位置管理システム、並びにこれに用いられるRFIDタグおよびタグリーダ
【課題】消費電力を抑えて電池寿命を延ばすことができ、しかも、RFIDタグがタグリーダの通信可能なエリアへ入場または退場したことを検知できる位置管理システムを提供する。
【解決手段】移動可能なRFIDタグ10と、RFIDタグ10と無線で通信を行うタグリーダ11と、タグリーダ11からのデータに基づきRFIDタグ10の位置を管理する位置管理装置12を備え、タグリーダ11は、一定間隔で応答要求を送信し、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダ11からの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答をタグリーダ11に送信し、タグリーダ11は、RFIDタグ10から応答を受信した場合に、該応答を示すデータを位置管理装置に送信する。
【解決手段】移動可能なRFIDタグ10と、RFIDタグ10と無線で通信を行うタグリーダ11と、タグリーダ11からのデータに基づきRFIDタグ10の位置を管理する位置管理装置12を備え、タグリーダ11は、一定間隔で応答要求を送信し、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダ11からの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答をタグリーダ11に送信し、タグリーダ11は、RFIDタグ10から応答を受信した場合に、該応答を示すデータを位置管理装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人または物などの位置を把握して管理する位置管理システム、並びにこれに用いられるRFID(Radio-Frequency IDentification)タグおよびタグリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
セミアクティブ型のRFIDタグがタグリーダからの応答要求に応答することにより、RFIDタグが何れのタグリーダの付近に居るかを知ることができる。これにより、例えば、RFIDタグを人が携帯することにより、人の位置を管理するシステムを構築できる。
【0003】
このようなシステムに関連する技術として、特許文献1は、1台のリーダライタに対してRFIDタグから何度も応答が送信されないようにする技術を開示している。より詳しくは、タグのリーダライタからの応答要求を受信すると、応答要求と一緒に送信されてきた応答制御情報を、RFIDタグの記憶部に記憶されている応答制御情報と比較し、同じ場合は探索コマンドへの応答を抑止し、異なる場合は応答を送信し、さらに、記憶部の応答制御情報をリーダライタから受信した応答制御情報で書き換えるRFIDタグの応答制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクティブ型のRFIDタグは電池を内蔵しており、自発的にIDを発信する。したがって、通信回数が多くなると電池の消耗が大きくなり、高い頻度で電池交換する必要がある。その結果、運用コストが高くなるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示された技術では、RFIDタグからの応答回数を減らすことにより、電池の消耗を抑えることができるとともに、RFIDタグの応答信号が干渉するのを回避できる。一方、この技術を用いることにより、位置管理システムは、RFIDタグがタグリーダと通信可能なエリアに入ったことを検知できるが、RFIDタグが通信可能なエリアから出たことは検知できないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、消費電力を抑えて電池寿命を延ばすことができ、しかも、RFIDタグがタグリーダの通信可能なエリアへ入場または退場したことを検知できる位置管理システム、並びにこれに用いられるRFIDタグおよびタグリーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る位置管理システムは、上記課題を解決するために、移動可能なRFIDタグと、RFIDタグと無線で通信を行うタグリーダと、タグリーダからのデータに基づきRFIDタグの位置を管理する位置管理装置を備えた位置管理システムであって、タグリーダは、一定間隔で応答要求を送信し、RFIDタグは、タグリーダからの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダからの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答をタグリーダに送信し、タグリーダは、RFIDタグから応答を受信した場合に、該応答を示すデータを位置管理装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る位置管理システムによれば、RFIDタグの応答送信の回数を減らすことで消費電力を抑えて電池寿命を延ばすことができ、しかも、RFIDタグがタグリーダの通信可能なエリアへ入場または退場したことを検知できる位置管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグが送信する応答のデータフォーマットを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのタグリーダが送信する応答要求のデータフォーマットを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのタグリーダのタグID保存部に保存されるタグID情報のデータフォーマットを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムの位置管理装置の位置情報保存部に保存される位置情報のデータフォーマットを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるRFIDタグの動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるRFIDタグの動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるタグリーダの入退場判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る位置管理システムは、RFIDタグを用いて、あるエリアへ入場したタイミングとエリアから退場したタイミングを、上位の位置管理装置に通知する。後述する実施の形態2および実施の形態3に係る位置管理システムも、実施の形態1に係る位置管理システムと同様である。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。この位置管理システムは、RFIDタグ10、タグリーダ11および位置管理装置12を備えている。RFIDタグ10とタグリーダ11との間は無線で通信が行われ、タグリーダ11と位置管理装置12との間は、ネットワークを介して通信が行われる。
【0013】
まず、RFIDタグ10の詳細を説明する。RFIDタグ10としては、例えば、ICタグから成るセミアクティブ型のRFIDタグが用いられる。RFIDタグ10は、自己に固有のID情報(以下、「タグID」という)を保持しており、タグリーダ11からの「応答要求」に対して、このタグIDを含む「応答」を送信する。
【0014】
RFIDタグ10は、無線通信部100、制御部101、タグID保存部102、リーダID保存部103およびタイマ部104を備えている。
【0015】
無線通信部100は、タグリーダ11からの応答要求を受信して制御部101に送るとともに、制御部101からの指示に応じて応答を送信する。制御部101は、RFIDタグ10の全体を制御する。この制御部101で行われる動作の詳細は後述する。タグID保存部102は、RFIDタグ10に固有のタグIDを保持している。このタグID保存部102に保持されているタグIDは、制御部101によって読み出される。
【0016】
リーダID保存部103は、最後に通信したタグリーダ11に固有のID情報(以下、「リーダID」という)を保存する。このリーダID保存部103には、1つのリーダIDが保存され、初期値は「値なし」である。このリーダID保存部103へのリーダIDの書き込み、および、リーダID保存部103からのリーダIDの読み出しは制御部101によって行われる。
【0017】
タイマ部104は、クロックパルスを数えることにより、経過時間を計測する。このタイマ部104は、カウンタ保存部1041を有し、カウンタ保存部1041には、時間を示す値がミリ秒単位で保存される。カウンタ保存部1041の初期値は「0」である。このタイマ部104の起動、停止およびカウンタ値の読み出しは、制御部101によって行われる。
【0018】
次に、タグリーダ11の詳細を説明する。タグリーダ11は、RFIDタグ10に「応答要求」を送信し、RFIDタグ10からの「応答」を受信する。このタグリーダ11は、リーダIDを保持しており、応答要求には、このリーダIDが含まれる。
【0019】
なお、図1では、1台のタグリーダ11で応答要求の送信および応答の受信を行う構成例を示しているが、送信専用のタグリーダと受信専用のタグリーダを使用するように構成することもできる。また、応答要求の通信に使用する周波数帯と応答の通信に使用する周波数帯は同一でなくてもよい。ただし、応答要求の送信可能距離よりも、応答の送信可能距離のほうが長くなるように、送信周波数および送信電力が定められている。
【0020】
タグリーダ11は、無線通信部110、制御部111、リーダID保存部112、タグID保存部113、時刻管理部114およびNW通信部115を備えている。
【0021】
無線通信部110は、制御部111からの指示に応じて応答要求を送信するとともに、RFIDタグ10からの応答を受信して制御部111に送る。制御部111は、タグリーダ11の全体を制御する。この制御部111で行われる動作の詳細は後述する。リーダID保存部112は、タグリーダ11に固有のリーダIDを保持している。このタグID保存部112に保持されているリーダIDは、制御部111によって読み出される。
【0022】
タグID保存部113は、通信したRFIDタグ10に関するタグID情報を保存する。このタグID保存部113へのタグID情報の書き込み、および、タグID保存部103からのタグID情報の読み出しは制御部111によって行われる。
【0023】
時刻管理部114は、内部に備えた時計機構(図示しない)から現在の時刻を取得する。この時刻管理部114で取得された時刻は、制御部111に送られる。NW通信部115は、制御部111から送られてきた位置情報を、ネットワークを介して位置管理装置12に通知する。
【0024】
図2は、RFIDタグ10が送信する応答のデータフォーマットを示す。応答は、送信元のRFIDタグ10のタグIDを格納するタグID部201、送信先のタグリーダのリーダIDを格納するリーダID部202および応答の種別を示す応答種別部203からなる。応答種別には、あるエリアにRFIDタグ10の所持者が入ったことを示す「入場」(図2(a)参照)、あるエリアからRFIDタグ10の所持者が出たことを示す「退場」(図2(b)参照)、および、どちらか分からない場合に使用する「不明」(図2(c)参照)がある。以降、応答種別が「入場」の応答を入場応答と呼び、「退場」の応答を退場応答と呼ぶ。
【0025】
図3は、タグリーダ11が送信する応答要求のデータフォーマットを示す。応答要求は、送信元のタグリーダ11のリーダIDを格納するリーダID部301と、応答要求の種別を格納する要求種別部302からなる。要求種別には、通常の応答要求であることを示す「要求」(図3(a)参照)と応答させないことを示す「抑止」(図3(b)参照)の2種類がある。以下においては、要求種別が「要求」の応答要求を単に「応答要求」と呼び、要求種別が、応答の抑止を指示する「抑止」の応答要求を「応答抑止」と呼ぶ。
【0026】
図4は、タグリーダ11のタグID保存部113に保存される、タグID情報のデータフォーマットを示す。タグID情報は、送信元のRFIDタグのタグIDを格納するタグID部401と、応答を受信した時刻を格納する時刻部402からなる。
【0027】
位置管理装置12は、RFIDタグ10の位置情報をタグリーダ11から受け取り、受け取った位置情報を位置情報保存部121に保存する。位置情報を利用するアプリケーションは、この位置情報保存部121を参照することにより、RFIDタグ10の位置に関する情報を得ることができる。
【0028】
図5は、位置情報保存部121に保存される位置情報のデータフォーマットを示す。この位置情報は、時刻を格納する時刻部501、タグIDを格納するタグID部502、リーダIDを格納するリーダID部503および応答種別を格納する内容部504からなる。
【0029】
次に、上記のように構成される実施の形態1に係る位置管理システムの動作を説明する。最初に、RFIDタグ10の動作を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0030】
RFIDタグ10の動作が開始されると、まず、応答要求が受信されたかどうかが調べられる(ステップST101)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答要求を受信したかどうかを調べる。このステップST101において、応答要求が受信されたことが判断されると、次いで、リーダIDが保存されているかどうかが調べられる(ステップST102)。すなわち、制御部101は、リーダID保存部103を参照し、リーダIDが保存されているかどうかを調べる。
【0031】
このステップST102において、リーダIDが保存されていないことが判断されると、次いで、タイマが開始される(ステップST103)。すなわち、制御部101は、タイマ部104を起動し、経過時間の計測を開始させる。これにより、タイマ部104は、経過時間を計測し、カウンタ保存部1041に逐次保存する。その後、シーケンスはステップST105に進む。
【0032】
上記ステップST102において、リーダIDが保存されていることが判断されると、次いで、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致するかどうかが調べられる(ステップST104)。すなわち、制御部101は、受信した応答要求のリーダIDと、リーダID保存部103に保存されているリーダIDとが一致するかどうかを調べる。
【0033】
このステップST104において、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致することが判断されると、シーケンスはステップST107に進む。
一方、ステップST104において、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致しないことが判断されると、シーケンスはステップST105に進む。
【0034】
ステップST105においては、入場応答が送信される。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に入場応答を送信する。次いで、受信された応答要求のリーダIDが保存される(ステップST106)。すなわち、制御部101は、受信した応答要求に含まれるリーダIDをリーダID保存部103に保存する。その後、シーケンスはステップST107に進む。
【0035】
ステップST107においては、タイマのカウンタ値がゼロにリセットされる。すなわち、制御部101は、タイマ部104に対し、カウンタ保存部1041に保存されているカウンタ値をゼロにクリアするように指示する。その後、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0036】
