説明

位置情報音声通知システム

【課題】利用者が現在位置を音声で連絡先に通知するに際し、連絡先側で容易に利用者の現在位置を認識させる。
【解決手段】位置情報サーバ4は、発信局2を経由して発信端末1の位置情報の検索要求を受け付けた場合、発信端末1の現在位置の位置情報を検索し、地図データベース5を参照して発信端末1の現在位置を表す駅名または一般地名を決定する。音声合成サーバ6は、位置情報サーバ4にて決定された駅名または一般地名を音声合成したものと、利用者により予め登録された固定メッセージとを編集して通知文を作成する。発信局2は、音声合成サーバ6にて通知文を、利用者により予め連絡先として登録された着信端末9の電話番号に対して通知する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置情報音声通知システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、利用者が現在位置の情報を通知する方法としては、電話により連絡を行う方法が主に用いられていた。
【0003】
しかしながら、電車の中やプラットホームなど人ごみの中で電話により連絡を行う場合、周りの人に迷惑になるという問題や、騒音が激しい場合には音声が明瞭に伝わらないという問題があった。
【0004】
そのため、最近では、現在位置の情報を人手を介さずに通知するための技術が多数開示されており、その一例として、特許文献1においては、現在位置を認識して音声で通知する盗難防止端末機が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−098573号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術は、現在位置を緯度、経度等の位置データとして音声で通知しているに過ぎないため、通知を受けた連絡先側で、現在位置がどこであるかを認識しにくいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、利用者が現在位置を音声で連絡先に通知するに際し、連絡先側で容易に利用者の現在位置を認識することができる位置情報音声通知システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の一態様の位置情報音声通知システムは、
利用者が発信端末を用いて現在位置を所定の連絡先に通知するための位置情報音声通知システムにおいて、前記発信端末の現在位置の位置情報を検索し、検索した位置情報に基づいて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定する位置情報サーバと、前記位置情報サーバにて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名が決定された場合に、決定された駅名または一般地名を音声合成したものと、前記利用者により予め登録された固定メッセージとを編集して通知文を作成する音声合成サーバと、前記音声合成サーバにて通知文が作成された場合に、作成された通知文を前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号に対して通知する発信局とを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記位置情報サーバは、前記発信端末から前記発信局を経由して前記発信端末の位置情報の検索要求を受け付けた場合にのみ、前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定することを特徴とする。
【0010】
また、前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号と前記固定メッセージは、前記音声合成サーバに蓄積されるものであり、前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする。
【0011】
また、前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号と前記固定メッセージは、前記発信端末に蓄積され、前記音声合成サーバの起動時に当該音声合成サーバに送出されるものであり、前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の他の態様の位置情報音声通知システムは、利用者が発信端末を用いて現在位置を所定の連絡先に通知するための位置情報音声通知システムにおいて、前記発信端末の現在位置の位置情報を検索し、検索した位置情報に基づいて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定する位置情報サーバと、前記位置情報サーバにて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名が決定された場合に、決定された駅名または一般地名を音声合成して通知文を作成する音声合成サーバと、前記音声合成サーバにて通知文が作成された場合に、作成された通知文を前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号に対して通知する発信局とを有することを特徴とする。
【0013】
また、前記位置情報サーバは、周期的に、前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定することを特徴とする。
【0014】
また、前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号は、前記音声合成サーバに蓄積されるものであり、前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする。
【0015】
また、前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号は、前記発信端末に蓄積され、前記音声合成サーバの起動時に当該音声合成サーバに送出されるものであり、前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする。
【0016】
