説明

作業機の表示装置における言語書き換えシステム

【課題】作業機を使用する場所等に対応して表示装置で表示する国言語を適切に表示することができるように、表示装置が具備する国言語を適切に書き換えすることができるようにする。
【解決手段】作業機1の情報を表示する表示装置25に対して、情報を複数の国言語にて表示可能となるように複数の国言語を国言語群として書き込む言語書込装置40と、国言語群が書き込みされた表示装置25に対して国言語群内の国言語のうち少なくとも1つを他の言語に書き換える書き換え指令を出力する言語書換指令装置41と、この言語書換指令装置41の書き換え指令に基づいて国言語群内の国言語を他の国言語に書き換える言語書換装置42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機の表示装置における言語書き換えシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バックホー等の作業機は、日本国内を問わず様々な国で使用されているのが実情である。そのため、作業機の駆動状態など、様々な作業機に関する情報を表示する表示装置は、使用される国の言語(国言語)に対応させる必要がある。
複数の言語にて情報を表示することができる作業機として、特許文献1に示すものがある。特許文献1には、情報を表示する表示部と、表示部に表示させるべき情報に対応した表示データを記憶する表示データ記憶部とを備え、表示部に表示させる表示データの一部を制御データ記憶部に記憶している作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−244208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機では、制御データ記憶部に表示データの一部を記憶させているため、表示できる国言語を増やすことができ、多くの国言語に対応させることが可能である。 作業機は、様々な国に亘って移動することがあり、作業機の製造、管理及びメンテナンス等を行った場所と、作業機を使用する場所とが、それぞれ別の国である場合も少なくない。このような場合は、複数の国言語に対応した表示装置であっても、その表示装置が全世界の国言語に対応していなければ、作業機を使用する場所に対応した国言語で表示することができないという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、作業機を使用する場所等に対応して表示装置で表示する国言語を適切に表示することができるように、表示装置が具備する国言語を適切に書き換えすることができる作業機の表示装置における言語書き換えシステムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、作業機の情報を表示する表示装置に対して、前記情報を複数の国言語にて表示可能となるように複数の国言語を国言語群として書き込む言語書込装置と、前記国言語群が書き込みされた表示装置に対して前記国言語群内の国言語のうち少なくとも1つを他の国言語に書き換える書き換え指令を出力する言語書換指令装置と、この言語書換指令装置の書き換え指令に基づいて国言語群内の国言語を他の国言語に書き換える言語書換装置とを備えている点にある。
前記言語書換指令装置は、書き換え候補となる国言語の組合せパターンを書き換え指令として出力するように構成され、前記言語書換装置は、前記組合せパターンを示した書き換え指令に基づいて前記表示装置に格納されている国言語を他の国言語に書き換えるように構成されていることが好ましい。
【0007】
国言語が書き換えされる前の表示装置は、作業機を操作しているユーザに対して当該作業機に関する情報を表示するユーザ向け情報表示手段と、前記ユーザ向けとは別に作業機に関する情報を表示する業者向け情報表示手段とを備え、前記ユーザ向け情報表示手段は、前記情報に対応した複数の国言語を国言語群として有し、前記業者向け情報表示手段は、前記情報に対した複数の国言語を国言語群として有しており、前記言語書換指令装置は、ユーザ向け情報表示手段が有する国言語群に対する書き換え指令と、業者向け情報表示手段が有する国言語群に対する書き換え指令とを個別に前記言語書換装置に出力するように構成され、前記言語書換装置は、前記書き換え指令に基づいてユーザ向け情報表示手段が有する国言語群と、業者向け情報表示手段が有する国言語群とをぞれぞれ書き換えることが好ましい。
【0008】
前記言語書換指令装置は、業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換える指令を書き換え指令として出力するように構成され、前記言語書換装置は、前記書き換え指令に基づき業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換えるように構成されていることが好ましい。
前記言語書換指令装置及び言語書換装置は、前記言語書込装置とは別の国に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機を使用する場所等に対応して表示装置で表示する国言語を適切に表示することができるように、表示装置が具備する国言語を適切に書き換えすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】表示装置の構成図である。
【図2】表示装置の正面全体図である。
【図3】ユーザ向け情報を表示した例図であって、a)駆動状態を示す例図であり、b)操作方法を示す例図である。
【図4】業者向け情報を表示した例図であって、a)仕様を変更する例図であり、b)メンテナンスなどに駆動状態を確認する例図である。
【図5】ユーザ向け情報に対応する国言語と、業者向け情報に対応する国言語とをまとめた図である。
【図6】通常画面モードにおける画面の切り替えを示したものである。
【図7】特別画面モードにおける画面の切り替えを示したものである。
【図8】ユーザ切り換えモードを説明する説明図である。
【図9】業者切り換えモードを説明する説明図である。
【図10】ユーザ向け情報に対応する国言語と、業者向け情報に対応する国言語とを切り換えた場合の例示である。
【図11】表示装置に国言語を書き込むと共に、表示装置に書き込まれた国言語を書き換えるまでの流れ(システム)を示したものである。
【図12】書換設定手段を説明する説明図である。
【図13】言語書換指令装置が出力する書き換え指令の変更例を示す図である。
【図14】作業機の全体側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図14は本発明の作業機の通信システムにおける作業機を示している。なお、本発明の作業機の通信システムは、この実施の形態の作業機に限定されない。
図14に示すように、作業機(バックホー)1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備え、両走行体4を走行モータMで駆動するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置2の前部にはドーザ5が設けられている。