上記ステップST101において、応答要求を受信していないことが判断されると、次いで、タイマのカウンタ値がT1以上であるかどうかが調べられる(ステップST108)。すなわち、制御部101は、タイマ部104のカウンタ保存部1041からカウンタ値を取得し、この取得したカウンタ値が所定値T1以上であるかどうかを調べる。このステップST108において、タイマのカウンタ値がT1以上でないことが判断されると、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。以後、応答要求が受信されるまで、ステップST101とステップST108を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態になる。
【0037】
一方、ステップST108において、タイマのカウンタ値がT1以上であることが判断されると、タイマが停止される(ステップST109)。すなわち、制御部101は、タイマ部104に停止を指示し、経過時間の計測を停止させる。次いで、退場応答が送信される(ステップST110)。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に退場応答を送信する。
【0038】
次いで、リーダIDが消去される(ステップST111)。すなわち、制御部101は、リーダID保存部103に保存されているリーダIDを消去する。その後、シーケンスはステップST107に進み、上述した処理が行われる。
【0039】
次に、タグリーダ11の動作を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。タグリーダ11では、図7(a)に示す送信処理と、図7(b)に示す受信処理が並行して実行される。
【0040】
最初に、送信処理について、図7(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。送信処理では、まず、現在時刻Nが取得される(ステップST201)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻Nを取得する。次いで、応答要求が送信される(ステップST202)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答要求を送信する。
【0041】
次いで、現在時刻はN+F以降になったかどうかが調べられる(ステップST203)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻を取得し、この取得した現在時刻が、ステップST201で取得した現在時刻Nに一定値Fを加えた時刻以降になったかどうかを調べる。このステップST203において、現在時刻はN+F以降になっていないことが判断されると、このステップST203を繰り返し実行しながら、現在時刻がN+F以降になるまで待機する。このステップST203の繰り返し実行による待機中に、現在時刻がN+F以降になったことが判断されると、シーケンスはステップST201に戻り、上述した処理が繰り返される。これにより、タグリーダ11は、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが含まれる応答要求を送信し続ける。
【0042】
次に、受信処理について、図7(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。
受信処理では、まず、応答が受信されたかどうかが調べられる(ステップST211)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答が受信されたかどうかを調べる。このステップST211において、応答が受信されていないことが判断されると、ステップST211を繰り返し実行しながら、RFIDタグ10からの応答が受信されるまで待機する。
【0043】
ステップST211の繰り返し実行による待機中に、応答が受信されたことが判断されると、現在時刻、応答のタグIDおよび応答種別が位置管理装置に通知される(ステップST212)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるRFIDタグ10のタグIDおよび入場、退場または不明を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信する。その後、シーケンスはステップST211に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0044】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図8に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態1に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア601に入場し、および、エリア601から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0045】
図8は、RFIDタグ10を持った動体が、軌跡65に沿って移動した場合の、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で行われる通信を示している。RFIDタグ10を所持した動体が位置650にいる時点では、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601の外部であるので応答要求610を受信できず、ステップST101とステップST108を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態に入る。
【0046】
RFIDタグ10を所持した動体が位置651に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601に入るので、タグリーダ11からの応答要求611を受信する。
【0047】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST102において、自分のリーダID保存部103にリーダIDが保存されているかどうかを判定する。図8に示す例では、エリア601に入ってから最初の応答要求の受信であるので、未だリーダID保存部103にリーダIDが保存されていない。したがって、シーケンスはステップST103に進み、タイマ部104の動作が開始される。
【0048】
動作を開始したタイマ部104は、カウンタ保存部1041の値を1ミリ秒毎にインクリメント(+1)させる。ただし、カウンタ保存部1041の内容の最大値はT1とし、最大値に達した場合は、その状態を維持する。この動作は、ステップST103において、タイマ部104の動作が開始された後に開始され、ステップST109においてタイマ部104の動作が停止されるまで継続する。
【0049】
次に、RFIDタグ10は、ステップST105において、自己のタグIDが格納された入場応答631を送信する。つまり、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの送信を受信可能なエリアに入って最初に応答要求を受信できた場合に、入場応答をタグリーダ11に送信する。その後、ステップST106において、受信した応答要求に含まれるリーダID部301の値を、リーダID保存部103に保存する。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0050】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの入場応答631を受信すると、ステップST212において、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値、リーダID保存部112に保存されている自己のリーダIDおよび応答に含まれる応答種別部203の内容(図8に示す例では「入場」)を、図5に示すデータフォーマットを有する位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア601に入ったことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0051】
RFIDタグ10を所持した動体が位置652に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601に入ったままであるため、タグリーダ11からの応答要求612を受信する。
【0052】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST102において、自分のリーダID保存部103にリーダIDが保存されているかどうかを判定する。この場合、上述した動作によって、ステップST106でリーダID保存部103にリーダIDが保存されているのでステップST104に移り、応答要求に含まれるリーダID部301の値とリーダID保存部103に保存されているリーダIDを比較する。両者の値が一致した場合は、入場応答635の送信は行われず、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0053】
上述した例では、ステップST104における判定の結果、リーダIDが一致した場合について説明したが、例えばRFIDタグ10がエリア601から別のタグリーダのエリアに移動したなどの理由により、リーダIDが一致しなかった場合は、ステップST105に移り、入場応答が送信される。その後、ステップST106において、受信した応答要求に含まれるリーダID部301の値がリーダID保存部103に上書き保存される。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0054】
次に、RFIDタグ10を所持した動体が位置654に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601から出るため、タグリーダ11からの応答要求614を受信できない。この場合、最後に応答要求613を受信してから所定値T1ミリ秒後に、タイマ部104の動作によってカウンタ保存部1041の内容がT1以上となるため、ステップST108においてYESと判断される。
【0055】
したがって、RFIDタグ10は、ステップST109において、タイマ部104の動作を停止し、次いで、ステップST110において、自己のタグIDを含む退場応答634を送信し、さらに、ステップST111において、リーダID保存部103に保存されている内容を消去する。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保持部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダからの応答要求待ちの状態になる。
【0056】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの退場応答634を受信すると、時刻管理部114から取得した現在の時刻、応答に含まれるタグID部201の値、リーダID保存部112に保存されている自己のリーダIDおよび応答に含まれる応答種別部203の内容(図8に示す例では「退場」)を、図5に示すデータフォーマットを有する位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア601から出たことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0057】
このとき、退場応答の通信可能距離が応答要求の通信可能距離以下であると、タグリーダ11は退場応答を受信することができない。したがって、実施の形態1においては、応答要求の通信可能距離よりも、応答の通信可能距離が長くなるように送信電力が調整されている。これにより、タグリーダ11は、エリア601の外にいるRFIDタグ10が送信した退場応答を受信することが可能となる。具体的には、退場応答を送信するまでの待ち時間をT1ミリ秒、想定するRFIDタグ10の移動速度をAメートル/ミリ秒とした場合、(A×T1)メートル以上、応答の通信可能距離が長くなるように送信電力が定められる。また、上述した機能は、応答と応答要求を、別の周波数帯を用いた非対称な通信にすることにより実現することもできる。この場合も、上記と同様に、応答の通信可能距離が応答要求の通信可能距離よりも長くなるように周波数帯と送信電力が定められる。
【0058】
以上説明したように、実施の形態1に係る位置管理システムによれば、RFIDタグ10が、タグリーダ11の応答要求を受信可能なエリアへ最初に入場した後、および、該エリアから退場した後の短い時間のみRFIDタグ10が通信を行うので、RFIDタグ10の位置を確実に把握できるとともに、RFIDタグ10の電池寿命を延長させることができる。
【0059】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る位置管理システムは、図示は省略するが、図1に示した実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグ10からリーダID保存部103およびタイマ部104が除去されて構成されている。なお、実施の形態2に係る位置管理システムでは、後述するように、入場か退場かを判断できないので、上位のアプリケーションにおいて、RFIDタグがエリア内にいるかエリア外にいるかを管理しておき、通知に基づいて入場か退場かを判断する処理が必要となる。
【0060】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係る位置管理システムの動作を説明する。まず、RFIDタグ10の動作を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0061】
RFIDタグ10の動作が開始されると、まず、応答要求が受信されたかどうかが調べられる(ステップST301)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答要求を受信したかどうかを調べる。このステップST301において、応答要求を受信していないことが判断されると、このステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態になる。
【0062】
一方、ステップST301において、応答要求を受信したことが判断されると、次いで、応答抑止を受信したかどうかが調べられる(ステップST302)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答抑止を受信したかどうかを調べる。このステップST302において、応答抑止を受信したことが判断されると、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0063】
上記ステップST302において、応答抑止を受信していないことが判断されると、応答送信が行われる(ステップST303)。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を送信する。その後、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0064】
