説明

プリント配線板

【課題】製造効率を向上できるプリント配線板を提供する。
【解決手段】プリント配線板は、電子部品が実装される製品部と、前記製品部の周縁を囲んで位置され、前記製品部を含む基板の外形を構成した端部と、前記製品部の周縁を囲むとともに前記製品部と前記端部との間に位置されて、前記製品部と前記端部とを接続した接続部と、前記製品部と前記端部とに挟まれた前記接続部の領域に配線されたパターンを有するテストクーポン部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テストクーポンを用いて、プリントコイルの品質検査が実施される方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−123228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のプリント配線板では、更なる生産率の向上が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態は、電子部品が実装される製品部と、前記製品部の周縁を囲んで位置され、前記製品部を含む基板の外形を構成した端部と、前記製品部の周縁を囲むとともに前記製品部と前記端部との間に位置されて、前記製品部と前記端部とを接続した接続部と、前記製品部と前記端部とに挟まれた前記接続部の領域に配線されたパターンを有するテストクーポン部と、を有する。
【0006】
1つの実施形態は、電子部品が実装される第1領域と、前記第1領域と離間されて位置された第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置された第3領域と、前記第3領域に少なくとも一部のパターンが設けられた測定部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1つの実施形態にかかる電子機器としてのポータブルコンピュータを上方から見た斜視図。
【図2】本実施例の切り抜き加工前のプリント配線板を示した図である。
【図3】本実施例におけるプリント配線板の連結部周辺の一例を示した図である。
【図4】プリント配線板の連結部の表面に形成されたテストクーポンを拡大して示した図である。
【図5】プリント配線板の連結部と端材との表面に形成されたテストクーポンを拡大して示した図である。
【図6】プリント配線板の端材の表面に形成されたテストクーポンを拡大して示した図である。
【図7】プリント配線板の端材の表面に形成されたテストクーポンの他の変形例を拡大して示した図である。
【図8】本実施形態のプリント配線板の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、本発明のプリント配線板が収容された電子機器を、例えばポータブルコンピュータに適用した一例で示している。図1は、電子機器としてのポータブルコンピュータ1を示している。ポータブルコンピュータ1は、本体ユニット2と表示ユニット3とを有している。
【0009】
図1に示すように、本体ユニット2は、偏平な箱状に形成された第1の筐体10を有している。第1の筐体10は、底壁11a、上壁11b、前壁11c、左右の側壁11d,11e、及び、後壁11fを有している。上壁11bの外面は、手元側(前側)に、パームレスト12を有している。
【0010】
第1の筐体10の上壁11bは、パームレスト12の後方に、キーボード取付け部13を有している。キーボード取付け部13には、数字や文字等の入力に利用されるキーボード14が取付けられている。
【0011】
第1の筐体10は、その後端部に、一対の連結凹部15a,15bを有している。連結凹部15a,15bは、第1の筐体10の前方、下方、後方に向けて開放する窪みにて構成されている。連結凹部15a,15bは、本体ユニット2の幅方向(左右方向)に離間して設けられている。
【0012】
表示ユニット3は、第2の筐体20と表示パネルとしての液晶表示パネル21とを備えている。液晶表示パネル21は、第2の筐体20の内部に収容されている。液晶表示パネル21は、画像を表示する画面21aを有している。第2の筐体20には、画面21aを露出させる開口部20aが設けられている。画面21aは、この開口部20aを通じて第2の筐体20の外方に露出している。
【0013】
第2の筐体20は、その一端部に、一対の連結脚部23a,23bを有している。連結脚部23a,23bは、第2の筐体20の幅方向に離間して配置されており、夫々、第1の筐体10の連結凹部15a,15bに導かれている。連結脚部23a,23bは、連結凹部15a,15bに夫々ヒンジ金具(図示せず)を介して回動自在に支持されている。
【0014】
このため、表示ユニット3は、パームレスト12、及びキーボード14等を上方から覆うように本体ユニット2の上に横たわる閉じ位置と、パームレスト12、キーボード14、及び画面21a等を露出させるように本体ユニット2に対して起立する開き位置との間で回動可能となっている。
