説明

モジュール基板及びモジュール基板の製造方法

【課題】本発明は、ベース基板から封止樹脂が剥がれ難いモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース基板1と、該ベース基板1の少なくとも一面に実装する複数の電子部品2と、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止する封止樹脂とを備えるモジュール基板10である。封止樹脂は、ベース基板1の一面の一部に形成してある第1樹脂3と、第1樹脂3を覆うようにベース基板の一面に形成してある第2樹脂4とを有し、第1樹脂3中のフィラの含有量が、第2樹脂4中のフィラの含有量より少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一面に複数の電子部品を実装したベース基板に、フィラを含有する封止樹脂を形成してあるモジュール基板及びモジュール基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース基板の少なくとも一面に複数の電子部品を実装し、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止する封止樹脂を形成してあるモジュール基板が、電子機器等に組み込まれている。
【0003】
特許文献1には、ベース基板と、ベース基板上に実装された電子部品であるチップと、チップ上の複数のパッドとベース基板上の複数のパッドとをそれぞれ接続する複数のワイヤと、チップ及び複数のワイヤを封止する封止樹脂とを備える半導体装置(モジュール基板)が開示してある。また、特許文献1では、封止樹脂が、平均粒径3〜7μm、最大粒径20〜30μmのフィラを80重量%以上含有しており、複数のパッドのピッチが100μm以上である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベース基板上に実装された電子部品を封止樹脂で封止したモジュール基板は、封止した封止樹脂が硬化すると封止樹脂のサイズが小さくなる(硬化収縮)ためベース基板が反るという問題があった。そこで、特許文献1に開示してある半導体装置では、硬化しても封止樹脂のサイズの変化が小さい、フィラを80重量%以上含有している封止樹脂を用いて、ベース基板上に実装された電子部品を封止して、ベース基板の反りを防止していた。
【0006】
しかし、封止樹脂中のフィラの含有量が多くなった場合、ベース基板に対して接着性を有する樹脂の量が少なくなり、ベース基板と封止樹脂との接着力が弱くなるため、ベース基板から封止樹脂が剥がれやすくなるという問題があった。
【0007】
また、封止樹脂中のフィラの含有量が多くなった場合、封止樹脂の粘度が高くなり、流動性が低下するため、ベース基板の一面に実装した電子部品とベース基板との間隙、及び隣接する電子部品間の間隙に封止樹脂を充填することができないという問題があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ベース基板から封止樹脂が剥がれ難いモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供することを目的とする。また、ベース基板の一面に実装した電子部品とベース基板との間隙、及び隣接する電子部品間の間隙に封止樹脂を充填することができるモジュール基板、及びモジュール基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1発明に係るモジュール基板は、ベース基板と、該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品を封止する封止樹脂とを備え、前記封止樹脂は、前記ベース基板の一面の一部に形成してある第1樹脂と、前記第1樹脂を覆う前記ベース基板の一面に形成してある第2樹脂とを有し、前記第1樹脂中のフィラの含有量が、前記第2樹脂中のフィラの含有量より少ない。
【0010】
第1発明では、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止する封止樹脂は、ベース基板の一面の一部に形成してある第1樹脂と、第1樹脂を覆うようにベース基板の一面に形成してある第2樹脂とを有し、第1樹脂中のフィラの含有量が、第2樹脂中のフィラの含有量より少ないので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から封止樹脂を剥がれ難くする。
【0011】
また、第2発明に係るモジュール基板は、第1発明において、前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品と前記ベース基板との間隙、及び前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品の側面に形成する。
【0012】
第2発明では、第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品とベース基板との間隙、及びベース基板の一面に実装した複数の電子部品の側面に形成するので、第2樹脂に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品とベース基板との間隙、及び隣接する電子部品間の間隙に充填することができる。
【0013】
また、第3発明に係るモジュール基板は、第1又は第2発明において、前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品を覆うように形成する。
【0014】
