説明

レーザー装置およびその制御方法

【課題】波長ずれや光路角度ずれをもたらす機械的な可動機構のない波長選択機構を有するレーザー装置を提供する。
【解決手段】出力する光の波長を複数の波長から選択するレーザー装置であって、固定された複数の反射面を有する反射手段および出力鏡を含む共振器内に形成される光路を複数の光路に分岐させる、偏光子からなる分岐手段であって、出力鏡を端部とする共通光路と、いずれかの反射面を端部とする複数の分岐光路を形成する分岐手段と、共通光路に配置されたレーザー媒質と、複数の分岐光路から、出力する波長に対応する分岐光路を選択する選択手段を有するレーザー装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長可変なレーザー装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
波長可変レーザーを用いた医療用の光音響トモグラフィー装置(PhotoAcoustic Tomography装置:PAT装置)の開発が進められている(非特許文献1)。生体内部にある腫瘍周囲に集束する血管観察から腫瘍の有無を判断することや、酸化ヘモグロビンや還元ヘモグロビンのスペクトルの違いを応用することで組織の機能解析を行うことが可能であると期待されている。
【0003】
PAT装置は、ナノ秒パルスレーザーを測定部位に照射して、そこで発生する超音波(光音響波)を受信し、受信信号を解析することで画像を得る測定装置である。生体内部では、照射したレーザー強度が生体内の拡散により減衰するため、特に乳房のように比較的深い生体部位から光音響波を取得する場合、パルス当りのエネルギー出力の高いレーザー光が必要とされる。
チタンサファイアレーザーやアレクサンドライトレーザーは、広い利得帯域を有するレーザー媒質を用いて波長可変とした固体レーザーである。波長可変レーザーを所望の波長でレーザー発振させる波長選択機構には、レーザー共振器内にプリズム、回折格子、複屈折板を設置する方法や、音響光学可変波長フィルター(AOTF)を利用する方法(特許文献1)がある。
【0004】
プリズムを用いる場合、プリズムの屈折率から考慮される波長毎の光路角度ずれに対応して、共振器内で光束を共振させる。プリズム自身を共振器の反射鏡とする場合は、共振器を構成する基板の面内方向にプリズムを機械的に回転させる。プリズムと別に反射鏡を利用する場合は、プリズムを固定し、波長毎の光路角度ずれに対応した位置にある反射鏡を機械的に回転させることで波長選択することも可能である。プリズムと同様にして回折格子を用いた場合も、発振波長に応じて反射鏡を機械的に回転させて波長選択を行う。
複屈折板を用いる場合は、共振する光束の光軸を複屈折板の入射および射出面に対する角度を維持するように、複屈折板を機械的に回転させることにより波長選択を行う。
AOTFを用いる場合は、AOTF素子に印加するRF信号により機械的な回転機構を用いることなく波長選択を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3567234号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S. Manohar et al, Proc. of SPIE vol. 6437 643702−1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PAT装置では、酸化ヘモグロビンや還元ヘモグロビンのスペクトルの違いを検出するためには2波長以上のレーザー照射が必要である。測定される信号強度は、生体の状態や測定位置などの測定条件に影響を受けるため、それぞれの波長で得られる信号を比較する場合、波長以外の測定条件を一定に保つことが好ましい。発振パルス毎に波長を変えて測定する場合、生体の体動などの影響を十分低減できると考えられることから、生体状態や
測定位置を一定に維持した測定が容易である。ゆえに、採用する波長可変機構に関わらず、発振パルス毎に波長を変えた場合でも、光路角度ずれや発振波長ずれを抑制する必要がある。また、発振出力が一定であるとともに、選択した複数の波長のそれぞれにおいて、波長が一定である必要がある。さらに、波長可変機構に可動機構を有する場合は、繰り返し可動に対する部材の長期安定性を確保することも必要である。
【0008】
上記の要求を踏まえた上で、従来の波長可変レーザー装置を医療用PAT装置のレーザー光源として用いることを検討すると、以下の課題がある。
従来利用されてきたプリズムや回折格子を波長可変機構として用いる場合ステージ等を用いて反射鏡位置を回転制御する。もし反射鏡の回転位置ずれが起きると、発振波長が変動する。また、あおり角度がずれた場合は、アライメントずれにより発振出力が低下する。このため、発振パルス毎にステージ位置を移動させ、かつ位置精度を安定的に維持する事が必要である。なお、レーザー発振時には駆動ステージを静止させることが必要である。したがって、発振パルスごとにステージの回転と静止を繰り返すことになる。
繰り返し駆動に耐えられるように、ステージや光学素子筐体の駆動部分に、部材の摩擦および摩耗等を考慮した繰り返し信頼性の高い部材を用いることが必要である。しかしながら、信頼性の高い駆動ステージでも、繰り返し駆動に対する部材耐久性には限界がある。一方、レーザーの出力安定性を確保するためには、レーザー使用環境における共振器の熱安定性を維持する事が不可欠である。一般的にレーザー基板にはアルミ基板が用いられるが、部材にアルミ以外の高耐久性部材を用いた場合、部材の違いにより熱膨張率が異なり、共振器全体の熱安定性維持に支障が生じる可能性がある。
【0009】
複屈折板を用いる波長可変機構は、複数の複屈折板を組み合わせるため、構成要素のサイズが大きな光学部品となる。パルス毎に波長を変える場合、複屈折板の回転と静止を繰り返すため、パルスレーザーの周波数が上がるにつれて、かかる大きな複屈折板を高速で回転制御しなければならないという困難が生じる。また、回転精度に劣化が生じた場合は、選択する波長がずれる問題が生じる。さらに、複屈折板を用いる波長可変機構は高コストであることも問題である。
【0010】
上述の問題点を踏まえると、波長可変機構としては、波長ずれや光路角度すれをもたらす機械的な可動機構を持たないものが好ましい。
音響光学フィルター(AOTF)を波長可変機構として用いる場合、機械的な可動機構を排除する事が可能である。AOTFは、音響光学結晶と超音波トランスデューサーにより構成される。複屈折性を示す音響光学結晶中に超音波を励起すると、超音波の周波数に応じた特定の波長の回折光が、超音波、入射光、回折光の間の位相整合条件を満たす方向に強く回折される。励起する超音波の周波数(波数)を変える事により位相整合条件が成立する光の波長が変化する。AOTFを共振器内部に設置し、回折した所望の位置に共振器を構成する反射鏡を設置する。さらに、AOTFと反射鏡の間にプリズム等の波長分散補正素子を配置することにより、回折角の波長依存性を補償することができる。すなわち、反射鏡を回転させることなく、AOTFに印加する超音波のRF電源からのRF信号により所望の波長を選択することが可能となる。
【0011】