【0015】
第1の筐体10の内部には、電子部品としてのポインティングデバイス40、ハードディスクドライブ、及び、プリント配線板(基板、プリント回路基板、プリント回路板)201等が収容されている。
【0016】
(プリント配線板の構成)
次に、図2及び図3を参照しながら、本実施例のパーソナルコンピュータ1に収容されるプリント配線板201の構成について説明する。図2は、本実施例のルータ加工前のプリント配線板201に実装された電子部品202を示した図である。図3は、本実施例におけるプリント配線板201の連結部周辺の一例を示した図である。
【0017】
図2及び図3に示すように、プリント配線板201は、電子機器の内部に配置されるプリント配線板201を製造する製造工程において、その途中段階で生成される中間製品である。すなわち、このプリント配線板201は、1枚のプリント配線板201に多数の製品部分301を配列しており、その後の製造工程において各々の製品部分(単品のプリント配線板)301に切り分けられるものである。本実施形態では、この単品のプリント配線板201は、例えばパーソナルコンピュータ1やテレビジョン受像機(図示していない)、ハードディスクドライブ(図示していない)等の電子機器の内部に配置され、これら機器の動作を制御するための電気信号を伝達する経路(パターン)である。
【0018】
図2及び図3に示すように、プリント配線板201には、電子部品(図示していない)を実装する製品部(製品部、第1部分、第1領域、本体部、中央部)301と、この製品部301の周囲に沿って位置されて、製品部301と間隙を有して設けられる端材(端部、捨て材、第2部分、第2領域、周辺部、周縁部)302と、製品部301と端材302との間に位置されて、製品部301と端材302とを連結(接続)する連結部(連結部、接続部、中間部、周辺部、周縁部、加工部、切取り加工部、切り抜き加工部、第3部分、第3領域)303とを有する。
【0019】
なお、図2では、プリント配線板201の端材302と連結部303と切り取られない状態で示されている。端材302と連結部303とは、プリント配線板201の製品部301の全周囲を囲う部分である。
【0020】
図3に示すように、例えば本実施例のプリント配線板201には、製品部301と端材302とレジスト部(塗料塗布部、塗料、着色部材塗布部、着色部材、絶縁塗料塗布部、絶縁塗料、絶縁部、膜、層)301aが設けられる。製品部301に設けられたレジスト部301aは、端材302と連結部303とに亘る領域まで広がっている。
【0021】
本実施例のプリント配線板201では、連結部303の一部に切り抜かれる部分303aを有する。この切り抜かれる部分303aが金型の打ち抜き加工方式等により切り抜かれた後、電子部品の実装工程に移る。そして、製品部301と端材302とが連結部303により連結された状態で電子部品の実装工程を完了した後、切り抜かれる部分303a以外の連結部の残った領域303bをルータカット加工方式等の切り取り加工にて切断し、製品部301と端材302とを分離する。
【0022】
例えば、本実施例のプリント配線板201では、ルータカット等を実行する際における切り取り部分の軌道(ルータカット端)に沿って、プリント配線板201の表面が露出した領域が設けるなどのレジスト301aの塗布形状を変化させることで、正常にカットが行われるように目視により判断・確認することができる。これにより、ルータカット加工方式等の切り取り工程における作業効率の向上が実現される。
【0023】
図2に示すように、本実施例の(切り抜かれる部分303aが残った状態の)プリント配線板201における連結部303と、または連結部303と端材302とには、品質管理用のテストクーポン(検査部、チェック部、測定部、判定部、クーポン部)400が設けられている。このテストクーポン400は、プリント配線板201に形成された配線の差動インピーダンス、または特性インピーダンスを測定するためのものである。このようにテストクーポン400をプリント配線板201の連結部303、または連結部303と端材302とに設けることにより、テストクーポン400を端材302のみに設ける構成と比較して、端材302の面積をより縮小することができる。これにより、単品のプリント配線板201の取り数はテストクーポン400の配置面積の影響を受けにくくなるため、一枚の切り分け前のプリント配線板201からからより多くの単品のプリント配線板201を製造することができ、単品のプリント配線板201のコストダウンを実現することができる。
【0024】
なお、このテストクーポン400は、全ての単品のプリント配線板201に対応させて形成される必要はなく、切り分け前のプリント配線板201において品質管理を実現するために必要な位置にのみ形成されればよい。
【0025】
