光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法
【課題】光を伝播する光導波路に光デバイスを一体化して光を導出する。
【解決手段】光を導く光導波路(6)の軸線方向と交差方向に前記光導波路(6)から光を導出させる光導出部(8)を備え、該光導出部(8)が、前記光導波路(6)を覆うクラッド部(10)に形成された単一又は複数の導波孔(12)と、前記導波孔(12)に設置され、前記光導波路(6)から光を導く光導波部材(14)とを備える。光導波部材は、光透過性樹脂(44)又は光ファイバで構成される。
【解決手段】光を導く光導波路(6)の軸線方向と交差方向に前記光導波路(6)から光を導出させる光導出部(8)を備え、該光導出部(8)が、前記光導波路(6)を覆うクラッド部(10)に形成された単一又は複数の導波孔(12)と、前記導波孔(12)に設置され、前記光導波路(6)から光を導く光導波部材(14)とを備える。光導波部材は、光透過性樹脂(44)又は光ファイバで構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波配線等の光導波路から光を導出する光デバイスに関し、例えば、光機能デバイスが接続される光導波路と一体に形成されて光のモニタが可能な光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法及びに関する。
【背景技術】
【0002】
光を伝播させる光導波路には複数の光機能デバイスが接続される。多数の光機能デバイスが接続されたり、光の分波や分岐では光減衰を生じるので、光導波路における光強度を監視することが必要である。また、光強度を高く設定した場合にも、光機能デバイスを防護するため、その光強度を監視する必要がある。
【0003】
斯かる光デバイスに関し、ファイバを処理して屈折率を変化させてデバイス機能を付与することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52053公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光導波路を伝搬する光をモニタする場合、光を分岐する構成が大きくなれば、その設置位置や収容空間に制約を来すことになる。
【0006】
そこで、本開示の光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法の目的は、上記課題に鑑み、光を伝播する光導波路に光デバイスを一体化して光を導出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の光デバイスは、光導波路を覆うクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成し、この導波孔に光導波部材を備えて光導波路に伝播する光を取り出す構成を含んでいる。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の光モニタシステムは、光機能デバイスに接続された光導波路に設置されて光を取り出す光デバイスを備える。前記光デバイスは、既述の構成を含んでいる。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の光デバイスの製造方法は、光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程、前記導波孔に光導波部材を設置する工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の光デバイス、光モニタシステム及びその製造方法によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 光導波路にインライン化でき、光導波路に伝播する光を光導波路から導出し、モニタすることができる。
【0012】
(2) 光のモニタ構造の簡略化とともに、小型化を図ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0013】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図4】光導出部の一例を示す断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】他の光導出部の一例を示す断面図である。
【図7】光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図8】光の伝播及び漏れ光の生成を示す図である。
【図9】単一の光導出部の機能を示す図である。
【図10】単一の光導出部の機能を示す図である。
【図11】複数の光導出部の機能を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図13】複数の光導出部を備える光デバイスの光導出を示す図である。
【図14】第4の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図15】フィルタ特性の一例を示す図である。
【図16】第5の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図17】第6の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図18】光デバイスの断面構造の一例を示す図である。
【図19】他の光デバイスの断面構造の一例を示す図である。
【図20】第7の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図21】FGBを備えた光デバイスの機能を示す図である。
【図22】第8の実施の形態に係る光デバイスの光導出部の屈折率変化特性を示す図である。
【図23】第9の実施の形態に係る光デバイスの光導出角度の一例を示す図である。
【図24】第10の実施の形態に係る光デバイス一例を示す図である。
【図25】第11の実施の形態に係る光モニタシステムの一例を示す図である。
【図26】第12の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図27】光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図28】ダイシング加工の一例を示す図である。
【図29】ダイシング加工の他の例を示す図である。
【図30】第13の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図31】第14の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図32】エッチング処理及び樹脂充填工程の一例を示す図である。
【図33】光モニタシステムの比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
【0016】
第1の実施の形態は、光導波路の軸線方向と交差方向に光導出部を備え、該光導出部が、クラッド部に形成された導波孔と、光導波路から光を導く光導波部材とを備える光デバイス及びその製造方法である。
【0017】
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は第1の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。
【0018】
この光デバイス2は、本開示の光デバイス及びその製造方法の一例であって、光ファイバ4の光導波路6の軸線方向に伝播する光のモニタ構造をインラインで構成し、光導波路6から光を導出させる光導出部8を備える。光導波路6は、光を導く手段の一例であって、光ファイバ4のコア部分である。光導出部8は、光導波路6を覆うクラッド部10に形成された導波孔12に光導波部材14を備える。
【0019】
クラッド部10は、光導波路6を覆う部材の一例であって、光導波路6と同一部材で構成されてもよいし、別部材で構成されてもよい。同一部材であれば、伝播させる光を光導波路6に効率よく閉じ込めて伝搬させるため、クラッド部10は光導波路6より低い屈折率であればよい。
【0020】
導波孔12は、光導波部材14を設置するための手段の一例である。この導波孔12には光導波部材14が設置され、この光導波部材14は、光導波路6に伝搬する光の一部を導波孔12からクラッド部10の外部に導く手段である。
【0021】
斯かる構成によれば、光導波路6を伝搬する光をLとすれば、導波孔12に到達した光Lの一部の光Lmが光導波部材14に漏れて伝搬し、クラッド部10から外部に引き出される。即ち、光Lから光導出部8には漏れ光Lmとして取り出され、この光Lmを検出すれば、光Lをモニタすることができる。
【0022】
次に、この光デバイス2の製造について、図2を参照する。図2は光デバイスの製造工程の一例を示している。
【0023】
この光デバイス2の製造には、図2のAに示すように、光ファイバ4が用いられる。この光ファイバ4は、光導波路6と、その周囲部にクラッド部10とを備える。
【0024】
この光ファイバ4には、図2のBに示すように、クラッド部10の一部に導波孔12を形成する。この導波孔12の加工方法は、ダイシング加工、レーザ加工又はエッチング加工の何れでもよいし、また、他の方法であってもよい。導波孔12は、溝で構成してもよい。その深さは、光導波路6から漏れ光を生じる深さとすればよい。
【0025】
そして、導波孔12には、図2のCに示すように、光導波部材14を設置する。この光導波部材14は、導波孔12に光を透過させる樹脂の充填又は光導波部材の挿入の何れでもよい。この光導波部材14を導波孔12に設置すれば、光導出部8が形成される。