しかしながら、音響光学素子の回折効率は、1次回折光を用いた場合でも、通常は70〜80%、高くても90%迄であり共振器内損失が大きい欠点を有する。AOTFで波長選択を行い出力強度の強いレーザー光を得るためには、一次回折光の回折強度を高める必要がある。AOTFでは、一次回折光強度は伝搬する超音波の強度となるRF信号強度に依存する。AOTFには、素子耐性を超える一定以上のRF信号を印加することができないため、高出力が必要な用途には不向きである。音響光学素子を用いたQスイッチにおいて、レーザーパワー10000W/cm程度の製品が実現されていている。しかしながら、PAT装置では、パルスエネルギーの高いレーザー光が必要な場合がある。特に医療
用PAT装置では、10ナノ秒程度のパルス幅を有するレーザー装置が多く用いられており、高出力エネルギーが必要なレーザー装置では、レーザーパワーとして100MW/cmに相当する出力が必要となる。すなわち、AOTFを用いて高いエネルギーパルスを発振する波長可変レーザー装置とすることは困難である。
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、波長ずれや光路角度ずれをもたらす機械的な可動機構のない波長選択機構を有するレーザー装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
出力する光の波長を複数の波長から選択するレーザー装置であって、
固定された複数の反射面を有する反射手段および出力鏡を含む共振器内に形成される光路を複数の光路に分岐させる、偏光子からなる分岐手段であって、前記出力鏡を端部として前記複数の光路に共通する共通光路と、前記反射手段のいずれかの反射面を端部として前記複数の光路ごとに異なる複数の分岐光路と、を形成する分岐手段と、
前記共通光路に配置されたレーザー媒質と、
前記複数の分岐光路から、出力する波長に対応する分岐光路を選択する選択手段と、
を有することを特徴とするレーザー装置である。
【0014】
本発明はまた、以下の構成を採用する。すなわち、
出力する光の波長を複数の波長から選択するレーザー装置の制御方法であって、
前記レーザー装置は、
固定された複数の反射面を有する反射手段および出力鏡を含む共振器内に形成される光路を複数の光路に分岐させる分岐手段であって、前記出力鏡を端部として前記複数の光路に共通する共通光路と、前記反射手段のいずれかの反射面を端部として前記複数の光路ごとに異なる複数の分岐光路と、を形成する分岐手段と、
前記共通光路に配置されたレーザー媒質と、
前記分岐光路に偏光子を有しており、
前記複数の分岐光路から、出力する波長に対応する分岐光路を選択する選択ステップを有することを特徴とするレーザー装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、波長ずれや光路角度ずれをもたらす機械的な可動機構のない波長選択機構を有するレーザー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のレーザー装置の一実施形態を示す構成図。
【図2】光路遮蔽部の一形態を示す構成図。
【図3】反射部の一形態を示す構成図。
【図4】反射部材にプリズムを用いる場合の構成図。
【図5】本発明のレーザー装置の一実施形態を示す構成図。
【図6】平行平板を用いた光路選択機構の構成図。
【図7】楔形形状素子を用いた光路選択機構の構成図。
【図8】本発明のレーザー装置の一実施形態を示す構成図。
【図9】本発明のレーザー装置の一実施形態を示す構成図。
【図10】実施例1における構成図。
【図11】実施例2における構成図。
【図12】実施例3における構成図。
【図13】実施例4における構成図。
【図14】本発明のレーザー装置の一実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の範囲を以下の記載に限定するものではない。
【0018】
(プリズムを用いる基本的な構成)
図1は本発明の実施形態の一例を示す構成図である。
図中には、レーザー媒質を励起する励起光101、出力部102、レーザー媒質103、光路分岐部であるプリズム104、共振光路選択部である分岐された第1の分岐光路110上に設置する第1の光路遮蔽部105が含まれる。図中にはまた、共振光路選択部である分岐された第2の分岐光路111上に設置する第2の光路遮蔽部106が含まれる。さらに、第1の分岐光路110の端部における反射部としての第1の反射部材107、第2の分岐光路111の端部における反射部としての第2の反射部材108、共通光路109が含まれる。
出力部102は、所望波長のレーザーを発振するために、発振波長における透過率を規定する誘電体膜が積層している。レーザー媒質103は、発振帯域の広い利得媒質からなり、例えば、チタンサファイア(Ti:sa)、アレクサンドライトなどである。プリズム104にて波長分散により光束は分岐される。プリズム104の光学素材は、分散が大きく、レーザー損傷閾値の高い材料であることが好ましい。第1の反射部材107、第2の反射部材108は、それぞれ、レーザー媒質103の発振帯域内の所望の波長が反射するように配置され、それぞれの波長に好適な誘電体反射膜を備えている。
励起光101としては、ランプや半導体レーザーなどによって励起されたレーザー光や、ランプから発せられた光などを、用途に応じて使用することができる。たとえば、レーザー媒質にTi:saを用いる場合は、主に500nm付近のレーザー光で励起する事が多く、Nd:YAGレーザーの第二高調波である532nmの波長のレーザー光を用いて励起する事が好ましい一形態である。レーザー媒質にアレクサンドライトを用いる場合は、ランプ励起が好ましい一形態である。また、パルスレーザーとするためには、励起光もパルス駆動する事が必要であり、励起手段にフラッシュランプを利用し、共通光路109にポッケルスセル等を用いるQスイッチ(Q−sw)を用いても構わない。
【0019】
本実施形態のレーザーは以下のように制御して利用する。以下励起光101により20Hzの繰り返し周波数で発振するパルスレーザーを例に説明する。
第1の波長のレーザー光が発振するように、第1の光路遮蔽部105を開け、第2の光路遮蔽部106を閉じる。励起光101によりレーザー媒質103が励起され、共通光路109および第1の分岐光路110を光路とし、出力部102と第1の反射部材107よりなる共振器により、第1の波長のレーザー光が射出する。
レーザー光射出後、第2の波長のレーザー光が発振するように、第1の光路遮蔽部105を閉じ、第2の光路遮蔽部106を開ける。遮蔽部開閉の制御は、励起光トリガーおよび励起後レーザー光が発振する迄の遅延時間等を考慮し開閉する必要があり、励起光トリガーと同期させて制御することが好ましい。遮蔽部はそれぞれ独立に開閉できる。本例では、パルス毎に発振波長を交互に変える場合を述べている。遮蔽部開閉の制御の安定性のために、繰り返し周波数に同期した開閉を繰り返す回転型の開閉機構などが好ましい形態である。
第2発目のパルス準備のため遮蔽部制御終了後、励起光101によりレーザー媒質103が励起され、共通光路109および第2の分岐光路111を光路とし、出力部102と第2の反射部材108よりなる共振器により、第2の波長のレーザー光が射出する。本操作を繰り返すことにより、2波長のレーザー光を安定的に発振させることができる。
