説明

作物掘取収穫機

【課題】
掘取搬送装置の始端側と終端側を別々に上下動可能に構成し、作物の掘取姿勢と作物の落下距離を同時に作業条件に最適な設定にすることができる作物掘取収穫機を提供する。
【解決手段】
圃場を走行する走行装置12L,12Rを設け、圃場から作物を掘り取り後方へ搬送する掘取搬送装置30を設け、掘取搬送装置30の搬送始端側を上下動させる第1昇降部材37を設け、掘取搬送装置30の搬送終端部から排出される作物を収容する収容部材70を設置する設置部材69を設けた作物掘取収穫機において、掘取搬送装置30の搬送終端側を上下動自在に構成し、掘取搬送装置30の搬送終端側を上下動させる第2昇降部材39を設けるとともに、選別搬送装置30の下方に搬送始端側を上下動させる第1昇降部材37を設け、選別搬送装置30の上方に搬送終端側を上下動させる第2昇降部材39を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から掘り起こして収穫する作物掘取収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の掘取収穫機としては、掘取搬送コンベアの搬送始端側を上下動させて掘取作業高さを決定し、圃場から作物を掘り取り、掘り取った作物を機体後部に向かって搬送する技術が存在する。(特許文献1)
また、圃場から作物を掘取収穫し、搬送コンベアで機体後部上方に向かって搬送し、搬送コンベアの終端部から回収部に落下案内する技術が存在する。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−149913号公報
【特許文献2】特開2000−125632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された掘取収穫機では、掘取搬送コンベアの搬送始端側を上下動させて、作業条件に適した上下位置に調節することができるものの、搬送終端側の上下位置は掘取搬送コンベアの上下動に連動して変わるので、掘取位置を低く設定すると掘取搬送コンベアの搬送終端側の上下位置が高くなり、回収部に落下する際の衝撃で作物が傷付き、作物の商品価値が低下する問題がある。
【0005】
また、掘取位置を高く設定して掘取搬送コンベアの搬送終端側の上下位置を低くすると、掘取搬送コンベアと収容袋が干渉し、掘取搬送コンベアの上下幅が制限されてしまい、作業範囲が限定されてしまう問題がある。
【0006】
さらに、掘取搬送コンベアと収容袋で回収した作物がぶつかり、接触の衝撃で作物が傷付き商品価値が低下する問題があると共に、収容袋から飛び出して機外に落下し、作業者が落下した作物を拾い集めねばならなくなり、作業者の労力が増大する問題がある。
【0007】
そして、掘り起こした作物に付着した泥土等の夾雑物は落ちることなく搬送されるため、作業者は作物の形状や大きさ、傷や病気の有無を目視しにくく、収穫作業後に作物の選別作業を別途行わねばならず、作業者の労力が増大する問題がある。
【0008】
また、掘取搬送コンベアの前端部には掘起し刃が備えられているが、固定刃であるため土中への進入角度によっては抵抗が生じやすく、掘取深さが変わってしまい、作物の掘り取り損ないが生じる問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、圃場を走行する走行装置(12L,12R)を設け、圃場から作物を掘り取り後方へ搬送する掘取搬送装置(30)を設け、該掘取搬送装置(30)の搬送始端側を上下動させる第1昇降部材(37)を設け、前記掘取搬送装置(30)の搬送終端部から排出される作物を収容する収容部材(70)を設置する設置部材(69)を設けた作物掘取収穫機において、前記掘取搬送装置(30)の搬送終端側を上下動自在に構成し、掘取搬送装置(30)の搬送終端側を上下動させる第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする作物掘取収穫機とした。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記選別搬送装置(30)は、機体前側に設ける第1掘取搬送フレーム(16)の後端部に回動支軸(19)を設け、該回動支軸(19)に中継回転体(18)を回転自在に設け、前記第1掘取搬送フレーム(16)の前端部に従動回転体(17)を回転自在に設け、前記第1掘取搬送フレーム(16)の後方に第2掘取搬送フレーム(23)を回動支軸(19)を回動支点として上下動可能に設け、該第2掘取搬送フレーム(23)の後端部に駆動回転体(24)を設け、該駆動回転体(24)と従動回転体(17)と中継回転体(18)に伝動無端帯(28)を無端状に巻回して構成し、前記選別搬送装置(30)の下方に搬送始端側を上下動させる第1昇降部材(37)を設け、選別搬送装置(30)の上方に搬送終端側を上下動させる第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物掘取収穫機とした。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記走行装置(12L,12R)を連結する連結支持部材(14)を設け、前記掘取搬送装置(30)の下部に受部材(36)を設け、該連結支持部材(14)と受部材(36)に前記第1昇降部材(37)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の作物掘取収穫機とした。