説明

レンズ鏡筒

【課題】ウォブリング動作中でも像倍率変化と駆動音と消費電力が小さいレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群と、前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータと、を備えるレンズ鏡筒であって、前記複数のフォーカスレンズ群のうち、1つのフォーカスレンズ群のみを光軸方向の前後に往復運動するように制御するウォブリングモードを有する制御部と、をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフォーカスレンズ群と撮影レンズの絞り口径を変化させる絞りを有するレンズ鏡筒およびこれを用いたカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、被写体の光学的な像を電気的な画像信号に変換して出力可能なデジタルカメラが、急速に普及している。特許文献1に記載のレンズ鏡筒に於いては、複数のフォーカスレンズ群を有し、カム機構を用いて1個のモータで複数のフォーカスレンズ群を駆動する。さらに、フォーカスレンズ群の1つの動きと絞りの動きを連動させ、撮影距離に応じて絞り口径を変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−154473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のレンズ鏡筒は、動画撮影などでウォブリング動作を行う場合は、カム機構により複数のフォーカスレンズ群が同時に動くため、光学像の像倍率の変化(以下、像倍率変化とも言う)と駆動音と消費電力が大きくなるという第1の課題を有している。また、従来のレンズ鏡筒は、ウォブリング動作によりフォーカスレンズ群と連動した絞りの口径が変化し、光学像の輝度も変化するという第2の問題を有している。
【0005】
ここに開示された技術は、上記2つの課題のうち、第1の課題を解決し、ウォブリング動作中でも像倍率変化と駆動音と消費電力が小さいレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示されたレンズ鏡筒は、
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータと、
前記複数のフォーカスレンズ群のうち、1つのフォーカスレンズ群のみを光軸方向の前後に往復運動するように制御するウォブリングモードを有する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
ここに開示された技術によれば、ウォブリング動作中でも像倍率変化と駆動音と消費電力が小さいレンズ鏡筒を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デジタルカメラの概略構成図
【図2】カメラ本体の構成を示すブロック図
【図3】デジタルカメラの概略斜視図
【図4】(A)カメラ本体の上面図、(B)カメラ本体の背面図
【図5】交換レンズユニットの断面図(無限遠合焦状態)
【図6】交換レンズユニットの断面図(無限遠合焦状態)
【図7】第2レンズ群ユニットの分解斜視図
【図8】第4レンズ群ユニットの分解斜視図
【図9】第5レンズ群ユニットの分解斜視図
【図10】(A)無限遠合焦状態の光学系の構成図、(B)最近接合焦状態の光学系の構成図
【図11】フォーカシング時における、各レンズ群の位置を表す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して、詳細に説明する。
【0010】
[第1実施形態]
<デジタルカメラの概要>
図1〜図11を用いて、デジタルカメラ1について説明する。図1はデジタルカメラ1の概略構成図である。図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、交換レンズ式のデジタルカメラであり、主に、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズユニット2(レンズ鏡筒の一例)と、を備えている。交換レンズユニット2は、レンズマウント95を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント4に装着されている。
【0011】
図2はカメラ本体3の構成を示すブロック図である。図3はデジタルカメラ1の概略斜視図である。図4(A)はカメラ本体3の上面図であり、図4(B)はカメラ本体3の背面図である。図5〜図6は交換レンズユニット2の異なる平面における概略断面図である。図7は第1フォーカス調節ユニット72の分解斜視図である。図8は第2フォーカス調節ユニット73の分解斜視図である。図9は第3フォーカス調節ユニット74の分解斜視図である。図10(A)および図10(B)は光学系Lの構成図である。図10(A)が無限遠の合焦状態を示しており、図10(B)が最近接の合焦状態を示している。図11は、フォーカシング時における、各レンズ群の撮像センサ11からの距離を示している。
【0012】
なお、本実施形態では、デジタルカメラ1に対して3次元直交座標系を設定する。光学系L(後述)の光軸AZはZ軸方向(光軸方向の一例)と一致している。X軸方向はデジタルカメラ1での縦撮り姿勢における水平方向と一致している。Y軸方向はデジタルカメラ1での横撮り姿勢における鉛直方向と一致している。また、以下の説明において、「前」とは、デジタルカメラ1の被写体側(Z軸方向正側)を、「後」とは、デジタルカメラ1の被写体側と反対側(ユーザー側、Z軸方向負側)を意味する。
【0013】
<交換レンズユニット>
図1〜図11を用いて交換レンズユニット2の概略構成を説明する。図1に示すように、交換レンズユニット2は、光学系Lと、光学系Lを支持するレンズ支持機構71と、第1フォーカス調節ユニット72と、第2フォーカス調節ユニット73と、第3フォーカス調節ユニット74と、絞り調節ユニット75と、振れ補正ユニット76と、レンズマイコン40と、を有している。
【0014】
(1)光学系
光学系Lは、被写体の光学像を形成する。光学系Lは、主に6つのレンズ群から構成されている。具体的には図10(A)および図10(B)に示すように、光学系Lは、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5のレンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6を有している。
