説明

プローブカード

【課題】 プローブカードに関し、製品品種毎の専用のプローブカードの製作を不必要にする。
【解決手段】 プローブカード1を構成する多層配線構造中継用基板3とプローブ針4の先端部との間に交換可能な電源用プレーン5,6を少なくとも一枚設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプローブカードに関するものであり、特に、狭ピンピッチプローブカードにおける電源ピン位置の設計変更への対応を容易に迅速に行うための構成に特徴のあるプローブカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体集積回路装置等の電子デバイスの低電圧・大パワー化に伴い、電源・信号用コンタクトパッドをチップ内全面に配置するとともに、これらのパッドピッチ間隔は狭くなっている。
【0003】
この様なデバイスを構成したウェハの試験に対応するプローブカードは、主に垂直タイプのプローブピンとMLC/MLO等の多層配線中継用基板を備えるとともに、電源用のコンタクトを増やし、電源の増強、電源ドロップの対策が行われている。
【0004】
即ち、近年のデバイスでは、コンタクトパッド間隔が例えば150〜300μm程度に狭くなっているため、測定機(検査機)とのインターフェイス用のプローブカード用基板(パフォーマンスボード)に、プローブ針、スプリングピン等のコンタクトピンを配置させる構造にすると、パフォーマンスボード内の配線に高度な超微細化加工が必要となり、必然的に基板は高価となる。
【0005】
そこで、その対策として、上述のように測定機(検査機)とのインターフェイス用のパフォーマンスボードより、細部の小さいMLC/MLO等の多層構造中継用基板を設ける構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
なお、MLC(Multi−Layer Ceramic)は基材としてセラミックを用いた多層配線基板であり、MLO(Multi−Layer Organic)基材として樹脂を用いた多層配線基板であり、一般に、MLOよりMLCの方が微細配線が可能となる。
【0006】
ここで、図8を参照して従来の多層構造中継用基板を用いたプローブカードの一例を説明する。
図8参照
図8は、従来の多層構造中継用基板を用いたプローブカードの概略的構成図であり、プローブカード100は、パフォーマンスボード101、一方の面にパフォーマンスボード101との接続用バンプ103を備えるとともに他方の面にプローブピン109とのコンタクト用パッド104を備えたMLC/MLO等の多層構造中継用基板102、複数枚の位置決めプレート106〜108を備えたプローブピン固定ユニット105、及び、プローブピン109とから構成され、このプローブピン109の後端部は落下防止及びコンタクトの安定化等のためにコブラ状頭部110が設けられている。
【0007】
この様なプローブカードにおいては、多層構造中継用基板102の一方の面に設けられたコンタクト用パッド104のピッチは、半導体ウェハ111に形成された被測定用半導体チップの表面に設けられた電源用及び信号用のコンタクトパッド112と同ピッチで1:1に対応している。
【特許文献1】特開平11−096747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、多層配線構造中継用基板の一方の面に設けられたコンタクト用パッド104は、上述のように被測定用チップに設けられたコンタクトパッド112と1:1になっており、被測定用チップに対して多層配線構造中継用基板を専用化する必要がある。
【0009】
したがって、被測定用半導体チップにおいて一部の電源用パッドの位置を変更した場合には、電源用のプローブピンの配置も変更するために、新たに専用のプローブカードを製作する必要があり、このように、多層配線構造中継用基板を半導体チップ品種毎に製作することで、プローブカードの製作費用が膨大となるという問題がある。
【0010】
また、この様なプローブカードを新たに製作するためには10〜12週間必要であり、半導体チップの製造よりも手番がかかるため、ウェハ試験に間に合わなくなるという問題がある。
【0011】
一方、この様な問題を解消するために、半導体チップの製造に間に合うように電源用パッド、信号用パッド位置のレイアウト設計途中でプローブカード製作を開始した場合には、レイアウト設計段階での設計変更に対応が出来ないという問題が発生する場合がある。