次に、タグリーダ11の動作を、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。タグリーダ11では、図10(a)に示す送信処理と図10(b)に示す受信処理が並行して実行される。
【0065】
最初に、送信処理について、図10(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。送信処理では、まず、現在時刻Nが取得される(ステップST401)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻Nを取得する。次いで、応答要求が送信される(ステップST402)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答要求を送信する。次いで、応答抑止が送信される(ステップST403)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答抑止を送信する。
【0066】
次いで、現在時刻はN+F以降になったかどうかが調べられる(ステップST404)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻を取得し、この取得した現在時刻が、ステップST401で取得した現在時刻Nに一定値Fを加えた時刻以降になったかどうかを調べる。このステップST404において、現在時刻はN+F以降になっていないことが判断されると、このステップST404を繰り返し実行しながら、現在時刻がN+F以降になるまで待機する。このステップST404の繰り返し実行による待機中に、現在時刻がN+F以降になったことが判断されると、シーケンスはステップST401に戻り、上述した処理が繰り返される。これにより、RFIDタグ10は、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが含まれる応答要求および応答抑止を送信し続ける。
【0067】
次に、受信処理について、図10(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。受信処理では、まず、応答を受信したかどうかが調べられる(ステップST411)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答が受信されたかどうかを調べる。このステップST411において、応答が受信されていないことが判断されると、ステップST411を繰り返し実行しながら、RFIDタグ10からの応答が受信されるまで待機する。
【0068】
ステップST411の繰り返し実行による待機中に、応答が受信されたことが判断されると、現在時刻、応答のタグIDおよび応答種別「不明」が位置管理装置に通知される(ステップST412)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるRFIDタグ10のタグIDおよび不明を示す応答種別を、位置情報として、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信する。その後、シーケンスはステップST411に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0069】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図11に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態2に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア701に入場したこと、および、エリア701から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0070】
タグリーダ11は、図10(a)のステップST401、ST402およびST404に示すように、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが格納された応答要求を送信し続ける。また、これと並行して、図10(b)のステップST411に示すように、RFIDタグ10からの応答の受信を待ち続ける。
【0071】
また、タグリーダ11は、図10(a)のステップST403に示すように、応答要求を送信した直後に、応答抑止を送信する。この応答抑止は、応答要求よりも低い電力によって送信する。これにより、図11に示すように、応答要求は受信可能(エリア701の内側)であるが、応答抑止は受信不可能(エリア702の外側)であるエリアが形成される。この位置管理システムでは、このエリアでのみRFIDタグ10が応答を送信することにより、RFIDタグ10が応答を送信する回数を減らしつつ、入場と退場のタイミングを通知することが実現されている。
【0072】
RFIDタグ10は、図9のステップST301に示すように、タグリーダ11からの応答要求の受信を待ち続ける。なお、RFIDタグ10は、応答要求を受信可能な周期であれば、連続してではなく、一定間隔で応答要求を受信したかどうかを調べる動作、つまり間欠動作を行うように構成することもできる。
【0073】
図11は、RFIDタグ10を持った動体が、軌跡75に沿って移動した場合の、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で行われる通信を示している。RFIDタグ10を所持した動体が位置750にいる時点では、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701の外部であるので応答要求7100および応答抑止7101を受信できず、ステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態に入る。
【0074】
RFIDタグ10を所持した動体が位置751に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダからの応答要求を受信可能なエリア701に入るため、タグリーダ11からの応答要求7110を受信する。一方、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702には入っていないため、応答抑止7111を受信することはできない。
【0075】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST302において、応答抑止を連続して受信したか否かを調べる。位置751では応答抑止を受信できないため、ステップST302においては、応答抑止を連続して受信できなかった旨が判断される。RFIDタグ10は、ステップST303において、自己のタグIDを含めた応答種別「不明」の応答731、つまりタグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を送信し、再びステップST301を繰り返し実行しながらタグリーダ11からの応答要求を待つ状態に戻る。
【0076】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答731を受信すると、ステップST412に示すように、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値および応答に含まれる応答種別「不明」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア701に入場したことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0077】
RFIDタグ10を所持した動体が位置752に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701に入っているため、タグリーダ11からの応答要求7120を受信する。また、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702にも入るため、応答抑止7121も受信する。
【0078】
RFIDタグ10は応答要求を受信すると、ステップST302において、続けて応答抑止を受信したかを判定する。位置752では応答抑止も受信できるため、判定はYESとなる。RFIDタグ10は、応答735を送信せずにステップST301に戻り、タグリーダ11からの応答要求待ちの状態に戻る。
【0079】
RFIDタグ10を所持した動体が位置753に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701に入っているため、タグリーダ11からの応答要求7130を受信する。一方、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702には入っていないため、応答抑止7131は受信できない。
【0080】
RFIDタグ10は、ステップST301において、応答要求を受信したことを判断すると、ステップST302において、続けて応答抑止信号を受信したかを判定する。位置753では応答抑止を受信できないため、続けて応答抑止を受信できなかった旨が判定される。RFIDタグ10は、ステップST303において、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答733を送信し、その後、ステップST301に戻って、再びタグリーダからの応答要求待ちの状態になる。
【0081】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答733を受信すると、ステップST412に示すように、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値および応答に含まれる応答種別「不明」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア701に入場していることを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0082】
RFIDタグ10を所持した動体が位置754に移動すると、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701から出るため、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求7140と応答抑止7141を受信できず、ステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ちの状態に戻る。
【0083】
以上説明したように、実施の形態2に係る位置管理システムのRFIDタグ10は、実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグ10からリーダID保存部103およびタイマ部104が除去されて構成されているので、RFIDタグ10の構成および処理手順が簡易になっている。
【0084】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る位置管理システムの構成は、上述した実施の形態2に係る位置管理システムの構成と同じである。この実施の形態3は、RFIDタグからの応答を受信した後のタグリーダの動作のみが実施の形態2と異なる。
【0085】
以下では、実施の形態2と異なるタグリーダ11の動作のみを、図12および図13に示す受信処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0086】
受信処理では、まず、応答が受信されたかどうかが調べられる(ステップST511)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答を受信したかどうかを調べる。このステップST511において、応答が受信されたことが判断されると、次いで、応答のタグIDと現在時刻が保存される(ステップST512)。すなわち、制御部111は、応答に含まれるタグIDと時刻管理部114から取得した現在時刻を、タグID情報としてタグID保存部113に保存する。この際、同一のタグIDを含むタグID情報がタグID保存部113に保存されていれば、上書き保存される。その後、シーケンスはステップST511に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0087】
一方、ステップST511において、応答が受信されていないことが判断されると、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されているかどうかが調べられる(ステップST513)。すなわち、制御部111は、タグID保存部113に、時刻管理部114から取得した現在時刻よりも所定値T2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかを調べる。このステップST513において、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されていないことが判断されると、シーケンスはステップST511に戻り、上述した処理が繰り返される。以後、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されるまで、ステップST511とステップST513を繰り返し実行しながら応答待ち状態になる。
【0088】
上記ステップST513において、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されていることが判断されると、入退場判定処理が行われる(ステップST514)。その後、シーケンスはステップST511に戻る。
【0089】
次に、ステップST514で実行される入退場判定処理の詳細を、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
入退場判定処理では、まず、応答抑止の送信が停止され、応答要求が送信されるまで待機する(ステップST516)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介する応答抑止の送信を停止し、応答要求を送信するまで待機状態に入る。
【0091】
次いで、現在時刻N1が取得される(ステップST517)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻N1を取得する。次いで、応答を受信したかどうかが調べられる(ステップST518)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答を受信したかどうかを調べる。
【0092】
このステップST518において、応答を受信したことが判断されると、次いで、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報があるかどうかが調べられる(ステップST519)。すなわち、制御部111は、応答に含まれるタグIDと同一のタグIDを有し、かつ、時刻管理部114から取得した現在時刻N1より定数値T2ミリ秒以上前のタグID情報が、タグID保存部113に保存されているかどうかを調べる。このステップST519において、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報がないことが判断されると、シーケンスはステップST521に進む。
【0093】
