説明

信号処理装置、アンテナ装置、及び、復調装置

【課題】アンテナから受信機筐体まで離れていても給電線を引回す必要が無く、ノイズ等の耐環境性を良好に維持できる信号処理装置を提供する。
【解決手段】複数アンテナ2に近傍配置され、受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部5と、第二通信処理部7との間でシリアル通信する第一通信処理部6を備えた第一処理部3と、前記第一処理部3と離隔して配置され、前記第二通信処理部7と、前記受信デジタル信号を処理する第二信号処理部8を備えた第二処理部4とを備え、各通信処理部の少なくとも一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源92を備えるとともに、他方に一方からの送信信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部91を備え、各処理部の少なくとも一部が各同期クロック信号に基づいて作動するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナで複数系統の放送波を受信する信号処理装置、アンテナ装置、及び、復調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような信号処理装置として、従来、AM,FM,デジタルTVの三種類の放送波を受信する車載用受信装置100では、図1に示すように、アンテナ110、120、130からの受信信号を夫々同軸ケーブル等の高周波給電線200を介して受信機筐体300に入力し、受信機筐体300に設けた系統毎に異なる専用の信号処理回路310、320、330、つまり、周波数変換部311、321、331、バンドパスフィルタ312、322、332、A/Dコンバータ313、323、333、復調処理部314、324、334により夫々復調していた。
【特許文献1】特開2000−324003号公報
【特許文献2】特開平10−257467号公報
【特許文献3】特開2002−26758号公報
【特許文献4】特開平5−183459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の信号処理装置では、複数のアンテナから受信機筐体に各別に高周波給電線を配する必要があり、車内での広い配線スペースが要求されるばかりでなく、取り付け工程も煩雑になるという問題があり、また、アンテナから受信機筐体までの距離が離れている場合には、高周波給電線が長く引き回されるため、車両から発生する特有のパルスノイズや高周波ノイズの影響を受け易いという問題があった。
【0004】
そこで、アンテナ近傍に受信した放送信号に対応する信号処理装置を設けることも考えられるが、一般にアンテナ近傍は温度等の環境の影響を受け易く回路動作の信頼性を確保することが容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、複数のアンテナから受信機筐体までの距離が離れている場合であっても複数の長い高周波給電線を引き回す必要が無く、また、ノイズや温度等の耐環境性を良好に保つことのできる信号処理装置、アンテナ装置、及び、復調装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明による信号処理装置の特徴構成は、複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナからの受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部と、第二通信処理部との間でシリアル通信する第一通信処理部を備えた第一処理部と、前記第一処理部と離隔して配置され、前記第一通信処理部との間でシリアル通信する前記第二通信処理部と、前記第二通信処理部を介して前記第一処理部から送信された受信デジタル信号を処理する第二信号処理部を備えた第二処理部とを備え、前記第一通信処理部と第二通信処理部のうち少なくとも一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源を備えるとともに、他方に一方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を備え、前記第一処理部及び第二処理部の少なくとも一部が夫々の同期クロック信号に基づいて作動するように構成されている点にある。
【0007】
上述の構成によれば、複数のアンテナと第一処理部との間が短い高周波給電線で接続され、第一信号処理部で複数の通信系統の受信信号が多重化されたデジタル信号に変換され、そのようなデジタル信号が第一通信処理部を介して第二処理部にシリアル通信により伝送されるようになる。このように多重化されたデジタル信号を伝送するためのケーブルは一本で済み、しかも同軸ケーブルのような太いケーブルではないため、実装もフレキシブルに行なうことができるのである。また、シリアル通信する際に第一通信処理部と第二通信処理部のうち少なくとも一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源を備え、他方に一方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を設けることにより、双方にクロック信号源を備えた場合に問題となるクロック周波数のズレによる誤動作の問題も適正に解消されるようになる。
【0008】