プリント配線板201における捨て材分の無駄を省き、製品部301を効率よく配置する設計をした場合、端材302及び連結部303は面積が小さくなる。このため、端材302及び連結部303の内側にテストクーポン400を形成することは困難となる可能性がある。本実施形態では、テストクーポン400の配置や形状に工夫を施すことにより、テストクーポン400を好適に配置したり、テストクーポン400が占める面積を小さくしたりして、端材302及び連結部303の内側にテストクーポン400を形成することを可能にしている。以下、本実施形態の配置を使い分けたテストクーポン400の例、及び本実施形態の小面積化されたテストクーポン400の例についてそれぞれ説明する。
【0026】
先ずは、本実施形態の配置を使い分けたテストクーポン400の構成について、図4及び図5を用いて説明する。
図4は、プリント配線板201の連結部303の表面に形成されたテストクーポン400を拡大して示している。図5は、プリント配線板201の連結部303の表面と端材302の表面とに亘って形成されたテストクーポン400を拡大して示している。
【0027】
図4に示すように、本実施例の連結部303には、品質管理用のテストクーポン400として特性インピーダンスクーポン部401が形成されている。特性インピーダンスクーポン部401は、2つの信号端子411A,411Bと、2つの接地端子412A,412Bと、1つの信号端子411Aから延びる1本の配線パターン413を有する。信号端子411B及び接地端子412Bは、プリント配線板201の中間層内に位置された配線パターン(図示していない)に接続されている。信号端子411Aと、信号端子411Bと、接地端子412Aと、接地端子412Bとは、其々一直線(略一直線状、直線形状)に延びて設けられる。また、配線パターン413は、これらの端子が並ぶ方向に沿って延びる。信号端子411Aと、信号端子411Bと、接地端子412Aと、接地端子412Bと、配線パターン413とは、全て連結部303上の領域に収容されるように配置される。信号端子411Aと、信号端子411Bと、接地端子412Aと、接地端子412Bと、配線パターン413とは、プリント配線板201の周縁201aに近い位置に並べて配置されている。また、信号端子411Aと、信号端子411Bと、接地端子412Aと、接地端子412Bと、配線パターン413とは、プリント配線板201の切り抜き軌道の近傍位置に並べて配置されている
【0028】
このように、本実施例のプリント配線板201では、特性インピーダンスクーポン部401が連結部303内に収まる形で設けられている。この特性インピーダンスクーポン部401が形成される連結部303の領域は、製品部301の一辺に沿って長方形状に設けられている領域である。
【0029】
このような構成にすることで、特性インピーダンスクーポン部401を端材303にのみ設ける場合と比較して、特性インピーダンスクーポン部401が形成される連結部303の領域に隣り合う端材302の領域の幅を狭く設計できる。
【0030】
図5に示すように、本実施例の端材302と連結部303とに亘る領域には、品質管理用のテストクーポン400として差動インピーダンスクーポン部501が形成されている。差動インピーダンスクーポン部501は、2つの信号端子511A,511Bと、2つの接地端子512A,512Bと、2つの信号端子511A,511Bからそれぞれ延びる2本の配線パターン513A,513Bを有する。
【0031】
信号端子511Aと、接地端子512Aとは、其々一直線(略一直線状、直線形状)に延びて設けられる。また、配線パターン513Aは、これらの端子が並ぶ方向に沿って延びる。信号端子511Aと、接地端子512Aと、配線パターン513Aとは、全て連結部303上の領域に収容されるように配置される。信号端子511Aと、接地端子512Aと、配線パターン513Aとは、プリント配線板201の切り抜き軌道の近傍位置に並べて配置されている。
【0032】
信号端子511Bと、接地端子512Bとは、其々一直線(略一直線状、直線形状)に延びて設けられる。また、配線パターン513Bは、これらの端子が並ぶ方向に沿って延びる。信号端子511Bと、接地端子512Bと、配線パターン513Bとは、全て端材302上の領域に収容されるように配置される。信号端子511Bと、接地端子512Bと、配線パターン513Bとは、プリント配線板201の周縁201aに近い位置に並べて配置されている
【0033】
このように、本実施例のプリント配線板201では、差動インピーダンスクーポン部501が 連結部303と端材302とに半々に(均等に)亘り、連結部303と端材302との領域内に収まる形で設けられている。この差動インピーダンスクーポン部501が形成される端材302及び連結部303の領域は、製品部301の一辺に沿って長方形状に設けられている領域である。
【0034】
