説明

レンズユニット及びカメラ

【課題】移動レンズ群の位置を外観から確認できるレンズユニット及びカメラを提供することである。
【解決手段】移動レンズ群を備えたレンズユニット及びカメラにおいて、レンズユニット10の外側に、ズームレンズ群である第2レンズ群L2、第3レンズ群L3をそれぞれ収容する第2レンズ群レンズ室13、第3レンズ群レンズ室14に、これと追従して移動可能に、視認部8,9と遮光シート20,21とを、係合ピン17を用いて取り付け、また、カメラ筐体1に矩形状の開口を設け、アクリルにより形成されたズーム確認窓7を固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動レンズ群を備えるレンズユニット及びカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学ズームレンズを採用したカメラは、レンズ鏡筒をカメラボディから被写体側に繰り出し、その繰り出し量を変えることによって、焦点距離を変化することが一般的であった。このようなカメラは、その焦点距離の程度を、レンズ鏡筒の繰り出し量によって、外観から把握することができた。また、レンズ鏡筒が、望遠側、広角側のどちらかにあるのか、ある程度判別することができた。アクチュエータによってズーム駆動を行なうカメラの場合には、ズーム駆動が正常に行なわれているか、レンズ鏡筒の繰り出し量の変化を見て、外観から判別することができた。
【0003】
また、カメラの小型化を図るために、光軸の方向を変換するプリズムなどの屈曲光学部を用い、撮影光学系の光軸をボディ内で屈曲させる屈曲光学系を備えているものがある(例えば、特許文献1。)。
さらに、カメラの小型化を図りつつ、レンズ群の移動により焦点距離を変化する光学ズームレンズを採用するため、その移動によって焦点距離が変化する移動レンズ群(ズームレンズ群)を、屈曲光学部よりも像側に設けたものがあった。
このような光学ズームレンズを採用したカメラは、焦点距離を変化させた場合にも、カメラボディの外側にレンズが繰り出されることがなく、カメラの取り扱いが容易となる。
【0004】
しかし、屈曲光学系を採用し、その屈曲光学部よりも像側にズームレンズ群を配置したカメラの場合、その外観からは焦点距離が把握できず、また、ズームレンズ群の動作が正常であるか判断することができない。
【0005】
そのため、以下のような問題があった。
(1)屈曲光学系を採用し、その屈曲光学部よりも像側にズームレンズ群を配置したカメラは、その外観からは、光学ズームを内蔵しているか否か判断ができない。
撮影倍率を変更するズーム機構には、撮影用レンズ群の焦点距離を変更する光学ズームと、撮像画像の一部を電子的に拡大する電子ズームとがあり、一般に画質劣化が少ないことから、光学ズームを搭載したカメラの方が、ユーザにとって付加価値が高いとされている。
しかし、外観から光学ズームの搭載が判別できないカメラの場合、ズーム機構を持たないか、又は電子ズームのみを備えたものと誤認されるおそれがある。
【0006】
(2)光学ズームと電子ズームとを共に備えたカメラの場合、一般に通常は光学ズームを用い、光学ズームが望遠端に達したときに電子ズームに切り替えられるが、そのときにカメラの外観が変化しないので、その切り替わりが判断しにくい。
【0007】
(3)外観からズームレンズ群が正常に駆動されているか確認できないので、開発工程、製造工程、修理対応等での動作確認、検査等が煩雑である。
【0008】
(4)対物レンズを撮影者に向ける、いわゆる自分撮りや、リモコンによる撮影時にあっては、被写体側から焦点距離の把握ができない。
【特許文献1】特開平11−258678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、移動レンズ群の位置を外観から確認できるレンズユニット及びカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施例に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0011】
