説明

レジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】分子レジスト材料を用いたレジストパターンのパターン不良を防止できるようにする。
【解決手段】まず、基板の上に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物と、光酸発生剤とを含み、且つポリマーを含まないレジスト材料からレジスト膜102を形成する。続いて、形成されたレジスト膜102に極紫外線よりなる露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程。続いて、パターン露光が行われたレジスト膜102を加熱し、その後、加熱されたレジスト膜102に対して現像を行って、レジスト膜102からレジストパターン102aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造プロセス等において用いられるレジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の大集積化及び半導体素子のダウンサイジングに伴って、リソグラフィ技術の開発の加速が望まれている。現在のところ、露光光としては、水銀ランプ、KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザ等を用いる光リソグラフィによりパターン形成が行われている。より短波長の極紫外線の使用も検討されており、極紫外線は波長が13.5nmと従来の光リソグラフィと比べて10分の1以下に短波長化しているため、解像性の大幅な向上が期待できる。
【0003】
極紫外線を用いた露光は、パターンの微細化が進むため、パターンのラフネスを低減することも重要であり、これを解決するための方法として分子レジストが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。分子レジストによれば、現像時の溶解性が均質となるため、パターンのラフネスが低減することが期待されている。
【0004】
以下、レジスト膜に分子レジストを用いた従来のリソグラフィによるパターン形成方法について図5(a)〜図5(d)を参照しながら説明する。
【0005】
まず、以下の組成を有する化学増幅型の分子レジスト材料を準備する。
【0006】
1,1,1−トリ(t−ブチルオキシカルボニルフェニル)エタン(酸不安定基を含む分子化合物)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)・・・・・・・・20g
次に、図5(a)に示すように、基板1の上に前記の分子レジスト材料を塗布し、続いて、塗布されたレジスト膜2を90℃の温度下で60秒間加熱することにより、膜厚が50nmのレジスト膜2を形成する。
【0007】
次に、図5(b)に示すように、NAが0.25で、波長が13.5nmの極紫外線よりなる露光光をマスクを介してレジスト膜2に照射してパターン露光を行う。
【0008】
次に、図5(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜2に対して、ホットプレートにより105℃の温度下で60秒間加熱する。
【0009】
次に、加熱されたレジスト膜2に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行うと、図5(d)に示すように、レジスト膜2の未露光部よりなり、50nmのライン幅を有するレジストパターン2aを得る。
【特許文献1】特開2008−89871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、図5(d)に示すように、前記従来のパターン形成方法により得られるレジストパターン2aは、露光後の加熱時にパターンの変形が起こり、結果として、良好な形状を持つパターン形成が困難であるという問題がある。
【0011】
このように、形状が不良なレジストパターン2aを用いて被処理膜に対してエッチングを行うと、被処理膜から得られるパターンの形状も不良となってしまうため、半導体装置の製造プロセスにおける生産性及び歩留まりが低下してしまうという問題が発生する。
【0012】
前記従来の問題に鑑み、本発明は、分子レジスト材料を用いたレジストパターンのパターン不良を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、従来の分子レジスト材料によるパターン不良について検討を重ねた結果、以下のような結論を得ている。すなわち、分子レジスト材料を構成する分子が酸不安定基を含むため、得られたレジスト膜のガラス転移温度が低下して、露光後の加熱時にパターンの変形が起こるというものである。
【0014】
そこで、本願発明者らは、さらに種々の検討を重ねた結果、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性の三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物とを組み合わせると、パターン形状が良好となるということを見出した。
【0015】
より詳細には、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーはガラス転移温度の低下が少ないこと、また、酸不安定基を含む分子化合物がレジスト膜中で分散することにより、未露光部においてアルカリ可溶性の環状のオリゴマーの現像液に対する溶解阻害性が増すことから、現像コントラストが向上するというものである。
【0016】
酸不安定基を含まない三量体以上のオリゴマーが非環状の構成を持つ場合には、ガラス転移温度の低下が大きい。これは分子構造が強固でないためと考えられる。また、オリゴマーを構成するモノマー自体に環状構造が含まれていても、オリゴマーが全体として環状構造を構成していなければ、ガラス転移温度の低下は大きい。このため、モノマーに環状構造が含まれているか否かに拘わらず、オリゴマーとして環状構造をとることが重要である。一般に、オリゴマーは、モノマーが100個程度までの比較的に分子量が低い重合体を指す。
【0017】