ここでは、パルス毎に交互に波長が変わる例を示したが、遮蔽部の開閉を制御して一方の分岐光を用いる共振器を選択する事により、任意の波長を連続させて発振させることも可能である。遮蔽部開閉の制御をプログラムすることにより、パルス毎に発振する波長の
レーザー光の順序等を予め決めておくことも可能である。
【0020】
図1では、光路分岐手段として1個のプリズム104を用いているが、発振波長の波長差が少ないと分散が小さいため、第1の分岐光路110と第2の分岐光路111を明確に分けることが困難となる。明確な光路の違いを作るためには長い共振器長が必要となる。これに対して、プリズム104を複数個のプリズムにすることにより光路分岐の角度を広げ、分岐光路に違いを作ることが可能となる。ここでは、用いるプリズムの数を限定するものでではない。プリズムは光路の2つの透過面に発振波長の誘電体反射防止膜を付与するか、あるいは、入射光の波長に対して、2つの透過面がブリュースター角となるように配置するブリュースター分散プリズムを用いても良い。
【0021】
(光路遮蔽部を1個とする構成)
図1のように、分岐光路毎に光路遮蔽部を備える方法の他に、図2に示すように、複数の分岐光路に渡って配置される、1個の光路遮蔽部205で遮蔽する分岐光路の選択を行う方法が可能である。光路遮蔽部以外の構成要素201〜211については、図1の101〜111と同様の構成および機能を持つ。図2の場合、1個の遮蔽部材を用いて、一方の分岐光路を遮蔽すると同時に他方の分岐光路を遮蔽しないことにより、光路選択が可能である。また、遮蔽する光路を変えることで、遮蔽部材を2個用いて分岐光路を選択する事と同様の目的が果たせる。特に、分岐光路の違いが少ない場合は、遮蔽部材を1個とすることは有効な手法である。
【0022】
(反射部材を1個とする構成)
第1の分岐光路と第2の分岐光路の光路に異なる2つの反射部材を配置するだけの明確な光路差を設ける事が出来ない場合、両者の分岐光路を分離するために、図3に示すように反射部に角度の異なる2面の反射面を有する反射部材307を用いる事が可能である。図3において、レーザー媒質を励起する励起光301、出力部302、レーザー媒質303、光路分岐部であるプリズム304、共通光路309は、図1および図2と同様の構成および機能を持つ。ここでは図2と同じく、光路遮蔽部を1個としている。プリズム304で分岐した第1の分岐光路310と第2の分岐光路311上に跨るように光路遮蔽部305を設置し、第1の分岐光路310の反射部と第2の分岐光路311の反射部として、反射部材307を用いる。この場合、発振させる波長において、プリズム304の屈折率から考慮される光路角度ずれに対応して、各波長の光束が反射して共振するような反射部材307とする必要がある。
【0023】
(反射部材としてプリズムを用いる構成)
また、反射部材307の代わりに、図4に示すような内部反射を用いるプリズム反射部材407を利用することも可能である。プリズム反射部材407は、入射光を入射面に対してブリュースター角となるように配置した直角二等辺三角形の面を有しており、リトロ分散プリズムと称する。反射面には発振波長に対する誘電体反射膜を反射面に施す。このとき、共振器の構成部材は、図3と同様のレーザー媒質を励起する励起光、出力部、レーザー媒質、光路分岐部であるプリズムである。図4には第1の分岐光路410、第2の分岐光路411を示した。さらに、反射面が異なる2面を有するプリズムであることを、プリズム下方の2本の点線にて示した。プリズム反射部材は、入射面に各波長に対応した誘電体反射防止膜を施していれば、リトロ分散プリズムでなくてもよい。
【0024】
上記の各構成では、2波長を分岐する手法を示したが、反射部材、および反射部材の反射面を増やすことにより2波長以上の波長選択機構とすることも可能である。
【0025】
(平行平板を用いる基本的な構成)
図5は本発明の実施形態の一例を示す構成図である。
図1に示した実施形態とは異なり、図5では共振光路選択手段として、平行平板505を用いている。図5(a)は平行平板505が光路に挿入されている場合であり、図5(b)は挿入されていない場合であり、それぞれ分岐光路が異なる。図5(a)に示すように、平行平板505aが共通光路509に挿入されている場合、光路の平行ずれが生じる。すなわち平行平板は、共通光路上の位置と、共通光路外の位置を移動可能である。共通光路509と、平行ずれ光路512と、第2の分岐光路511を光路とし、出力部502と第2の反射部材508により共振器を形成する。一方、図5(b)に示すように、平行平板505bが共通光路509に挿入されていない場合、共通光路509と、第1の分岐光路510を光路とし、出力部502と第1の反射部材507により共振器を形成する。
平行平板505は、屈折率が大きく、レーザー損傷耐性の高い材料から成ることが好ましく、石英などが好適である。平行平板505における反射損失を低減するために、平行平板505は、共通光路上の位置にあるとき、入射光に対してブリュースター角で設置する事が好ましい。しかしながら、入射出両面には誘電体反射防止膜を備えることも好ましい一形態である。
それぞれ所望の波長で共振するように反射部材の位置を設定し、平行平板505をパルス毎に制御して移動させることにより異なる2波長で発振するレーザー装置となる。平行平板の移動は、直線駆動でも構わないが、より安定に制御するために平行平板の入射及び反射面位置が変化しないように回転する回転駆動により共通光路509の光路内および光路外を切り替える駆動も好ましい一形態である。
本実施形態では共振光路内部に駆動部材が挿入されるが、光路が平行に移動するだけであるため、駆動部にわずかなずれが生じても光路の角度ずれが生じる可能性は低く、安定した共振状態を維持する。
【0026】
(平行平板を2個用いる構成)
光路の平行ずれをより大きくするためには、図5に示す平行平板505の代わりに、図6に示すように、移動平行平板605と固定平行平板613を用いても良い。すなわち、移動平行平板605を共通光路に挿入した場合に形成される第1の平行ずれ光路612上に固定平行平板を設置しておくことで、さらに平行ずれの大きな第2の平行ずれ光路614を形成することが可能となる。
なお、移動平行平板を厚くすることによっても平行ずれを大きくすることは可能であるが、可動部材の重量が増す欠点を有する。そこで、図6のように平行平板を2枚に分けることにより、移動平行平板の重量を増すことなく平行ずれ幅を広げることが可能となる。
【0027】
(楔形光学部材を用いる構成)
また、図7に示すように、平行平板の代わりに2個の楔形光学部材を一組みとした楔形光学部材対705を、平行平板505の代わりとして用いる事も可能である。共通光路709と平行ずれ光路712の間に楔形光学部材対705を挿入する。本部材を用いることにより、光路差をより明確に付ける事が可能となる。
【0028】
(平行平板により3波長以上を分離する構成)
平行平板を用いて分岐光路差を付ける手法は、図1のプリズム104のみを用いる方法と比べて、より容易に光路を分離することができる。従って、平行平板を用いる方法によれば、3波長以上の発振波長を選択するレーザーを容易に構成することができる。図14に平行平板を用いて3波長を選択するレーザーを示す。