請求項1の発明は、複数のレンズ群(L1,L2,L3,L4)を含む撮影光学系を収容するレンズ収容部(11,111)と、前記レンズ収容部(11,111)の内側に配置され、その光軸(O2)に沿った方向に移動可能に支持された少なくとも1つの移動レンズ群(L2,L3)と、前記移動レンズ群(L2,L3)に追従して移動し、その少なくとも一部(8,9,58)が前記レンズ収容部(11,111)の外側に露出した視認部(8,9,58)とを備えたレンズユニット(10,110)である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載のレンズユニット(10,110)において、前記視認部(8,9,58)は、発光部(58)を備えることを特徴とするレンズユニット(10,110)である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレンズユニット(10,110)において、前記レンズ収容部(11,111)は、その側面に開口(11d,11e,111d,111e)が形成され、前記開口(11d,11e,111d,111e)を貫通し、前記視認部(8,9,58)と前記移動レンズ群(L2,L3)とを連結する連結部(17)と、前記開口(11d,11e,111d,111e)の縁部と前記連結部(17)との隙間を遮蔽する遮蔽部(20,21)とを備えることを特徴とするレンズユニット(10,110)である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレンズユニット(10,110)において、前記撮影光学系は、光軸を屈曲させる屈曲光学部(12)を、対物レンズ(L1)よりも像側に備えていることを特徴とするレンズユニット(10,110)である。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載のレンズユニット(10,110)において、前記移動レンズ群(L2,L3)は、前記屈曲光学部(12)よりも像側に配置されていることを特徴とするレンズユニット(10,110)である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレンズユニット(10,110)において、前記視認部(8,9,58)が設けられた前記移動レンズ群(L2,L3)は、前記撮影光学系の焦点距離の変化に応じて移動するズームレンズ群(L2,L3)であることを特徴とするレンズユニット(10,110)である。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレンズユニット(10,110)と、前記レンズユニット(10,110)を収容するカメラ筐体(1,51)と、前記カメラ筐体(1,51)の前記視認部(8,9,58)と対向した位置に設けられた窓部(1a,51a)とを備えたカメラである。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7に記載のカメラにおいて、前記窓部(1a,51a)は、前記カメラ筐体(1,51)の対物レンズ(L1)側に配置されていることを特徴とするカメラである。
【0019】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載のカメラにおいて、前記窓部(1a,51a)は、透明又は半透明の材料により形成されたカバー(7)が設けられていることを特徴とするカメラである。
【0020】
請求項10の発明は、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のカメラにおいて、
前記カメラ筐体(1,51)又は前記カバー(7)に設けられ、前記視認部(8,9,58)の位置に対応する前記撮影光学系の状態を示す指標(51b)を有していることを特徴とするカメラである。
【0021】
請求項11の発明は、請求項7又は請求項8に記載のカメラにおいて、前記窓部(1a,51a)は、前記カメラ筐体(1,51)と着脱可能であるカバー(7)が設けられていることを特徴とするカメラである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)レンズユニットは、移動レンズ群に追従して移動し、その少なくとも一部がレンズ収容部の外側に露出した視認部を備えているので、レンズユニットの外部から移動レンズ群の位置を把握することができる。
【0023】
(2)レンズユニットの視認部は、発光部を備えているので、その視認性を向上することができる。
(3)レンズ収容部は、その側面に形成された開口と、その開口を貫通し、視認部と移動レンズ群とを連結する連結部と、開口の縁部と連結部との隙間を遮蔽する遮蔽部とを備えているので、隙間からレンズ収容部へ外部光が入射することを防ぐことができ、光学特性を確保することができる。