また、前記発信局は、前記所定の連絡先との連絡状況を前記発信端末に表示することを特徴とする。
【0017】
(作用)
上記のように構成された本発明においては、利用者が使用する発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を音声合成したものを連絡先に通知しているため、連絡先側では、利用者の現在位置を容易に認識することが可能となる。
【0018】
さらに、現在位置を音声合成したものと固定メッセージとを編集して連絡先に通知することにより、連絡先側では、利用者の現在位置をさらに容易に認識することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による位置情報音声通知システムの全体構成を示す図である。
【0021】
図1を参照すると、本実施形態による位置情報音声通知システムは、発信端末1と、発信局2と、携帯電話網3と、位置情報サーバ4と、地図データベース5と、音声合成サーバ6と、公衆電話網7と、着信局8と、着信端末9とを有している。なお、図1においては、利用者の携帯電話が発信端末1であり、その同一利用者の自宅にある固定電話が着信端末9であるものとする。また、携帯電話網3と公衆電話網7とは不図示の交換機等により接続されているものとする。
【0022】
以下、図1に示した位置情報音声通知システムの動作について説明する。
【0023】
図1に示した位置情報音声通知システムにおいては、利用者が固定メッセージを予め登録するとともに、連絡先として着信端末9を予め登録しておけば、利用者が要求した任意のタイミングで、発信端末1から予め登録した着信端末9に対し、発信端末1の現在位置を表す駅名または一般地名を、発信端末1が予め登録した固定メッセージとともに音声で連絡することが可能である。
【0024】
ここでは、その代表的な例として、利用者が今から帰宅することを自宅に連絡する場合の動作について、図2および図3を参照して説明する。
【0025】
最初に、固定メッセージと連絡先の電話番号を登録する際の動作について、図2を参照して説明する。
【0026】
図2を参照すると、利用者は、固定メッセージと連絡先の電話番号を登録するために、まず、発信局2への発信を行う(ステップS201)。
【0027】
そして、利用者は、発信端末1から発信局2を経由して音声合成サーバ6に対し、固定メッセージとして、例えば、「これから帰ります。」というメッセージを登録(録音)し(ステップS202)、連絡先として、例えば、自宅の固定電話である着信端末9の電話番号を登録する(ステップS203)。
【0028】
次に、連絡先に対し、現在位置と固定メッセージを連絡する際の動作について、図3を参照して説明する。
【0029】
図3を参照すると、利用者は、連絡先に対し、現在位置と固定メッセージを連絡するために、まず、発信端末1上の所定のボタン(今帰るボタン等)を押下し、発信局2への発信を行う(ステップS301)。
【0030】
すると、発信局2は、発信端末1からの発信が発信端末1の現在位置の検索要求であると判断し、位置情報サーバ4に対して発信端末1の現在位置の検索要求を行い(ステップS302)、位置情報サーバ4は、発信端末1の現在位置の位置情報を検索する(ステップS303)。
【0031】
次に、位置情報サーバ4は、地図データベース5を参照し、ステップ302で検索した位置情報に基づいて発信端末1の現在位置を表す駅名または一般地名を決定し、決定した駅名または一般地名を音声合成サーバ6に送信する(ステップS304)。例えば、発信端末1が最寄駅のxx駅の構内に位置していると認識できる時は「xx駅」とする。xx駅の構内に位置していると識別できない時は「xx駅周辺」とする。駅から離れている場所に位置していると認識した時はその場所の「一般地名」とする。
【0032】
次に、音声合成サーバ6は、位置情報サーバ4にて決定された現在位置(駅名または一般地名)を音声合成する(ステップS305)。さらに、音声合成した現在位置と予め登録されている固定メッセージとを編集して通知文を作成し、作成した通知文と、予め登録されている連絡先(以下では、利用者の自宅の固定電話である着信端末9であるものとする)の電話番号とを発信局2に渡す(ステップS306)。例えば、通知文として、「今、xx駅にいます。これから帰ります。」という文を作成する。
【0033】
次に、発信局2は、着信局8を経由し、予め連絡先として登録されている着信端末9の電話番号に対して発信を行う(ステップS307)。
【0034】
発信局2は、着信端末9による応答があった場合は(ステップS308)、ステップS306で受け取った通知文「今、xx駅にいます。これから帰ります。」を、着信端末9に対し音声で自動的に送出する(ステップS309)。
【0035】
そして、発信局2は、ステップS306で受け取った通知文を所定回数繰り返し送出した後、着信端末9との接続を自動的に切断する。
【0036】
なお、発信局2は、発信端末1に対し、ダイアル中、呼出中、通知中、切断等の着信端末9との連絡状況を表示することとし(ステップS310)、利用者が正常に連絡できたかどうかを認識できるようにする。また、ビジー、無応答の場合はその旨を表示する。その時は、必要に応じて利用者が所定のボタン(今帰るボタン等)を再度押下し、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0037】
なお、本実施形態においては、固定メッセージを省略し、現在位置を音声合成したもののみからなる通知文を周期的に着信端末に対して送出することとし、ビジー、無応答の時には通知文の送出を所定回数再試行することとしても良い。この場合には、自動車の追跡、迷子対策、ペットの捜索に活用できる。
【0038】
また、本実施形態においては、固定メッセージと連絡先電話番号を音声合成サーバに蓄積することとしているが、これらを発信端末に蓄積することとし、音声合成サーバを起動した時に、発信端末から音声合成サーバに固定メッセージと連絡先電話番号を伝えることとしても良い。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、現在位置を自動的に音声で伝えるために、人ごみの中でも明瞭に現在位置を連絡先に通知することができるとともに、周りの人に迷惑をかけずに現在位置を連絡先に通知することができる。
【0040】