【0012】
したがって、本発明は、製品品種毎の専用のプローブカードの製作を不必要にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、プローブカード用基板2、多層配線構造中継用基板3、及び、プローブ針4を備えたプローブカード1において、多層配線構造中継用基板3とプローブ針4の先端部との間に交換可能な電源用プレーン5,6を少なくとも一枚設けたことを特徴とする。
【0014】
この様に、電源用プレーン5,6を新たに導入することにより、被測定用チップにおける電源用パッドの配置が変更になった場合には、電源用プレーン5,6のみを設計変更すれば良く、専用のプローブカード1を新規に開発することなく電源用パッドの配置の変更に対応することができる。
【0015】
この場合、新たな電源用プレーン5,6の製作には3〜4週間程度ですみ、専用プローブカード1の作成番手の1/3程度の時間ですむため、レイアウト設計段階での設計変更に対応が可能になるとともに、電源用プレーン5,6のみの製作だけで良いので低コスト化が可能になる。
なお、この場合の電源用プレーン5,6とは接地用プレーンも含むものである。
【0016】
この様な構成は、多層配線構造中継用基板3を用いないプローブカード1にも適用されるものであり、その場合には、プローブカード用基板2とプローブ針4の先端部との間に多層配線構造中継用基板3を介することなく交換可能な電源用プレーン5,6を少なくとも一枚設ければ良い。
【0017】
この場合の電源用プレーン5,6が、プローブ針4の貫通用穴8,9を有するとともに、電源用プレーン5,6の少なくとも被測定物に対向する側の少なくとも表面がベタ状の金属で被覆されていることが望ましく、ベタ状の金属はメッキ法或いは蒸着法によって形成すれば良い。
【0018】
この場合、貫通用穴8,9の内壁面は絶縁化処理面とすることが望ましく、それによって、貫通用穴8,9を貫通する信号用のプローブ針4や、他の電源用プレーン5,6に接触すべき電源用プローブ針4が当該電源用プレーン5,6と接触して短絡することがなくなる。
【0019】
また、電源用プレーン5,6とプローブ針4の先端部との間にプローブ針4の位置合わせ用のガイド用プレーン7を設けることが望ましく、それによって、信号用プローブ針4や、他の電源用プレーン5,6に接触すべき電源用プローブ針4が当該電源用プレーン5,6と接触して短絡することを防止することができる。
【0020】
また、電源用プレーン5,6及びプローブ針4の位置合わせ用のガイド用プレーン7には、センス用パッド或いはプローブ針4の貫通用穴8,9の位置合わせマーク等からなる位置合わせ用モニタ及び位置合わせ用穴8,9を設けることが望ましく、それによって、交換可能な電源用プレーン5,6の位置合わせを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した様に、本発明によれば、製品チップにおける信号用パッド、電源用パッド、及び、GND用パッドのレイアウトが変更された場合にも、多層配線構造中継用基板を新たに製作する必要がなくなり、大幅な納期短縮、共通化による製作コストの削減が実現でき、また電気的特性も改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、多層配線構造中継用基板にプローブピンを位置決めするために、プローブピン位置合わせ用のガイド用プレーンの他に交換可能な電源用プレーンを設けたものであり、この電源用プレーンに設ける貫通孔の位置を製品チップにおける信号用パッド、電源用パッド、及び、GND用パッドのレイアウトの変更に対応するように設計変更するものである。
【0023】
また、将来的にパフォーマンスボードにおけるコンタクトパッドのパッドピッチの微細化が進行した場合には、多層配線構造中継用基板を用いることなく、パフォーマンスボードに直接プローブピンを位置決めするために、プローブピン位置合わせ用のガイド用プレーンの他に交換可能な電源用プレーンを設けるものである。
【実施例1】
【0024】
ここで、図2乃至図5を参照して、本発明の実施例1のプローブカードを説明するが、図2は、プローブカードを構成する各プレーンのメッキ終了後の概略的平面図であり、また、図3は、組立作業前の各プレーンの概略的平面図である。
