便器付き椅子
【課題】臭気が室内に拡散することを抑制でき、メンテナンス性にも優れた便器付き椅子を提供する。
【解決手段】便器付き椅子は、上端に開口する収納空間45を有する椅子本体41と椅子本体41の上端に載置され椅子本体41の開口を覆い着座される座部44とを有する椅子4と、椅子本体41の収納空間45内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間50を持つタンク5とタンク5の上端の開口部50uを閉じる内蓋である大蓋35及び小蓋31とタンク5に保持され菌床を攪拌する攪拌器21,22及び菌床を加温する加温手段であるヒータ6とタンク5に回動自在に保持された便座30とを持つ便器3と、を有する。
【解決手段】便器付き椅子は、上端に開口する収納空間45を有する椅子本体41と椅子本体41の上端に載置され椅子本体41の開口を覆い着座される座部44とを有する椅子4と、椅子本体41の収納空間45内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間50を持つタンク5とタンク5の上端の開口部50uを閉じる内蓋である大蓋35及び小蓋31とタンク5に保持され菌床を攪拌する攪拌器21,22及び菌床を加温する加温手段であるヒータ6とタンク5に回動自在に保持された便座30とを持つ便器3と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用者が着座して排泄する便器付き椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
病人や高齢者等の介護用便器として、室内で手軽に用便を足せる簡易型便器が使用されている。かかる簡易型便器として、従来、特許文献1に、使用者が着座する着座部と、使用者の排泄物を受け開閉可能な蓋を設けたタンクと、タンクを収容する枠部とを備えたものが開示されている。また、特許文献2には、タンクの中に、排泄物を分解し得る菌床を収容し、枠部の側壁には、タンク内の臭気を浄化するフィルタを設けることが開示されている。
【特許文献1】特開2005−152276号公報
【特許文献2】特開2001−346717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の簡易型便器は、タンク内に排泄物がそのまま貯留し、臭気がタンク内に充満する。使用時に蓋をあけたときに臭気が外部に拡散する。また、排泄物は適宜既設トイレなどに流す必要があり、メンテナンス性が悪い。特許文献2の簡易型便器では、微生物が排泄物を浄化するため、メンテナンス性がよく、またフィルタにて脱臭しているため臭気が少ない。しかし、フィルタにより脱臭をしていても、タンクの上部から臭気が外部へ漏れ出てしまう。このため、臭気を効果的に抑制することはできない。
【0004】
病人や高齢者等は、室内で快適に生活したいという要望が高い。このため、臭気は室内環境を悪化させる要因であり、臭気対策が望まれる。また、室内で使用するため、椅子としても使用できることが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、臭気が室内に拡散することを抑制でき、メンテナンス性にも優れた便器付き椅子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る便器付き椅子は、上端に開口する収納空間を有する椅子本体と椅子本体の上端に載置され椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する椅子と、
椅子本体の収納空間内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間を持つタンクと該タンクの上端開口を閉じる内蓋と該タンクに保持され菌床を攪拌する攪拌手段及び菌床を加温する加温手段とタンクに回動自在に保持された便座とを持つ便器と、を有することを特徴とする。
【0007】
タンク内に排泄された排泄物は、タンク内の菌床によって分解される。菌床は、撹拌手段で撹拌されるため、排泄物と菌床との接触機会が多く、分解効率がよい。また、タンクにはタンクの上端開口を被覆し得る内蓋が設けられている。内蓋は、用便をするときにはタンクから取り外し、用便終了後にはタンクを覆う。このため、用便終了後にタンク内の臭気が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0008】
また、タンクの上端開口は内蓋により密閉状態に閉じられる。また、タンクは椅子本体の中の収納空間に収容されており、収納空間は座部により密閉状態に閉じられている。このため、タンク内の臭気は、まずタンク内に封じ込められる。臭気が、タンクの外に漏れ出ても、タンクが収容されている椅子本体の収納空間の中に封じ込められる。このように、本発明の便器付き椅子は、タンク内の臭気の外部への拡散を、タンクとその外を囲む椅子本体との二重閉鎖構造により極力抑制する構造を有しているといえる。
【0009】
また、タンク内の菌床は排泄物を浄化するため、タンク内の排泄物を既存トイレなどに捨てる手間を省くことができる。さらに、タンクは椅子本体から着脱可能であるため、タンクを取り外して清掃することができる。このため、ポータブルトイレは、メンテナンス性にも優れている。
【0010】
また、椅子本体の中に収納空間があり、その中に排泄物浄化用のタンクを収納している。椅子本体の上端開口には開閉可能な座部が設けられている。使用者は、用便の際には座部を開け、用便終了後には座部を閉じる。座部を閉じれば、一般の椅子と同様に着座することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の便器付き椅子は、臭気が室内に拡散することを抑制でき、メンテナンス性にも優れている。また、便器としてだけでなく椅子としても使用できる。便器を使用していないときには、外観上一般の椅子と何ら変わることはない。また、臭気もないことから、快適な室内空間を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る便器付き椅子は、椅子と便器とを有する。
【0013】
椅子は、上端に開口する収納空間を有する椅子本体と、その上端に載置され椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する。座部は、開閉可能であることが好ましい。座部は、用便の際には開き椅子本体の上端開口をあけ、その中に収納された便器にて用便をする。用便終了後には、座部を閉じて椅子本体の上端開口を覆う。
【0014】
椅子は、背もたれ部と肘掛部とを有することが好ましい。これにより、用便をするときに背もたれ部にもたれ肘掛部に肘を掛けて、楽な姿勢をとることができる。また、普通の椅子として使用する際にも、楽な姿勢をとることができる。
【0015】
便器は、椅子本体の収納空間内に配置され菌床及び排泄物を受けるタンクと、タンクの上端開口を閉じる内蓋と、タンクに回動自在に保持された便座とを有する。内蓋は、開閉可能であることが好ましい。内蓋は、用便の際には開きタンクの上端開口をあけ、用便をする。用便終了後には、内蓋を閉じてタンクの上端開口を覆う。
【0016】
菌床は、排泄物を分解し得る微生物と、微生物の培養材とからなる。培養材は、オガクスなどの木の粉砕物を例示できる。
【0017】