一方、ステップST519において、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報があることが判断されると、次いで、該当するタグID情報の時刻、タグIDおよび応答種別「入場」を位置管理装置に通知し、該当タグID情報が削除される(ステップST520)。すなわち、制御部111は、ステップST519で得られたタグID情報に含まれる時刻、タグIDおよび入場を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信した後、タグID情報を削除する。その後、シーケンスはステップST521に進む。
【0094】
ステップST521においては、現在時刻N2が取得される。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻N2を取得する。次いで、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上であるかどうかが調べられる(ステップST522)。すなわち、制御部111は、ステップST517で取得した時刻N1とステップST521で取得したN2との差を算出し、この差が所定値Fミリ秒以上であるかどうかを調べる。このステップST522において、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上でないことが判断されると、シーケンスはステップST518に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0095】
一方、ステップST522において、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上であることが判断されると、次いで、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかが調べられる(ステップST523)。すなわち、制御部111は、タグID保存部113に、ステップST517において時刻管理部114から取得した時刻N1より所定値T2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかを調べる。
【0096】
このステップST523において、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されていることが判断されると、次いで、該当するタグID情報の時刻、タグIDおよび応答種別「退場」を位置管理装置に通知し、該当タグID情報が削除される(ステップST524)。すなわち、制御部111は、ステップST523で検索されたタグID情報に含まれる時刻、タグIDおよび退場を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信した後、タグID情報を削除する。
【0097】
一方、ステップST523において、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されていないことが判断されると、ステップST524の処理はスキップされる。次いで、応答抑止の送信が再開される(ステップST525)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答抑止を送信する。その後、シーケンスは図12に示したフローチャートのステップST511に戻る。
【0098】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図14に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態3に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア801に入場したこと、および、エリア801から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0099】
まず、RFIDタグ10を所持した動体がエリア801へ入場する場合の動作について説明する。
【0100】
RFIDタグ10を所持した動体が位置851にいるとき、RFIDタグ10は、応答要求8110のみを受信でき、応答抑止8111を受信できないため、自己のタグIDを含んだ応答種別「不明」の応答831を送信する。
【0101】
タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答831を受信すると、ステップST512において、応答に含まれるタグID部201の値および時刻管理部114から取得した現在の時刻を、タグID情報として、タグID保存部113に保存する。既に存在しているタグID情報の中に、応答に含まれるタグID部201の値と同一のタグID部401の値を持つタグID情報が存在しなければ、それを追加して保存し、同一のタグIDを持つタグID情報が存在する場合は、新しいタグID情報で古いタグID情報を上書きする。
【0102】
RFIDタグ10を所持した動体が位置852にいるとき、RFIDタグ10は、応答要求8120と応答抑止8121を受信できるため、応答を送信しない。この場合、タグリーダ11は、ステップST511において、RFIDタグ10からの応答の受信を待つとともに、ステップST513において、タグリーダ11の制御部111は、タグID保存部113を検索し、時刻管理部114から取得した現在時刻よりも所定値T2ミリ秒(T2はFよりも大きいこと)以上前の時刻部402の値を持つタグID情報があるかを調べる。これにより、RFIDタグ10を持った動体がエリア802内に入場(位置852へ移動)し、または、エリア801から退場(位置854へ移動)することにより、RFIDタグ10からの応答がなくなってからT2ミリ秒経過すると、ステップST514の入退場判定処理に移る。
【0103】
入退場判定処理(図13参照)に移ると、タグリーダ11は、ステップST516において応答抑止の送信を停止し、受信処理を待機させる。応答抑止の停止が実行されると、送信処理は送信のタイミングで応答要求8122のみを送信する。これに対し、RFIDタグ10は、エリア801の内部にいるため、応答832を返す。
【0104】
タグリーダ11は、応答要求を送信した後、受信処理を再開するとともに、時刻管理部114から現在時刻を取得してN1として保持しておく。その後、所定値Fミリ秒だけ待ち、その間に、ステップST518において応答を受信した場合、タグリーダ11は、タグID保存部113を検索し、入退場判定処理への移行の原因となったRFIDタグ10と同一かどうかを判定する。すなわち、ステップST519において、応答に含まれるタグID部201の値と同一のタグID部401の値を持ち、かつ、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が存在するかどうかを検索する。
【0105】
図14の位置850から位置852への入場のケースでは、上記ステップST512で保存したタグID情報が検索される。この場合、タグリーダ11は、該当するRFIDタグ10が入場したものと判定し、ステップST520において、該当するタグID情報の時刻部402の値、タグID部401の値および応答種別「入場」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10がエリア801へ入ったことを検知できる。そして、通知が完了したタグID情報は、再通知されないように、タグID保存部113から削除される。入退場判定処理に移行した後、ステップST522に示すようにFミリ秒経過したならば、入退場判定処理を終了する。
【0106】
次に、RFIDタグ10を所持した動体がエリア801から退場する場合の動作について説明する。RFIDタグ10を所持した動体が位置853から位置854に移動する、つまり退場するとき、上述した動作と同様の動作により、タグリーダ11は、入退場判定処理に移る。
【0107】
入退場判定処理に移ると、タグリーダ11は、ステップST516において応答抑止の送信を停止し、受信処理を待機させる。応答抑止の停止が実行されると、送信処理は送信のタイミングで応答要求8142のみを送信する。これに対し、RFIDタグ10はエリア801の外部にいるため、応答を返さない。
【0108】
タグリーダ11は、応答要求を送信した後、受信処理を再開するとともに、時刻管理部114から現在時刻を取得してN1として保持しておく。ステップST522において、Fミリ秒経過したことが判断されると、入退場判定処理は終了する。このときタグリーダ11は、タグID保存部113を検索し、入退場判定処理への移行の原因となったRFIDタグ10のタグID情報が残っているかどうかを確認する。すなわち、ステップST523において、タグID保存部113に、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が存在するかが検索される。
【0109】
図14の位置853から位置854への退場のケースでは、ステップST520が実行されなかったため、検索結果として、ステップST512で保存されたタグID情報が得られる。この場合、タグリーダ11は、該当するRFIDタグが退場したものと判定し、ステップST524において、該当するタグID情報の時刻部402の値、タグID部401の値および応答種別「退場」を位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10がエリア801から出たことを検知できる。そして、通知が完了したタグID情報は、再通知しないように、タグID保存部113から削除される。
【0110】
なお、上述した実施の形態2および実施の形態3においては、応答要求を送信するタグリーダと応答抑止を送信するタグリーダを分けて構成することもできる。また、複数のタグリーダを使用することもでき、これにより、より複雑な形状の応答範囲を作り出すことが可能となる。
【0111】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る位置管理システムによれば、タグリーダ11は、入場または退場が行われたときに、応答抑止の送信を一時的に停止するように構成したので、位置管理システム内において、入場か退場かの判定が可能になっている。
【0112】
上述した実施の形態1〜実施の形態3に係る位置管理システムによれば、以下の効果を奏する。すなわち、従来の技術を用いてセミアクティブ型のRFIDタグによって同等の効果(入場と退場を検知)を得ようとした場合、RFIDタグは応答要求に対して常に応答を送信する必要があるが、実施の形態1〜実施の形態3に係る位置管理システムによれば、RFIDタグが図8のエリア601、図11のエリア702、図14のエリア802内にいる間は応答を送信する必要がなくなり、図8の入場応答635、636および637、図11の応答735および736、図14の応答835および836の送信電力を減らすことができる。
【0113】
また、この発明の主たる適用範囲は、電池を使用するアクティブ型またはセミアクティブ型のRFIDタグであるが、パッシブ型のRFIDタグにも適用することは可能である。この場合、RFIDタグの通信回数を減らすことにより、RFIDタグ同士の通信の衝突を回避できる。
【0114】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0115】
10 RFIDタグ、100 無線通信部、101 制御部、102 タグID保存部、103 リーダID保存部、104 タイマ部、1041 カウンタ保存部、11 タグリーダ、110 無線通信部、111 制御部、112 リーダID保存部、113 タグID保存部、114 時刻管理部、115 NW通信部、12 位置管理装置、121 位置情報保存部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、人または物などの位置を把握して管理する位置管理システム、並びにこれに用いられるRFID(Radio-Frequency IDentification)タグおよびタグリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
セミアクティブ型のRFIDタグがタグリーダからの応答要求に応答することにより、RFIDタグが何れのタグリーダの付近に居るかを知ることができる。これにより、例えば、RFIDタグを人が携帯することにより、人の位置を管理するシステムを構築できる。
【0003】
このようなシステムに関連する技術として、特許文献1は、1台のリーダライタに対してRFIDタグから何度も応答が送信されないようにする技術を開示している。より詳しくは、タグのリーダライタからの応答要求を受信すると、応答要求と一緒に送信されてきた応答制御情報を、RFIDタグの記憶部に記憶されている応答制御情報と比較し、同じ場合は探索コマンドへの応答を抑止し、異なる場合は応答を送信し、さらに、記憶部の応答制御情報をリーダライタから受信した応答制御情報で書き換えるRFIDタグの応答制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アクティブ型のRFIDタグは電池を内蔵しており、自発的にIDを発信する。したがって、通信回数が多くなると電池の消耗が大きくなり、高い頻度で電池交換する必要がある。その結果、運用コストが高くなるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示された技術では、RFIDタグからの応答回数を減らすことにより、電池の消耗を抑えることができるとともに、RFIDタグの応答信号が干渉するのを回避できる。一方、この技術を用いることにより、位置管理システムは、RFIDタグがタグリーダと通信可能なエリアに入ったことを検知できるが、RFIDタグが通信可能なエリアから出たことは検知できないという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、消費電力を抑えて電池寿命を延ばすことができ、しかも、RFIDタグがタグリーダの通信可能なエリアへ入場または退場したことを検知できる位置管理システム、並びにこれに用いられるRFIDタグおよびタグリーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る位置管理システムは、上記課題を解決するために、移動可能なRFIDタグと、RFIDタグと無線で通信を行うタグリーダと、タグリーダからのデータに基づきRFIDタグの位置を管理する位置管理装置を備えた位置管理システムであって、タグリーダは、一定間隔で応答要求を送信し、RFIDタグは、タグリーダからの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダからの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答をタグリーダに送信し、タグリーダは、RFIDタグから応答を受信した場合に、該応答を示すデータを位置管理装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る位置管理システムによれば、RFIDタグの応答送信の回数を減らすことで消費電力を抑えて電池寿命を延ばすことができ、しかも、RFIDタグがタグリーダの通信可能なエリアへ入場または退場したことを検知できる位置管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグが送信する応答のデータフォーマットを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのタグリーダが送信する応答要求のデータフォーマットを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムのタグリーダのタグID保存部に保存されるタグID情報のデータフォーマットを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムの位置管理装置の位置情報保存部に保存される位置情報のデータフォーマットを示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるRFIDタグの動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるRFIDタグの動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態2に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるタグリーダの動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるタグリーダの入退場判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態3に係る位置管理システムにおけるRFIDタグとタグリーダの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る位置管理システムは、RFIDタグを用いて、あるエリアへ入場したタイミングとエリアから退場したタイミングを、上位の位置管理装置に通知する。後述する実施の形態2および実施の形態3に係る位置管理システムも、実施の形態1に係る位置管理システムと同様である。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る位置管理システムの構成を示すブロック図である。この位置管理システムは、RFIDタグ10、タグリーダ11および位置管理装置12を備えている。RFIDタグ10とタグリーダ11との間は無線で通信が行われ、タグリーダ11と位置管理装置12との間は、ネットワークを介して通信が行われる。