【0026】
このように、上記工程を経て光デバイス2を製造でき、光配線を構成する光ファイバ4にインライン化した光デバイス2が得られる。
【0027】
〔第2の実施の形態〕
【0028】
第2の実施の形態は、光ファイバ4にホーリーファイバを使用し、光導出部8に光検出素子(PD:Photo Detector)を備えた光デバイス及びその製造方法である。
【0029】
この第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0030】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、図3に示すように、ホーリーファイバ16と、光導出部8と、モニタPD(Photo Detector)18と、筐体部20とを備えている。
【0031】
ホーリーファイバ16は、既述の光ファイバ4の一例であって、連続した光配線又は光機能デバイスの前段又は後段側に設置される光導波手段である。光導出部8は、ホーリーファイバ16に形成され、ホーリーファイバ16に伝播する光を導出する手段の一例である。モニタPD18は光導出部8に導かれた光を検出する光検出手段の一例であって、検出した光を電気信号に変換する。
【0032】
筐体部20は、光導出部8やモニタPD18を包囲して防護する防護手段であるとともに、モニタPD18を光検出位置に維持する手段の一例である。この筐体部20の内壁部例えば、天井部22と光導出部8の光導出面24との間には空間部26が設けられ、この空間部26には天井部22に固定されたモニタPD18が内蔵されている。このモニタPD18の受光部28と、光導出部8の光導出面24とを対向させ、光導出部8からの漏れ光LmをモニタPD18の受光部28に受光させている。従って、光LmはモニタPD18により電気信号に変換される。筐体部20の外面部にはモニタ出力を取り出す外部端子30が設置され、この外部端子30にはモニタPD18の出力信号が光のモニタ出力として取り出される。
【0033】
次に、ホーリーファイバ16及び光導出部8について、図4及び図5を参照する。図4は光導出部分の軸線方向の断面を示し、図5は図4のV−V線断面を示している。
【0034】
ホーリーファイバ16は、既述の光ファイバ4(図1)の一例であって、石英系のコア32とクラッド部10とからなり、このクラッド部10には、軸線方向に伸びる複数の空孔34が形成されている。この空孔34を備えるホーリーファイバ16は、空孔アシストファイバと呼ばれる。このホーリーファイバ16では例えば、コア32は高屈折ガラス、クラッド部10は空孔34が形成されたガラスで、空孔34の存在、屈折率差による全反射による光閉じ込めが得られ、コア32で光導波が行われる。即ち、ホーリーファイバ16は例えば、ガラス組成の違いによる比屈折率差を持たせた光ファイバであって、空孔34によってクラッド部10の実効屈折率を下げることにより、比屈折率差を大きくした構造である。即ち、コア32が既述の光導波路6を構成している。
【0035】
このホーリーファイバ16には例えば、コア32が直径10〔ミクロン〕、クラッド部10が直径125〔ミクロン〕程度で形成され、このクラッド部10の部分には直径8〔ミクロン〕から13〔ミクロン〕程度の空孔34が例えば、15〔ミクロン〕ピッチで形成されている。
【0036】
そして、このホーリーファイバ16にはクラッド部10の側面部からコア32と交差方向に導波孔12が形成されている。この導波孔12は、開口部又は溝部であり、この実施の形態では、コア32の軸線方向と直角方向に形成され、コア32の周囲部のクラッド部10に存在する空孔34に到達させている。導波孔12には光導波部材14として例えば、光透過性樹脂44(図7)が充填されている。この光導波部材14は導波孔12から空孔34に延長され、コア32からの漏れ光を導く光路である光導出部8を構成している。
【0037】
この場合、ホーリーファイバ16にはコア32を中心とした周囲部に複数の空孔として6個の空孔34を配置した構成であるが、図6に示すように、6個の空孔34の外側にも複数の空孔を設置した構成としてもよい。そして、導波孔12でコア32の中心方向にある複数の例えば、2つの空孔34間を連結し、光導出部8を構成してもよい。
【0038】
次に、この光デバイス2の製造について、図7を参照する。図7は光デバイスの製造工程の一例を示している。
【0039】
(1) 穿孔工程
【0040】
ホーリーファイバ16に導波孔12を形成する。この導波孔12は樹脂充填孔であって、この穿孔工程では、ホーリーファイバ16に導波孔12を形成し、クラッド部10の空孔34を露出させる。
【0041】
例えば、図7のAに示すように、ホーリーファイバ16の側面部にレーザ出射部40を設置して導波孔12の形成位置にレーザ光42を照射し、導波孔12を形成する。この導波孔12はホーリーファイバ16のコア32の中心に向けて形成し、空孔34に到達する深さとする。導波孔12には、図7のBに示すように、導波孔12から空孔34を露出させる。導波孔12の形成には、機械加工であるダイシング加工、COレーザ照射、エキシマレーザ照射等によるレーザ加工、ガラス・エッチング加工を用いてもよい。
【0042】
(2) 樹脂充填工程
【0043】
このようにレーザ加工により形成された導波孔12には、図7のCに示すように、液状の光透過性樹脂44を充填する。この樹脂充填には、ディスペンサシリンジ46を導波孔12に位置決めし、導波孔12を埋め尽くす量の光透過性樹脂44を導波孔12に滴下し、充填する。滴下された光透過性樹脂44は毛細管現象にて導波孔12及びその底部側の空孔34の部分に注入される。
【0044】
この光透過性樹脂44は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂の何れでもよい。また、この樹脂充填には、ディスペンサシリンジ46以外の充填手段を用いてもよい。光透過性樹脂44には例えば、ガラス転移温度Tgが0〔℃〕以下の柔軟な樹脂を使用すれば、光透過性樹脂44の充填部がコア32との比屈折率差が小さくなるので、光透過性樹脂44を通って、漏れ光Lmをホーリーファイバ16の側面に導くことができる。
【0045】
(3) 樹脂硬化工程
【0046】
光透過性樹脂44に紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図7のDに示すように、導波孔12に充填された光透過性樹脂44に対して紫外線(UV)光48を照射し、光透過性樹脂44を硬化させる。このUV光48の照射には、ホーリーファイバ16の周面側の離間位置にUV出射部50を位置決めし、UV出射部50から光透過性樹脂44に向けてUV光48を出射させる。この場合、光透過性樹脂44が熱硬化性樹脂であれば、樹脂充填後、加熱により熱硬化させればよい。
【0047】
(4) 組立て及び外装工程
【0048】
光導出部8が形成されたホーリーファイバ16には、図3に示すように、既述の筐体部20を設置し、光導出部8に対してモニタPD18を配置すれば、既述の光デバイス2(図3)が得られる。
【0049】
次に、光デバイス2の光モニタ機能について、図8を参照する。図8のAにおいて、ホーリーファイバ16のコア32は既述の光導波路6であって、光Lが伝播する。光Lは空孔34側で全反射し、クラッド部10への流出が阻止される。
【0050】
このように伝播する光Lは図8のBに示すように、光導出部8に到達すると、その一部の光Lmが導波孔12にある光導波部材14に入り、ホーリーファイバ16の外部に導かれる。即ち、光導出部8の光モニタ機能が得られている。
【0051】
この光モニタ機能を詳述すると、光導出部8にある光透過性樹脂44は、導波孔12から空孔34に流れ込んで硬化し、空孔34を塞ぐとともに、その周辺部位の光屈折率を変化させている。即ち、空孔34の空気に対し、光透過性樹脂44の光屈折率が異なっている。この光屈折率が異なることにより、コア32の周囲の全反射による光の閉じ込め効果が薄れ(光閉じ込め効果の低下)、光透過性樹脂44で構成される光導波部材14から導波孔12側への漏れ光Lmが生じる。このように、伝播する光Lから光Lmを分岐させる分岐構造が構成され、光導出部8に光Lのモニタ機能が得られる。
【0052】
なお、光導出部8は、図9に示すように、角度θで傾斜させた構成であってもよい。この角度θは例えば、光導出部8をコア32の軸線方向に対する角度90〔度〕より小さく(θ<90)設定されている。
【0053】
また、光導出部8は、図10のA、Bに示すように、単一で構成してもよく、複数であってもよい。その場合、図11のAに示すように、空孔34毎にホーリーファイバ16の直径方向に複数の光導出部8を形成してもよいし、図11のBに示すように、ホーリーファイバ16の軸線方向に複数の光導出部8を形成してもよい。このように、導波孔12の孔数を増加させれば、複数の光導出部8の設置数により、モニタ光量を増加させることができ、また、光の分岐比を増加させることができる。
【0054】
この実施の形態について、効果を列挙すれば次の通りである。
【0055】
(1) ファイバ配線の途中に、光デバイス2を設置でき、この光デバイス2は、光モニタ・デバイスをインライン型で構成できる。換言すれば、分岐用のスプライスやファイバの余長処理スペースが不要であり、モニタ・デバイスを小さくでき、機能デバイスのユニットやモジュールを小型化できる。
【0056】
(2) ファイバの途中に、導波孔12として例えば、溝や孔を形成して、光モニタ機能を持つ光デバイス2を構成できるので、光デバイス2は、光配線上の任意の位置に構成でき、モニタ設置等の光配線や光デバイスの設計の自由度が高められる。