便器は浄化空間内の空気を循環する送気通路を持つ空気循環手段と送気通路に設けられた消臭手段とを持つことが好ましい。これにより、タンク内の臭気が更に抑制される。また、消臭器によりタンク内の臭気を消臭しても100%抑制することは困難である。このため、便器にタンク内の浄化空間内の空気を循環する送気通路を設けることにより、消臭できなかった消臭成分を含む空気は再度タンク内に戻り、繰り返し消臭器にて消臭される。タンクの上端開口は内蓋にて被覆されているため、タンク内の臭気が外部に漏れ出ることはない。また、用便の際には、タンクの内蓋が開口されるが、タンク内は菌床にて排泄物の浄化がされているため、臭気は殆ど漂わない。
【0018】
消臭手段は、椅子本体の収納空間内に設けられていることが好ましい。これにより、外部からは脱臭器が見えず、外観がよい。
【0019】
空気循環手段及び消臭手段の少なくとも一方は、椅子本体の後部に設けられていることが好ましい。これにより、脱臭器が介護人の介護作業の邪魔になることはない。介護人が便器使用者を介護するときに、介護人は便器使用者の近くに寄り添うことができる。
【0020】
前記椅子本体には、前記座部の開閉を感知する開閉センサが設けられており、前記座部が閉じて前記椅子本体の開口を覆うときには前記撹拌器が作動し、前記座部が開いて前記椅子本体の開口を開けるときには前記撹拌器が停止するように構成されていることが好ましい。座部を開け使用者が用便をするときに、作動している撹拌器に使用者が触れると安全上好ましくない。このため、使用者が用便をするときに、撹拌器を停止させることにより、安全に用を足すことができる。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例について図1〜図14を用いて具体的に説明する。図1は便器付き椅子からタンク、内蓋、便座をはずした状態を示す。図2はタンク、内蓋、便座を取り付けた便器付き椅子を後方から視認した状態を示す。図3は座部の取付け状態を示すために椅子本体を後方から視認した拡大斜視図を示す。図4はタンクの側面断面図を示す。図5は図4のA−A線断面斜視図を示す。図6はタンクの平面図を示す。図7はタンクからギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り外した状態を示す。図8はタンクにギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り付けた状態を示す。図9はダクトの一部切欠き斜視図を示す。図10は便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図11は座部を上方に揺動させた状態で便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図12は座部及び便座を上方に揺動させた状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図13は座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図14は座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋及び大蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。
【0022】
本実施例に係る便器付き椅子は、図1に示すように、使用者が着座する椅子4と、椅子4の収納空間45に配置され排泄物を受ける便器3とを備える。椅子4は、上端に開口する収納空間45を有する椅子本体41と、椅子本体41の上端に設けられ椅子本体41の開口を覆い着座される座部44とを有する。
【0023】
ここで前方とは、座部44に着座する使用者が顔を向く方向(矢印F方向)を意味する。後方とは、座部44に着座する使用者の背中が向く方向(矢印B方向)を意味する。
【0024】
椅子4の椅子本体41は、便器3を収容可能な収納空間45と、収納空間45の前部及び後部を形成する前板部40及び後板部42と、前板部40及び後板部42の両側に設けられた側板部47と、使用者の肘掛けとして機能するアームレスト部46と、椅子本体41の後部において側板部47から上方に延びる背板部47rと、背板部47rに架設され使用者の背中に対面する比較的厚みのあるクッション性の背もたれ部48と、床面側に配置された底板部43と、底板部43と椅子本体41とを接続する接続部49とを有する。
【0025】
アームレスト部46は、座部44に着座している使用者の左右両腕を支える。アームレスト46の前部は、側板部47の前部に固定された支持部46rにより固定されている。アームレスト部46の後部は、背板部47rに固定されている。椅子本体41の前板部40には、タンク5取り出しの際にタンク5のフランジ部52に手をかけやすいように凹部40rが設けられている。図2に示すように、椅子本体41の後部側には、移動用の転動可能なキャスター40wが設けられている。椅子本体41の前側を持ち上げれば、キャスター40wにより便器付き椅子を容易に移動させることができる。椅子本体41の後部には、電気コード20を外部に引き出す配線口41uが設けられている。
【0026】
底板部43を接続する接続部49は、椅子本体41の前部及び後部に設けられている。接続部49は、高さ方向に配列したビス穴49rを有する。椅子本体41の側板部47にはビス嵌入凹部が形成されている。接続部49における高さの異なるビス穴49rを適宜選択し、選択したビス穴49rと椅子本体41のビス嵌入凹部とを同一軸になるように位置合わせを行い、これらの中にビスを装着することにより座部44の高さ位置を調整する。
【0027】
底板部43は、椅子本体41の両側に設けられ、後方から前方に向けて接続部49に対して固定されている。底板部43の前方側の端部43rは、椅子本体41から前方へ突出している。これは、使用者が前かがみ姿勢になり重心が前方になったときに安定して椅子本体41を支えるためである。
【0028】
椅子4の座部44は、椅子本体41の後方上端に開閉可能に取り付けられている。座部44は、前板44rと、後板44sと、前板44r及び後板44sを折り畳み可能にするヒンジ部44tとを有する。前板44r及び後板44sには、使用者が着座したときに快適なように厚みのあるクッション材から形成されている。前板44rには、開閉時に手を掛ける帯状部44uが設けられている。図3に示すごとく、後板44sの左右両側部は座部支持板44vが設けられている。座部支持板44vは、後方に突出する突出先端部44xを有する。突出先端部44xには外側面方向に向けて突出する軸ピン44yが取付けてある。また、椅子本体41の背板部47rには、座部44の軸ピン44yを回動自在に軸受けする軸穴47vが設けられている。この軸穴47vに軸ピン44yを挿入することにより、座部44が椅子本体41に対して回動自在に枢支される。
【0029】
図1に示すように、便器3は、椅子本体41の収納空間45内に配置されている。図1,図4に示すように、便器3は、排泄物を分解する菌床8及び排泄物を受ける上端の開口部50uを持つ浄化空間50を有するタンク5と、その開口部50uを閉じる内蓋である大蓋39及び小蓋36と、タンク5に保持され菌床を攪拌する攪拌手段である攪拌器21、22及び菌床を加温する加温手段であるヒータ6と、タンク5に回動自在に保持された便座30とを持つ。
【0030】