【0015】
第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3を有している。第2レンズ群G2はフォーカスレンズ群であり、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6を有している。第3レンズ群G3はブレ補正レンズ群であり、第7レンズL7から構成されている。第4レンズ群G4はフォーカスレンズ群であり、第8レンズL8と、第9レンズL9と、第10レンズL10を有している。第5レンズ群G5はフォーカスレンズ群であり、第11レンズL11から構成されている。第6レンズ群G6は、第12レンズL12と、第13レンズL13を有している。光学系Lは、複数のフォーカスレンズ群G2,G4,G5を有している。複数のフォーカスレンズ群G2,G4,G5は、光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離(物体距離)を変更する。
【0016】
図10(A)、図10(B)および図11に示すように、無限遠合焦状態から最近接合焦状態へのフォーカシング時には、第2レンズ群G2が光軸AZに沿って撮像センサ11側へ移動し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は光軸AZに沿って被写体側へ移動する。
【0017】
さらに、デジタルカメラ1の動きに起因する光学像の振れを抑制するために、第7レンズL7が光軸AZと直交する2方向に移動する。
【0018】
図11に示すように、各フォーカスレンズ群は無限遠合焦状態から最近接合焦状態へ移動する際、移動方向が一定である。よって、コントラストAFの検波時はフォーカスレンズ群を反転させる必要がないため、モータや駆動機構のヒステリシスの影響を受けず、AFの高精度化が可能である。
【0019】
(2)レンズ支持機構
レンズ支持機構71は、光学系Lの各レンズ群G1〜G6を固定或いは移動可能に支持するための機構であり、レンズマウント95と、固定枠50と、ガイドポール支持枠51と、第1レンズ群支持枠52と、第2レンズ群支持枠53と、第3レンズ群支持枠54と、絞りユニット62(絞りの一例)と第4レンズ群支持枠55と、第5レンズ群支持枠56と、第6レンズ群支持枠57と、フォーカスリングユニット88と、を有している。
【0020】
レンズマウント95は、カメラ本体3のボディーマウント4に装着される部分であり、レンズ側接点91を有している。
【0021】
固定枠50は、前枠61と第1レンズ群支持枠52と、絞りユニット62と第1フォーカスモータ63(フォーカスアクチュエータの一例)と、第2フォーカスモータ64(フォーカスアクチュエータの一例)とを支持すると共に、Z軸方向に延びる4本のガイドポール63b、63c、64b、64cの前側端部を支持し、ガイドポール支持枠51に固定されている。第1フォーカスモータ63と、第2フォーカスモータ64は例えばステッピングモータである。
【0022】
ガイドポール支持枠51は第6レンズ群支持枠57と、ガイドポール65c、65bと第3フォーカスモータ65(フォーカスアクチュエータの一例)とを支持すると共に、4本のガイドポール63b、63c、64b、64cの後側端部を支持し、レンズマウント95に固定されている。第3フォーカスモータ65は例えばステッピングモータである。
【0023】
前枠61は、固定枠50に固定されており、先端には偏光フィルタや保護フィルタのような光学フィルタおよびコンバージョンレンズを取付けるための雌ねじ部61aが形成されている。
【0024】
第1レンズ群支持枠52は、固定枠50に固定されており、第1レンズ群G1を支持している。
【0025】
第2レンズ群支持枠53は、第2レンズ群G2を支持し、軸受け部53aと、廻り止め部53bと、ラック支持部53cと、突起53dと、を有している。軸受け部53aはガイドポール63bが挿入されており、廻り止め部53bにはガイドポール63cが挿入され、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第2レンズ群支持枠53はZ軸方向に移動可能に支持されている。ラック支持部53cは、第1ラック58をZ軸方向に一体で移動可能かつ回転可能に支持している。突起53dは第2レンズ群G2の原点を検出するための部分であり、第1フォトセンサ66の検出領域を通過可能な位置に設けられている。第1ラック58は、複数の歯(図示せず)を有し、その歯が第1フォーカスモータ63のリードスクリュー63aと噛み合っている。
【0026】
第3レンズ群支持枠54は、第3レンズ群G3を支持している。第3レンズ群支持枠54は光軸AZに直交する2方向に移動可能なように支持されている。
【0027】
第4レンズ群支持枠55は、第4レンズ群G4を支持し、軸受け部55aと、廻り止め部55bと、ラック支持部55cと、突起55dと、を有している。軸受け部55aはガイドポール64bが挿入されており、廻り止め部55bにはガイドポール64cが挿入され、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第4レンズ群支持枠55はZ軸方向に移動可能に支持されている。ラック支持部55cは、第2ラック59をZ軸方向に一体で移動可能かつ回転可能に支持している。突起55dは第4レンズ群G4の原点を検出するための部分であり、第2フォトセンサ67の検出領域を通過可能な位置に設けられている。第2ラック59は、複数の歯(図示せず)を有し、その歯が第2フォーカスモータ64のリードスクリュー64aと噛み合っている。
【0028】
第5レンズ群支持枠56は、第5レンズ群G5を支持し、軸受け部56aと、廻り止め部56bと、ラック支持部56cと、突起56dと、を有している。軸受け部56aはガイドポール65bが挿入されており、廻り止め部56bにはガイドポール65cが挿入され、光軸AZ周りの回転が規制された状態で、第5レンズ群支持枠56はZ軸方向に移動可能に支持されている。ラック支持部56cは、第3ラック60をZ軸方向に一体で移動可能かつ回転可能に支持している。突起56dは第5レンズ群G5の原点を検出するための部分であり、第3フォトセンサ68の検出領域を通過可能な位置に設けられている。
【0029】