つまり、第一通信処理部と第二通信処理部の双方にクロック信号源を備えた場合には、双方の環境温度が異なるような場合にクロック信号源の温度特性により同期クロック信号の周波数にズレが発生して、データの送受信が正常に行なわれなくなる虞があるが、上述の構成によれば、一方に設けられたクロック信号源から出力される同期クロック信号に基づいて双方が作動するため、十分な信頼性が確保されるようになるのである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明した通り、本発明によれば、複数のアンテナから受信機筐体までの距離が離れている場合であっても複数の長い高周波給電線を引き回す必要が無く、また、ノイズや温度等の耐環境性を良好に保つことのできる信号処理装置、アンテナ装置、及び、復調装置を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による信号処理装置、アンテナ装置、及び、復調装置を車両に適用した実施形態について説明する。
【0011】
信号処理装置1は、図2に示すように、複数のアンテナ2(21〜2n)の近傍に配置され、各アンテナ2からの受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部5と、第二通信処理部7との間でシリアル通信する第一通信処理部6を備えたアンテナ装置としての第一処理部3と、前記第一処理部3と離隔して配置され、前記第一通信処理部5との間でシリアル通信する前記第二通信処理部7と、前記第二通信処理部7を介して前記第一処理部3から送信された受信デジタル信号を処理する第二信号処理部8を備えた復調装置としての第二処理部4とを備えて構成される。
【0012】
なお、本実施形態では、前記複数のアンテナ2は、デジタルTVの放送波を受信する2系統のアンテナ21、22と、AM放送波を受信するアンテナ23と、FM放送波を受信するアンテナ24とを備えて構成されている。
【0013】
前記第一処理部3は、例えば、自動車のリアガラスの上部両端部近傍に設けられているアンテナ2の近傍である前記リアガラスの上部中央部近傍に設けられており、前記アンテナ2と同軸ケーブル等で接続されている。また、前記第二処理部4は、例えば、車室内のダッシュボードの近傍に設けられており、前記第一処理部3とシリアルデータ伝送ケーブルで接続されている。
【0014】
前記第一信号処理部5は、信号系統の異なる複数のアンテナ2(21〜24)で受信され、所定の処理が施された受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部51(511〜51n)と、前記A/D変換部51によりA/D変換された受信デジタル信号を多重化する多重化処理部52(521〜52n)を備え、それらが同期クロック信号に同期して作動するように構成されている。さらに、前記第一信号処理部5は、高周波増幅部53(531〜53n)と、周波数変換部54(541〜54n)と、バンドバスフィルタ55(551〜55n)と、ローパスフィルタ56(561〜56n)または直交変換手段57(571〜57n)とを備えて構成されている。
【0015】
詳述すると、前記高周波増幅部53は、前記アンテナ2で受信された受信信号を増幅し、前記周波数変換部54は増幅された受信信号にダウンコンバート等の周波数変換を施し、前記バンドパスフィルタ55は周波数変換された受信信号のうち所望の周波数成分を通過させ、前記A/D変換部51は入力された受信信号をアナログからデジタルに変換する。
【0016】
前記A/D変換部51よりデジタルに変換された出力された受信デジタル信号のうち、前記デジタルTVからの受信デジタル信号は、高調波を除去する前記ローパスフィルタ56を介して前記多重化処理部52に入力する。
【0017】
一方、前記FM放送及び前記AM放送からの受信デジタル信号は、前記直交変換手段57を介して前記多重化処理部52に入力する。
【0018】
前記直交変換手段57は、図3(a)に示すように、入力してきた受信デジタル信号の周波数と同じ周波数の信号を発生させる発振回路571と、前記発振回路571の出力信号を90度シフトさせる移相器572と、前記受信デジタル信号と前記発振回路571の出力信号とを乗積して直交信号のI成分を出力する混合器573と、前記受信デジタル信号と前記移相器572の出力信号とを乗積して、直交信号のQ成分を出力する混合器574と、前記ローパスフィルタ56(561及び562)とを備えて構成されており、前記混合器573、574から出力された受信デジタル信号の直交成分のI成分とQ成分は、夫々ローパスフィルタ56(561及び562)を介して前記多重化処理部52に入力する。
【0019】
前記多重化処理部52は、前記第一通信処理部6を介して前記第二処理部7から送信される所定の制御信号の受信をトリガとして、各アンテナ2(21〜24)に対応する前記受信デジタル信号が割り付けられた送信フレームを多重化処理して前記第一通信処理部6に出力する。ここで、制御信号の受信をトリガとしてとは、前記多重化処理部52が、後述するクロック再生部91(91A)が前記第二処理部7からの制御信号に基づいて再生した同期クロック信号の立ち上がりによって作動することである。
【0020】
前記多重化処理部52について詳述すると、前記多重化処理部52は、各アンテナ2(21〜24)に対応する前記受信デジタル信号を、16ビットの送信フレームが256フレームよりなる転送ブロックの所定の送信フレームに割り付ける。
【0021】
例えば、図4(a)に示すように、前記転送ブロックの最初の送信フレームと2番目の送信フレームには、所定のビット(最初の送信フレームには0xa、2番目の送信フレームには0xb)よりなるヘッダデータが格納される。
【0022】
また、前記転送ブロックの3番目から194番目までの送信フレームには、デジタルTVの受信デジタル信号が格納される。デジタルTVの受信信号は、例えば車両のフロントガラス上部近傍とリアガラス上部近傍に設けられている2個のアンテナ2にて受信されることから2チャンネルで構成されている。
【0023】