図1に示すように、便座30は、便座受け35と、便座受け35に着脱可能に固定され使用者が用便時に着座する便座本体31と、便座受け35の後部に設けられた回動軸33rとを有する。便座受け35には、便座本体31を装着する段部32が設けられている。段部32には、便座本体31の凹状の嵌合部31uを装着する孔部32uが形成されている。便座本体31は、使用者が着座しやすいクッション材からなる。便座受け35及び便座本体31の中央には排泄物を落下させる開口部35r、31rが設けられている。回動軸33rは、便座受け35を上下に揺動可能に保持している。便座受け35の後部の左右両端には、下方に突出しタンク5の後部の窪み部55uに着脱可能に挿入される挿入棒33uが設けられている。便座30は、タンク5の上端の開口部50uを覆う大蓋39の上に載置される。便座30は、挿入棒33uをタンク5の窪み部55uに挿入することにより、タンク5に保持される。
【0031】
内蓋である大蓋39の外形は、タンク5の上端の開口部50uと同様の形状を有する。大蓋39の内側には小蓋36の形状に沿った開口部38が設けられている。小蓋36は、大蓋39の内側の開口部38に沿った形状を有し、その中央部には指先でつまむつまみ部37を有する。大蓋39及び小蓋36は、タンク5から取り外し可能であり、タンク5に取付けたときにはタンク5の開口部50uを密閉状態に閉じる。内蓋は、前記のごとく、大蓋39と小蓋36の2つからなる。大蓋39は便座30を受け、小蓋36は排泄物を落下させるタンク5の開口部50uを塞いでいる。
【0032】
図4、図5、図6に示すように、タンク5は、上端に開口部50uを持ち排泄物を分解し得る菌床8及び排泄物を収容する浄化空間50と、開口部50uから外方に鍔状に延設されたフランジ部52と、フランジ部52の後部に設けられた凹状の段部55と、段部55の両側部に設けられ便座30の挿入棒33uを着脱可能に保持する窪み部55uとを有する。
【0033】
タンク5内の攪拌器21、22は、タンク5の前後方向に取り付けられ、互いに並列に配置されている。攪拌器21,22は、タンク5の前後方向に並列に配置された軸部21w、22wと、各軸部21w、22wの側面に固定された2つの攪拌羽根21u、22uとからなる。図4、図6に示すように、攪拌羽根21u、22uは、長尺板を2箇所で折り曲げて略コ字状にしたものであり、その底部においてネジにより軸部21w、22wに固定され、その両端部において菌床8及び排泄物を攪拌する。軸部21wに固定されている2つの攪拌羽根21uは、軸部21wの側面に対して周方向に180°向きを変えて取付けられている。また、軸部22wに固定されている2つの攪拌羽根22uについても、軸部22wの側面に対して周方向に180°向きを変えて取付けられている。図6に示すように、一方の軸部21wに取付けられた攪拌羽根21uは、隣接する他方の軸部22wに取り付けられた攪拌羽根22uに対して、互いに干渉し合わないように周方向に90°向きを変えて配置されている。
【0034】
図7に示すように、軸部21w、22wの前方の端部21s、22sは、タンク5の前部の側壁内側に設けた凹状の軸受け部53s、54sにより回動自在に枢支されている。軸部21w、22wの後方の端部21r、22rは、タンク5の後部の側壁内側に設けた軸受け穴53r、54rにより回動自在に枢支されている。また、後方の端部21r、22rは、タンク5の後部に突出して、ギア機構20と接続されている。ギア機構20は、各軸部21w、22wと同軸に配置されたギア26,27と、ギア26,27の両側面側から支持するケース23とを有する。ギア26,27の中心には、攪拌器21,22の軸部21w、22wの端部21r、22rを嵌入する穴部26u、27uが設けられている。ギア26,27は同じ歯数の平歯車で互いにかみあっている。モータ2には減速ギア2rが設けられている。モータ2はケース23に開口する取付け穴23uに装着され、減速ギア2rをケース23の中に配置している。この減速ギア2rはギア26とかみ合っている。モータ2が回転すると、その回転トルクは、モータ2から減速ギア2r、ギア26、ギア27に伝達される。ギア26,27は、攪拌器21,22の軸部21w、22wを同一タイミングで回転させる。軸部21w、22wに固定された攪拌羽根21u、22uは、タンク5の中の菌床及び排泄物を攪拌する。
【0035】
図5に示すように、タンク5の底部59には、攪拌羽根21u、22uの回転軌道に沿った円弧状部51が形成されている。これにより、タンク5の底部59に堆積する菌床及び排泄物を十分に攪拌できる。
【0036】
タンク5の底部59の外面には、ヒータ6が取付けられている。ヒータ6の周囲は断熱材60により被覆されている。ヒータ6は約40°程度に設定されており、タンク7の内部の菌床を加温し、微生物が排泄物を分解しやすい環境をつくっている。
【0037】
図7、図8、図9に示すように、便器3は、浄化空間50内の空気を循環する空気潤滑手段であるダクト17及び送風器1を備えている。ダクト17は、タンク5の後方に搭載されている。タンク5の後方の壁面上部に開口する取付け穴56,57に保持されている。ダクト17は、逆L字形状であり、その中にタンク5から送風器1へ空気を送り込む第1送気通路18と、送風器1からタンク5へ空気を戻す第2送気通路19とを形成している。第1送気通路18は、タンク5の後部壁面へ開口する吸い込み口11と、送風器1の第1接続口10pに接続する第1開口部16sとを有する。第2送気通路19は、タンク5の後部壁面に開口する吹き出し口12と、送風器1の第2接続口10uと接続する第2開口部16uとを有する。第1送気通路18と第2送気通路19は、ダクト17の中に形成された仕切り板16cにより仕切られて互いに独立している。送風器1は、内部に送風通路10を有するハウジング10vと、送風通路10の途中に配置された送風ファン10s及び脱臭材10rとを有する。脱臭材は、例えば、ハニカムフィルタ、活性炭などである。ハニカムフィルタは、たとえば、高分子基材に放射線グラフト重合を施して、ハニカム状に成形することにより得られる。ダクト17及び送風器1は、タンク5の後方外側であって、椅子本体41内の収納空間42に配置されている。
【0038】
図2に示すように、椅子本体41の後部には、操作パネル42uが設けられている。操作パネル42uでは、電源のON/OFF、便器3の撹拌器21,22,脱臭用の送風ファン10sの回転量、ヒータ6の温度調整などを調整する。
【0039】
図3に示すように、椅子本体41の後部には、座部44の開閉を感知する開閉センサ44wが設けられている。開閉センサ44wは磁石であり、座部44の後板44sの中に埋設されている磁石44zとの間に引力が働くか否かで、座部44の開閉を検知する。座部44が開いて後板44sの中の磁石44zが開閉センサ44wから離れ、両磁石間で引力が働かない場合には、座部44が閉じていると判断し、電源をONにする。これにより、タンク5内の撹拌器21,22が作動し、タンク5内の菌床及び排泄物を撹拌する。一方、座部44が開いて後板44sの中の磁石44zと開閉センサ44wとが接近し、引力が働く場合には、座部44が開いていることを感知し、電源をOFFにする。この場合、使用者の安全のため撹拌器21,22を停止する。
【0040】
椅子4は木製であり、タンク5は樹脂により形成されている。
【0041】