(4)カメラは、上述したレンズユニットを収容するカメラ筐体の上述した視認部と対向した位置に窓部を備えているので、カメラの外部から移動レンズ群の位置を把握することができる。
(5)窓部をカメラ筐体の対物レンズ側に配置しているので、被写体側から、移動レンズ群の位置を把握することができる。
(6)窓部は、透明又は半透明の材料により形成されたカバーが設けられているので、視認部の視認性を維持しながら、カメラ内部へ入る異物等を防ぐことができる。
(7)カメラ筐体又はカバーは、視認部の位置に対応する撮影光学系の状態を示す指標を有しているので、撮影光学系の状態を容易に確認することができる。
(8)窓部は、カメラ筐体と着脱可能であるカバーが設けられているので、開発工程、製造工程、品質保証等で、動作確認、検査等が必要なときに、カバーを取り外して移動レンズ群の位置を確認することができる。また、その必要がないときには、カバーを取り付けて視認部を隠すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、移動レンズ群の位置を外観から確認できるレンズユニット及びカメラを提供するという目的を、レンズユニット筐体の内側に配置され、その光軸に沿った方向に移動するズームレンズ群と、これに追従して移動し、レンズユニット筐体の外側に露出した視認部を設けることによって解決した。
【実施例1】
【0025】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげてさらに詳しく説明する。
以下の説明においては、カメラの正位置撮影時を基準に上下、前後等を説明する。なお、正位置撮影時とは、対物レンズの光軸を水平方向に向け、横長の画像を撮影するときの状態をいうものとし、また、カメラ本体の対物レンズ側の面を前面とし、その反対側を背面とする。
図1は、本発明を適用したカメラの実施例1を背面側からみた外観図である。
実施例1のカメラは、カメラ筐体1を備え、その背面部に、LCD2と、ファインダ接眼窓3と、モード選択ボタン4と、選択決定用十字キー5と、ズームボタン6と、ズーム確認窓7と、視認部8,9とを備えている。
なお、この実施例1のカメラは、屈曲光学系を備え、その屈曲部よりも像側にズームレンズ群を配置したデジタルスチルカメラである。
【0026】
カメラ筐体1は、略直方体に形成されており、カメラを背面からみた場合には、横長の矩形状となっている。
LCD2は、撮像済み画像のモニタ及び電子式ファインダとして用いられる他、例えば、ズーム撮影時の焦点距離の程度を示す等、撮影に必要な情報を表示するものであり、カメラ筐体1の背面の略中央部に配置されている。
ファインダ接眼窓3は、このカメラの撮影図画を示す光学ファインダの接眼部であり、LCD2の上側に設けられている。
モード選択ボタン4は、カメラの撮影モード選択等や、デート機能の選択等の機能を操作する3つのボタンであり、LCD2の下側に横方向に配列されている。
選択決定用十字キー5は、例えば、複数の撮像済み画像から、LCD2に表示する画像を選択する等の機能を有し、4つの方向ボタンと、その中心に1つの選択ボタンとを備え、LCD2の右側に設けられている。
ズームボタン6は、焦点距離を変更するズーム操作をするためのボタンで、表面に「W」(広角を意味する)、「T」(望遠を意味する)と刻印された2つのボタンから形成され、カメラ背面の右上に設けられている。
ズーム確認窓7は、LCD2の左側に配置されている。そのズーム確認窓7の内側に、視認部8,9が配置されている。
なお、ズーム確認窓7、視認部8,9については後に詳しく説明する。
【0027】
次に、実施例1のカメラの内部構造について説明する。
図2は、図1のW−W部矢視断面図である。
図3は、図2のX−X部矢視図である。
実施例1のカメラは、カメラ筐体1に、撮影光学系を備えたレンズユニット10を収容している。
なお、本明細書では、レンズユニット10とは、撮影用レンズ群、光束を屈曲するプリズム、撮像素子等の光学系を、同じ筐体内に収容してユニット化したものをいうものとする。
【0028】
図2、図3に示すように、レンズユニット10は、レンズユニット筐体11と、第1レンズ群L1、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4からなる撮影用レンズ群と、プリズム12と、第2レンズ群レンズ室13と、第3レンズ群レンズ室14と、第4レンズ群レンズ室15とガイド軸16と、4つの係合ピン17と、係合ピン18と、3つのフォロアピン19と、視認部8,9と、遮光シート20,21と、撮像素子22とを備えている。
