説明

プローブカード

【課題】 プローブカードの経年的劣化による各プローブ針の針圧不均一化を回避し、長寿命化を図る。
【解決手段】 被検査物5に先端部の当接位置が当接するプローブ針22が複数設けられたプローブカード20において、複数のプローブ針22の各先端部を連結して固定し被検査物5に当接する複数の各プローブ針22の前記当接位置を同一面上に揃える絶縁性連結部材23を備える。連結部材23が被検査物5からの反力を平均化して各プローブ針22に伝えるため、各プローブ針22の個体差の発現が抑制され、各プローブ針22の経年による針圧の不均一化が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサやIC等の半導体ウェハ上に形成された電子デバイス等を検査するときに使用するプローブカードに係り、特に、複数のプローブ針を電子デバイス等の複数の電極パッドに均一に当接することができるプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、例えば下記特許文献1に記載されている従来の検査装置の構成図である。この検査装置1には支持機構2が立設されており、この支持機構2に、プローブカード3が上下動可能に取り付けられる。検査装置1のプローブカード対向面位置にはステージ4が設けられ、このステージ4上に、検査対象となる電子デバイス等が形成された半導体ウェハ5が載置される。そして、検査時にはプローブカード3を下動させ、半導体ウェハ5上の電極パッド6に、プローブカード3側の複数のプローブ針7が均一に当接する様になっている。
【0003】
図5(a)はプローブカード3の下面(検査対象物に対向する面)の平面図であり、図5(b)はその横断面図(図5(a)のB―B線断面図)である。円盤状のプローブカード3の中央には円形の貫通穴10が穿設されており、貫通穴10の内壁部分からは、穴10の内側方向、且つ、下面方向に向く、斜めの多数のプローブ針7が片持ち梁式に突設されている。そして、この従来のプローブカード3には、穴10の内壁部分に、プローブ針7を下面方向に抑える突条11が設けられている。
【0004】
図6は、図5に示すプローブカード3の要部拡大図である。図6(a)に示す様に、プローブ針7の先端が電極パッド6に当接した後、更にプローブカード3を下動させると、突条11が各プローブ針7を電極パッド6方向に押すことになる。これにより、各プローブ針7は、図6(b)に示すように、湾曲して電極パッド6に圧接され、各プローブ針7の針圧の均一化が図られる。
【0005】
【特許文献1】特開2000―111574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プローブカードに搭載する複数のプローブ針は、同一材料,同一製造工程で製造されるが、製造バラツキ等により、個体差がある。このため、新品のプローブカード3では各プローブ針を均一な針圧で電極パッド6に当接させることができるが、図6で示したような湾曲動作を繰り返し行っていくと、上記の個体差が現れ、全てのプローブ針の弾性変形が均一に元に戻らず、各プローブ針での塑性変形の程度が異なってきてしまう。
【0007】
つまり、各プローブ針の先端部の各高さにバラツキが生じ、それを同一高さの突条11で抑えても、針圧が異なってきてしまう。針圧が異なるプローブカードを用いて検査を行っても、精度の高い検査はできないため、新しいプローブカードに交換する必要が生じ、検査コストが増大してしまうという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、経年的劣化による各プローブ針の針圧不均一化を回避でき、長寿命化を図ることができるプローブカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプローブカードは、被検査物に先端部の当接位置が当接するプローブ針が複数設けられたプローブカードにおいて、前記複数のプローブ針の各先端部を連結して固定し前記被検査物に当接する前記複数の各プローブ針の前記当接位置を同一面上に揃える絶縁性連結部材を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のプローブカードの前記絶縁性連結部材は樹脂製でなることを特徴とする。
【0011】
本発明のプローブカードの前記絶縁性連結部材はリング形状でなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各プローブ針の経年による個体差発現が連結部材により抑制されるため、長期間使用しても各プローブ針の針圧不均一化が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るプローブカードの平面図であり、図2は、図1のII―II線断面模式図である。また、図3は、図1のIII―III線断面模式図であり、且つ、図2の円III内の拡大図でもある。
【0015】
円盤状のプローブカード20の中心部には矩形形状の貫通穴21が穿設されており、貫通穴21の各辺内壁部分からは、穴21の中央方向、且つ、下面の方向(ステージ4の上に載置された被検査物5の方向)に向いた斜めの複数の金属製プローブ針22が、夫々、片持ち梁式に突設されている。
【0016】
各プローブ針22の先端部22aは、被検査物5方向に屈曲成形されており、本実施形態では、各プローブ針22の屈曲成形された先端部22aの根本部分を、絶縁材料でなるリング状連結部材23により連結固定し、各プローブ針22の先端部22aの先端位置(当接位置)を同一面上に揃え維持する構成としている。
【0017】
リング状の連結部材23は、例えば合成樹脂をリング状に成形するときに各プローブ針22を通す穴を予めプローブ針径より大きめに作っておき、この連結部材23の各穴に各プローブ針22の先端部22aを通した後、各穴を合成樹脂で埋めることで、各プローブ針22に取り付ける。
【0018】
あるいは、プローブカード20の各プローブ針22の先端部22aの根本部にリング状の溝が形成された型を当て、この型の溝内に液体状の合成樹脂を流し込んだ後、合成樹脂を固化することで、連結部材23を製造することもできる。
【0019】
尚、本実施形態で、連結部材23をリング形状としたのは、イメージセンサを被検査物としリング状の真ん中の穴を通して光をイメージセンサに照射することを可能にするためであり、イメージセンサを被検査物とするのでなければ、連結部材23はリング状である必要はない。
【0020】
斯かる構成のプローブカード20を用いて被検査物5の電気的特性を検査する場合、図4の検査装置と同様に、プローブカード20を下動させて各プローブ針22の先端部22aの先端位置(当接位置)が、各プローブ針22の弾力により該当電極パッドに圧接される様にする。このとき、電極パッドからの反力が各プローブ針22に衝撃として加わるが、この反力は、連結部材23が存在することにより、平均化されて各プローブ針22に加わる。
【0021】
即ち、本実施形態では、プローブ針22に加わる反力がプローブ針毎に異なることが抑制され、プローブ針22の個体差によってその形状や弾性係数等がバラバラに変化してしまうことが抑制される。このため、経年的にプローブ針22の弾性係数等が劣化しても、連結部材23が存在することにより、各プローブ針22の針圧の均一化を維持することができ、針圧不均一による検査不具合を回避可能となり、また、プローブカード22を長期間使用可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係るプローブカードは、長期間使用可能となるため検査コストの低減を図ることができ、また、針圧の均一化を維持できるため、良好な検査が可能となり、電子デバイス等のウェハの検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るプローブカードの平面図である。
【図2】図1のII―II線断面模式図である。
【図3】図1のIII―III断面模式図であり、図2の円III内の拡大図である。
【図4】従来の検査装置の構成図である。
【図5】図4に示す従来のプローブカードの平面図(a)及び断面図(b)である。
【図6】図4に示す従来のプローブカードの要部断面拡大図である。
【符号の説明】
【0024】
20 プローブカード
21 貫通穴
22 プローブ針
22a 先端部
23 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に先端部の当接位置が当接するプローブ針が複数設けられたプローブカードにおいて、前記複数のプローブ針の各先端部を連結して固定し前記被検査物に当接する前記複数の各プローブ針の前記当接位置を同一面上に揃える絶縁性連結部材を備えることを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
前記絶縁性連結部材は樹脂製でなることを特徴とする請求項1に記載のプローブカード。
【請求項3】
前記絶縁性連結部材はリング形状でなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−267049(P2006−267049A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89446(P2005−89446)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】