第3発明では、第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を覆うように形成するので、第2樹脂に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品とベース基板との間隙、及び隣接する電子部品間の間隙に確実に充填することができる。
【0015】
また、第4発明に係るモジュール基板は、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に形成する。
【0016】
第4発明では、第1樹脂を、ベース基板の一面に形成するので、第2樹脂に比べてベース基板との接着力が強いフィラの含有量の少ない第1樹脂をベース基板の一面の全てに形成して、ベース基板から封止樹脂をより剥がれ難くする。
【0017】
また、第5発明に係るモジュール基板は、第4発明において、前記第2樹脂の厚みが、前記第1樹脂の厚みより厚い。
【0018】
第5発明では、第2樹脂の厚みが、第1樹脂の厚みより厚いので、封止樹脂を構成する第2樹脂の割合が増え、封止樹脂のサイズの変化がより小さくなり、ベース基板の反りをより確実に防止することができる。
【0019】
また、第6発明に係るモジュール基板は、第1乃至第5発明のいずれか一つにおいて、前記第1樹脂中のフィラの含有量は、50重量%以上、80重量%未満である。
【0020】
第6発明では、第1樹脂中のフィラの含有量は、50重量%以上、80重量%未満であるので、第2樹脂に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品とベース基板との間隙、及び隣接する電子部品間の間隙に確実に充填することができる。
【0021】
上記目的を達成するために第7発明に係るモジュール基板の製造方法は、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止樹脂で封止したモジュール基板の製造方法において、前記ベース基板の少なくとも一面に複数の前記電子部品を実装する工程と、複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板の一面に、シート状の第1樹脂と、該第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂とを順に積層する工程と、前記ベース基板の一面に積層したシート状の前記第1樹脂及びシート状の前記第2樹脂を硬化させる工程とを含む。
【0022】
第7発明では、ベース基板の少なくとも一面に複数の電子部品を実装し、複数の電子部品を実装したベース基板の一面に、シート状の第1樹脂と、第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂とを順に積層し、ベース基板の一面に積層したシート状の第1樹脂及びシート状の第2樹脂を硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から第1樹脂及び第2樹脂を有する封止樹脂が剥がれ難くいモジュール基板を製造することができる。
【0023】
上記目的を達成するために第8発明に係るモジュール基板の製造方法は、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止樹脂で封止したモジュール基板の製造方法において、前記ベース基板の少なくとも一面に複数の前記電子部品を実装する工程と、複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板の一面の少なくとも一部に、液状の第1樹脂を塗布し、塗布した前記第1樹脂を脱泡後に硬化させる工程と、硬化した前記第1樹脂を覆うように前記ベース基板の一面に、前記第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂を塗布し、塗布した前記第2樹脂を脱泡後に硬化させる工程とを含む。
【0024】
第8発明では、ベース基板の少なくとも一面に複数の電子部品を実装し、複数の電子部品を実装したベース基板の一面の少なくとも一部に、液状の第1樹脂を塗布し、塗布した第1樹脂を脱泡後に硬化し、硬化した第1樹脂を覆うようにベース基板の一面に、第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂を塗布し、塗布した第2樹脂を脱泡後に硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から第1樹脂及び第2樹脂を有する封止樹脂が剥がれ難くいモジュール基板を製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
上記構成によれば、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止する封止樹脂は、ベース基板の一面の一部に形成してある第1樹脂と、第1樹脂を覆うようにベース基板の一面に形成してある第2樹脂とを有し、第1樹脂中のフィラの含有量が、第2樹脂中のフィラの含有量より少ないので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から封止樹脂を剥がれ難くする。
【0026】
また、上記製造方法によれば、ベース基板の少なくとも一面に複数の電子部品を実装し、複数の電子部品を実装したベース基板の一面に、シート状の第1樹脂と、第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂とを順に積層し、ベース基板の一面に積層したシート状の第1樹脂及びシート状の第2樹脂を硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から第1樹脂及び第2樹脂を有する封止樹脂が剥がれ難くいモジュール基板を製造することができる。