このような構成にすることで、特性インピーダンスクーポン部401の構成と同様、差動インピーダンスクーポン部501を端材303にのみ設ける場合と比較して、差動インピーダンスクーポン部501が形成される連結部303の領域に隣り合う端材302の領域の幅を狭く設計できる。
【0035】
次は、本実施形態の形状を変形し、小面積化されたテストクーポン400の構成について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、プリント配線板201の端材302の表面と形成されたテストクーポン400を拡大して示している。
【0036】
図6に示すように、本実施例の端材302には、品質管理用のテストクーポン400として差動インピーダンスクーポン部601が形成されている。特性インピーダンスクーポン部601は、2つの信号端子611A,611Bと、2つの接地端子612A,612Bのそれぞれから延びる2本の配線パターン613A,613Bと、を有する。
【0037】
2本の配線パターン613A,613Bは、2つの信号端子611A,611Bから互いに平行な状態で蛇行して延設されている。すなわち、一方の配線パターン613Aは、一方の信号端子611Aから端材302の内部を蛇行して延設されており、他方の配線パターン613Bは、一方の配線パターン613Aに平行な状態で、他方の信号端子611Bから端材302の内部を蛇行して延設されている。
【0038】
テストクーポン601の配線パターン613A,613Bの形状についてより詳しく説明する。2本の配線パターン613A,613Bは、2つの信号端子611A,611Bから延び始める部分(基端接近部)信号端子611A1,611B1において、ある定められた距離となるまで互いに近づくように斜めに延びる。次の部分(基端直線延設部)信号端子611A2,611B2において、2本の配線パターン613A2,613B2は、互いに一定の距離を保ったままの状態で直線状に延びる。次の部分(基端湾曲延設部)信号端子611A3,611B3において、2本の配線パターン613A3,613B3は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A1,613B1の延設方向を90度変化させるように滑らかに曲がる。
【0039】
次の部分(第1直線延設部)611A4,611B4において、2本の配線パターン613A4、613B4は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、端材302の右側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(第1湾曲延設部)611A5,611B5において、2本の配線パターン613A5,613B5は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A3,613B3の延設方向を180度変化させるように滑らかに曲がる。
【0040】
次の部分(第2直線延設部)611A6,611B6において、2本の配線パターン613A6,613B6は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、右側の周縁側から左側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(第2湾曲延設部)611A7,611B7において、2本の配線パターン613A7,613B7は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A5,613B5の延設方向を180度変化させるように滑らかに曲がる。
【0041】
次の部分(第3直線延設部)611A8,611B8において、2本の配線パターン613A8,613B8は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、左側の周縁側から右側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(第3湾曲延設部)611A9,611B9において、2本の配線パターン613A9,613B9は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A7,613B7の延設方向を180度変化させるように滑らかに曲がる。
【0042】
次の部分(第4直線延設部)611A10,611B10において、2本の配線パターン613A10,613B10は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、右側の周縁側から左側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(第4湾曲延設部)611A11,611B11において、2本の配線パターン613A11,613B11は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A9,613B9の延設方向を180度変化させるように滑らかに曲がる。