図14には、レーザー媒質を励起する励起光1401、出力部1402、レーザー媒質1403、光路分岐部であるプリズム1404、第1の分岐光路1410、第2の分岐光路1411、第三の分岐光路1412が含まれる。図14にはまた、それぞれの分岐光路の反射部として第1の反射部材1406、第2の反射部材1407、第三の反射部材1408、共通光路109が含まれる。
平行平板をオプティカルコンタクトにて接着して厚みの異なる部分を有する平行平板1
405を用意する。共通光路1409に、異なる厚みを有する平行平板1405を挿入する。このとき挿入する位置を変化させると、その位置に応じて平行平板の厚みが異なるので、平行平板中を通る光路の長さが変わり、光路ずれ量も変わる。これにより、3つの分岐光路に対応する共振器構造を形成し3波長発振のレーザー装置とすることが可能となる。ここでは、オプティカルコンタクトにより接着した平行平板の例を示したが、図6のように複数枚の平行に配置した平行平板により光路ずれ量を多段設けることにより、多数波長発振のレーザーとすることも可能である。
【0029】
(分岐用偏光子と共振光路選択部を用いる構成)
上記実施形態では光路分岐部にプリズムを用いた例を示したが、共振器サイズを短縮するためには、波長毎に対応する固定反射部の位置を少なくとも、波長毎のビーム形状分分離する手段が必要となる。一方、下記実施形態では、使用する光学部材を増やすことなく明確な光路分離が可能なより好ましい形態である。
図8は本発明の実施形態の一例を示す構成図である。
図中には、レーザー媒質を励起する励起光801、出力部802、レーザー媒質803、光路分岐部である分岐用偏光子804、共振光路選択部805としての偏光回転部材が含まれる。共振光路選択部としての偏光回転部材とは例えば、ポッケルスセルまたはファラデー回転子である。図中にはまた、第1の分岐光路810の反射部として第1の反射部材807、第2の分岐光路811の反射部として第2の反射部材808、共通光路809が含まれる。
第1の反射部材807、第2の反射部材808は、それぞれレーザー媒質803の発振帯域内の所望の波長を反射し、それぞれ第1の分岐光路810、第2の分岐光路811を光路とする共振器を構成する。反射部材に所望の波長が反射する誘電体反射膜を付与する。誘電体反射膜で反射する波長以外は共振器内での損失が大きいためレーザー発振できず、発振波長が固定される。そこで、反射部材807と反射部材808に付与する誘電体反射膜により反射する波長領域を異ならせることで、所望の2波長領域が反射するレーザー発振器となる。
発振レーザーの波長幅は、光路分岐部にプリズムを用いた図1のような実施形態とは異なり、反射部材に付与した誘電体反射膜の特性に依存する。ゆえに数nm以下の狭帯域の波長で発振させることは困難である。狭帯域発振を可能にする容易な方法として、反射部材を図8に示すような誘電体反射膜を付与した平板部材から図4に示すようなリトロ分散プリズムに変更する方法がある。リトロ分散プリズムの分散に合わせて所望の波長が反射して共振するようにそれぞれの分岐光路にそれぞれのプリズム反射部材を用いることで、狭帯域化を図ることが可能である。
分岐用偏光子804は、平板型偏光ビームスプリッター等を用いる。共通光路809から光束が入射する側を入射面とすると、入射面には、入射光の偏光に依存して透過および反射が選択される誘電体膜を、入射面への対向面となる反射面には、入射した光束が透過するような誘電体反射防止膜を備える。
【0030】
以下、共振光路選択部805にポッケルスセルを用いた場合を説明する。ただし、本実施形態では入射光と反射光の偏光状態を90°偏光する機構であれば特に制限はないため、ファラデー回転子を用いた場合も同様の構成となる。本形態では、共振光路選択部の制御は各パルス発振の間に行えばよい。
共通光路809と第1の分岐光路810を光路とするときは、出力部802と第1の反射部材807よりなる共振器により、第1の波長のレーザーを発振させる。一方、共通光路809と第2の分岐光路811を光路とするときは、出力部802と第2の反射部材808よりなる共振器により、第2の波長のレーザーを発振させる。ポッケルスセル805に高電圧を印加して、入射光の位相に対して透過光の位相を90°変えることにより、光路を選択し、レーザー発振する共振器を変えることができる。例えば、入射光の直線偏光がp偏光のときは、印加電圧をOFFとすることで透過光の偏光がp偏光に維持される。
結果として、分岐用偏光子804を透過して第1の波長のレーザー光を発振する。印加電圧をONとし、入射光の直線偏光を90°回転させて透過光をs偏光とすると、分岐用偏光子804で反射されて第2の分岐光路を用いた第2の波長のレーザー光が発振する。共振光路選択部にポッケルスセルを用いることにより、機械的可動部のない波長選択機構となる。
【0031】
本実施形態のレーザーは以下のように制御して利用する。以下励起光801により20Hzの繰り返し周波数で発振するパルスレーザーを例に説明する。
共通光路809における偏光方向は、励起方法やレーザー媒質等に依存する。例えば、Nd:YAGレーザーの第二高調波を励起光に用いたTi:saレーザーでは励起光の偏光方向がTi:saの偏光方向となる。また、Ti:saの場合は、励起光の吸収特性が偏光に依存するため、励起光を強く吸収するようにTi:sa結晶を配置して、所望の直線偏光とする。フラッシュランプ励起の場合は、レーザー媒質に一軸異方性がある場合は、吸収係数の大きな偏光方向で発振するため、レーザー媒質を所望の偏光で発振するように配置する。また、レーザー媒質803とポッケルスセル805の間に所望の直線偏光だけ透過するように偏光子を配置することも好ましい一形態である。
ポッケルスセルの印加電圧の切り替えは、第1のパルスと第2のパルスが発振される50ms以内で行う。また、印加電圧をかける時間を短くするために、電圧印加時間は発振に係わる時間だけ維持する。すなわち、レーザー励起の場合は、励起光801をレーザー媒質803に入射する前に電圧印加を開始し、共振してレーザー発振が終了後に印加電圧を止めれば良い。フラッシュランプ励起でQスイッチ(Q−sw)によりパルス発振するレーザーの場合は、Q−swにより共振器のQ値を高くし、パルス発振する前に共振光路選択部のポッケルスルの印加電圧をON状態とする。そして、共振が起こった後、レーザー発振が終了した後に印加電圧を止めれば良い。
共振光路選択部による偏光状態の電気的制御を、パルス毎に同期させて制御する事により、任意の波長を発振させることが可能である。
【0032】
(分岐用偏光子と共振光路選択部、遮蔽部材を用いる構成)
図9は本発明の実施形態の一例を示す構成図である。
図中には、レーザー媒質を励起する励起光901、出力部902、レーザー媒質903、光路分岐部である分岐用偏光子904、共振光路選択部およびQスイッチ(Q−sw)を兼用したポッケルスセル905が含まれる。図中にはまた、Q−swの構成部材である第1の偏光子906、第1の分岐光路910の反射部として第1の反射部材907、第2の分岐光路911の反射部として第2の反射部材908が含まれる。図中にはまた、第1の分岐光路910の遮蔽部である第1の遮蔽部材913、第2の分岐光路911の遮蔽部である第2の遮蔽部材914、共通光路909が含まれる。