また、現在位置を表す駅名または一般地名を音声合成したものを連絡先に通知しているため、連絡先側では現在位置を容易に認識することができる。さらに、現在位置を音声合成したものと固定メッセージとを編集して連絡先に通知することにより、連絡先側では、現在位置をさらに容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による位置情報音声通知システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示した位置情報音声通知システムにおいて、固定メッセージと連絡先の電話番号を登録する際の動作を説明する図である。
【図3】図1に示した位置情報音声通知システムにおいて、現在位置と固定メッセージを連絡する際の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 発信端末
2 発信局
3 携帯電話網
4 位置情報サーバ
5 地図データベース
6 音声合成サーバ
7 公衆電話網
8 着信局
9 着信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が発信端末を用いて現在位置を所定の連絡先に通知するための位置情報音声通知システムにおいて、
前記発信端末の現在位置の位置情報を検索し、検索した位置情報に基づいて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定する位置情報サーバと、
前記位置情報サーバにて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名が決定された場合に、決定された駅名または一般地名を音声合成したものと、前記利用者により予め登録された固定メッセージとを編集して通知文を作成する音声合成サーバと、
前記音声合成サーバにて通知文が作成された場合に、作成された通知文を前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号に対して通知する発信局とを有することを特徴とする位置情報音声通知システム。
【請求項2】
前記位置情報サーバは、前記発信端末から前記発信局を経由して前記発信端末の位置情報の検索要求を受け付けた場合にのみ、前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定することを特徴とする請求項1に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項3】
前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号と前記固定メッセージは、前記音声合成サーバに蓄積されるものであり、
前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする、請求項1または2に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項4】
前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号と前記固定メッセージは、前記発信端末に蓄積され、前記音声合成サーバの起動時に当該音声合成サーバに送出されるものであり、
前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする、請求項1または2に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項5】
利用者が発信端末を用いて現在位置を所定の連絡先に通知するための位置情報音声通知システムにおいて、
前記発信端末の現在位置の位置情報を検索し、検索した位置情報に基づいて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定する位置情報サーバと、
前記位置情報サーバにて前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名が決定された場合に、決定された駅名または一般地名を音声合成して通知文を作成する音声合成サーバと、
前記音声合成サーバにて通知文が作成された場合に、作成された通知文を前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号に対して通知する発信局とを有することを特徴とする位置情報音声通知システム。
【請求項6】
前記位置情報サーバは、周期的に、前記発信端末の現在位置を表す駅名または一般地名を決定することを特徴とする請求項5に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項7】
前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号は、前記音声合成サーバに蓄積されるものであり、
前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする、請求項5または6に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項8】
前記利用者により予め登録された前記所定の連絡先の電話番号は、前記発信端末に蓄積され、前記音声合成サーバの起動時に当該音声合成サーバに送出されるものであり、
前記発信局は、前記所定の連絡先の電話番号を前記音声合成サーバから取得することを特徴とする、請求項5または6に記載の位置情報音声通知システム。
【請求項9】
前記発信局は、前記所定の連絡先との連絡状況を前記発信端末に表示することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の位置情報音声通知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−312603(P2004−312603A)
【公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−106462(P2003−106462)
【出願日】平成15年4月10日(2003.4.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】