【0043】
次の部分(第5直線延設部)611A12,611B12において、2本の配線パターン613A12,613B12は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、左側の周縁側から右側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(末端湾曲延設部)611A13,611B13において、2本の配線パターン613A13,613B13は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン613A11,613B11の延設方向を90度変化させるように滑らかに曲がる。次の部分(末端直線延設部)611A14,611B14において、2本の配線パターン613A14,613B14は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、端材302の下側の周縁に向けて直線状に延びる。
【0044】
このように、2本の配線パターン613A,613Bが蛇行して延設される形状であるため、小面積の端材302(切り抜き部分)に、長い配線パターン613A,613Bを好適に配置することができる。
【0045】
テストクーポン601の配線パターン613A,613Bは、高速信号伝送時の差動インピーダンスを安定した状態で測定するために、次の条件を満たしている。
第1条件:2本の配線パターン613A,613Bを等しい長さにすること。
第2条件:2本の配線パターン613A,613Bの湾曲部分を半円形状にすること。
第1条件については、偶数の湾曲延設部を有することにより満たされている。すなわち、第1湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも短くなっているが、第2湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも長くなっており、結果として2本の配線パターン613A,613Bの長さは等しくなっている。同様に、第3湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも短くなっているが、第4湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも長くなっており、結果として2本の配線パターン613A,613Bの長さは等しくなっている。
【0046】
また、基端湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも長くなっているが、末端湾曲延設部において、一方の配線パターン613Aは他方の配線パターン613Bよりも短くなっており、結果として2本の配線パターン613A,613Bの長さは等しくなっている。よって、基端湾曲延設部および末端湾曲延設部においても、2本の配線パターン613A,613Bを等しい長さにされている。
【0047】
第2条件については、第1湾曲延設部〜第4湾曲延設部が半円形状であることにより満たされている。すなわち、第1湾曲延設部、第2湾曲延設部、第3湾曲延設部、第4湾曲延設部のそれぞれの湾曲形状は、幾何学的に正確な半円形状であり、互いに半径が等しい半円形状である。
【0048】
本実施形態のテストクーポン601によれば、2つの信号端子611A,611Bをプリント配線板201の周縁201aの近傍に配置し、それら2つの信号端子611A,611Bから、平行な2本の配線パターン613A,613Bを蛇行して延設しているため、面積の小さなプリント配線板201の端材302に、所定長さの配線パターン613A,613Bを有するテストクーポン400を形成することができる。このため、一枚の切り分け前のプリント配線板201からからより多くの単品のプリント配線板201を製造することができ、プリント配線板201のコストダウンを実現することができる。
【0049】
なお、本実施形態のようにテストクーポン400の形状を決定した場合には、電子機器の製造業者は、プリント配線板201の製造業者に対して、単品のプリント配線板201のデータとテストクーポン400のデータを供給して発注すればよい。プリント配線板201の製造業者は、切り分け前のプリント配線板201に単品のプリント配線板201を格子状に配置すると共に、プリント配線板201の品質を管理するために好適なテストクーポン400の位置を決定し、決定されたプリント配線板201の切り取り部分にテストクーポン400を配置することができる。
【0050】
次に他の変形例について図7を参照しながら説明する。
図7に示すように、本実施例のプリント配線板201の角部(コーナ、端部、縁部)201b近傍に位置される端材302には、品質管理用のテストクーポン400として差動インピーダンスクーポン部701が形成されている。特性インピーダンスクーポン部701は、2つの信号端子711A,711Bと、2つの接地端子712A,712Bのそれぞれから延びる2本の配線パターン713A,713Bと、を有する。