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記第1掘取搬送フレーム(16)の上部に前側支持部材(38f)を設け、前記第2掘取搬送フレーム(23)の上部に後側支持部材(38r)を設け、該前側支持部材(38f)と後側支持部材(38r)に前記第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする請求項2または3記載の作物掘取収穫機とした。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記伝動無端帯(28)に作物を搬送する複数の搬送部材(29)を等間隔に設け、前記伝動無端帯(28)の巻回域内に該搬送部材(29)に接触して振動させる振動装置(33)を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の作物掘取収穫機とした。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記第1掘取搬送フレーム(16)側と第2掘取搬送フレーム(23)側に少なくとも1つずつ振動装置(33)を設ける構成としたことを特徴とする請求項5記載の作物掘取収穫機とした。
【0016】
請求項7記載の発明は、前記掘取搬送装置(30)の前端下部に土中に進入する掘起し部材(20)を設け、該掘起し部材(20)を揺動させる掘起し揺動機構(50)を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物掘取収穫機とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、掘取搬送装置(30)の搬送始端側を回動自在に構成したことにより、作物を圃場から掘り起こす掘取搬送装置(30)の搬送始端側の角度を変更することができるので、作物の生育状態や圃場の状態に適した掘取作業を行えるため、作物を掘り起こし損なうことが防止され、作業能率が向上する。
【0018】
また、設置部材(69)に設置した収容部材(70)に収容される作物の量の変化により機体後部の重量が変化し、機体のバランスが乱れた場合には、掘取搬送装置(30)の搬送始端側を上下動させて機体の前後の重心位置を変更してバランスを調節することができるので、作物の掘取位置や走行姿勢が乱れることが無く、作物の掘取作業能率が向上する。
【0019】
そして、掘取搬送装置(30)の搬送終端側を回動自在に構成したことにより、掘取搬送(30)の搬送終端側と収容部材(70)との距離を収容部材(70)に収容した作物の量に応じて変更することができるので、作物が落下の衝撃で傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0020】
さらに、掘取搬送部材(30)の搬送始端側と搬送終端側を別々に回動自在に構成したことにより、作物の掘り起こし姿勢を適切にしつつ作物の落下距離を短くすることができるので、作業効率を向上させつつ作物の商品価値を向上させることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、掘取搬送装置(30)の搬送始端側を第1昇降部材(37)で上下動させる構成とし、搬送終端側を第2昇降部材(39)で上下動させる構成としたことにより、複雑な連動機構を構成する必要が無く、搬送始端側及び搬送終端側の上下動機構をシンプルに構成することができる。
【0022】
また、第1昇降部材(37)を掘取搬送装置(30)の下部に設け、第2昇降部材(39)を掘取搬送装置(30)の上部に設けたことにより、第1昇降部材(37)と第2昇降部材(39)は相互に干渉することなく伸縮動作することができるので、掘取搬送装置(30)の搬送始端側及び搬送終端側の作業高さを作業条件に適した高さに設定することができ、作物の掘取や収容部材(70)への収容が適切に行われるため、作業能率が向上すると共に、作物の商品価値が向上する。
【0023】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、掘取搬送装置(30)の下方に走行装置(12L,12R)連結支持部材(14)を設け、この連結支持部材(14)に第1昇降部材を設けたことにより、連結支持部材(14)は掘取搬送装置(30)の搬送始端側を上下動させても干渉しない位置に配置されるので、掘取搬送装置(30)の搬送始端側の下方移動範囲が確保され、作物の掘取深さを作業条件にあった適切な深さに調節でき、作業能率が向上する。
【0024】
また、収容部材(70)の重量が重くなり、機体後側に重心が偏っても、掘取搬送装置(30)の搬送始端側の下方範囲が確保されていることにより、機体の前後バランスを取ることができるので、作物の掘取位置や走行姿勢が乱れることが無く、作業能率が向上する。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または3記載の発明の効果に加えて、第1掘取搬送フレーム(16)の上側に設ける前側支持部材(38f)と第2掘取搬送フレーム(23)の上側に設ける後側支持部材(38r)に第2昇降部材(39)を設けたことにより、第1昇降部材(37)と第2昇降部材(39)を同時に操作しても互いに干渉することがないので、掘取搬送装置(30)の搬送始端側及び搬送終端側の上下位置を調節する時間を短縮でき、作業能率が向上する。
【0026】
また、作物の搬送面よりも上方に第2昇降部材(39)が位置することにより、作物から剥がれた泥土等の夾雑物が第2昇降部材(39)に付着することが防止されるので、メンテナンス性が向上する。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、請求項2から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、伝動無端帯(28)に作物を搬送する複数の搬送部材(29)を等間隔に設けたことにより、搬送中の作物から剥がれた泥土等の夾雑物を搬送部材(29)の間隔部から落下させることができるので、搬送部材(29)に夾雑物が残りにくくなり、掃除に要する労力と時間が軽減されて、メンテナンス性が向上する。