【0057】
(3) 光デバイス2を備える例えば、インライン型光モニタ付ホーリーファイバは、SMファイバとスプライス接続して使用すればよい。
【0058】
(4) 光導出部8の外側にモニタ用受光素子(モニタPD18)を設置し、この受光面で漏れ光Lmを検出すれば、分岐された光Lmを電気信号に変換することができる。これにより、ホーリーファイバ16に伝播する光Lを光Lmでモニタリングすることができる。
【0059】
(5) 導出光の数や光量を導波孔12の数により増加させることができ、導出光の光量や分岐比を増加することができる。
【0060】
(6) 上記実施の形態では、石英系のコア32とクラッド部10とから成り、クラッド部10には軸線方向に伸びる複数の空孔34を有するホーリーファイバ16等の光ファイバを用いる。コア32の周囲にあるクラッド部10に存在する空孔34に通じる導波孔12を形成する。導波孔12には光透過性樹脂44が充填され、コア32の周辺の屈折率分布を変化させ、その光導波状態を変化させることにより、コア32から光導出部8を通じて漏れる光Lmをモニタ光として検出することができる光モニタ構造が構成されている。
【0061】
〔第3の実施の形態〕
【0062】
第3の実施の形態は光導出部及び光検出数を複数化した構成である。
【0063】
この第3の実施の形態について、図12を参照する。図12は第3の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。図12において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0064】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、既述の光デバイス2(図3)では、単一の光導出部8であるのに対し、図12に示すように、複数の光導出部として光導出部801、802、803、804、805、806が設置されている。各光導出部801〜806の各光導波部材14を構成する光透過性樹脂44は、空孔34内で連結されているとともに、一部の空孔34を閉塞している。
【0065】
光導出部801〜806には各漏れ光Lmを個別に検出する光検出手段として6組のモニタPD18を備え、モニタPDアレイ52を構成している。この実施の形態では、モニタPDアレイ52を設置しているが、個別のモニタPD18のみで構成してもよい。
【0066】
斯かる構成では、図13に示すように、光導波路6からの漏れ光Lmが各光導出部801〜806から取り出されるとともに、モニタPDアレイ52で検出され、各光導出部801〜806で得た漏れ光Lmを電気信号に変換し、外部端子30から取り出すことができる。
【0067】
この光デバイス2では、複数の導波孔12を形成して多数の漏れ光Lmを導くことができるとともに、複数チャンネルのモニタPD18又はモニタPDアレイ52により受光し、光の強度をモニタできる。漏れ光の強度を導波孔12の穿孔数により調整でき、分岐比の調整をすることができる。
【0068】
また、この実施の形態においても、既述の光ファイバ(ホーリーファイバ16)を用い、側面から空孔34に到達する複数個の導波孔12の形成、既述の光透過性樹脂44の充填及び硬化等の工程を用いた製造方法は既述の通りであるので、その説明を省略する。
【0069】
〔第4の実施の形態〕
【0070】
第4の実施の形態は、光導出部に導出された光をフィルタを通して取り出す構成である。
【0071】
この第4の実施の形態について、図14及び図15を参照する。図14は第4の実施の形態に係る光デバイスの一例を示し、図15はフィルタ特性を示している。図14において、図3又は図12と同一部分には同一符号を付してある。
【0072】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、既述のホーリーファイバ16に複数の光導出部801、802・・・806等、多数の光導出部8を設置すれば、複数のモニタ光を得ることができることは既述の通りである。そこで、各光導出部801、802・・・806の光導出面24、即ち、導波孔12の開孔部分にフィルタとして例えば、波長選択フィルタ541、542、543、544、545、546を設置して波長選択をしてもよい。
【0073】
斯かる構成とすれば、波長選択フィルタ541〜546で選択された光波長をモニタPD18により受光し、各波長毎に光強度をモニタすることができる。
【0074】
波長選択フィルタ541〜546には、光強度を検出すべき波長に応じて例えば、図15のAに示すように、低域通過特性を持つローパス・フィルタ、図15のBに示すように、高域通過特性を持つハイパス・フィルタ、又は図15のCに示すように、帯域通過特性を持つバンドパス・フィルタを用いればよい。例えば、光通信に用いられる1.3〔ミクロン〕帯、1.55〔ミクロン〕帯、0.85〔ミクロン〕帯を選択通過できるフィルタを使用すれば、所望の波長における光強度を検出し、モニタすることができる。
【0075】
その他の構成や製造方法は、既述の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
〔第5の実施の形態〕
【0077】
第5の実施の形態は、光ファイバに同軸状のフェルールを備えた光デバイスの構成である。
【0078】
この第5の実施の形態について、図16を参照する。図16は第5の実施の形態に係る光デバイスの光導出部の一例を示している。図16において、図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0079】
この光デバイス2の光導出部8は、本開示の光デバイスの一例であって、図16に示すように、ホーリーファイバ16の周囲部に同軸状のフェルール56を備えている。このフェルール56はホーリーファイバ16の結合手段の一例である。上記実施の形態では、光ファイバ4やホーリーファイバ16に導波孔としての導波孔12を形成したが、ホーリーファイバ16と同軸状に備えたフェルール56の外部からホーリーファイバ16に導波孔12を形成し、この導波孔12に光導波部材14を形成し、光導出部8を構成してもよい。この場合、導波孔12は既述の通り、空孔34に到達するまでの深さに形成すればよい。そして、光導波部材14を光透過性樹脂44の充填及び硬化させればよい。また、光導出部8は単一又は複数個で構成してもよい。
【0080】
〔第6の実施の形態〕
【0081】
第6の実施の形態は、光デバイスの外装ケースの構成及び外装ケースの内部構成を開示する。
【0082】
この第6の実施の形態について、図17、図18及び図19を参照する。図17は第6の実施の形態に係る光デバイスの外装ケースの一例を示し、図18及び図19は外装ケースの内部構成の一例を示している。
【0083】
光デバイス2は図17に示すように、外装ケース58に内蔵され、軸方向の端面部は封止樹脂60によって封止されている。外装ケース58は既述の光導出部8、モニタPD18及び筐体部20を覆う外装手段の一例である。封止樹脂60は、外装ケース58の端面を封止するとともに外装ケース58の一部を構成し、外装ケース58の内部を防護している。この実施の形態では、角筒状の外装ケース58を用いているが、ホーリーファイバ16と同軸状の円筒体であってもよい。筐体や、丸い同軸型の筐体が可能である。そして、外装ケース58の側部には既述の外部端子30が設置され、モニタPD18が取り出される。
【0084】
また、光デバイス2には、図18に示すように、外装ケース58の内部に筐体部20が設置され、この筐体部20はホーリーファイバ16を位置決めするためのマウント部62を備えている。マウント部62はホーリーファイバ16を保持する手段の一例であって、ホーリーファイバ16を位置決めする断面V字形の位置決め部64が形成されている。この実施の形態では、ホーリーファイバ16にはフェルール56が取り付けられ、ホーリーファイバ16と同軸状のフェルール56が位置決め部64に位置決めされ、接着剤等の固定部材68によりマウント部62に強固に固定されている。
【0085】
ホーリーファイバ16及びフェルール56に形成された光導出部8は、外装ケース58の天井面側に向けられている。筐体部20のマウント部66にモニタPD18が設置され、このモニタPD18の受光部28は光導出部8の光導出面24に対向している。この実施の形態では、外装ケース58の各側面部のそれぞれに外部端子30が設置され、光モニタ出力が得られる。
【0086】
斯かる構成では、外装ケース58の内部に筐体部20が設置されるとともに、モニタPD18及びホーリーファイバ16が強固に固定されている。光導出部8の光導出面24に、モニタPD18の受光部28が高精度に位置決めされているので、光導波部材14に伝播する漏れ光を精度よく取り出し、モニタPD18でモニタすることができる。
【0087】
また、ホーリーファイバ16及びフェルール56に複数の光導出部8が設置された光デバイス2では、図19に示すように、ホーリーファイバ16がフェルール56とともにマウント部62に位置決めされて固定部材68で固定することができる。
【0088】
このようなホーリーファイバ16の周面方向に複数の光導出部8が一定の角度で放射状に配置され、個別に光を検出する光検出手段として複数のモニタPD18が設置されている。この場合、外装ケース58に固定されたマウント部66には、モニタPD18の受光部28に光導出部8の光導出面24を平行に配置するためのマウント面70A、70B、70Cが各光導出部8の角度に対応して形成されている。各マウント面70A、70B、70CにマウントされたモニタPD18の受光部28は、光導出部8の光導出面24と平行に配置されている。従って、光導出面24に導かれた光を各モニタPD18で効率よく受光し、電気信号に変換することができる。この電気信号は外部端子30から取り出すことができる。