各チャンネルのデータは12ビットずつ128個に分割されて、前記転送ブロックに12ビットずつ交互に格納される。具体的には、前記デジタルTVの受信デジタル信号のうち第一チャンネルの先頭の12ビットのデータは、前記転送ブロックの3番目の送信フレームに割り付けられ、第二チャンネルの先頭の12ビットのデータのうち4ビットのデータが、前記転送ブロックの3番目の送信フレームの残り4ビットに割り付けられる。そして、第二チャンネルの先頭の12ビットのデータのうち残りの8ビットのデータが、前記転送ブロックの4番目の送信フレームに割り付けられる。以下同様にして、各チャンネルのデータは、194番目の送信フレームまで割り付けられる。
【0024】
また、前記転送ブロックの195番目から226番目までの送信フレームには、FM放送の受信デジタル信号が格納される。FM放送の受信デジタル信号のデータは12ビットずつ8個に分割されて、前記転送ブロックにI成分のデータとQ成分のデータが12ビットずつ交互に格納される。具体的には、前記FM放送の受信デジタル信号のうちI成分の先頭の12ビットのデータは、前記転送ブロックの195番目の送信フレームに割り付けられ、前記FM放送の受信デジタル信号のうちQ成分の先頭の12ビットのデータは、前記転送ブロックの196番目の送信フレームに割り付けられる。以下同様にして、各チャンネルのデータは、226番目の送信フレームまで割り付けられる。
【0025】
また、前記転送ブロックの227番目から234番目までの送信フレームには、AM放送の受信デジタル信号が、FM放送と同様にして前記転送ブロックにI成分のデータとQ成分のデータが12ビットずつ交互に格納される。
【0026】
また、前記転送ブロックの235番目から256番目までの送信フレームにはダミーデータが格納される。例えば、前記多重化処理部52は、前記信号処理装置1に設けられているランダムデータ格納メモリに記憶されているランダムデータ群から何れかのランダムデータを読み出して、または、記憶されているランダムデータを順番に読み出して、前記転送ブロックの235番目から256番目までの送信フレームに格納する。
【0027】
前記第一通信処理部6は、データ送信部61と、データ受信部62と、クロック再生部91(91A)とを備えて構成されており、前記第二通信処理部7は、データ送信部71と、データ受信部72と、クロック再生部91(91B)と、クロック信号源92とを備えて構成されている。
【0028】
なお、前記第一処理部3の少なくとも一部は前記クロック再生部91から出力される同期クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに基づいて作動し、前記第二処理部4の少なくとも一部は前記クロック再生部91または前記クロック信号源92から出力される同期クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに基づいて作動する。
【0029】
具体的には、前記第一処理部3のA/D変換部51、ローパスフィルタ56、直交変換部57、多重化処理部52、データ送信部61、及びデータ受信部62は、前記クロック再生部91Aから出力される同期クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに基づいて作動し、前記第二処理部4のデータ受信部72は、前記クロック再生部91Bから出力される同期クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに基づいて作動し、前記第二処理部4のデータ送信部71は、前記クロック信号源92から出力される同期クロック信号の立ち上がりまたは立ち下がりに基づいて作動する。
【0030】
なお、前記クロック再生部91及び前記クロック信号源92については後述する。
【0031】
前記データ送信部61、71は、入力データを一時的に格納しておくバッファメモリと、前記バッファメモリに格納されたデータをパラレルデータからシリアルデータに変換するパラレルシリアル変換回路とを備えて構成されている。
【0032】
そして、前記データ送信部61は、前記多重化処理部52において多重化処理された受信デジタル信号を、前記転送ブロックの最初の送信フレームから順番に、前記データ受信部72へシリアル送信するように構成されており、前記データ送信部71は、後述する前記第二信号処理部8から出力された利得制御データを、前記データ受信部62へシリアル送信するように構成されている。
【0033】
なお、前記データ送信部61、71は夫々、2個のバッファメモリを備えた構成であってもよい。このような構成の場合は、前記多重化処理部52または前記第二信号処理部8から最初に入力してきたデータを第一のバッファメモリに格納して前記データ受信部62、72へ送信する。前記第一のバッファメモリに格納されたデータの送信中に前記多重化処理部52または前記第二信号処理部8からデータが入力してきた場合は第二のバッファメモリに格納しておく。そして、データの送信が完了すると前記第二のバッファメモリに格納しておいたデータを前記データ受信部62、72へ送信する。前記第二のバッファメモリに格納されたデータの送信中に前記多重化処理部52または前記第二信号処理部8から入力してきたデータを今度は第一のバッファメモリに格納しておく。以下、送信に使用されていない方のバッファメモリへの格納を繰り返す。以上の構成とすることで、データがバッファメモリに格納されるために必要な待ち時間を少なくできる。
【0034】
前記データ受信部62、72は、入力データをシリアルデータからパラレルデータに変換するシリアルパラレル変換回路と、前記シリアルパラレル変換回路で変換されたパラレルデータを一時的に格納しておくバッファメモリとを備えて構成されている。そして、前記データ受信部72は、前記データ送信部61からの多重化処理された受信デジタル信号を前記第二信号処理部8へ出力するように構成されており、前記データ受信部62は、前記データ送信部71からの利得制御データを前記高周波増幅部53等へ出力するように構成されている。
【0035】
前記第二信号処理部8は、デジタルシグナルプロセッサ及びその周辺回路で構成され、図2に示すように、前記第二通信処理部7で受信された受信デジタル信号を前記信号系統毎の受信デジタル信号に分離する分離処理部81と、分離された各受信デジタル信号を復調して出力する復調部82を備えて構成されており、前記分離処理部81が同期クロック信号に同期して作動するように構成されている。