各図において、左図は電源用プレーンであり、中図はGND用プレーンであり、また、右図は、位置合わせ用プレーンであり、各プレーンは例えば、50mm□の基板の四隅に位置合わせ用の拡大部を設けたものである。
【0025】
図2参照
まず、左図に示す電源用プレーン10は、Al製基板11の表面にAuメッキを施してベタ金属層13を形成したものであり、ベタ金属層13の一方の角部に位置合わせ用センスパッド13aを設けるとともに、位置合わせ用ベースセンスパッド13aに隣接する2つの角部に位置合わせ用ベースセンスパッド13aより小さな位置合わせ用センスパッド13b,13cを設ける。
【0026】
この位置合わせ用ベースセンスパッド13a及び位置合わせ用センスパッド13b,13cはパッド間の電気的導通を見ることによって位置合わせを確認するためのものであり、ここでは位置合わせ用センスパッド13b,13cを対角線方向に伸びる短冊状としているが、これは、位置合わせ用ベースセンスパッド13aを円の中心としAl製基板11を回転して他のプレーンとの位置合わせを容易にさせるものである。
【0027】
また、電源用プレーン10を構成するAl製基板11の四隅の拡大部には、位置合わせ用ベース穴を設けるが、例えば、位置合わせ用ベースセンスパッド13aに対応する拡大部には円形の位置合わせ用ベース穴12aを設け、他の位置合わせ用穴12b〜12dは、位置合わせ用センスパッド13b,13cの長軸方向を長軸とする長円状とする。
また、このベタ金属層13には、後述するプローブピンの貫通穴の位置合わせ用に位置合わせマーク14を設けており、ここでは、3か所に十字マークを形成している。
【0028】
また、中図に示すGND用プレーン20は、Al製基板21の表面にAuメッキを施してベタ金属層23を形成したものであり、電源用プレーン10と同様にベタ金属層23の一方の角部に位置合わせ用センスパッド23aを設けるとともに、位置合わせ用ベースセンスパッド23aに隣接する2つの角部に位置合わせ用ベースセンスパッド23aより小さな位置合わせ用センスパッド23b,23cを設ける。
なお、ここでも位置合わせ用センスパッド23b,23cを対角線方向に伸びる短冊状としている。
【0029】
また、GND用プレーン20を構成するAl製基板21の四隅の拡大部には、位置合わせ用ベース穴を設けるが、ここでも、位置合わせ用ベースセンスパッド23aに対応する拡大部には円形の位置合わせ用ベース穴22aを設け、他の位置合わせ用穴22b〜22dは、位置合わせ用センスパッド23b,23cの長軸方向を長軸とする長円状とする。 また、このベタ金属層23には、同じく位置合わせ用に位置合わせマーク24を設けており、ここでも、3か所に十字マークを形成している。
【0030】
また、右図に示すプローブピンの位置合わせ用プレーン30は、ガラス製基板31の四隅の拡大部にAuメッキを施して一方の角部に位置合わせ用センスパッド33aを設けるとともに、位置合わせ用ベースセンスパッド33aに隣接する2つの角部に位置合わせ用ベースセンスパッド33aより小さな位置合わせ用センスパッド33b,33cを設ける。
なお、ここでは位置合わせ用センスパッド33b,33cを対角線方向に伸びる短冊状としているが、これは、位置合わせ用ベースセンスパッド33aを円の中心としガラス製基板31を回転して他のプレーンとの位置合わせを容易にさせるものである。
【0031】
また、位置合わせ用プレーン30を構成するガラス製基板31の四隅の拡大部には、位置合わせ用ベース穴を設けるが、ここでも、位置合わせ用ベースセンスパッド33aに対応する拡大部には円形の位置合わせ用ベース穴32aを設け、他の位置合わせ用穴32b〜32dは、位置合わせ用センスパッド33b,33cの長軸方向を長軸とする長円状とする。
また、ガラス製基板31には、同じく位置合わせ用に位置合わせマーク34を設けており、ここでも、3か所に十字マークを形成している。
【0032】
図3参照
次いで、右図に示すプローブピンの位置合わせ用プレーン30の中央部においては、プローブピンを貫通させる貫通孔35を形成するが、ここでは、36個の貫通孔35を例示している。
【0033】
また、中図に示すGND用プレーン20にも、位置合わせマーク24を基準として位置合わせ用プレーン30に設けた貫通孔35に対応する位置に貫通孔25を設けるとともに、GND用のプローブピンを受けとめる位置は貫通孔25を設けずにコンタクトパッド26とする。