具体的には、本発明に係るレジスト材料は、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物と、光酸発生剤とを含み、且つ、ポリマーを含まないことを特徴とする。
【0018】
本発明のレジスト材料によると、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーはガラス転移温度の低下が少なく、また、酸不安定基を含む分子化合物がレジスト膜中に分散して、未露光部においてアルカリ可溶性の環状のオリゴマーの現像液に対する溶解阻害性を増すため、現像コントラストが向上する。また、ポリマーを含まないことから、パターンのラフネスが低減した、良好な形状を有するパターンを形成することができる。レジスト材料にポリマーを添加すると、現像時の現像均質性を阻害するため、レジストパターンのラフネスが増大することから、本発明のレジスト材料はポリマーを含まない。一般にポリマーは、数百個以上のモノマーの重合体を指す。
【0019】
本発明のレジスト材料において、前記環状のオリゴマーには、シクロデキストリン(cyclodextrin)、カリックスアレン(calixarene)、レゾルシンアレン(resorcinarene)、ピロガロールアレン(pyrogallolarene)、カリックスピロール(calixpyrrole)、チオカリックスアレン(thiocalixarene)又はホモオキサカリックスアレン(homooxacalixarene)を用いることができる。
【0020】
この場合に、シクロデキストリンには、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンを用いることができる。
【0021】
また、この場合に、カリックスアレンには、カリックス[4]アレン、カリックス[6]アレン、カリックス[8]アレンを用いることができる。
【0022】
本発明のレジスト材料において、酸不安定基を含む分子化合物には、非環状の分子化合物を用いることができる。
【0023】
このように、酸不安定基を含む分子化合物に非環状の分子化合物を用いると、立体障害が少ないことから、レジスト膜中に十分に分散するので、現像コントラストがより向上する。
【0024】
この場合に、非環状の分子化合物における酸不安定基には、t−ブチル基、t−ブチルオキシカルボニル基、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メチルアダマンチル基又は2−エチルアダマンチル基を用いることができる。
【0025】
例えば、酸不安定基を含む非環状の分子化合物には、t−ブチルアクリル酸、t−ブチルメタクリル酸、t−ブチルα−フルオロアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルメタクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルα−フルオロアクリル酸、メトキシメチルアクリル酸、メトキシメチルメタクリル酸又はメトキシメチルα−フルオロアクリル酸を用いることができる。
【0026】
また、上記以外の酸不安定基を含む分子化合物には、ジ(t−ブチル)ビスフェノールA、t−ブチルフェノール、t−ブチルo−クレゾール、t−ブチルm−クレゾール、t−ブチルp−クレゾール、t−ブチル1−ナフトール、t−ブチル2−ナフトール、ジ(t−ブチル)カテコール、ジ(t−ブチル)レゾルシノール、トリ(t−ブチル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)ビスフェノールA、t−ブチルオキシカルボニルフェノール、t−ブチルオキシカルボニルo−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルm−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルp−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニル1−ナフトール、t−ブチルオキシカルボニル2−ナフトール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)カテコール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)レゾルシノール、トリ(t−ブチルオキシカルボニル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチルオキシカルボニル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(1−エトキシエチル)ビスフェノールA、1−エトキシエチルフェノール、(1−エトキシエチル)o−クレゾール、(1−エトキシエチル)m−クレゾール、(1−エトキシエチル)p−クレゾール、(1−エトキシエチル)1−ナフトール、(1−エトキシエチル)2−ナフトール、ジ(1−エトキシエチル)カテコール、ジ(1−エトキシエチル)レゾルシノール、トリ(1−エトキシエチル)ピロガロール、ヘキサ(1−エトキシエチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(メトキシメチル)ビスフェノールA、メトキシメチルフェノール、メトキシメチルo−クレゾール、メトキシメチルm−クレゾール、メトキシメチルp−クレゾール、メトキシメチル1−ナフトール、メトキシメチル2−ナフトール、ジ(メトキシメチル)カテコール、ジ(メトキシメチル)レゾルシノール、トリ(メトキシメチル)ピロガロール、ヘキサ(メトキシメチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、2−メチルシクロペンチルアクリル酸、2−メチルシクロペンチルメタクリル酸、2−メチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−エチルシクロペンチルアクリル酸、2−エチルシクロペンチルメタクリル酸、2−エチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−エチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−メチルアダマンチルアクリル酸、2−メチルアダマンチルメタクリル酸、2−メチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルアダマンチル)ビスフェノールA 、2−エチルアダマンチルアクリル酸、2−エチルアダマンチルメタクリル酸、2−エチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸又はジ(2−エチルアダマンチル)ビスフェノールAを用いることができる。
