乗用水田作業機
【課題】 後車輪の左右同時昇降及び左右各別昇降が可能な後車軸ケースに連結されるリンク部材の取付部材の強度を高めて、耐久性に優れた乗用水田作業機を提供する。
【解決手段】
後輪支持装置2Rを、左右一対の後輪2を支持する後車軸ケース28を左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構32aと、後車軸ケース28を前方側の機体固定部に連結して後車軸ケース28の上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材30との組み合わせで構成し、機体固定部と後車軸ケース28とにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材40を設け、前記第1リンク部材30、又は第2リンク部材40を機体固定部に連結するためのリンク取付部材50を、第1,第2リンク部材30,40の連結箇所に連結用開口部53を備えた角筒状部材によって構成してある。
【解決手段】
後輪支持装置2Rを、左右一対の後輪2を支持する後車軸ケース28を左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構32aと、後車軸ケース28を前方側の機体固定部に連結して後車軸ケース28の上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材30との組み合わせで構成し、機体固定部と後車軸ケース28とにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材40を設け、前記第1リンク部材30、又は第2リンク部材40を機体固定部に連結するためのリンク取付部材50を、第1,第2リンク部材30,40の連結箇所に連結用開口部53を備えた角筒状部材によって構成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用水田作業機は、凹凸の多い圃場を、機体の揺動や振動を抑えて安定的に走行する必要がある。このような要求を満たす乗用水田作業機の後輪支持装置として、左右一対の後輪を備えた後車軸ケースを、サスペンションを介して機体に支持するサスペンション支持機構と、左右一対のリンク部材を有して前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して、後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限するリンク支持機構との組み合わせで構成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この乗用水田作業機は、後車軸ケースから機体の前方側に延出する左右一対のアッパーリンクと左右一対のロアーリンクとを有している。そして、前記アッパーリンクの前部を機体のメインフレームに揺動自在に支持し、前記ロアーリンクの前部を車両前部に支持して、前記後車軸ケースを機体に対して揺動可能に連結してある。このように、後車軸ケースを揺動可能に機体に支持することにより、後輪を凹凸に合わせて揺動させることができるので、凹凸の激しい圃場であっても安定的に走行することができる点で有用なものである。
【特許文献1】特開2007−89417号公報(段落番号〔0018〕、〔0019〕、及び図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の乗用水田作業機においては、後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限するように左右一対のアッパーリンクとロアーリンクとを用い、また、後車軸ケースの左右方向移動を制限するように機体固定部と後車軸ケースとをラテラルロッドで連結している。
【0005】
これによって、アッパーリンクとロアーリンクに接続された後車軸ケースの比較的大きな揺動半径による上下動を可能にしながら、機体に対する後車軸ケースの横移動を抑制することができるものである。ところが、後車軸ケースは、前述のようにアッパーリンクとロアーリンクとを介して機体前方側に連結された状態で、別のリンク部材であるラテラルロッドにも連結され、そのラテラルロッドの他端側は機体固定部に連結されている。したがって、ラテラルロッドとそのラテラルロッドを機体固定部側で枢支するリンク取付部材との間では、完全な上下方向での相対移動だけではなく、ごく僅かではあるが前後方向にも相対移動する。
【0006】
そして、ラテラルロッドを支持するリンク取付部材側では、ラテラルロッドの枢支軸を断面チャンネル状の部材によって支持していたのであるが、前述のように後車軸ケースが前後方向に動かされるように外力を受けることで、リンク取付部材が変形し、次第にラテラルロッド連結部でのガタツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上述の問題点を解決するために、後車輪の左右同時昇降及び左右各別昇降が可能な後車軸ケースに連結されるリンク部材の取付部材の強度を高めて、耐久性に優れた乗用水田作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の乗用水田作業機では次の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
請求項1にかかる発明では、機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機において、
前記後輪支持装置は、左右一対の後輪を支持する後車軸ケースを機体固定部に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構と、前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材との組み合わせで構成され、
前記機体固定部と前記後車軸ケースとにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材を設け、
前記第1リンク部材、又は第2リンク部材を機体固定部に連結するためのリンク取付部材を、前記第1,第2リンク部材の連結箇所に連結用開口部を備えた角筒状部材によって構成してあることを特徴とする。
〔作用及び効果〕
上記の如く、サスペンション支持機構とリンク部材とを介して、後車軸ケースを機体に揺動可能に支持することにより、例え走行面に凹凸がある場合であっても、その凹凸に応じて後車軸ケースが上下動し、機体の振動や傾きを防止することができる。そして、後車軸ケースの上下揺動に伴って第2リンク部材の機体固定部に対するリンク取付部材が前後方向への外力を受けることがあっても、リンク取付部材自体が角筒状部材によって高強度に構成されているので簡単には変形せず、前記外力を広範囲に分散させてリンク取付部材の変形による耐久性の低下を回避することができる。
【0009】
この結果、凹凸がある走行面であっても安定的に走行できるとともに、耐久性の優れた乗用水田作業機を提供することができる。
〔解決手段2〕
請求項2にかかる発明では、請求項1記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記の如く、第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してあることにより、例えば丸パイプで第1リンク部材、又は第2リンク部材を構成した場合に比較して、リンク部材の径を太くすることなく、断面係数を増大し、リンク部材の曲げや捻りに対する強度を高めて、より一層耐久性を向上することができる。