第3ラック60は、複数の歯(図示せず)を有し、その歯が第3フォーカスモータ65のリードスクリュー65aと噛み合っている。
【0030】
第6レンズ群支持枠57は、第6レンズ群G6を支持し、ガイドポール支持枠51に固定されている。
【0031】
フォーカスリングユニット88は、フォーカスリング89と、フォーカスリング89の回転角度を検出するフォーカスリング角度検出部90と、を有している。フォーカスリング89は、円筒形状を有しており、固定枠50と前枠61により、Z軸方向の移動が規制された状態で光軸AZ周りに回転可能に支持されている。フォーカスリング89の回転角度および回転方向は、フォーカスリング角度検出部90により検出可能である。例えば、このフォーカスリング角度検出部90は、2つのフォトセンサ(図示せず)を有している。フォーカスリング89は、回転方向に等間隔で配置されZ軸方向に突出する複数の突起89aを有している。各フォトセンサは、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を有しており、発光部および受光部の間を複数の突起89aが通過することで、フォーカスリング89の回転角度および回転方向を検出することができる。なお、フォーカスリング89は、例えば可動式のレバーのような他の構造を有していてもよい。
【0032】
(3)フォーカス調節ユニット
第1フォーカス調節ユニット72は、第1フォーカスモータ63と、フォーカスレンズ駆動制御部41と、第1フォトセンサ66(位置センサの一例)と、を有している。第1フォーカスモータ63は、絞りユニット62よりも撮像面側にあり、固定枠50に固定されており、第2レンズ群支持枠53をZ軸方向に駆動する。第1フォーカスモータ63のリードスクリュー63aは、フォーカスレンズ駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。第1フォーカスモータ63で発生した回転運動は、リードスクリュー63aおよび第1ラック58により第2レンズ群支持枠53のZ軸方向の直進運動に変換され、第2レンズ群支持枠53がZ軸方向に移動可能となる。
【0033】
第2フォーカス調節ユニット73は、第2フォーカスモータ64と、フォーカスレンズ駆動制御部41と、第2フォトセンサ67(位置センサの一例)と、を有している。第2フォーカスモータ64は、絞りユニット62よりも撮像面側にあり、固定枠50に固定されており、第4レンズ群支持枠55をZ軸方向に駆動する。第2フォーカスモータ64のリードスクリュー64aは、フォーカスレンズ駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。第2フォーカスモータ64で発生した回転運動は、リードスクリュー64aおよび第2ラック59により第4レンズ群支持枠55のZ軸方向の直進運動に変換され、第4レンズ群支持枠55がZ軸方向に移動可能となる。
【0034】
第3フォーカス調節ユニット74は、第3フォーカスモータ65と、フォーカスレンズ駆動制御部41と、第3フォトセンサ68(位置センサの一例)と、を有している。第3フォーカスモータ65は、絞りユニット62よりも撮像面側にあり、ガイドポール支持枠51に固定されており、第5レンズ群支持枠56をZ軸方向に駆動する。第3フォーカスモータ65のリードスクリュー65aは、フォーカスレンズ駆動制御部41から入力された駆動信号に基づいて回転する。第3フォーカスモータ65で発生した回転運動は、リードスクリュー65aおよび第3ラック60により第5レンズ群支持枠56のZ軸方向の直進運動に変換され、第5レンズ群支持枠56がZ軸方向に移動可能となる。
【0035】
フォーカスレンズ駆動制御部41(制御部の一例)は、3個のフォーカスモータ63,64,65全てを同時に異なった駆動速度で制御することが可能であり、さらに、何れか1個或いは2個のフォーカスモータのみを駆動させることも可能である。各フォーカスレンズ群G2,G4,G5を合焦位置へ駆動する時などは、3個のフォーカスモータを63,64,65同時に駆動することで、AF動作の高速化が可能となる。加えて、フォーカスレンズ駆動制御部41は、動画撮影などにおいて合焦位置を確認するために撮影距離を微小範囲内で前後させる、いわゆるウォブリング動作時は、各フォーカスレンズ群G2,G4,G5のうちの1つ、例えば、最も軽いフォーカスレンズ群である第5レンズ群G5のみを駆動させることで、像倍率変化と駆動音と消費電力を小さくすることができる。具体的には、フォーカスレンズ駆動制御部41は、ウォブリング動作時、第5レンズ群G5のみを光軸AZ方向に前後に駆動するように、第3フォーカスモータ65を制御する。
【0036】
さらに、3個のフォーカスモータ63、64、65は全て絞りユニット62よりも撮像面側にあることから、第3レンズ群支持枠54や振れ補正ユニット76(振れ補正装置の一例)にフォーカスモータを避ける切欠を設ける必要がないため、レンズ鏡筒の小型化も可能となる。
【0037】
(4)絞り調節ユニット
絞り調節ユニット75は、絞りユニット62と、絞りユニット62を駆動する絞り駆動モータ(絞りアクチュエータの一例、図示せず)と、絞り駆動モータを制御する絞り駆動制御部(制御部の一例)42と、を有している。絞り駆動モータは、例えばステッピングモータである。絞り駆動モータは、絞り駆動制御部42から入力される駆動信号に基づいて駆動される。絞り駆動モータで発生した駆動力により、絞り羽根62aが開方向および閉方向に駆動され、開口形状が変化する。絞り羽根62aを駆動することで光学系Lの絞り値を変更することができる。絞り駆動制御部42は、撮影距離に応じて絞り径を変更するように制御する。絞り駆動モータと絞り駆動制御部42とをフォーカス調節ユニットとは独立して有することから、動画撮影時のウォブリング動作など絞り口径を変化させたくない時には、絞り駆動モータを停止させることが可能であり、ウォブリング動作時に輝度変化のない画像を得ることができる。
【0038】
(5)振れ補正ユニット
振れ補正ユニット76は、交換レンズユニット2およびカメラ本体3の動きに起因する光学像の振れを抑制するためのユニットであり、電磁アクチュエータ46と、位置検出センサ47と、振れ補正用マイコン48と、を有している。
【0039】