【0029】
レンズユニット10は、被写体側から入射した光束の進行方向を、プリズム12によって例えば90度屈曲させるいわゆる屈曲光学系を備えている。
実施例1の屈曲光学系は、4群構成のズームレンズ群と、その第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間に設けられ、通過する光束の進行方向を例えば90度屈曲させる屈曲光学部であるプリズム12が配置されている。
以下、第1レンズ群L1からプリズム12までの光軸をO1、屈曲された光軸をO2と称して説明する。
プリズム12の出光側よりも像側には、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4、及び、撮像素子22が順に配置されている。
【0030】
レンズユニット筐体11は、カメラ筐体1の内側に配置され、対物レンズである第1レンズ群L1を収容し、その光軸O1に沿って略水平方向に沿って延在する筒部11bと、その像側に設けられ、上述したプリズム12を収容するプリズム収容部11aと、プリズム収容部11aからその下方に略鉛直方向に沿って延在し、第2レンズ群L2以降の光学系を収容する筒部11cとを有して形成されている。
筒部11cは、そのカメラ背面方向の側面に、ガイド孔11d,11eが形成されている。ガイド孔11d,11eは、後に詳述する第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3にそれぞれ接続される係合ピン17がガイドされるものであり、筒部11cの長手方向に沿った長孔に形成され、並行して設けられている。このガイド孔11d,11eの長手方向に沿った長さは、後述する第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3の移動範囲をカバーするように設定されている。
なお、説明を容易にするため、図2においては、ガイド孔11d,11e部と係合ピン17等は、これらのガイド孔の断面形状を示すものとする。
また、筒部11cは、そのカメラ背面方向の内面を凹ませて、第4レンズ群L4の移動をガイドするガイド溝11fが形成されている。ガイド溝11fは、第4レンズ群L4の移動範囲をカバーする長さを有し、その光軸O2方向に沿って延在する溝である。
また、レンズユニット筐体11は、ガイド軸16を備えている。ガイド軸16は、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4をそれぞれガイドするものであり、筒部11cのカメラ前面方向の壁部に隣接し、光軸O2に沿った方向に、筒部11cに沿って延在している。
【0031】
第1レンズ群L1は、いわゆる対物レンズであって、その光軸O1を、カメラの前方に向けた状態でレンズユニット筐体11の筒部11bに固定されている。
【0032】
第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、レンズユニット筐体11の筒部11cの内部に配置されている。第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、撮影光学系の焦点距離の変化に応じて、光軸O2に沿った方向へ移動する、ズームレンズ群である。第2レンズ群L2は、レンズL2a,L2bを含み、第3レンズ群L3は、レンズL3a,L3bを含む。
第4レンズ群L4は、レンズユニット筐体11の筒部11cの内側に配置されている。第4レンズ群L4は、光軸O2に沿った方向への移動によって、撮影用レンズ群の被写体距離を変更するいわゆるフォーカスレンズ群である。
【0033】
第2レンズ群レンズ室13、第3レンズ群レンズ室14、第4レンズ群レンズ室15は、それぞれ第2レンズ群L2、第3レンズ群L3、第4レンズ群L4を収容する枠体を備えている。各レンズ室は、そのカメラ前面方向の範囲に、光軸O2に沿った方向に、それぞれ通孔13a,14a,15aを有しており、これにガイド軸16が挿入されることによって、光軸O2に沿った方向へ移動可能にガイドされている。
第2レンズ群レンズ室13は、2つの係合ピン17が固定されている。この2つの係合ピン17は、第2レンズ群レンズ室13のカメラ背面方向の外壁から、カメラの背面方向に向けて、略水平に突き出して設けられている。2つの係合ピン17は、レンズユニット筐体11のガイド孔11d,11eをそれぞれ貫通しており、第2レンズ群レンズ室13の移動に追従してガイド孔11d,11eに沿って移動する。