〔解決手段3〕
請求項3にかかる発明では、請求項2記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記のごとく、第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成すると、第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向での曲げ、あるいは引っ張り強度が増し、より一層耐久性を向上することができる。
〔解決手段4〕
請求項4にかかる発明では、請求項1、2、または3記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記のごとく、第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成したことにより、各枢支部分での連結箇所にこじれが生じる虞が少なく、この点で操作性を向上することができるとともに、耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔乗用田植機の概要〕
図1に、本発明に係る乗用水田作業機の一例である乗用田植機を示す。左右の前輪1、左右の後輪2を備えた機体の後部に、昇降用リンク機構3及び昇降用リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えてあり、昇降用リンク機構3の後部に苗植付装置5が支持してある。
【0011】
図1に示すように、苗植付装置5は、伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、接地フロート9及び苗のせ台10等を備えて構成してある。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0012】
図1に示すように、肥料を貯留するホッパー12及び繰り出し部13が運転座席11の後側に固定してあり、運転座席11の下側にブロア14が備えてある。接地フロート9に作溝器15が備えてあり、繰り出し部13と作溝器15とに亘ってホース16が接続してある。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面に供給される。
【0013】
機体の前部にミッションケース17が固定してあり、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18に、エンジン19が支持してある。このエンジン19にベルト掛け連動された油圧無段変速装置(HST)からなる主変速装置33がミッションケース17に連結されて、その変速出力がミッションケース17に入力されるように構成してある。
【0014】
ミッションケース17に入力された変速動力は走行系と作業系とに分岐される。走行系の分岐動力は、ギア式の副変速装置(図示せず)で高低二段に変速された後、前輪デフ機構(図示せず)を介して左右の前輪1に伝達される。また、副変速装置を経た変速動力が機体の後部の後車軸ケース28に伝達される。この後車軸ケース28の左右の端部に軸支された後輪2が駆動されるように構成してある。
【0015】
図3及び図4に示すように、角パイプ状の右及び左のメインフレーム21が前後方向に配置されて、右及び左のメインフレーム21の前部の下部に補強部材20が溶接によって連結されている。ミッションケース17の後部が右及び左のメインフレーム21の前部の間に入り込み、補強部材20の間に入り込んでおり、ミッションケース17の後部の右及び左横側部がボルト91によって、右及び左のメインフレーム21の前部に連結され、補強部材20に連結されている。ミッションケース17の後部の背面部が別のボルト(図外)によって、補強部材20に連結されている。
【0016】
そして、前輪1は後述する前輪支持装置1Fを介して機体前部に支持され、後輪2は後述する後輪支持装置2Rを介して機体後部に支持されている。
〔前輪支持装置〕
次に、右及び左の前輪1を支持する前輪支持装置1Fについて説明する。
【0017】
図1,4,7に示すように、ミッションケース17の右及び左の横側面から右及び左の前車軸ケース23が延出され、右及び左の前車軸ケース23の端部に円筒状の支持部23aが斜め前方下方(縦軸芯P1参照)に向いて備えてある。右及び左の前輪1を支持する前輪支持部24が、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持してある。図2,3,5に示すように、ミッションケース17の下部にピットマンアーム25が縦軸芯P8周りに揺動自在に支持され後向きに延出し、前輪支持部24とピットマンアーム25とに亘ってタイロッド26が接続してある。図1に示すように、ピットマンアーム25を揺動操作する操縦ハンドル27が備えてあり、操縦ハンドル27によりピットマンアーム25を揺動操作することによって、右及び左の前輪1を操向操作する。
【0018】
図7に示すように、前輪支持部24及びスリーブ74がベアリング75により伝動軸70に回転自在に支持してあり、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aとスリーブ74との間にシール部材76が備えてあり、ベベルギヤ71,73が咬合している。上側のベアリング75に受け部材77が当て付けてあり、受け部材69,77の間にサスペンションバネ34が内側及び外側に二重に備えてある。つまり、前車軸ケース23と、前輪支持部24と、その前車軸ケース23と前輪支持部24との間に介装されるサスペンションバネ34とで前輪支持装置1Fを構成している。
〔後輪支持装置〕
次に、右及び左の後輪2を支持する後輪支持装置2Rについて説明する。
【0019】
図3,4,5に示すように、後車軸ケース28に右及び左の後輪2が支持してある。断面コ字状で縦長の右及び左のブラケット22が後車軸ケース28の前部に固定され、右及び左のブラケット22の上部の横軸芯P2周りに右及び左のアッパーリンク30aが上下に揺動自在に支持されて前方に延出し、右及び左のメインフレーム21の中間部に固定されたブラケット21aの横軸芯P3周りに、右及び左のアッパーリンク30aが上下に揺動自在に支持してある。
【0020】
図3,4,5,9に示すように、右及び左のブラケット22の下部に支持ピン31が横外向きに固定してあり、支持ピン31の横軸芯P4周りに右及び左のロアーリンク30bが上下に揺動自在に支持されて前方に延出し、補強部材20の下部に亘って支持軸93が架設され、支持軸93の両端の横軸芯P5周りに、右及び左のロアーリンク30bが上下に揺動自在に支持されている。右及び左のメインフレーム21に上受け部21bが固定されて、支持ピン31に下受け部32bが支持されており、右及び左のメインフレーム21の上受け部21bと支持ピン31の受け部32bとに亘って、右及び左のサスペンションバネ32a(サスペンション支持機構に相当)が設けてある。
【0021】
すなわち、後輪支持装置2Rは、左右一対の後輪2を支持する後車軸ケース28を機体固定部であるメインフレーム21に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構としてのサスペンションバネ32aと、左右のアッパーリンク30a及び左右のロアーリンク30bからなる左右一対の第1リンク部材30とによって構成され、前記後車軸ケース28の上下方向移動は許しながら前後方向移動を微少範囲に制限するように構成されている。
〔第2リンク部材の取付構造〕
上記後輪支持装置2Rで支持される後車軸ケース28は、メインフレーム21に対する左右方向での相対移動を制限する第2リンク部材によってメインフレーム21に連結されている。