【0027】
さらにまた、上記別の製造方法によれば、ベース基板の少なくとも一面に複数の電子部品を実装し、複数の電子部品を実装したベース基板の一面の少なくとも一部に、液状の第1樹脂を塗布し、塗布した第1樹脂を脱泡後に硬化し、硬化した第1樹脂を覆うようにベース基板の一面に、第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂を塗布し、塗布した第2樹脂を脱泡後に硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂でベース基板の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂でベース基板との接着力を強くして、ベース基板から第1樹脂及び第2樹脂を有する封止樹脂が剥がれ難くいモジュール基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。
【図4】封止樹脂中のフィラの含有量と粘度との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の別の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図1に示すように、モジュール基板10は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の一面に形成してある第1樹脂3、第1樹脂3を覆うようにベース基板1の一面に形成してある第2樹脂4を備えている。さらに、第1樹脂3中のフィラの含有量が、第2樹脂4中のフィラの含有量より少ない。なお、第1樹脂3及び第2樹脂4中のフィラは、無機フィラであり、例えばAl2 3 、SiO2 、TiO2 等である。
【0031】
ベース基板1としては、LTCC(低温焼成セラミックス:Low Temperature Co−fired Ceramics)基板、有機基板等、特に限定されるものではない。ベース基板1の電子部品2を実装する面には、表面電極(図示せず)が形成されている。電子部品2は、ベース基板1の一面に表面実装することが可能な表面実装型電子部品(Surface Mount Device)、小型積層チップ部品等である。なお、電子部品2は、ベース基板1の両面に実装しても良い。
【0032】
第1樹脂3及び第2樹脂4は、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂にフィラを混合した複合樹脂である。硬化性樹脂は、ベース基板1に対して接着性を有するが、硬化後のサイズの変化が大きい。一方、フィラは、ベース基板1に対して接着性を有していないが、樹脂が硬化してもサイズが変化しない。第1樹脂3は、第2樹脂4に比べてフィラの含有量が少なく、硬化性樹脂の量が多いので、ベース基板1と第1樹脂3との接着力が強くなる。第2樹脂4は、第1樹脂3に比べてフィラの含有量が多いので、ベース基板1の反りを防止することができる。本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10では、ベース基板1との接着力が強い第1樹脂3と、ベース基板1の反りを防止することができる第2樹脂4とを有する封止樹脂でベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止している。
【0033】
第2樹脂4のみを有する封止樹脂でベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止した場合、ベース基板1の反りを防止することはできるが、ベース基板1から封止樹脂が剥がれやすくなる。逆に、第1樹脂3のみを有する封止樹脂でベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止した場合、ベース基板1から封止樹脂が剥がれ難くなるが、ベース基板1の反りを防止することができない。そこで、モジュール基板10では、ベース基板1の一面に第1樹脂3を形成して、形成した第1樹脂3を覆うようにベース基板1の一面に第2樹脂4を形成することで、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止樹脂で封止している。なお、第1樹脂3をベース基板1の一面の全てに形成する場合に限定されるものではなく、ベース基板1から封止樹脂が剥がれ難くなるように、第1樹脂3をベース基板1の一面の一部に形成しても良い。例えば、第1樹脂3をベース基板1の四隅に形成し、第2樹脂4を、第1樹脂3を覆うようにベース基板1の一面の全てに形成しても良い。
【0034】
また、第2樹脂4の厚みを、第1樹脂3の厚みより厚くすることで、封止樹脂を構成する第2樹脂4の割合が増え、封止樹脂のサイズの変化がより小さくなり、ベース基板1の反りをより確実に防止することができる。なお、第2樹脂4の厚みは、第1樹脂3の厚みより厚くする場合に限定されるものではない。さらに、第2樹脂4中のフィラの含有量を増やすことでも、ベース基板1の反りをより確実に防止することができる。
【0035】