【0027】
また、本発明のレジスト材料において、光酸発生剤には、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、トリフェニルスルフォニウムノナフルオロブタンスルフォン酸、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォン酸又はジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルフォン酸を用いることができる。
【0028】
なお、本発明において、酸不安定基を含む分子化合物の、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーへの添加の割合は、10wt%以上且つ50wt%程度以下であることが挙げられる。酸不安定基を含む分子化合物の僅少な添加はレジスト膜の未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の増大につながり、また、過度の添加はレジスト膜の露光部の溶解性を阻害するおそれがあるためである。もちろん本発明は、この範囲に限られない。また、より好ましくは、20wt%以上且つ40wt%以下程度である。
【0029】
本発明に係るパターン形成方法は、基板の上に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物と、光酸発生剤とを含み、且つポリマーを含まないレジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、パターン露光が行われたレジスト膜を加熱する工程と、加熱されたレジスト膜に対して現像を行って、レジスト膜からレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明のパターン形成方法によると、レジスト材料に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物とを含む。このため、形成されたレジスト膜は、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーにおけるガラス転移温度の低下が少なくなる。また、レジスト膜における酸不安定基を含む分子化合物は、レジスト膜中に分散して、未露光部においてアルカリ可溶性の環状のオリゴマーの現像液への溶解阻害性を増すので、現像コントラストが向上する。また、ポリマーを含まないことから、パターンのラフネスが低減した、良好な形状を有するパターンを形成することができる。
【0031】
本発明のパターン形成方法において、露光光には、ArFエキシマレーザ光、極紫外線又は電子線を用いることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るレジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法によると、熱安定性が高く、現像コントラストが高い微細パターンのパターン不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法について図1(a)〜図1(d)を参照しながら説明する。
【0034】
まず、以下の組成を有する分子レジストであるポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0035】
α−シクロデキストリン(酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
t−ブチルメタクリル酸(酸不安定基を含む非環状の分子化合物)・・・・・0.7g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)・・・・・・・・20g
次に、図1(a)に示すように、基板101の上に前記のレジスト材料を塗布し、続いて、塗布されたレジスト膜102を90℃の温度下で60秒間加熱することにより、膜厚が50nmのレジスト膜102を形成する。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、NAが0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜102に照射してパターン露光を行う。
【0037】
極紫外線(EUV)の波長は13.5nmと非常に短いため、マスク及び光学系は従来の透過型マスク及び屈折光学系ではなく、波長が13.5nmの近傍の光の反射率が非常に高い、厚さが数nmのモリブデンとシリコンとを交互に積層した多層膜を反射面に用いた反射型マスクと、厚さが数nmのモリブデンとシリコンとを交互に積層した多層膜を反射ミラーの反射面に用いた反射光学系とを用いている。 また、極紫外線(EUV)は空気にも吸収されるため、パターン露光は真空中で行われる。
【0038】
次に、図1(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜102に対して、ホットプレートにより105℃の温度下で60秒間加熱する。
【0039】
次に、加熱されたレジスト膜102に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図1(d)に示すように、レジスト膜102の未露光部よりなり、50nmのライン幅を有するレジストパターン102aを得る。
【0040】