【0022】
すなわち、図4,5,6に示すように、左のメインフレーム21の後部で下方側に延設されているリンク取付部材50に設けた前後軸51と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52とにわたって、第2リンク部材に相当するラテラルロッド40が連結されている。
【0023】
このラテラルロッド40が、前記前後軸51の前後軸芯P6と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52の前後軸芯P7との周りに揺動自在に連結されていることにより、メインフレーム21に対する後車軸ケース28の上下方向移動は広範囲で許しながら左右方向の相対移動が抑制される。
【0024】
これにより、図3,4,5,6に示すように、後車軸ケース28が右及び左のサスペンションバネ32aにより上下動及びローリング自在に支持され、右及び左のアッパーリンク30a、右及び左のロアーリンク30bにより後車軸ケース28の前後方向の位置が決められ、ラテラルロッド40により後車軸ケース28の左右方向の位置が決められる。
【0025】
上記の後車軸ケース28の左右方向での位置決めを行うための第2リンク部材の取付構造について、さらに詳細に説明する。
【0026】
図8及び図9に示すように、左のメインフレーム21の後部で下方側に延設されているリンク取付部材50は、水平方向断面がチャンネル状の主材50aとその開放側を閉塞する状態で溶接して一体化した蓋板材50bとで角筒状に構成されている。
【0027】
図9(A)に示すように、前記主材50aの下端近くには、第2リンク部材としてのラテラルロッド40を枢支するための前後軸51が取り付けてあり、その前後軸51にラテラルロッド40の一端側のボス部41を外嵌させて連結してあり、、かつ前記蓋板材50bの下端が主材50aの下端よりも短く形成されていることにより、蓋板材50bの下端側にラテラルロッド40を挿通するための連通用開口部53が形成されている。
【0028】
ラテラルロッド40の他端側は、図9(B)に示すように、後車軸ケース28の後方側に立設された後部前後軸52に外嵌するボス部42を備えており、このボス部42及び前記一端側のボス部41は、夫々、金属製の内筒部41a,42aと、金属製の外筒部41b,42bとの間に、ゴム材からな中間弾性層41c,42cを備えた3重構造に構成されている。これによって、ラテラルロッド40に多少の捻り力や強い押し引き操作力が加えられた場合に、それらの外力を緩和することができる。
【0029】
また、前記ボス部41,42の内筒部41a,42aは、外筒部41b,42bよりも少し軸線方向長さを長く形成してあり、リンク取付部材50内に装着されたボス部41の内筒部41aがリンク取付部材50の前後の壁内面の間隔幅とほぼ一致する状態で、外筒部41bは少しリンク取付部材50の前後の壁内面から離れて位置している。したがって、外筒部41bがリンク取付部材50の前後の壁内面から少しだけ離れて位置することによって生じるクリアランスが、後車軸ケース28の上下揺動に伴ってラテラルロッド40が多少前後方向に揺動されても、そのことによってラテラルロッド40がリンク取付部材50を強く押して変形させてしまうような外力が生じ難いように構成されている。
【0030】
上記のリンク取付部材50に設けた前後軸51と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52と、ラテラルロッド40の両端に設けたボス部41,42との連結箇所には、次のような潤滑構造が設けられている。すなわち、図9(A),(B)に示すように、前記前後軸51、及び後部前後軸52は、夫々、軸線方向の中間部に環状の油溜め溝51a,52aが形成してあり、かつ、その環状の油溜め溝51a,52a内に、グリースニップル56を介して外部からグリースを注入するための注油路51b,52bが前記前後軸51、及び後部前後軸52の一端側から軸内を通して形成されている。
【0031】
図9(A)における符号54は、前後軸51の抜け止めを行うための止め板部材であり、止めボルト55でリンク取付部材50に固定されている。
【0032】
図9(B)における符号52cは止めナットであり、後部前後軸52が後車軸ケース28のボス孔にねじ込まれた状態で後部前後軸52に外嵌されたラテラルロッド40のボス部42の抜け止めを行うものである。
〔前輪への伝動構造〕
次に、前輪1への伝動構造について説明する。
【0033】
図1,4に示すように、ミッションケース17の横側部に静油圧式無段変速装置33が連結してあり、エンジン19の動力が静油圧式無段変速装置33に伝動ベルト35を介して伝達される。静油圧式無段変速装置33の動力が、ギヤ型式の副変速装置(図示せず)及び前輪デフ機構(図示せず)を介して、図7に示すように、右及び左の前車軸ケース23の内部に配置された伝動軸63に伝達される。右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに、ベアリング67を介してベベルギヤ68(上側)及び受け部材69(下側)が支持してあり、伝動軸63に固定されたベベルギヤ66とベベルギヤ68とが咬合している。伝動軸70がスプライン構造によりベベルギヤ68及び受け部材69と一体回転及びスライド自在に取り付けてあり、伝動軸70の下端にベベルギヤ71が固定してある。
【0034】
図7に示すように、前輪支持部24に右(左)の前輪1を支持する車軸72、車軸72に固定されたベベルギヤ73が備えてあり、前輪支持部24の上端に円筒状のスリーブ74が固定してある。前輪支持部24及びスリーブ74がベアリング75により伝動軸70に回転自在に支持してあり、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aとスリーブ74との間にシール部材76が備えてあり、ベベルギヤ71,73が咬合している。
【0035】
これにより、図4及び図7に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が、伝動軸63,70及び車軸72を介して右及び左の前輪1に伝達される。前輪支持部24が右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持してあり、前輪支持部24の縦軸芯P1の方向へのスライドに対してサスペンションバネ34が作用する。このように前輪支持部24が縦軸芯P1の方向にスライドすると、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aの容積が変化することになるが、この容積変化を吸収する為のブリーザは備えられておらず、各部のシール部材によって吸収している。
〔後輪への伝動構造〕
次に、後車軸ケース28の右及び左の後輪2への伝動構造について説明する。
【0036】
図2,3,4に示すように、ミッションケース17の後部の下部に走行出力軸78が備えられ後向きに突出して、前輪デフ機構(図示せず)の直前から分岐した動力が走行出力軸78に伝達される。走行出力軸78の端部に自在継手82が取り付けられ、伝動軸84が円筒継手83(動力を伝達しながら自在継手82に対する伝動軸84のスライドを許容する)を介して自在継手82に接続してある。後車軸ケース28の前部に入力軸38が前向きに突出し、伝動軸84と入力軸38とが自在継手82を介して接続してある。
【0037】