図8で示した実施形態とは異なり、本実施形態は、ポッケルスセル905がジャイアントパルスを発振させるQスイッチ(Q−sw)であり、Q−swの駆動が共振光路選択部の役割を兼ね備えている。Q−sw機構には、ポッケルスセルの印加電圧によりλ/4偏光を変える方式とλ/2偏光を変える方式があるが、ここではλ/2偏光制御する方式のQ−swとする。また、Q−swは、第1の偏光子906とポッケルスセル905より構成される。第1の偏光子906の偏光方向は、分岐偏光子904を透過する偏光方向であり、ここではp偏光を透過させる。
反射部材907、反射部材908は、図8の実施形態と同様に狭帯域誘電体反射膜で発振波長を選択する場合と、プリズム反射部材を用いて発振波長を選択する場合とが可能である。
【0033】
本実施形態のレーザーは以下のように制御して利用する。以下、励起光20Hzの繰り返し周波数で発振するパルスレーザーを例に説明する。
第1のパルスにより、共通光路909と分岐光路910を光路とする共振器にて第1の
波長のレーザー発振をさせる場合、以下に示す工程1を実施する。
(工程1)第1の光路遮蔽部913を開け、第2の光路遮蔽部914を閉じる。励起光901のフラッシュランプがレーザー媒質903を照射する前にポッケルスセル905に電圧を印加する。レーザー媒質からの自然放出光の一部が第1の偏光子906を透過する。透過光の偏光方向はp偏光である。ポッケルスセルを透過した光束は、偏光方向が90°回転しs偏光の直線偏光となる。分岐偏光子904により光束は反射されるが、光束は第2の遮蔽部材914が閉じているため透過できない。この状態でレーザー媒質903の反転分布密度が高くなるまで維持し、照射出力が最大となるタイミングでポッケルスセルの印加電圧を切る。この際に、ポッケルスセル905を透過する光束はp偏光のままとなり、分岐偏光子904を透過して共通光路909と分岐光路910を光路とする共振器のQ値が高くなりレーザー発振する。すなわち、印加電圧がOFF状態とすることでレーザー発振する。
【0034】
第2のパルスで第1の波長を発振させる場合は、上記工程1を繰り返す。第2のパルスで第2の波長を発振させる場合は、以下の工程2を実施する。
(工程2)第1の光路遮蔽部913を閉じ、第2の光路遮蔽部914を開ける。第1のパルス発振後、ポッケルスセル905の電圧はOFF状態である。励起光901のフラッシュランプがレーザー媒質903を照射し、レーザー媒質からの自然放出光の一部が第1の偏光子906を透過する。透過光の偏光方向はp偏光である。ポッケルスセルを透過した光束は、偏光方向が維持され、分岐偏光子904を光束は透過する。しかしながら、光束は第1の遮蔽部材913が閉じているため透過できない。この状態でレーザー媒質903の反転分布密度が高くなるまで維持し、照射出力が最大となるタイミングでポッケルスセルに電圧を印加する。この際に、ポッケルスセル905を透過する光束はs偏光に変わり、分岐偏光子904を反射して共通光路909と分岐光路911を光路とする共振器のQ値が高くなりレーザー発振する。すなわち、印加電圧がON状態となることでレーザー発振し、レーザー発振が終了するまでON状態を維持する。反射部材908で反射した光束の直線偏光がs偏光状態を維持し、再度偏光子904で反射される。ポッケルスセルの電圧がON状態であるため、ポッケルスセル透過後はp偏光となり、第1の偏光子を透過することができるため、高Q値を有する共振器が形成される。
【0035】
第2のパルスで第2の波長を発振させる場合は、上記工程2を繰り返す。第3のパルスで第1の波長を発振させる場合は、再度工程1を実施する。
ポッケルスセル905を駆動するドライバーには、電圧OFFの際に発振する工程1と、電圧ON時の際に発振する工程2では異なるドライバーを用いる。特に工程2では、電圧ON状態は印加電圧の立ち上がりを急峻にし、かつレーザー媒質に蓄積された反転分布エネルギーがレーザー光出力に変換され、レーザー発振が終了するまでON状態を維持する必要がある。波長の選択に基づき利用するドライバーを変更するように電気回路にて選択する。
【0036】
上記の各構成に記載したように、本発明によるレーザー発振器をPAT装置に搭載することにより、波長ずれや光路ずれを長期間において考慮する必要の少ない、2波長以上の安定発振するレーザー光を選択的に生体に照射することが可能となる。特に、血液中に存在するヘモグロビンの酸化状態を判別することにより、血液由来の生体内の機能情報を抽出する事ができる。酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸収係数が800nm付近で交差するため、800nm前後の波長領域を用いたPAT装置から血液状態を判別する事ができる。
【0037】
本発明のレーザー装置を用いることで、レーザーパルス毎に必要なだけ所望の波長を照射することが可能となり、以下のような特徴を有するPAT装置となる。
超音波素子とレーザー照射部が一体化したPATプローブを、固定した生体部位上で走
査する固定型PAT装置が考案されている。パルス毎に発振波長を切り替えることで、PATプローブの走査速度を速めた場合にも、ほぼ同位置から、異なる波長の照射光に基づく光音響波を取得することが可能となり、迅速な診断が可能となる。また、ほぼ同時間、同部位から、異なる波長の照射光に基づく光音響波を取得することが可能となるため、呼吸などによる測定位置ずれなどの影響を軽減できる。すなわち、2波長の照射光による受信信号を高精度に比較する事が可能となる。
【0038】
従来の超音波診断装置に光音響波取得機能を付与したハンドヘルド型PAT装置も考案されている。ハンドヘルド装置の場合、使用する医療従事者が任意の場所、任意のタイミングでPATプローブを走査する。上記固定型PAT装置と同様にハンドヘルド型PAT装置でも、パルス毎に発振波長が変化することにより、利用時の発振波長を考慮する事なく装置を扱うことが可能となり非常に有用である。
波長選択に伴う発振安定性の高い本発明のレーザー装置を搭載するPAT装置では、繰り返し周波数が高まった場合においても、不安定化に対する考慮が不要であり、パルス毎に安定した発振が可能となる。
数パルスまたは数十パルス毎に波長を切り替えるような場合にも、発振安定性に問題がないため多くの使い方が可能となる。特に、図8のような偏光を用いた形態では、電気的な信号だけで波長切り替えが可能であり、予め発振波長をプログラムしたような使い方にも簡便に対応できるため、PAT装置での利用に際して広い応用性を有する。
【0039】
上記構成において、光路分岐部は本発明の分岐手段に相当する。共振光路選択部は本発明の選択手段に相当する。反射部は本発明の反射手段に相当する。光路遮蔽部は本発明の遮蔽部材に相当する。誘電体反射防止膜は本発明の反射防止膜に相当する。誘電体反射膜は本発明の反射膜に相当する。
【0040】
<実施例1>
以下に医療用光音響トモグラフィー装置(医療用PAT装置)に用いるレーザー装置の一実施例を示す。