このように、第1の実施形態によると、分子レジスト材料に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーとしてα−シクロデキストリンを含み、酸不安定基を含む非環状の分子化合物としてt−ブチルメタクリル酸を含んでいる。このため、α−シクロデキストリンにより、ガラス転移温度が低下しなくなるので、パターン露光後の加熱時においてもレジスト膜102に変形が生じることがない。また、t−ブチルメタクリル酸がレジスト膜102に十分に分散することにより、未露光部においてα−シクロデキストリンの現像液への溶解阻害性を増すことができるので、現像コントラストが向上する。その結果、得られるレジストパターン102aのパターン形状が良好となると共に、パターンのラフネスも低減する。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法について図2(a)〜図2(d)を参照しながら説明する。
【0042】
まず、以下の組成を有する分子レジストであるポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0043】
カリックス[4]アレン(酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
ジ(t−ブチル)ビスフェノールA(酸不安定基を含む分子化合物)・・・・0.6g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート[溶媒]・・・・・・・・・20g
次に、図2(a)に示すように、基板201の上に前記のレジスト材料を塗布し、続いて、塗布されたレジスト膜202を90℃の温度下で60秒間加熱することにより、膜厚が50nmのレジスト膜202を形成する。
【0044】
次に、図2(b)に示すように、NAが0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜202に照射してパターン露光を行う。
【0045】
次に、図2(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜202に対して、ホットプレートにより105℃の温度下で60秒間加熱する。
【0046】
次に、加熱されたレジスト膜202に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図2(d)に示すように、レジスト膜202の未露光部よりなり、50nmのライン幅を有するレジストパターン202aを得る。
【0047】
このように、第2の実施形態によると、分子レジスト材料に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーとしてカリックス[4]アレンを含み、酸不安定基を含む分子化合物としてジ(t−ブチル)ビスフェノールAを含んでいる。このため、カリックス[4]アレンにより、ガラス転移温度が低下しなくなるので、パターン露光後の加熱時においてもレジスト膜202に変形が生じることがない。また、ジ(t−ブチル)ビスフェノールAがレジスト膜202に十分に分散することにより、未露光部においてカリックス[4]アレンの現像液への溶解阻害性を増すことができるので、現像コントラストが向上する。その結果、得られるレジストパターン202aのパターン形状が良好となると共に、パターンのラフネスも低減する。
【0048】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法について図3(a)〜図3(d)を参照しながら説明する。
【0049】
まず、以下の組成を有する分子レジストであるポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0050】
β−シクロデキストリン(酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
2−メチルアダマンチルメタクリル酸(酸不安定基を含む分子化合物)・・・0.5g
トリフェニルスルフォニウムノナフルオロブタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)・・・・・・・・20g
次に、図3(a)に示すように、基板301の上に前記のレジスト材料を塗布し、続いて、塗布されたレジスト膜302を90℃の温度下で60秒間加熱することにより、膜厚が50nmのレジスト膜302を形成する。
【0051】
次に、図3(b)に示すように、NAが0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜302に照射してパターン露光を行う。
【0052】
次に、図3(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜302に対して、ホットプレートにより115℃の温度下で60秒間加熱する。
【0053】
次に、加熱されたレジスト膜302に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図3(d)に示すように、レジスト膜302の未露光部よりなり、50nmのライン幅を有するレジストパターン302aを得る。
【0054】
このように、第3の実施形態によると、分子レジスト材料に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーとしてβ−シクロデキストリンを含み、酸不安定基を含む分子化合物として2−メチルアダマンチルメタクリル酸を含んでいる。このため、β−シクロデキストリンにより、ガラス転移温度が低下しなくなるので、パターン露光後の加熱時においてもレジスト膜302に変形が生じることがない。また、2−メチルアダマンチルメタクリル酸がレジスト膜302に十分に分散することにより、未露光部においてβ−シクロデキストリンの現像液への溶解阻害性を増すことができるので、現像コントラストが向上する。その結果、得られるレジストパターン302aのパターン形状が良好となると共に、パターンのラフネスも低減する。
【0055】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法について図4(a)〜図4(d)を参照しながら説明する。