【0036】
前記分離処理部81は、前記多重化処理部52において多重化処理された受信デジタル信号のデータ、つまり、256の送信フレームよりなる前記転送ブロックに割り付けられているデータを、前記多重化処理部52と逆の処理を行なうことで、前記第一処理部3において受信されたときと同一種類の信号系統毎に分離させて、前記復調部82に出力するように構成されている。
【0037】
前記復調部82は、図3(b)に示すように、利得制御部821と、制御部822と、前記分離処理部81からの受信デジタル信号を復調して後段のチューナ等へ出力する復調処理部823とを備えて構成されている。
【0038】
前記利得制御部821は、入力してきた各受信デジタル信号が所定レベルとなるように利得を調整する。
【0039】
詳述すると、前記利得制御部821は、前記各受信デジタル信号が予め設定された目標レベルに維持されるように、前記高周波増幅部53等の利得を調整するフィードバック制御部として機能する。
【0040】
例えば、前記利得制御部821において前記各受信デジタル信号と前記目標レベルを比較して偏差が大きいときには、前記利得制御部821は、当該偏差に基づいた利得制御信号としてのPWM信号を出力し、出力されたPWM信号は利得制御データに変換された上で前記データ送信部71と前記データ受信部62を介して前記高周波増幅部53等に送信され、偏差が小さくなるように前記高周波増幅部53等の利得が可変制御される。
【0041】
上述のように、本実施形態では、前記利得制御部821は、利得制御信号としてのPWM信号を出力するように構成されている。前記復調部82は前記制御部822を備えており、前記制御部822は、前記利得制御部821から出力された物理レベルのPWM信号を論理レベルの前記利得制御データに変換して前記データ送信部71に出力するように構成されている。そして、前記データ送信部71と前記データ受信部72を介してデータ解析部31に入力した前記利得制御データは、前記データ解析部31にて物理レベルの制御電圧に変換されて前記高周波増幅部53等に出力される。
【0042】
前記制御部822におけるPWM信号から利得制御データへの変換は、例えば、前記制御部822がカウンタを備えて構成されており、前記PWM信号のパルス幅をカウンタによってカウントして、カウント値を利得制御データとして出力することによって行なわれる。
【0043】
また、前記データ解析部31における利得制御データから制御電圧への変換は、例えば、前記データ解析部31がパルス幅変調回路とローパスフィルタを備えて構成されており、受け取った前記利得制御データをパルス幅変調によりPWM信号に変換して、変換したPWM信号をローパスフィルタに通すことによって行なわれる。
【0044】
以下、前記クロック再生部91と前記クロック信号源92について詳述する。前記信号処理装置1は、図2に示すように、前記第一通信処理部6と第二通信処理部7のうち少なくとも一方が、他方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部91を備えるとともに、前記クロック再生部91により再生された同期クロック信号に基づいて受信処理するように構成されている。
【0045】
また、前記信号処理装置1は、前記第一通信処理部6と第二通信処理部7のうち何れか一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源92を備え、一方の通信処理部(例えば前記第二通信処理部7)が前記クロック信号源92から出力される同期クロックに基づいて信号を他方(例えば前記第一通信処理部6)に送信するとともに、他方に前記クロック再生部91を備え、他方の通信処理部が前記クロック再生部91により再生された同期クロック信号に基づいて信号を一方に送信するように構成されている。
【0046】
前記クロック信号源92は、前記信号処理装置1の動作の基準となる周波数を作る発振器で構成されており、前記発振器としては、例えば、水晶やセラミック発振子を用いた水晶発振器やセラミック発振器がある。また、前記クロック信号源92として、前記水晶発振器(または前記セラミック発振器)とコイルやコンデンサで構築した共振回路を用いる自励発振器とを組み合わせた回路を用いた構成であってもよい。
【0047】
前記クロック再生部91は、装置の起動時に前記通信処理部により受信される同期用トレーニング信号(以下、「擬似信号」と記す。)に基づいて前記同期クロック信号を再生する図5に示すようなPLL回路911を備えて構成されている。
【0048】
ここで、前記擬似信号は、例えば、前記ヘッダデータが送信フレームの最初に格納され、送信フレームの残りには、PRBS(Pseudo Random Binary Sequence)等による擬似雑音データ等の同期クロックを再生するために必要な所定のデータが格納されている信号であり、前記データ送信部61、71が、前記受信デジタル信号や前記利得制御データを送信する前に、前記データ受信部62、72に対して所定回数連続して送信される信号である。
【0049】
本実施形態における前記PLL回路911は、図5に示すように、一または複数(本実施形態では二個)の位相検波器912と、前記位相検波器912から送られてきた電圧レベルの増加または減少に基づいて周波数が変化する発振器である電圧制御発振器913と、前記電圧制御発振器913からのクロック信号を分周させる一または複数の周波数分周器914とを備えて構成されている。なお、前記周波数分周器914は、各位相検波器912の前段に設けられており、位相検波器912毎に異なる分周率の周波数分周器914(本実施形態では分周率は1/Mと1/N(N>M))が備えられている。
【0050】