本実施例の便器付き椅子を使用するにあたっては、タンク5の中に、排泄物を分解し得る好気性の微生物とオガクズなどの微生物の培養材とからなる菌床8を投入する。操作パネル42uの電源をONにする。すると、ヒータ6が40℃程度に加熱して、その上のタンク5内に収容されている菌床を加温する。送風ファン10sが回転し、脱臭材10rによりタンク5内の空気が消臭される。また、撹拌器21,22が作動し、菌床8を撹拌する。便器付き椅子で用便をするときには、図11、図12,図13、図14に示すように、座部44を上方に持ち上げ、更に便座30を一端持ち上げて、小蓋36を取り外す。その後便座30を元に戻して、用便をする。座部44を上方に持ち上げると、開閉センサ44wにより座部44が開かれたことが感知され、撹拌器21,22は停止する。用便終了後には、また便座30を持ち上げて小蓋36をし、便座30及び座部44を降ろす。すると、開閉センサ44wにより座部44が閉じられたことが感知され、撹拌器21,22は作動を再開する。座部44の椅子として使用するときには、使用者は、座部44を降ろし座部44の上に着座する。タンク5内を清掃する時には、座部44、便座30及び小蓋36及び大蓋39を取り外す。そして、タンク5からダクト17、送風器1、ギア機構20及びモータ2を取り除く。その後、タンク5のフランジ部52に手をかけ、椅子本体41内の収納空間45からタンク5を取り出す。
【0042】
本実施例においては、タンク5内に排泄された排泄物は、タンク内の菌床によって分解される。菌床は、撹拌器21,22で撹拌されるため、排泄物と菌床との接触機会が多く、分解効率がよい。また、タンク5の上部にはタンク5の上端の開口部50uを被覆し得る小蓋36が設けられている。小蓋36は、用便をするときにはタンク5から取り外し、用便終了後にはタンク5を覆う。このため、用便終了後にタンク5内の臭気が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0043】
タンク5は、椅子本体41の収納空間45の中に収容されている。このため、タンク5から臭気が漏れ出ても、収納空間45の中に封じ込められる。このように、本例の便器付け椅子は、タンク5と椅子本体41からなる臭気の二重封じ込み構造を有するため、外部へ拡散することを効果的に抑制できる。
【0044】
さらに、タンク5内の菌床は排泄物を浄化するため、タンク5内の排泄物を既存トイレなどに捨てる手間を省くことができる。さらに、タンク5は椅子本体41から着脱可能である。また、大蓋39及び小蓋36,便座30は、タンク5から取り外し可能である。このため、タンク5、大蓋39及び小蓋36,便座30の清掃が容易である。特に、使用者の尻部が直接触れる便座本体31は、便座受け35から取り外し可能である。このため、便座本体31を便座受け35から取り外して便座本体31だけを清掃することもできる。
【0045】
便器3は浄化空間50内の空気の消臭を行う消臭材10rを設けている。このため、タンク5内の臭気が更に抑制される。また、消臭材によりタンク5内の臭気を消臭しても100%抑制することは困難である。このため、便器3にタンク5内の浄化空間50内の空気を循環する送気通路10を設けている。このため、消臭できなかった消臭成分を含む空気は再度タンク5内に戻り、くりかえし消臭材10rにて消臭される。タンク5の上端の開口部50は内蓋である大蓋39及び小蓋36にて被覆されているため、タンク5内の臭気が外部に漏れ出ることはない。また、用便の際には、小蓋36が取り外されタンク5の上端の開口部50uが開口されるが、タンク5内は菌床にて排泄物の浄化がされているため、消臭は殆ど漂わない。
【0046】
また、ダクト17、送風器1、攪拌器11,12を駆動しているギア機構20及びモータ2は、すべて椅子本体41の収納空間45の中に収容されている。このため、これらは外部からは見えず、外観は普通の椅子と同様である。
【0047】
本実施例の便器付き椅子は、電気コード20より電気を供給しているが、椅子本体41の内部に充電池を搭載してもよい。この場合、停電の際にも、便器3が作動するため、地震、落雷などの災害時にも便器付き椅子を使用することができる。
【0048】
なお、本例においては、消臭材10rをタンク5の後部に設けたが、図12に示すように、便座30の裏面に接着シールなどで接着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は高齢者、障害者、健常者などが使用する便器付き椅子に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例の便器付き椅子からタンク、内蓋、便座をはずした状態を示す斜視図である。
【図2】タンク、内蓋、便座を取り付けた便器付き椅子を後方から視認した状態を示す斜視図である。
【図3】座部の取付け状態を示すために椅子本体を後方から視認した拡大斜視図である。
【図4】タンクの側面断面図である。
【図5】図4のA−A線断面斜視図である。
【図6】タンクの平面図である。
【図7】タンクからギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】タンクにギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】ダクトの一部切欠き斜視図である。
【図10】便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図11】座部を上方に揺動させた状態で便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図12】座部及び便座を上方に揺動させた状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図13】座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図14】座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋及び大蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
図中、1は送風器、10は送気通路、10rは脱臭材、11は吸い込み口、12は吐き出し口、17はダクト、18は第1送気通路、19は第2送気通路、20はギア機構、21,22は撹拌器、3は便器、30は便座、31は便座本体、35は便座受け、36は小蓋、39は大蓋、4は椅子、41は椅子本体、44は座部、44wは開閉センサ、45は浄化空間、5はタンク、50は収納空間、6はヒータ、8は菌床である。
【技術分野】
【0001】
本発明は使用者が着座して排泄する便器付き椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
病人や高齢者等の介護用便器として、室内で手軽に用便を足せる簡易型便器が使用されている。かかる簡易型便器として、従来、特許文献1に、使用者が着座する着座部と、使用者の排泄物を受け開閉可能な蓋を設けたタンクと、タンクを収容する枠部とを備えたものが開示されている。また、特許文献2には、タンクの中に、排泄物を分解し得る菌床を収容し、枠部の側壁には、タンク内の臭気を浄化するフィルタを設けることが開示されている。
【特許文献1】特開2005−152276号公報
【特許文献2】特開2001−346717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の簡易型便器は、タンク内に排泄物がそのまま貯留し、臭気がタンク内に充満する。使用時に蓋をあけたときに臭気が外部に拡散する。また、排泄物は適宜既設トイレなどに流す必要があり、メンテナンス性が悪い。特許文献2の簡易型便器では、微生物が排泄物を浄化するため、メンテナンス性がよく、またフィルタにて脱臭しているため臭気が少ない。しかし、フィルタにより脱臭をしていても、タンクの上部から臭気が外部へ漏れ出てしまう。このため、臭気を効果的に抑制することはできない。