【0056】
まず、以下の組成を有する分子レジストであるポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0057】
レゾルシンアレン(酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
ジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールA(酸不安定基を含む分子化合物)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)・・・・・・・・20g
次に、図4(a)に示すように、基板401の上に前記のレジスト材料を塗布し、続いて、塗布されたレジスト膜402を90℃の温度下で60秒間加熱することにより、膜厚が50nmのレジスト膜402を形成する。
【0058】
次に、図4(b)に示すように、NAが0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜402に照射してパターン露光を行う。
【0059】
次に、図4(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜402に対して、ホットプレートにより115℃の温度下で60秒間加熱する。
【0060】
次に、加熱されたレジスト膜402に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図4(d)に示すように、レジスト膜402の未露光部よりなり、50nmのライン幅を有するレジストパターン402aを得る。
【0061】
このように、第4の実施形態によると、分子レジスト材料に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーとしてレゾルシンアレンを含み、酸不安定基を含む分子化合物としてジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールAを含んでいる。このため、レゾルシンアレンにより、ガラス転移温度が低下しなくなるので、パターン露光後の加熱時においてもレジスト膜402に変形が生じることがない。また、ジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールAがレジスト膜402に十分に分散することにより、未露光部においてレゾルシンアレンの現像液への溶解阻害性を増すことができるので、現像コントラストが向上する。その結果、得られるレジストパターン402aのパターン形状が良好となると共に、パターンのラフネスも低減する。
【0062】
なお、第1〜第4の実施形態においては、レジスト材料を構成する、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーとして、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、カリックス[4]アレン及びレゾルシンアレンを用いたが、これらに限られず、例えば、ピロガロールアレン、カリックスピロール、チオカリックスアレン又はホモオキサカリックスアレン等を用いることができる。また、環の大きさもこれらに限定されるものではなく、γ―シクロデキストリン、カリックス[6]アレン又はカリックス[8]アレン等を用いても構わない。
【0063】
また、レジスト材料を構成する、酸不安定基を含む非環状の分子化合物にt−ブチルメタクリル酸を用いたが、これに限られず、例えば、t−ブチルアクリル酸、t−ブチルα−フルオロアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルメタクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルα−フルオロアクリル酸、メトキシメチルアクリル酸、メトキシメチルメタクリル酸又はメトキシメチルα−フルオロアクリル酸等を用いることができる。
【0064】
また、酸不安定基を含む非環状の分子化合物における酸不安定基は、t−ブチル基、t−ブチルオキシカルボニル基及びメトキシメチル基の他に、1−エトキシエチル基、2−メチルアダマンチル基又は2−エチルアダマンチル基であってもよい。
【0065】
また、レジスト材料を構成する、酸不安定基を含む分子化合物として、ジ(t−ブチル)ビスフェノールA、2−メチルアダマンチルメタクリル酸及びジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールAを用いたが、これらに限られず、例えば、t−ブチルフェノール、t−ブチルo−クレゾール、t−ブチルm−クレゾール、t−ブチルp−クレゾール、t−ブチル1−ナフトール、t−ブチル2−ナフトール、ジ(t−ブチル)カテコール、ジ(t−ブチル)レゾルシノール、トリ(t−ブチル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)ビスフェノールA、t−ブチルオキシカルボニルフェノール、t−ブチルオキシカルボニルo−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルm−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルp−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニル1−ナフトール、t−ブチルオキシカルボニル2−ナフトール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)カテコール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)レゾルシノール、トリ(t−ブチルオキシカルボニル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチルオキシカルボニル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(1−エトキシエチル)ビスフェノールA、1−エトキシエチルフェノール、(1−エトキシエチル)o−クレゾール、(1−エトキシエチル)m−クレゾール、(1−エトキシエチル)p−クレゾール、(1−エトキシエチル)1−ナフトール、(1−エトキシエチル)2−ナフトール、ジ(1−エトキシエチル)カテコール、ジ(1−エトキシエチル)レゾルシノール、トリ(1−エトキシエチル)ピロガロール、ヘキサ(1−エトキシエチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(メトキシメチル)ビスフェノールA、メトキシメチルフェノール、メトキシメチルo−クレゾール、メトキシメチルm−クレゾール、メトキシメチルp−クレゾール、メトキシメチル1−ナフトール、メトキシメチル2−ナフトール、ジ(メトキシメチル)カテコール、ジ(メトキシメチル)レゾルシノール、トリ(メトキシメチル)ピロガロール、ヘキサ(メトキシメチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、2−メチルシクロペンチルアクリル酸、2−メチルシクロペンチルメタクリル酸、2−メチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、2−エチルシクロペンチルアクリル酸、2−エチルシクロペンチルメタクリル酸、2−エチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−エチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−メチルアダマンチルアクリル酸、2−メチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルアダマンチル)ビスフェノールA 、2−エチルアダマンチルアクリル酸、2−エチルアダマンチルメタクリル酸、2−エチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸又はジ(2−エチルアダマンチル)ビスフェノールA等を用いることができる。
【0066】
また、レジスト材料を構成する光酸発生剤には、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸及びトリフェニルスルフォニウムノナフルオロブタンスルフォン酸を用いたが、これらに限られず、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォン酸又はジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルフォン酸等を用いることができる。
【0067】
また、レジスト材料を構成するクエンチャー及び溶媒においても、第1〜第3の実施形態に示した材料と同等の特性を持つ材料であれば、特に限定されない。
【0068】
また、パターン露光の露光光源には、極紫外線(EUV)を用いたが、これに限られず、例えば、ArFエキシマレーザ光又は電子線を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係るレジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法は、熱安定性が高く、高い現像コントラストを得られるため、微細パターンのパターン不良を防止することができ、半導体装置の製造プロセス等において用いられるレジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第3の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係るレジスト材料を用いたパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は従来の分子レジストを用いたパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
101 基板
102 レジスト膜
102a レジストパターン
201 基板
202 レジスト膜
202a レジストパターン
301 基板
302 レジスト膜
302a レジストパターン
401 基板
402 レジスト膜
402a レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、
酸不安定基を含む分子化合物と、
光酸発生剤とを含み、
且つ、ポリマーを含まないことを特徴とするレジスト材料。
【請求項2】
前記環状のオリゴマーは、シクロデキストリン(cyclodextrin)、カリックスアレン(calixarene)、レゾルシンアレン(resorcinarene)、ピロガロールアレン(pyrogallolarene)、カリックスピロール(calixpyrrole)、チオカリックスアレン(thiocalixarene)又はホモオキサカリックスアレン(homooxacalixarene)であることを特徴とする請求項1に記載のレジスト材料。
【請求項3】
前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項2に記載のレジスト材料。
【請求項4】
前記カリックスアレンは、カリックス[4]アレン、カリックス[6]アレン又はカリックス[8]アレンであることを特徴とする請求項2に記載のレジスト材料。
【請求項5】
前記酸不安定基を含む分子化合物は、非環状の分子化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト材料。
【請求項6】
前記非環状の分子化合物における酸不安定基は、t−ブチル基、t−ブチルオキシカルボニル基、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メチルアダマンチル基又は2−エチルアダマンチル基であることを特徴とする請求項5に記載のレジスト材料。
【請求項7】