図2に示すように、後車軸ケース28に伝動軸39が備えられ、入力軸38に固定されたベベルギヤ38aが、伝動軸39に固定されたベベルギヤ39aに咬合している。伝動軸39の右及び左の端部に、摩擦多板型式の右及び左のサイドクラッチ41が備えてあり、右及び左のサイドクラッチ41と右及び左の後輪2を支持する車軸43との間に、伝動軸42が備えてある。そして、図2及び図4に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が、走行出力軸78、伝動軸84、入力軸38、伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ41、伝動軸42を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0038】
図2に示すように、右及び左のサイドクラッチ41はバネ(図示せず)により伝動状態に付勢してある。右及び左のサイドクラッチ41を遮断状態に操作する右及び左の操作アーム51が備えてあり、ピットマンアーム25と右及び左の操作アーム51とに亘って連係ロッド53が接続してある。図2に示す状態は、右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が直進位置A0に操向操作された状態である。この時、右及び左のサイドクラッチ41が伝動状態に操作された状態であり、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の設定角度A1との間に操向操作されていても、前述の状態となるのであり、機体は直進又は緩やかに右又は左に向きを変える。
【0039】
図2に示すように、右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25による右の連係ロッド53の引き操作によって、右の操作アーム53により右のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、右の後輪2が自由回転状態となる。この場合に、左のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25による左の連係ロッド53の引き操作によって、左の操作アーム53により左のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、左の後輪2が自由回転状態となる。この場合に、右のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、右の後輪2に動力が伝達されている。
【0040】
以上のように、右及び左の前輪1が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間、又は左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、右及び左の前輪1、旋回外側の後輪2に動力が伝達された状態で、旋回中心側の後輪2への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪2が自由回転状態となり、右又は左への旋回が行われる。これにより、旋回中心側の後輪2が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となり、旋回時に旋回中心側の後輪2によって田面が荒らされる状態が少なくなる。
〔その他〕
図10は苗植付装置の潤滑構造を示すものであり、開閉蓋8fとは別に、グリースニップル8aを苗押しロッド8cの延長線に近い位置に設けてある。このようにすれば、開閉蓋8fからグリースを供給した場合に比べて、注入されたグリースが直接的に苗押しロッド8cの摺動部に届くので、前記延長線から離れた位置に設けた場合に比べて、しばらく苗植付装置を駆動しないと十分な潤滑の効果がでないというような不具合がなく、注入した直後から効果的な潤滑がなされる利点がある。 図中、符号8bは苗植付爪、8dは回転カム、8eは押し出しバネである。
【0041】
図11(A),(B)は、苗押さえステー100の取付部を示し、苗のせ台10の苗載せ面側の仕切り壁部分に立設される支持ロッド101に取り付けた支持具102に苗押さえステー100の支持杆100a部分を挿通させて支持し、βピン103で支持杆100aの軸芯方向移動を規制している。
【0042】
したがって、このように苗押さえステー100の位置を確実に維持できるようにすることにより、多少苗が育ち過ぎたり、床土が極端に分厚いような苗であっても、苗押さえステー100で確実に押さえて、苗切れ感知センサー(図外)の感知機能を確実に発揮させることができる。
[別実施形態]
[1] リンク取付部材50の角筒状形状は、ラテラルロッド40の支持部だけに限らず、アッパーリンク30aの支持や、ロアーリンク30bの支持を行うリンク取付部材にも適用してもよい。
[2] ラテラルロッド40を、丸パイプのものに代えて角パイプ、もしくは角軸で構成してもよい。また、ラテラルロッド40に限らず、アッパーリンク30aや、ロアーリンク30bを含めて各リンク部材を角パイプ、もしくは角軸で構成してもよい。
[3] ラテラルロッド40や各リンク部材を角形形状にするにあたり、上下方向の辺を左右方向の片よりも長くするなど、夫々のリンク部材の移動が許容される方向の辺の長さを、それに交叉する方向の長さよりも長く形成するとよい。
[4] ラテラルロッド40の両端側における枢支部分の弾性支持構造と同様な弾性構造を、第1リンク部材30側の枢支部にも設けてもよい。
[5] ラテラルロッド40の両端側における枢支部分の潤滑構造と同様な潤滑構造を、第1リンク部材30側の枢支部にも設けてもよい。
[6] 上述の実施形態において、本発明にかかる乗用水田作業機として乗用田植機を例に説明したが、乗用直播機等、その他の乗用水田作業機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る乗用水田作業機の一例(乗用苗植付機)を示す側面図
【図2】後輪への伝動系を示す平面図
【図3】後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【図4】後車軸ケースの支持構造を示す平面図
【図5】後車軸ケースの付近の正面図
【図6】後車軸ケースの付近の背面図
【図7】前輪支持部の付近の縦断正面図
【図8】ラテラルロッドのリンク取付部材を示す背面図
【図9】ラテラルロッドの枢支部を示す一部切り欠き断面図であり、(A)は、リンク取付部材に連結された側の枢支部を示し、(B)は後車軸ケースに連結された側の枢支部を示す
【図10】苗植付装置の潤滑部の構造を示す断面図
【図11】苗植付装置の苗押さえステーの取付部を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 前輪
2 後輪
21 メインフレーム
28 後車軸ケース
30 第1リンク部材
30a アッパーリンク
30b ロアーリンク
32a サスペンション支持機構(サスペンションバネ)
40 ラテラルロッド
50 リンク取付部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用水田作業機は、凹凸の多い圃場を、機体の揺動や振動を抑えて安定的に走行する必要がある。このような要求を満たす乗用水田作業機の後輪支持装置として、左右一対の後輪を備えた後車軸ケースを、サスペンションを介して機体に支持するサスペンション支持機構と、左右一対のリンク部材を有して前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して、後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限するリンク支持機構との組み合わせで構成したものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この乗用水田作業機は、後車軸ケースから機体の前方側に延出する左右一対のアッパーリンクと左右一対のロアーリンクとを有している。そして、前記アッパーリンクの前部を機体のメインフレームに揺動自在に支持し、前記ロアーリンクの前部を車両前部に支持して、前記後車軸ケースを機体に対して揺動可能に連結してある。このように、後車軸ケースを揺動可能に機体に支持することにより、後輪を凹凸に合わせて揺動させることができるので、凹凸の激しい圃場であっても安定的に走行することができる点で有用なものである。
