説明

信号発生装置および試験装置

【課題】指定したレベルの信号を電子デバイスに対して精度良く供給する。
【解決手段】 電子デバイスに信号を供給する信号発生装置であって、信号を生成する信号発生器と、信号発生器が生成した信号を電子デバイスに伝送する信号伝送路と、信号伝送路と信号損失が略等しく、電子デバイスと信号発生器との間で信号伝送路と並列に設けられ、信号伝送路が伝送する信号をループバックする補正基準伝送路と、与えられる信号のレベルを測定する信号測定器と、信号測定器に、信号発生器が生成した信号、又は補正基準伝送路がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える第1スイッチ部と、信号発生器が生成した信号のレベルと、補正基準伝送路がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、信号伝送路における信号損失を算出する算出部とを備える信号発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号発生装置および試験装置に関する。特に本発明は、電子デバイスに信号を供給する信号発生装置および試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーブルによる減衰量を表す近似式によりレベル補正した試験信号を、被試験デバイスに供給する試験装置が記載されている。
【特許文献1】特開平10−307168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された試験装置は、ケーブルの特性を予め取得して近似式を算出しなければならなかった。従って、特許文献1に記載された試験装置は、被試験デバイスに対して未知の特性のケーブルを介して精度よく信号を供給することができなかった。
【0004】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる信号発生装置および試験装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1形態においては、電子デバイスに信号を供給する信号発生装置であって、信号を生成する信号発生器と、信号発生器が生成した信号を電子デバイスに伝送する信号伝送路と、信号伝送路と信号損失が略等しく、電子デバイスと信号発生器との間で信号伝送路と並列に設けられ、信号伝送路が伝送する信号をループバックする補正基準伝送路と、与えられる信号のレベルを測定する信号測定器と、信号測定器に、信号発生器が生成した信号、又は補正基準伝送路がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える第1スイッチ部と、信号発生器が生成した信号のレベルと、補正基準伝送路がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、信号伝送路における信号損失を算出する算出部とを備える信号発生装置を提供する。
【0006】
第1スイッチ部は、信号伝送路を、信号発生器及び信号測定器に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、補正基準伝送路を、信号発生器及び信号測定器に接続するか否かを切り替える第2スイッチとを有してよい。第1スイッチ部は、信号発生器の出力端と、信号測定器の入力端とを接続するか否かを切り替える第3スイッチを更に有してよい。
【0007】
信号発生装置は、信号伝送路が伝送した信号を、電子デバイスに入力するか、又は補正基準伝送路に入力するかを切り替える第2スイッチ部を更に備えてよい。第2スイッチ部は、信号伝送路が伝送した信号を補正基準伝送路に入力するか否かを切り替える第4スイッチと、信号伝送路が伝送した信号を電子デバイスに入力するか否かを切り替える第5スイッチとを有してよい。
【0008】
算出部は、電子デバイスに信号を供給する前に、信号伝送路における信号損失を予め算出し、信号損失に基づいて信号発生器が生成する信号のレベルを制御してよい。算出部は、電子デバイスに信号を供給する前に、信号発生器に異なる周波数の信号を順次生成させ、信号伝送路における信号損失を周波数毎に予め算出してよい。算出部は、電子デバイスに信号を供給している状態において、信号伝送路における信号損失を所定のタイミングで算出し、信号損失に基づいて信号発生器が生成する信号のレベルを制御してよい。
【0009】