前記位相検波器912は、前記通信処理部(前記データ送信部61または前記データ送信部71)から送信されてきた擬似信号と前記電圧制御発振器913から出力された同期クロック信号との位相差を検出して、前記擬似信号に対する前記同期クロック信号の位相の遅れまたは進みに基づいて、前記電圧制御発振器913に送る電圧レベルを増加または減少させる。つまり、当該位相差が一致するように前記電圧制御発振器913がフィードバック制御される。
【0051】
前記PLL回路911は、さらに、間隔検出回路915と、セレクタ回路916とを備えて構成されている。
【0052】
前記間隔検出回路915は、前記通信処理部(前記データ送信部61または前記データ送信部71)から所定回数連続して送信されてくる前記擬似信号のヘッダデータを読み取って、前記ヘッダデータが送られてくる間隔を算出する。そして、算出した間隔が所定時間範囲内であるか否かによって、前記セレクタ回路916に異なる信号を送る。ここで、前記所定時間範囲は、前記クロック信号源92によって生成される同期クロック信号の周波数と前記擬似信号のデータ長によって決定される。
【0053】
具体的には、前記間隔検出回路915は、算出した間隔が所定時間範囲内である場合には、前記クロック再生部91によって再生される同期クロック信号と前記クロック信号源92によって生成される同期クロック信号の周波数にズレが生じていないと判断して、通常使用する(図5の場合は、分周比が大きい周波数分周器914Aを前段に備えている)位相検波器912Aからの入力を前記セレクタ回路916に選択させるような信号を、前記セレクタ回路916に送信する。
【0054】
一方、前記間隔検出回路915は、算出された間隔が所定時間範囲外である場合に、前記クロック再生部91によって再生される同期クロック信号と前記クロック信号源92によって生成される同期クロック信号の周波数にズレが生じていると判断して、より分周率が小さい周波数分周器914Bを前段に備えている位相検波器912Bからの入力を前記セレクタ回路916に選択させるような信号を、前記セレクタ回路916に送信する。
【0055】
つまり、前記PLL回路911は、前記クロック再生部91によって再生される同期クロック信号と前記クロック信号源92によって生成される同期クロック信号の周波数にズレが生じていると判断される場合は、前記位相検波器912に入力する周波数変化幅の比率を前記周波数分周器914の分周率を切り替えて可変させる、換言すると周波数引き込み範囲を広げることで、ズレを是正するように構成されている。
【0056】
なお、前記間隔検出回路915は、連続して送られてくる擬似信号のヘッダデータの間隔を算出する構成について説明したが、間隔算出の基準とするデータは前記ヘッダデータに限らない。例えば、前記転送ブロックの所定の送信フレームに所定のダミーデータを入れておき、前記間隔検出回路915は当該所定のダミーデータを検出する構成であってもよい。
【0057】
上述の構成によれば、前記クロック再生部91は、装置の起動時に通信処理部より受信される擬似信号に基づいて同期クロック信号を再生するので、装置が起動してから最初に送受信される受信デジタル信号や利得制御データ等のデータの同期を確実にとることができる。また、PLL回路を用いることによって発振器の材料の特性や発振器に用いられている回路素子の温度特性等による影響を低減することができる。
【0058】
前記信号処理装置1は、前記第一信号処理部5と第二信号処理部7の何れかが前記クロック信号源92からの同期クロックに基づいて作動するとともに、他方が前記クロック再生部91からのクロック信号に基づいて作動するように構成されている。
【0059】
本実施形態では、図2に示すように、前記第一通信処理部6に前記クロック再生部91Aを備え、前記第二通信処理部7に前記クロック信号源92と前記クロック再生部91Aとは別のクロック再生部91Bとを備えている構成について説明する。
【0060】
つまり、データ送受信のための通信ラインは、前記データ送信部61から前記データ受信部72へデータを送信するためのシリアルライン61Lと、前記データ送信部71から前記データ受信部62へデータを送信するためのシリアルライン62Lの2本の通信ラインで構成されており、前記データ送信部61は前記クロック再生部91Aにおいて再生された同期クロック信号に基づいて前記データ受信部62に信号を送信し、前記データ送信部71は前記クロック信号源92において生成された同期クロックに基づいて前記データ受信部62に信号を送信し、前記データ受信部62は前記クロック再生部91Aにおいて再生された同期クロック信号に基づいて前記データ送信部71からの信号を受信し、前記データ受信部72は前記クロック再生部91Bにおいて再生された同期クロック信号に基づいて前記データ送信部61からの信号を受信するように構成されている。
【0061】
以下、詳述する。本実施形態において、前記データ送信部61、71及び前記データ受信部62、72により行なわれるシリアルデータの送受信は、同期式全二重シリアル通信により行なわれている。
【0062】
つまり、図4(b)に示すように、1個の送信フレーム(つまり、16ビットのデータ)に、各1ビットのスタートビット(ローレベル)とストップビット(ハイレベル)が付加された18ビットのデータが、フレーム数つまり256回連続する単位ブロックデータとして送信される。前記データ受信部62、72は再生された同期クロックに基づいて受信した単位ブロックデータからスタートビット及びストップビットを基準にフレームの区切りを検出するように構成されている。
【0063】
アンテナ2近傍に設けられている第一処理部3は、車室内に設けられていることが多い第二処理部4に比べて、温度特性の影響を受けやすい。よって、本実施形態のように、信号処理装置1における全ての同期クロック信号の基準となる同期クロック信号を生成するクロック信号源92を温度特性の影響を受け難い第二処理部4に備えることで、信号処理装置1全体として温度特性の影響を受け難くなり、同期クロック信号の周波数のズレの発生を低減することができる。