【特許文献1】特開2007−89417号公報(段落番号〔0018〕、〔0019〕、及び図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の乗用水田作業機においては、後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限するように左右一対のアッパーリンクとロアーリンクとを用い、また、後車軸ケースの左右方向移動を制限するように機体固定部と後車軸ケースとをラテラルロッドで連結している。
【0005】
これによって、アッパーリンクとロアーリンクに接続された後車軸ケースの比較的大きな揺動半径による上下動を可能にしながら、機体に対する後車軸ケースの横移動を抑制することができるものである。ところが、後車軸ケースは、前述のようにアッパーリンクとロアーリンクとを介して機体前方側に連結された状態で、別のリンク部材であるラテラルロッドにも連結され、そのラテラルロッドの他端側は機体固定部に連結されている。したがって、ラテラルロッドとそのラテラルロッドを機体固定部側で枢支するリンク取付部材との間では、完全な上下方向での相対移動だけではなく、ごく僅かではあるが前後方向にも相対移動する。
【0006】
そして、ラテラルロッドを支持するリンク取付部材側では、ラテラルロッドの枢支軸を断面チャンネル状の部材によって支持していたのであるが、前述のように後車軸ケースが前後方向に動かされるように外力を受けることで、リンク取付部材が変形し、次第にラテラルロッド連結部でのガタツキが大きくなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上述の問題点を解決するために、後車輪の左右同時昇降及び左右各別昇降が可能な後車軸ケースに連結されるリンク部材の取付部材の強度を高めて、耐久性に優れた乗用水田作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の乗用水田作業機では次の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
請求項1にかかる発明では、機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機において、
前記後輪支持装置は、左右一対の後輪を支持する後車軸ケースを機体固定部に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構と、前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材との組み合わせで構成され、
前記機体固定部と前記後車軸ケースとにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材を設け、
前記第1リンク部材、又は第2リンク部材を機体固定部に連結するためのリンク取付部材を、前記第1,第2リンク部材の連結箇所に連結用開口部を備えた角筒状部材によって構成してあることを特徴とする。
〔作用及び効果〕
上記の如く、サスペンション支持機構とリンク部材とを介して、後車軸ケースを機体に揺動可能に支持することにより、例え走行面に凹凸がある場合であっても、その凹凸に応じて後車軸ケースが上下動し、機体の振動や傾きを防止することができる。そして、後車軸ケースの上下揺動に伴って第2リンク部材の機体固定部に対するリンク取付部材が前後方向への外力を受けることがあっても、リンク取付部材自体が角筒状部材によって高強度に構成されているので簡単には変形せず、前記外力を広範囲に分散させてリンク取付部材の変形による耐久性の低下を回避することができる。
【0009】
この結果、凹凸がある走行面であっても安定的に走行できるとともに、耐久性の優れた乗用水田作業機を提供することができる。
〔解決手段2〕
請求項2にかかる発明では、請求項1記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記の如く、第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してあることにより、例えば丸パイプで第1リンク部材、又は第2リンク部材を構成した場合に比較して、リンク部材の径を太くすることなく、断面係数を増大し、リンク部材の曲げや捻りに対する強度を高めて、より一層耐久性を向上することができる。
〔解決手段3〕
請求項3にかかる発明では、請求項2記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記のごとく、第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成すると、第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向での曲げ、あるいは引っ張り強度が増し、より一層耐久性を向上することができる。
〔解決手段4〕
請求項4にかかる発明では、請求項1、2、または3記載の乗用水田作業機において、第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成してある点に特徴がある。
〔作用及び効果〕
上記のごとく、第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成したことにより、各枢支部分での連結箇所にこじれが生じる虞が少なく、この点で操作性を向上することができるとともに、耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔乗用田植機の概要〕
図1に、本発明に係る乗用水田作業機の一例である乗用田植機を示す。左右の前輪1、左右の後輪2を備えた機体の後部に、昇降用リンク機構3及び昇降用リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えてあり、昇降用リンク機構3の後部に苗植付装置5が支持してある。
【0011】
図1に示すように、苗植付装置5は、伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された植付ケース7、植付ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、接地フロート9及び苗のせ台10等を備えて構成してある。これにより、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、植付ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0012】
図1に示すように、肥料を貯留するホッパー12及び繰り出し部13が運転座席11の後側に固定してあり、運転座席11の下側にブロア14が備えてある。接地フロート9に作溝器15が備えてあり、繰り出し部13と作溝器15とに亘ってホース16が接続してある。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー12から肥料が所定量ずつ繰り出し部13によって繰り出され、ブロア14の送風により肥料がホース16を通って作溝器15に供給され、作溝器15を介して肥料が田面に供給される。