本発明の第2形態においては、電子デバイスを試験する試験装置であって、電子デバイスに信号を供給する信号発生装置と、電子デバイスの出力信号に基づいて電子デバイスの良否を判定する判定部とを備え、信号発生装置は、信号を生成する信号発生器と、信号発生器が生成した信号を電子デバイスに伝送する信号伝送路と、信号伝送路と信号損失が略等しく、電子デバイスと信号発生器との間で信号伝送路と並列に設けられ、信号伝送路が伝送する信号をループバックする補正基準伝送路と、与えられる信号のレベルを測定する信号測定器と、信号測定器に、信号発生器が生成した信号、又は補正基準伝送路がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える第1スイッチ部と、信号発生器が生成した信号のレベルと、補正基準伝送路がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、信号伝送路における信号損失を算出する算出部とを有する試験装置を提供する。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子デバイスに対して精度良く信号を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。試験装置10は、信号発生装置20と、判定部30とを備え、電子デバイス100を試験する。信号発生装置20は、電子デバイス100に信号を供給する。判定部30は、供給された信号に応じて出力された電子デバイス100の出力信号に基づいて、電子デバイス100の良否を判定する。
【0014】
信号発生装置20は、信号発生器32と、信号伝送路34と、補正基準伝送路36と、信号測定器38と、第1スイッチ部40と、算出部42とを有する。信号発生器32は、試験信号として電子デバイス100に供給すべき信号を生成する。信号伝送路34は、信号発生器32が生成した信号を電子デバイス100に伝送する。信号伝送路34は、一例として、試験信号を伝送するケーブルおよびパフォーマンスボード上の配線を含んでよい。本実施形態において信号伝送路34は、入力端が第1スイッチ部40を介して信号発生器32の出力端に接続され、出力端が電子デバイス100に接続される。
【0015】
補正基準伝送路36は、信号伝送路34と信号損失が略等しく、電子デバイス100と信号発生器32との間で信号伝送路34と並列に設けられ、信号伝送路34が伝送する信号をループバックする。補正基準伝送路36は、一例として、試験信号を伝送するケーブルおよびパフォーマンスボード上の配線を含んでよい。本実施形態において補正基準伝送路36は、入力端が信号伝送路34の出力端に接続され、出力端が第1スイッチ部40を介して信号測定器38の入力端に接続される。信号測定器38は、与えられる信号のレベルを測定する。
【0016】
第1スイッチ部40は、信号測定器38に、信号発生器32が生成した信号、又は補正基準伝送路36がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える。第1スイッチ部40は、一例として、第1スイッチ51と、第2スイッチ52と、第3スイッチ53とを含んでよい。第1スイッチ51は、信号伝送路34を、信号発生器32及び信号測定器38に接続するか否かを切り替える。本実施形態において第1スイッチ51は、信号発生器32の出力端と信号伝送路34の入力端とを接続するか否かを切り替える。第2スイッチ52は、補正基準伝送路36を、信号発生器32及び信号測定器38に接続するか否かを切り替える。本実施形態において第2スイッチ52は、信号測定器38の入力端と補正基準伝送路36の出力端とを接続するか否かを切り替える。第3スイッチ53は、信号発生器32の出力端と、信号測定器38の入力端とを接続するか否かを切り替える。
【0017】
算出部42は、信号発生器32が生成した信号のレベルと、補正基準伝送路36がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、信号伝送路34における信号損失を算出する。ここで、信号伝送路34と補正基準伝送路36とが略等しい信号損失を有するので、算出部42は、下記式(1)に基づき、信号伝送路34における信号損失を算出してよい。
【0018】
信号伝送路34の信号損失={(信号発生器32が生成した信号のレベル)−(補正基準伝送路36がループバックした信号のレベル)}×(1/2) …(1)
【0019】
また、信号伝送路34および補正基準伝送路36の信号損失が等しくない場合であっても、信号伝送路34および補正基準伝送路36の合計の信号損失に対する信号伝送路34の信号損失の比率Rが予め既知であれば、算出部42は、式(1)における係数(1/2)を当該比率Rに置き換えた式により、信号伝送路34の信号損失を算出することができる。
【0020】
さらに、算出部42は、電子デバイス100に信号を供給する前に信号伝送路34における信号損失を予め算出し、信号損失に基づいて信号発生器32が生成する信号のレベルを制御してよい。例えば、算出部42は、信号伝送路34の出力端(すなわち、電子デバイス100の入力端)における信号が指定したレベルとなるように、算出した信号伝送路34による信号損失に応じて信号発生器32が出力する信号のレベルを決定する。また、算出部42は、信号発生器32に異なる周波数の信号を順次生成させ、信号伝送路34における信号損失を周波数毎に予め算出し、信号発生器32が生成する信号のレベルを周波数毎に制御してよい。
【0021】
また、算出部42は、電子デバイス100に信号を供給している状態において、信号伝送路34における信号損失を所定のタイミングで算出し、信号損失に基づいて信号発生器32が生成する信号のレベルを制御してもよい。例えば、算出部42は、電子デバイス100に信号を供給している状態において、信号伝送路34における信号損失を一定のタイミング毎に算出し、当該信号損失の変動量に基づいて信号伝送路34の出力端(すなわち、電子デバイス100の入力端)における信号が一定のレベルとなるように、信号発生器32が生成する信号のレベルを制御してもよい。