【0012】
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング11を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台12と、該旋回台12の前部に備えられた作業装置13(掘削装置)とを有している。旋回台12上には、エンジン,ラジエータ,運転席9,燃料タンク,作動油タンク等が設けられている。運転席9の周囲には、作業機1に関する様々な情報を表示する表示装置25が設けられている。運転席9は、旋回台12上に設けられたキャビン14により囲まれている。
作業装置13は、旋回台12の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット16に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット17と、該スイングブラケット17に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム18と、該ブーム18の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム19と、該アーム19の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット20とを備えている。
【0013】
スイングブラケット17は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動され、ブーム18は、該ブーム18とスイングブラケット17との間に介装されたブームシリンダ22の伸縮によって揺動され、アーム19は、該アーム19とブーム18との間に介装されたアームシリンダ23の伸縮によって揺動され、バケット20は、該バケット20とアーム19との間に介装されたバケットシリンダ21の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。
図1〜図10は、作業機の表示装置を示したものである。
【0014】
表示装置について詳しく説明する。
図1に示すように、表示装置25は、作業機1の各種設定などを行うための入力部26と、作業機1に関する情報を表示する表示部27と、CPU等から構成された制御部28と、不揮発性メモリ等から構成された記憶部29とを備えている。
制御部28には、例えば、燃料センサから出力された燃料(残量)、水温センサから出力された水温、エンジンオイルの不足の有無を検出するエンジンオイル圧力スイッチ、入力部26から出力された各種入力信号、エンジン回転数が入力される。また、制御部28には、その他のセンサからの信号や当該表示装置25に接続したその他の制御機器からの信号が入力されるようになっている。
【0015】
図1及び図2に示すように、表示部27は、文字や図形等を可変して表示する可変表示部30(例えば、文字や図形等を液晶表示するものであって、以降、液晶表示部30という)と、点灯及び消灯することにより作業機1の状態を表す固定表示部31とを備えている。
固定表示部31は、作業機1の駆動時において、点灯することにより注意や警告を促す警告注意ランプ31aと、点灯することによりエンジンオイルの不足を示すオイルランプ31bと、点灯することによりバッテリーの電力不足を示すバッテリーランプ31cと、点灯することにより作業機1が高速で走行していることを示す走行ランプ31dとを備えている。上述した警告注意ランプ31a、オイルランプ31b、バッテリーランプ31c、走行ランプ31dは、消灯によりそれぞれに対応した状態が起きてないことを示している。なお、固定表示部31は、点灯及び消灯により作業機1に関する情報を示すものであれば、警告注意ランプ31a、オイルランプ31b、バッテリーランプ31c、走行ランプ31d以外のものであってもよい。
【0016】
液晶表示部30は、作業機1を操作しているユーザ(作業者:オペレータ)のための当該作業機1に関する情報(ユーザ向け情報)と、ユーザ向け情報とは別の情報であってディーラ又はメーカのための情報(業者向け情報)とを、表示するものである。
ユーザ向け情報とは、ユーザが作業機1を操作するにあたって操作を行うために必要な様々な情報である。例えば、ユーザ向け情報とは、ユーザが作業機1を操作しているときに必要な作業機1の駆動状態を示すものであったり、ユーザが作業機1を操作しているときの操作方法に関するものである。
【0017】
具体的には、ユーザ向け情報は、エンジンを駆動するイグニッションスイッチ(キースイッチ)を単にONした際に表示される通常画面モード33において、燃料センサから出力された燃料(残量)、水温センサから出力された水温、エンジン回転数などの作業機1の駆動状態を示すものである。加えて、ユーザ向け情報は、アタッチメント等を操作する操作部材とアタッチメントの動作方向とを画面に対応して示すような操作方法を示すものである。
図3は、液晶表示部30にユーザ向け情報を表示した例を示したものである。
【0018】
図3(a)に示すように、液晶表示部30の左側には、ユーザに作業機1の駆動状態を示すものとして燃料の残量がグラフにより示され、右側には、ユーザに作業機1の駆動状態を示すものとして水温がグラフによって示されている。液晶表示部30の左右方向中央部には、アームの先端に取り付けたアタッチメントが図形及び文字により示されている。この液晶表示部30の左右方向中央部に表示した図形及び文字も、どのようなアタッチメントが装着されているかユーザに知らせるものであって駆動状態を示すものであるためユーザ向け情報と言える。
【0019】
図3(b)に示すように、液晶表示部30には、ユーザに操作方法を示すものとして操作部材(レバー)の動作を表す図形とレバーの動作を表す文字又は文字列、例えば、「レバーロックを上げてください」が示されている。
業者向け情報とは、ディーラ又はメーカが作業機1の駆動状態を確認したり、作業機1の仕様など様々な設定を行うために必要な様々な情報である。例えば、業者向け情報とは、ディラーやメーカが作業機1をメンテナンスする際に必要なものであったり、ディラーやメーカが作業機1の仕様を変更するために必要なものである。
【0020】
具体的には、業者向け情報とは、上記通常画面モード33とは異なる特別な操作により入る特別画面モード34において、燃料、水温、エンジン回転数などの作業機1の駆動状態を示すものである。加えて、業者向け情報とは、作業機1の様々な機能の有効/無効の設定に関するものや作業機1の制御機器類の各種設定を行うために必要な表示である。
図4は、液晶表示部30に業者向け情報を表示した例を示したものである。
図4(a)に示すように、ディーラ又はメーカが作業機1の仕様を変更するためのものとしてアーム仕様の態様(標準、ロング)の選択が文字及びカーソルK1により示されている。
【0021】