【0013】
まず、RFIDタグ10の詳細を説明する。RFIDタグ10としては、例えば、ICタグから成るセミアクティブ型のRFIDタグが用いられる。RFIDタグ10は、自己に固有のID情報(以下、「タグID」という)を保持しており、タグリーダ11からの「応答要求」に対して、このタグIDを含む「応答」を送信する。
【0014】
RFIDタグ10は、無線通信部100、制御部101、タグID保存部102、リーダID保存部103およびタイマ部104を備えている。
【0015】
無線通信部100は、タグリーダ11からの応答要求を受信して制御部101に送るとともに、制御部101からの指示に応じて応答を送信する。制御部101は、RFIDタグ10の全体を制御する。この制御部101で行われる動作の詳細は後述する。タグID保存部102は、RFIDタグ10に固有のタグIDを保持している。このタグID保存部102に保持されているタグIDは、制御部101によって読み出される。
【0016】
リーダID保存部103は、最後に通信したタグリーダ11に固有のID情報(以下、「リーダID」という)を保存する。このリーダID保存部103には、1つのリーダIDが保存され、初期値は「値なし」である。このリーダID保存部103へのリーダIDの書き込み、および、リーダID保存部103からのリーダIDの読み出しは制御部101によって行われる。
【0017】
タイマ部104は、クロックパルスを数えることにより、経過時間を計測する。このタイマ部104は、カウンタ保存部1041を有し、カウンタ保存部1041には、時間を示す値がミリ秒単位で保存される。カウンタ保存部1041の初期値は「0」である。このタイマ部104の起動、停止およびカウンタ値の読み出しは、制御部101によって行われる。
【0018】
次に、タグリーダ11の詳細を説明する。タグリーダ11は、RFIDタグ10に「応答要求」を送信し、RFIDタグ10からの「応答」を受信する。このタグリーダ11は、リーダIDを保持しており、応答要求には、このリーダIDが含まれる。
【0019】
なお、図1では、1台のタグリーダ11で応答要求の送信および応答の受信を行う構成例を示しているが、送信専用のタグリーダと受信専用のタグリーダを使用するように構成することもできる。また、応答要求の通信に使用する周波数帯と応答の通信に使用する周波数帯は同一でなくてもよい。ただし、応答要求の送信可能距離よりも、応答の送信可能距離のほうが長くなるように、送信周波数および送信電力が定められている。
【0020】
タグリーダ11は、無線通信部110、制御部111、リーダID保存部112、タグID保存部113、時刻管理部114およびNW通信部115を備えている。
【0021】
無線通信部110は、制御部111からの指示に応じて応答要求を送信するとともに、RFIDタグ10からの応答を受信して制御部111に送る。制御部111は、タグリーダ11の全体を制御する。この制御部111で行われる動作の詳細は後述する。リーダID保存部112は、タグリーダ11に固有のリーダIDを保持している。このタグID保存部112に保持されているリーダIDは、制御部111によって読み出される。
【0022】
タグID保存部113は、通信したRFIDタグ10に関するタグID情報を保存する。このタグID保存部113へのタグID情報の書き込み、および、タグID保存部103からのタグID情報の読み出しは制御部111によって行われる。
【0023】
時刻管理部114は、内部に備えた時計機構(図示しない)から現在の時刻を取得する。この時刻管理部114で取得された時刻は、制御部111に送られる。NW通信部115は、制御部111から送られてきた位置情報を、ネットワークを介して位置管理装置12に通知する。
【0024】
図2は、RFIDタグ10が送信する応答のデータフォーマットを示す。応答は、送信元のRFIDタグ10のタグIDを格納するタグID部201、送信先のタグリーダのリーダIDを格納するリーダID部202および応答の種別を示す応答種別部203からなる。応答種別には、あるエリアにRFIDタグ10の所持者が入ったことを示す「入場」(図2(a)参照)、あるエリアからRFIDタグ10の所持者が出たことを示す「退場」(図2(b)参照)、および、どちらか分からない場合に使用する「不明」(図2(c)参照)がある。以降、応答種別が「入場」の応答を入場応答と呼び、「退場」の応答を退場応答と呼ぶ。
【0025】
図3は、タグリーダ11が送信する応答要求のデータフォーマットを示す。応答要求は、送信元のタグリーダ11のリーダIDを格納するリーダID部301と、応答要求の種別を格納する要求種別部302からなる。要求種別には、通常の応答要求であることを示す「要求」(図3(a)参照)と応答させないことを示す「抑止」(図3(b)参照)の2種類がある。以下においては、要求種別が「要求」の応答要求を単に「応答要求」と呼び、要求種別が、応答の抑止を指示する「抑止」の応答要求を「応答抑止」と呼ぶ。
【0026】
図4は、タグリーダ11のタグID保存部113に保存される、タグID情報のデータフォーマットを示す。タグID情報は、送信元のRFIDタグのタグIDを格納するタグID部401と、応答を受信した時刻を格納する時刻部402からなる。
【0027】
位置管理装置12は、RFIDタグ10の位置情報をタグリーダ11から受け取り、受け取った位置情報を位置情報保存部121に保存する。位置情報を利用するアプリケーションは、この位置情報保存部121を参照することにより、RFIDタグ10の位置に関する情報を得ることができる。
【0028】
図5は、位置情報保存部121に保存される位置情報のデータフォーマットを示す。この位置情報は、時刻を格納する時刻部501、タグIDを格納するタグID部502、リーダIDを格納するリーダID部503および応答種別を格納する内容部504からなる。
【0029】
次に、上記のように構成される実施の形態1に係る位置管理システムの動作を説明する。最初に、RFIDタグ10の動作を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0030】
RFIDタグ10の動作が開始されると、まず、応答要求が受信されたかどうかが調べられる(ステップST101)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答要求を受信したかどうかを調べる。このステップST101において、応答要求が受信されたことが判断されると、次いで、リーダIDが保存されているかどうかが調べられる(ステップST102)。すなわち、制御部101は、リーダID保存部103を参照し、リーダIDが保存されているかどうかを調べる。
【0031】
このステップST102において、リーダIDが保存されていないことが判断されると、次いで、タイマが開始される(ステップST103)。すなわち、制御部101は、タイマ部104を起動し、経過時間の計測を開始させる。これにより、タイマ部104は、経過時間を計測し、カウンタ保存部1041に逐次保存する。その後、シーケンスはステップST105に進む。
【0032】
上記ステップST102において、リーダIDが保存されていることが判断されると、次いで、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致するかどうかが調べられる(ステップST104)。すなわち、制御部101は、受信した応答要求のリーダIDと、リーダID保存部103に保存されているリーダIDとが一致するかどうかを調べる。
【0033】
このステップST104において、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致することが判断されると、シーケンスはステップST107に進む。
一方、ステップST104において、受信された応答要求のリーダIDと保存されているリーダIDとが一致しないことが判断されると、シーケンスはステップST105に進む。
【0034】
ステップST105においては、入場応答が送信される。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に入場応答を送信する。次いで、受信された応答要求のリーダIDが保存される(ステップST106)。すなわち、制御部101は、受信した応答要求に含まれるリーダIDをリーダID保存部103に保存する。その後、シーケンスはステップST107に進む。
【0035】
ステップST107においては、タイマのカウンタ値がゼロにリセットされる。すなわち、制御部101は、タイマ部104に対し、カウンタ保存部1041に保存されているカウンタ値をゼロにクリアするように指示する。その後、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0036】
上記ステップST101において、応答要求を受信していないことが判断されると、次いで、タイマのカウンタ値がT1以上であるかどうかが調べられる(ステップST108)。すなわち、制御部101は、タイマ部104のカウンタ保存部1041からカウンタ値を取得し、この取得したカウンタ値が所定値T1以上であるかどうかを調べる。このステップST108において、タイマのカウンタ値がT1以上でないことが判断されると、シーケンスはステップST101に戻り、上述した処理が繰り返される。以後、応答要求が受信されるまで、ステップST101とステップST108を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態になる。
【0037】
一方、ステップST108において、タイマのカウンタ値がT1以上であることが判断されると、タイマが停止される(ステップST109)。すなわち、制御部101は、タイマ部104に停止を指示し、経過時間の計測を停止させる。次いで、退場応答が送信される(ステップST110)。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に退場応答を送信する。
【0038】
次いで、リーダIDが消去される(ステップST111)。すなわち、制御部101は、リーダID保存部103に保存されているリーダIDを消去する。その後、シーケンスはステップST107に進み、上述した処理が行われる。
【0039】
次に、タグリーダ11の動作を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。タグリーダ11では、図7(a)に示す送信処理と、図7(b)に示す受信処理が並行して実行される。
【0040】
最初に、送信処理について、図7(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。送信処理では、まず、現在時刻Nが取得される(ステップST201)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻Nを取得する。次いで、応答要求が送信される(ステップST202)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答要求を送信する。
【0041】
次いで、現在時刻はN+F以降になったかどうかが調べられる(ステップST203)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻を取得し、この取得した現在時刻が、ステップST201で取得した現在時刻Nに一定値Fを加えた時刻以降になったかどうかを調べる。このステップST203において、現在時刻はN+F以降になっていないことが判断されると、このステップST203を繰り返し実行しながら、現在時刻がN+F以降になるまで待機する。このステップST203の繰り返し実行による待機中に、現在時刻がN+F以降になったことが判断されると、シーケンスはステップST201に戻り、上述した処理が繰り返される。これにより、タグリーダ11は、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが含まれる応答要求を送信し続ける。
【0042】
次に、受信処理について、図7(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。
受信処理では、まず、応答が受信されたかどうかが調べられる(ステップST211)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答が受信されたかどうかを調べる。このステップST211において、応答が受信されていないことが判断されると、ステップST211を繰り返し実行しながら、RFIDタグ10からの応答が受信されるまで待機する。
【0043】
ステップST211の繰り返し実行による待機中に、応答が受信されたことが判断されると、現在時刻、応答のタグIDおよび応答種別が位置管理装置に通知される(ステップST212)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるRFIDタグ10のタグIDおよび入場、退場または不明を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信する。その後、シーケンスはステップST211に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0044】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図8に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態1に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア601に入場し、および、エリア601から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0045】