なお、ここでは、コンタクトパッド26を6個示している。
【0034】
この貫通孔25の内壁にはこの貫通孔25を貫通する信号用プローブピンがGND用プレーン20と短絡することを防止するために絶縁化処理を施す。
また、Al製基板21の他方の面の周辺部には、後述するMLC基板に設けたGND用の接続プローブピンに対するコンタクトパッド27を形成する。
【0035】
また、左図に示す電源用プレーン10にも、位置合わせマーク14を基準としてGND用プレーン20に設けた貫通孔25に対応する位置に貫通孔15を設けるとともに、電源用のプローブピンを受けとめる位置は貫通孔15を設けずにコンタクトパッド16とする。
なお、ここでは、コンタクトパッド16を9個示している。
この貫通孔15の内壁にもこの貫通孔15を貫通する信号用プローブピンが電源用プレーン10と短絡することを防止するために絶縁化処理を施す。
【0036】
また、Al製基板11の他方の面の周辺部には、GND用プレーン20に設けたコンタクトパッド27に対応する位置に開口部18を設けるとともに、その外側に後述するMLC基板に設けた電源用の接続プローブピンに対するコンタクトパッド17を形成する。
この開口部18の内壁にもこの開口部18を貫通するGND用のプローブピンが電源用プレーン10と短絡することを防止するために絶縁化処理を施す。
なお、貫通孔15,25は、位置合わせ用プレーン30に設けた貫通孔35より大きくする。
【0037】
図4参照
図4は、本発明の実施例1のプローブカードの概略的構成図であり、位置合わせ用治具を用いて一方の面に信号用プローブピン61との接続位置にコンタクトパッド52を設けるとともに、その周辺部に電源用プレーン10及びGND用プレーン20とのコンタクトピン53を設け、他方の面にパフォーマンスボード70との接続用バンプ54を設けた多層配線構造のベース部51からなるMLC基板50上に順次位置合わせしながら積層したのち、ネジ止めでMLC基板50に対して固定する。
【0038】
次いで、信号用のプローブピン63、GND用のプローブピン62、及び、電源用のプローブピン61を固定ユニット60を用いて挿入・移植する。
この時、各プローブピン61〜63の各コンタクトパッド16,26,52に対する端部をコブラ状頭部を形成して抜け落ちを防止するとともに、コンタクトの安定性を確保している。
【0039】
これらの各プローブピン61〜63は、固定ユニット60から露出する長さを等しくするために、位置合わせ用プレーン30から上部の長さが違う複数種のものを準備する。 例えば、信号用のプローブピン63は一種類で良いが、GND用のプローブピン62は使用するGND用プレーン30の枚数に応じた種類が必要になり、また、電源用のプローブピン61は使用する電源用プレーン10の枚数に応じた種類が必要になる。
【0040】
このように、各プレートを積層するとともにプローブピン61〜63を移植したMLC基板50をパフォーマンスボード70に、接続用バンプ54によって接続することによって、プローブカード40の基本構造が完成する。
なお、符号71はテスタ接続用コネクタである。
【0041】
このように構成したプローブカード40を用いて、そのプローブピン61〜63を半導体集積回路装置80に設けたコンタクト用パッド81に当接させて、各コンタクト用パッド71からの信号を信号用のプローブピン63を介してテスタ接続用コネクタ71から取り出す。
この場合のプローブピン61〜63の配置は、左側から、信号−GND−信号−電源−信号−電源−信号−GND−信号−電源−信号−信号の例を示している。
【0042】
図5参照
図5は、本発明の実施例1の設計変更後のプローブカードの概略的構成図であり、半導体集積回路装置におけるコンタクト用パッド81の配置を図の左側5本を信号−GND−信号−電源−信号から信号−電源−信号−GND−不要に変更した場合を示しており、ここでは、GND用プレーン20′に設ける貫通孔25の位置を変更することによって対応している。
【0043】
この様に、本発明の実施例1においては、半導体集積回路装置における内部回路の設計変更に伴うコンタクト用パッド81の配置の変更に対応する場合には、中間に設けるGND用プレーンを変更すれば良く、MLC基板50自体を設計変更することがないので、半導体集積回路装置の設計変更に迅速に対応することができる。
【0044】