【0022】
このような構成の信号発生装置20によれば、信号伝送路34の信号損失が未知の場合であっても、信号伝送路34による信号損失に応じて、電子デバイス100に出力する信号を補正することができる。これにより、信号発生装置20によれば、指定したレベルの信号を電子デバイス100に対して精度良く供給することができる。
【0023】
さらに、信号発生装置20によれば、信号を供給する毎(例えば、試験毎)に、信号伝送路34の信号損失に応じて信号発生器32が生成する信号のレベルを制御することができるので、時間、温度または気圧等の変化による信号伝送路34の特性変化が生じても、電子デバイス100に対して指定したレベルの信号を供給することができる。また、信号発生装置20によれば、信号供給中において(例えば、試験中において)、信号伝送路34の信号損失の変動量に応じて信号発生器32が生成する信号のレベルを制御することができるので、信号供給中における信号伝送路34の特性変化が生じても、電子デバイス100に対して一定レベルの信号を供給することができる。
【0024】
図2は、電子デバイス100の試験前に行われる、信号発生装置20による信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。まず、電子デバイス100の試験前において、信号発生装置20は、離散的に設定された周波数毎に、ステップS12〜S14の処理を繰り返す(S11、S15)。算出部42は、信号発生器32が生成した信号のレベルを検出する(S12)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオフ、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオンに設定し、信号発生器32から設定周波数の所定レベルの信号を発生させ、信号測定器38に信号のレベルを測定させる。そして、算出部42は、信号測定器38により測定されたレベルを、信号発生器32が生成した信号のレベルとして取得する。
【0025】
次に、算出部42は、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルを検出する(S13)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフに設定し、信号発生器32から設定周波数の所定レベルの信号を発生させ、信号測定器38に信号のレベルを測定させる。そして、算出部42は、信号測定器38により測定されたレベルを、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルとして取得する。
【0026】
次に、算出部42は、ステップS12で検出したレベルおよびステップS13で検出したレベルに基づき、設定周波数における信号損失を算出する(S14)。信号発生装置20は、全周波数についてステップS11〜S14の処理を終えると(S15)、処理をステップS16に進める。
【0027】
次に、算出部42は、算出した設定周波数毎の信号損失に基づき、信号発生器32により発生される信号のレベルを補正する(S16)。この場合において、算出部42は、信号伝送路34の出力端(すなわち、電子デバイス100の入力端)における信号が指定したレベルとなるように、信号発生器32が出力する信号のレベルを補正してよい。
【0028】
次に、算出部42は、第1スイッチ部40を試験可能な状態に切り替える(S17)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオフとした状態に切り替える。そして、算出部42は、信号伝送路34による信号損失に応じて補正されたレベルの試験信号を信号発生器32から出力させて、電子デバイス100の試験を開始する(S18)。
【0029】
以上の処理により信号発生装置20によれば、試験毎に信号伝送路34の信号損失に応じて試験信号のレベルを最適に制御することができる。これにより、信号発生装置20によれば、時間、温度または気圧等の変化による信号伝送路34の特性変化が生じても、電子デバイス100に対して指定したレベルの試験信号を精度良く供給することができる。
【0030】
図3は、電子デバイス100の試験中において行われる、信号発生装置20による信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。まず、算出部42は、第1スイッチ部40を試験可能な状態に切り換える(S21)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオフとした状態に切り替える。
【0031】
次に、算出部42は、試験信号を信号発生器32から出力させて、電子デバイス100の試験を開始する(S22)。次に、算出部42は、試験を継続しながら、信号発生器32が生成した試験信号のレベルを検出する(S23)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオンに設定し、信号測定器38に試験信号のレベルを測定させ、信号測定器38により測定された試験信号のレベルを取得する。