さらに、第2樹脂4中のフィラの含有量は、第1樹脂3中のフィラの含有量より多いため、第2樹脂4は、第1樹脂3に比べて、粘度が高く、流動性が低下している。そのため、第2樹脂4を、ベース基板1の一面に直接形成しても、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に第2樹脂4を充填することができない恐れがある。そこで、モジュール基板10では、第1樹脂3をベース基板1の一面に形成することで、第2樹脂4に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂3を、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に確実に充填している。なお、第1樹脂3中のフィラの大きさ(例えば、平均粒径、最大粒径)は、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に比べて十分小さいものとする。
【0036】
次に、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10の製造方法を説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10の製造工程を示す模式図である。まず、図2(a)に示すように、ベース基板1の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に電子部品2を実装する。その後、電子部品2を実装したベース基板1を洗浄しておく。
【0037】
次に、図2(b)に示すように、複数の電子部品2を実装したベース基板1の一面に、シート状の第1樹脂31と、シート状の第1樹脂31中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂41とを順に積層する。シート状の第1樹脂31は、半硬化状態(Bステージ状態、プリフレグ状態)のシートであり、取扱を容易にするためにベース基板1の一面に積層する前はPET(Polyethylene Terephthalate)フィルム上に設けてある。シート状の第2樹脂41は、半硬化状態のシートであり、取扱を容易にするためにベース基板1の一面に積層する前はPETフィルム上に設けてある。
【0038】
次に、図2(c)に示すように、ベース基板1の一面に積層したシート状の第1樹脂31及びシート状の第2樹脂41を硬化させる。具体的には、ベース基板1の一面に積層したシート状の第1樹脂31及びシート状の第2樹脂41をオーブン等で加熱して、半硬化状態であるシート状の第1樹脂31及びシート状の第2樹脂41を硬化させる。シート状の第1樹脂31及びシート状の第2樹脂41を硬化させることで、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を第1樹脂3及び第2樹脂4を有する封止樹脂で封止することができる。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態1に係るモジュール基板10は、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2を封止する封止樹脂は、ベース基板1の一面の少なくとも一部に形成してある第1樹脂3と、第1樹脂3を覆うようにベース基板1の一面に形成してある第2樹脂4とを有し、第1樹脂3中のフィラの含有量が、第2樹脂4中のフィラの含有量より少ないので、フィラの含有量の多い第2樹脂4でベース基板1の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂3でベース基板1との接着力を強くして、ベース基板1から封止樹脂を剥がれ難くする。
【0040】
また、本発明の実施の形態1では、ベース基板1の少なくとも一面に複数の電子部品2を実装し、複数の電子部品2を実装したベース基板1の一面に、シート状の第1樹脂31と、シート状の第1樹脂31中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂41とを順に積層し、ベース基板1の一面に積層したシート状の第1樹脂31及びシート状の第2樹脂41を硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂4でベース基板1の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂3でベース基板1との接着力を強くして、ベース基板1から第1樹脂3及び第2樹脂4を有する封止樹脂が剥がれ難いモジュール基板10を製造することができる。さらに、第1樹脂3をベース基板1の一面に形成することで、第2樹脂4に比べてフィラの含有量が少ないため、粘度が低く、流動性が高い第1樹脂3を、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に確実に充填することができる。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るモジュール基板は、第1樹脂を、ベース基板の一面に実装した複数の電子部品とベース基板との間隙、及びベース基板の一面に実装した複数の電子部品の側面に形成する場合について説明する。図3は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板の構成を示す模式図である。図3に示すモジュール基板11は、ベース基板1、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2、ベース基板1の一面の一部に形成してある第1樹脂3a、第1樹脂3aを覆うようにベース基板1の一面に形成してある第2樹脂4を備えている。なお、図3に示すモジュール基板11は、第1樹脂3aの構成が異なる以外、図1に示すモジュール基板10と同じであるため、同じ構成要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