【0089】
〔第7の実施の形態〕
【0090】
第7の実施の形態は、光ファイバのコアに回折格子を形成した光フィルタの機能を持つファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating )を用いて光デバイス2を構成している。
【0091】
この第7の実施の形態について、図20及び図21を参照する。図20は第7の実施の形態に係る光デバイスの一例を示し、図21は光デバイスに用いる光ファイバの一例を示している。
【0092】
この光デバイス2では、コア32に複数の光ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)部721、722、723、724を備える光ファイバ74が用いられ、各FBG部721、722、723、724の形成部分を覆うクラッド部10に複数の光導出部801、802、803、804が形成されている。この実施の形態では、FBG部721の前部に光導出部801、FBG部721とFBG部722との間に光導出部802、FBG部722とFBG部723との間に光導出部803、FBG部723とFBG部724との間に光導出部804が設置されている。各光導出部801、802、803、804はコア32の軸線方向に配列され、それぞれ導波孔12に光導波部材14を設置したものである。
【0093】
各FBG部721〜724の部分では、コア32の周囲にある導波孔12に光導波部材14が設置され、即ち、光透過性樹脂44の充填により、コア32周辺の屈折率分布を変化させ、光導波状態を変化させている。この結果、各FBG721、722、723、724の各部分で波長が選択された光がコア32から光導波部材14側に漏れ、光導出部801〜804から導出され、モニタ光としてモニタPD18に個別に検出される。
【0094】
コア32にFBG部72を備えた構成では、図21のAに示すように、FBG部72は干渉縞を形成した部分であり、この干渉縞が屈折率を変化させる。そこで、この光ファイバ74に光L1 を伝播させると、FBG部72で選択された波長λaの光が折り返され、波長λa以外の波長の光Lm、光L2 を通過させることができる。このため、波長λa以外の波長の光Lmを通過させる部分に光導出部8を形成すれば、波長λa以外の光Lmを取り出し、その光をモニタすることができる。
【0095】
例えば、FBG部721、722を備えた構成では、図21のBに示すように、コア32にFBG部721と、FBG部722とを形成し、FBG部721とFBG部722との間に光導出部801、FBG部722の下流側に光導出部802を形成する。この場合、波長λa及びλbを含む光L1 を光ファイバ74に伝播させると、FBG部721では波長λaの光がFBG部721で折り返され、FBG部721を通過した波長λbの光がFBG部722で折り返される。この結果、FBG部722の下流側には波長λa及びλb以外の光Lm2 、光L2 が得られる。このため、光導出部801には波長λa以外の波長の光Lm1 が取り出され、光導出部802には波長λa、λb以外の波長の光Lm2 が取り出され、モニタされる。
【0096】
このような構成とすれば、特定の波長を段階的に除去して検出し、モニタすることができ、特定波長を含まない光強度を検出することができる。
【0097】
〔第8の実施の形態〕
【0098】
第8の実施の形態は、光デバイスの光導出部の屈折率を光導波部材によって調整した構成である。
【0099】
この第8の実施の形態について、図22を参照する。図22は屈折率変化特性を示している。
【0100】
図22のAは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて急激に変化する屈折率特性を示している(SMF:Single Mode optical Fiber )。
【0101】
図22のBは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて直線的に変化する屈折率特性を示している(MMF:Multi Mode Optical Fiber)。
【0102】
また、図22のCでは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて急激に変化する屈折率特性に、矢印a、bに示すように、光導波部材14に用いる光透過性樹脂44の屈折率を調整又は選択する。
【0103】
例えば、光透過性樹脂44の充填工程(図7のC)において、コア32又はその相当部分と、導波孔12に充填する光透過性樹脂44の屈折率が全反射条件を満たす屈折率比より小さい屈折率比を取る範囲で光透過性樹脂44の持つ屈折率を選択し、漏れ光の増減を調整する。この場合、屈折率の大小関係は例えば、
コア32又はその相当部分の屈折率>光透過性樹脂44の屈折率>クラッド部10の屈折率
の関係を成立させればよい。
【0104】
このように、導波孔12に充填する光透過性樹脂44の屈折率の調整をすれば、光導出部8(図3、図5)からの漏れ光量を増減させ、その光量を調整できる。例えば、コア32の屈折率に近い屈折率を持つ光透過性樹脂44を使用すれば、漏れ光を増加させることができ、逆にクラッド部10の屈折率に近い屈折率を持つ光透過性樹脂44を使用すれば、漏れ光を減少させることができる。
【0105】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44の屈折率、即ち、光導波部材14の屈折率調整によって、モニタ光量を増減でき、所望の光量に調整できる。
【0106】
〔第9の実施の形態〕
【0107】
第9の実施の形態は、光導出部の角度調整によってモニタ光量を加減調整する構成である。
【0108】
この第9の実施の形態について、図23を参照する。図23は角度の異なる複数の光導出部を示している。
【0109】
この実施の形態の光デバイス2では、図23に示すように、複数の光導出部831、832、833を備え、光導出部831、832、833にはコア32の軸線方向に対して異なる傾斜角度θ1 、θ2 、θ3 (θ1 <θ2 <θ3 )が設定されている。
【0110】
この場合、傾斜角度θ、全反射角及び屈折率には、次の関係が成立する。即ち、
(1) θ=arcsin(コア相当部分屈折率/樹脂屈折率)<全反射角
(2) コア相当部分屈折率>樹脂屈折率>クラッド部屈折率
である。但し、θ=θ1 、θ=θ2 、θ=θ3 である。
【0111】
傾斜角度θは、使用する光透過性樹脂44の屈折率とコア相当部分の屈折率から求められる。そこで、全反射角以下の範囲で光導出部831、832、833の角度θ、即ち、導波孔12を形成する角度θを調整すれば、光導出部831、832、833に導かれる漏れ光のモードを変化させ、モニタ光量を調整することができる。
【0112】
この実施の形態では、1つの光デバイス2に異なる角度θ1 、θ2 、θ3 を設定した複数の光導出部831、832、833を備えているが、各光デバイス2毎に異なる傾斜角度を光導出部8に設定し、光デバイス2毎にモニタ光量を調整してもよい。
【0113】
〔第10の実施の形態〕
【0114】
第10の実施の形態は、光導波路にフォトニックバンドギャップファイバ(PBF:Photonic Band Gap Filter)又はフォトニック結晶ファイバ(PCF:Photonic Crystal Filter )を用いた光デバイスである。既述のように、空孔が存在する光ファイバはホーリーファイバ、空孔アシストファイバと称される。これ以外にも中心に中空な空孔を持ち、中心を含む中央部に軸線方向に伸びる多数の孔を規則的に有するPBFや、中心を除く中央部に軸線方向に伸びる多数の孔を規則的に有するファイバとしてPCF等がある。このようなPBFやPCFを用いても同様に光モニタ構造を実現できる。
【0115】
この第10の実施の形態について、図24を参照する。図24は光デバイスの光導出部の断面を示している。
【0116】
この実施の形態の光デバイス2では、図24のAに示すように、光ファイバ4にPBF76が使用されている。このPBF76は、フォトニックバンドギャップ(PBG:Photonic Band Gap )構造により、光を閉じ込めて制御するファイバである。このPBF76には、中心に孔78が形成されるとともに、空孔34が形成されている。この実施の形態では、最外郭の空孔34に到達させた光導出部8が形成され、PBF76に伝播する光が光導出部8に導出され、既述の構成によりモニタされる。その他の構成は、上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0117】
また、光デバイス2の他の構成例として、図24のBに示すように、光ファイバ4にPCF80が使用されている。このPCF80は、フォトニック結晶の概念を光ファイバに適用したものであって、石英中に空孔の配列構造を備えたファイバである。このPCF80にはPBF76のように中心に孔78は存在しないが、同様に、複数の空孔34が形成され、この実施の形態では、中心方向に複数の空孔34を連結させた光導出部8が形成されている。PCF80に伝播する光が光導出部8に導出され、既述の構成によりモニタされる。その他の構成は、上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0118】
〔第11の実施の形態〕
【0119】