【0032】
次に、算出部42は、試験を継続しながら、補正基準伝送路36によりループバックされた試験信号のレベルを検出する(S24)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフに設定し、信号測定器38にループバックされた試験信号のレベルを測定させ、信号測定器38により測定された試験信号のレベルを取得する。次に、算出部42は、ステップS23で検出したレベルおよびステップS24で検出したレベルに基づき信号伝送路34の信号損失を算出して、算出した信号伝送路34の信号損失を基準値として登録する(S25)。
【0033】
次に、電子デバイス100の試験中において、信号発生装置20は、一定タイミング毎にステップS27〜S30を繰り返す(S26、S31)。算出部42は、信号発生器32が生成した試験信号のレベルを検出する(S27)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオンに設定し、信号測定器38に試験信号のレベルを測定させ、信号測定器38により測定された試験信号のレベルを取得する。
【0034】
次に、算出部42は、補正基準伝送路36によりループバックされた試験信号のレベルを検出する(S28)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフに設定し、信号測定器38に試験信号のレベルを測定させ、信号測定器38により測定された試験信号のレベルを取得する。
【0035】
次に、算出部42は、ステップS27で検出したレベルおよびステップS28で検出したレベルに基づき、信号伝送路34の信号損失を算出する(S29)。次に、算出部42は、ステップS29で算出した信号伝送路34の信号損失とステップS25で登録した基準値とを比較して変動量を算出し、当該変動量に応じて信号発生器32により発生される試験信号のレベルを補正する(S30)。この場合において、算出部42は、算出した信号伝送路34の信号損失の値と登録した基準値との差に基づき、信号伝送路34の出力端(すなわち、電子デバイス100の入力端)における信号のレベルが、基準値算出時におけるレベルから変動なく一定となるように、信号発生器32が出力する試験信号のレベルを補正してよい。そして、算出部42は、試験が終了するとステップS27〜S30のループ処理を抜けて(S31)、処理を終了する。
【0036】
以上の処理により、信号発生装置20によれば、試験中において信号伝送路34の信号損失の変動量に応じて試験信号のレベルを最適に制御することができる。これにより、信号発生装置20によれば、試験中において信号伝送路34の特性変化が生じても、電子デバイス100に対して一定レベルの試験信号を精度良く供給することができる。
【0037】
なお、ステップS29において、算出部42は、ステップS23で検出したレベルおよびステップS28で検出レベルに基づき、信号伝送路34の信号損失を算出してよい。この場合、算出部42は、ステップS27でのレベルの検出処理を行わなくてよい。従って、この場合、試験装置10は、試験中において第1スイッチ部40の切り替えを繰り返さずに、電子デバイス100に対して一定レベルの試験信号を精度良く供給することができる。
【0038】
図4は、第1変形例に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。第1変形例に係る試験装置10は図1に示す試験装置10と略同一の構成及び機能を採るので、以下、相違点を除き説明を省略する。本変形例に係る信号発生装置20は、第2スイッチ部60を更に有する。第2スイッチ部60は、信号伝送路34が伝送した信号を、電子デバイス100に入力するか、又は補正基準伝送路36に入力するかを切り替える。第2スイッチ部60は、一例として、第4スイッチ61と、第5スイッチ62とを含んでよい。第4スイッチ61は、信号伝送路34が伝送した信号を補正基準伝送路36に入力するか否かを切り替える。第5スイッチ62は、信号伝送路34が伝送した信号を電子デバイス100に入力するか否かを切り替える。
【0039】
算出部42は、電子デバイス100の試験前において、信号伝送路34の伝送損失の補正処理を行う場合、第4スイッチ61をオン、第5スイッチ62をオフに設定してよい。これにより、信号発生装置20によれば、電子デバイス100が有するインピーダンスの影響を受けずに、信号伝送路34の伝送損失を算出することができる。
【0040】
また、算出部42は、電子デバイス100の試験中において、信号伝送路34の伝送損失の補正処理を行ってないことを条件として、第4スイッチ61をオフ、第5スイッチ62をオンに設定してよい。これにより、信号発生装置20によれば、補正基準伝送路36による反射等の影響を電子デバイス100に与えることなく、試験信号を供給することができる。また、算出部42は、電子デバイス100の試験中において、信号伝送路34の伝送損失の補正処理を行っている場合、第4スイッチ61をオン、第5スイッチ62をオンに設定してよい。これにより、信号発生装置20によれば、試験中において信号伝送路34の伝送損失の算出をすることができる。