同様に第3レンズ群レンズ室14は、他の2つの係合ピン17が固定されている。
第4レンズ群レンズ室15は、係合ピン18が固定されている。この係合ピン18は、第4レンズ群レンズ室15のカメラ背面方向の外壁から、カメラ背面方向に突き出して設けられ、その突端部は、上述したガイド溝11fに挿入されている。
【0034】
第2レンズ群レンズ室13、第3レンズ群レンズ室14、第4レンズ群レンズ室15は、それぞれそのカメラ前方側に突き出して形成されたフォロアピン19を備えている。これらの各フォロアピン19は、図示しないアクチュエータと接続され、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、ズームボタン6からの入力に応じて光軸O2方向に沿って駆動され、これによって撮影光学系の焦点距離が変更される。
また、第4レンズ群L4は、公知の自動焦点合わせ制御に応じて光軸O2方向に沿って駆動され、これによって被写体距離が変更される。
【0035】
遮光シート20,21は、図3に示すように、矩形状をしており、その長辺方向を光軸O2に沿った方向とし、レンズユニット筐体11の筒部11cのカメラ背面方向の外壁に配置されている。
遮光シート20,21は、それぞれ第2レンズ群レンズ室13、及び、第3レンズ群レンズ室14に設けられた係合ピン17が挿入され、これら各レンズ室に追従して移動する。
遮光シート21は、その上側の一部の範囲が、遮光シート20のカメラ背面側の面に重なるように配置されている。以下、この重なった領域を、重なり部21aと称して説明する。遮光シート20,21は、レンズユニット筐体11のガイド孔11d,11eと、係合ピン17との隙間を覆い、レンズユニット10の外部から各レンズ群側への漏光を防止している。
【0036】
視認部8,9は、第2レンズ群レンズ室13及び第3レンズ群レンズ室14に設けられた係合ピン17にそれぞれ固定され、遮光シート20,21のカメラ背面方向の面に配置されている。
視認部8,9は、シート状をしており、その平面形状は、図3に示すように、それぞれレンズエレメントの断面形状を模した形状をしている。
【0037】
視認部8と遮光シート20は、それぞれ2つの貫通孔を有しており、これに2つの係合ピン17が貫通している。視認部8と遮光シート20は、レンズユニット筐体11と係合ピン17のカメラ背面方向の先端に設けられたフランジ部17aとの間に挟まれ、また、連結部である係合ピン17を用いて、第2レンズ群レンズ室13に追従して移動可能に、連結されている。
同様にして、視認部9と遮光シート21は、他の2つの係合ピン17を用いて、第3レンズ群レンズ室14に追従して移動可能とされる。この第3レンズ群レンズ室14に固定された係合ピン17は、遮光シート20の下方の縁よりも下方に配置されている。
【0038】
撮像素子22は、各レンズ群によって結像された被写体像を電気信号に変換するものであり、例えばCCD、CMOS等の光−電気変換素子が用いられている。撮像素子22は、レンズユニット筐体11の筒部11cの下方の端部に固定されている。
【0039】
なお、これまで説明した、図2、図3は、撮影光学系の焦点距離が最短である広角端の場合である。以下、撮影光学系の焦点距離が最長である望遠端の場合の説明をする。
図4は、望遠端の場合の図1のX−X部矢視断面図である。
図5は、図4のY−Y部矢視図である。
第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、それぞれ広角端の場合よりも、プリズム12側に移動している。また、視認部8と遮光シート20は、第2レンズ群L2に追従して移動をしている。同様に、視認部9と遮光シート21は、第3レンズ群L3に追従して移動をしている。
なお、この場合にも、遮光シート20,21は、ガイド孔11d,11eをカバーでき、かつ、各係合ピン17との干渉がないようにその形状が設定されている。
また、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との光軸O2に沿った方向の距離は、広角端のときよりも大きくなっているが、このときにも、重なり部21aが残存するようになっている。
【0040】