電磁アクチュエータ46は第3レンズ群支持枠54を光軸AZに直交する方向に駆動する。つまり、電磁アクチュエータ46は、第3レンズ群G3(振れ補正レンズ群の一例)を光軸AZに直交する方向に駆動する。位置検出センサ47は、絞りユニット62に対する第3レンズ群支持枠54の位置を検出するためのセンサである。交換レンズユニット2には、ジャイロセンサなどの動き検出センサ(図示せず)が搭載されている。振れ補正用マイコン48は、位置検出センサ47の検出結果および動き検出センサの検出結果に基づいて、電磁アクチュエータ46を制御する。これにより、デジタルカメラ1の動きに起因する被写体像の振れを抑制することができる。
【0040】
なお、被写体像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11から出力される画像データに基づいて画像に表れる振れを補正する電子式振れ補正を適用してもよい。また、光学像の振れを抑制する方法として、撮像センサ11を光軸AZと直交する2方向に駆動するセンサシフト方式を適用してもよい。
【0041】
(6)レンズマイコン
レンズマイコン40は、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)およびメモリ40aを有しており、ROMに格納されているプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現し得る。例えば、レンズマイコン40は、第1フォトセンサ66の検出信号により第2レンズ群支持枠53が原点位置にあることを認識することができる。
【0042】
メモリ40aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。メモリ40aには、例えば交換レンズユニット2に関する情報(レンズ情報)や被写体距離に応じたフォーカス群の位置情報(図11)などが格納されている。レンズマイコン40は、この被写体距離に応じたフォーカス群の位置情報に基づいてフォーカスモータ63、64、65を制御し、各フォーカスレンズ群がZ軸方向に駆動される。レンズマイコン40は、フォーカスレンズ群G2,G4,G5の光軸AZ方向の位置を把握可能である。つまり、レンズマイコン40は、被写体距離を把握可能である。なお、被写体距離とは、光学系Lによって光学像が合焦している被写体までの距離である。具体的には、レンズマイコン40は、第1フォトセンサ66の検出信号により第2レンズ群支持枠53が原点位置にあることを認識し、その後、第1フォーカスモータ63の駆動量(たとえば、ステップ数)をカウントすることにより、第2レンズ群G2の光軸AZ方向の位置を把握する。また、レンズマイコン40は、第2フォトセンサ67の検出信号により第4レンズ群支持枠55が原点位置にあることを認識し、その後、第2フォーカスモータ64の駆動量(たとえば、ステップ数)をカウントすることにより、第4レンズ群G4の光軸AZ方向の位置を把握する。また、レンズマイコン40は、第3フォトセンサ68の検出信号により第5レンズ群支持枠56が原点位置にあることを認識し、その後、第3フォーカスモータ65の駆動量(たとえば、ステップ数)をカウントすることにより、第5レンズ群G5の光軸AZ方向の位置を把握する。
【0043】
<カメラ本体>
図1〜図4を用いてカメラ本体3の概略構成について説明する。図1〜図4に示すように、カメラ本体3は、筐体3aと、ボディーマウント4と、操作ユニット39と、画像取得部35と、画像表示部36と、ファインダ部38と、ボディーマイコン10(駆動制御部の一例、予備動作検知部の一例)と、バッテリー22(主電源の一例)と、を有している。
【0044】
(1)筐体
筐体3aは、カメラ本体3の外装部を構成している。図4(A)および図4(B)に示すように、筐体3aの前面には、ボディーマウント4が設けられており、筐体3aの背面および上面には、操作ユニット39が設けられている。具体的には、筐体3aの背面には、表示部20と、電源スイッチ25と、モード切り換えダイヤル26と、十字操作キー27と、メニュー設定ボタン28と、設定ボタン29と、モード切り換えボタン34と、動画撮影操作ボタン24が設けられている。筐体3aの上面には、シャッターボタン30が設けられている。
【0045】
(2)ボディーマウント
ボディーマウント4は、交換レンズユニット2のレンズマウント95が装着される部分であり、レンズ側接点91と電気的に接続可能なボディー側接点(図示せず)を有している。ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して、カメラ本体3は交換レンズユニット2とデータの送受信が可能である。例えば、ボディーマイコン10(後述)は、ボディーマウント4およびレンズマウント95を介して露光同期信号などの制御信号をレンズマイコン40に送信する。
【0046】
(3)操作ユニット
図4(A)および図4(B)に示すように、操作ユニット39は、ユーザーが操作情報を入力するための各種操作部材を有している。例えば、電源スイッチ25は、デジタルカメラ1あるいはカメラ本体3の電源の入切を行うためのスイッチである。電源スイッチ25により電源がオン状態になると、カメラ本体3および交換レンズユニット2の各部に電源が供給される。
【0047】
モード切り換えダイヤル26は、静止画撮影モード、動画撮影モードおよび再生モード等の動作モードを切り換えるためのダイヤルであり、ユーザーはモード切り換えダイヤル26を回転させて動作モードを切り換えることができる。モード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されると、動作モードを静止画撮影モードへ切り換えることができ、モード切り換えダイヤル26により動画撮影モードが選択されると、動作モードを動画撮影モードへ切り換えることができる。動画撮影モードでは、基本的に動画撮影が可能となる。さらに、モード切り換えダイヤル26により再生モードが選択されると、動作モードを再生モードへ切り換えることができ、表示部20に撮影画像を表示させることができる。
【0048】
十字操作キー27は、ユーザーが上下左右の方向を選択できるボタンである。十字操作キー27を用いて、例えば表示部20に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択することができる。
【0049】
メニュー設定ボタン28はデジタルカメラ1の各種動作を設定するためのボタンである。設定ボタン29は各種メニューの実行を確定するためのボタンである。
【0050】