【0028】
また、搬送無端帯(28)の巻回域内に、搬送部材(29)に接触して振動を加える振動装置(33)を設けたことにより、作物に付着した泥土等の夾雑物を確実に落とすことができるので、作業者は作物の大きさや形状、傷や病気の有無を目視確認しやすくなり、作物の選別精度が向上する。
【0029】
さらに、収容部材(70)に入り込む夾雑物の量を減らすことができるので、収容部材(70)に入る作物の量が増えるため、収容部材(70)の交換頻度が減少し、作業能率が向上する。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、第1掘取搬送フレーム(16)側と第2掘取搬送フレーム(23)側に振動装置(33)を少なくとも1つずつ設けることにより、掘取搬送装置(30)の搬送始端側で作物に付着した泥土等の夾雑物を落とし切れない場合でも、搬送終端側の振動装置(33)で作物にさらに振動を加えることができるので、作業者は作物の大きさや形状、傷や病気の有無を目視確認しやすくなり、作物の選別精度が向上する。
【0031】
また、収容部材(70)に入り込む夾雑物の量を減らすことができるので、収容部材(70)に入る作物の量が増加し、収容部材(70)の交換頻度が減少し、作業能率が向上する。
【0032】
請求項7記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、掘取搬送装置(30)の前端下部に土中に進入する掘起し部材(20)を設けたことにより、掘取搬送装置(30)を土中に植生する作物に近付けることができるので、作物が確実に掘り取られるため、掘り取り損なった作物を作業者が掘り起こす必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0033】
また、掘起し部材(20)を揺動させる掘起し揺動機構(50)を設けたことにより、掘起し刃(20)から掘取搬送装置(30)に作物を移動させる間に作物に付着している泥土等の夾雑物を落とすことができるので、掘取搬送装置(30)まで移動する夾雑物が少なくなり、作業者が作物の状態を目視しやすくなり選別精度が向上すると共に、収容部材(70)に入り込む夾雑物の量が減ることにより収容部材(70)の交換頻度が減少し、作業能率が向上する。
【0034】
さらに、掘起し部材(20)が揺動することにより、掘起し部材(20)は泥土を解しながら土中に進入することができるので、泥土の抵抗で掘取搬送装置(30)の掘取深さが変わることが防止され、作物を確実に掘取収穫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】作物掘取収穫機の平面図
【図2】作物掘取収穫機の側面図
【図3】(a)掘取搬送部の要部平面図、(b)掘取搬送部の要部側面図
【図4】(a)掘取搬送部の揺動装置の拡大平面図、(b)掘取搬送部の揺動装置の拡大側面図
【図5】振動装置の拡大側面図
【図6】別実施例の掘取伝動チェーンの部分側面図
【図7】別実施例の収容部と作業車両を示す側面図
【図8】別実施例の収容部の平面図
【図9】別実施例の収容部と作業車両を示す側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5に示すように、実施例の一つとして示す掘取収穫機の一種である里芋収穫機を示す。この里芋収穫機は、畝を跨いで圃場を走行する走行部Aと、圃場から収穫対象の里芋を掘り起こして収穫する掘取収穫部Bと、里芋収穫機を操作する操縦部Cと、収穫した里芋を収容する収容部Dから構成される。
【0037】
なお、里芋という作物は、種となる親芋の周囲に無数の子芋及び孫芋が発生した状態で収穫するものであり、商品として出荷されるのは、主として子芋及び孫芋である。但し、品種によっては親芋も商品になるものもある。
【0038】
まず、走行部Aについて説明する。
図1、図2で示すように、機体左側に設ける左機体フレーム1Lの前部に駆動力を発生させるエンジン2を設け、該エンジン2よりも機体後側にエンジン2が発生させた駆動力を機体各部に伝達するミッションケース3を設け、該ミッションケース3に左右の出力軸4,4をそれぞれ取り付ける。また、機体右側に設ける右機体フレーム1Rの前部に油圧を調節するポンプユニット5を設け、該ポンプユニット5よりも後側に電力を供給するバッテリ6を設置する。なお、前記左機体フレーム1上には、エンジン2とミッションケース3の外周及び上部を覆うカバーフレーム13を設け、エンジン2やミッションケース3に泥土等の汚れが付着することを防止する。
【0039】
そして、前記左右の出力軸4,4を左右の機体フレーム1L,1Rの外側端部よりも外側に突出させ、左右の出力軸4,4の端部に左右の走行伝動ケース7,7に装着し、該左右の走行伝動ケース7,7に圃場を走行する左右の走行クローラ12L,12Rをそれぞれ取り付けて、走行部Aを構成する。
【0040】
上記構成により、里芋収穫機は畝を跨いで走行することができるので、畝内に植生する、収穫対象となる里芋を左右の走行クローラ12L,12Rで踏み潰すことなく掘り起こして収穫することができるので、里芋の商品価値が向上する。
【0041】