また、カメラ筐体1は、その背面の、視認部8,9に対向した位置に、窓部1aが設けられている。この窓部1aは、視認部8,9の移動範囲よりもその移動方向に沿った長さを大きく設定された矩形状の開口である。この窓部1aは、上述したズーム確認窓7が固定されている。
ズーム確認窓7は、透明な材料であるアクリルにより形成されたカバーであり、窓部1aを塞いで固定されている。
【0041】
また、実施例1のカメラは、撮像素子22が取得した画像データの一部をトリミングし、見かけの撮影倍率を大きくする電子ズーム機能を備えている。電子ズーム機能は、ズームボタン6の操作によって、撮影光学系が望遠端に達したときに、図示しない制御部によって自動的に起動されるようになっている。そして、撮影光学系が望遠端に達したときに、さらに望遠側への操作を継続することにより、電子ズームに切り替えられる。
【0042】
以上のように実施例1のカメラは、第2レンズ群L2及び第3レンズ群L3に追従して移動し、レンズユニット筐体11の外部に露出した視認部8,9を設け、また、カメラ筐体1に、透明な材料であるアクリルにより形成されたズーム確認窓7を備えているから、カメラの外観から第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の移動状態を、視認部8,9を通じて確認し、焦点距離を把握することができる。また、カメラ内部へ入る異物等を防止することができる。
また、カメラの外観から光学ズームを搭載していることが確認できるので、電子ズームのみ備えたカメラや、単焦点カメラとの判別が容易で、製品の差別化ができ、製品の訴求力を高めることができる。
【0043】
さらに、光学ズームが望遠端に達し、電子ズームに切り替わる際には、視認部8,9が移動を終了することが外部より視認できるから、その切り替わりを判別することができる。
【0044】
さらにまた、開発工程、製造工程、修理対応等では、カメラの外部から、第2レンズ群L2、第3レンズ群L3の動作確認ができるので、作業効率をあげることができる。
【0045】
くわえて、遮光シート20,21を設け、レンズユニット筐体11の内部へ入射する外部光を防いでいるので、上述した効果を保ったまま、光学特性の性能を維持することができる。
【0046】
その上、LCD2を利用しなくても、視認部8,9により光学ズームの焦点距離を把握することができるので、カメラの消費電力を節約し、電池による駆動時間を向上することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明を適用したカメラの実施例2について説明する。以下、上述した実施例1と同様の部分については、同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図6は、実施例2のカメラを正面側からみた外観図である。
実施例2のカメラは、その正面に、カメラ筐体51と、照明光発光部52と、ファインダ対物レンズ53と、第1レンズ群L1と、ズーム確認窓7と、指標部51bと、発光ダイオード58とを備えている。
照明光発光部52は、被写体に当てる例えば閃光発光装置であり、矩形状をしており、カメラ筐体の前面の中央部上側に配置されている。
ファインダ対物レンズ53は、照明光発光部52の右側に配置されている。
ズーム確認窓7は、カメラ筐体51の前面の右側に配置されている。
指標部51bは、ズーム確認窓7の左側のカメラ筐体51の表面に、例えばシルク印刷によって示された目盛である。
発光ダイオード58は、撮影時に発光する発光部であり、ズーム確認窓7の内側に配置されている。
なお、ズーム確認窓7、指標部51b、発光ダイオード58については後述する。
【0048】
図7は、図6のZ−Z部矢視断面図である。
実施例2のカメラは、遮光シート21、係合ピン17をレンズユニット筐体51のカメラ前方側に設け、フォロアピン19、ガイド軸16をカメラ後方側に設けている。
なお、上述した実施例1と同様の部分であるが、上述した変更に伴い、その配置がレンズユニット筐体の前後方向で入れ替わっているものについては、実施例1の同様部分の符号の数字に100を加えた符号を付して説明する。
【0049】
レンズユニット筐体111の筒部111cは、そのカメラ前面方向の内面を凹ませて、第2レンズ群L2の移動をガイドするガイド溝111gが形成されている。ガイド溝111gは、第2レンズ群L2の移動範囲をカバーする長さを有し、その光軸O2方向に沿って延在する溝である。
