なくても良い。
このように形成することにより、一定方向にプリント基板1を移動して半田層で半田を付着する場合、長円形状パターン6の向きが同じであるため、半田の付着の仕方が同じようになり、半田付着量を一定とすることができる。また、半田を付着するためには、所定の温度が必要である。この温度は、パターン面の面積が大きいほど半田の温度が奪われて低下する傾向にある。本実施形態では、長円形状パターン6の面積が全て同じであるため、半田温度のばらつきが少なくなるので、その意味でも半田付着条件を揃えることができる。また、半田は表面張力の関係で、パターンが細すぎると半田が跨いだり、付着しない場合が発生する。そこで本実施形態では、長円形状パターン6の端部が鋭角になるのを防ぐために各端部を円形にするものである。
【0008】
図3は本発明の第2の実施形態に係る取り付け部に形成したパターン面の一例を示す図である。このアースパターン16は、長円を交差させた十字形状パターン11を有し、十字形状パターン11の方向が同一となるようにレジスト面10を形成したものである。即ち、プリント基板を移動して半田層で半田付けする場合、常に移動方向が一定方向とは限らない場合がある。そのような場合を想定して、半田層に移動する方向がどちらでも対応可能なように十字形状パターン11とするものである。そして図2と同様に、十字形状パターン11の面積を全て同じにして、半田温度のばらつきが少なくして半田付着条件を揃え、十字形状パターン11の端部が鋭角になるのを防ぐために各端部を円形にするものである。尚、本実施形態では、十字形状パターン11の数を8としたが、この数に限定することなく、多くても少なくても良い。また、本実施形態ではパターン面の形状を長円形状、十字形状としたが、パターンの配列方向が同じで、パターンの端部形状が円形であれば特に形状を選ばない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明のプリント基板の取付部構造を示す斜視図、(b)はプリント基板をシャーシに取り付けた状態の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る取り付け部に形成したアースパターンの一例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る取り付け部に形成したアースパターンの一例を示す図である。
【図4】従来の取り付け部に形成したアースパターンの一例を示す図である。
【図5】従来の取り付け部に形成したアースパターンの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0010】
1 プリント基板、2 ネジ、4 取り付け部、5 取り付け穴、6 半田、7 ボス、8 シャーシ、9 パターン面、10 レジスト面、15、16 アースパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層された銅箔を絶縁コーティングしたレジスト層の一部を開口して形成したアースパターンを装置本体の筐体と接続するための取付部を備えたプリント基板であって、
前記取付部は、ネジを介して前記筐体に取り付けるために前記プリント基板に開口形成された取付穴と、該取付穴の周囲を含め前記プリント基板上に形成された前記アースパターンと、を備え、
前記アースパターンは、同一形状により構成されるパターンを複数備え、前記各パターンの大きさが同じで、且つ各パターンの配列方向を同じとしたことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記同一形状により構成されるパターンの端部を鈍角に構成したことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記同一形状により構成されるパターンを長円形状としたことを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項4】
前記パターンは前記長円形状を交差させて十字形状に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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