図4(b)に示すように、液晶表示部30には、ディーラ又はメーカに作業機1の駆動状態を示すものとしてエンジンの回転数及びバッテリーの電圧が数値により示されていると共に、オイルスイッチ、チャージスイッチ及びスタータのON/OFF状態が図形により示されている。
入力部26は、複数のボタンスイッチSW(SW1,SW2,SW3,SW4,SW5)を備えている。これら複数のボタンスイッチSWは、液晶表示部30に隣接して左右に並列して設けられ、各ボタンスイッチには所定の機能を具備したものとなっている。
【0022】
例えば、ボタンスイッチSW1は、作業機1を使用するユーザがアッタッチメントの動作や機能等を設定するためのものであり、ボタンスイッチSW2は、作業モードを吊り下げの作業モードにするためのものであり、ボタンスイッチSW3は、作業装置13のアーム17の揺動範囲を制限設定するためのものであり、ボタンスイッチSW4は、ユーザに液晶表示部30によって一定の案内(インホメーション)をするためのものであり、ボタンスイッチSW5は、液晶表示部30の表示を切り替えるためのものである。
なお、複数のボタンスイッチSWは、液晶表示部30の下部側に表示された各矢印Y等に対応して、矢印Y等を選択するスイッチとしても動作するようになっている。また、各ボタンスイッチは、上述した機能を有するものに限らず、その他の機能を有するものであってもよい。
【0023】
記憶部29には、ユーザ向け情報を示すための様々な要素(文字、文字列、数字、図形)や業者向け情報を表示するための様々な要素(文字、文字列、数字、図形)が格納されている。また、記憶部29には、液晶表示部30にユーザ向け情報と業者向け情報とを各処理に対応して表示させるための制御プログラムが格納されている。
この記憶部29には、1つのユーザ向け情報に対して、複数の国言語にて表示可能となるように、1つの情報に対応して複数の国言語(国言語データ)が格納されている。 例えば、「エンジン回転数」という1つのユーザ向け情報(文字)に対して、この情報(文字)を様々な言葉にて伝えるために、記憶部29には、「エンジン回転数」に対応する英語(英語データ)、ドイツ語(ドイツ語データ)、フランス語(フランス語データ)、イタリア語(イタリア語データ)といった複数の国言語(国言語データ)が記憶されている。
【0024】
また、記憶部29には、1つの業者向け情報に対して、複数の国言語にて表示可能となるように、1つの情報に対応して複数の国言語(国言語データ)が格納されている。例えば、「アーム仕様」という1つの業者向け情報(文字)に対して、この情報(文字)を様々な言葉にて伝えるために、記憶部29には、「アーム仕様」に対応する英語(英語データ)、ドイツ語(ドイツ語データ)、フランス語(フランス語データ)といった複数の国言語(国言語データ)が記憶されている。
例えば、ユーザ向け情報に対応する国言語と、業者向け情報に対応する国言語とをまとめると、図5に示すようになる。図5に示す「○」は国言語が記憶部に格納されていることを示し、図5に示す「×」は国言語が記憶部に格納されていないことを示している。
【0025】
図5に示すように、ユーザ向け情報を示す各文字又は各文字列(項目という)に対応して、例えば、それぞれの項目毎に英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語という国言語が割り当てられ、割り当てられた国言語により各項目が表示可能となるように、記憶部29に項目毎の国言語が格納されている。
業者向け情報を示す各文字又は各文字列(項目という)に対応して、それぞれの項目毎に英語、ドイツ語、フランス語という国言語が割り当てられ、割り当てられた国言語により各項目が表示可能となるように、記憶部29に項目毎の国言語が格納されている。
【0026】
なお、図5の「設定完了」に示すように、ユーザ向け情報に対応する項目と、業者向け情報に対応する項目とが同じ(同じ意味)であってもよいが、「設定完了」は、例えば、表示する画面(ユーザ向け情報では通常モードにて表示、業者向け情報では特別モードにて表示)が異なる。このように、ユーザ向け情報に対応する項目と、業者向け情報に対応する項目とが同じであっても、制御プログラム(記憶部によるデータ)上では、同じ項目(文字)は、文字としての認識又は処理は異なるものとなる。
一般的に、作業機1においては、業者向け情報の項目数(文字又は文字列の合計数)がユーザ向け情報の項目数(文字又は文字列の合計数)に比べて多く、業者向け情報に対応する項目数は、ユーザ向け情報に対応する項目数よりも多くなる。
【0027】
そのため、業者向け情報を複数の国言語にて表示可能させるために必要な国言語データ量は、国言語数がユーザ向け情報と同じであっても当該ユーザ向け情報を表示させるために必要な国言語データ量よりも多い。即ち、記憶部29において、業者向け情報を国言語にて表示させるために消費される国言語データ量は、ユーザ向け情報を国言語にて表示させるために消費される国言語データ量に比べて多く、国言語データ量の割合は、例えば、7:3(業者向け情報での国言語データ量:ユーザ向け情報での国言語データ量)である。
【0028】
さて、表示装置25によれば、表示部27に表示する情報について、ユーザ向け情報と、業者向け情報とに分けた上で、ユーザ向け情報に対応する国言語(国言語データ)と、業者向け情報に対応する国言語(国言語データ)とに分けている。このようなことから、業者向け情報に対応する国言語(国言語データ)の数をユーザ向け情報に対応する国言語(国言語データ)よりも少ない数にするといった差を持たすことが可能となる。
記憶部29において、業者向け情報に対応する国言語(国言語データ)の数をユーザ向け情報に対応する国言語(国言語データ)よりも少なくすることによって、業者向け情報に対応する国言語(国言語データ)によって消費されるデータ量が少なくなり、大幅に記憶部29の空き容量(記憶容量)を増加させることができる。
【0029】
そして、業者向け情報に対応する国言語(国言語データ)を少なくすることによって得られた記憶容量を有効に利用して、ユーザ向け情報に対応した国言語データを増加させることができる。通常、ユーザ向け情報が必要なユーザの数が、業者向け情報を必要とするディーラやメーカの数よりも多いため、ユーザの要望に容易に対応することができる。
制御部28は、入力部26、表示部27及び記憶部29等を制御するものであって、記憶部29に格納された制御プログラムによって動作して、上述したような、ユーザ向け情報や業者向け情報を液晶表示部30の表示に合わせて適宜表示させるためのものである。
【0030】
図6に示すように、制御部28は、エンジンを駆動するキースイッチをONして作業機1の駆動を開始すると、液晶表示部30で表示させる制御モードを通常画面モード33にする。通常画面モード33では、ボタンスイッチSWの操作が無ければ、燃料、水温、時間等を示した通常画面になる。