図10は、本医療用PAT装置に組み込まれたレーザー装置の概略図を示す。本レーザー装置は、Nd:YAGレーザーの第二高調波を励起源とするチタンサファイアレーザーであり、波長850nmと700nmのレーザー発振が可能である。励起光が繰り返し周波数10Hzで駆動する。出力は100mJ/pulseである。チタンサファイアレーザーの構成は以下の通りである。励起部分は、Nd:YAGレーザーの第二高調波を発生する励起光源1001、励起光用ビームスプリッター1002、励起光用反射部材1003である。チタンサファイアの共振器部は、出力鏡1004、レーザー媒質であるチタンサファイア結晶1005、光路分岐部である分岐プリズム1006、共振光路選択部である光路遮蔽部1008、反射部材である反射プリズム1007により構成される。光路分岐部(分岐プリズム1006)は2つのプリズムにより形成される。共振光路選択部(光路遮蔽部1008)は、分岐された分岐光路上に設置される。反射部材(反射プリズム1007)は、波長850nm、700nmそれぞれの波長の光束を反射し、共振可能とする2つの反射面を有する反射プリズムである。
各光路は、700nmのレーザー光の共振光路となる第1の分岐光路1010、波長850nmのレーザー光の共振光路となる第2の分岐光路1011、共通光路1009である。共通光路1009を300mm以下とし、反射プリズム1007と、分岐プリズム1006のうち反射プリズム1007に近い方との間隔はおよそ112mmとした。共振器のサイズは特に限定するものではないが、本実施例では2つの分岐光路を分けることができ、かつ共振器サイズが大型化しないサイズとして例示している。
【0041】
励起光は、チタンサファイア結晶の入射面に対してp偏光を有する。チタンサファイアレーザーの発振もp偏光を維持している。分岐プリズム1006は石英からなる頂角69
.07°とするブリュースター分散プリズムであり、波長800nmの入射面が入射光に対してブリュースター角となるように配置されている。2つのプリズムを用いることにより発振波長700nmと850nmにおける光路の角度にある程度の違いを付けている。反射プリズム1007は分岐プリズムの頂角に対して1/2の角度の頂角を有するリトロ分散プリズムであり、入射面が入射光に対してブリュースター角付近となるように設置する。反射面は図10に示すように第1の分岐光路1010、第2の分岐光路1011に応じて異なる面を有し、波長850nmと700nmが反射し共振器を形成するようにする。反射面にはそれぞれの波長に対する誘電体反射膜を付与している。
光路遮手段1008は、それぞれの分岐光路を交互に、独立に遮蔽できるシャッターである。
【0042】
上記レーザー装置を用いて、第一パルスを700nm、第二パルスを850nmとし、パルス毎に交互に波長を変えながらレーザー発振を行った。第一パルス発振前に、第2の分岐光路1011を遮蔽した。励起源1001より発振した波長532nmの励起光によりチタンサファイアを励起し、第1の分岐光路1010を通る光路で共振し、出力鏡1004より波長700nmのレーザー光を射出した。第1のパルス後、光路遮蔽部1008のシャッターを切り替えて第1の分岐光路1010を遮蔽した。その後、第2のパルスのための励起光が励起源1001より照射されて、第2の分岐光路1011を通る光路で共振し、出力鏡1004より波長850nmのレーザー光を射出した。
このとき、出力光の波長およびエネルギーをパルス毎に測定した。波長は、700nmと850nmが交互に射出されて、パルス毎のエネルギー安定性は、励起光の第二高調波の安定性とほぼ同等であり、非常に安定した発振が得られた。
【0043】
本レーザーは、波長変換に係わる機構において、特に発振する共振器の光路に機械的な可動機構を持たないため、長期安定性に優れておりアライメントずれ等が生じる可能性が非常に低い。また、エネルギー損傷閾値の高い光学部品で形成されており、さらに共振器内部での各光学部品での光エネルギー損失も低い。ゆえに、出力エネルギー100mJ/pulseという高い照射エネルギーが得られた。
本レーザー装置を超音波素子とレーザー照射部が一体化したPATプローブを固定した生体部位上で走査する固定型PAT装置に組み込んだ。生体模倣サンプルの比較的広い測定範囲を、繰り返し周波数は20Hzで走査した。パルス毎に700nmと850nmを切り替えて測定し、各波長特有の機能情報を取得した。その結果、本発明のレーザー装置を用いることにより、位置ずれや測定時間ずれによる取得信号への影響が少なく高精度の機能情報を得ることができた。
【0044】
<実施例2>
以下に医療用光音響トモグラフィー装置(医療用PAT装置)に用いるレーザー装置の一実施例を示す。
図11は、本医療用PAT装置に組み込まれたレーザー装置の概略図を示す。本レーザー装置は、Nd:YAGレーザーの第二高調波を励起源とするチタンサファイアレーザーであり、波長800nmと755nmのレーザー発振が可能である。励起光が繰り返し周波数20Hzで駆動する。出力は120mJ/pulseである。チタンサファイアレーザーの構成は以下の通りである。励起部分は、Nd:YAGレーザーの第二高調波を発生する励起光源1101、励起光用ビームスプリッター1102、励起光用反射部材1103である。チタンサファイアの共振器部は、出力鏡1104、レーザー媒質であるチタンサファイア結晶1105、光路分岐部である分岐プリズム1106、光路分岐部である平行平板1107である。反射部材は、波長800nmの光束を反射する第1の反射板1108、波長755nmの光束を反射する第2の反射板1109で構成される。各光路は、800nmのレーザー光の共振光路となる第1の分岐光路1110、波長755nmのレーザー光の共振光路となる第2の分岐光路1111、共通光路1113、平行平板により
生じる平行ずれ光路1112である。
【0045】
励起光は、チタンサファイア結晶の入射面に対してp偏光を有する。チタンサファイアレーザーの発振もp偏光を維持している。平行平板1107の入射面が入射光に対してブリュースター角となるように配置され、反射によるエネルギー損失を最小化している。第1の反射部材1108および第2の反射部材1109の反射面には、各波長755nmと800nmの光束が反射するように誘電体反射防止膜を備えている。二つの反射面の反射角度差は0.1°程度となる。
平行平板1107は、厚さ20mmの石英を用いた。平行平板の形状は、入射反射面となる部分が円形状に一部欠けている。平行平板は、入射反射面に垂直な回転軸を有し、回転軸は共通光路1113から外れた位置である。このようにして平行平板が回転駆動することにより、光路に平行平板1107が挿入される場合、挿入されない場合を安定的に作り出すことが可能である。波長800nmで発振する時に共通光路1113内に挿入され、平行ずれ光路1112を形成する。波長755nmで発振する際には共通光路1113内に挿入されない。
分岐プリズム1106は、入射面が、波長800nmの入射光に対してブリュースター角となるように配置されるブリュースター分散プリズムを用いた。頂角は69.07°である。
【0046】
上記レーザー装置を用いて、第一パルスを800nm、第二パルスを755nmとし、パルス毎に交互に波長を変えながらレーザー発振を行った。第一パルス発振前に、平行平板1107を共通光路1113に挿入した。励起源1101より発振した波長532nmの励起光によりチタンサファイアを励起し、第1の分岐光路1110を通る光路で共振し、出力鏡1104より波長800nmのレーザー光を射出した。第1のパルス後、平行平板1107を共通光路1113より外した。その後、第2のパルスのための励起光が励起源1101より照射されて、第2の分岐光路1111を通る光路で共振し、出力鏡1104より波長755nmのレーザー光を射出した。