第11の実施の形態は、既述の光デバイスを備えた光モニタシステムである。
【0120】
この第11の実施の形態について、図25を参照する。図25は第11の実施の形態に係る光モニタシステムの一例を示している。
【0121】
この光モニタシステム82は、図25のAに示すように、機能デバイス84を備える光配線を構成する光ファイバ4に構成され、機能デバイス84の前側にモニタデバイスとして既述の光デバイス2が設置されている。光デバイス2の構成は上記実施の形態に記載した通りであり、何れの構成を用いてもよい。光デバイス2は、機能デバイス84に光を伝播する光ファイバ4にインラインにより設置されている。
【0122】
斯かる構成では、機能デバイス84に入る光をその前段側で光デバイス2でモニタし、機能デバイス84に入る光強度を検出することができる。
【0123】
また、光デバイス2は、機能デバイス84に光を伝播する光ファイバ4にインライン化されているので、光のモニタ構造の簡略化とともに、小型化を図ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0124】
機能デバイス84に入射する光をモニタする場合には、機能デバイス84の前側に光デバイス2を設置するが、図25のBに示すように、機能デバイス84の後側に光デバイス2を設置してもよい。斯かる構成では、機能デバイス84を通過し又は増幅された光をモニタし、その光強度を検出することができる。
【0125】
〔第12の実施の形態〕
【0126】
第12の実施の形態は、ダイシング加工により光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0127】
この第12の実施の形態について、図26を参照する。図26は第12の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0128】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0129】
上記実施の形態では、円孔状の導波孔12を例示したが、この導波孔12は溝状であってもよい。溝状の導波孔12を形成する場合には、図26のA、Bに示すように、ホーリーファイバ16に同軸状に設置されたフェルール56の外側から光導出部8の形成位置に回転する加工刃86、88を当てて切削すればよい。この場合、加工刃86、88の幅W1 、W2 (W1 >W2 )を異ならせれば、開口数(NA)が異なる複数の導波孔12A、12Bを形成することができる。このような異なる開口数を持つ導波孔12A、12Bで光導出部8を構成すれば、モニタ光量を開口幅によって変更した光デバイス2を製造することができる。
【0130】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44を充填する溝幅即ち、導波孔12の幅をダイシング加工時に調整でき、コア32からの漏れ光を導く光路である導波孔12のサイズを調整し、モニタ光量を調整できる。
【0131】
また、導波孔12は、図27のA、Bに示すように、単一の一定幅Wの加工刃90を用いてもよい。この場合、一定の間隔又は異なる間隔で複数の導波孔12を形成し、この導波孔12に既述の光透過性樹脂44を充填し、複数の光導出部8が構成できる。
【0132】
次に、導波孔12のダイシング加工では、図28に示すように、ホーリーファイバ16に対する加工刃90の切削深さdを単一の空孔34に到達する深さd1 に設定し、単一の空孔34に到達した溝状の導波孔12を形成してもよい。
【0133】
また、図29のAに示すように、複数の空孔34に跨がるように加工刃90を切削深さd2 (>d1 )に設定し、溝状の導波孔12を形成してもよい。この場合、図29のBに示すように、導波孔12に露出した複数の空孔34間に光透過性樹脂44を充填して連結し、光導出部8を形成してもよい。
【0134】
斯かる構成とすれば、加工刃90の切削深さdにより、光透過性樹脂44が充填される空孔34の数を変化させ、調整することができ、モニタ光量を加減することができる。
【0135】
〔第13の実施の形態〕
【0136】
第13の実施の形態は、レーザ加工で光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0137】
この第13の実施の形態について、図30を参照する。図30は第13の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0138】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0139】
この導波孔12の加工ではスポット状のレーザ照射を用いており、図30のAに示すように、ホーリーファイバ16の側面部にレーザ出射部40を位置決めし、レーザ出射部40をホーリーファイバ16の軸線方向に走査し、一定の間隔でレーザ光42を照射して導波孔12を形成する。この場合、照射するレーザ光42のスポット径φを異ならせることにより、異なる孔径φ1 、φ2 (<φ1 )の導波孔12を形成でき、その孔径を制御できる。また、導波孔12が空孔34に到達するようにレーザ光42の強さや照射時間を調整する。
【0140】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44を充填する導波孔12の孔径をレーザ加工時に調整でき、同様に、コア32からの漏れ光が導かれる光路即ち、導波孔12のサイズを調整してモニタ光量を加減できる。
【0141】
〔第14の実施の形態〕
【0142】
第14の実施の形態は、エッチング加工で光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0143】
この第14の実施の形態について、図31及び図32を参照する。図31及び図32は第14の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0144】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0145】
外面部に同軸状のフェルール56が設置されたホーリーファイバ16では、フェルール56をエッチング処理のマスクに利用することができる。そこで、図31のA、Bに示すように、導波孔12の形成位置や個数に応じてフェルール56に導波孔12を形成する。エッチング処理には、フェルール56がガラスフェルールであれば、例えば、硝フッ酸等をエッチング剤に用いて化学エッチング処理をすればよい。
【0146】
フェルール56に形成された導波孔12にエッチング剤を装填すれば、図32のAに示すように、フェルール56の内側にあるホーリーファイバ16のクラッド部10に化学エッチング処理される。エッチング処理部92は、化学エッチングされたガラス部分であって、フェルール56の導波孔12の終端部からホーリーファイバ16のクラッド部10に扇型状に波及し、空孔34に到達している。このエッチング処理部92が導波孔12を構成する。そこで、この導波孔12に光透過性樹脂44を充填すれば、既述の通り、図32のBに示すように、光導出部8を構成することができる。
【0147】
斯かる構成では、フェルール56に開けた導波孔12をマスクとして、内部のガラスフェルールをケミカルエッチングしてホーリーファイバ16側の空孔34に到達する導波孔12に波及させることができる。そして、導波孔12の孔径は、切削によって任意に調整し、開口数(NA)を変更することができる。
【0148】
そして、導波孔12の開口幅はガラス・エッチング加工時に調整でき、その結果、コアからの漏れ光の光路、導波孔12のサイズ調整によりモニタ光量を調整できる。
【0149】
その他の構成は上記実施の形態と同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0150】
〔他の実施の形態〕
【0151】
(1) 上記実施の形態では、ホーリーファイバ16を例示したが、これ以外の光ファイバを用いてもよい。
【0152】
(2) 上記実施の形態では、導波孔12に光透過性樹脂44を充填して光導出部8を構成したが、導波孔12に光ファイバの設置により、光導出部8を構成してもよい。この光ファイバを設置する場合、光透過性樹脂44を併用し、導波孔12と挿入された光ファイバとを一体化し、又は空孔34と一体化する構成としてもよい。
【0153】
(3) 上記実施の形態では、機能デバイス84の前部や後部に本開示の光デバイス2を設置しているが、機能デバイス84の内部にある光ファイバに既述の光デバイス2を構成してもよい。
【0154】
(4) 上記実施の形態において、コア32や空孔34を備える光ファイバについて例示しているが、本開示の光デバイスに用いられる光ファイバは、コア32を備える光ファイバや空孔34を備える光ファイバに限定されない。
【0155】
〔比較例〕
【0156】
比較例は、本開示の光デバイス及びその製造方法に関し、背景技術としての光デバイスや光モニタシステムに言及している。
【0157】
光高速大容量通信システムでは、モニタ用TAP−PD、偏波コントローラ、光減衰器等、光モニタや調整機能を持つ光デバイスが用いられている。この光デバイスは、スプライス、アダプタ、光コードを介して接続され、搬送光からモニタ光を取り出すシステムを構成している。
【0158】
光の長距離伝送や波長多重方式伝送では、頻繁に合分波が行われており、この合分波による光減衰を補完するため、光強度を高く設定して伝送する。このため、伝送される光強度の確認が不可欠である。
【0159】
光伝送システムを支えるユニット、ラインカード又はモジュールでは、光導波路に機能デバイスが接続される。この機能デバイスに過大な光強度を持つ光が入ると機能デバイスを破壊するおそれがある。このため、機能デバイスの入力光の光強度を確認し、過大な光強度による破壊から機能デバイスを防護する必要がある。
【0160】
そこで、機能デバイスの入力前にカプラ分岐を設け、この分岐から光をモニタして機能デバイスに入射する光強度を確認し、機能デバイスの許容範囲を超える光強度を減衰器により減衰させ、機能デバイスの入射光を許容範囲内の光強度に調整する。斯かる構成とすれば、機能デバイスの破壊を防止できる。
【0161】
ところが、機能デバイスを防護するための分岐カプラやモニタを機能デバイスの入力前に設置しなければならず、そのための収容スペースを確保しなければならない。しかも、多波長の光を用いるWDM(波長多重)方式システムでは、その収容スペースが波長数だけ必要となるので、ユニットやモジュールの小型化を妨げる。
【0162】
このような課題は上記実施の形態に開示した光デバイス2及びその製造方法(図1〜図24)、光モニタシステム82(図25)、光デバイス2の製造方法(図26〜図32)により解決することができる。
【0163】
そして、比較例では、図33に示すように、機能デバイス84が接続された光ファイバ4に伝播する光をモニタする場合、光ファイバ4を分岐してモニタデバイス94を設置しなければならない。また、光ファイバ4の分岐には、分岐装置96を設置しなければならない。このことから、比較例の構成では、光モニタの構成が複雑化し、システムの小型化を妨げる。このような課題は、本開示の光デバイスが光ファイバ4のインライン化を可能にし、分岐装置96等の設備も光デバイス2がインライン化されているので、省略することができる。
【0164】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0165】
(付記1) 光を導く光導波路の軸線方向と交差方向に前記光導波路から光を導出させる光導出部を備え、該光導出部が、
前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置され、前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光デバイス。
【0166】
(付記2) 前記導波孔は、前記クラッド部に形成され、前記光導波路から光を漏洩させる溝又は開口であることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0167】
(付記3) 前記光導波路を伝搬する光の光導波状態を変化させることにより、前記光導波路から前記光導出部に光を漏洩させることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0168】
(付記4) 前記光導出部の前記光の取出し角度が前記光導波路の軸線方向に対して傾斜角度を有することを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0169】
(付記5) 前記光導波路は、光ファイバであることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0170】
(付記6) 前記光導波部材は、前記導波孔に充填された樹脂又は前記導波孔に挿入された光ファイバであることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0171】
(付記7) 更に、前記光導出部に導かれた光を検出する光検出素子と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0172】
(付記8) 前記光導出部に導かれた光から特定帯域又は特定波長の光を通過させるフィルタと、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0173】
(付記9) 更に、前記光導出部を覆うフェルール又は筐体部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0174】
(付記10) 前記導波孔の設置数又は光導波断面により、モニタ光の伝搬光量が調整されることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0175】
(付記11) 前記光導出部が、前記光導波路のグレーティング部又は該グレーティング部の近傍部に設置されることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0176】
(付記12) 光機能デバイスに接続された光導波路と、
前記光機能デバイスの前側又は後側の前記光導波路に設置され、前記光導波路で導かれる光を取り出す光デバイスとを備え、
前記光デバイスが、前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置されて前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光モニタシステム。
【0177】
(付記13)前記光デバイスが付記1ないし付記11に記載された光デバイスであることを特徴とする光モニタシステム。
【0178】
(付記14) 光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程と、
前記導波孔に光導波部材を設置する工程と、
を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【0179】
(付記15) 前記クラッド部又はフェルールを備える前記クラッド部にダイシング加工、レーザ加工又はエッチング加工により、前記導波孔を形成することを特徴とする付記14に記載の光デバイスの製造方法。
【0180】
(付記16) 前記導波孔に光透光性を有する樹脂の充填又は光ファイバの設置により光導出部を形成することを特徴とする付記14に記載の光デバイスの製造方法。
【0181】
以上説明したように、光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0182】
2 光デバイス
4 光ファイバ
6 光導波路
8 光導出部
10 クラッド部
12 導波孔
14 光導波部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波配線等の光導波路から光を導出する光デバイスに関し、例えば、光機能デバイスが接続される光導波路と一体に形成されて光のモニタが可能な光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法及びに関する。
【背景技術】
【0002】
光を伝播させる光導波路には複数の光機能デバイスが接続される。多数の光機能デバイスが接続されたり、光の分波や分岐では光減衰を生じるので、光導波路における光強度を監視することが必要である。また、光強度を高く設定した場合にも、光機能デバイスを防護するため、その光強度を監視する必要がある。
【0003】
斯かる光デバイスに関し、ファイバを処理して屈折率を変化させてデバイス機能を付与することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52053公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光導波路を伝搬する光をモニタする場合、光を分岐する構成が大きくなれば、その設置位置や収容空間に制約を来すことになる。
【0006】
そこで、本開示の光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法の目的は、上記課題に鑑み、光を伝播する光導波路に光デバイスを一体化して光を導出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の光デバイスは、光導波路を覆うクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成し、この導波孔に光導波部材を備えて光導波路に伝播する光を取り出す構成を含んでいる。
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の光モニタシステムは、光機能デバイスに接続された光導波路に設置されて光を取り出す光デバイスを備える。前記光デバイスは、既述の構成を含んでいる。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の光デバイスの製造方法は、光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程、前記導波孔に光導波部材を設置する工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の光デバイス、光モニタシステム及びその製造方法によれば、次のような効果が得られる。
【0011】
(1) 光導波路にインライン化でき、光導波路に伝播する光を光導波路から導出し、モニタすることができる。
【0012】
(2) 光のモニタ構造の簡略化とともに、小型化を図ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0013】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図4】光導出部の一例を示す断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】他の光導出部の一例を示す断面図である。