動画撮影操作ボタン24は、動画撮影の開始および停止を指示するためのボタンである。モード切り換えダイヤル26において選択された動作モードが静止画撮影モードまたは再生モードであっても、この動画撮影操作ボタン24を押すことにより、モード切り換えダイヤル26での設定内容に関係なく、強制的に動作モードが動画撮影モードに移行し、動画撮影が開始される。さらに、動画撮影中に、この動画撮影操作ボタン24が押されると、動画撮影が終了し、モード切り換えダイヤル26において選択された動作モード、すなわち動画撮影開始前の動作モードへと移行する。例えば、動画撮影操作ボタン24が押される際にモード切り換えダイヤル26により静止画撮影モードが選択されている場合は、動画撮影操作ボタン24が再度押された後に動作モードが自動的に静止画撮影モードへと移行する。
【0051】
シャッターボタン30は、撮影の際にユーザーによって操作される。シャッターボタン30が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン10に出力される。シャッターボタン30は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式のスイッチである。ユーザーが半押し操作すると測光処理および測距処理を開始する。シャッターボタン30を半押しの状態でユーザーがシャッターボタン30を全押し操作すると、タイミング信号が出力され、画像取得部35で画像データが取得される。
【0052】
さらに、図2に示すように、カメラ本体3の前面には、交換レンズユニット2をカメラ本体3から取り外すためのレンズ取り外しボタン99(レンズ取り外し操作部の一例、予備動作検知部の一例)が設けられている。レンズ取り外しボタン99は、例えばユーザーに押されるとオン状態になる接点(図示せず)を有しており、ボディーマイコン10と電気的に接続されている。レンズ取り外しボタン99が押されると、内蔵されている接点がオンになり、ボディーマイコン10はレンズ取り外しボタン99が押されたことを認識することができる。
【0053】
(4)画像取得部
画像取得部35は主に、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11(撮像素子の一例)と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット33と、ボディーマイコン10からの制御信号に基づいてシャッターユニット33の駆動を制御するシャッター制御部31と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ駆動制御部12と、を有している。
【0054】
撮像センサ11は、光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサである。撮像センサ11は、撮像センサ駆動制御部12により発生されるタイミング信号により駆動制御される。なお、撮像センサ11はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0055】
シャッター制御部31は、タイミング信号を受信したボディーマイコン10から出力される制御信号にしたがって、シャッター駆動アクチュエータ32を駆動し、シャッターユニット33を動作させる。
【0056】
なお、本実施形態では、オートフォーカス方式として、撮像センサ11で生成された画像データを利用するコントラスト検出方式が採用されている。コントラスト検出方式を用いることにより、高精度なフォーカス調節を実現することができる。
【0057】
(5)ボディーマイコン
ボディーマイコン10は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、操作ユニット39に入力された操作情報に応じて、デジタルカメラ1の各部を制御する。具体的には、ボディーマイコン10にはCPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディーマイコン10は様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン10は、交換レンズユニット2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能、あるいは交換レンズユニット2から焦点距離情報などのデジタルカメラ1を制御する上で必要な情報を取得する機能を有している。
【0058】
ボディーマイコン10は、電源スイッチ25、シャッターボタン30、モード切り換えダイヤル26、十字操作キー27、メニュー設定ボタン28および設定ボタン29の信号を、それぞれ受信可能である。また、ボディーマイコン10内のメモリ10aには、カメラ本体3に関する各種情報が格納されている。メモリ10aは、不揮発性メモリであり、電力供給が停止している状態でも記憶している情報を保持できる。
【0059】
また、ボディーマイコン10は、垂直同期信号を定期的に生成し、垂直同期信号の生成と並行して、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。ボディーマイコン10が垂直同期信号を基準とした露光開始タイミングおよび露光終了タイミングを予め把握しているために、ボディーマイコン10は露光同期信号を生成できる。ボディーマイコン10は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示省略)に出力し、露光同期信号をボディーマウント4およびレンズマウント95を介してレンズマイコン40に一定の周期で出力する。レンズマイコン40は、露光同期信号に同期して、第2レンズ群支持枠53と、第4レンズ群支持枠55と、第5レンズ群支持枠56其々の位置情報を取得する。
【0060】
撮像センサ駆動制御部12は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを一定の周期で生成する。撮像センサ駆動制御部12は、読み出し信号および電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)で生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
【0061】
また、ボディーマイコン10は、レンズマイコン40を介してフォーカス調節ユニット72、73、74を制御する。
【0062】