図8は、RFIDタグ10を持った動体が、軌跡65に沿って移動した場合の、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で行われる通信を示している。RFIDタグ10を所持した動体が位置650にいる時点では、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601の外部であるので応答要求610を受信できず、ステップST101とステップST108を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態に入る。
【0046】
RFIDタグ10を所持した動体が位置651に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601に入るので、タグリーダ11からの応答要求611を受信する。
【0047】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST102において、自分のリーダID保存部103にリーダIDが保存されているかどうかを判定する。図8に示す例では、エリア601に入ってから最初の応答要求の受信であるので、未だリーダID保存部103にリーダIDが保存されていない。したがって、シーケンスはステップST103に進み、タイマ部104の動作が開始される。
【0048】
動作を開始したタイマ部104は、カウンタ保存部1041の値を1ミリ秒毎にインクリメント(+1)させる。ただし、カウンタ保存部1041の内容の最大値はT1とし、最大値に達した場合は、その状態を維持する。この動作は、ステップST103において、タイマ部104の動作が開始された後に開始され、ステップST109においてタイマ部104の動作が停止されるまで継続する。
【0049】
次に、RFIDタグ10は、ステップST105において、自己のタグIDが格納された入場応答631を送信する。つまり、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの送信を受信可能なエリアに入って最初に応答要求を受信できた場合に、入場応答をタグリーダ11に送信する。その後、ステップST106において、受信した応答要求に含まれるリーダID部301の値を、リーダID保存部103に保存する。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0050】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの入場応答631を受信すると、ステップST212において、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値、リーダID保存部112に保存されている自己のリーダIDおよび応答に含まれる応答種別部203の内容(図8に示す例では「入場」)を、図5に示すデータフォーマットを有する位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア601に入ったことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0051】
RFIDタグ10を所持した動体が位置652に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601に入ったままであるため、タグリーダ11からの応答要求612を受信する。
【0052】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST102において、自分のリーダID保存部103にリーダIDが保存されているかどうかを判定する。この場合、上述した動作によって、ステップST106でリーダID保存部103にリーダIDが保存されているのでステップST104に移り、応答要求に含まれるリーダID部301の値とリーダID保存部103に保存されているリーダIDを比較する。両者の値が一致した場合は、入場応答635の送信は行われず、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0053】
上述した例では、ステップST104における判定の結果、リーダIDが一致した場合について説明したが、例えばRFIDタグ10がエリア601から別のタグリーダのエリアに移動したなどの理由により、リーダIDが一致しなかった場合は、ステップST105に移り、入場応答が送信される。その後、ステップST106において、受信した応答要求に含まれるリーダID部301の値がリーダID保存部103に上書き保存される。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保存部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダ11からの応答要求待ちの状態になる。
【0054】
次に、RFIDタグ10を所持した動体が位置654に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア601から出るため、タグリーダ11からの応答要求614を受信できない。この場合、最後に応答要求613を受信してから所定値T1ミリ秒後に、タイマ部104の動作によってカウンタ保存部1041の内容がT1以上となるため、ステップST108においてYESと判断される。
【0055】
したがって、RFIDタグ10は、ステップST109において、タイマ部104の動作を停止し、次いで、ステップST110において、自己のタグIDを含む退場応答634を送信し、さらに、ステップST111において、リーダID保存部103に保存されている内容を消去する。次いで、ステップST107において、タイマ部104のカウンタ保持部1041の内容が0にリセットされる。その後、ステップST101に戻って、再びタグリーダからの応答要求待ちの状態になる。
【0056】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの退場応答634を受信すると、時刻管理部114から取得した現在の時刻、応答に含まれるタグID部201の値、リーダID保存部112に保存されている自己のリーダIDおよび応答に含まれる応答種別部203の内容(図8に示す例では「退場」)を、図5に示すデータフォーマットを有する位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア601から出たことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0057】
このとき、退場応答の通信可能距離が応答要求の通信可能距離以下であると、タグリーダ11は退場応答を受信することができない。したがって、実施の形態1においては、応答要求の通信可能距離よりも、応答の通信可能距離が長くなるように送信電力が調整されている。これにより、タグリーダ11は、エリア601の外にいるRFIDタグ10が送信した退場応答を受信することが可能となる。具体的には、退場応答を送信するまでの待ち時間をT1ミリ秒、想定するRFIDタグ10の移動速度をAメートル/ミリ秒とした場合、(A×T1)メートル以上、応答の通信可能距離が長くなるように送信電力が定められる。また、上述した機能は、応答と応答要求を、別の周波数帯を用いた非対称な通信にすることにより実現することもできる。この場合も、上記と同様に、応答の通信可能距離が応答要求の通信可能距離よりも長くなるように周波数帯と送信電力が定められる。
【0058】
以上説明したように、実施の形態1に係る位置管理システムによれば、RFIDタグ10が、タグリーダ11の応答要求を受信可能なエリアへ最初に入場した後、および、該エリアから退場した後の短い時間のみRFIDタグ10が通信を行うので、RFIDタグ10の位置を確実に把握できるとともに、RFIDタグ10の電池寿命を延長させることができる。
【0059】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る位置管理システムは、図示は省略するが、図1に示した実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグ10からリーダID保存部103およびタイマ部104が除去されて構成されている。なお、実施の形態2に係る位置管理システムでは、後述するように、入場か退場かを判断できないので、上位のアプリケーションにおいて、RFIDタグがエリア内にいるかエリア外にいるかを管理しておき、通知に基づいて入場か退場かを判断する処理が必要となる。
【0060】
次に、上記のように構成される実施の形態2に係る位置管理システムの動作を説明する。まず、RFIDタグ10の動作を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0061】
RFIDタグ10の動作が開始されると、まず、応答要求が受信されたかどうかが調べられる(ステップST301)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答要求を受信したかどうかを調べる。このステップST301において、応答要求を受信していないことが判断されると、このステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態になる。
【0062】
一方、ステップST301において、応答要求を受信したことが判断されると、次いで、応答抑止を受信したかどうかが調べられる(ステップST302)。すなわち、制御部101は、無線通信部100にアクセスし、該無線通信部100において、タグリーダ11からの応答抑止を受信したかどうかを調べる。このステップST302において、応答抑止を受信したことが判断されると、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0063】
上記ステップST302において、応答抑止を受信していないことが判断されると、応答送信が行われる(ステップST303)。すなわち、制御部101は、無線通信部100を介してタグリーダ11に、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を送信する。その後、シーケンスはステップST301に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0064】
次に、タグリーダ11の動作を、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。タグリーダ11では、図10(a)に示す送信処理と図10(b)に示す受信処理が並行して実行される。
【0065】
最初に、送信処理について、図10(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。送信処理では、まず、現在時刻Nが取得される(ステップST401)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻Nを取得する。次いで、応答要求が送信される(ステップST402)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答要求を送信する。次いで、応答抑止が送信される(ステップST403)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答抑止を送信する。
【0066】
次いで、現在時刻はN+F以降になったかどうかが調べられる(ステップST404)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻を取得し、この取得した現在時刻が、ステップST401で取得した現在時刻Nに一定値Fを加えた時刻以降になったかどうかを調べる。このステップST404において、現在時刻はN+F以降になっていないことが判断されると、このステップST404を繰り返し実行しながら、現在時刻がN+F以降になるまで待機する。このステップST404の繰り返し実行による待機中に、現在時刻がN+F以降になったことが判断されると、シーケンスはステップST401に戻り、上述した処理が繰り返される。これにより、RFIDタグ10は、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが含まれる応答要求および応答抑止を送信し続ける。
【0067】
次に、受信処理について、図10(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。受信処理では、まず、応答を受信したかどうかが調べられる(ステップST411)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答が受信されたかどうかを調べる。このステップST411において、応答が受信されていないことが判断されると、ステップST411を繰り返し実行しながら、RFIDタグ10からの応答が受信されるまで待機する。
【0068】
ステップST411の繰り返し実行による待機中に、応答が受信されたことが判断されると、現在時刻、応答のタグIDおよび応答種別「不明」が位置管理装置に通知される(ステップST412)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるRFIDタグ10のタグIDおよび不明を示す応答種別を、位置情報として、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信する。その後、シーケンスはステップST411に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0069】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図11に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態2に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア701に入場したこと、および、エリア701から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0070】
タグリーダ11は、図10(a)のステップST401、ST402およびST404に示すように、所定値Fミリ秒の間隔で、自己のリーダIDが格納された応答要求を送信し続ける。また、これと並行して、図10(b)のステップST411に示すように、RFIDタグ10からの応答の受信を待ち続ける。
【0071】
また、タグリーダ11は、図10(a)のステップST403に示すように、応答要求を送信した直後に、応答抑止を送信する。この応答抑止は、応答要求よりも低い電力によって送信する。これにより、図11に示すように、応答要求は受信可能(エリア701の内側)であるが、応答抑止は受信不可能(エリア702の外側)であるエリアが形成される。この位置管理システムでは、このエリアでのみRFIDタグ10が応答を送信することにより、RFIDタグ10が応答を送信する回数を減らしつつ、入場と退場のタイミングを通知することが実現されている。
【0072】
RFIDタグ10は、図9のステップST301に示すように、タグリーダ11からの応答要求の受信を待ち続ける。なお、RFIDタグ10は、応答要求を受信可能な周期であれば、連続してではなく、一定間隔で応答要求を受信したかどうかを調べる動作、つまり間欠動作を行うように構成することもできる。
【0073】