また、左機体フレーム1Lに重量物であるエンジン2とミッションケース3を設け、右機体フレーム1Rに同等の重量物である油圧ポンプユニット5とバッテリ6を設けたことにより、機体左右の重量バランスが安定する構成となるので、機体の直進性や旋回性が向上し、作業能率や操作性が向上する。
【0042】
次に、掘取収穫部Bについて説明する。
図1、図2で示すように、前記伝動軸4,4を覆う円柱状の支持フレーム14を設け、該支持フレーム14の右機体フレーム1R側に取付フレーム15を取り付ける。そして、該取付フレーム15と前記カバーフレーム13に、左右の第1掘取搬送フレーム16,16を機体前側に向けて上下回動自在に取り付ける。該左右の第1掘取搬送フレーム16,16の前部に掘取従動スプロケット17,17をそれぞれ回転自在に設け、後端部には左右のテンションスプロケット18,18を、前記左右の第1掘取搬送フレーム16,16の回動支点を兼ねる支軸19に軸着して配置する。
【0043】
また、前記左右の第1掘取搬送フレーム16,16の前端部の左右間に亘って、畦内に入り込んで里芋を掘り起こす掘起し刃20を取り付け、該掘起し鋤20の後部で且つ左右方向中央部に里芋を後方に移動させる案内プレート21を後上り傾斜姿勢で取り付けると共に、該掘起し鋤20の後部で且つ案内プレート21の左右両側には、掘り起こした里芋から泥土や夾雑物を下方に落下させながら移動させる複数の案内バー22…を、左右方向に間隔を空けて配置する。
【0044】
なお、図3(b)で示すように、上記案内プレート21を後上り傾斜姿勢で設けると共に、案内バー22…を後下がり傾斜姿勢とすると、掘り起こされた泥土が案内バー22…同士の隙間から下方に落ちやすくなる。
【0045】
さらに、掘起し刃20に泥土や夾雑物が通過する切欠部20aを形成すると、里芋を掘り起こす際に掘起し鋤20に泥土が付着しにくくなるので、付着した泥土が抵抗となって里芋収穫機の走行を妨げることが防止され、作業能率が向上する。
【0046】
なお、図4(a)(b)で示すように、左右どちらか一方の掘取従動スプロケット17に機体外側に向けて出力軸44を設け、該出力軸44に揺動伝動ケース48に内装する入力スプロケット45を軸着する。そして、揺動伝動ケース48に内装する入力スプロケット45と出力スプロケット46に亘って揺動伝動チェーン47を無端状に巻回し、該出力スプロケット46に軸着した出力軸49に、前記掘起し刃20の下部に接触して掘起し刃20を揺動させる偏心カム49aを軸着し、掘起し揺動機構50を構成してもよい。このとき、前記掘起し刃20の前側下部を左右の第1掘取搬送フレーム16,16に取り付け、掘起し刃20の後部を偏心カム49aに接触させる構成とする。
【0047】
そして、前記支軸19で且つ左右の第1掘取搬送フレーム16,16の左右間に、左右の第2掘取搬送フレーム23,23を上下回動自在に取り付ける。該第2掘取搬送フレーム23,23は支軸19を回動支点として上下回動自在に配置すると共に、前記第1掘取搬送フレーム16,16の左右間隔よりも狭い左右間隔で配置するものとする。
【0048】
また、前記第2掘取搬送フレーム23,23の後端部には掘取駆動スプロケット24,24を回転自在に設け、該掘取駆動スプロケット24,24を駆動回転軸25で連結する。さらに、該駆動回転軸25の一側端部を機体右側から突出させ、駆動回転軸25の一側端部に、駆動回転軸25を回転させる油圧式の駆動モータ26を装着する。該駆動モータ26の周囲には、作業者が誤って駆動モータ26に触れないよう、モータカバー27を取り付ける。
【0049】
そして、前記掘取駆動スプロケット24,24とテンションスプロケット18,18と掘取従動スプロケット17,17に亘って掘取伝動チェーン28,28を無端状に巻回し、該掘取伝動チェーン28,28の左右間に掘り起こした里芋を載せて後方に搬送する複数の搬送バー29…を前後方向に所定間隔を空けて配置することにより、掘取搬送コンベア30が構成される。該掘取搬送コンベア30の前端部外側、即ち左右の第1掘取搬送フレーム16,16の前端部外側には取付プレート40,40をそれぞれ設け、該左右の取付プレート40,40にボス41,41を、中空部を前後方向に向けて取り付け、該左右のボス41,41の中空部に取付調節ロッド42,42を挿し込むと共に、該左右の取付調節ロッド42,42の前端部に圃場に設置して掘取搬送コンベア30の過度の下降を防止する転輪43,43をそれぞれ回転自在に取り付ける。前記左右の取付調節ロッド42,42は、左右のボス41,41に沿って前後方向に摺動させ、ボルトとの固定部材(図示省略)で位置を決めることにより、左右の転輪43,43の設置位置を変更可能に構成する。
【0050】
なお、前記掘取搬送コンベア30を構成する掘取伝動チェーン28,28の巻回域内には、三叉形状(あるいは、側面視Y字形状)の回転プレート31の各頂点に接触ローラ32,32,32を回転自在に装着して構成する複数の振動装置33…が、接触ローラ32,32,32が搬送バー29…に間歇的に接触する位置に配置される。該振動装置33…には、振動装置33…に回転駆動力を供給する油圧モータ34…をそれぞれ設け、作業者が設定したタイミングで各振動装置33…の接触ローラ32,32,32が搬送バー29…に間歇的に接触する構成とすることを可能としている。前記振動装置33…の回転方向は、里芋の搬送方向、側面視で時計回り方向に回転させると、振動が発生しても里芋を搬送始端側に送り返す力が生じないので、里芋が搬送経路を何往復もすることが無く、作業能率が向上する。
【0051】
上記構成により、振動装置33…が掘取搬送コンベア30の各部を間歇的に振動させることができるので、搬送中の里芋に付着している泥土を振動で落とすことができるので、作業者は収穫された里芋のサイズや形状、傷の有無等を目視可能となり、選別精度が向上する。
