説明

ロータリー作業機

【課題】耕耘ムラを解消して平坦な耕耘地を形成するロータリー作業機を提供する。
【解決手段】エンジンを有するトラクタ21の後部に連結し、エンジンによってロータリー爪45を回転させるロータリー作業機45において、ロータリー爪45を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバー46を備え、トラクタ21の後輪24が形成する轍Tに向けて耕耘土を案内するための土寄せカバー58を、ロータリーカバー46の前部に回動可能に備え、不使用時には、土寄せカバー58を回動させてロータリーカバー46上に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土を耕耘する複数の耕耘爪と、耕耘爪を外周に突出して設けた爪軸と、耕耘した土の飛散を抑制してするための耕耘カバーとを備え、自走式作業機の後部に連結して使用するロータリー作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場で、トラクタがロータリー作業機を牽引して耕耘作業をする際の課題の一つとして耕耘ムラがあった。たとえば、耕耘作業中に、同一圃場内において生じる土質(硬さ、含水率など)の不均一によって耕耘爪への負荷が増加した場合には、ロータリー作業機を適宜上昇させて耕深を浅くし、耕耘爪への負荷の増加(すなわち、エンジンへの負荷の増加)を回避してきた。しかし、このような対処方法では、耕耘深さが不均一になり耕耘ムラが生じてしまうという問題があった。
【0003】
これに対して、特許文献1には、土質に応じてロータリー作業機の耕耘カバーを前後に回動させる負荷制御機構を設け、エンジンへの負荷の一定化と耕耘深さの一定化という2つの課題を同時に解決する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−228508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような技術は、圃場の土質の不均一性に焦点を当てた対策であり、トラクタの轍によって形成された地面の凹凸を平坦化するには至っていない。耕耘作業をする際に圃場をトラクタが走行することによって形成される轍は、それ以外の部分に比べて地面が大きく窪んでいるため、耕耘作業によって平坦な耕作地とならず、耕耘ムラができてしまうという問題がある。この点に対して、特許文献1は解決策を提示していない。そこで、この発明の目的は、耕耘ムラを解消して平坦な耕作地を形成するロータリー作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、
前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、
前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を、前記ロータリーカバーの前部に回動可能に備え、
不使用時には、前記案内部を上方に回動させて前記ロータリーカバー上に固定することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、
前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、
該ロータリーカバーの前部に、前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を備え、
該案内部が前記ロータリーカバーに対して着脱自在であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のロータリー作業機において、前記案内部が、前記耕耘土を案内するガイド部と、該ガイド部を保持する本体部とを備え、
前記ガイド部を回動させることで、該ガイド部の中心線が前記轍の中心線とのなす角を変更可能に、前記本体部が前記ガイド部を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を、前記ロータリーカバーの前部に回動可能に備え、不使用時には、前記案内部を上方に回動させて前記ロータリーカバー上に固定する。
【0010】