例えば、MLC基板50の新規製作には10〜12週間必要であり、半導体チップの製造よりも手番がかかるため、ウェハ試験に間に合わなくなる場合があるが、電源用プレーン10或いはGND用プレーン20の新規製作には3〜4週間程度しか必要でないため、専用プローブカードの作成番手の1/3程度の時間ですみ、レイアウト設計段階での設計変更に対応が可能になるとともに、低コスト化が可能になる。
【実施例2】
【0045】
次に、図6を参照して、本発明の実施例2のプローブカードを説明する。
図6参照
図6は、本発明の実施例2のプローブカードの設計変更後の概略的構成図であり、ここでは、図4に示したプローブピン61〜63の配置を「信号−GND−信号−電源−信号」を「信号−電源1−信号−GND−電源2」に変更する例を示している。
【0046】
この実施例2においては、電源プレートを二種類用いた場合を示しており、ここでは、上述のコンタクトパッドの配置の変更、したがって、プローブピン61〜63の配置変更に対応するために、第2の電源用プレート90を用いるとともに、異なった配置の貫通孔25を設けたGND用プレート20′を用いてプローブカードを構成している。
なお、この場合には、電源用プレートの枚数を増やすために、プローブピンを4品種とするとともに、プローブピン63,64の長さを長くする必要がある。
【0047】
この様に、電源種を2種類用いる場合にも、電源用プレートを2枚用いるとともに、GND用プレートに設ける貫通孔の配置を変更すれば良く、作成手番は電源用プレート及びGND用プレートの作成時間だけで良くなるので、レイアウト設計段階での設計変更に対応が可能になるとともに、低コスト化が可能になる。
【実施例3】
【0048】
次に、図7を参照して、本発明の実施例3のプローブカードを説明する。
図7参照
図7は、本発明の実施例3のプローブカードの概略的構成図であり、この場合には、MLC基板を用いることなく、パフォーマンスボード70に直接各プレーンを積層したものであり、その構成は上記の実施例1と基本的に同等である。
【0049】
この実施例3においては、中継用基板であるMLC基板を用いていないので、プローブカードの構成が簡素化される。
但し、この場合には、パフォーマンスボードに設けるコンタクトパッドのピッチを微小にする必要がある。
【0050】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載した条件・構成に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、各実施例に記載した大きさ、形状、穴の数、ピンの本数等は記載した数値或いは形状に限られるものではなく、また、材質、或いは、製造方法も適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記の各実施例においては、電源用プレーン或いはGND用プレーンのベースとしてAl製基板を用いているが、Cu製基板等の他の金属製基板を用いても良いものであり、さらには、ガラス基板、ポリイミド基板、或いは、プリント板等の絶縁性基板の表面にAuメッキ或いはCuメッキを施したものを用いても良いものである。
【0052】
また、上記の各実施例においては、位置合わせ用プレーンのベースとしてガラス製基板を用いているが、ポリイミド基板等の他の絶縁性基板を用いても良いものである。
【0053】
また、上記の各実施例においては、ベタ金属層をメッキ法によって形成しているが、真空蒸着法等の他の成膜方法を用いて形成しても良いものである。
【0054】
また、上記の各実施例においては、位置合わせマーク14として十字マークを用いているが、十字マークに限られるものではなく、□、△、菱形等の他の形状を用いても良く、設ける箇所の3か所に限られるものではなく、4か所設けても良いものである。
【0055】
また、上記の各実施例においては、ベースパッドを含めてセンス用パッドを3か所に設けているが、3か所以上に設けても良いものである。
【0056】
また、上記の各実施例においては、電源用プレート、GND用プレート、及び、位置合わせ用プレートを積層したのちネジ止めで固定しているが、ネジ止めに限られるものではなく、絶縁性接着剤を用いて固定しても良いものである。
【0057】
また、上記の各実施例においては、各プローブピンを個別に挿入することを前提としているが、プローブピンをマトリクス状に束ねて一括して挿入・移植するようにしても良いものであり、設計変更に伴って不要になってプローブピンは抜き取ったり、切断したり、或いは、溶断したりすれば良い。