【図7】光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図8】光の伝播及び漏れ光の生成を示す図である。
【図9】単一の光導出部の機能を示す図である。
【図10】単一の光導出部の機能を示す図である。
【図11】複数の光導出部の機能を示す図である。
【図12】第3の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図13】複数の光導出部を備える光デバイスの光導出を示す図である。
【図14】第4の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図15】フィルタ特性の一例を示す図である。
【図16】第5の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図17】第6の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図18】光デバイスの断面構造の一例を示す図である。
【図19】他の光デバイスの断面構造の一例を示す図である。
【図20】第7の実施の形態に係る光デバイスの一例を示す図である。
【図21】FGBを備えた光デバイスの機能を示す図である。
【図22】第8の実施の形態に係る光デバイスの光導出部の屈折率変化特性を示す図である。
【図23】第9の実施の形態に係る光デバイスの光導出角度の一例を示す図である。
【図24】第10の実施の形態に係る光デバイス一例を示す図である。
【図25】第11の実施の形態に係る光モニタシステムの一例を示す図である。
【図26】第12の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図27】光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図28】ダイシング加工の一例を示す図である。
【図29】ダイシング加工の他の例を示す図である。
【図30】第13の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図31】第14の実施の形態に係る光デバイスの製造方法の一例を示す図である。
【図32】エッチング処理及び樹脂充填工程の一例を示す図である。
【図33】光モニタシステムの比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
【0016】
第1の実施の形態は、光導波路の軸線方向と交差方向に光導出部を備え、該光導出部が、クラッド部に形成された導波孔と、光導波路から光を導く光導波部材とを備える光デバイス及びその製造方法である。
【0017】
この第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は第1の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。
【0018】
この光デバイス2は、本開示の光デバイス及びその製造方法の一例であって、光ファイバ4の光導波路6の軸線方向に伝播する光のモニタ構造をインラインで構成し、光導波路6から光を導出させる光導出部8を備える。光導波路6は、光を導く手段の一例であって、光ファイバ4のコア部分である。光導出部8は、光導波路6を覆うクラッド部10に形成された導波孔12に光導波部材14を備える。
【0019】
クラッド部10は、光導波路6を覆う部材の一例であって、光導波路6と同一部材で構成されてもよいし、別部材で構成されてもよい。同一部材であれば、伝播させる光を光導波路6に効率よく閉じ込めて伝搬させるため、クラッド部10は光導波路6より低い屈折率であればよい。
【0020】
導波孔12は、光導波部材14を設置するための手段の一例である。この導波孔12には光導波部材14が設置され、この光導波部材14は、光導波路6に伝搬する光の一部を導波孔12からクラッド部10の外部に導く手段である。
【0021】
斯かる構成によれば、光導波路6を伝搬する光をLとすれば、導波孔12に到達した光Lの一部の光Lmが光導波部材14に漏れて伝搬し、クラッド部10から外部に引き出される。即ち、光Lから光導出部8には漏れ光Lmとして取り出され、この光Lmを検出すれば、光Lをモニタすることができる。
【0022】
次に、この光デバイス2の製造について、図2を参照する。図2は光デバイスの製造工程の一例を示している。
【0023】
この光デバイス2の製造には、図2のAに示すように、光ファイバ4が用いられる。この光ファイバ4は、光導波路6と、その周囲部にクラッド部10とを備える。
【0024】
この光ファイバ4には、図2のBに示すように、クラッド部10の一部に導波孔12を形成する。この導波孔12の加工方法は、ダイシング加工、レーザ加工又はエッチング加工の何れでもよいし、また、他の方法であってもよい。導波孔12は、溝で構成してもよい。その深さは、光導波路6から漏れ光を生じる深さとすればよい。
【0025】
そして、導波孔12には、図2のCに示すように、光導波部材14を設置する。この光導波部材14は、導波孔12に光を透過させる樹脂の充填又は光導波部材の挿入の何れでもよい。この光導波部材14を導波孔12に設置すれば、光導出部8が形成される。
【0026】
このように、上記工程を経て光デバイス2を製造でき、光配線を構成する光ファイバ4にインライン化した光デバイス2が得られる。
【0027】
〔第2の実施の形態〕
【0028】
第2の実施の形態は、光ファイバ4にホーリーファイバを使用し、光導出部8に光検出素子(PD:Photo Detector)を備えた光デバイス及びその製造方法である。
【0029】
この第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は、第2の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。図3において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0030】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、図3に示すように、ホーリーファイバ16と、光導出部8と、モニタPD(Photo Detector)18と、筐体部20とを備えている。
【0031】
ホーリーファイバ16は、既述の光ファイバ4の一例であって、連続した光配線又は光機能デバイスの前段又は後段側に設置される光導波手段である。光導出部8は、ホーリーファイバ16に形成され、ホーリーファイバ16に伝播する光を導出する手段の一例である。モニタPD18は光導出部8に導かれた光を検出する光検出手段の一例であって、検出した光を電気信号に変換する。
【0032】
筐体部20は、光導出部8やモニタPD18を包囲して防護する防護手段であるとともに、モニタPD18を光検出位置に維持する手段の一例である。この筐体部20の内壁部例えば、天井部22と光導出部8の光導出面24との間には空間部26が設けられ、この空間部26には天井部22に固定されたモニタPD18が内蔵されている。このモニタPD18の受光部28と、光導出部8の光導出面24とを対向させ、光導出部8からの漏れ光LmをモニタPD18の受光部28に受光させている。従って、光LmはモニタPD18により電気信号に変換される。筐体部20の外面部にはモニタ出力を取り出す外部端子30が設置され、この外部端子30にはモニタPD18の出力信号が光のモニタ出力として取り出される。
【0033】
次に、ホーリーファイバ16及び光導出部8について、図4及び図5を参照する。図4は光導出部分の軸線方向の断面を示し、図5は図4のV−V線断面を示している。
【0034】
ホーリーファイバ16は、既述の光ファイバ4(図1)の一例であって、石英系のコア32とクラッド部10とからなり、このクラッド部10には、軸線方向に伸びる複数の空孔34が形成されている。この空孔34を備えるホーリーファイバ16は、空孔アシストファイバと呼ばれる。このホーリーファイバ16では例えば、コア32は高屈折ガラス、クラッド部10は空孔34が形成されたガラスで、空孔34の存在、屈折率差による全反射による光閉じ込めが得られ、コア32で光導波が行われる。即ち、ホーリーファイバ16は例えば、ガラス組成の違いによる比屈折率差を持たせた光ファイバであって、空孔34によってクラッド部10の実効屈折率を下げることにより、比屈折率差を大きくした構造である。即ち、コア32が既述の光導波路6を構成している。
【0035】
このホーリーファイバ16には例えば、コア32が直径10〔ミクロン〕、クラッド部10が直径125〔ミクロン〕程度で形成され、このクラッド部10の部分には直径8〔ミクロン〕から13〔ミクロン〕程度の空孔34が例えば、15〔ミクロン〕ピッチで形成されている。
【0036】
そして、このホーリーファイバ16にはクラッド部10の側面部からコア32と交差方向に導波孔12が形成されている。この導波孔12は、開口部又は溝部であり、この実施の形態では、コア32の軸線方向と直角方向に形成され、コア32の周囲部のクラッド部10に存在する空孔34に到達させている。導波孔12には光導波部材14として例えば、光透過性樹脂44(図7)が充填されている。この光導波部材14は導波孔12から空孔34に延長され、コア32からの漏れ光を導く光路である光導出部8を構成している。
【0037】
この場合、ホーリーファイバ16にはコア32を中心とした周囲部に複数の空孔として6個の空孔34を配置した構成であるが、図6に示すように、6個の空孔34の外側にも複数の空孔を設置した構成としてもよい。そして、導波孔12でコア32の中心方向にある複数の例えば、2つの空孔34間を連結し、光導出部8を構成してもよい。