【0004】
病人や高齢者等は、室内で快適に生活したいという要望が高い。このため、臭気は室内環境を悪化させる要因であり、臭気対策が望まれる。また、室内で使用するため、椅子としても使用できることが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、臭気が室内に拡散することを抑制でき、メンテナンス性にも優れた便器付き椅子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る便器付き椅子は、上端に開口する収納空間を有する椅子本体と椅子本体の上端に載置され椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する椅子と、
椅子本体の収納空間内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間を持つタンクと該タンクの上端開口を閉じる内蓋と該タンクに保持され菌床を攪拌する攪拌手段及び菌床を加温する加温手段とタンクに回動自在に保持された便座とを持つ便器と、を有することを特徴とする。
【0007】
タンク内に排泄された排泄物は、タンク内の菌床によって分解される。菌床は、撹拌手段で撹拌されるため、排泄物と菌床との接触機会が多く、分解効率がよい。また、タンクにはタンクの上端開口を被覆し得る内蓋が設けられている。内蓋は、用便をするときにはタンクから取り外し、用便終了後にはタンクを覆う。このため、用便終了後にタンク内の臭気が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0008】
また、タンクの上端開口は内蓋により密閉状態に閉じられる。また、タンクは椅子本体の中の収納空間に収容されており、収納空間は座部により密閉状態に閉じられている。このため、タンク内の臭気は、まずタンク内に封じ込められる。臭気が、タンクの外に漏れ出ても、タンクが収容されている椅子本体の収納空間の中に封じ込められる。このように、本発明の便器付き椅子は、タンク内の臭気の外部への拡散を、タンクとその外を囲む椅子本体との二重閉鎖構造により極力抑制する構造を有しているといえる。
【0009】
また、タンク内の菌床は排泄物を浄化するため、タンク内の排泄物を既存トイレなどに捨てる手間を省くことができる。さらに、タンクは椅子本体から着脱可能であるため、タンクを取り外して清掃することができる。このため、ポータブルトイレは、メンテナンス性にも優れている。
【0010】
また、椅子本体の中に収納空間があり、その中に排泄物浄化用のタンクを収納している。椅子本体の上端開口には開閉可能な座部が設けられている。使用者は、用便の際には座部を開け、用便終了後には座部を閉じる。座部を閉じれば、一般の椅子と同様に着座することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の便器付き椅子は、臭気が室内に拡散することを抑制でき、メンテナンス性にも優れている。また、便器としてだけでなく椅子としても使用できる。便器を使用していないときには、外観上一般の椅子と何ら変わることはない。また、臭気もないことから、快適な室内空間を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る便器付き椅子は、椅子と便器とを有する。
【0013】
椅子は、上端に開口する収納空間を有する椅子本体と、その上端に載置され椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する。座部は、開閉可能であることが好ましい。座部は、用便の際には開き椅子本体の上端開口をあけ、その中に収納された便器にて用便をする。用便終了後には、座部を閉じて椅子本体の上端開口を覆う。
【0014】
椅子は、背もたれ部と肘掛部とを有することが好ましい。これにより、用便をするときに背もたれ部にもたれ肘掛部に肘を掛けて、楽な姿勢をとることができる。また、普通の椅子として使用する際にも、楽な姿勢をとることができる。
【0015】
便器は、椅子本体の収納空間内に配置され菌床及び排泄物を受けるタンクと、タンクの上端開口を閉じる内蓋と、タンクに回動自在に保持された便座とを有する。内蓋は、開閉可能であることが好ましい。内蓋は、用便の際には開きタンクの上端開口をあけ、用便をする。用便終了後には、内蓋を閉じてタンクの上端開口を覆う。
【0016】
菌床は、排泄物を分解し得る微生物と、微生物の培養材とからなる。培養材は、オガクスなどの木の粉砕物を例示できる。
【0017】
便器は浄化空間内の空気を循環する送気通路を持つ空気循環手段と送気通路に設けられた消臭手段とを持つことが好ましい。これにより、タンク内の臭気が更に抑制される。また、消臭器によりタンク内の臭気を消臭しても100%抑制することは困難である。このため、便器にタンク内の浄化空間内の空気を循環する送気通路を設けることにより、消臭できなかった消臭成分を含む空気は再度タンク内に戻り、繰り返し消臭器にて消臭される。タンクの上端開口は内蓋にて被覆されているため、タンク内の臭気が外部に漏れ出ることはない。また、用便の際には、タンクの内蓋が開口されるが、タンク内は菌床にて排泄物の浄化がされているため、臭気は殆ど漂わない。
【0018】
消臭手段は、椅子本体の収納空間内に設けられていることが好ましい。これにより、外部からは脱臭器が見えず、外観がよい。
【0019】
空気循環手段及び消臭手段の少なくとも一方は、椅子本体の後部に設けられていることが好ましい。これにより、脱臭器が介護人の介護作業の邪魔になることはない。介護人が便器使用者を介護するときに、介護人は便器使用者の近くに寄り添うことができる。
【0020】
前記椅子本体には、前記座部の開閉を感知する開閉センサが設けられており、前記座部が閉じて前記椅子本体の開口を覆うときには前記撹拌器が作動し、前記座部が開いて前記椅子本体の開口を開けるときには前記撹拌器が停止するように構成されていることが好ましい。座部を開け使用者が用便をするときに、作動している撹拌器に使用者が触れると安全上好ましくない。このため、使用者が用便をするときに、撹拌器を停止させることにより、安全に用を足すことができる。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例について図1〜図14を用いて具体的に説明する。図1は便器付き椅子からタンク、内蓋、便座をはずした状態を示す。図2はタンク、内蓋、便座を取り付けた便器付き椅子を後方から視認した状態を示す。図3は座部の取付け状態を示すために椅子本体を後方から視認した拡大斜視図を示す。図4はタンクの側面断面図を示す。図5は図4のA−A線断面斜視図を示す。図6はタンクの平面図を示す。図7はタンクからギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り外した状態を示す。図8はタンクにギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り付けた状態を示す。図9はダクトの一部切欠き斜視図を示す。図10は便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図11は座部を上方に揺動させた状態で便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図12は座部及び便座を上方に揺動させた状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図13は座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。図14は座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋及び大蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す。