したがって、案内部が耕耘土を作業車両が形成した轍に効率よく導くことができ、轍に土を供給した後、耕耘作業をすることを可能とする。これによって、従来より問題となってきた耕耘ムラを解消して平坦な耕作地を形成するロータリー作業機を提供することができる。また、案内部を使用しないときは、上方に向けて回動させることができるので、案内部の使用・不使用を選択することができる。また、案内部をロータリーカバーに回動可能に備えているので、案内部を使用しないときであっても、案内部を取り外すことがない。このため、案内部を倉庫などに保管する必要がなく、案内部をなくしたり、誤って破損したりすることを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、該ロータリーカバーの前部に、前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を備え、該案内部が前記ロータリーカバーに対して着脱自在である。
【0012】
したがって、案内部が耕耘土を作業車両が形成した轍に効率よく導くことができ、轍に土を供給した後、耕耘作業をすることを可能とする。これによって、従来より問題となってきた耕耘ムラを解消して平坦な耕作地を形成するロータリー作業機を提供することができる。また、案内部を使用しないときは、取り外すことができるので、案内部の使用・不使用を選択することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記案内部が、前記耕耘土を案内するガイド部と、該ガイド部を保持する本体部とを備え、前記ガイド部を回動させることで、該ガイド部の中心線が前記轍の中心線とのなす角を変更可能に、前記本体部が前記ガイド部を保持するので、作業車両によって轍の幅の広さが異なる場合であっても、ガイド部を回動させて適切に耕耘土を轍に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一例のロータリー作業機の概略側面図である。
【図2】(a)はその主要部の平面図、(b)は土寄せカバーの側面図、(c)は土寄せカバーの背面図である。
【図3】土寄せカバーの係止部の、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】土寄せカバーを用いてロータリー作業機が耕耘する様子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図5】(a)はこの発明の別の例の土寄せカバーを示す平面図、(b)はその土寄せカバーを取り付けたロータリーカバー付近の平面図である。
【図6】(a)はこの発明のさらに別の例のロータリーカバー付近の平面図、(b)はそのロータリーカバーに土寄せカバーを取り付けたときの平面図である。
【図7】この発明のさらに別の例の土寄せカバーの、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図8】この発明のさらに別の例の土寄せカバーの、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1には、この発明の一例のロータリー作業機50の概略側面図を示す。ロータリー作業機50は、エンジン(動力源)を有するトラクタ21(作業車両)の後部に連結される。トラクタ21は一対の前輪と一対の後輪とを備え、後輪の直径が前輪のそれよりも大きく形成されている。ロータリー作業機50は、トラクタ21のエンジンから駆動力をPTO軸41で伝達して作業をするものである。ロータリー作業機50は、PTO軸41から動力を伝達する動力伝達機構として、不図示のギアボックス、ギアボックスの両側から車幅方向にそれぞれ延出したメインビーム43、メインビーム43の左端に備えるチェーンケース44、チェーンケース44内のチェーンの回転に同期して回転する爪軸45a、爪軸45aの周りに突設された複数のロータリー爪(耕耘爪)45などを備える。また、ギアボックスに外側に固設されたV字状のアッパーアーム54、ギアボックスの両側方に配置され、かつ、メインビーム43に回動自在に取り付けられたデプスビーム56、複数のロータリー爪45を上方より覆うことで耕耘した土の飛散を防止するロータリーカバー46などを備える。
【0016】