液晶表示部30が通常画面になっている状態にて、複数のボタンスイッチSW(SW1,SW2,SW3,SW4,SW5)のONにすることにより、制御部28は、通常画面を他の画面に切り換える。例えば、制御部28は、ボタンスイッチSW1のONにより液晶表示部30をユーザ設定画面に切り換え、ボタンスイッチSW2のONにより液晶表示部30をクレーンモード画面に切り換え、ボタンスイッチSW3のONにより液晶表示部30をアーム制限画面やアタッチメント切換画面に切り換える。制御部28は、各ボタンスイッチSWのOFFにより通常画面に戻す。
【0031】
このような通常画面モード33における通常画面、ユーザ設定画面、クレーンモード画面、アーム制限画面やアタッチメント切換画面では、制御部28は、ユーザが作業機1を操作するにあたって操作を行うために必要な様々な情報を表示させる。
例えば、ユーザ設定画面は、例えば、作業機1を使用するユーザが液晶表示部30に表示する時刻の設定や後述するような言語の設定等を行う画面であり、クレーンモード画面は、作業モードを吊り下げの作業モード等にするための画面である。また、アーム制限画面は、例えば、作業機1を使用するユーザがアームの角度を制限する等の設定を行ったり、アームの状況(角度等)を示す画面であり、アタッチメント切換画面は、作業機1を使用するユーザがアーム19の先端に取り付けたアッタッチメントの動作や機能等を設定するための画面である。
【0032】
つまり、通常画面、ユーザ設定画面、クレーンモード画面、アーム制限画面やアタッチメント切換画面では、制御部28、記憶部29、液晶表示部30等の処理によって作業機1を操作するユーザが作業機1の操作にあたって必要な情報、即ち、ユーザ向け情報を表示する。
図7に示すように、制御部28は、ボタンスイッチSWを押しながらキースイッチをOFFからONにしたり、ボタンスイッチSWを押しながらキースイッチをONからOFFにする、即ち、通常画面モード33とは異なる特別な操作を行うと、液晶表示部30で表示させる制御モードを特別画面モード34にする。特別画面モード34では、作業機1の仕様(機能)を設定する画面や作業機1のメンテナンスを行うための各種情報が表示される。即ち、制御部28は、特別画面モード34にて、ディーラ又はメーカが作業機1の駆動状態を確認したり、作業機1の仕様など様々な設定を行うために必要な様々な情報を画面に表示する。つまり、特別画面モード34における各画面では、制御部28、記憶部29、液晶表示部30等の処理によって業者向け情報を表示する。
【0033】
なお、特別モードによる画面の切換や特別モードでの画面表示は、複数のボタンスイッチSW(SW1,SW2,SW3,SW4,SW5)におけるON/OFFの組合せと、キースイッチのON/OFFの組合せによって、適宜設定されている。
以上のように、制御部28、液晶表示部30、記憶部29によって、作業機1を操作しているユーザに対して当該作業機1に関する情報(ユーザ向け情報)を表示するユーザ向け情報表示手段が構成され、上述したように、このユーザ向け情報表示手段は、同一の情報に対して複数の国言語にて表示可能となるように当該情報に対応した国言語を複数有したものとなっている。そして、ユーザ向け情報表示手段(制御部28、液晶表示部30、記憶部29)によって通常画面モード33にてユーザが作業機1を操作するのに必要なユーザ向け情報を適宜表示している。
【0034】
また、制御部28、液晶表示部30、記憶部29によって、ユーザ向けとは別に作業機1に関する情報(業者向け情報)を表示する業者向け情報表示手段が構成され、上述したように、この業者向け情報表示手段は、同一の情報に対して複数の国言語にて表示可能となるように、当該情報に対応した国言語を複数有したものとなっている。そして、業者向け情報表示手段(制御部28、液晶表示部30、記憶部29)によって特別画面モード34にてディーラ又はメーカが作業機1を操作するのに必要な業者向け情報を適宜表示している。
【0035】
以上のような表示装置25は、ユーザ向け情報表示手段によって表示される情報の国言語表示と、業者向け情報表示手段によって表示される国言語表示とを、独立して切り換える国言語切換手段35を備えている。この国言語切換手段35は、記憶部29に格納された制御プログラムに組み込まれている。言い換えれば、国言語切換手段35は、液晶表示部30及び記憶部29を制御する制御部28によって構成されている。
国言語切換手段35について詳しく説明する。
図5に示したように、表示装置25においては、ユーザ向け情報に対応する国言語と、業者向け情報に対応する国言語とは項目毎に複数の国言語が対応しているものとなっている。
【0036】
国言語切換手段35は、ユーザ向け情報を示す文字や文字列に対して、その情報をどの言語にて表示させるかを設定するユーザ向け切換モード36と、業者向け情報を示す文字や文字列に対して、その情報をどの言語にて表示させるかを設定する業者向け切換モード37とを備えている。そして、国言語切換手段35は、ユーザ向け切換モード36にて設定された国言語にてユーザ向け情報を表示させると共に、業者向け切換モード37にて設定された国言語にて業者向け情報の表示を行うように構成されている。
図8は、ユーザ向け切換モード36の説明図である。
【0037】
図8(a)に示すように、制御部28による液晶表示部30の制御モードが通常画面モード33で通常画面の状態であるときに、ボタンスイッチSW1を押してユーザ設定画面に移行し、さらに、ユーザ設定画面に表示された「言語選択」をカーソルK2にて決定後、ユーザ向け切換モード36になる。
図8(b)に示すように、制御部28(国言語切換手段35)は、ユーザ向け切換モード36に入ると、液晶表示部30の表示が言語設定画面となり、記憶部29に格納されている国言語データ(国言語)の一覧表を表示させる。そして、ユーザ向け切換モード36では、制御部28(国言語切換手段35)は、液晶表示部30に表示した国言語の一覧表の中で1つの国言語を示す文字に重なるカーソルK3等を表示させると共に、そのカーソルK3がボタンスイッチSW2を押すことにより他の言語に移動できるよう液晶表示部30を制御する。即ち、制御部28(国言語切換手段35)は、液晶表示部30に表示した国言語の一覧表の中からカーソルK3によって1つの国言語が選択できるように液晶表示部30を制御している。
【0038】
図8(c)に示すように、ユーザ向け切換モード36では、制御部28(国言語切換手段35)は、カーソルK3が所定の位置にあるときに、ボタンスイッチSW5が押されると、カーソルK3と重なっている国言語が設定(決定)されたものと認識する。
ユーザ向け切換モード36にて、複数の国言語の中から1つの国言語が設定されると、制御部28(国言語切換手段35)は、通常画面モード33であるときは、ユーザ向け切換モード36にて設定された国言語データを記憶部29から読み込むように動作させ、以降、通常画面、ユーザ設定画面、クレーンモード画面、アーム制限画面、アタッチメント切換画面にて表示するユーザ向け情報は、ユーザ向け切換モード36にて決定された国言語にて表示する。例えば、ユーザ向け切換モード36にて、「フランス語」が選択されると、通常画面、ユーザ設定画面、クレーンモード画面、アーム制限画面、アタッチメント切換画面の文字や文字列はフランス語にて表示される。