【0052】
そして、収穫される里芋から泥土が除去されているので、収穫後の子芋及び孫芋の分離作業や洗浄作業の際に、泥土を落とす作業に要する時間と労力が軽減され、作業者の労力が軽減される。
【0053】
前記振動装置33は、搬送始端側寄りに一つ設け、掘取搬送コンベア30の搬送始端側及び搬送終端側の回動支点となる支軸19の前後に少なくとも一つずつ設ける構成とすると、搬送終端側に移動するまでに泥土を落とすことができ、二つの振動装置33,33を経ても落ちていない泥土を、三番目の振動装置33で落とすことができるので、収容袋70に入る泥土の量をさらに減らすことができる。
【0054】
そして、前記左右の第1掘取搬送フレーム16,16の下部左右間に受板36を設け、該受板36と円柱状の支持フレーム14の間に第1搬送フレーム16,16、即ち掘取搬送コンベア30の搬送始端側(前側)を上下回動させて高さ調節する前部昇降シリンダ37を伸縮自在に配置する。さらに、機体左側の前記第1掘取搬送フレーム16の後側上部に前側支持プレート38fを設け、機体左側の第2掘取搬送フレーム23の前側上部に後側支持プレート38rを設け、該前側支持プレート38fと後側支持プレート38rに左右の第2掘取搬送フレーム23,23、即ち掘取搬送コンベア30の搬送終端側(後側)を上下回動させる後部上下動シリンダ39を伸縮自在に配置して、掘取搬送部Bを構成する。
【0055】
なお、本件の前部昇降シリンダ37と上下動シリンダ39は油圧式であるため、前部昇降シリンダ37と後部上下動シリンダ39の伸縮に必要な油圧は油圧ポンプユニット5から供給するものとするが、前部昇降シリンダ37と後部上下動シリンダ39を電動式として、バッテリ6から電力を得る構成とすることも可能である。
【0056】
上記構成により、前部昇降シリンダ37を伸縮操作すると掘取搬送コンベア30の搬送始端側が上下回動する構成となるため、里芋の品種や植生状況、圃場条件等の作業条件に合わせて掘取搬送コンベア30の畝への進入角度を適切な角度に調節することができるので、前端部に設けた掘起し刃20が里芋に接触して傷つけることが防止され、里芋の商品価値が向上する。
【0057】
そして、作業条件に合わせて適切な角度に調節することにより、掘起し刃20が畝に進入する際の土の抵抗を抑えることができるので、土の抵抗により里芋収穫機の走行が遅くなることが防止され、作業能率が向上する。
【0058】
さらに、収容袋70に里芋が満載され、重量バランスが機体後側に偏って機体前側が浮き上がることがあっても、掘取搬送コンベア30の前端部を下降させて重心を変更することができるので、里芋収穫機のバランスを簡単に安定させることができ、操作性が向上する。
【0059】
また、後部上下動シリンダ39を伸縮操作すると掘取搬送コンベア30の搬送終端側が上下回動する構成としたことにより、掘取搬送コンベア30の搬送終端部から後述する収容部Dの収容袋70の底部までの落下距離を、収容袋70に収容された里芋の量に合わせてできるだけ短くなる距離に調節することができるので、落下の衝撃で里芋が傷付くことが防止され、里芋の商品価値が向上する。
【0060】
しかも、本件構成では掘取搬送コンベア30の搬送前端側と搬送終端側を独立して上下動させることができるので、搬送前端側を里芋の掘取収穫に最適な位置に調節しつつ、搬送終端側を里芋の落下距離ができるだけ短くなる位置に調節することができ、作業能率や商品価値の向上が同時に図られる。
【0061】
なお、掘取搬送コンベア30の搬送終端側を収容袋70の容量が最大となる高さまで上昇させたとき、掘取搬送コンベア30が略一直線の後上り傾斜姿勢となる構成とすると、掘取搬送コンベア30の傾斜角度を緩やかにすることができるので、搬送中の里芋が転げ落ちることが防止され、同じ里芋が何度も搬送経路を移動することが無く、作業能率が向上する。
【0062】
また、転げ落ちた里芋が後続の里芋とぶつかり、互いに傷付くことを防止できるので、里芋の商品価値が向上する。
これに加えて、掘取収穫作業を終えた後、里芋収穫機を片付ける際には、掘取搬送コンベア30の搬送終端側がさらに上昇し、掘取搬送コンベア30の後端部が左右の機体フレーム1L,1Rの後端部の上方に位置する構成とすると、機体の前後幅が短くなるので、里芋収穫機を倉庫等に収納しやすくなる。
【0063】
さらに、第1掘取搬送フレーム16の後側上部に設ける前側支持プレート38fと第2掘取搬送フレーム23の前側上部に設ける後側支持プレート38rに後部上下動シリンダ39を設けたことにより、掘取搬送コンベア30の搬送始端側の上下動の影響を受けにくいため、掘取搬送コンベア30の搬送始端側と搬送終端側の上下位置調節が独立して行なえる。
【0064】
そして、掘取搬送コンベア30を構成する搬送バー29…を前後方向に間隔を空けて掘取伝動チェーン28,28に設けることにより、搬送中の里芋に付着している泥土や、里芋から剥がれて搬送バー29…等に付着した泥土を下方に落下させることができるので、作業者は里芋の正確な大きさや形状、子芋及び孫芋の発生具合、傷や病気の有無を容易に目視確認可能となり、里芋の選別精度が向上する。
【0065】
さらに、泥土が里芋と一緒に収容袋70まで搬送されにくくなるので、収容袋70内に泥土が入り込む量が減少するため、収容袋70の容量を里芋の収穫のみに用いることができ、収容袋70の交換頻度を減らして作業能率の向上を図ることができる。
【0066】
また、搬送バー29…に接触して掘取搬送コンベア30の各部を振動させる複数の振動装置33…を設けたことにより、搬送中の里芋に付着している泥土や、里芋から剥がれて搬送バー29…等に付着した泥土に振動を加えて落とすことができるので、作業者は里芋の正確な大きさや形状、子芋及び孫芋の発生具合、傷や病気の有無を容易に目視確認可能となり、里芋の選別精度が向上する。