【0051】
2本の配線パターン713A,713Bは、図6に示したクーポンの形態と同様、2つの信号端子711A,711Bから互いに平行な状態で一部蛇行して延設されている。すなわち、一方の配線パターン713Aは、一方の信号端子711Aから端材302の内部を一部蛇行して延設されており、他方の配線パターン713Bは、一方の配線パターン713Aに平行な状態で、他方の信号端子711Bから端材302の内部を一部蛇行して延設されている。
【0052】
テストクーポン701の配線パターン713A,713Bの形状についてより詳しく説明する。2本の配線パターン713A,713Bは、2つの信号端子711A,711Bから延び始める部分(基端接近部)信号端子711A1,711B1において、ある定められた距離となるまで互いに近づくように斜めに延びる。次の部分(基端直線延設部)信号端子711A2,711B2において、2本の配線パターン713A2,713B2は、互いに一定の距離を保ったままの状態で直線状に延びる。次の部分(基端湾曲延設部)信号端子711A3,711B3において、2本の配線パターン713A3,713B3は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン713A1,713B1の延設方向を90度変化させるように滑らかに曲がる。
【0053】
次の部分(直線延設部)711A4,711B4において、2本の配線パターン713A4、713B4は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、端材302の右側の周縁に向けて直線状に延びる。次の部分(湾曲延設部)711A5,711B5において、2本の配線パターン713A5,713B5は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、2本の配線パターン713A3,713B3の延設方向を90度変化させるように滑らかに曲がる。
【0054】
次の部分(末端直線延設部)711A6,711B6において、2本の配線パターン713A6,713B6は、互いに一定の距離を保ったままの状態で、端材302の下側の周縁に向けて直線状に延びる。
【0055】
このように、本実施例のクーポン400の変形例では、2本の配線パターン713A,713Bが一部蛇行して延設される形状であるため、プリント配線板201角部201b近傍に位置された端材302(切り抜き部分)に、長い配線パターン713A,713Bを好適に配置することができる。
【0056】
テストクーポン701の配線パターン713A,713Bは、テストクーポン601と同様、高速信号伝送時の差動インピーダンスを安定した状態で測定するために、第1条件:2本の配線パターン713A,713Bを等しい長さにすること。及び第2条件:2本の配線パターン713A,713Bの湾曲部分を半円形状にすることの条件を満たしている。
【0057】
本実施形態のテストクーポン701によれば、2つの信号端子711A,711Bをプリント配線板201の角部201bの近傍に配置し、それら2つの信号端子711A,711Bから、平行な2本の配線パターン713A,713Bを蛇行して延設しているため、プリント配線板201の端材302に、所定長さの配線パターン713A,713Bを有するテストクーポン400を好適に形成することができる。このため、一枚の切り分け前のプリント配線板201からからより多くの単品のプリント配線板201を製造することができ、プリント配線板201のコストダウンを実現することができる。
【0058】
図7に示すテストクーポン701の形状は、例えば、プリント配線板201の角部201bに合わせる以外にも、周辺に凹凸を有する製品部301の角部に合わせても好適である。例えば、テストクーポン701は図2に示すように、製品部301の凹部301bの中に末端直線延設部711A6,711B6が位置されている。このような形状を有することで、製品部301の凹部301bから突出した凸部301cの外周近傍までプリント配線板201の外周辺を近づけることができ、その分プリント配線板201を小型化できる。
【0059】
次に、上述したプリント配線板201の製造方法について説明する。図7は、プリント配線板201の製造工程を示すフローチャートである。
第1工程(S1)において、一枚のプリント配線板201に、多数の単品のプリント配線板201の配線パターンを印刷すると共に、複数のテストクーポン400の配線パターンを印刷する。ここで、テストクーポン400の配線パターンは、前述した形状である。
【0060】
第2工程(S2)において、一枚のプリント配線板201から単品のプリント配線板201を切り分ける。これにより、多数の単品のプリント配線板201が得られる。