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部13から、A/D変換部14、デジタル信号処理部15、バッファメモリ16および画像圧縮部17へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部13は、撮像センサ11から出力される画像信号にガンマ処理等のアナログ信号処理を施す。A/D変換部14は、アナログ信号処理部13から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部15は、A/D変換部14によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調等のデジタル信号処理を施す。バッファメモリ16は、RAM(Random Access Memory)であり、画像信号を一旦記憶する。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像圧縮部17から画像記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ16に記憶された画像信号は、画像記録制御部19の命令により読み出されて、画像圧縮部17に送信される。画像圧縮部17に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部19の命令に従って画像信号に圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータより小さなデータサイズになる。画像信号の圧縮方法として、例えば1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部19により画像記録部18に記録される。ここで、動画を記録する場合、複数の画像信号をそれぞれ1フレームの画像信号毎に圧縮するJPEG方式を用いることもでき、また、複数のフレームの画像信号をまとめて圧縮するH.264/AVC方式を用いることもできる。
【0063】
画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて静止画ファイルまたは動画ファイルを作成する。そして、画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、静止画ファイルまたは動画ファイルを記録する。画像記録部18は、例えば内部メモリおよび/または着脱可能なリムーバブルメモリである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、画像を撮影した際の日時と、焦点距離情報と、シャッタースピード情報と、絞り値情報と、撮影モード情報とが含まれる。静止画ファイルは、例えばExif(登録商標)形式やExif(登録商標)形式に類する形式である。また、動画ファイルは、例えばH.264/AVC形式やH.264/AVC形式に類する形式である。
【0064】
(6)画像表示部
画像表示部36は、表示部20と、画像表示制御部21と、を有している。表示部20は例えば液晶モニタである。表示部20は、画像表示制御部21からの命令に基づいて、画像記録部18あるいはバッファメモリ16に記録された画像信号を可視画像として表示する。表示部20での表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態や、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態が考えられる。
【0065】
(7)ファインダ部
ファインダ部38は、撮像センサ11により取得された画像を表示する液晶ファインダ8と、筐体3aの背面に設けられたファインダ接眼窓9と、を有している。ユーザーは、ファインダ接眼窓9を覗くことで液晶ファインダ8に表示された画像を視認することができる。
【0066】
(8)バッテリー
バッテリー22は、カメラ本体3の各部に電力を供給し、さらにレンズマウント95を介して交換レンズユニット2に電力を供給する。本実施形態ではバッテリー22は充電池である。なお、バッテリー22は、乾電池でもよいし、電源コードにより外部から電力供給が行われる外部電源であってもよい。
【0067】
<デジタルカメラの動作>
デジタルカメラ1の動作について説明する。
【0068】
(1)撮影モード
このデジタルカメラ1は、2つの撮影モードを有している。具体的には、デジタルカメラ1は、ユーザーがファインダ接眼窓9で被写体を観察するファインダ撮影モードと、ユーザーが表示部20で被写体を観察するモニタ撮影モードと、を有している。
【0069】
ファインダ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21が液晶ファインダ8を駆動する。この結果、液晶ファインダ8には、撮像センサ11により取得された被写体の画像(いわゆるスルー画像)が表示される。
【0070】
モニタ撮影モードでは、例えば画像表示制御部21により表示部20が駆動され、表示部20に被写体の実時間画像が表示される。この2つの撮影モードの切り換えは、撮影モード切り換えボタン34にて行うことができる。
【0071】
(2)静止画撮影
ユーザーによりシャッターボタン30が全押しされると、撮像センサ11の測光出力に基づいて計算された絞り値に光学系Lの絞り値が設定されるように、ボディーマイコン10からレンズマイコン40へ命令が送信される。そして、レンズマイコン40により絞り駆動制御部42が制御され、指示された絞り値まで絞りユニット62を絞り込む。絞り値の指示と同時に、撮像センサ駆動制御部12から撮像センサ11へ駆動命令が送信され、シャッターユニット33の駆動命令が送信される。撮像センサ11の測光出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、シャッターユニット33により撮像センサ11が露光される。
【0072】
振れ補正ユニット76の動作モードがONの場合、振れ補正ユニット76は、少なくとも撮像センサ11が露光される間、後述する振れ補正動作を行う。
【0073】
ボディーマイコン10は、撮影処理を実行し、撮影が終了すると、画像記録制御部19に制御信号を送信する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号を内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。画像記録部18は、画像記録制御部19の命令に基づいて、画像信号とともに撮影モードの情報(オートフォーカス撮影モードかマニュアルフォーカス撮影モードか)を、内部メモリおよび/またはリムーバブルメモリに記録する。