【0064】
以下、同期クロック信号の生成と再生について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
信号処理装置1が組み込まれたシステムのスイッチ(例えば、車載オーディオの電源スイッチ)がオンされると(S1)、第二処理部4のクロック信号源92がクロック動作、つまり所定の周波数の同期クロック信号の生成を開始する(S2)。
【0066】
クロック再生部91Aにおいて同期クロック信号が再生されていない初期は(S3)、データ送信部71がデータ受信部72に対して擬似信号を連続して所定回数送信し(S4)、前記クロック再生部91Aは、前記データ受信部72が受け取った擬似信号に基づいて同期クロック信号を再生する(S5)。
【0067】
前記クロック再生部91Aにおいて同期クロック信号が再生された後は(S3)、第一処理部3の少なくとも一部(本実施形態では、A/D変換部51、ローパスフィルタ56、多重化処理部52、データ送信部61、及びデータ受信部62)が、再生された同期クロック信号に基づいて作動する(S6)。
【0068】
以上説明したとおり、前記アンテナ装置(第一処理部)3は、複数のアンテナ2の近傍に配置され、各アンテナ2からの受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部51と、前記A/D変換部51によりA/D変換された受信デジタル信号を多重化する多重化処理部52を有する第一信号処理部5と、外部設置された第二通信処理部7との間でシリアル通信する第一通信処理部6を備え、前記第一通信処理部6に前記第二通信処理部7から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部91Aを備え、前記クロック再生部91Aにより再生された同期クロック信号に基づいて送受信処理するように構成されている。
【0069】
また、前記復調装置(第二処理部)4は、アンテナ装置3との間でシリアル通信する第二通信処理部7と、前記第二通信処理部7を介して前記アンテナ装置3から送信された多重受信デジタル信号を信号系統毎の受信デジタル信号に分離する分離処理部81と、分離された各受信デジタル信号を復調する復調部82を備え、前記第二通信処理部7に同期クロック信号を生成するクロック信号源92と、前記アンテナ装置3から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部91Bを備え、前記第二通信処理部7は前記クロック信号源92により生成された同期クロック信号に基づいて信号を送信処理するとともに、前記クロック再生部91Bにより再生された同期クロックに基づいて信号を受信処理するように構成されている。
【0070】
また、前記信号処理装置1は、複数のアンテナ2の近傍に配置され、各アンテナ2からの受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部5と、第二通信処理部7との間でシリアル通信する第一通信処理部6を備えた第一処理部3と、前記第一処理部3と離隔して配置され、前記第一通信処理部6との間でシリアル通信する前記第二通信処理部7と、前記第二通信処理部7を介して前記第一処理部3から送信された受信デジタル信号を処理する第二信号処理部8を備えた第二処理部4とを備え、前記第一通信処理部6と第二通信処理部7のうち少なくとも一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源92を備えるとともに、他方に一方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部91を備え、前記第一処理部3及び第二処理部4の少なくとも一部が夫々の同期クロック信号に基づいて作動するように構成されている。
【0071】
以下、別実施形態について説明する。上述の実施形態では、第一通信処理部6にクロック再生部91Aを備え、第二通信処理部7にクロック信号源92と前記クロック再生部91Aとは別のクロック再生部91Bとを備えた構成について説明したが、前記クロック信号源92が、上述の実施形態とは逆の通信処理部に備えられた構成であってもよい。
【0072】
例えば、図7に破線で示すように、前記第一通信処理部6に前記クロック信号源92と前記クロック再生部91Aとを備え、前記第二通信処理部7に前記クロック再生部91Bを備えた構成であってもよい。
【0073】
上述の実施形態では、第二通信処理部7にクロック信号源92と第一通信処理部7に備えられたクロック再生部91Aとは別のクロック再生部91Bとを備え、データ送信部71及び分離処理部81は前記クロック信号源92から送信された信号に基づいて作動し、データ受信部72は前記クロック再生部91Bから送信された信号に基づいて作動する構成について説明したが、図8に破線で示すように、前記第二通信処理部7に前記クロック信号源92のみを設けて、前記データ受信部72も前記クロック信号源92から送信された信号に基づいて作動する構成であってもよい。
【0074】
上述の実施形態では、複数のアンテナ2に対して単体の第一処理部3が設けられている構成について説明したが、複数のアンテナ2に対して複数の第一処理部3が設けられている構成であってもよい。
【0075】
つまり、図9に示すように、アンテナ2の近傍に配置され、所定の処理が施された前記アンテナ2からの受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部56Aと、第二通信処理部7との間でシリアル通信する第三通信処理部6Aと、クロック再生部91を備えた第三処理部3Aをさらに備え、前記第三処理部3Aは、前記第三通信処理部6Aを介して第二処理部4から送信される所定の制御信号をトリガとして、所定のタイミングで多重化処理部52に受信デジタル信号を送信する構成であってもよい。
【0076】