【0067】
加えて、搬送バー29…等に泥土が残りにくくなるので、作業終了後の掃除の際に泥土を除去する作業時間や労力が軽減され、作業者の労力が軽減される。
そして、振動装置33を、三叉形状の回転プレート31の各頂点に接触ローラ32,32,32を設けて、間歇的に搬送バー29…と接触する構成としたことにより、常時振動を発生させるよりも大きな振動を里芋や搬送バー29…に加えることができるので、付着した泥土がいっそう落ちやすくなり、選別精度が向上する。
【0068】
なお、泥土落としの効果を向上させるべく、強力な振動装置を設けて搬送コンベア30を常時振動させる構成とすることも考えられるが、大きな振動を発生させるためにはより大きな油圧力や電力が必要となるため、電力や燃料の消費が増大して稼働時間が短くなる問題がある。稼働時間を長くするためには、油圧ポンプをより強力なものに変えたり、バッテリを大容量のものに変えたりする必要があるが、その分コストが高くなる問題がある。さらに、常時強力な振動を搬送バー29…に加えていると、搬送バー29…や掘取伝動チェーン28,28などが振動により損傷しやすくなるので、耐久性が低下する問題があるので、本件のような間歇的な振動を発生させる振動装置33が必要となるのである。
【0069】
そして、複数の振動装置33…をそれぞれ独立した油圧モータ34…で駆動させることにより、振動装置33毎に接触ローラ32と搬送バー29が接触するタイミングを決めることができるので、振動発生のタイミングをずらして確実に里芋に振動を加えて泥土落としをすることが可能となる。
【0070】
また、左右の転輪43,43を掘取搬送コンベア30の前端外側に設けたことにより、掘取搬送コンベア30の搬送始端側が転輪43,43の設定位置よりも下方に移動することを防止できるので、過度に下方移動させた掘取搬送コンベア30が圃場面と接触して傷付くことが防止されるので、掘取搬送コンベア30が破損しにくくなる。
【0071】
加えて、前側昇降シリンダ37が油圧不足のトラブル等によって保持力を失い、掘取搬送コンベア30の搬送始端側が自重で下方移動することがあっても、左右の転輪43,43で設定した高さ以下に下降することが無く、掘取搬送コンベア30の破損が防止される。
【0072】
次に、機体を操作する操縦部Cについて説明する。
図1、図2で示すように、前記左右の機体フレーム1L,1Rの後部にそれぞれ座席支持フレーム51,51を設け、該左右の座席支持フレーム51,51に座席支持アーム52,52の基部と、該座席支持アーム52,52よりも機体前側に座席支持ロッド53,53の基部を前後方向に回動自在に設ける。そして、該座席支持アーム52,52と座席支持ロッド53,53の端部を連結プレート54,54でそれぞれ連結して平行リンク機構55,55を構成し、該平行リンク機構55,55の上部に作業者及び補助作業者が着座する作業シート56L,56Rを回転可能に取り付ける。
【0073】
そして、機体左側の作業シート56Lの前側で且つエンジン2及びミッションケース3の後側に、機体の進行方向や旋回、走行速度、及び油圧の入切を操作する操縦パネル57を取り付ける。該操作パネル57の上部に油圧の入切を切り替える油圧切替レバー58を設け、該油圧切替レバー58の下部で且つ左右中央に走行の入切と走行速度を操作する走行操作レバー59を設け、該走行操作レバー59の左右両側に左右旋回操作を行なう左右の旋回操作レバー60,60を設ける。
【0074】
さらに、前記取付フレーム15上にL字形状の補助操作支持フレーム61を設け、該補助操作支持フレーム61の屈曲部を掘取搬送コンベア30の上方に位置させる。そして、該補助操作支持フレーム61に掘取搬送コンベア30を駆動する油圧式の駆動モータ26の入切及び回転数の切替を行なうコンベア操作レバー62と、前側昇降シリンダ37を昇降操作する第1昇降操作レバー63と、後側上下動シリンダ39を昇降操作する第2昇降操作レバー64と、振動装置33…を駆動回転させる油圧モータ34…の入切及び回転数の切替を行なう振動操作レバー65…を、送油ユニット66を介して取り付ける。該送油ユニット66の一側端部を前記油圧ポンプユニット5と送油ホース(図示省略)で連結し、送油ユニット66の他側端部とミッションケース3、駆動モータ26、前側昇降シリンダ37、後側上下動シリンダ39、油圧モータ34…をそれぞれ送油ホース(図示省略)で連結して油圧系操作装置68を構成したことにより、操縦部Cが構成される。
【0075】
上記構成により、平行リンク機構55,55を前後方向に回動させると作業シート56L,56Rの上下高さ及び前後位置を調節することができるので、作業者及び補助作業者は機体の操縦や里芋の選別作業を行いやすい姿勢で座ることができるので、長時間の作業でも疲れにくくなり、作業者の労力が軽減される。
【0076】
また、作業シート56L,56Rを回転可能に構成したことにより、作業者及び補助作業者は作業を行いやすい方向や機体から降りやすい方向を向くことができるので、作業能率が向上すると共に、機体の乗り降りが容易になり、乗り降りの際の安全性が向上する。
【0077】
そして、掘取搬送コンベア30を駆動させる駆動モータ26が機体右側、即ち補助作業者側が搭乗する機体右側の作業シート56Rの近くに設けられていることにより、機体の操縦を行なう作業者が搭乗する機体左側の作業シート56L及び操作パネル57の周囲に掘取搬送コンベア30から突出する部材がなく、作業者が機体を操縦する妨げとなるものがないので、操作性が大きく向上する。
【0078】