【0039】
図9は、業者向け切換モード37の説明図である。
図9(a)に示すように、ボタンスイッチSW5を押しながらキースイッチをOFFからONすると、制御部28による液晶表示部30の制御モードが、特別画面モード34の中の業者向け切換モード37となり、液晶表示画面が言語設定画面になる。
図9(b)に示すように、制御部28(国言語切換手段35)は、業者向け切換モード37に入ると、液晶表示部30に、記憶部29に格納されている国言語データ(国言語)の一覧表を表示させる。そして、この業者向け切換モード37では、制御部28(国言語切換手段35)は、液晶表示部30に表示した国言語の一覧表の中で1つの国言語を示す文字に重なるカーソルK4等を表示させると共に、そのカーソルK4がボタンスイッチSW2を押すことにより他の言語に移動できるよう液晶表示部30を制御する。即ち、制御部28(国言語切換手段35)は、液晶表示部30に表示した国言語の一覧表の中からカーソルK4によって1つの国言語が選択できるように液晶表示部30を制御している。
【0040】
業者向け切換モード37では、制御部28(国言語切換手段35)は、カーソルK4が所定の位置にあるときに、ボタンスイッチSW5が押されると、カーソルK4と重なっている国言語が設定(決定)されたものと認識する。
業者向け切換モード37にて、複数の国言語の中から1つの国言語が設定されると、制御部28(国言語切換手段35)は、特別画面モード34であるときは、業者向け切換モード37にて設定された国言語データを記憶部29から読み込むように動作させ、以降、特別モードにて表示する業者向け情報は、業者向け切換モード37にて決定された国言語にて表示する。例えば、業者向け切換モード37にて、「フランス語」が選択されると、特別画面モードでの画面における文字や文字列はフランス語になる。
【0041】
このように、ユーザ向け情報表示手段での国言語の切換と、業者向け情報表示手段での国言語の切換とは、別々の作業(手順)にて個別に行えるようになっていて、ユーザ向け情報に対応した国言語と、業者向け情報に対応した国言語とは連動しておらず独立して設定が行える。
つまり、図10に示すパターン1〜パターン5に示すように、ユーザ向け情報を液晶表示部30に表示させるときの国言語と、業者向け情報を液晶表示部30に表示させるときの国言語とを別々の国言語にして表示することができる。
【0042】
上述したように、表示装置25には、複数の国言語データが格納されて、国言語データを用いることにより作業機1に関する情報を、ぞれぞれの国言語にて表示することができる。
表示装置25に格納された複数の国言語データは、表示装置25を製造する過程(例えば、工場)にて書き込まれる。そして、複数の国言語データが書き込まれた表示装置25は、単体又は作業機1に組み込まれて工場等から出荷されることになる。作業機1は、世界の様々な国(地域)によって使用されているため、一度、工場等にて国言語データが書き込まれた表示装置25の国言語データは、書き換えられることがある。
【0043】
図11は、表示装置25に国言語を書き込むと共に、表示装置25に書き込まれた国言語を書き換えるまでの流れ(システム)を示したものである。このシステムは、表示装置25における言語書き換えシステムが含まれたシステムである。
図11に示すように、システムは、言語書込装置40と、言語書換指令装置41と、言語書換装置42とを備えている。
言語書込装置40(ライター)は、表示装置25の記憶部29に、複数の国言語データを書き込む装置である。この言語書込装置40は、コンピュータ等により構成されてケーブル又はネットワーク等を介して表示装置25に接続することにより、所定の国言語データを表示装置25の記憶部29に書き込むものである。当然の如く、言語書込装置40は、複数の言語データ(例えば、35カ国語の国言語データ)を備えている。
【0044】
言語書込装置40は、表示装置25を製造する工場内(例えば、日本の工場内)に配置されて、出荷先(仕向け地)に応じて、所定の数の国言語(国言語データ)をメイン言語群(国言語群)として書き込む。例えば、表示装置25の出荷先(仕向け先)が欧州であると、英語の国言語データと、フランス語の国言語データと、ドイツ語の国言語データとの3つの国言語データをメイン言語群として書き込む。このように表示装置25の出荷先が同じであると、表示装置25に書き込まれた国言語データは同じである。
なお、言語書込装置40は、出荷先に応じて複数の国言語データをメイン言語群として書き込むが、ユーザ向け情報を示す各文字又は各文字列に対応したメイン言語群の中の言語数及び言語の種類と、業者向け情報を示す各文字又は各文字列に対応したメイン言語群の中の言語数及び言語の種類とは同じにしてもよい。
【0045】
言語書換指令装置41は、予め言語書込装置40により国言語(国言語データ)がメイン言語群として書き込まれた表示装置25に対して、メイン言語群のうち少なくとも1つを他の言語に書き換える指令Sを出力するものである。
言語書込装置40は表示装置25を製造する日本等の工場内に配置されているが、言語書換指令装置41は、言語書込装置40とは遠く離れた別の国(例えば、出荷先の工場や出荷先のサービスセンター等)に配置されている。言い換えれば、言語書換指令装置41は、表示装置25が製造元(工場)から出荷される出荷先(仕向け地)に配置されていて、言語書込装置40とは離れた地域にある。
【0046】
言語書換指令装置41は、コンピュータ等により構成され、表示装置25に格納されたメイン言語群の国言語を設定する書換設定手段を備えている。この書換設定手段は、コンピュータに内蔵されたCPU等の制御部45、文字等を表示する表示部46(モニタ)、文字、数値等を入力する入力部47(キーボード、マウス等)により構成されている。この書換設定手段により、表示装置25に格納されたメイン言語群の書換を決定することができる。
言語書換指令装置41(書換設定手段)は、ユーザ向け情報を示す各文字又は各文字列に対応した複数の国言語(メイン言語群)の書き換えを行うものである。また、書換設定手段は、業者向け情報を示す各文字又は各文字列に対応した複数の国言語(メイン言語群)の書き換えを行うものである。即ち、言語書換指令装置41は、ユーザ向け情報に対応した国言語群に対する書き換え指令と、業者向け情報に対応した国言語群に対する書き換え指令とを個別に言語書換装置42に出力する。
【0047】
図12に示すように、具体的には、書換設定手段は、起動すると制御部45等の制御により表示部46に、ユーザ向け情報に応じた書き換え候補の国言語の一覧表(ユーザ一覧表)を表示すると共に、業者向け情報に応じた書き換え候補の国言語の一覧表(業者一覧表)を表示する。また、書換設定手段は、ユーザ一覧表から任意の国言語を入力部47により設定可能とすると共に、業者一覧表から任意の国言語を入力部47により設定可能とする。