このような構成は、例えば、車両のフロント部分にアンテナ2の一方が取り付けられ、リア部分にアンテナ2の他方が取り付けられている場合に用いられ、図9ではフロントとリアの何れかの処理部(第一処理部3)のみに多重化処理部52が備えられ、他方の処理部(第三処理部3A)から出力された受信デジタル信号は、第一処理部3の多重化処理部52において多重化処理されるように構成されている。
【0077】
なお、この場合、図9に破線で示すように、第三処理部3Aから第一処理部3の多重化処理部52へ出力される受信デジタル信号を一時格納して適切なタイミングで出力するためのバッファメモリを備えた送信処理部57を第三処理部3Aに備えた構成であってもよい。
【0078】
図9に示す構成では、第三通信処理部6Aと第二通信処理部7との間で、所定の制御信号がシリアル通信されているために、シリアルライン63Lが余分に必要であるが、所定の制御信号によるフィードバック制御を行なわない場合、または、前記フィードバック制御をA/D変換部51Aから出力された信号にフィードバックさせて行なう(つまり第三処理部3A内でフィードバック制御を行なう)場合は、例えば、図10に示すように、第三処理部3Aのクロック再生部91は、第一処理部3のクロック再生部91からの制御信号によって同期クロック信号を再生するような構成であってもよい。
【0079】
なお、図9及び図10において、第三処理部3Aは単一のアンテナ2から受信信号を入力しているが、複数のアンテナ2から受信信号を入力する構成であってもよい。また、処理部の数は二個または三個に限るものではなく、例えば、信号処理装置1は、前記第三処理部3A以外にも、単一または複数のアンテナ2から受信信号を入力する第四処理部等が備えられた構成であってもよい。さらに、第三処理部3Aが多重化処理部まで備えている構成や、第三処理部3Aは高周波増幅部のみを備えており、それより後段部分(つまり周波数変換部以降)は第一処理部3に備えられている構成であってもよい。
【0080】
上述の実施形態では、データ送信部61、71及びデータ受信部62、72により行なわれるシリアルデータの送受信は、同期式全二重シリアル通信により行なわれる構成について説明したが、本発明は同期式全二重シリアル通信に適用されるものに限るものではない。例えば、前記データ送信部61から前記データ受信部72へのデータ送信に使用されているシリアルライン61Lと、前記データ送信部71から前記データ受信部62へのデータ送信に使用されているシリアルライン62Lを共用することで、シリアルデータの送受信が半二重通信により行なわれる構成であってもよい。さらに、各フレームのスタートビットに基づいてフレーム同期を取って受信する調歩式全二重シリアル通信等にも採用できる。
【0081】
上述の実施形態では、利得制御部821が出力した物理レベルの信号を制御部822が論理レベルの信号に変換して第一処理部3に出力する構成について説明したが、第二処理部4において物理レベルの信号を出力する端子が使用可能である場合等は、物理レベルの信号を論理レベルの信号に変換することなく、前記第一処理部3に出力する構成であってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、第一信号処理部5は直交変換手段57を備えており、入力してきたFM放送及びAM放送の受信デジタル信号をI成分とQ成分に分割して出力する構成について説明したが、前記第一信号処理部5は前記直交変換手段57を備えていない構成であってもよい。
【0083】
この場合は、FM放送及びAM放送の受信デジタル信号もローパスフィルタ56のみを介して多重化処理部52に入力することとなる。
【0084】
尚、上述の実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において各ブロックの具体的構成等は適宜変更設計できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来の信号処理装置のブロック構成図
【図2】本発明に係る信号処理装置のブロック構成図
【図3】(a)は、直交変換手段を示し、(b)は、復調部を示すブロック構成図
【図4】(a)は、転送ブロックの構成を示し、(b)は、送信フレームの送信を示した説明図
【図5】PLL回路の説明図
【図6】同期クロック信号の生成と再生について説明するフローチャート
【図7】第一通信処理部と第二通信処理部でクロック信号源とクロック再生部を入れ替えた構成の信号処理装置のブロック構成図
【図8】第二通信処理部にクロック再生部を備えていない構成の信号処理装置のブロック構成図
【図9】第三処理部を設けた構成の信号処理装置のブロック構成図
【図10】第三処理部を設けた構成であり第二処理部から制御データを受け取らない信号処理装置のブロック構成図
【符号の説明】
【0086】
1:信号処理装置
3:第一処理部
3A:第三処理部
4:第二処理部
5:第一信号処理部
51:A/D変換部
52:多重化処理部
6:第一通信処理部
7:第二通信処理部
8:第二信号処理部
81:分離処理部
82:復調部
91:クロック再生部
911:PLL回路
92:クロック信号源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナからの受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部と、第二通信処理部との間でシリアル通信する第一通信処理部を備えた第一処理部と、
前記第一処理部と離隔して配置され、前記第一通信処理部との間でシリアル通信する前記第二通信処理部と、前記第二通信処理部を介して前記第一処理部から送信された受信デジタル信号を処理する第二信号処理部を備えた第二処理部とを備え、
前記第一通信処理部と第二通信処理部のうち少なくとも一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源を備えるとともに、他方に一方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を備え、前記第一処理部及び第二処理部の少なくとも一部が夫々の同期クロック信号に基づいて作動するように構成されている信号処理装置。