前記酸不安定基を含む非環状の分子化合物は、t−ブチルアクリル酸、t−ブチルメタクリル酸、t−ブチルα−フルオロアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルメタクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルα−フルオロアクリル酸、メトキシメチルアクリル酸、メトキシメチルメタクリル酸又はメトキシメチルα−フルオロアクリル酸であることを特徴とする請求項5に記載のレジスト材料。
【請求項8】
前記酸不安定基を含む分子化合物は、ジ(t−ブチル)ビスフェノールA、t−ブチルフェノール、t−ブチルo−クレゾール、t−ブチルm−クレゾール、t−ブチルp−クレゾール、t−ブチル1−ナフトール、t−ブチル2−ナフトール、ジ(t−ブチル)カテコール、ジ(t−ブチル)レゾルシノール、トリ(t−ブチル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)ビスフェノールA、t−ブチルオキシカルボニルフェノール、t−ブチルオキシカルボニルo−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルm−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルp−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニル1−ナフトール、t−ブチルオキシカルボニル2−ナフトール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)カテコール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)レゾルシノール、トリ(t−ブチルオキシカルボニル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチルオキシカルボニル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(1−エトキシエチル)ビスフェノールA、1−エトキシエチルフェノール、(1−エトキシエチル)o−クレゾール、(1−エトキシエチル)m−クレゾール、(1−エトキシエチル)p−クレゾール、(1−エトキシエチル)1−ナフトール、(1−エトキシエチル)2−ナフトール、ジ(1−エトキシエチル)カテコール、ジ(1−エトキシエチル)レゾルシノール、トリ(1−エトキシエチル)ピロガロール、ヘキサ(1−エトキシエチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(メトキシメチル)ビスフェノールA、メトキシメチルフェノール、メトキシメチルo−クレゾール、メトキシメチルm−クレゾール、メトキシメチルp−クレゾール、メトキシメチル1−ナフトール、メトキシメチル2−ナフトール、ジ(メトキシメチル)カテコール、ジ(メトキシメチル)レゾルシノール、トリ(メトキシメチル)ピロガロール、ヘキサ(メトキシメチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、2−メチルシクロペンチルアクリル酸、2−メチルシクロペンチルメタクリル酸、2−メチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−エチルシクロペンチルアクリル酸、2−エチルシクロペンチルメタクリル酸、2−エチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−エチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−メチルアダマンチルアクリル酸、2−メチルアダマンチルメタクリル酸、2−メチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルアダマンチル)ビスフェノールA 、2−エチルアダマンチルアクリル酸、2−エチルアダマンチルメタクリル酸、2−エチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸又はジ(2−エチルアダマンチル)ビスフェノールAであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト材料。
【請求項9】
前記光酸発生剤は、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、トリフェニルスルフォニウムノナフルオロブタンスルフォン酸、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォン酸又はジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルフォン酸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【請求項10】
基板の上に、酸不安定基を含まないアルカリ可溶性で且つ三量体以上の環状のオリゴマーと、酸不安定基を含む分子化合物と、光酸発生剤とを含み、且つポリマーを含まないレジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、
パターン露光が行われた前記レジスト膜を加熱する工程と、
加熱された前記レジスト膜に対して現像を行って、前記レジスト膜からレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