フィラを含有する封止樹脂は、特許文献1に開示してあるように、フィラの含有量が多くなると、封止樹脂の粘度が高くなり、流動性が低下する。図4は、封止樹脂中のフィラの含有量と封止樹脂の粘度との関係を示すグラフである。図4に示すグラフの横軸は封止樹脂中のフィラの含有量(重量%)、縦軸は封止樹脂の粘度(Pa・s)である。図4のグラフに示すように、封止樹脂中のフィラの含有量が多くなると、封止樹脂の粘度が高くなる。特に、封止樹脂中のフィラの含有量が80重量%以上になると、封止樹脂の粘度は急激に高くなる。封止樹脂の粘度が高くなり、流動性が低下すると、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に封止樹脂を充填することができない。
【0043】
第2樹脂4中のフィラの含有量は、第1樹脂3a中のフィラの含有量より多いため、第2樹脂4は、第1樹脂3aに比べて、粘度が高く、流動性が低下している。そのため、第2樹脂4を、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面に形成すると、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に第2樹脂4を充填することができない恐れがある。そこで、モジュール基板11では、第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面に形成することで、第2樹脂4に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に確実に充填することができる。なお、第1樹脂3a中のフィラの大きさ(例えば、平均粒径、最大粒径)は、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に比べて十分小さいものとする。
【0044】
図4のグラフに示すように、封止樹脂中のフィラの含有量が80重量%以上になると、封止樹脂の粘度は急激に高くなるので、第1樹脂中のフィラの含有量は、80重量%未満であることが好ましい。また、封止樹脂中のフィラの含有量が50重量%未満になると、硬化収縮によって発生する応力が大きくなり硬化した封止樹脂にクラックが生じる可能性があるため、第1樹脂中のフィラの含有量は、50重量%以上であることが好ましい。
【0045】
モジュール基板11では、第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面に形成しているが、第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2に形成しても良い。図5は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板11の別の構成を示す模式図である。図5に示すモジュール基板11は、第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2に形成している。第1樹脂3aを、実装した複数の電子部品2全体を覆うように形成しているので、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面にも形成することになる。そのため、第2樹脂4に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に第1樹脂3aを確実に充填することができる。なお、第1樹脂3aを、実装した複数の電子部品2を一つの群として群全体を覆うように形成しても、一つ又は複数の電子部品2ごとに覆うように形成しても良い。
【0046】
次に、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板11の製造方法を説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係るモジュール基板11の製造工程を示す模式図である。まず、図6(a)に示すように、ベース基板1の一面において、ハンダが印刷されている表面電極(図示せず)上に電子部品2を実装する。その後、電子部品2を実装したベース基板1を洗浄しておく。
【0047】
次に、図6(b)に示すように、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の全体を覆うように、液状の第1樹脂3aを塗布し、塗布した第1樹脂3aを脱泡後に硬化させる。第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面に少なくとも形成することができるように、液状の第1樹脂3aをベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2に塗布すれば良い。塗布した第1樹脂3aには、空気等の気体成分が含まれているため、第1樹脂3aを塗布したベース基板1を真空チャンバ等に入れ、真空脱泡する。また、加熱機能を備えた真空チャンバであれば、塗布した第1樹脂3aを脱泡後に、一旦大気状態に戻すことなく第1樹脂3aを加熱して、硬化させることができる。なお、図1に示すモジュール基板10のように、ベース基板1の一面に第1樹脂3aを形成する場合は、ベース基板1の一面に液状の第1樹脂3aを塗布すれば良い。
【0048】