加えて、書換設定手段は、ユーザ一覧表にてユーザ向け情報に応じた国言語が入力部47により選択されると、ユーザ向け情報に関して選択された国言語における国言語データを書き換える書き換え指令Sを外部に出力すると共に、業者一覧表にて業者向け情報に応じた国言語が入力部47により選択されると、業者向け情報に関して選択された国言語における国言語データを書き換える書き換え指令Sを外部に出力する。
【0048】
例えば、図12に示すように、表示部46の左側に示した「●」が、国言語の選択(決定)を示したものとすると、ユーザ向け情報に応じた国言語は、「英語」、「フランス語」、「イタリア語」となり、書換設定手段は、ユーザ向け情報に関して、これら3つの国言語データを書き換える指令Sを外部に出力する。一方、業者向け情報に応じた国言語は、「日本語」、「英語」、「フランス語」となり、書換設定手段は、業者向け情報に関して、これら3つの国言語データを書き換える指令Sを外部に出力する。
即ち、言語書換指令装置41(書換設定手段)は、ユーザ向け情報に対応するメイン言語群に対して書き換えを行う書き換える指令Sと、業者向け情報に対応するメイン言語群に対して書き換えを行う書き換える指令Sとを個別に言語書換装置42に出力するようになっている。
【0049】
以降、説明の便宜上、ユーザ向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語は、英語、フランス語、イタリア語との3つの国言語とし、書き換え前の表示装置25の記憶部29に格納されているメイン言語群は、英語、ドイツ語、フランス語として説明を進める。
また、業者向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語は、日本語、英語、フランス語との3つの国言語とし、書き換え前の表示装置25の記憶部29に格納されているメイン言語群は、英語、ドイツ語、フランス語として説明を進める。
【0050】
なお、書込設定手段には、業者向け情報に対応した複数の国言語(メイン言語群)の書き換えの設定を有効又は無効とする設定モードが具備されている。具体的には、この設定モードでは、表示部46に表示された書き換え有効表示又は書き換え無効表示を入力部47によって選択することにより、業者向け情報に対応したメイン言語群の書き換えの設定を有効又は無効にできる。業者向け情報に対応したメイン言語群の書き換えの設定が有効であるときは、上述したように表示部46に業者一覧表が表示され、業者向け情報に対応したメイン言語群の書き換えの設定が無効であるときは、上述したように表示部46に業者一覧表が表示されない。
【0051】
言語書換装置42は、言語書換指令装置41の書き換え指令Sに基づいてメイン言語群内の国言語(国言語データ)を他の国言語(国言語データ)に書き換えるものである。この言語書換装置42は、言語書換指令装置41と同様に言語書込装置40とは遠く離れた別の国(例えば、欧州の工場や欧州のサービスセンター等)に配置されている。言い換えれば、言語書換装置42は、表示装置25が製造元(工場)から出荷される出荷先(仕向け地)に配置されていて、言語書込装置40とは離れた地域にある。言語書換装置42は、言語書換指令装置41と同じ工場や地域にあることが好ましい。
【0052】
言語書換装置42は、コンピュータ等により構成され、ネットワークを介して言語書換指令装置41に接続可能とされ、ネットワークを介して書き換え指令Sなどの言語書換指令装置41からの信号が受信できるようになっている。また、言語書換装置42は、ケーブル又はネットワーク等を介して表示装置25に接続することにより、書き換え指令Sに基づいて指定された国言語データを表示装置25に書き込む動作をする。
言語書換装置42は、ユーザ向け情報に関し、既に表示装置25に格納されているメイン国言語群(英語、ドイツ語、フランス語)の中で、書き換え指令Sにて指定された国言語(英語、フランス語、イタリア語)と、一致している国言語(英語、フランス語)が当該表示装置25の記憶部29に格納されている場合、書き換え指令Sと同じ国言語に対する表示装置25への国言語(英語、フランス語)に対応する国言語データ(英語データ、フランス語データ)は表示装置25に出力せず、書き換えは行わない。即ち、言語書換装置42は、ユーザ向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語が、表示装置25の記憶部29に既に格納されている場合は、書き換え指令Sにて指定された国言語と同じ表示装置25に格納されている国言語はそのままにして、言語書換装置42(書込手段)による書き換え動作はない。
【0053】
一方で、言語書換装置42は、ユーザ向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語(英語、フランス語、イタリア語)の中で、既に表示装置25に格納されているメイン国言語群(英語、ドイツ語、フランス語)と一致しない言語がある場合、書き換え指令Sの中で一致していない国言語(イタリア語)を表示装置25に出力し、表示装置25に格納されていて書き換え指令Sによる国言語と一致していない国言語(ドイツ語)を、新しい国言語(イタリア語)に上書きして、表示装置25内のメイン言語群の少なくとも1つの国言語を更新する。即ち、ユーザ向け情報に関しては、書き換え指令Sにて指定された国言語が、表示装置25の記憶部29に格納されていない場合は、言語書換装置42によって、書き換え指令Sにて指定された国言語と一致しない表示装置25に格納されている国言語は消去して、書き換え指令Sと一致する国言語を除く国言語を表示装置25に書き込む。
【0054】
言語書換装置42は、業者向け情報に関し、既に表示装置25に格納されているメイン国言語群(英語、ドイツ語、フランス語)の中で、書き換え指令Sにて指定された国言語
(日本語、英語、フランス語)と、一致している国言語(英語、フランス語)が当該表示装置25の記憶部29に格納されている場合、書き換え指令Sと同じ国言語に対する表示装置25への国言語(英語、フランス語)に対応する国言語データ(英語データ、フランス語データ)は表示装置25に出力せず、書き換えは行わない。即ち、言語書換装置42は、業者向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語が、表示装置25の記憶部29に既に格納されている場合は、書き換え指令Sにて指定された国言語と同じ表示装置25に格納されている国言語はそのままにして、言語書換装置42(書込手段)による書き換え動作はない。
【0055】
一方で、言語書換装置42は、業者向け情報に関し、書き換え指令Sにて指定された国言語(日本語、英語、フランス語)の中で、既に表示装置25に格納されているメイン国言語群(英語、ドイツ語、フランス語)と一致しない言語がある場合、書き換え指令Sの中で一致していない国言語(日本語)を表示装置25に出力し、表示装置25に格納されていて書き換え指令Sによる国言語と一致していない国言語(ドイツ語)を、新しい国言語(日本語)に上書きして、表示装置25内のメイン言語群の少なくとも1つの国言語を更新する。即ち、業者向け情報に関しては、書き換え指令Sにて指定された国言語が、表示装置25の記憶部29に格納されていない場合は、言語書換装置42によって、書き換え指令Sにて指定された国言語と一致しない表示装置25に格納されている国言語は消去して、書き換え指令Sと一致する国言語を除く国言語を表示装置25に書き込む。