【0022】
本実施例に係る便器付き椅子は、図1に示すように、使用者が着座する椅子4と、椅子4の収納空間45に配置され排泄物を受ける便器3とを備える。椅子4は、上端に開口する収納空間45を有する椅子本体41と、椅子本体41の上端に設けられ椅子本体41の開口を覆い着座される座部44とを有する。
【0023】
ここで前方とは、座部44に着座する使用者が顔を向く方向(矢印F方向)を意味する。後方とは、座部44に着座する使用者の背中が向く方向(矢印B方向)を意味する。
【0024】
椅子4の椅子本体41は、便器3を収容可能な収納空間45と、収納空間45の前部及び後部を形成する前板部40及び後板部42と、前板部40及び後板部42の両側に設けられた側板部47と、使用者の肘掛けとして機能するアームレスト部46と、椅子本体41の後部において側板部47から上方に延びる背板部47rと、背板部47rに架設され使用者の背中に対面する比較的厚みのあるクッション性の背もたれ部48と、床面側に配置された底板部43と、底板部43と椅子本体41とを接続する接続部49とを有する。
【0025】
アームレスト部46は、座部44に着座している使用者の左右両腕を支える。アームレスト46の前部は、側板部47の前部に固定された支持部46rにより固定されている。アームレスト部46の後部は、背板部47rに固定されている。椅子本体41の前板部40には、タンク5取り出しの際にタンク5のフランジ部52に手をかけやすいように凹部40rが設けられている。図2に示すように、椅子本体41の後部側には、移動用の転動可能なキャスター40wが設けられている。椅子本体41の前側を持ち上げれば、キャスター40wにより便器付き椅子を容易に移動させることができる。椅子本体41の後部には、電気コード20を外部に引き出す配線口41uが設けられている。
【0026】
底板部43を接続する接続部49は、椅子本体41の前部及び後部に設けられている。接続部49は、高さ方向に配列したビス穴49rを有する。椅子本体41の側板部47にはビス嵌入凹部が形成されている。接続部49における高さの異なるビス穴49rを適宜選択し、選択したビス穴49rと椅子本体41のビス嵌入凹部とを同一軸になるように位置合わせを行い、これらの中にビスを装着することにより座部44の高さ位置を調整する。
【0027】
底板部43は、椅子本体41の両側に設けられ、後方から前方に向けて接続部49に対して固定されている。底板部43の前方側の端部43rは、椅子本体41から前方へ突出している。これは、使用者が前かがみ姿勢になり重心が前方になったときに安定して椅子本体41を支えるためである。
【0028】
椅子4の座部44は、椅子本体41の後方上端に開閉可能に取り付けられている。座部44は、前板44rと、後板44sと、前板44r及び後板44sを折り畳み可能にするヒンジ部44tとを有する。前板44r及び後板44sには、使用者が着座したときに快適なように厚みのあるクッション材から形成されている。前板44rには、開閉時に手を掛ける帯状部44uが設けられている。図3に示すごとく、後板44sの左右両側部は座部支持板44vが設けられている。座部支持板44vは、後方に突出する突出先端部44xを有する。突出先端部44xには外側面方向に向けて突出する軸ピン44yが取付けてある。また、椅子本体41の背板部47rには、座部44の軸ピン44yを回動自在に軸受けする軸穴47vが設けられている。この軸穴47vに軸ピン44yを挿入することにより、座部44が椅子本体41に対して回動自在に枢支される。
【0029】
図1に示すように、便器3は、椅子本体41の収納空間45内に配置されている。図1,図4に示すように、便器3は、排泄物を分解する菌床8及び排泄物を受ける上端の開口部50uを持つ浄化空間50を有するタンク5と、その開口部50uを閉じる内蓋である大蓋39及び小蓋36と、タンク5に保持され菌床を攪拌する攪拌手段である攪拌器21、22及び菌床を加温する加温手段であるヒータ6と、タンク5に回動自在に保持された便座30とを持つ。
【0030】
図1に示すように、便座30は、便座受け35と、便座受け35に着脱可能に固定され使用者が用便時に着座する便座本体31と、便座受け35の後部に設けられた回動軸33rとを有する。便座受け35には、便座本体31を装着する段部32が設けられている。段部32には、便座本体31の凹状の嵌合部31uを装着する孔部32uが形成されている。便座本体31は、使用者が着座しやすいクッション材からなる。便座受け35及び便座本体31の中央には排泄物を落下させる開口部35r、31rが設けられている。回動軸33rは、便座受け35を上下に揺動可能に保持している。便座受け35の後部の左右両端には、下方に突出しタンク5の後部の窪み部55uに着脱可能に挿入される挿入棒33uが設けられている。便座30は、タンク5の上端の開口部50uを覆う大蓋39の上に載置される。便座30は、挿入棒33uをタンク5の窪み部55uに挿入することにより、タンク5に保持される。
【0031】
内蓋である大蓋39の外形は、タンク5の上端の開口部50uと同様の形状を有する。大蓋39の内側には小蓋36の形状に沿った開口部38が設けられている。小蓋36は、大蓋39の内側の開口部38に沿った形状を有し、その中央部には指先でつまむつまみ部37を有する。大蓋39及び小蓋36は、タンク5から取り外し可能であり、タンク5に取付けたときにはタンク5の開口部50uを密閉状態に閉じる。内蓋は、前記のごとく、大蓋39と小蓋36の2つからなる。大蓋39は便座30を受け、小蓋36は排泄物を落下させるタンク5の開口部50uを塞いでいる。
【0032】
図4、図5、図6に示すように、タンク5は、上端に開口部50uを持ち排泄物を分解し得る菌床8及び排泄物を収容する浄化空間50と、開口部50uから外方に鍔状に延設されたフランジ部52と、フランジ部52の後部に設けられた凹状の段部55と、段部55の両側部に設けられ便座30の挿入棒33uを着脱可能に保持する窪み部55uとを有する。
【0033】
タンク5内の攪拌器21、22は、タンク5の前後方向に取り付けられ、互いに並列に配置されている。攪拌器21,22は、タンク5の前後方向に並列に配置された軸部21w、22wと、各軸部21w、22wの側面に固定された2つの攪拌羽根21u、22uとからなる。図4、図6に示すように、攪拌羽根21u、22uは、長尺板を2箇所で折り曲げて略コ字状にしたものであり、その底部においてネジにより軸部21w、22wに固定され、その両端部において菌床8及び排泄物を攪拌する。軸部21wに固定されている2つの攪拌羽根21uは、軸部21wの側面に対して周方向に180°向きを変えて取付けられている。また、軸部22wに固定されている2つの攪拌羽根22uについても、軸部22wの側面に対して周方向に180°向きを変えて取付けられている。図6に示すように、一方の軸部21wに取付けられた攪拌羽根21uは、隣接する他方の軸部22wに取り付けられた攪拌羽根22uに対して、互いに干渉し合わないように周方向に90°向きを変えて配置されている。
【0034】