ロータリーカバー46には、ロータリー爪45によって巻き上げられた耕耘土の飛散を防止するとともにその一部を前方に案内するためのものである。ロータリーカバー46には、これを前後に回動させるためのハンドル49が取り付けられている。ロータリーカバー46は、ハンドル49を回転させることで爪軸45aを中心にして進行方向に対して前後に回動可能に構成されている。ロータリーカバー46の回動は耕耘深さ(耕深)に合わせて調整される。また、ロータリーカバー46の後端には、リヤカバー47が回動部48を介して回動自在に連結されている。
【0017】
リヤカバー47の下部には、ハンガーロッド51の下端がピンによって回動自在に取り付けられている。一方、ロータリーカバー46の後部上には左右両側にロッドステー52が後斜め上方に向けて設けられ、そのロッドステー52の上端部にハンガーロッド51の上部が回動軸53の周りに回動自在に、かつハンガーロッド51の長さ方向に摺動自在に支持されている。また、ハンガーロッド51の外周には不図示のコイルバネが巻きつけられ、リヤカバー47を下方(本図において時計回り)に付勢している。
【0018】
アッパーアーム54の一端には前述のトラクタ21のトップリンク39が取り付けられるとともに、アッパーアーム54の別の一端には、アジャストスクリュー55が取り付けられている。このアジャストスクリュー55は、デプスビーム56の上下傾斜角を調整ハンドル57を操作することによって調整できるようになっている。なお、ロータリーカバー46の後部にはサイドカバーを取り付けたり、リヤカバー47の下部にはサイドアンダーカバーを取り付けたりしてもよい。
【0019】
ロータリー作業機50のギアボックスには、ユニバーサルジョイント42を介してトラクタ21のPTO軸41を連結し、トラクタ21の駆動力をロータリー作業機50に伝達する。このギアボックス内にて、PTO軸41の駆動力は、メインビーム43内のシャフトに伝達される。シャフトの端部はチェーンケース44内に配置され、そのシャフトの端部にはギアが固設されている。チェーンケース44内には、爪軸45aの端部に固設された別のギアも備える。そして、2つのギアに無端チェーンを掛け回すことで、メインビーム43内のシャフトから爪軸45aへと駆動力が伝達されるようになっている。
【0020】
なお、ロータリーカバー46は、ロータリー爪45を上方から覆うとともに前後方向に略弧状に形成された天部46Uと、ロータリー爪45を両側から覆い隠すように配置された一対の側部46Sとで構成され、天部46Uの両側端にそれぞれ側部46Sが一体に形成されている。そして、ロータリーカバー46の天部46Uの前端には、一対の土寄せカバー(案内部)58を備える。
【0021】
土寄せカバー58は、ロータリーカバー46によって前方に案内された耕耘土の一部をトラクタ21の左右の轍T,Tへと誘導するためのものである(図4(a),(b)参照)。轍T,Tはトラクタ21の後輪(車輪)24,24によって形成されたものである。土寄せカバー58は、図2(a)〜(c)に示すように、ロータリーカバー46の幅方向の中心線CLから左右両側に等距離に隔たった位置にそれぞれ配置される。左右の土寄せカバー58は、トラクタ21のそれぞれの後輪の轍Tの中心線MLに向けて耕作土を誘導するためのものである。土寄せカバー58は、本体部58Bと一対のガイド部58W,58Wとで構成される。本体部58Bは、略矩形の鉄板で形成される。また、ガイド部58Wは台形状の鉄板で形成される。そして、ガイド部58Wを本端部58Bに立てた状態で溶接などによって取り付ける。一対のガイド部58W,58W平面視でハの字となるように取り付けられる。
【0022】
本体部58Bの一端にはヒンジHの一方を溶接などで固定する。ヒンジHの他方はロータリーカバー46の天部46Uの前端に溶接などで固定する。このようにして、土寄せカバー58をロータリーカバー46に対して回動可能に取り付ける。土寄せカバー58は、使用時には下方に回動させて図2(b)の実線で示す状態とし、不使用時には、上方に回動させて図2(b)の破線で示す状態とする。なお、この例では、左右の土寄せカバー58,58は同一の形状であるがこれに限定されるものではない。
【0023】
図3(a),(b)に示すように、ロータリーカバー46の天部46Uには、一対の係止部60を回動自在に取り付ける。係止部60は、左右それぞれの土寄せカバー58を不使用時にロータリーカバー46の天部46U上に掛け止めて固定するためのものである。係止部60は、フック60Aと支持軸60Bとで構成される。フック60Aは金属板で形成され、その一端に支持軸60Bの先端を貫通させて固定する。支持軸60Bは回動自在に天部46Uに取り付ける。