このとき、出力光の波長およびエネルギーをパルス毎に測定した。波長は、800nmと755nmが交互に射出されて、パルス毎のエネルギー安定性は、励起光の第二高調波の安定性とほぼ同等であり、非常に安定した発振が得られた。
【0047】
本レーザーは、波長変換に係わる機構において、共振を妨げるような光路ずれをもたらす駆動部品を持たない。平行平板は移動するものの、安定的な回転駆動である。波長は光路の角度ずれが生じないため常に一定方向を有するため、波長再現性は非常に高い。結果として長期安定性に優れておりアライメントずれ等によるエネルギー低下などの問題が生じる可能性が非常に低い。また、エネルギー損傷閾値の高い光学部品で形成されており、さらに共振器内部での各光学部品での光エネルギー損失も低い。ゆえに、出力エネルギー120mJ/pulseの高い照射エネルギーが得られた。
本レーザー装置を超音波素子とレーザー照射部が一体化したPATプローブを固定した生体部位上で走査する固定型PAT装置に組み込んだ。測定サンプルに酸化型ヘモグロビンおよび還元型ヘモグロビンを模倣した血管を有する生体模倣サンプルを用いた。繰り返し周波数は20Hzで走査した。パルス毎に700nmと850nmを切り替えて測定し、各波長特有の機能情報を取得した。本発明のレーザー装置を用いた場合、位置ずれや測定時間ずれによる取得信号への影響が少なく高精度の機能情報を得ることができた。
【0048】
<実施例3>
以下に医療用光音響トモグラフィー装置(医療用PAT装置)に用いるレーザー装置の一実施例を示す。
図12は、本医療用PAT装置に組み込まれたレーザー装置の概略図を示す。本レーザー装置は、フラッシュランプ1214を励起源とするアレクサンドライトレーザーであり
、波長800nmと755nmのレーザー発振が可能である。励起光が繰り返し周波数20Hzで駆動する。出力は200mJ/pulseである。アレクサンドライトレーザーの構成は以下の通りである。フラッシュランプ1214を励起光としアレクサンドライト結晶1203とともにチャンバー1201内に設置されている。ジャイアントパルス発振のためにポッケルスセル1212およびλ/4波長板1213により構成されるQ−swが共通光路1209上に設置されている。共振光路選択部はポッケルスセル1205で構成される。また、出力鏡1202、光路分岐部である偏光子1204、波長755nmの共振器を形成する第1の分岐光路1210の反射部として第1の反射プリズム1207、第2の分岐光路1211の反射部として第2の反射プリズム1208が含まれる。
【0049】
アレクサンドライトレーザーがフラッシュランプ励起されて、Q−sw駆動により大出力パルスが発振する。発振される光束の偏光方向は紙面面内でありp偏光である。
偏光子1204は、p偏光を透過しs偏光を反射する。反射プリズム1207は入射光に対してブリュースター角となるように配置する。反射面には波長800nmを反射する誘電体反射膜を備えている。反射プリズム1208は入射面に波長755nmにおける誘電体反射防止膜、反射面に波長755nmを反射する誘電体反射膜を備えている。共振光路選択用のポッケルスセル1205には、入射光の偏光をλ/2回転させる電圧を印加することで、共振光路を選択する。
【0050】
上記レーザー装置を用いて、第一パルスを800nm、第二パルスを755nmとし、パルス毎に交互に波長を変えながらレーザー発振を行った。第一パルス発振前に、共振光路選択用のポッケルスセル1205への電圧をOFFとする。フラッシュランプ1214を照射後、アレクサンドライト結晶における反転分布密度が十分に高くなるタイミングでQ−swを駆動する。この際、共振器内部の光束の偏光方向はp偏光であり、ポッケルスセル1205を透過した偏光はp偏光を維持し、偏光子1204を透過して第1の分岐光路を通り共振し出力鏡1202より波長800nmのレーザー光が発振した。
レーザー発振後、次のパルス発振のためのフラッシュランプ照射前にポッケルスセル1205に電圧を印加し、電圧ON状態を第2のレーザーパルス発振が終了するまで維持した。ポッケルスセルを透過する光束の偏光は90°回転し、s偏光となり偏光子1204により反射し第2の分岐光路を通り共振し出力鏡1202より波長755nmのレーザー光が発振した。
このとき、出力光の波長およびエネルギーをパルス毎に測定した。波長800nmと755nmが交互に射出されて、パルス毎のエネルギー安定性は、共振器分岐のない固定波長を発振するアレクサンドライトレーザーの安定性とほぼ同等であり、非常に安定した発振が得られた。
【0051】
本レーザーは、波長変換に係わる機構において、機械的な駆動部品のない構造である。ゆえに、波長再現性および発振エネルギー出力の安定性は非常に高い。結果として長期安定性に優れておりアライメントずれ等によるエネルギー低下などの問題が生じる可能性が非常に低い。また、エネルギー損傷閾値の高い光学部品で形成されており、偏光子1204において、1%以下のエネルギー損失があるが、各光学部品での光エネルギー損失が比較的低い。ゆえに、出力エネルギー200mJ/pulseの高い照射エネルギーが得られた。
本レーザー装置を超音波素子とレーザー照射部が一体化したPATプローブを固定した生体部位上で走査する固定型PAT装置に組み込んだ。測定サンプルに酸化型ヘモグロビンおよび還元型ヘモグロビンを模倣した血管を生体表面から30mmの深さに配置した生体模倣サンプルを用いた。繰り返し周波数は20Hzで走査した。パルス毎に700nmと850nmを切り替えて測定し、各波長特有の機能情報を取得した。本発明のレーザー装置を用いた場合、位置ずれや測定時間ずれによる取得信号への影響が少なく高精度の機能情報を得ることができた。
【0052】
<実施例4>
以下に医療用光音響トモグラフィー装置(医療用PAT装置)に用いるレーザー装置の一実施例を示す。
図13は、本医療用PAT装置に組み込まれたレーザー装置の概略図を示す。本レーザー装置は、フラッシュランプ1315を励起源とするアレクサンドライトレーザーであり、波長800nmと755nmのレーザー発振が可能である。励起光が繰り返し周波数20Hzで駆動する。出力は200mJ/pulseである。アレクサンドライトレーザーの構成は以下の通りである。フラッシュランプ1315を励起光としアレクサンドライト結晶1303とともにチャンバー1301内に設置されている。また、出力鏡1302、光路分岐部である偏光子1304、共振光路選択部、およびQ−swを兼用するポッケルスセル1305、Q−swの構成部品としての偏光子1306が含まれる。また、波長800nmの共振器を形成する第1の分岐光路1310の反射部材1307、波長755nmの共振器を形成する第2の分岐光路1311の反射部材1308、共通光路1309が含まれる。また、第1の分岐光路1310上に設置した第1の遮光部材1313、第2の分岐光路1311上に設置した第1の遮光部材1314が含まれる。
偏光子1306は、p偏光を透過する。ここでは、紙面面内がp偏光の偏光方向であり、紙面垂直がs偏光の偏光方向である。
ポッケルスセル1305に印加する電圧は、入射光の偏光を90°回転させる電圧とする。反射部材1307の反射面には波長800nmを反射する狭帯域誘電体反射膜を備えており、反射部材1308の反射面には波長755nmを反射する狭帯域誘電体反射膜を備えている。
【0053】