【0058】
また、上記の各実施例においては、中継用基板として微細配線が可能なMLC基板を用いているが、MLC基板に限られるものではなく、セラミックの変わりに樹脂を用いたMLO基板等の他の構成の多層配線構造中継用基板を用いても良いものである。
【0059】
また、上記の各実施例においては、電源用プレーン10は設計変更していないが、電源用のプローブピンと信号用プローブピンの配置のみを変更する場合には、GND用プレーン20を設計変更することなく、電源用プレーン10を設計変更すれば良く、さらには、プローブピン配置の変更に伴って両者を設計変更しても良いものである。
【0060】
また、上記の各実施例においては、図示を簡単にするために位置合わせ用プレーン30は一枚しか用いていないが、GND用プレーン20と電源用プレーン10との間に設けても良いものであり、それによって、プローブピン61〜64のガイドを確実にするとともに、GND用プレーン20と電源用プレーン10との短絡を防止することができる。
【0061】
また、実施例1の設計変更については具体的言及していないが、各プレーンを新たに組み合わせて構成しても良いし、或いは、図4に示した構成におけるネジ止めを解除して、GND用プレーンのみを交換するようにしても良いものである。
【0062】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) プローブカード用基板2、多層配線構造中継板3、及び、プローブ針4を備えたプローブカード1において、前記多層配線構造中継板3と前記プローブ針4の先端部との間に交換可能な電源用プレーン5,6を少なくとも一枚設けたことを特徴とするプローブカード。
(付記2) プローブカード用基板2及びプローブ針4を備えたプローブカード1において、前記プローブカード用基板2と前記プローブ針4の先端部との間に多層配線構造中継板3を介することなく交換可能な電源用プレーン5,6を少なくとも一枚設けていることを特徴とするプローブカード。
(付記3) 上記電源用プレーン5,6が、上記プローブ針4の貫通用穴8,9を有するとともに、前記電源用プレーン5,6の少なくとも被測定物に対向する側の少なくとも表面がベタ状の金属で被覆されていることを特徴とする付記1または2に記載のプローブカード。
(付記4) 上記電源用プレーン5,6に設ける貫通用穴8,9の内壁面を絶縁化処理面としたことを特徴とする付記3記載のプローブカード。
(付記5) 上記電源用プレーン5,6と上記プローブ針4先端部との間にプローブ針位置合わせ用のガイド用プレーン7を設けたことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1に記載のプローブカード。
(付記6) 上記電源用プレーン5,6及び上記プローブ針位置合わせ用のガイド用プレーン7に、位置合わせ用モニタ及び位置合わせ用穴を設けたことを特徴とする付記5記載のプローブカード。
(付記7) 上記位置合わせ用モニタが、センス用パッド或いは上記プローブ針4の貫通用穴8,9の位置合わせマークの少なくとも一方を含むことを特徴とする付記6記載のプローブカード。
(付記8) プローブカード用基板2、多層配線構造中継板3、及び、プローブ針4を備えたプローブカード1を用いた半導体チップの試験方法において、前記半導体チップの電源用パッドの配置に応じた配置のコンタクトパッドを設けた電源用プレーン5,6を前記多層配線構造中継板3と前記プローブ針4の先端部との間に少なくとも一枚設けて測定を行うことを特徴とする半導体チップの試験方法。
(付記9) プローブカード用基板2及びプローブ針4を備えたプローブカード1を用いた半導体チップの試験方法において、前記半導体チップの電源用パッドの配置に応じた配置のコンタクトパッドを設けた電源用プレーン5,6を前記プローブカード用基板2と前記プローブ針4の先端部との間に多層配線構造中継板3を介することなく少なくとも一枚設けて測定を行うことを特徴とする半導体チップの試験方法。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の活用例としては、半導体集積回路装置用のプローブカードが典型的なものであるが、半導体集積回路装置用に限られるものではなく、超伝導デバイス等の他の高集積度電子デバイス用にも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のプローブカードを構成する各プレーンのメッキ終了後の概略的平面図である。