図7に示すように、軸部21w、22wの前方の端部21s、22sは、タンク5の前部の側壁内側に設けた凹状の軸受け部53s、54sにより回動自在に枢支されている。軸部21w、22wの後方の端部21r、22rは、タンク5の後部の側壁内側に設けた軸受け穴53r、54rにより回動自在に枢支されている。また、後方の端部21r、22rは、タンク5の後部に突出して、ギア機構20と接続されている。ギア機構20は、各軸部21w、22wと同軸に配置されたギア26,27と、ギア26,27の両側面側から支持するケース23とを有する。ギア26,27の中心には、攪拌器21,22の軸部21w、22wの端部21r、22rを嵌入する穴部26u、27uが設けられている。ギア26,27は同じ歯数の平歯車で互いにかみあっている。モータ2には減速ギア2rが設けられている。モータ2はケース23に開口する取付け穴23uに装着され、減速ギア2rをケース23の中に配置している。この減速ギア2rはギア26とかみ合っている。モータ2が回転すると、その回転トルクは、モータ2から減速ギア2r、ギア26、ギア27に伝達される。ギア26,27は、攪拌器21,22の軸部21w、22wを同一タイミングで回転させる。軸部21w、22wに固定された攪拌羽根21u、22uは、タンク5の中の菌床及び排泄物を攪拌する。
【0035】
図5に示すように、タンク5の底部59には、攪拌羽根21u、22uの回転軌道に沿った円弧状部51が形成されている。これにより、タンク5の底部59に堆積する菌床及び排泄物を十分に攪拌できる。
【0036】
タンク5の底部59の外面には、ヒータ6が取付けられている。ヒータ6の周囲は断熱材60により被覆されている。ヒータ6は約40°程度に設定されており、タンク7の内部の菌床を加温し、微生物が排泄物を分解しやすい環境をつくっている。
【0037】
図7、図8、図9に示すように、便器3は、浄化空間50内の空気を循環する空気潤滑手段であるダクト17及び送風器1を備えている。ダクト17は、タンク5の後方に搭載されている。タンク5の後方の壁面上部に開口する取付け穴56,57に保持されている。ダクト17は、逆L字形状であり、その中にタンク5から送風器1へ空気を送り込む第1送気通路18と、送風器1からタンク5へ空気を戻す第2送気通路19とを形成している。第1送気通路18は、タンク5の後部壁面へ開口する吸い込み口11と、送風器1の第1接続口10pに接続する第1開口部16sとを有する。第2送気通路19は、タンク5の後部壁面に開口する吹き出し口12と、送風器1の第2接続口10uと接続する第2開口部16uとを有する。第1送気通路18と第2送気通路19は、ダクト17の中に形成された仕切り板16cにより仕切られて互いに独立している。送風器1は、内部に送風通路10を有するハウジング10vと、送風通路10の途中に配置された送風ファン10s及び脱臭材10rとを有する。脱臭材は、例えば、ハニカムフィルタ、活性炭などである。ハニカムフィルタは、たとえば、高分子基材に放射線グラフト重合を施して、ハニカム状に成形することにより得られる。ダクト17及び送風器1は、タンク5の後方外側であって、椅子本体41内の収納空間42に配置されている。
【0038】
図2に示すように、椅子本体41の後部には、操作パネル42uが設けられている。操作パネル42uでは、電源のON/OFF、便器3の撹拌器21,22,脱臭用の送風ファン10sの回転量、ヒータ6の温度調整などを調整する。
【0039】
図3に示すように、椅子本体41の後部には、座部44の開閉を感知する開閉センサ44wが設けられている。開閉センサ44wは磁石であり、座部44の後板44sの中に埋設されている磁石44zとの間に引力が働くか否かで、座部44の開閉を検知する。座部44が開いて後板44sの中の磁石44zが開閉センサ44wから離れ、両磁石間で引力が働かない場合には、座部44が閉じていると判断し、電源をONにする。これにより、タンク5内の撹拌器21,22が作動し、タンク5内の菌床及び排泄物を撹拌する。一方、座部44が開いて後板44sの中の磁石44zと開閉センサ44wとが接近し、引力が働く場合には、座部44が開いていることを感知し、電源をOFFにする。この場合、使用者の安全のため撹拌器21,22を停止する。
【0040】
椅子4は木製であり、タンク5は樹脂により形成されている。
【0041】
本実施例の便器付き椅子を使用するにあたっては、タンク5の中に、排泄物を分解し得る好気性の微生物とオガクズなどの微生物の培養材とからなる菌床8を投入する。操作パネル42uの電源をONにする。すると、ヒータ6が40℃程度に加熱して、その上のタンク5内に収容されている菌床を加温する。送風ファン10sが回転し、脱臭材10rによりタンク5内の空気が消臭される。また、撹拌器21,22が作動し、菌床8を撹拌する。便器付き椅子で用便をするときには、図11、図12,図13、図14に示すように、座部44を上方に持ち上げ、更に便座30を一端持ち上げて、小蓋36を取り外す。その後便座30を元に戻して、用便をする。座部44を上方に持ち上げると、開閉センサ44wにより座部44が開かれたことが感知され、撹拌器21,22は停止する。用便終了後には、また便座30を持ち上げて小蓋36をし、便座30及び座部44を降ろす。すると、開閉センサ44wにより座部44が閉じられたことが感知され、撹拌器21,22は作動を再開する。座部44の椅子として使用するときには、使用者は、座部44を降ろし座部44の上に着座する。タンク5内を清掃する時には、座部44、便座30及び小蓋36及び大蓋39を取り外す。そして、タンク5からダクト17、送風器1、ギア機構20及びモータ2を取り除く。その後、タンク5のフランジ部52に手をかけ、椅子本体41内の収納空間45からタンク5を取り出す。
【0042】
本実施例においては、タンク5内に排泄された排泄物は、タンク内の菌床によって分解される。菌床は、撹拌器21,22で撹拌されるため、排泄物と菌床との接触機会が多く、分解効率がよい。また、タンク5の上部にはタンク5の上端の開口部50uを被覆し得る小蓋36が設けられている。小蓋36は、用便をするときにはタンク5から取り外し、用便終了後にはタンク5を覆う。このため、用便終了後にタンク5内の臭気が外部に漏れ出すことを抑制できる。
【0043】
タンク5は、椅子本体41の収納空間45の中に収容されている。このため、タンク5から臭気が漏れ出ても、収納空間45の中に封じ込められる。このように、本例の便器付け椅子は、タンク5と椅子本体41からなる臭気の二重封じ込み構造を有するため、外部へ拡散することを効果的に抑制できる。
【0044】
さらに、タンク5内の菌床は排泄物を浄化するため、タンク5内の排泄物を既存トイレなどに捨てる手間を省くことができる。さらに、タンク5は椅子本体41から着脱可能である。また、大蓋39及び小蓋36,便座30は、タンク5から取り外し可能である。このため、タンク5、大蓋39及び小蓋36,便座30の清掃が容易である。特に、使用者の尻部が直接触れる便座本体31は、便座受け35から取り外し可能である。このため、便座本体31を便座受け35から取り外して便座本体31だけを清掃することもできる。
【0045】
便器3は浄化空間50内の空気の消臭を行う消臭材10rを設けている。このため、タンク5内の臭気が更に抑制される。また、消臭材によりタンク5内の臭気を消臭しても100%抑制することは困難である。このため、便器3にタンク5内の浄化空間50内の空気を循環する送気通路10を設けている。このため、消臭できなかった消臭成分を含む空気は再度タンク5内に戻り、くりかえし消臭材10rにて消臭される。タンク5の上端の開口部50は内蓋である大蓋39及び小蓋36にて被覆されているため、タンク5内の臭気が外部に漏れ出ることはない。また、用便の際には、小蓋36が取り外されタンク5の上端の開口部50uが開口されるが、タンク5内は菌床にて排泄物の浄化がされているため、消臭は殆ど漂わない。