第2レンズ群レンズ室113には、係合ピン68が固定されている。この係合ピン68は、第2レンズ群レンズ室113のカメラ前面方向の外壁から、カメラ前面方向に突き出して設けられている。その突端部は、ガイド溝111gに挿入されている。
実施例2においては、係合ピン17は、第3レンズ群レンズ室114にのみ設けられている。遮光シート21は、これに追従して移動可能に連結されている。
また、係合ピン17の先端部には、発光ダイオード58が設けられている。
【0050】
なお、これまで説明した図7は、撮影光学系の状態が広角端の場合である。以下、望遠端の説明をする。
図8は、望遠端の場合の図6のZ−Z部矢視断面図である。
第2レンズ群L2、第3レンズ群L3は、焦点距離を長くすることにより、広角端のときよりも、プリズム12側に移動している。また、発光ダイオード58と遮光シート21は、第2レンズ群レンズ室113と係合ピン17を用いて連結されているので、第2レンズ群L2に追従して移動をしている。
【0051】
本実施例の遮光シート21は、望遠端となり、光軸O2に沿った方向への移動位置が上限のときにも、レンズユニット筐体111のガイド孔111d,111eを覆うよう下方の縁が設定されている。逆に、広角端となり、光軸O2に沿った方向への移動位置が下限となっても、ガイド孔111d,111eを覆うように遮光シート21の上方の縁が設定されている(図7参照)。
【0052】
図6にもどって、カメラ筐体51は、その前面の、発光ダイオード58と対向した位置に、矩形状の窓部51aが設けられている。また、カメラ筐体51は、発光ダイオード58の位置に対応した指標である指標部51bを備えている。
窓部51aは、発光ダイオード58の移動範囲よりもその移動方向に沿った長さを大きく設定された矩形状の開口である。窓部51aには、ズーム確認窓7が固定されている。
ズーム確認窓7は、矩形状をしており、半透明な材料であるアクリルにより形成されたカバーである。
指標51bは、広角端の場合の発光ダイオード58の位置に対応した位置に「W」(
広角を意味する)と、同様に望遠端の場合の位置に「T」(望遠を意味する)とシルク印刷されている。また、これらの間には、シルク印刷によって目盛が表示されている。
【0053】
実施例2のカメラは、半透明なアクリルの確認窓7を備え、また、視認部に発光ダイオード58を備えているので、その視認性がよい。
また、カメラ筐体51に、指標51bを有しているので、撮影光学系の焦点距離をより把握しやすい。
さらに、カメラ筐体51の対物レンズ側にズーム確認窓7を配置しているので、被写体側から、焦点距離の把握をすることができる。
【0054】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)実施例2において、発光部を備えた視認部は、発光ダイオード58である例を示したが、これに限らず、例えば、蓄光体や蛍光体等の発光体でもよい。
(2)各実施例において、ズーム確認窓7は、透明又は半透明な材料であるアクリルにより形成されたカバーである例を示したが、これに限らず、例えば、開発工程等で移動レンズ群の動作確認を行なう場合は、ズーム確認窓7にカバーを装着しない状態で行ない、出荷時には、治具等を用いてカメラ筐体から着脱可能であり、透光性を有しない材料から形成されたカバーを装着してもよい。
(3)実施例1において、視認部8,9が連結された移動レンズ群L2,L3は、ズームレンズ群である例を示したが、これに限られず、例えば、フォーカスレンズ群等でもよい。
(4)実施例2において、屈曲光学部はプリズム12である例を示したが、これに限られず、例えば、ミラー等でもよい。
(5)各実施例において、指標部51bはカメラ筐体51に設けられている例を示したが、例えば、ズーム確認窓7に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用した実施例1のカメラを背面側からみた外観図である。
【図2】実施例1のカメラの焦点距離が広角端のときの図1のW−W部矢視断面図である。
【図3】図2のX−X部矢視図である。
【図4】実施例1のカメラの焦点距離が望遠端のときの図1のW−W部矢視断面図である。
【図5】図4のY−Y部矢視図である。
【図6】実施例2のカメラを前面側からみた外観図である。
【図7】実施例2のカメラの焦点距離が広角端のときの図6のZ−Z部矢視断面図である。
【図8】実施例2のカメラの焦点距離が望遠端のときの図6のZ−Z部矢視断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1,51 カメラ筐体