【0041】
図5は、第2変形例に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。第2変形例に係る試験装置10は図1に示す試験装置10と略同一の構成及び機能を採るので、以下、相違点を除き説明を省略する。本変形例に係る信号発生装置20は、バッファ部70を更に有する。バッファ部70は、信号伝送路34および補正基準伝送路36の接続点と、電子デバイス100との間に設けられる。バッファ部70は、信号伝送路34および補正基準伝送路36側から電子デバイス100を見た場合のインピーダンスを非常に高くする。これにより、信号発生装置20によれば、電子デバイス100が有するインピーダンスの影響を受けずに、信号伝送路34の伝送損失を算出することができる。
【0042】
図6は、第2変形例に係る信号発生装置20による信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。まず、算出部42は、信号発生器32が生成した信号のレベルを検出する(S41)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオフ、第2スイッチ52をオフおよび第3スイッチ53をオンに設定し、信号発生器32から所定レベルの信号を発生させ、信号測定器38に信号のレベルを測定させる。そして、算出部42は、信号測定器38により測定されたレベルを、信号発生器32が生成した信号のレベルとして取得する。
【0043】
次に、算出部42は、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルを検出する(S42)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフに設定し、信号発生器32から所定レベルの信号を発生させ、信号測定器38に信号のレベルを測定させる。そして、算出部42は、信号測定器38により測定されたレベルを、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルとして取得する。
【0044】
次に、算出部42は、ステップS41で検出したレベルおよびステップS42で検出したレベルに基づき、信号損失を算出する(S43)。次に、算出部42は、算出した信号損失に基づき、信号発生器32により発生される信号のレベルを補正する(S44)。この場合において、算出部42は、信号伝送路34の出力端(すなわち、バッファ部70の入力端)における信号が指定したレベルとなるように、信号発生器32が出力する信号のレベルを補正してよい。
【0045】
次に、算出部42は、信号発生器32から補正された信号を発生して、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルを検出し、検出したレベルを登録する(S45)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフに設定し、信号発生器32から補正されたレベルの信号を発生させ、信号測定器38に信号のレベルを測定させる。そして、算出部42は、信号測定器38により測定されたレベルを内部に登録する。
【0046】
次に、算出部42は、第1スイッチ部40を試験可能な状態とするとともに、補正基準伝送路36によりループバックされた信号のレベルを検出できる状態に切り替える(S46)。本実施形態において算出部42は、第1スイッチ51をオン、第2スイッチ52をオンおよび第3スイッチ53をオフとした状態に切り替える。
【0047】
次に、算出部42は、信号伝送路34による信号損失に応じて補正されたレベルの試験信号を信号発生器32から出力させて、電子デバイス100の試験を開始する(S47)。そして、算出部42は、試験中において、補正基準伝送路36によりループバックされた信号レベルを検出して登録されたレベルと比較し、比較結果が変動した場合には、当該変動に応じて信号発生器32から発生される信号のレベルを補正する(S48)。
【0048】
以上の処理により第2変形例に係る信号発生装置20によれば、試験中において連続的に、信号伝送路34の信号損失に応じて試験信号のレベルを最適に制御することができる。これにより、信号発生装置20によれば、試験中において温度または気圧等の変化による信号伝送路34の特性変化が生じても、電子デバイス100に対して指定したレベルの試験信号を常時に精度良く供給することができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。
【図2】電子デバイス100に試験前に行われる、信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。
【図3】電子デバイス100の信号を供給している状態において行われる、信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。