【0056】
言語書換装置42は、言語言語書換指令装置41の書込設定手段の設定モードによって業者向け情報に対応したメイン言語群の書き換えの設定が無効された場合には、書き換え指令Sに業者向け情報に関する書き換え指令Sが無いため、当然に、表示装置25の記憶部29に格納された業者向け情報のメイン言語群はそのままで書き換えず、表示装置25の記憶部29に格納されたユーザ向け情報のメイン言語群は書き換えることになる。
図13は、言語書換指令装置41が出力する書き換え指令Sの変更例を示したものである。図13に示すように、言語書換指令装置41は、国言語の組合せパターンを複数有している。即ち、言語書換指令装置41によって、国言語の組合せを示す組合せパターンを出力できるようになっている。例えば、図13に示すような複数の組合せパターンを言語書換指令装置41が言語書換装置42に出力できるようになっている。図13に示すパターン1は、欧州向けの基本パターンであり、パターン2及びパターン3は、スペイン向けに特化した場合のパターンであり、パターン4及びパターン5は、オランダ向けに特化した場合のパターンである。
【0057】
パターン2とパターン3とは、互いにユーザ向け情報に対応する国言語群の国言語は同じであるが、業者向け情報に対応する国言語群の国言語が異なっている。パターン4とパターン5においても、互いにユーザ向け情報に対応する国言語群の国言語は同じであるが、業者向け情報に対応する国言語群の国言語が異なっている。
このような言語書換指令装置41を用いて表示装置25に格納されている国言語を書き換える場合を説明する。
例えば、製造元の日本の工場から出荷先の欧州の工場に向けて出荷された表示装置25には、パターン1に示す複数の国言語が格納されているとする。この表示装置25では、ユーザ向け情報に対応する国言語の書き換えを行うことを前提に、記憶部29には国言語を書き換えるためのブランク領域が1つ設けられている。
【0058】
この表示装置25又は表示装置25を具備した作業機1を、欧州の工場からスペイン向けに出荷する場合、言語書換指令装置41は、国言語の組合せパターンのうち、スペイン語が含まれているパターン2又はパターン3(ユーザ向け情報に対応する国言語群の中でスペイン語が含まれている)を示す書き換え指令Sを言語書換装置42に出力する。即ち言語書換指令装置41は、出荷先に応じて書き換え候補となる国言語の組合せのパターンを書き換え指令Sとして出力する。
言語書換装置42は、書き換え指令Sが、パターン2であるとすると、ユーザ向け情報に対応する国言語を、英語、フランス語、スペイン語の3つの国言語に書き換え、業者向け情報に対応する国言語を、英語、フランス語、スペイン語の3つの国言語に書き換える。言語書換装置42は、書き換え指令Sが、パターン3であるとすると、業者向け情報に対応する国言語はそのままで、ユーザ向け情報に対応する国言語を書き換える。
【0059】
さて、パターン1に示す複数の国言語が格納されている表示装置25又は表示装置25を具備した作業機1を、欧州の工場からオランダ向けに出荷する場合、言語書換指令装置41は、国言語の組合せパターンのうち、オランダ語が含まれているパターン4又はパターン5(ユーザ向け情報に対応する国言語群の中でオランダ語が含まれている)を示す書き換え指令Sを言語書換装置42に出力する。
言語書換装置42は、書き換え指令Sが、パターン4であるとすると、ユーザ向け情報に対応する国言語を、英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語の4つの国言語に書き換える。このとき、言語書換装置42は、表示装置25において書き換えのために予め用意していた記憶部29のブランク領域にオランダ語を書き換える。さらに、言語書換装置42は、業者向け情報に対応する国言語を、英語、フランス語、オランダ語の3つの国言語に書き換える。
【0060】
なお、上記の説明では、言語書換装置42は、既に表示装置25に格納されている国言語は、そのままで書き換え対象となっている国言語のみを、表示装置25に書き込むとも説明しているが、これに限らない。
書き換え指令Sにて示された国言語が、既に表示装置25に格納されているか否かに関わらず、言語書換装置42は、書き換え指令Sで示された全ての国言語(国言語データ)を表示装置25に送信して、表示装置25に格納されている国言語を書き換えるようにしてもよい。例えば、図13に示すように、各パターン毎に対応して設定されたプログラム(パターンに示した国言語の全てを書き込むためのプログラム)を言語書換装置42側に格納させておき、書き換え指令Sによって所定のプログラム例えば、パターン1ならプログラムA、パターン2ならプログラムB、パターン3ならプログラムC、パターン4ならプログラムD、パターン5ならプログラムE)が指定されると、言語書換装置42は、書き換え指令(組合せパターン)に対応したプログラムを起動させることによって、書き換え指令(組合せパターン)によって指定された国言語群を表示装置25に書き込む。
【0061】
上述した言語書き換えシステムでは、作業機1の情報を表示する表示装置25に対して、情報を複数の国言語にて表示可能となるように複数の国言語をメイン言語群(国言語群)として書き込む言語書込装置40と、メイン言語群が書き込みされた表示装置25に対してメイン言語群内の国言語のうち少なくとも1つを他の言語に書き換える書き換え指令を出力する言語書換指令装置41と、この言語書換指令装置41の書き換え指令に基づいてメイン言語群内の国言語を他の国言語に書き換える言語書換装置42とを備えている。
これによれば、表示装置25のメイン言語群のうち、少なくとも1つを書き換えることができるため、主要なメイン言語を残しつつ、作業機1が移動する場所又は作業機1を使用する場所に応じた国(地域)の国言語を表示装置25に具備させることができる。
【0062】
例えば、作業機1が欧州のうち、イギリス、フランス、イタリアに亘って移動する場合、製造時に書き込んだメイン言語群のうち、主要となる英語とフランス語とを残しつつ、ドイツ語をイタリア語に書き換えることによって、作業機1が移動する場所又は作業機1を使用する場所に応じた国言語にて表示部27の表示を行うことができる。
なお、上述した実施例では、メイン言語群の中の国言語を書き換えるというシステムであるため、国言語データを記憶するために用意された記憶部29内の記憶領域を有効に活用しつつ、適宜、国言語データ(国言語)を国(地域)に合わせたものにすることができる。即ち、国言語データ(国言語)による表示を作業機1が移動する国に対応させるために、わざわざ、記憶部29内の容量を増加させる必要もない。
【0063】