【0046】
また、ダクト17、送風器1、攪拌器11,12を駆動しているギア機構20及びモータ2は、すべて椅子本体41の収納空間45の中に収容されている。このため、これらは外部からは見えず、外観は普通の椅子と同様である。
【0047】
本実施例の便器付き椅子は、電気コード20より電気を供給しているが、椅子本体41の内部に充電池を搭載してもよい。この場合、停電の際にも、便器3が作動するため、地震、落雷などの災害時にも便器付き椅子を使用することができる。
【0048】
なお、本例においては、消臭材10rをタンク5の後部に設けたが、図12に示すように、便座30の裏面に接着シールなどで接着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は高齢者、障害者、健常者などが使用する便器付き椅子に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例の便器付き椅子からタンク、内蓋、便座をはずした状態を示す斜視図である。
【図2】タンク、内蓋、便座を取り付けた便器付き椅子を後方から視認した状態を示す斜視図である。
【図3】座部の取付け状態を示すために椅子本体を後方から視認した拡大斜視図である。
【図4】タンクの側面断面図である。
【図5】図4のA−A線断面斜視図である。
【図6】タンクの平面図である。
【図7】タンクからギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】タンクにギア機構、モータ、ダクト及び送風器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】ダクトの一部切欠き斜視図である。
【図10】便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図11】座部を上方に揺動させた状態で便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図12】座部及び便座を上方に揺動させた状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図13】座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【図14】座部及び便座を上方に揺動させ更に小蓋及び大蓋を取り外した状態の便器付き椅子を前方から視認した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
図中、1は送風器、10は送気通路、10rは脱臭材、11は吸い込み口、12は吐き出し口、17はダクト、18は第1送気通路、19は第2送気通路、20はギア機構、21,22は撹拌器、3は便器、30は便座、31は便座本体、35は便座受け、36は小蓋、39は大蓋、4は椅子、41は椅子本体、44は座部、44wは開閉センサ、45は浄化空間、5はタンク、50は収納空間、6はヒータ、8は菌床である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口する収納空間を有する椅子本体と該椅子本体の上端に載置され該椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する椅子と、
前記椅子本体の収納空間内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間を持つタンクと該タンクの上端開口を閉じる内蓋と該タンクに保持され該菌床を攪拌する攪拌手段及び該菌床を加温する加温手段と該タンクに回動自在に保持された便座とを持つ便器と、
を有することを特徴とする便器付き椅子。
【請求項2】
前記便器は、前記浄化空間内の空気を循環する送気通路を持つ空気循環手段と該送気通路に設けられた消臭手段とを持つことを特徴とする請求項1記載の便器付き椅子。
【請求項3】
前記椅子本体の前記収納空間内に前記消臭手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の便器付き椅子。
【請求項4】
前記空気循環手段及び前記消臭手段の少なくとも一方は、前記椅子本体の後部に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の便器付き椅子。
【請求項5】
前記椅子本体には、前記座部の開閉を感知する開閉センサが設けられており、前記座部が閉じて前記椅子本体の開口を覆うときには前記撹拌器が作動し、前記座部が開いて前記椅子本体の開口を開けるときには前記撹拌器が停止するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の便器付き椅子。
【請求項1】
上端に開口する収納空間を有する椅子本体と該椅子本体の上端に載置され該椅子本体の開口を覆い着座される座部とを有する椅子と、
前記椅子本体の収納空間内に配置され排泄物を分解する菌床及び排泄物を受ける上端開口の浄化空間を持つタンクと該タンクの上端開口を閉じる内蓋と該タンクに保持され該菌床を攪拌する攪拌手段及び該菌床を加温する加温手段と該タンクに回動自在に保持された便座とを持つ便器と、
を有することを特徴とする便器付き椅子。
【請求項2】
前記便器は、前記浄化空間内の空気を循環する送気通路を持つ空気循環手段と該送気通路に設けられた消臭手段とを持つことを特徴とする請求項1記載の便器付き椅子。
【請求項3】
前記椅子本体の前記収納空間内に前記消臭手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の便器付き椅子。
【請求項4】
前記空気循環手段及び前記消臭手段の少なくとも一方は、前記椅子本体の後部に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の便器付き椅子。
【請求項5】
前記椅子本体には、前記座部の開閉を感知する開閉センサが設けられており、前記座部が閉じて前記椅子本体の開口を覆うときには前記撹拌器が作動し、前記座部が開いて前記椅子本体の開口を開けるときには前記撹拌器が停止するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の便器付き椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−252436(P2007−252436A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77668(P2006−77668)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(397039676)日本クリエイト・トレイディング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(397039676)日本クリエイト・トレイディング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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