【図4】第1変形例に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。
【図5】第2変形例に係る試験装置10の構成を電子デバイス100とともに示す。
【図6】第2変形例における信号伝送路34の伝送損失の補正処理の一例を示す。
【符号の説明】
【0051】
10 試験装置
20 信号発生装置
30 判定部
32 信号発生器
34 信号伝送路
36 補正基準伝送路
38 信号測定器
40 第1スイッチ部
42 算出部
51 第1スイッチ
52 第2スイッチ
53 第3スイッチ
60 第2スイッチ部
61 第4スイッチ
62 第5スイッチ
70 バッファ部
100 電子デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに信号を供給する信号発生装置であって、
信号を生成する信号発生器と、
前記信号発生器が生成した信号を前記電子デバイスに伝送する信号伝送路と、
前記信号伝送路と信号損失が略等しく、前記電子デバイスと前記信号発生器との間で前記信号伝送路と並列に設けられ、前記信号伝送路が伝送する信号をループバックする補正基準伝送路と、
与えられる信号のレベルを測定する信号測定器と、
前記信号測定器に、前記信号発生器が生成した信号、又は前記補正基準伝送路がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える第1スイッチ部と、
前記信号発生器が生成した信号のレベルと、前記補正基準伝送路がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、前記信号伝送路における信号損失を算出する算出部と
を備える信号発生装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ部は、
前記信号伝送路を、前記信号発生器及び前記信号測定器に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記補正基準伝送路を、前記信号発生器及び前記信号測定器に接続するか否かを切り替える第2スイッチと
を有する請求項1に記載の信号発生装置。
【請求項3】
前記第1スイッチ部は、前記信号発生器の出力端と、前記信号測定器の入力端とを接続するか否かを切り替える第3スイッチを更に有する
請求項2に記載の信号発生装置。
【請求項4】
前記信号伝送路が伝送した信号を、前記電子デバイスに入力するか、又は前記補正基準伝送路に入力するかを切り替える第2スイッチ部を更に備える
請求項3に記載の信号発生装置。
【請求項5】
前記第2スイッチ部は、
前記信号伝送路が伝送した信号を前記補正基準伝送路に入力するか否かを切り替える第4スイッチと、
前記信号伝送路が伝送した信号を前記電子デバイスに入力するか否かを切り替える第5スイッチと
を有する請求項4に記載の信号発生装置。
【請求項6】
前記算出部は、前記電子デバイスに信号を供給する前に、前記信号伝送路における前記信号損失を予め算出し、前記信号損失に基づいて前記信号発生器が生成する信号のレベルを制御する
請求項1に記載の信号発生装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記電子デバイスに信号を供給する前に、前記信号発生器に異なる周波数の信号を順次生成させ、前記信号伝送路における前記信号損失を周波数毎に予め算出する
請求項6に記載の信号発生装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記電子デバイスに信号を供給している状態において、前記信号伝送路における前記信号損失を所定のタイミングで算出し、前記信号損失に基づいて前記信号発生器が生成する信号のレベルを制御する
請求項1に記載の信号発生装置。
【請求項9】
電子デバイスを試験する試験装置であって、
前記電子デバイスに信号を供給する信号発生装置と、
前記電子デバイスの出力信号に基づいて前記電子デバイスの良否を判定する判定部と
を備え、
前記信号発生装置は、
信号を生成する信号発生器と、
前記信号発生器が生成した信号を前記電子デバイスに伝送する信号伝送路と、
前記信号伝送路と信号損失が略等しく、前記電子デバイスと前記信号発生器との間で前記信号伝送路と並列に設けられ、前記信号伝送路が伝送する信号をループバックする補正基準伝送路と、
与えられる信号のレベルを測定する信号測定器と、
前記信号測定器に、前記信号発生器が生成した信号、又は前記補正基準伝送路がループバックした信号のいずれを入力するかを切り替える第1スイッチ部と、
前記信号発生器が生成した信号のレベルと、前記補正基準伝送路がループバックした信号のレベルとの差分に基づいて、前記信号伝送路における信号損失を算出する算出部と
を有する試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−309705(P2007−309705A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137057(P2006−137057)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】