【0074】
さらに、露光完了後、撮像センサ駆動制御部12は、撮像センサ11から画像データを読み出し、所定の画像処理後、ボディーマイコン10を介して画像表示制御部21へ画像データが出力される。これにより、表示部20へ撮影画像が表示される。
【0075】
また、露光終了後、ボディーマイコン10により、シャッターユニット33が初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン10からレンズマイコン40へ絞りユニット62を開放位置にリセットするよう絞り駆動制御部42に命令が下され、レンズマイコン40から各ユニットへリセット命令が下される。リセット完了後、レンズマイコン40は、ボディーマイコン10にリセット完了を伝える。ボディーマイコン10は、レンズマイコン40からリセット完了情報を受信した後であって、かつ、露光後の一連の処理が完了した後に、シャッターボタン30が押されていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。
【0076】
(4)動画撮影
デジタルカメラ1は、動画を撮影する機能も有している。動画撮影モードでは、一定の周期で撮像センサ11により画像データが生成され、生成される画像データを利用してコントラスト検出方式によるオートフォーカスが継続的に行われる。動画撮影モードにおいて、シャッターボタン30が押される、あるいは動画撮影操作ボタン24が押されると、画像記録部18に動画が記録され、シャッターボタン30、あるいは動画撮影操作ボタン24が再度押されると、画像記録部18での動画の記録が停止する。
【0077】
振れ補正ユニット76の動作モードがONの場合、振れ補正ユニット76は、少なくとも動画が記録される間、後述する振れ補正動作を行う。
【0078】
(5)振れ補正動作
デジタルカメラ1に加えられた振れは、振れ検出部によって検出される。振れ検出部は、ピッチング方向(Y方向)の振れを検出する第1角速度センサと、ヨーイング方向(X方向)の振れを検出する第2角速度センサとを有する。振れ補正用マイコン48は、第1角速度センサおよび第2角速度センサによって得られた出力信号を時間積分し、デジタルカメラ1のピッチング方向およびヨーイング方向の振れ角度情報に変換する。振れ補正用マイコン48は、振れ角度情報に基いて、デジタルカメラ1の振れによって生じた撮像面上の光学像の移動を元に戻すための、第3レンズ群G3の目標位置情報を算出する。この目標位置情報に応じて第3レンズ群G3を移動させるために、振れ補正用マイコン48は、目標位置情報と位置検出センサ47により検出された現在の第3レンズ群G3の位置情報との差を演算し、ピッチアクチュエータ(図示せず)および/またはヨーアクチュエータ(図示せず)に信号を伝送する。
【0079】
ピッチアクチュエータおよび/またはヨーアクチュエータは、この信号に基づいて第3レンズ群G3を駆動する。こうして、デジタルカメラ1の振れにより発生する被写体像の振れを補正する。
【0080】
[他の実施形態]
本発明の実施形態は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。また、前述の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0081】
(1)
前述の実施形態では、デジタルカメラは静止画および動画の撮影が可能であるが、静止画撮影のみ、あるいは、動画撮影のみ可能であってもよい。
【0082】
(2)
前述の実施形態においては、デジタルカメラは、例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付き携帯電話およびカメラ付きPDAであってもよい。
【0083】
(3)
前述のデジタルカメラ1はクイックリターンミラーを有していないが、従来の一眼レフカメラのようにクイックリターンミラーが搭載されていてもよい。
【0084】
(4)
光学系Lの構成は前述の実施形態に限定されない。例えば、第3レンズ群G3が複数のレンズから構成されていてもよいし、第6レンズ群G6が無くてもよい。
【0085】
(5)
前述の実施形態では、シャッターユニット33を動作させることにより撮像センサ11への露光時間を制御しているが、電子シャッターにより撮像センサ11の露光時間を制御してもよい。
【0086】
(6)
前述の実施形態では、フォーカス調節ユニットは3個であったが、2個以上の複数であれば何個で構成されていてもよい。
【0087】
(7)
前述の交換レンズユニット2(レンズ鏡筒の一例)は単焦点の光学系であったが、焦点距離が変更可能なズーム光学系であってもよい。
【0088】
(8)
第1フォーカスモータ63、第2フォーカスモータ64、および、第3フォーカスモータ65は、ステッピングモータでなくても、他のアクチュエータであってもよい。たとえば、アクチュエータは、電磁モータ、ボイスコイルモータ、圧電素子を用いた振動型アクチュエータ等である。
【0089】
(9)
フォーカスレンズ駆動制御部41は、ウォブリング動作時、第2レンズ群G2のみを光軸AZ方向に前後に駆動するように、第1フォーカスモータ63を制御してもよい。また、フォーカスレンズ駆動制御部41は、ウォブリング動作時、第4レンズ群G4のみを光軸AZ方向に前後に駆動するように、第2フォーカスモータ64を制御してもよい。好ましくは、フォーカスレンズ駆動制御部41は、ウォブリング動作時、第5レンズ群G5のみを光軸AZ方向に前後に駆動するように、第3フォーカスモータ65を制御する。第5レンズ群G5は、複数のフォーカスレンズ群G2,G4,G5のうち、最も軽いからである。
【0090】
(10)
絞り駆動モータは、ステッピングモータでなくても、他のアクチュエータであってもよい。たとえば、アクチュエータは、電磁モータ、ボイスコイルモータ、圧電素子を用いた振動型アクチュエータ等である。
【0091】
[実施形態の特徴]
実施形態の特徴を以下に列記する。なお、実施形態に含まれる発明は、以下のものに限られない。なお、各構成の後ろに括弧で記載したものは、特徴の理解を助けるために記載した、各構成の具体例である。各構成はこれらの具体例に限定されるものではない。また、各特徴について記載された効果を得るため、記載された特徴以外の構成は変形または削除されてもよい。
