説明

ポンプ付き容器とその一部を形成する金型およびその成形方法

【課題】ノズルヘッドカバー筒抜止め突部の突出量と形状の設計の自由度を増大させることが可能でノズルヘッドカバー筒の抜け防止が確実なポンプ容器とその一部を形成する金型およびその成形方法を提供する。
【解決手段】容器体の口頸部3外面へ嵌合させた嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させ、該案内筒の上部内面にカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該抜止め突部より下方の案内筒36部分から外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成し、ノズルヘッド40から垂下するカバー筒42を案内筒36内へ上下動自在に嵌合させるとともに、該カバー筒42の下端外面に係合突条43を設けて、ノズルヘッド40の上限時に係合突条43がカバー筒抜止め突部37下端へ係合可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプ付き容器とその一部を形成する金型およびその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルヘッドをコイルスプリングで上方付勢することによりシリンダ内から起立するステムに上方への付勢力を付与するようにしたポンプ付き容器では、ノズルヘッドの頂壁から垂下するカバー筒が容器体口頸部へ装着させた装着筒から抜出さないようにするため、装着筒内面に抜出し防止用の突条を周設して、該突条へカバー筒下端の突部を係合させている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−165561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ポンプ付き容器を成形するに際して、成形後、ノズルヘッドから垂下するカバー筒が挿入される装着筒から上型を抜き出す際に、カバー筒抜出し防止用の突条を強制的に乗越えさせるため、突条の突出量が大きいと上型の抜き出しが困難になることから突出量が制約され設計の自由度が制限されるばかりではなく、極端な場合には突条が形成された筒部が外方へ変形するおそれがあるとともに、該突条を十分に大きくすることができないためノズルヘッドカバー筒が装着筒から抜け出すおそれがあった。
いう課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、カバー筒抜止め突部の突出量と形状の設計の自由度を増大させることが可能で装着筒からのノズルヘッドカバー筒の抜け防止をより確実なものとすることができるポンプ容器とその一部を成形する金型およびその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体内に設けられたシリンダ10内へノズル連通筒20を垂下させたノルヘッド40と、
該ノズルヘッド40の頂壁41周縁から垂下するカバー筒42と、
容器体の口頸部3外面へ嵌合させた嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させ、該案内筒36の上部内面にノズルヘッド40のカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該抜止め突部37より下方の案内筒36部分から前記外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成した装着筒と、
下端を前記垂下筒33底壁へ、かつ上端を前記ノズルヘッド40の頂壁41へ、それぞれ当接させて、該ノズルヘッド40を上方へ付勢するバネ材50とを備え、
前記カバー筒42を前記案内筒36内へ上下動自在に嵌合させるとともに、該カバー筒42の下端外面に係合突条43を設けて、前記ノズルヘッド40の上限時に前記係合突条43が前記カバー筒抜止め突部37下端へ係合可能に設けた
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記外向きフランジ35における前記型抜き孔38の径方向の幅を前記カバー筒抜止め突部37の径方向への突出量より大にしたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記型抜き孔38を除く前記外向きフランジ35部分上面に、前記嵌合筒31と前記案内筒36とを接続する補強リブ39を設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、容器体の口頸部3外面へ嵌合させた嵌合筒31上端から内向きフランジ32を介して垂下させた垂下筒33へピストン抜止め筒34を貫設させると共に、嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させ、該案内筒36の上部内面にカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該抜止め突部37より下方の案内筒36部分から前記外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成した装着筒を形成可能なキャビティを上型61と下型62との間に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、型開きに際して、下型62を下方へ移動させることで、カバー筒抜止め突部37形成用の下型62の突起部63を、案内筒36から外向きフランジ35へかけて形成した型抜き孔38を介して下方へ抜き出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、カバー筒抜止め突部37より下方の案内筒36部分から外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成したので、カバー筒抜止め突部37を形成するための下型62を型抜き孔38を利用して下方へ抜き出すことができ、カバー筒抜止め突部37を強制乗越えさせないので、カバー筒抜止め突部37の形状とその突出量を正確に定めることができるとともに、カバー筒抜止め突部37の突出量を大にして大きくすることができ、したがって、ノズルヘッド40のカバー筒42抜止め用としての強度を安定させることができるとともに、カバー筒42の抜け防止をより確実なものとすることができる。
【0012】
また、本発明は、型抜き孔38の外向きフランジ35における径方向の長さをカバー筒抜止め突部37の径方向への突出量より大にしたので、下型62の型抜きが容易である。
【0013】
さらに、型抜き孔38を除く外向きフランジ35部分上面に、嵌合筒31と前記案内筒36とを接続する補強リブ39を設けたので、型抜き孔38の形成による案内筒36の強度低下を補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るポンプ付き容器の半断面図である。
【図2】(1)装着筒の上面図である。 (2)装着筒の半断面図である。 (3)装着筒の下面図である。
【図3】要部拡大図である。
【図4】要部斜視図である。
【図5】要部拡大図である。
【図6】型抜き孔が形成されている装着筒部分を断面にした溶融樹脂の充填時の状態を示す説明図である。
【図7】型抜き孔が形成されていない装着筒部分を断面にした溶融樹脂の充填時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
1は容器体で、胴部2上端から肩部を介して口頸部3を起立する。なお、5は筒状ピストン式の可動底板で、容器体内容物の減少に応じて上昇可能に設けられている。
【0017】
10はシリンダで、その上端を口頸部3へ係合させて容器体1内へ垂下するとともに、周壁内へ環状ピストン22を上下動自在に嵌合させる。
【0018】
30は装着筒で、容器体1の口頸部3外面へ螺合させた嵌合筒31上端に内向きフランジ32を形成して、該内向きフランジをシリンダ10上端のフランジへ載置させるとともに、内向きフランジ32内周から垂下筒33を垂下させ、該垂下筒33底壁へピストン抜止め筒34を貫設させる。
【0019】
さらに、嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させるとともに、案内筒36上端から覆筒36aを垂下する。案内筒36の上端内面にカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該カバー筒抜止め突部37より下方の案内筒36部分から外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成させる。
【0020】
カバー筒抜止め突部37は周方向へ長い突条から形成し、かつ等間隔をおいて3箇所に形成する。さらに、型抜き孔38を除く外向きフランジ35部分上面に、嵌合筒31下端と案内筒36下端とを接続する補強リブ39を設ける。
【0021】
補強リブ39は隣接する一対の型抜き孔38間の外向きフランジ35部分に等間隔をおいて形成するのが好ましい。
【0022】
40はノズルヘッドで、頂壁41から垂下するノズル連通筒20の下端部をシリンダ10内の環状ピストン22へ上下動自在に嵌合させるとともに、頂壁41周縁からカバー筒42を垂設して、該カバー筒を案内筒36内へ上下動自在に嵌合させるとともに、該カバー筒42下端外面に係合突条43を形成して、カバー筒42の上限時に係合突条43がカバー筒抜止め突部37下端へ係合可能に設ける。
【0023】
50はバネ材で、ピストン抜止め筒34外面へ嵌合させたコイルスプリングから形成され、その下端を装着筒30へ、かつ上端をノズルヘッド40の頂壁41へ、それぞれ当接させてノズルヘッド40を上方へ付勢する。55はキャップで、頂板56から側板57を垂下して、側板57の下端を覆筒36a外面へ係合させる。
【0024】
60は金型で、装着筒30を形成可能なキャビティを上型61と下型62との間に設けており、下型62にカバー筒42抜止め突部37を形成可能な突起部63を備えていて、該突起部63は案内筒36から外向きフランジ35外周部へかけて形成された成形後の型抜き孔38から下方へ抜出し可能に設けられており、また上型61にカバー筒抜止め突部37を形成可能な凹部64が形成されている。なお、嵌合筒31のネジ部31aを形成可能な金型部分の型抜きは、公知の手段、すなわち回動させつつ下方へ移動させることで行う。
【0025】
次にポンプ付き容器における装着筒の成形方法について説明する。
金型60を型締めした後、ゲートを介してキャビティ内へ溶融樹脂を充填すると、装着筒30が成形される。溶融樹脂が固化した後、下型62を下方へ移動させれば、突起部63が型抜き孔38から下方へ抜出すため、カバー筒抜止め突部37を強制乗越えさせることなく型開きをすることが可能であり、したがって、カバー筒抜止め突部37をより大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ノズル付き押下げヘッドを備えたポンプ付き容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
3 口頸部
10 シリンダ
20 ノズル連通筒
30 装着筒
31 嵌合筒
32 内向きフランジ
33 垂下筒
34 ピストン抜止め筒
35 外向きフランジ
36 案内筒
37 カバー筒抜止め突部
38 型抜き孔
39 補強リブ
40 ノズルヘッド
42 カバー筒
43 係合突条
50 バネ材
60 金型
61 上型
62 下型