前記環状のオリゴマーは、シクロデキストリン(cyclodextrin)、カリックスアレン(calixarene)、レゾルシンアレン(resorcinarene)、ピロガロールアレン(pyrogallolarene)、カリックスピロール(calixpyrrole)、チオカリックスアレン(thiocalixarene)又はホモオキサカリックスアレン(homooxacalixarene)であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記シクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンであることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記カリックスアレンは、カリックス[4]アレン、カリックス[6]アレン又はカリックス[8]アレンであることを特徴とする請求項11に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記酸不安定基を含む分子化合物は、非環状の分子化合物であることを特徴とする請求項10又は11に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記非環状の分子化合物における酸不安定基は、t−ブチル基、t−ブチルオキシカルボニル基、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基、2−メチルアダマンチル基又は2−エチルアダマンチル基であることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記酸不安定基を含む非環状の分子化合物は、t−ブチルアクリル酸、t−ブチルメタクリル酸、t−ブチルα−フルオロアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルアクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルメタクリル酸、t−ブチルオキシカルボニルα−フルオロアクリル酸、メトキシメチルアクリル酸、メトキシメチルメタクリル酸又はメトキシメチルα−フルオロアクリル酸であることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記酸不安定基を含む分子化合物は、ジ(t−ブチル)ビスフェノールA、t−ブチルフェノール、t−ブチルo−クレゾール、t−ブチルm−クレゾール、t−ブチルp−クレゾール、t−ブチル1−ナフトール、t−ブチル2−ナフトール、ジ(t−ブチル)カテコール、ジ(t−ブチル)レゾルシノール、トリ(t−ブチル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)ビスフェノールA、t−ブチルオキシカルボニルフェノール、t−ブチルオキシカルボニルo−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルm−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニルp−クレゾール、t−ブチルオキシカルボニル1−ナフトール、t−ブチルオキシカルボニル2−ナフトール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)カテコール、ジ(t−ブチルオキシカルボニル)レゾルシノール、トリ(t−ブチルオキシカルボニル)ピロガロール、ヘキサ(t−ブチルオキシカルボニル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(1−エトキシエチル)ビスフェノールA、1−エトキシエチルフェノール、(1−エトキシエチル)o−クレゾール、(1−エトキシエチル)m−クレゾール、(1−エトキシエチル)p−クレゾール、(1−エトキシエチル)1−ナフトール、(1−エトキシエチル)2−ナフトール、ジ(1−エトキシエチル)カテコール、ジ(1−エトキシエチル)レゾルシノール、トリ(1−エトキシエチル)ピロガロール、ヘキサ(1−エトキシエチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、ジ(メトキシメチル)ビスフェノールA、メトキシメチルフェノール、メトキシメチルo−クレゾール、メトキシメチルm−クレゾール、メトキシメチルp−クレゾール、メトキシメチル1−ナフトール、メトキシメチル2−ナフトール、ジ(メトキシメチル)カテコール、ジ(メトキシメチル)レゾルシノール、トリ(メトキシメチル)ピロガロール、ヘキサ(メトキシメチル)ヘキサヒドロキシベンゼン、2−メチルシクロペンチルアクリル酸、2−メチルシクロペンチルメタクリル酸、2−メチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−エチルシクロペンチルアクリル酸、2−エチルシクロペンチルメタクリル酸、2−エチルシクロペンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−エチルシクロペンチル)ビスフェノールA、2−メチルアダマンチルアクリル酸、2−メチルアダマンチルメタクリル酸、2−メチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸、ジ(2−メチルアダマンチル)ビスフェノールA 、2−エチルアダマンチルアクリル酸、2−エチルアダマンチルメタクリル酸、2−エチルアダマンチルα−フルオロアクリル酸又はジ(2−エチルアダマンチル)ビスフェノールAであることを特徴とする請求項10又は11に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記光酸発生剤は、トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸、トリフェニルスルフォニウムノナフルオロブタンスルフォン酸、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルフォン酸又はジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルフォン酸であることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記露光光は、ArFエキシマレーザ光、極紫外線又は電子線であることを特徴とする請求項10〜18のいずれか1項に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−145480(P2010−145480A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319623(P2008−319623)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】