【請求項2】
複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナからの受信信号を多重化した受信デジタル信号を生成する第一信号処理部と、第二通信処理部との間でシリアル通信する第一通信処理部を備えた第一処理部と、
前記第一処理部と離隔して配置され、前記第一通信処理部との間でシリアル通信する前記第二通信処理部と、前記第二通信処理部を介して前記第一処理部から送信された受信デジタル信号を処理する第二信号処理部を備えた第二処理部とを備え、
前記第一通信処理部と第二通信処理部のうち少なくとも一方が、他方の通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を備えるとともに、前記クロック再生部により再生された同期クロック信号に基づいて受信処理するように構成されている信号処理装置。
【請求項3】
前記第一通信処理部と第二通信処理部のうち何れか一方に同期クロック信号を生成するクロック信号源を備え、一方の通信処理部が前記クロック信号源から出力される同期クロック信号に基づいて信号を他方に送信するとともに、
他方に前記クロック再生部を備え、他方の通信処理部が前記クロック再生部により再生された同期クロック信号に基づいて信号を一方に送信するように構成されている請求項2記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記第二通信処理部に前記クロック信号源を備え、前記第一通信処理部に前記クロック再生部を備えている請求項3記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記第一信号処理部は、信号系統の異なる複数のアンテナで受信され、所定の処理が施された受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換部によりA/D変換された受信デジタル信号を多重化する多重化処理部を備え、それらが同期クロック信号に同期して作動するように構成され、
前記第二信号処理部は、前記第二通信処理部で受信された受信デジタル信号を前記信号系統毎の受信デジタル信号に分離する分離処理部と、分離された各受信デジタル信号を復調する復調部を備え、前記分離処理部が同期クロック信号に同期して作動するように構成され、
前記第一信号処理部と第二信号処理部の何れかが前記クロック信号源からの同期クロックに基づいて作動するとともに、他方が前記クロック再生部からの同期クロック信号に基づいて作動するように構成されている請求項3記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記クロック再生部は、装置の起動時に前記通信処理部により受信される同期用トレーニング信号に基づいて前記同期クロック信号を再生するPLL回路を備えて構成されている請求項2から5の何れかに記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記多重化処理部は、前記第一通信処理部を介して前記第二処理部から送信される所定の制御信号の受信をトリガとして、各アンテナに対応する受信デジタル信号が割り付けられた送信フレームを多重化処理して前記第一通信処理部に出力する請求項2から6の何れかに記載の信号処理装置。
【請求項8】
アンテナの近傍に配置され、所定の処理が施された前記アンテナからの受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記第二通信処理部との間でシリアル通信する第三通信処理部と、前記クロック再生部を備えた第三処理部をさらに備え、
前記第三処理部は、前記第三通信処理部を介して前記第二処理部から送信される前記制御信号をトリガとして、所定のタイミングで前記多重化処理部に受信デジタル信号を送信するように構成されている請求項7記載の信号処理装置。
【請求項9】
複数のアンテナの近傍に配置され、各アンテナからの受信信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換部によりA/D変換された受信デジタル信号を多重化する多重化処理部を有する第一信号処理部と、外部設置された第二通信処理部との間でシリアル通信する第一通信処理部を備え、
前記第一通信処理部に前記第二通信処理部から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を備え、前記クロック再生部により再生された同期クロック信号に基づいて送受信処理するように構成されているアンテナ装置。
【請求項10】
アンテナ装置との間でシリアル通信する第二通信処理部と、前記第二通信処理部を介して前記アンテナ装置から送信された多重受信デジタル信号を信号系統毎の受信デジタル信号に分離する分離処理部と、分離された各受信デジタル信号を復調する復調部を備え、
前記第二通信処理部に同期クロック信号を生成するクロック信号源と、前記アンテナ装置から送信された信号に基づいて同期クロック信号を再生するクロック再生部を備え、前記第二通信処理部は前記クロック信号源により生成された同期クロック信号に基づいて信号を送信処理するとともに、前記クロック再生部により再生された同期クロック信号に基づいて信号を受信処理する復調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−263338(P2008−263338A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103540(P2007−103540)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】