図11は、RFIDタグ10を持った動体が、軌跡75に沿って移動した場合の、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で行われる通信を示している。RFIDタグ10を所持した動体が位置750にいる時点では、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701の外部であるので応答要求7100および応答抑止7101を受信できず、ステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ち状態に入る。
【0074】
RFIDタグ10を所持した動体が位置751に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダからの応答要求を受信可能なエリア701に入るため、タグリーダ11からの応答要求7110を受信する。一方、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702には入っていないため、応答抑止7111を受信することはできない。
【0075】
RFIDタグ10は、応答要求を受信すると、ステップST302において、応答抑止を連続して受信したか否かを調べる。位置751では応答抑止を受信できないため、ステップST302においては、応答抑止を連続して受信できなかった旨が判断される。RFIDタグ10は、ステップST303において、自己のタグIDを含めた応答種別「不明」の応答731、つまりタグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を送信し、再びステップST301を繰り返し実行しながらタグリーダ11からの応答要求を待つ状態に戻る。
【0076】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答731を受信すると、ステップST412に示すように、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値および応答に含まれる応答種別「不明」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア701に入場したことを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0077】
RFIDタグ10を所持した動体が位置752に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701に入っているため、タグリーダ11からの応答要求7120を受信する。また、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702にも入るため、応答抑止7121も受信する。
【0078】
RFIDタグ10は応答要求を受信すると、ステップST302において、続けて応答抑止を受信したかを判定する。位置752では応答抑止も受信できるため、判定はYESとなる。RFIDタグ10は、応答735を送信せずにステップST301に戻り、タグリーダ11からの応答要求待ちの状態に戻る。
【0079】
RFIDタグ10を所持した動体が位置753に移動すると、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701に入っているため、タグリーダ11からの応答要求7130を受信する。一方、タグリーダ11からの応答抑止を受信可能なエリア702には入っていないため、応答抑止7131は受信できない。
【0080】
RFIDタグ10は、ステップST301において、応答要求を受信したことを判断すると、ステップST302において、続けて応答抑止信号を受信したかを判定する。位置753では応答抑止を受信できないため、続けて応答抑止を受信できなかった旨が判定される。RFIDタグ10は、ステップST303において、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答733を送信し、その後、ステップST301に戻って、再びタグリーダからの応答要求待ちの状態になる。
【0081】
一方、タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答733を受信すると、ステップST412に示すように、時刻管理部114から取得した現在時刻、応答に含まれるタグID部201の値および応答に含まれる応答種別「不明」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10を持った動体が特定のエリア701に入場していることを検知できる。位置管理装置12は、タグリーダ11から通知された内容を、位置情報保存部121に保存する。
【0082】
RFIDタグ10を所持した動体が位置754に移動すると、タグリーダ11からの応答要求を受信可能なエリア701から出るため、RFIDタグ10は、タグリーダ11からの応答要求7140と応答抑止7141を受信できず、ステップST301を繰り返し実行しながら応答要求待ちの状態に戻る。
【0083】
以上説明したように、実施の形態2に係る位置管理システムのRFIDタグ10は、実施の形態1に係る位置管理システムのRFIDタグ10からリーダID保存部103およびタイマ部104が除去されて構成されているので、RFIDタグ10の構成および処理手順が簡易になっている。
【0084】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る位置管理システムの構成は、上述した実施の形態2に係る位置管理システムの構成と同じである。この実施の形態3は、RFIDタグからの応答を受信した後のタグリーダの動作のみが実施の形態2と異なる。
【0085】
以下では、実施の形態2と異なるタグリーダ11の動作のみを、図12および図13に示す受信処理のフローチャートを参照しながら説明する。
【0086】
受信処理では、まず、応答が受信されたかどうかが調べられる(ステップST511)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答を受信したかどうかを調べる。このステップST511において、応答が受信されたことが判断されると、次いで、応答のタグIDと現在時刻が保存される(ステップST512)。すなわち、制御部111は、応答に含まれるタグIDと時刻管理部114から取得した現在時刻を、タグID情報としてタグID保存部113に保存する。この際、同一のタグIDを含むタグID情報がタグID保存部113に保存されていれば、上書き保存される。その後、シーケンスはステップST511に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0087】
一方、ステップST511において、応答が受信されていないことが判断されると、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されているかどうかが調べられる(ステップST513)。すなわち、制御部111は、タグID保存部113に、時刻管理部114から取得した現在時刻よりも所定値T2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかを調べる。このステップST513において、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されていないことが判断されると、シーケンスはステップST511に戻り、上述した処理が繰り返される。以後、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されるまで、ステップST511とステップST513を繰り返し実行しながら応答待ち状態になる。
【0088】
上記ステップST513において、現在時刻よりT2ミリ秒以上前のタグID情報が保存されていることが判断されると、入退場判定処理が行われる(ステップST514)。その後、シーケンスはステップST511に戻る。
【0089】
次に、ステップST514で実行される入退場判定処理の詳細を、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
入退場判定処理では、まず、応答抑止の送信が停止され、応答要求が送信されるまで待機する(ステップST516)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介する応答抑止の送信を停止し、応答要求を送信するまで待機状態に入る。
【0091】
次いで、現在時刻N1が取得される(ステップST517)。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻N1を取得する。次いで、応答を受信したかどうかが調べられる(ステップST518)。すなわち、制御部111は、無線通信部110にアクセスし、該無線通信部110において、RFIDタグ10からの応答を受信したかどうかを調べる。
【0092】
このステップST518において、応答を受信したことが判断されると、次いで、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報があるかどうかが調べられる(ステップST519)。すなわち、制御部111は、応答に含まれるタグIDと同一のタグIDを有し、かつ、時刻管理部114から取得した現在時刻N1より定数値T2ミリ秒以上前のタグID情報が、タグID保存部113に保存されているかどうかを調べる。このステップST519において、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報がないことが判断されると、シーケンスはステップST521に進む。
【0093】
一方、ステップST519において、応答とタグIDが同一かつN1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報があることが判断されると、次いで、該当するタグID情報の時刻、タグIDおよび応答種別「入場」を位置管理装置に通知し、該当タグID情報が削除される(ステップST520)。すなわち、制御部111は、ステップST519で得られたタグID情報に含まれる時刻、タグIDおよび入場を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信した後、タグID情報を削除する。その後、シーケンスはステップST521に進む。
【0094】
ステップST521においては、現在時刻N2が取得される。すなわち、制御部111は、時刻管理部114から現在時刻N2を取得する。次いで、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上であるかどうかが調べられる(ステップST522)。すなわち、制御部111は、ステップST517で取得した時刻N1とステップST521で取得したN2との差を算出し、この差が所定値Fミリ秒以上であるかどうかを調べる。このステップST522において、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上でないことが判断されると、シーケンスはステップST518に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0095】
一方、ステップST522において、時刻N1と時刻N2との差がFミリ秒以上であることが判断されると、次いで、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかが調べられる(ステップST523)。すなわち、制御部111は、タグID保存部113に、ステップST517において時刻管理部114から取得した時刻N1より所定値T2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されているかどうかを調べる。
【0096】
このステップST523において、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されていることが判断されると、次いで、該当するタグID情報の時刻、タグIDおよび応答種別「退場」を位置管理装置に通知し、該当タグID情報が削除される(ステップST524)。すなわち、制御部111は、ステップST523で検索されたタグID情報に含まれる時刻、タグIDおよび退場を示す応答種別を取得し、NW通信部115を介して位置管理装置12に送信した後、タグID情報を削除する。
【0097】
一方、ステップST523において、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が保存されていないことが判断されると、ステップST524の処理はスキップされる。次いで、応答抑止の送信が再開される(ステップST525)。すなわち、制御部111は、無線通信部110を介して応答抑止を送信する。その後、シーケンスは図12に示したフローチャートのステップST511に戻る。
【0098】
次に、RFIDタグ10とタグリーダ11との間で通信が行われる場合のRFIDタグ10とタグリーダ11の動作を、図14に示すタイムチャートを参照しながら説明する。実施の形態3に係る位置管理システムでは、以下の動作により、RFIDタグ10を持った動体が、あるエリア801に入場したこと、および、エリア801から退場したことを、位置管理装置12が検知できる。
【0099】
まず、RFIDタグ10を所持した動体がエリア801へ入場する場合の動作について説明する。
【0100】
RFIDタグ10を所持した動体が位置851にいるとき、RFIDタグ10は、応答要求8110のみを受信でき、応答抑止8111を受信できないため、自己のタグIDを含んだ応答種別「不明」の応答831を送信する。
【0101】
タグリーダ11は、RFIDタグ10からの応答831を受信すると、ステップST512において、応答に含まれるタグID部201の値および時刻管理部114から取得した現在の時刻を、タグID情報として、タグID保存部113に保存する。既に存在しているタグID情報の中に、応答に含まれるタグID部201の値と同一のタグID部401の値を持つタグID情報が存在しなければ、それを追加して保存し、同一のタグIDを持つタグID情報が存在する場合は、新しいタグID情報で古いタグID情報を上書きする。
【0102】
RFIDタグ10を所持した動体が位置852にいるとき、RFIDタグ10は、応答要求8120と応答抑止8121を受信できるため、応答を送信しない。この場合、タグリーダ11は、ステップST511において、RFIDタグ10からの応答の受信を待つとともに、ステップST513において、タグリーダ11の制御部111は、タグID保存部113を検索し、時刻管理部114から取得した現在時刻よりも所定値T2ミリ秒(T2はFよりも大きいこと)以上前の時刻部402の値を持つタグID情報があるかを調べる。これにより、RFIDタグ10を持った動体がエリア802内に入場(位置852へ移動)し、または、エリア801から退場(位置854へ移動)することにより、RFIDタグ10からの応答がなくなってからT2ミリ秒経過すると、ステップST514の入退場判定処理に移る。
【0103】
入退場判定処理(図13参照)に移ると、タグリーダ11は、ステップST516において応答抑止の送信を停止し、受信処理を待機させる。応答抑止の停止が実行されると、送信処理は送信のタイミングで応答要求8122のみを送信する。これに対し、RFIDタグ10は、エリア801の内部にいるため、応答832を返す。
【0104】