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体内に設けられたシリンダ10内へノズル連通筒20を垂下させたノルヘッド40と、
該ノズルヘッド40の頂壁41周縁から垂下するカバー筒42と、
容器体の口頸部3外面へ嵌合させた嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させ、該案内筒36の上部内面にノズルヘッド40のカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該抜止め突部37より下方の案内筒36部分から前記外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成した装着筒と、
下端を前記垂下筒33底壁へ、かつ上端を前記ノズルヘッド40の頂壁41へ、それぞれ当接させて、該ノズルヘッド40を上方へ付勢するバネ材50とを備え、
前記カバー筒42を前記案内筒36内へ上下動自在に嵌合させるとともに、該カバー筒42の下端外面に係合突条43を設けて、前記ノズルヘッド40の上限時に前記係合突条43が前記カバー筒抜止め突部37下端へ係合可能に設けた
ことを特徴とするポンプ付き容器。
【請求項2】
前記外向きフランジ35における前記型抜き孔38の径方向の長さを前記カバー筒抜止め突部37の径方向への突出量より大にしたことを特徴とする請求項1記載のポンプ付き容器。
【請求項3】
前記型抜き孔38を除く前記外向きフランジ35部分上面に、前記嵌合筒31と前記案内筒36とを接続する補強リブ39を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のポンプ付き容器。
【請求項4】
容器体の口頸部3外面へ嵌合させた嵌合筒31上端から内向きフランジ32を介して垂下させた垂下筒33へピストン抜止め筒34を貫設させると共に、嵌合筒31下端から外向きフランジ35を介して案内筒36を起立させ、該案内筒36の上部内面にカバー筒抜止め突部37を設けると共に、該抜止め突部37より下方の案内筒36部分から前記外向きフランジ35外周部へかけて型抜き孔38を形成した装着筒を形成可能なキャビティを上型61と下型62との間に設けたことを特徴とする金型。
【請求項5】
型開きに際して、請求項4記載の金型における前記下型62を下方へ移動させることで、前記カバー筒抜止め突部37形成用の下型62の突起部63を、前記案内筒36から前記外向きフランジ35へかけて形成した請求項4記載の金型における前記型抜き孔38を介して下方へ抜き出すことを特徴とするポンプ付き容器における装着筒の成形方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−213386(P2011−213386A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83640(P2010−83640)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】