【0092】
(F1)
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群(G2,G4,G5)と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータ(63,64,65)と、を備えるレンズ鏡筒(2)であって、
絞り(62)と、
開口形状を変更するように絞りを駆動する絞りアクチュエータと、
撮影距離に応じて開口形状を変更するように制御する制御部(42)とをさらに備える。
【0093】
これにより、ウォブリング時は絞り駆動を停止することができ、ウォブリング動作時に輝度変化しないレンズ鏡筒を提供することができる。
【0094】
(F2)
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群(G2,G4,G5)と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータ(63,64,65)と、を備えるレンズ鏡筒(2)であって、
前記複数のフォーカスレンズ群のうち、1つのフォーカスレンズ群のみを光軸方向の前後に往復運動するように制御するウォブリングモードを有する制御部(41)と、をさらに備える。
【0095】
これにより、ウォブリング動作による像倍率変化と駆動音と消費電力の小さい、ウォブリング動作に好適なレンズ鏡筒を提供することができる。
【0096】
(F3)
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群(G2,G4,G5)と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータ(63,64,65)と、を備えるレンズ鏡筒(2)であって、
前記複数のフォーカスレンズ群は、それぞれ、撮影距離を無限大から最近接まで変更する際に移動する方向が一定である。
【0097】
これにより、合焦位置にフォーカスレンズ群を駆動する際に、フォーカスレンズ群の駆動方向を反転させる必要がないため、フォーカスアクチュエータや駆動機構のヒステリシスの影響を受けなくなり、AFの高精度化が可能となる。
【0098】
(F4)
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群(G2,G4,G5)と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータ(63,64,65)と、を備えるレンズ鏡筒(2)であって、
絞り(62)と、
前記絞りよりも被写体側に配置され、光軸と直交する方向に移動可能な振れ補正レンズ群(G3)と、をさらに備え、
前記複数のフォーカスアクチュエータは、前記絞りよりも撮像面側に配置されている。
【0099】
これにより、振れ補正レンズ群を駆動する機構部をフォーカスアクチュエータから逃がして配置する必要がないため、レンズ鏡筒の小型化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、撮像装置等のレンズ鏡筒に好適である。
【符号の説明】
【0101】
1 デジタルカメラ
2 交換レンズユニット
3 カメラ本体
3a 筐体
4 ボディーマウント
10 ボディーマイコン
11 撮像センサ(撮像素子の一例)
12 撮像センサ駆動制御部
20 表示部
21 画像表示制御部
22 バッテリー(主電源の一例)
40 レンズマイコン
41 フォーカスレンズ駆動制御部
42 絞り駆動制御部
46 電磁アクチュエータ
47 位置検出センサ
48 振れ補正用マイコン
50 固定枠
51 ガイドポール支持枠
52 第1レンズ群支持枠
53 第2レンズ群支持枠
54 第3レンズ群支持枠
55 第4レンズ群支持枠
56 第5レンズ群支持枠
57 第6レンズ群支持枠
58 第1ラック
59 第2ラック
60 第3ラック
61 前枠
62 絞りユニット(絞りの一例)
63 第1フォーカスモータ(フォーカスアクチュエータの一例)
64 第2フォーカスモータ(フォーカスアクチュエータの一例)
65 第3フォーカスモータ(フォーカスアクチュエータの一例)
66 第1フォトセンサ(位置センサの一例)
67 第2フォトセンサ(位置センサの一例)
68 第3フォトセンサ(位置センサの一例)
71 レンズ支持機構
72 第1フォーカス調節ユニット
73 第2フォーカス調節ユニット
74 第3フォーカス調節ユニット
75 絞り調節ユニット
76 振れ補正ユニット(振れ補正装置の一例)
88 フォーカスリングユニット
89 フォーカスリング
90 フォーカスリング角度検出部
91 レンズ側接点
95 レンズマウント
99 レンズ取り外しボタン
L 光学系
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向にそれぞれ移動することで撮影距離を変更する複数のフォーカスレンズ群と、
前記フォーカスレンズ群をそれぞれ駆動する複数のフォーカスアクチュエータと、
前記複数のフォーカスレンズ群のうち、1つのフォーカスレンズ群のみを光軸方向の前後に往復運動するように制御するウォブリングモードを有する制御部と、を備える、
レンズ鏡筒。
【請求項2】
絞りと
開口形状を変更するように絞りを駆動する絞りアクチュエータと、
撮影距離に応じて開口形状を変更するように制御する制御部とをさらに備える、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記複数のフォーカスレンズ群は、それぞれ、撮影距離を無限遠から最近接まで変更する際に移動する方向が一定である、
請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
絞りと、
前記絞りよりも被写体側に配置され、光軸と直交する方向に移動可能な振れ補正レンズ群と、をさらに備え、
前記複数のフォーカスアクチュエータは、前記絞りよりも撮像面側に配置されている、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−225947(P2012−225947A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199703(P2009−199703)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】