【0061】
第3工程(S3)において、単品のプリント配線板201から連結部303を切り取り、単品のプリント配線板201を完成する。切り取られた部分は、特性インピーダンス及び差動インピーダンスを測定するために取って置かれる。
【0062】
第4工程(S4)において、切り取られた部分のテストクーポン400に対して特性インピーダンス及び差動インピーダンスの測定処理を行い、プリント配線板201の品質を検査する。特性インピーダンス及び差動インピーダンスを測定する際には、測定装置がテストクーポン400の各信号端子に接続され、測定装置から配線パターンにインピーダンス測定用の信号が送られる。テストクーポン400のインピーダンスの測定結果は統計的に処理されて、単品のプリント配線板201が品質基準を満たしているか否かが判断される。
【0063】
以上、本実施形態に係るプリント配線板が収容されたポータブルコンピュータ100について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。第1ないし第3の実施形態及びこれらの実施例における複数の変形例に係る構成要素は、適宜を組み合わせて実施することができる。
【0064】
本発明が適用可能な電子機器はパーソナルコンピュータに限らず、例えばデジタルカメラやビデオカメラ、パーソナルデジタルアシスタント、テレビ、ハードディスクドライブなど種々の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…ポータブルコンピュータ1(電子機器)
10…筐体
201…プリント配線板
301…製品部
302…端材
303…連結部
301a,302a,303a…レジスト
400…テストクーポン
400…テストクーポン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される製品部と、
前記製品部の周縁を囲んで位置され、前記製品部を含む基板の外形を構成した端部と、
前記製品部の周縁を囲むとともに前記製品部と前記端部との間に位置されて、前記製品部と前記端部とを接続した接続部と、
前記製品部と前記端部とに挟まれた前記接続部の領域に配線されたパターンを有するテストクーポン部と、
を有するプリント配線板。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記テストクーポン部は、前記製品部と前記端部とに挟まれた前記接続部の領域と前記端部とに亘って設けられる差動インピーダンスクーポン部であるプリント配線板。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記テストクーポン部は、前記接続部に設けられた第1の信号端子部及び第1の接地端子部と、前記端部に設けられた第2の信号端子部及び第2の接地端子部と、を有するプリント配線板。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記第2の信号端子部と前記第2の接地端子部とは、前記接続部とは反対側に位置される前記端部の周縁領域に位置されるプリント配線板。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記接続部は、切取り加工時に前記端部とともに切り取られる領域であり、前記製品部の一辺に沿って直線状に延びた領域であるプリント配線板。
【請求項6】
請求項1の記載において、
前記テストクーポン部は、前記製品部と前記端部とに挟まれた前記接続部の領域内にのみに設けられる特性インピーダンスクーポン部であるプリント配線板。
【請求項7】
請求項6の記載において、
前記テストクーポン部は、前記接続部に設けられた第1及び第2の信号端子部と、第1及び第2の接地端子部と、を有するプリント配線板。
【請求項8】
電子部品が実装される第1領域と、
前記第1領域と離間されて位置された第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に位置された第3領域と、
前記第3領域に少なくとも一部のパターンが設けられた測定部と、
を有するプリント配線板。
【請求項9】
請求項8の記載において、
前記測定部は、前記第2領域と前記第3領域とに亘って設けられる差動インピーダンスクーポン部であるプリント配線板。
【請求項10】
請求項8の記載において、
前記テストクーポン部は、前記第3領域のみに設けられる特性インピーダンスクーポン部であるプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119487(P2012−119487A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267819(P2010−267819)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】