さらに、掘取搬送コンベア30の上方に油圧系操作装置68を設けたことにより、作業者及び補助作業者は一括して油圧系の操作を行うことができるので、操作の際に動き回る必要が無く、作業能率が向上する。
【0079】
次に、収容部Dについて説明する。
図1、図2で示すように、前記左右の第2掘取搬送フレーム23,23の後部外側に、里芋を収容する収容袋70を開口状態で吊り下げる平面視コの字型の吊下げフレーム69を上下回動自在に取り付け、該吊下げフレーム69の後部に下方傾斜時に里芋を収容する収容袋70のシュータとなる後部プレート71を取り付ける。
【0080】
そして、前記左右の機体フレーム1L,1Rの左右間で且つ後端部に該収容袋71の底部を受けて支持するバケット72を上下回動自在に設け、該バケット72の前端部と支持フレーム14にバケット昇降シリンダ73を伸縮可能に配置する。該バケット昇降シリンダ73と前記送油ユニット66の他側端部を送油ホース(図示省略)で連結し、油圧系操作装置68にバケット昇降レバー74を取り付けることにより、収容部Dが構成される。
【0081】
なお、バケット72は後端部が圃場に接地する高さまで下方回動すると共に、左右の機体フレーム1L,1Rの後端部上に移動するまで上方回動する構成とすると、里芋収穫機の収容時に前後幅を短くすることができるので、収容スペースが狭くても収容が可能となる。
【0082】
上記構成により、バケット昇降レバー74を操作するとバケット72を上下回動させることができるので、作業者は里芋が収容された収容袋70を里芋収穫機から機外に移動させる際、バケット72を手作業で動かす必要がなく、作業者の労力が軽減される。
【0083】
以下、本件里芋収穫機の別実施例を説明する。
図6で示すように、掘取搬送コンベア30を構成する搬送バー29…数本毎に上方に突出する、里芋の転がり落ちを防止しながら案内する案内突起75を搬送バー29の左右方向に亘って取り付け、該案内突起75を配置した部分の搬送後端側の搬送バー29…を四本程、他の搬送バー29…よりも下方に配置する。該下方に配置する搬送バー29…は、側面視で凹字型に配置し、里芋が入り込む凹部76…を形成する。
【0084】
上記構成により、掘取搬送コンベア30で搬送中の里芋が搬送始端側に向かって転げ落ちても、案内突起75…が里芋の落下移動を規制してその場から搬送を再開するので、転げ落ちた里芋が後続の里芋に接触して傷付くことが防止され、里芋の商品価値が向上する。
【0085】
また、同じ里芋が何度も搬送経路を往復することを防止できるので、作業能率が向上する。
そして、案内突起75…を配置した部分の搬送後端側の搬送バー29…を四本程、他の搬送バー29…よりも下方に配置して凹部76…を形成したことにより、搬送中の里芋を凹部に入り込ませていっそう転げ落ちにくくすることができるので、作業能率や里芋の商品価値が向上する。
【0086】
さらに、凹部76…に里芋が入り込むことにより、里芋から剥離した泥土が散らばり難くなるため、作業終了後の掃除が容易になる。
図7で示すように、左右の第2掘取搬送フレーム23,23に取付ボス77,77をそれぞれ設け、該左右の取付ボス77,77に収容袋70を開口状態で吊り下げるハンガーフレーム78を前後方向に摺動自在に挿し込む。
【0087】
そして、前記左右の機体フレーム1L,1Rの後端部から左右の延長フレーム79,79を機体後方に向けて取り付け、該左右の延長フレーム79,79に収容袋70の底部を受けて支持するバケット80を、前端部側が自在に上下回動するように取り付ける。該バケット80の前端部と支持フレーム14にバケット昇降シリンダ74を伸縮可能に配置し、バケット80は左右の機体フレーム1L,1Rと略水平となる位置から、収容袋70の機体前側の上下幅が機体後側の上下幅よりも短くなる後下がり傾斜姿勢となる範囲に亘って回動可能に構成する。
【0088】
前記バケット80を、収容袋70をハンガーフレーム78から取り外す際、バケット昇降シリンダ74を操作してバケット80の前端部側を上昇させ、収容袋70を自重で後方に移動させる構成とすると共に、収容袋70が後方に移動するとハンガーフレーム78は取付ボス77,77に沿って機体後方に摺動し、里芋収穫機から後方に離れた場所に収容袋70を移動させる構成とすることにより、収容袋70が里芋収穫機に接触することが無く、里芋が傷付いて商品価値が低下することが防止される。
【0089】
特に、トラクタやフォークリフト等の作業車両Vにバケット式のアタッチメント81を装着し、作業車両Vが里芋収穫機から直接収容袋70を受ける作業形態の場合、バケット式のアタッチメント81上に収容袋70を滑り降ろすことができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業者は次の収容袋70をハンガーフレーム78に取り付ける作業を行うだけでいいので、作業能率が向上する。
【0090】
また、上記のように作業車両Vを用いる場合、図8と図9で示すように、左右の機体フレーム1L,1Rの後端部に平面視で櫛型となる複数の空間部82a…を切り欠いたバケット82を機体フレーム1L,1Rと略水平姿勢で設け、作業車両Vには該バケット82の空間部82a…に突出部が入り込む複数の空間部83a…を形成した櫛型の底部を有するバケットアタッチメント83を装着する。該バケットアタッチメント83の作業車両V側方向(作業車両Vの機体前側方向)には、収容袋70をフォークリフトのフォークやホイストで吊るす際に使用する吊るし紐70aを引っ掛けるポール84を形成する。
【0091】
さらに、前記バケット82には複数のフリーローラ85…を回転自在に前後方向に等間隔に配置する。