【0024】
フック60Aは図3(a)にて矢印で示すように左右に回動することができる。したがって、土寄せカバー58の不使用時には、フック60Aを回動させて本体部58Bの直上方に配置してロック状態とし、本体部58Bが上方に回動することを規制する。また、土寄せカバー58の使用時には、フック60Aを回動させて本体部58Bの直上方からはずして非ロック状態とし、土寄せカバー58をヒンジHを支点として前方に回動させる。
【0025】
次に、このように構成されたロータリー作業機50で圃場を耕耘する動作について図4(a),(b)を用いて説明する。トラクタ21の回転動力は、PTO軸41よりロータリー作業機50側に伝達される。そして、ロータリー爪45が図4(a)にて反時計方向に回転する。
【0026】
所定の耕深を設定されてロータリー作業機50が接地されると、ロータリー爪45が地面を耕耘する。耕耘された土(耕耘土)の大部分はロータリーカバー46の後方に巻き上げられて、リヤカバー47の裏面側に当接することで飛散することを規制される。一方、耕耘土Pの一部はロータリー爪45の回転方向に向けて巻き上げられ、ロータリーカバー46の前方に搬送される。この前方に搬送された耕耘土Pのさらに一部は、土寄せカバー58によって導かれて、轍Tの中心線ML方向へと誘導される。そして、ロータリーカバー46からR方向に排出されて轍T上に落下する。轍T上に落下した土Pは、轍Tの窪みを満たして轍Tを平坦にする。これによって、ロータリー爪45が耕耘する直前の地面Gには轍Tがなくなり、均一な耕耘作業を行うことができる。これによって、凹凸のない平坦な耕作地が形成される。
【0027】
ところで、土寄せカバー58は、図5(a)に示すように形成してもよい。土寄せカバー158は、本体部158Bと一対のガイド部158W,158Wとで構成される。本体部158Bは、略矩形の鉄板で形成される。本体部158Bの後端部の左右に一対の貫通孔158H,158Hを設ける。この貫通孔158Hは、本端部158Bの後端158BEから距離Dの範囲に設けられる。また、2つの貫通孔158Hの間の中心距離はLである。ガイド部158Wは台形状の鉄板で形成される。そして、ガイド部158Wを本端部158Bに立てた状態で溶接などによって取り付ける。一対のガイド部158W,158W平面視でハの字となるように取り付けられる。このとき、ガイド部158Wの後端は本体部158Bの後端158BEから距離Dの範囲には入らないように配置される。
【0028】
なお、ロータリーカバー46´の天部46U´の前端部には、左右のガイド部158Wに備える貫通孔158Hに対応する部分に同数の貫通孔を形成する(すなわち、この例では、左右に2つずつの貫通孔を備える)。ロータリー作業機50のその他の構成は図1に示すのと同様である。
【0029】
このように構成された土寄せカバー158を使用するときは、土寄せカバー158の貫通孔158Hとロータリーカバー46´の天部46U´に形成された貫通孔とを合わせ、図5(b)に示すように、ボルトBTによって両者を固定する。なお、土寄せカバー158とトラクタ21の轍Tとの位置関係は前述の例と同様である。また、ロータリー作業機50により耕耘作業を行うときの耕耘土の動作も同様である。なお、土寄せカバー158を使用しないときはボルトBTを緩めて外して倉庫などに保管する。このように土寄せカバー158を構成すると、前述の例のようにヒンジHをロータリーカバー46に溶接して備える必要がなく、製造工程を簡単にすることができる。
【0030】
図6(a),(b)にはこの発明のさらに別の例を示す。この例では、図5にて説明した土寄せカバー158を用いが、ロータリーカバー46´´に形成する貫通孔の数が異なる。それ以外のロータリー作業機50の構成は前述の例と同様である。
【0031】
この例のロータリーカバー46´´では、天部46U´´の前端部に貫通孔46Hを左右それぞれ5つずつ形成する。隣接する貫通孔46H間の距離はそれぞれ1/2Lである。土寄せカバー158の貫通孔158H間の距離はLであるので、5つのうちの2つの貫通孔46Hを適宜選択することで、土寄せカバー158の位置を変更することができる。これによって、トラクタ21の左右の後輪24,24間の距離(すなわち轍T,T間の距離)に応じて、適宜、土寄せカバー158をロータリーカバー46´´にボルトBTにて取り付けることができる(土寄せカバー158を移動した状態は2点鎖線で表示)。したがって、土寄せカバー158をロータリーカバー46´´の幅方向に複数の箇所に選択的に取り付けることができる。なお、土寄せカバー158を使用しないときはボルトBTを緩めて外して倉庫などに保管する。