次に、図6(c)に示すように、第1樹脂3aを硬化したベース基板1の一面に、第1樹脂3a中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂4を塗布し、塗布した第2樹脂4を脱泡後に硬化させる。第2樹脂4を、第1樹脂3aを覆うようにベース基板1の一面に形成できるように、液状の第2樹脂4をベース基板1の一面の全てに塗布する。塗布した第2樹脂4には、空気等の気体成分が含まれているため、第2樹脂4を塗布したベース基板1を真空チャンバ等に入れ、真空脱泡する。また、加熱機能を備えた真空チャンバであれば、塗布した第2樹脂4を脱泡後に、一旦大気状態に戻すことなく第2樹脂4を加熱して、硬化させることができる。
【0049】
以上のように、第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及びベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2の側面に形成するので、第2樹脂4に比べて粘度が低く、流動性が高い第1樹脂3aを、ベース基板1の一面に実装した複数の電子部品2とベース基板1との間隙、及び隣接する電子部品2間の間隙に確実に充填することができる。
【0050】
また、本発明の実施の形態2では、ベース基板1の少なくとも一面に複数の電子部品2を実装し、複数の電子部品2を実装したベース基板1の一面の少なくとも一部に、液状の第1樹脂を塗布し、塗布した第1樹脂3aを脱泡後に硬化させ、硬化した第1樹脂3aを覆うようにベース基板1の一面に、第1樹脂3a中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂4を塗布し、塗布した第2樹脂4を脱泡後に硬化させるので、フィラの含有量の多い第2樹脂4でベース基板1の反りを防止しつつ、フィラの含有量の少ない第1樹脂3aでベース基板1との接着力を強くして、ベース基板1から第1樹脂3a及び第2樹脂4を有する封止樹脂が剥がれ難くいモジュール基板11を製造することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ベース基板
2 電子部品
3、3a 第1樹脂
4 第2樹脂
10、11 モジュール基板
31 シート状の第1樹脂
41 シート状の第2樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
該ベース基板の少なくとも一面に実装する複数の電子部品と、
前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品を封止する封止樹脂と
を備え、
前記封止樹脂は、
前記ベース基板の一面の一部に形成してある第1樹脂と、前記第1樹脂を覆うように前記ベース基板の一面に形成してある第2樹脂とを有し、前記第1樹脂中のフィラの含有量が、前記第2樹脂中のフィラの含有量より少ないことを特徴とするモジュール基板。
【請求項2】
前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品と前記ベース基板との間隙、及び前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品の側面に形成することを特徴とする請求項1に記載のモジュール基板。
【請求項3】
前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に実装した複数の前記電子部品を覆うように形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のモジュール基板。
【請求項4】
前記第1樹脂を、前記ベース基板の一面に形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項5】
前記第2樹脂の厚みが、前記第1樹脂の厚みより厚いことを特徴とする請求項4に記載のモジュール基板。
【請求項6】
前記第1樹脂中のフィラの含有量は、50重量%以上、80重量%未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモジュール基板。
【請求項7】
ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止樹脂で封止したモジュール基板の製造方法において、
前記ベース基板の少なくとも一面に複数の前記電子部品を実装する工程と、
複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板の一面に、シート状の第1樹脂と、該第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多いシート状の第2樹脂とを順に積層する工程と、
前記ベース基板の一面に積層したシート状の前記第1樹脂及びシート状の前記第2樹脂を硬化させる工程と
を含むことを特徴とするモジュール基板の製造方法。
【請求項8】
ベース基板の一面に実装した複数の電子部品を封止樹脂で封止したモジュール基板の製造方法において、
前記ベース基板の少なくとも一面に複数の前記電子部品を実装する工程と、
複数の前記電子部品を実装した前記ベース基板の一面の少なくとも一部に、液状の第1樹脂を塗布し、塗布した前記第1樹脂を脱泡後に硬化させる工程と、
硬化した前記第1樹脂を覆うように前記ベース基板の一面に、前記第1樹脂中のフィラの含有量より、フィラの含有量が多い液状の第2樹脂を塗布し、塗布した前記第2樹脂を脱泡後に硬化させる工程と
を含むことを特徴とするモジュール基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146843(P2012−146843A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4660(P2011−4660)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】