【図3】本発明の実施例1の組立作業前の各プレーンの概略的平面図である。
【図4】本発明の実施例1のプローブカードの概略的構成図である。
【図5】本発明の実施例1のプローブカードの設計変更後の概略的構成図である。
【図6】本発明の実施例2のプローブカードの設計変更後の概略的構成図である。
【図7】本発明の実施例3のプローブカードの概略的構成図である。
【図8】従来の多層構造中継用基板を用いたプローブカードの概略的構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1 プローブカード
2 プローブカード用基板
3 多層配線構造中継用基板
4 プローブ針
5 電源用プレーン
6 電源用プレーン
7 ガイド用プレーン
8 貫通孔 9 貫通孔 10 電源用プレーン
11 Al製基板
12a 位置合わせ用ベース穴
12b〜12d 位置合わせ用穴
13 ベタ金属層
13a〜13c 位置合わせ用センスパッド
14 位置合わせマーク
15 貫通孔
16 コンタクトパッド
17 コンタクトパッド
18 開口部
20 GND用プレーン
20′ GND用プレーン
21 Al製基板
22a 位置合わせ用ベース穴
22b〜22d 位置合わせ用穴
23 ベタ金属層
23a〜23c 位置合わせ用センスパッド
24 位置合わせマーク
25 貫通孔
26 コンタクトパッド
27 コンタクトパッド
30 位置合わせ用プレーン
31 ガラス製基板
32a 位置合わせ用ベース穴
32b〜32d 位置合わせ用穴
33a〜33c 位置合わせ用センスパッド
34 位置合わせマーク
35 貫通孔
40 プローブカード
50 MLC基板
51 ベース部
52 コンタクトパッド
53 コンタクトピン
54 接続用バンプ
60 固定ユニット
61〜64 プローブピン
70 パフォーマンスボード
71 テスタ接続用コネクタ
80 半導体集積回路装置
81 コンタクト用パッド
90 電源用プレート
100 プローブカード
101 パフォーマンスボード
102 多層構造中継用基板
103 接続用バンプ
104 コンタクト用パッド
105 プローブピン固定ユニット
106〜108 位置決めプレート
109 プローブピン
110 コブラ状頭部
111 半導体ウェハ
112 コンタクトパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカード用基板、多層配線構造中継用基板、及び、プローブ針を備えたプローブカードにおいて、前記多層配線構造中継用基板と前記プローブ針の先端部との間に交換可能な電源用プレーンを少なくとも一枚設けたことを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
プローブカード用基板及びプローブ針を備えたプローブカードにおいて、前記プローブカード用基板と前記プローブ針の先端部との間に多層配線構造中継用基板を介することなく交換可能な電源用プレーンを少なくとも一枚設けたことを特徴とするプローブカード。
【請求項3】
上記電源用プレーンが、上記プローブ針の貫通用穴を有するとともに、前記電源用プレーンの少なくとも被測定物に対向する側の少なくとも表面がベタ状の金属で被覆されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプローブカード。
【請求項4】
上記電源用プレーンと上記プローブ針先端部との間にプローブ針位置合わせ用のガイド用プレーンを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプローブカード。
【請求項5】
上記電源用プレーン及び上記プローブ針位置合わせ用のガイド用プレーンに、位置合わせ用モニタ及び位置合わせ用穴を設けたことを特徴とする請求項4記載のプローブカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−41333(P2006−41333A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221447(P2004−221447)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】