【0032】
図7(a)〜(c)には、この発明のさらに別の例を示す。この例では、図2の例と比べて、土寄せカバー58のガイド部58Wを本体部58Bに対して回動可能とした点で異なる。それ以外のロータリー作業機50の構成・作用は同様である。この例の土寄せカバー58´(案内部)は、耕耘土を案内するガイド部58W´と、ガイド部58W´を保持する本体部58B´とを備える。本体部58B´には蝶ボルト58A´,58A´を貫通させるための2つの貫通孔および、ガイドピン58P´の移動をガイドするためのガイド孔58G´,58G´を備える。また、本体部58B´の一端にはヒンジHを溶接などで固定する。
【0033】
ガイド部58W´は側面視で台形状の金属板で形成され、それを立てた状態で中心の周りに回動可能とする。ガイド部58W´の中心付近に形成された貫通孔に蝶ボルト58A´を上方より貫通させる。ガイド部58W´の底面側には貫通孔に合わせてナットNTを溶接などで固定する。蝶ボルト58A´の下端はこのナットNTにネジ付けられることで、ガイド部58W´の回動を固定する。そして、ガイド部58W´の下面の前端にはガイドピン58P´を嵌めつける。このガイドピン58P´は、本体部58B´のガイド孔58G´に遊嵌されている。このようにして、ガイド部58W´は本体部58B´に回動可能に保持されている。
【0034】
このように構成された土寄せカバー58´は、轍Tの幅によって耕耘土を供給する幅を調節することができる。すなわち、蝶ボルト58A´を緩めてガイド部58W´を回動自在な状態とする。ガイド部58W´をガイド孔58G´に沿って適宜回動させる。ガイド部58W´の先端部58Wt´が轍Tの幅に相当する位置に達したら回動を停止し、蝶ボルト58A´を締め付けてガイド部58W´を位置決めする。このように、この例のガイド部58W´は、蝶ボルト58A´を緩めることで、ガイド部58W´の中心線WLが轍Tの中心線MLとのなす角αを変更自在である。したがって、轍Tの幅が異なるさまざまは後輪を有するトラクタに適用することができ、轍Tに耕耘土を確実に送ることができる。
【0035】
なお、土寄せカバー58´を使用しないときは、ヒンジHを支点として、上方に回動してロータリーカバー上に載置し、図3に示すのと同様にして、係止部60にて掛け止める。
【0036】
図8(a)〜(c)には、この発明のさらに別の例を示す。この例の土寄せカバー258´(案内部)は、図7の例と比べて、本体部258B´に2つの貫通孔258H´,258H´を備え、ヒンジHを固定しない点で異なる。それ以外のロータリー作業機50の構成・作用は同様である。土寄せカバー258´のロータリーカバーへの固定方法は、図5に示すのと同様である。
【0037】
土寄せカバー258´は、耕耘土を案内するガイド部58W´と、ガイド部58W´を保持する本体部258B´とを備える。本体部258B´には蝶ボルト58A´,58A´を貫通させるための2つの貫通孔および、ガイドピン58P´の移動をガイドするためのガイド孔58G´,58G´を備える。また、本体部258B´の後端部には、一対の貫通孔258H´,258H´を備える。
【0038】
ガイド部58W´の中心付近に形成された貫通孔に蝶ボルト58A´を上方より貫通させる。ガイド部58W´の底面側には貫通孔に合わせてナットNTを溶接などで固定する。蝶ボルト58A´の下端はこのナットNTにネジ付けられることで、ガイド部58W´の回動を固定する。そして、ガイド部58W´の下面の前端にはガイドピン58P´を嵌めつける。このガイドピン58P´は、本体部258B´のガイド孔58G´に遊嵌されている。このようにして、ガイド部58W´は本体部258B´に回動可能に保持されている。
【0039】