上記レーザー装置を用いて、第一パルスを800nm、第二パルスを755nmとし、各波長をパルス毎に交互に変えながらレーザー発振を行った。第一パルス発振前に、第1の遮蔽部材1313を開き、第2の遮蔽部材1314を閉じた。さらに、フラッシュランプ1315を照射する前にポッケルスセル1305に電圧を印加し、次いでフラッシュランプ1315を照射する。フラッシュランプ照射時はポッケルスセルにp偏光で入射した光束の偏光が回転して偏光となり、偏光子1304(偏光ビームスプリッター)で反射される。しかしながら、第2の遮蔽部材により光束が遮蔽される。ゆえに光束は共振できずアレクサンドライト結晶の反転分布密度が高くなる。このタイミングでポッケルス1305セルの印加電圧をOFFとすると、ポッケルスセルを透過する光束の偏光状態はp偏光のまま維持される。そのため、偏光ビームスプリッター1304を透過した光束は第1の分岐光路1310を通り出力鏡1302と反射部材1307からなるQ値の高い共振器で共振されて波長800nmのレーザー光が発振する。
第一パルス発振後、第二パルスのためのフラッシュランプ1315を照射する前に、第1の遮蔽部材1313を閉じ、第2の遮蔽部材1314を開いた。さらに、フラッシュランプ1315を照射する前にポッケルスセル1305には電圧印加しない状態を維持し、次いでフラッシュランプ1315を照射する。フラッシュランプ照射時はポッケルスセル透過後もp偏光を維持し、偏光ビームスプリッター1304を透過する。しかしながら、第2の遮蔽部材により光束が遮蔽される。ゆえに光束は共振できずアレクサンドライト結晶の反転分布密度が高くなる。このタイミングでポッケルス1305セルの印加電圧をONとすると、ポッケルスセル1305により光束の偏光状態が回転しs偏光となる。偏光ビームスプリッター1304で反射した光束は第2の分岐光路1311を通り出力鏡1302と反射部材1308からなるQ値の高い共振器で共振されて波長755nmのレーザー光が発振する。
本構成により、Q−swと共振光路選択部を兼用したポッケルスセルを用いて2波長発振可能なパルス発振するレーザー装置となる。
このとき、出力光の波長およびエネルギーをパルス毎に測定した。波長800nmと755nmが交互に射出されて、パルス毎のエネルギー安定性は、共振器分岐のない固定波
長を発振するアレクサンドライトレーザーの安定性とほぼ同等であり、非常に安定した発振が得られた。
【0054】
本レーザーは、波長変換に係わる機構において、機械的な駆動部品のない構造である。ゆえに、波長再現性および発振エネルギー出力の安定性は非常に高い。結果として長期安定性に優れておりアライメントずれ等によるエネルギー低下などの問題が生じる可能性が非常に低い。また、エネルギー損傷閾値の高い光学部品で形成されており、偏光子1204において、1%以下のエネルギー損失があるが、各光学部品での光エネルギー損失が比較的低い。ゆえに、出力エネルギー200mJ/pulseの高い照射エネルギーが得られた。さらに、共振光路選択部に特別な部品を追加する必要がないため、共振器長をコンパクトになるとともに、低コスト化となる利点も有する。
本レーザー装置を超音波素子とレーザー照射部が一体化したPATプローブを固定した生体部位上で走査する固定型PAT装置に組み込んだ。測定サンプルに酸化型ヘモグロビンおよび還元型ヘモグロビンを模倣した血管を生体表面から30mmの深さに配置した生体模倣サンプルを用いた。繰り返し周波数は20Hzで走査した。パルス毎に700nmと850nmを切り替えて測定し、各波長特有の機能情報を取得した。本発明のレーザー装置を用いた場合、位置ずれや測定時間ずれによる取得信号への影響が少なく高精度の機能情報を得ることができた。
【符号の説明】
【0055】
102:出力部、103:レーザー媒質、104:プリズム、107:第1の反射部材、108:第2の反射部材、109:共通光路、110:第1の分岐光路、111:第2の分岐光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力する光の波長を複数の波長から選択するレーザー装置であって、
固定された複数の反射面を有する反射手段および出力鏡を含む共振器内に形成される光路を複数の光路に分岐させる、偏光子からなる分岐手段であって、前記出力鏡を端部として前記複数の光路に共通する共通光路と、前記反射手段のいずれかの反射面を端部として前記複数の光路ごとに異なる複数の分岐光路と、を形成する分岐手段と、
前記共通光路に配置されたレーザー媒質と、
前記複数の分岐光路から、出力する波長に対応する分岐光路を選択する選択手段と、
を有することを特徴とするレーザー装置。
【請求項2】
前記反射手段は、前記複数の反射面ごとに、当該反射面に対応する波長の光を反射させる反射膜を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項3】
前記反射手段は、前記複数の分岐光路ごとに配置された、当該分岐光路に対応する波長の光を反射させるプリズムである
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記共通光路上に配置された偏光回転部材であり、当該偏光回転部材を透過する光の偏光方向を変えることにより前記分岐光路を選択する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレーザー装置。
【請求項5】
前記偏光回転部材は、ポッケルスセルである
ことを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
【請求項6】
前記偏光回転部材は、ファラデー回転子である
ことを特徴とする請求項4に記載のレーザー装置。
【請求項7】
前記複数の分岐光路を独立に遮蔽する遮蔽部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項8】
前記選択手段は、前記共振器においてパルス発振のためのQスイッチを兼ねるポッケルスセルであり、印加される電圧に応じて当該ポッケルスセルを透過する光の偏光方向を変えることにより前記分岐光路を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項9】
出力する光の波長を複数の波長から選択するレーザー装置の制御方法であって、
前記レーザー装置は、
固定された複数の反射面を有する反射手段および出力鏡を含む共振器内に形成される光路を複数の光路に分岐させる分岐手段であって、前記出力鏡を端部として前記複数の光路に共通する共通光路と、前記反射手段のいずれかの反射面を端部として前記複数の光路ごとに異なる複数の分岐光路と、を形成する分岐手段と、
前記共通光路に配置されたレーザー媒質と、
前記分岐光路に偏光子を有しており、
前記複数の分岐光路から、出力する波長に対応する分岐光路を選択する選択ステップを有することを特徴とするレーザー装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−89680(P2013−89680A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226959(P2011−226959)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】