タグリーダ11は、応答要求を送信した後、受信処理を再開するとともに、時刻管理部114から現在時刻を取得してN1として保持しておく。その後、所定値Fミリ秒だけ待ち、その間に、ステップST518において応答を受信した場合、タグリーダ11は、タグID保存部113を検索し、入退場判定処理への移行の原因となったRFIDタグ10と同一かどうかを判定する。すなわち、ステップST519において、応答に含まれるタグID部201の値と同一のタグID部401の値を持ち、かつ、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が存在するかどうかを検索する。
【0105】
図14の位置850から位置852への入場のケースでは、上記ステップST512で保存したタグID情報が検索される。この場合、タグリーダ11は、該当するRFIDタグ10が入場したものと判定し、ステップST520において、該当するタグID情報の時刻部402の値、タグID部401の値および応答種別「入場」を、位置情報として、位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10がエリア801へ入ったことを検知できる。そして、通知が完了したタグID情報は、再通知されないように、タグID保存部113から削除される。入退場判定処理に移行した後、ステップST522に示すようにFミリ秒経過したならば、入退場判定処理を終了する。
【0106】
次に、RFIDタグ10を所持した動体がエリア801から退場する場合の動作について説明する。RFIDタグ10を所持した動体が位置853から位置854に移動する、つまり退場するとき、上述した動作と同様の動作により、タグリーダ11は、入退場判定処理に移る。
【0107】
入退場判定処理に移ると、タグリーダ11は、ステップST516において応答抑止の送信を停止し、受信処理を待機させる。応答抑止の停止が実行されると、送信処理は送信のタイミングで応答要求8142のみを送信する。これに対し、RFIDタグ10はエリア801の外部にいるため、応答を返さない。
【0108】
タグリーダ11は、応答要求を送信した後、受信処理を再開するとともに、時刻管理部114から現在時刻を取得してN1として保持しておく。ステップST522において、Fミリ秒経過したことが判断されると、入退場判定処理は終了する。このときタグリーダ11は、タグID保存部113を検索し、入退場判定処理への移行の原因となったRFIDタグ10のタグID情報が残っているかどうかを確認する。すなわち、ステップST523において、タグID保存部113に、時刻N1よりもT2ミリ秒以上前の時刻を持つタグID情報が存在するかが検索される。
【0109】
図14の位置853から位置854への退場のケースでは、ステップST520が実行されなかったため、検索結果として、ステップST512で保存されたタグID情報が得られる。この場合、タグリーダ11は、該当するRFIDタグが退場したものと判定し、ステップST524において、該当するタグID情報の時刻部402の値、タグID部401の値および応答種別「退場」を位置管理装置12に通知する。これにより、位置管理装置12は、RFIDタグ10がエリア801から出たことを検知できる。そして、通知が完了したタグID情報は、再通知しないように、タグID保存部113から削除される。
【0110】
なお、上述した実施の形態2および実施の形態3においては、応答要求を送信するタグリーダと応答抑止を送信するタグリーダを分けて構成することもできる。また、複数のタグリーダを使用することもでき、これにより、より複雑な形状の応答範囲を作り出すことが可能となる。
【0111】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る位置管理システムによれば、タグリーダ11は、入場または退場が行われたときに、応答抑止の送信を一時的に停止するように構成したので、位置管理システム内において、入場か退場かの判定が可能になっている。
【0112】
上述した実施の形態1〜実施の形態3に係る位置管理システムによれば、以下の効果を奏する。すなわち、従来の技術を用いてセミアクティブ型のRFIDタグによって同等の効果(入場と退場を検知)を得ようとした場合、RFIDタグは応答要求に対して常に応答を送信する必要があるが、実施の形態1〜実施の形態3に係る位置管理システムによれば、RFIDタグが図8のエリア601、図11のエリア702、図14のエリア802内にいる間は応答を送信する必要がなくなり、図8の入場応答635、636および637、図11の応答735および736、図14の応答835および836の送信電力を減らすことができる。
【0113】
また、この発明の主たる適用範囲は、電池を使用するアクティブ型またはセミアクティブ型のRFIDタグであるが、パッシブ型のRFIDタグにも適用することは可能である。この場合、RFIDタグの通信回数を減らすことにより、RFIDタグ同士の通信の衝突を回避できる。
【0114】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0115】
10 RFIDタグ、100 無線通信部、101 制御部、102 タグID保存部、103 リーダID保存部、104 タイマ部、1041 カウンタ保存部、11 タグリーダ、110 無線通信部、111 制御部、112 リーダID保存部、113 タグID保存部、114 時刻管理部、115 NW通信部、12 位置管理装置、121 位置情報保存部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なRFIDタグと、
前記RFIDタグと無線で通信を行うタグリーダと、
前記タグリーダからのデータに基づき前記RFIDタグの位置を管理する位置管理装置を備えた位置管理システムであって、
前記タグリーダは、一定間隔で応答要求を送信し、
前記RFIDタグは、前記タグリーダからの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダからの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答を前記タグリーダに送信し、
前記タグリーダは、前記RFIDタグから応答を受信した場合に、該応答を示すデータを前記位置管理装置に送信する
位置管理システム。
【請求項2】
RFIDタグは、1つのタグリーダからの最初の応答要求を受信した場合は、送信を受信可能なエリアに入ったことを示す入場の応答を、応答要求を一定時間受信しない場合は、前記送信を受信可能なエリアから出たことを示す退場の応答を、前記タグリーダに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の位置管理システム。
【請求項3】
タグリーダは、RFIDタグにおいて応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で前記RFIDタグに送信し、
RFIDタグは、前記タグリーダから応答要求のみを受信した場合は、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を前記タグリーダに送信し、応答要求および応答抑止を受信した場合は、前記タグリーダへの応答の送信を抑止する
ことを特徴とする請求項1記載の位置管理システム。
【請求項4】
タグリーダは、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答がRFIDタグから得られたときに、応答抑止の送信を一時的に停止して入場の応答であるか退場の応答であるかを判断する入退場判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項3記載の位置管理システム。
【請求項5】
無線通信を制御する無線通信部と、
時間を計測するタイマ部と、
外部から前記無線通信部を介して最初の応答要求を受信した場合は、送信を受信可能なエリアに入ったことを示す入場の応答を、応答要求を前記タイマ部で計測された一定時間受信しない場合は、送信を受信可能なエリアから出たことを示す退場の応答を、前記無線通信部を介して外部に送信する制御部
とを備えたRFIDタグ。
【請求項6】
無線通信を制御する無線通信部と、
外部から前記無線通信部を介して応答要求のみを受信した場合は、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を外部に送信し、応答要求および応答抑止を受信した場合は、前記無線通信部を介する外部への応答の送信を抑止する制御部
とを備えたRFIDタグ。
【請求項7】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して外部に一定間隔で応答要求を送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して、送信を受信可能なエリアへの入場または退場の応答を受信した場合は、該応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【請求項8】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して、応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で外部に一定間隔で送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を受信した場合は、該応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【請求項9】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して、応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で外部に一定間隔で送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して応答を受信してから所定時間以上経過すると入退場判定処理を開始し、該入退場判定処理では、前記無線通信部を介する外部への応答抑止の送信を停止して応答要求を送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して応答を所定時間内に受信した場合は入場の応答を、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介する応答が所定時間内に得られない場合は退場の応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【請求項1】
移動可能なRFIDタグと、
前記RFIDタグと無線で通信を行うタグリーダと、
前記タグリーダからのデータに基づき前記RFIDタグの位置を管理する位置管理装置を備えた位置管理システムであって、
前記タグリーダは、一定間隔で応答要求を送信し、
前記RFIDタグは、前記タグリーダからの応答要求を受信したか否かに基づき、該タグリーダからの送信を受信可能なエリアにいるか否かを示す応答を前記タグリーダに送信し、
前記タグリーダは、前記RFIDタグから応答を受信した場合に、該応答を示すデータを前記位置管理装置に送信する
位置管理システム。
【請求項2】
RFIDタグは、1つのタグリーダからの最初の応答要求を受信した場合は、送信を受信可能なエリアに入ったことを示す入場の応答を、応答要求を一定時間受信しない場合は、前記送信を受信可能なエリアから出たことを示す退場の応答を、前記タグリーダに送信する
ことを特徴とする請求項1記載の位置管理システム。
【請求項3】
タグリーダは、RFIDタグにおいて応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で前記RFIDタグに送信し、
RFIDタグは、前記タグリーダから応答要求のみを受信した場合は、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を前記タグリーダに送信し、応答要求および応答抑止を受信した場合は、前記タグリーダへの応答の送信を抑止する
ことを特徴とする請求項1記載の位置管理システム。
【請求項4】
タグリーダは、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答がRFIDタグから得られたときに、応答抑止の送信を一時的に停止して入場の応答であるか退場の応答であるかを判断する入退場判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項3記載の位置管理システム。
【請求項5】
無線通信を制御する無線通信部と、
時間を計測するタイマ部と、
外部から前記無線通信部を介して最初の応答要求を受信した場合は、送信を受信可能なエリアに入ったことを示す入場の応答を、応答要求を前記タイマ部で計測された一定時間受信しない場合は、送信を受信可能なエリアから出たことを示す退場の応答を、前記無線通信部を介して外部に送信する制御部
とを備えたRFIDタグ。
【請求項6】
無線通信を制御する無線通信部と、
外部から前記無線通信部を介して応答要求のみを受信した場合は、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を外部に送信し、応答要求および応答抑止を受信した場合は、前記無線通信部を介する外部への応答の送信を抑止する制御部
とを備えたRFIDタグ。
【請求項7】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して外部に一定間隔で応答要求を送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して、送信を受信可能なエリアへの入場または退場の応答を受信した場合は、該応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【請求項8】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して、応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で外部に一定間隔で送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して、送信を受信可能なエリアの境界を跨って移動したことを示す応答を受信した場合は、該応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【請求項9】
無線通信を制御する無線通信部と、
前記無線通信部を介して、応答要求を受信可能なエリアよりも応答抑止を受信可能なエリアが小さくなるように、応答抑止を応答要求よりも小さい電力で外部に一定間隔で送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して応答を受信してから所定時間以上経過すると入退場判定処理を開始し、該入退場判定処理では、前記無線通信部を介する外部への応答抑止の送信を停止して応答要求を送信し、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介して応答を所定時間内に受信した場合は入場の応答を、該応答要求に対して外部から前記無線通信部を介する応答が所定時間内に得られない場合は退場の応答を示すデータを外部の位置管理装置に通知する制御部
とを備えたタグリーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−221029(P2012−221029A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83567(P2011−83567)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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