このように構成された土寄せカバー258´は、轍Tの幅によって耕耘土を供給する幅を調節することができる。すなわち、蝶ボルト58A´を緩めてガイド部58W´を回動自在な状態とする。ガイド部58W´をガイド孔58G´に沿って適宜回動させる。ガイド部58W´の先端部58Wt´が轍Tの幅に相当する位置に達したら回動を停止し、蝶ボルト58A´を締め付けてガイド部58W´を位置決めする。このように、この例のガイド部58W´は、蝶ボルト58A´を緩めることで、ガイド部58W´の中心線WLが轍Tの中心線MLとのなす角αを変更自在である。したがって、轍Tの幅が異なるさまざまは後輪を有するトラクタに適用することができ、轍Tに耕耘土を確実に送ることができる。
【0040】
土寄せカバー258´を使用しないときは、ボルトBTを緩めて土寄せカバー258´をロータリーカバーから取り外す。
【0041】
なお、上述の全ての例では、土寄せカバーは、トラクタ21の後輪24が形成する轍Tに耕耘土を寄せるためのものであったが、この発明はこれに限定されるものではなく、トラクタ21の前輪が形成する轍に耕耘土を寄せるための土寄せカバーであってもよい。また、ロータリー作業機に、トラクタ21の前後輪が形成する轍に耕耘土を寄せるための土寄せカバーを備えるようにしてもよい。このとき、トラクタ21の左右の前輪間の距離と、トラクタ21の左右の後輪間の距離が異なる場合があるが、そのようなときには、4つの轍が形成されるが、この発明の土寄せカバーをこれら4つの轍に土寄せする場合に適用してもよい。すなわち、ロータリーカバーに4つの土寄せカバーを備えるようにしてもよい。
【0042】
また、この発明のロータリー作業機に備える案内部は、作業車両の車輪によって形成される轍に耕耘土を案内することに限定されるものではなく、例えば、進行方向に延びて形成された帯状(または複数のスポット状)の窪地に耕耘土を案内し、耕耘ムラのない平坦な耕作地を形成するように使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
なお、この発明のロータリー作業機は、農業の耕耘作業に適用するのみならず、植林、園芸、建設などあらゆる目的の作業で、地面を掘り起こす際に適用しうる。また、作業車両はトラクタに限定されるものではなく、駆動源を備え、ロータリー作業機を取り付けられるあらゆる作業車両に適用しうる。
【符号の説明】
【0044】
21 トラクタ(作業車両)
24 後輪(車輪)
45 ロータリー爪(耕耘爪)
45a 爪軸
46,46´,46´´ ロータリーカバー
50 ロータリー作業機
58,58´,158,258 土寄せカバー(案内部)
58B,58B´,158B,258B 本体部
58W,58W´,158W,258W ガイド部
WL ガイド部の中心線
ML 轍の中心線
T 轍

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、
前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、
前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を、前記ロータリーカバーの前部に回動可能に備え、
不使用時には、前記案内部を上方に回動させて前記ロータリーカバー上に固定することを特徴とする、ロータリー作業機。
【請求項2】
動力源を有する作業車両の後部に連結し、前記動力源によって耕耘爪を回転させるロータリー作業機において、
前記耕耘爪を上方より覆い、耕耘土の飛散を防止するとともに該耕耘土を前方に案内するためのロータリーカバーを備え、
該ロータリーカバーの前部に、前記作業車両の車輪が形成する轍に向けて前記耕耘土を案内するための案内部を備え、
該案内部が前記ロータリーカバーに対して着脱自在であることを特徴とする、ロータリー作業機。
【請求項3】
前記案内部が、前記耕耘土を案内するガイド部と、該ガイド部を保持する本体部とを備え、
前記ガイド部を回動させることで、該ガイド部の中心線が前記轍の中心線とのなす角を変更可能に、前記本体部が前記ガイド部を保持することを特徴とする、請求項1または2に記載のロータリー作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39090(P2013−39090A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179069(P2011−179069)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】