1a,51a 窓部
2 LCD
3 ファインダ接眼窓
4 モード選択ボタン
5 選択決定用十字キー
6 ズームボタン
7 ズーム確認窓
8,9 視認部
10,110 レンズユニット
11,111 レンズユニット筐体
11a,111a プリズム収容部
11b,11c,111b,111c 筒部
11d,11e,111d,111e ガイド孔
11f,111g ガイド溝
12 プリズム
13,113 第2レンズ群レンズ室
13a,14a,15a 通孔
14,114 第3レンズ群レンズ室
15,115 第4レンズ群レンズ室
16 ガイド軸
17,18,68 係合ピン
17a フランジ部
19 フォロアピン
20,21 遮光シート
21a 重なり部
22 撮像素子
51b 指標部
52 照明光発光部
53 ファインダ対物レンズ
58 発光ダイオード
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L2a,L2b,L3a,L3b レンズ
O1,O2 光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ群を含む撮影光学系を収容するレンズ収容部と、
前記レンズ収容部の内側に配置され、その光軸に沿った方向に移動可能に支持された少なくとも1つの移動レンズ群と、
前記移動レンズ群に追従して移動し、その少なくとも一部が前記レンズ収容部の外側に露出した視認部と、
を備えたレンズユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズユニットにおいて、
前記視認部は、発光部を備えること、
を特徴とするレンズユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のレンズユニットにおいて、
前記レンズ収容部は、その側面に開口が形成され、
前記開口を貫通し、前記視認部と前記移動レンズ群とを連結する連結部と、
前記開口の縁部と前記連結部との隙間を遮蔽する遮蔽部とを備えること、
を特徴とするレンズユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記撮影光学系は、光軸を屈曲させる屈曲光学部を、対物レンズよりも像側に備えていること、
を特徴とするレンズユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のレンズユニットにおいて、
前記移動レンズ群は、前記屈曲光学部よりも像側に配置されていること、
を特徴とするレンズユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレンズユニットにおいて、
前記視認部が設けられた前記移動レンズ群は、前記撮影光学系の焦点距離の変化に応じて移動するズームレンズ群であること、
を特徴とするレンズユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレンズユニットと、
前記レンズユニットを収容するカメラ筐体と、
前記カメラ筐体の前記視認部と対向した位置に設けられた窓部と、
を備えたカメラ。
【請求項8】
請求項7に記載のカメラにおいて、
前記窓部は、前記カメラ筐体の前記対物レンズ側に配置されていること、
を特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のカメラにおいて、
前記窓部は、透明又は半透明の材料により形成されたカバーが設けられていること、
を特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のカメラにおいて、
前記カメラ筐体又は前記カバーに設けられ、前記視認部の位置に対応する前記撮影光学系の状態を示す指標を有していること、
を特徴とするカメラ。
【請求項11】
請求項7又は請求項8に記載のカメラにおいて、
前記窓部は、前記カメラ筐体と着脱可能であるカバーが設けられていること、
を特徴とするカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−126348(P2006−126348A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312593(P2004−312593)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】