【0013】
機体の前部にミッションケース17が固定してあり、ミッションケース17の前部に連結された支持フレーム18に、エンジン19が支持してある。このエンジン19にベルト掛け連動された油圧無段変速装置(HST)からなる主変速装置33がミッションケース17に連結されて、その変速出力がミッションケース17に入力されるように構成してある。
【0014】
ミッションケース17に入力された変速動力は走行系と作業系とに分岐される。走行系の分岐動力は、ギア式の副変速装置(図示せず)で高低二段に変速された後、前輪デフ機構(図示せず)を介して左右の前輪1に伝達される。また、副変速装置を経た変速動力が機体の後部の後車軸ケース28に伝達される。この後車軸ケース28の左右の端部に軸支された後輪2が駆動されるように構成してある。
【0015】
図3及び図4に示すように、角パイプ状の右及び左のメインフレーム21が前後方向に配置されて、右及び左のメインフレーム21の前部の下部に補強部材20が溶接によって連結されている。ミッションケース17の後部が右及び左のメインフレーム21の前部の間に入り込み、補強部材20の間に入り込んでおり、ミッションケース17の後部の右及び左横側部がボルト91によって、右及び左のメインフレーム21の前部に連結され、補強部材20に連結されている。ミッションケース17の後部の背面部が別のボルト(図外)によって、補強部材20に連結されている。
【0016】
そして、前輪1は後述する前輪支持装置1Fを介して機体前部に支持され、後輪2は後述する後輪支持装置2Rを介して機体後部に支持されている。
〔前輪支持装置〕
次に、右及び左の前輪1を支持する前輪支持装置1Fについて説明する。
【0017】
図1,4,7に示すように、ミッションケース17の右及び左の横側面から右及び左の前車軸ケース23が延出され、右及び左の前車軸ケース23の端部に円筒状の支持部23aが斜め前方下方(縦軸芯P1参照)に向いて備えてある。右及び左の前輪1を支持する前輪支持部24が、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持してある。図2,3,5に示すように、ミッションケース17の下部にピットマンアーム25が縦軸芯P8周りに揺動自在に支持され後向きに延出し、前輪支持部24とピットマンアーム25とに亘ってタイロッド26が接続してある。図1に示すように、ピットマンアーム25を揺動操作する操縦ハンドル27が備えてあり、操縦ハンドル27によりピットマンアーム25を揺動操作することによって、右及び左の前輪1を操向操作する。
【0018】
図7に示すように、前輪支持部24及びスリーブ74がベアリング75により伝動軸70に回転自在に支持してあり、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aとスリーブ74との間にシール部材76が備えてあり、ベベルギヤ71,73が咬合している。上側のベアリング75に受け部材77が当て付けてあり、受け部材69,77の間にサスペンションバネ34が内側及び外側に二重に備えてある。つまり、前車軸ケース23と、前輪支持部24と、その前車軸ケース23と前輪支持部24との間に介装されるサスペンションバネ34とで前輪支持装置1Fを構成している。
〔後輪支持装置〕
次に、右及び左の後輪2を支持する後輪支持装置2Rについて説明する。
【0019】
図3,4,5に示すように、後車軸ケース28に右及び左の後輪2が支持してある。断面コ字状で縦長の右及び左のブラケット22が後車軸ケース28の前部に固定され、右及び左のブラケット22の上部の横軸芯P2周りに右及び左のアッパーリンク30aが上下に揺動自在に支持されて前方に延出し、右及び左のメインフレーム21の中間部に固定されたブラケット21aの横軸芯P3周りに、右及び左のアッパーリンク30aが上下に揺動自在に支持してある。
【0020】
図3,4,5,9に示すように、右及び左のブラケット22の下部に支持ピン31が横外向きに固定してあり、支持ピン31の横軸芯P4周りに右及び左のロアーリンク30bが上下に揺動自在に支持されて前方に延出し、補強部材20の下部に亘って支持軸93が架設され、支持軸93の両端の横軸芯P5周りに、右及び左のロアーリンク30bが上下に揺動自在に支持されている。右及び左のメインフレーム21に上受け部21bが固定されて、支持ピン31に下受け部32bが支持されており、右及び左のメインフレーム21の上受け部21bと支持ピン31の受け部32bとに亘って、右及び左のサスペンションバネ32a(サスペンション支持機構に相当)が設けてある。
【0021】
すなわち、後輪支持装置2Rは、左右一対の後輪2を支持する後車軸ケース28を機体固定部であるメインフレーム21に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構としてのサスペンションバネ32aと、左右のアッパーリンク30a及び左右のロアーリンク30bからなる左右一対の第1リンク部材30とによって構成され、前記後車軸ケース28の上下方向移動は許しながら前後方向移動を微少範囲に制限するように構成されている。
〔第2リンク部材の取付構造〕
上記後輪支持装置2Rで支持される後車軸ケース28は、メインフレーム21に対する左右方向での相対移動を制限する第2リンク部材によってメインフレーム21に連結されている。
【0022】
すなわち、図4,5,6に示すように、左のメインフレーム21の後部で下方側に延設されているリンク取付部材50に設けた前後軸51と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52とにわたって、第2リンク部材に相当するラテラルロッド40が連結されている。
【0023】
このラテラルロッド40が、前記前後軸51の前後軸芯P6と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52の前後軸芯P7との周りに揺動自在に連結されていることにより、メインフレーム21に対する後車軸ケース28の上下方向移動は広範囲で許しながら左右方向の相対移動が抑制される。
【0024】
これにより、図3,4,5,6に示すように、後車軸ケース28が右及び左のサスペンションバネ32aにより上下動及びローリング自在に支持され、右及び左のアッパーリンク30a、右及び左のロアーリンク30bにより後車軸ケース28の前後方向の位置が決められ、ラテラルロッド40により後車軸ケース28の左右方向の位置が決められる。
【0025】
上記の後車軸ケース28の左右方向での位置決めを行うための第2リンク部材の取付構造について、さらに詳細に説明する。
【0026】
図8及び図9に示すように、左のメインフレーム21の後部で下方側に延設されているリンク取付部材50は、水平方向断面がチャンネル状の主材50aとその開放側を閉塞する状態で溶接して一体化した蓋板材50bとで角筒状に構成されている。
【0027】
図9(A)に示すように、前記主材50aの下端近くには、第2リンク部材としてのラテラルロッド40を枢支するための前後軸51が取り付けてあり、その前後軸51にラテラルロッド40の一端側のボス部41を外嵌させて連結してあり、、かつ前記蓋板材50bの下端が主材50aの下端よりも短く形成されていることにより、蓋板材50bの下端側にラテラルロッド40を挿通するための連通用開口部53が形成されている。
【0028】
ラテラルロッド40の他端側は、図9(B)に示すように、後車軸ケース28の後方側に立設された後部前後軸52に外嵌するボス部42を備えており、このボス部42及び前記一端側のボス部41は、夫々、金属製の内筒部41a,42aと、金属製の外筒部41b,42bとの間に、ゴム材からな中間弾性層41c,42cを備えた3重構造に構成されている。これによって、ラテラルロッド40に多少の捻り力や強い押し引き操作力が加えられた場合に、それらの外力を緩和することができる。
【0029】
また、前記ボス部41,42の内筒部41a,42aは、外筒部41b,42bよりも少し軸線方向長さを長く形成してあり、リンク取付部材50内に装着されたボス部41の内筒部41aがリンク取付部材50の前後の壁内面の間隔幅とほぼ一致する状態で、外筒部41bは少しリンク取付部材50の前後の壁内面から離れて位置している。したがって、外筒部41bがリンク取付部材50の前後の壁内面から少しだけ離れて位置することによって生じるクリアランスが、後車軸ケース28の上下揺動に伴ってラテラルロッド40が多少前後方向に揺動されても、そのことによってラテラルロッド40がリンク取付部材50を強く押して変形させてしまうような外力が生じ難いように構成されている。
【0030】
上記のリンク取付部材50に設けた前後軸51と、後車軸ケース28の右の後部に設けた後部前後軸52と、ラテラルロッド40の両端に設けたボス部41,42との連結箇所には、次のような潤滑構造が設けられている。すなわち、図9(A),(B)に示すように、前記前後軸51、及び後部前後軸52は、夫々、軸線方向の中間部に環状の油溜め溝51a,52aが形成してあり、かつ、その環状の油溜め溝51a,52a内に、グリースニップル56を介して外部からグリースを注入するための注油路51b,52bが前記前後軸51、及び後部前後軸52の一端側から軸内を通して形成されている。
【0031】
図9(A)における符号54は、前後軸51の抜け止めを行うための止め板部材であり、止めボルト55でリンク取付部材50に固定されている。
【0032】
図9(B)における符号52cは止めナットであり、後部前後軸52が後車軸ケース28のボス孔にねじ込まれた状態で後部前後軸52に外嵌されたラテラルロッド40のボス部42の抜け止めを行うものである。
〔前輪への伝動構造〕
次に、前輪1への伝動構造について説明する。
【0033】
図1,4に示すように、ミッションケース17の横側部に静油圧式無段変速装置33が連結してあり、エンジン19の動力が静油圧式無段変速装置33に伝動ベルト35を介して伝達される。静油圧式無段変速装置33の動力が、ギヤ型式の副変速装置(図示せず)及び前輪デフ機構(図示せず)を介して、図7に示すように、右及び左の前車軸ケース23の内部に配置された伝動軸63に伝達される。右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに、ベアリング67を介してベベルギヤ68(上側)及び受け部材69(下側)が支持してあり、伝動軸63に固定されたベベルギヤ66とベベルギヤ68とが咬合している。伝動軸70がスプライン構造によりベベルギヤ68及び受け部材69と一体回転及びスライド自在に取り付けてあり、伝動軸70の下端にベベルギヤ71が固定してある。
【0034】
図7に示すように、前輪支持部24に右(左)の前輪1を支持する車軸72、車軸72に固定されたベベルギヤ73が備えてあり、前輪支持部24の上端に円筒状のスリーブ74が固定してある。前輪支持部24及びスリーブ74がベアリング75により伝動軸70に回転自在に支持してあり、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aとスリーブ74との間にシール部材76が備えてあり、ベベルギヤ71,73が咬合している。
【0035】
これにより、図4及び図7に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が、伝動軸63,70及び車軸72を介して右及び左の前輪1に伝達される。前輪支持部24が右及び左の前車軸ケース23の支持部23aに縦軸芯P1周りに回転自在及び縦軸芯P1の方向にスライド自在に支持してあり、前輪支持部24の縦軸芯P1の方向へのスライドに対してサスペンションバネ34が作用する。このように前輪支持部24が縦軸芯P1の方向にスライドすると、右及び左の前車軸ケース23の支持部23aの容積が変化することになるが、この容積変化を吸収する為のブリーザは備えられておらず、各部のシール部材によって吸収している。
〔後輪への伝動構造〕
次に、後車軸ケース28の右及び左の後輪2への伝動構造について説明する。
【0036】
図2,3,4に示すように、ミッションケース17の後部の下部に走行出力軸78が備えられ後向きに突出して、前輪デフ機構(図示せず)の直前から分岐した動力が走行出力軸78に伝達される。走行出力軸78の端部に自在継手82が取り付けられ、伝動軸84が円筒継手83(動力を伝達しながら自在継手82に対する伝動軸84のスライドを許容する)を介して自在継手82に接続してある。後車軸ケース28の前部に入力軸38が前向きに突出し、伝動軸84と入力軸38とが自在継手82を介して接続してある。
【0037】
図2に示すように、後車軸ケース28に伝動軸39が備えられ、入力軸38に固定されたベベルギヤ38aが、伝動軸39に固定されたベベルギヤ39aに咬合している。伝動軸39の右及び左の端部に、摩擦多板型式の右及び左のサイドクラッチ41が備えてあり、右及び左のサイドクラッチ41と右及び左の後輪2を支持する車軸43との間に、伝動軸42が備えてある。そして、図2及び図4に示すように、静油圧式無段変速装置33の動力が、走行出力軸78、伝動軸84、入力軸38、伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ41、伝動軸42を介して右及び左の後輪2に伝達される。
【0038】
図2に示すように、右及び左のサイドクラッチ41はバネ(図示せず)により伝動状態に付勢してある。右及び左のサイドクラッチ41を遮断状態に操作する右及び左の操作アーム51が備えてあり、ピットマンアーム25と右及び左の操作アーム51とに亘って連係ロッド53が接続してある。図2に示す状態は、右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が直進位置A0に操向操作された状態である。この時、右及び左のサイドクラッチ41が伝動状態に操作された状態であり、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1が直進位置A0と右及び左の設定角度A1との間に操向操作されていても、前述の状態となるのであり、機体は直進又は緩やかに右又は左に向きを変える。
【0039】
図2に示すように、右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25による右の連係ロッド53の引き操作によって、右の操作アーム53により右のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、右の後輪2が自由回転状態となる。この場合に、左のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、左の後輪2に動力が伝達されている。右及び左の前輪1(ピットマンアーム25)が左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、ピットマンアーム25による左の連係ロッド53の引き操作によって、左の操作アーム53により左のサイドクラッチ41が遮断状態に操作されて、左の後輪2が自由回転状態となる。この場合に、右のサイドクラッチ41は伝動状態に残されており、右の後輪2に動力が伝達されている。