上記構成により、バケット82とバケットアタッチメント83をそれぞれの空間部82a…,83a…に進入させて接近させることができるので、里芋収穫機から収容袋70をバケットアタッチメント83に積み込んだ後は、作業車両Vを前進させるだけで収容袋70の移し換えが完了するので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0092】
また、フリーローラ85…をバケット82に設けたことにより、収容袋70の重量が重くなっていても、収容袋70がバケット82上に停滞することが防止できるので、作業車両Vを移動させた際に収容袋70が圃場に落下することを防止できるので、里芋が落下の衝撃で傷付くことが防止され、商品価値が向上する。
【0093】
さらに、バケットアタッチメント83の前側に配置したポール84に収容袋70の吊るし紐70aを引っ掛けられる構成としたことにより、バケットアタッチメント83側への収容袋70の移動が不十分でも、作業車両Vの前進の際に収容袋70が作業車両V側に引っ張られるため、収容袋70の圃場への落下が防止され、里芋の商品価値が向上する。
【符号の説明】
【0094】
12L 左機体フレーム(機体フレーム)
12R 右機体フレーム(機体フレーム)
14 支持フレーム(連結支持部材)
16 第1掘取搬送フレーム
20 掘起し犂(掘起し部材)
23 第2掘取搬送フレーム
17 掘取従動スプロケット(従動回転体)
18 テンションスプロケット(中継回転体)
19 支軸(回動支軸)
24 掘取駆動スプロケット(駆動回転体)
28 掘取伝動チェーン(伝動無端帯)
30 掘取搬送コンベア(掘取搬送装置)
36 受板(受部材)
37 前側昇降シリンダ(第1昇降部材)
38f 前側支持プレート(前側支持部材)
38r 後側支持プレート(後側支持部材)
39 後側上下動シリンダ(第2昇降部材)
50 掘起し揺動機構
69 吊下げハンガー(設置部材)
70 収容袋(収容容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行する走行装置(12L,12R)を設け、圃場から作物を掘り取り後方へ搬送する掘取搬送装置(30)を設け、該掘取搬送装置(30)の搬送始端側を上下動させる第1昇降部材(37)を設け、前記掘取搬送装置(30)の搬送終端部から排出される作物を収容する収容部材(70)を設置する設置部材(69)を設けた作物掘取収穫機において、
前記掘取搬送装置(30)の搬送終端側を上下動自在に構成し、掘取搬送装置(30)の搬送終端側を上下動させる第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする作物掘取収穫機。
【請求項2】
前記選別搬送装置(30)は、機体前側に設ける第1掘取搬送フレーム(16)の後端部に回動支軸(19)を設け、該回動支軸(19)に中継回転体(18)を回転自在に設け、前記第1掘取搬送フレーム(16)の前端部に従動回転体(17)を回転自在に設け、前記第1掘取搬送フレーム(16)の後方に第2掘取搬送フレーム(23)を回動支軸(19)を回動支点として上下動可能に設け、該第2掘取搬送フレーム(23)の後端部に駆動回転体(24)を設け、該駆動回転体(24)と従動回転体(17)と中継回転体(18)に伝動無端帯(28)を無端状に巻回して構成し、前記選別搬送装置(30)の下方に搬送始端側を上下動させる第1昇降部材(37)を設け、選別搬送装置(30)の上方に搬送終端側を上下動させる第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする請求項1記載の作物掘取収穫機。
【請求項3】
前記走行装置(12L,12R)を連結する連結支持部材(14)を設け、前記掘取搬送装置(30)の下部に受部材(36)を設け、該連結支持部材(14)と受部材(36)に前記第1昇降部材(37)を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の作物掘取収穫機。
【請求項4】
前記第1掘取搬送フレーム(16)の上部に前側支持部材(38f)を設け、前記第2掘取搬送フレーム(23)の上部に後側支持部材(38r)を設け、該前側支持部材(38f)と後側支持部材(38r)に前記第2昇降部材(39)を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作物掘取収穫機。
【請求項5】
前記伝動無端帯(28)に作物を搬送する複数の搬送部材(29)を等間隔に設け、前記伝動無端帯(28)の巻回域内に該搬送部材(29)に接触して振動させる振動装置(33)を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の作物掘取収穫機。
【請求項6】
前記第1掘取搬送フレーム(16)側と第2掘取搬送フレーム(23)側に少なくとも1つずつ振動装置(33)を設ける構成としたことを特徴とする請求項5記載の作物掘取収穫機。
【請求項7】
前記掘取搬送装置(30)の前端下部に土中に進入する掘起し部材(20)を設け、該掘起し部材(20)を揺動させる掘起し揺動機構(50)を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の作物掘取収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−135236(P2012−135236A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289018(P2010−289018)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】