上述した言語書き換えシステムでは、言語書換指令装置41は、書き換え候補となる国言語の組合せパターンを書き換え指令Sとして出力するように構成され、言語書換装置42は、組合せパターンを示した書き換え指令Sに基づいて表示装置25に格納されている国言語を他の国言語に書き換えるように構成されている。
これによれば、予め表示装置25に格納されている国言語群の中の国言語を、他の国言語に書き換える際に、国言語の組合せのパターンを予め設定して、その組合せのパターンに応じた書き換えが行われるため、表示装置25に格納されている国言語を書き換える書き換え作業が非常に簡単に行うことができる。例えば、日本にて製造されたベースとなる表示装置25を、所定の国に位置する欧州の工場に入荷して、さらに、当該欧州の工場にてベースの表示装置25に対する国言語群の再編した後に当該表示装置25を出荷する場合、出荷先に応じて国言語の組合せのパターンを決めておけば、簡単に出荷先に応じた国言語を有する表示装置25を製造(加工)することができる。
【0064】
上述した言語書き換えシステムでは、言語書換指令装置42は、ユーザ向け情報表示手段が有するメイン言語群に対する書き換え指令と、業者向け情報表示手段が有するメイン言語群に対する書き換え指令とを個別に言語書換装置41に出力するように構成され、言語書換装置42は、書き換え指令Sに基づいてユーザ向け情報表示手段が有するメイン言語群と、業者向け情報表示手段が有するメイン言語群とをぞれぞれ書き換える。
これによれば、例えば、作業機1の製造、管理、メンテナンス等をフランスにて業者が行った後に、当該作業機1を隣国のイタリアにてユーザが使用する場合があっても、業者向け情報表示手段による国言語表示をフランス語にし、ユーザ向け情報手段による国言語表示をイタリア語にすることが可能となる。即ち、作業機1が様々な国に亘って移動することがあっても、業者とユーザとの両方にて作業機1に関する情報を簡単に理解することができる。
【0065】
言語書換指令装置41は、業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換える指令を書き換え指令Sとして出力するように構成され、言語書換装置42は、書き換え指令Sに基づき業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換えるように構成されている。
これによれば、表示装置25の記憶部29に格納された業者向け情報のメイン言語群(国言語群)はそのままで書き換えず、表示装置25の記憶部29に格納されたユーザ向け情報のメイン言語群のみを書き換えることができるようになる。その結果、ユーザ向け情報に対応した国言語のみを書き換えることになるため、作業機1の製造、管理、メンテナンス等を行う拠点を中心に作業機1が移動する場合には、表示装置25の表示を作業機1が移動する先の国言語を中心とした表示体系(ユーザ向けの表示体系)にすることができ、業者向け情報に関するデータは扱わないため、記憶部29の領域を有効に活用することができる。言語書換指令装置41及び言語書換装置42は、言語書込装置40とは別の国に配置されていることが好ましい。
【0066】
これによれば、言語書込装置40とは別の国に配置された言語書換指令装置41及び言語書換装置42にて、表示装置25の国言語の再編集(書き換え)が容易にできるようになるため、わざわざ製造元となる言語書込装置40が配置された国に、表示装置25の国言語の変更を行うために当該表示装置25を送付する必要もなく、簡単に表示装置25における国言語の書き換えを行うことができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 作業機
25 表示装置
40 言語書込装置
41 言語書換指令装置
42 言語書換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の情報を表示する表示装置に対して、前記情報を複数の国言語にて表示可能となるように複数の国言語を国言語群として書き込む言語書込装置と、前記国言語群が書き込みされた表示装置に対して前記国言語群内の国言語のうち少なくとも1つを他の国言語に書き換える書き換え指令を出力する言語書換指令装置と、この言語書換指令装置の書き換え指令に基づいて国言語群内の国言語を他の国言語に書き換える言語書換装置とを備えた作業機の表示装置における言語書き換えシステム。
【請求項2】
前記言語書換指令装置は、書き換え候補となる国言語の組合せパターンを書き換え指令として出力するように構成され、前記言語書換装置は、前記組合せパターンを示した書き換え指令に基づいて前記表示装置に格納されている国言語を他の国言語に書き換えるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機の表示装置における言語書き換えシステム。
【請求項3】
国言語が書き換えされる前の表示装置は、作業機を操作しているユーザに対して当該作業機に関する情報を表示するユーザ向け情報表示手段と、前記ユーザ向けとは別に作業機に関する情報を表示する業者向け情報表示手段とを備え、
前記ユーザ向け情報表示手段は、前記情報に対応した複数の国言語を国言語群として有し、前記業者向け情報表示手段は、前記情報に対応した複数の国言語を国言語群として有しており、
前記言語書換指令装置は、ユーザ向け情報表示手段が有する国言語群に対する書き換え指令と、業者向け情報表示手段が有する国言語群に対する書き換え指令とを個別に前記言語書換装置に出力するように構成され、
前記言語書換装置は、前記書き換え指令に基づいてユーザ向け情報表示手段が有する国言語群と、業者向け情報表示手段が有する国言語群とをぞれぞれ書き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機の表示装置における言語書き換えシステム。
【請求項4】
前記言語書換指令装置は、業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換える指令を書き換え指令として出力するように構成され、前記言語書換装置は、前記書き換え指令に基づき業者向け情報表示手段が有する国言語群はそのままでユーザ向け情報表示手段が有する国言語群の国言語を書き換えるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の作業機の表示装置における言語書き換えシステム。
【請求項5】
前記言語書換指令装置及び言語書換装置は、前記言語書込装置とは別の国に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業機の表示装置における言語書き換えシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−182024(P2010−182024A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23873(P2009−23873)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】