【0040】
以上のように、右及び左の前輪1が右の設定角度A1と右の操向限度A2との間、又は左の設定角度A1と左の操向限度A2との間に操向操作されると、右及び左の前輪1、旋回外側の後輪2に動力が伝達された状態で、旋回中心側の後輪2への動力が遮断されて、旋回中心側の後輪2が自由回転状態となり、右又は左への旋回が行われる。これにより、旋回中心側の後輪2が旋回に伴って適度に回転しながら前進する状態となり、旋回時に旋回中心側の後輪2によって田面が荒らされる状態が少なくなる。
〔その他〕
図10は苗植付装置の潤滑構造を示すものであり、開閉蓋8fとは別に、グリースニップル8aを苗押しロッド8cの延長線に近い位置に設けてある。このようにすれば、開閉蓋8fからグリースを供給した場合に比べて、注入されたグリースが直接的に苗押しロッド8cの摺動部に届くので、前記延長線から離れた位置に設けた場合に比べて、しばらく苗植付装置を駆動しないと十分な潤滑の効果がでないというような不具合がなく、注入した直後から効果的な潤滑がなされる利点がある。 図中、符号8bは苗植付爪、8dは回転カム、8eは押し出しバネである。
【0041】
図11(A),(B)は、苗押さえステー100の取付部を示し、苗のせ台10の苗載せ面側の仕切り壁部分に立設される支持ロッド101に取り付けた支持具102に苗押さえステー100の支持杆100a部分を挿通させて支持し、βピン103で支持杆100aの軸芯方向移動を規制している。
【0042】
したがって、このように苗押さえステー100の位置を確実に維持できるようにすることにより、多少苗が育ち過ぎたり、床土が極端に分厚いような苗であっても、苗押さえステー100で確実に押さえて、苗切れ感知センサー(図外)の感知機能を確実に発揮させることができる。
[別実施形態]
[1] リンク取付部材50の角筒状形状は、ラテラルロッド40の支持部だけに限らず、アッパーリンク30aの支持や、ロアーリンク30bの支持を行うリンク取付部材にも適用してもよい。
[2] ラテラルロッド40を、丸パイプのものに代えて角パイプ、もしくは角軸で構成してもよい。また、ラテラルロッド40に限らず、アッパーリンク30aや、ロアーリンク30bを含めて各リンク部材を角パイプ、もしくは角軸で構成してもよい。
[3] ラテラルロッド40や各リンク部材を角形形状にするにあたり、上下方向の辺を左右方向の片よりも長くするなど、夫々のリンク部材の移動が許容される方向の辺の長さを、それに交叉する方向の長さよりも長く形成するとよい。
[4] ラテラルロッド40の両端側における枢支部分の弾性支持構造と同様な弾性構造を、第1リンク部材30側の枢支部にも設けてもよい。
[5] ラテラルロッド40の両端側における枢支部分の潤滑構造と同様な潤滑構造を、第1リンク部材30側の枢支部にも設けてもよい。
[6] 上述の実施形態において、本発明にかかる乗用水田作業機として乗用田植機を例に説明したが、乗用直播機等、その他の乗用水田作業機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る乗用水田作業機の一例(乗用苗植付機)を示す側面図
【図2】後輪への伝動系を示す平面図
【図3】後車軸ケースの支持構造を示す側面図
【図4】後車軸ケースの支持構造を示す平面図
【図5】後車軸ケースの付近の正面図
【図6】後車軸ケースの付近の背面図
【図7】前輪支持部の付近の縦断正面図
【図8】ラテラルロッドのリンク取付部材を示す背面図
【図9】ラテラルロッドの枢支部を示す一部切り欠き断面図であり、(A)は、リンク取付部材に連結された側の枢支部を示し、(B)は後車軸ケースに連結された側の枢支部を示す
【図10】苗植付装置の潤滑部の構造を示す断面図
【図11】苗植付装置の苗押さえステーの取付部を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 前輪
2 後輪
21 メインフレーム
28 後車軸ケース
30 第1リンク部材
30a アッパーリンク
30b ロアーリンク
32a サスペンション支持機構(サスペンションバネ)
40 ラテラルロッド
50 リンク取付部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機であって、
前記後輪支持装置は、左右一対の後輪を支持する後車軸ケースを機体固定部に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構と、前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材との組み合わせで構成され、
前記機体固定部と前記後車軸ケースとにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材を設け、
前記第1リンク部材、又は第2リンク部材を機体固定部に連結するためのリンク取付部材を、前記第1,第2リンク部材の連結箇所に連結用開口部を備えた角筒状部材によって構成してあることを特徴とする乗用水田作業機。
【請求項2】
第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してある請求項1記載の乗用水田作業機。
【請求項3】
第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成してある請求項2記載の乗用水田作業機。
【請求項4】
第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成してある請求項1、2、または3記載の乗用水田作業機。
【請求項1】
機体の前部側に左右一対の前輪を配備し、機体の後部側に後輪支持装置を介して左右一対の後輪を配備した乗用水田作業機であって、
前記後輪支持装置は、左右一対の後輪を支持する後車軸ケースを機体固定部に対して左右両側で弾性支持するサスペンション支持機構と、前記後車軸ケースを前方側の機体固定部に連結して後車軸ケースの上下方向移動は許しながら前後方向移動を制限する第1リンク部材との組み合わせで構成され、
前記機体固定部と前記後車軸ケースとにわたって、後車軸ケースの左右方向移動を制限する第2リンク部材を設け、
前記第1リンク部材、又は第2リンク部材を機体固定部に連結するためのリンク取付部材を、前記第1,第2リンク部材の連結箇所に連結用開口部を備えた角筒状部材によって構成してあることを特徴とする乗用水田作業機。
【請求項2】
第1リンク部材、又は第2リンク部材を断面角形に形成してある請求項1記載の乗用水田作業機。
【請求項3】
第1リンク部材、又は第2リンク部材における断面形状を、後車軸ケースの許容された方向への移動に伴って前記第1リンク部材、又は第2リンク部材が移動する方向の辺が、これに交叉する方向の辺よりも長い矩形形状に構成してある請求項2記載の乗用水田作業機。
【請求項4】
第1リンク部材、又は第2リンク部材を枢支する軸部分に、外部からのグリース注入が可能な注油路を形成してある請求項1、2、または3記載の乗用水田作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−179255(P2009−179255A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21697(P2008−21697)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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