説明

便器装置

【課題】便座内部に便座ヒータから放散される熱を有効回収して機能部品の作動用電力として利用すること。
【解決手段】便座3内部の便座ヒータ20と便座底面3a側との間に、便座ヒータ20から放散される熱を回収して電気エネルギーに変換する主発電手段4である熱電変換素子4Aを配設し、該熱電変換素子4Aにて生成された電気によって便器本体2に付設される機能部品を作動させるようにしたエネルギー効率の高い便器装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器装置に関し、詳しくは便器本体に付設される機能部品を作動させる電力を発電するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、様式便器の上面に載置される便座内部に便座ヒータが内装された暖房便座が知られている。(例えば、特許文献1参照)
近年、この種の暖房便座の普及には目覚しいものがあるが、便座を暖めるその熱は有効に回収されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2008−93249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、便座内部に便座ヒータから放散される熱を有効回収して機能部品の作動用電力として利用できるエネルギー効率の高い便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するために、本発明は、便器本体2の上面に載置される便座3内部に便座ヒータ20が設けられた便器装置であって、便座3内部の便座ヒータ20と便座底面3a側との間に、便座ヒータ20から放散される熱を回収して電気エネルギーに変換する主発電手段4である熱電変換素子4Aを配設し、該熱電変換素子4Aにて生成された電気によって便器本体2に付設される機能部品を作動させるようにしたことを特徴としている。
【0005】
このような構成とすることで、便座3を暖める際に便座底面3a側から逃げる無駄な熱を熱電変換素子4Aにて回収して、電気エネルギーに変換して機能部品を作動させることができ、熱の有効利用を図ることができる。
【0006】
また、上記主発電手段4とは別に、トイレ室内の明るさによって発電する光発電パネル5A、或いは、便器本体2の洗浄水流路6の途中に設けられて洗浄水流路6内を流れる水流によって発電する水力発電機5Bの少なくとも一方で構成される補助発電手段5を併設するのが好ましく、この場合、光発電パネル5Aと水力発電機5Bとを利用して、より多くの発電量を得ることができる。
【0007】
また、上記発電手段4、5により得られる余剰電力を蓄電する蓄電池7を備えるのが好ましく、この場合、蓄電池7で溜められた電力を任意のタイミングで利用することが可能となり、主発電手段4或いは補助発電手段5による発電量が十分でないときでも、機能部品の作動を可能にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、便座内部に便座ヒータから放散される熱を回収して電気エネルギーに変換する主発電手段である熱電変換素子を配設したことにより、エネルギー効率が高い便器装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0010】
本実施形態の便器装置1は、様式の便器本体2の上に便座3及び便蓋8が開閉可能に取付けられている。図中の9はボウル部、10は洗浄水流路6を開閉する給水電磁弁、21は電力供給用配線である。
【0011】
便座3内部には便座3表面を加熱するための便座ヒータ20が内装されている。便座ヒータ20としては、例えば正温度係数特性を有するPTCヒータ、或いは、金属材料による面状ヒータ、コードーヒータ等の軟質性を備えたヒータ等であってもよい。
【0012】
便座3内部の便座ヒータ20と便座底面3a側との間には、便座ヒータ20から放散される熱を回収して電気エネルギーに変換する主発電手段4が配設されていると共に、便器本体2の後ろ側上部には該主発電手段4にて生成された電気によって便器本体2に付設される機能部品を作動させる制御部11が配設されている。
【0013】
本例では主発電手段4として熱電変換素子4Aが用いられる。熱電変換素子4Aは、2種類の異種金属(又は半導体)の両端を接合し、いずれか一方を加熱して接合面に温度差が生じると発電するゼーベック効果を利用したものであり、温度計測用の金属熱電対と区別するために、特に熱電変換素子4Aと呼ばれる。このゼーベック効果を利用した熱電変換素子4Aを便座ヒータ20の下方に配置することで、便座ヒータ20からの熱によって接合面の温度差が大きくなり、起電力が発生する。つまり、熱電発電によって便座ヒータ20からの熱を電気エネルギとして回収することができる。
【0014】
便器本体2には、人体検出センサ、おしりを洗浄する洗浄機能、脱臭機能などの各種機能を実現するための機能部品(図示せず)が組み込まれており、これら各種機能部品は制御部11によって制御されると共に、上記熱電変換素子4Aにて生成される起電力を機能部品を作動する電力として利用できる構造となっている。
【0015】
そのため上記構成の便座3内部に熱電変換素子4Aを設けることで、使用者の着座時や暖房便座作動時に発生する熱のうち、便座底面3a側に逃げる熱を回収して熱電変換素子4Aによって電気を得ることができるので、便座ヒータ20の無駄な熱損失が少なく、しかも熱電変換素子4Aにて生成される電気は制御部11を通じて、人体検出センサやおしり洗浄機構、脱臭機構などの作動に利用することができ、結果、機能部品の省エネルギー化が図られ、エネルギー効率が高い便器装置1を得ることができる。
【0016】
しかも、便座ヒータ20と便座底面3a側との間に熱電変換素子4Aを介設するだけの簡易な構造であるため、便座3を従来と何ら変わらない外観仕様とすることができる。
【0017】
図2は本発明の他の実施形態を示す。本例では、上記熱電変換素子4Aからなる主発電手段4とは別に、トイレ室内の明るさによって発電する光発電パネル5Aと、便器本体2の洗浄水流路6の途中に設けられて洗浄水流路6内を流れる水流によって発電する水力発電機5Bとで構成される補助発電手段5が併設されていると共に、上記主発電手段4及び補助発電手段5により得られる余剰電力を蓄電するキャパシタ等からなる蓄電池7を備えている。他の構成は図1と同様であり、対応する部分には同一符号を付しておく。本例の光発電パネル5Aは、便蓋8の上面に設置されており、これにより便蓋8を倒して便器を使用しない状態で天井側に向くことによってトイレ室内の明るさで発電するものである。一方、水力発電機5Bは、上水路から便器のボウル部9内へ至る洗浄水流路6の途中に水車を設け、洗浄水流路6内を流れる水流によって水車を回転させて発電するものである。しかして、比較的安価な光発電パネル5Aと水力発電機5Bとを利用して、より多くの発電量を得ることができる。また熱電変換素子4Aだけでは十分な電力を得られない場合でも、これら補助発電手段5によって電力を補うことができる。なお、光発電パネル5Aと水力発電機5Bのいずれか一方のみを備える構成であってもよい。さらに、蓄電池7を併設しているので蓄えられた電力を任意のタイミングで利用することが可能となり、主発電手段4或いは補助発電手段5による発電量が十分でないときでも、機能部品の作動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0019】
1 便器装置
2 便器本体
3 便座
3a 便座底面
4 主発電手段
4A 熱電変換素子
5 補助発電手段
5A 光発電パネル
5B 水力発電機
6 洗浄水流路
7 蓄電池
20 便座ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の上面に載置される便座内部に便座ヒータが設けられた便器装置であって、便座内部の便座ヒータと便座底面側との間に、便座ヒータから放散される熱を回収して電気エネルギーに変換する主発電手段である熱電変換素子を配設し、該熱電変換素子にて生成された電気によって便器本体に付設される機能部品を作動させるようにしたことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
上記主発電手段とは別に、トイレ室内の明るさによって発電する光発電パネル、或いは、便器本体の洗浄水流路の途中に設けられて洗浄水流路内を流れる水流によって発電する水力発電機の少なくとも一方で構成される補助発電手段を併設したことを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
上記発電手段により得られる余剰電力を蓄電する蓄電池を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の便器装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−142603(P2010−142603A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326408(P2008−326408)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】