【0038】
次に、この光デバイス2の製造について、図7を参照する。図7は光デバイスの製造工程の一例を示している。
【0039】
(1) 穿孔工程
【0040】
ホーリーファイバ16に導波孔12を形成する。この導波孔12は樹脂充填孔であって、この穿孔工程では、ホーリーファイバ16に導波孔12を形成し、クラッド部10の空孔34を露出させる。
【0041】
例えば、図7のAに示すように、ホーリーファイバ16の側面部にレーザ出射部40を設置して導波孔12の形成位置にレーザ光42を照射し、導波孔12を形成する。この導波孔12はホーリーファイバ16のコア32の中心に向けて形成し、空孔34に到達する深さとする。導波孔12には、図7のBに示すように、導波孔12から空孔34を露出させる。導波孔12の形成には、機械加工であるダイシング加工、COレーザ照射、エキシマレーザ照射等によるレーザ加工、ガラス・エッチング加工を用いてもよい。
【0042】
(2) 樹脂充填工程
【0043】
このようにレーザ加工により形成された導波孔12には、図7のCに示すように、液状の光透過性樹脂44を充填する。この樹脂充填には、ディスペンサシリンジ46を導波孔12に位置決めし、導波孔12を埋め尽くす量の光透過性樹脂44を導波孔12に滴下し、充填する。滴下された光透過性樹脂44は毛細管現象にて導波孔12及びその底部側の空孔34の部分に注入される。
【0044】
この光透過性樹脂44は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂の何れでもよい。また、この樹脂充填には、ディスペンサシリンジ46以外の充填手段を用いてもよい。光透過性樹脂44には例えば、ガラス転移温度Tgが0〔℃〕以下の柔軟な樹脂を使用すれば、光透過性樹脂44の充填部がコア32との比屈折率差が小さくなるので、光透過性樹脂44を通って、漏れ光Lmをホーリーファイバ16の側面に導くことができる。
【0045】
(3) 樹脂硬化工程
【0046】
光透過性樹脂44に紫外線硬化樹脂を用いた場合には、図7のDに示すように、導波孔12に充填された光透過性樹脂44に対して紫外線(UV)光48を照射し、光透過性樹脂44を硬化させる。このUV光48の照射には、ホーリーファイバ16の周面側の離間位置にUV出射部50を位置決めし、UV出射部50から光透過性樹脂44に向けてUV光48を出射させる。この場合、光透過性樹脂44が熱硬化性樹脂であれば、樹脂充填後、加熱により熱硬化させればよい。
【0047】
(4) 組立て及び外装工程
【0048】
光導出部8が形成されたホーリーファイバ16には、図3に示すように、既述の筐体部20を設置し、光導出部8に対してモニタPD18を配置すれば、既述の光デバイス2(図3)が得られる。
【0049】
次に、光デバイス2の光モニタ機能について、図8を参照する。図8のAにおいて、ホーリーファイバ16のコア32は既述の光導波路6であって、光Lが伝播する。光Lは空孔34側で全反射し、クラッド部10への流出が阻止される。
【0050】
このように伝播する光Lは図8のBに示すように、光導出部8に到達すると、その一部の光Lmが導波孔12にある光導波部材14に入り、ホーリーファイバ16の外部に導かれる。即ち、光導出部8の光モニタ機能が得られている。
【0051】
この光モニタ機能を詳述すると、光導出部8にある光透過性樹脂44は、導波孔12から空孔34に流れ込んで硬化し、空孔34を塞ぐとともに、その周辺部位の光屈折率を変化させている。即ち、空孔34の空気に対し、光透過性樹脂44の光屈折率が異なっている。この光屈折率が異なることにより、コア32の周囲の全反射による光の閉じ込め効果が薄れ(光閉じ込め効果の低下)、光透過性樹脂44で構成される光導波部材14から導波孔12側への漏れ光Lmが生じる。このように、伝播する光Lから光Lmを分岐させる分岐構造が構成され、光導出部8に光Lのモニタ機能が得られる。
【0052】
なお、光導出部8は、図9に示すように、角度θで傾斜させた構成であってもよい。この角度θは例えば、光導出部8をコア32の軸線方向に対する角度90〔度〕より小さく(θ<90)設定されている。
【0053】
また、光導出部8は、図10のA、Bに示すように、単一で構成してもよく、複数であってもよい。その場合、図11のAに示すように、空孔34毎にホーリーファイバ16の直径方向に複数の光導出部8を形成してもよいし、図11のBに示すように、ホーリーファイバ16の軸線方向に複数の光導出部8を形成してもよい。このように、導波孔12の孔数を増加させれば、複数の光導出部8の設置数により、モニタ光量を増加させることができ、また、光の分岐比を増加させることができる。
【0054】
この実施の形態について、効果を列挙すれば次の通りである。
【0055】
(1) ファイバ配線の途中に、光デバイス2を設置でき、この光デバイス2は、光モニタ・デバイスをインライン型で構成できる。換言すれば、分岐用のスプライスやファイバの余長処理スペースが不要であり、モニタ・デバイスを小さくでき、機能デバイスのユニットやモジュールを小型化できる。
【0056】
(2) ファイバの途中に、導波孔12として例えば、溝や孔を形成して、光モニタ機能を持つ光デバイス2を構成できるので、光デバイス2は、光配線上の任意の位置に構成でき、モニタ設置等の光配線や光デバイスの設計の自由度が高められる。
【0057】
(3) 光デバイス2を備える例えば、インライン型光モニタ付ホーリーファイバは、SMファイバとスプライス接続して使用すればよい。
【0058】
(4) 光導出部8の外側にモニタ用受光素子(モニタPD18)を設置し、この受光面で漏れ光Lmを検出すれば、分岐された光Lmを電気信号に変換することができる。これにより、ホーリーファイバ16に伝播する光Lを光Lmでモニタリングすることができる。
【0059】
(5) 導出光の数や光量を導波孔12の数により増加させることができ、導出光の光量や分岐比を増加することができる。
【0060】
(6) 上記実施の形態では、石英系のコア32とクラッド部10とから成り、クラッド部10には軸線方向に伸びる複数の空孔34を有するホーリーファイバ16等の光ファイバを用いる。コア32の周囲にあるクラッド部10に存在する空孔34に通じる導波孔12を形成する。導波孔12には光透過性樹脂44が充填され、コア32の周辺の屈折率分布を変化させ、その光導波状態を変化させることにより、コア32から光導出部8を通じて漏れる光Lmをモニタ光として検出することができる光モニタ構造が構成されている。
【0061】
〔第3の実施の形態〕
【0062】
第3の実施の形態は光導出部及び光検出数を複数化した構成である。
【0063】
この第3の実施の形態について、図12を参照する。図12は第3の実施の形態に係る光デバイスの一例を示している。図12において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0064】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、既述の光デバイス2(図3)では、単一の光導出部8であるのに対し、図12に示すように、複数の光導出部として光導出部801、802、803、804、805、806が設置されている。各光導出部801〜806の各光導波部材14を構成する光透過性樹脂44は、空孔34内で連結されているとともに、一部の空孔34を閉塞している。
【0065】
光導出部801〜806には各漏れ光Lmを個別に検出する光検出手段として6組のモニタPD18を備え、モニタPDアレイ52を構成している。この実施の形態では、モニタPDアレイ52を設置しているが、個別のモニタPD18のみで構成してもよい。
【0066】
斯かる構成では、図13に示すように、光導波路6からの漏れ光Lmが各光導出部801〜806から取り出されるとともに、モニタPDアレイ52で検出され、各光導出部801〜806で得た漏れ光Lmを電気信号に変換し、外部端子30から取り出すことができる。
【0067】
この光デバイス2では、複数の導波孔12を形成して多数の漏れ光Lmを導くことができるとともに、複数チャンネルのモニタPD18又はモニタPDアレイ52により受光し、光の強度をモニタできる。漏れ光の強度を導波孔12の穿孔数により調整でき、分岐比の調整をすることができる。
【0068】
また、この実施の形態においても、既述の光ファイバ(ホーリーファイバ16)を用い、側面から空孔34に到達する複数個の導波孔12の形成、既述の光透過性樹脂44の充填及び硬化等の工程を用いた製造方法は既述の通りであるので、その説明を省略する。
【0069】
〔第4の実施の形態〕
【0070】
第4の実施の形態は、光導出部に導出された光をフィルタを通して取り出す構成である。
【0071】
この第4の実施の形態について、図14及び図15を参照する。図14は第4の実施の形態に係る光デバイスの一例を示し、図15はフィルタ特性を示している。図14において、図3又は図12と同一部分には同一符号を付してある。
【0072】
この実施の形態の光デバイス2は、本開示の光デバイスの一例であって、既述のホーリーファイバ16に複数の光導出部801、802・・・806等、多数の光導出部8を設置すれば、複数のモニタ光を得ることができることは既述の通りである。そこで、各光導出部801、802・・・806の光導出面24、即ち、導波孔12の開孔部分にフィルタとして例えば、波長選択フィルタ541、542、543、544、545、546を設置して波長選択をしてもよい。
【0073】
斯かる構成とすれば、波長選択フィルタ541〜546で選択された光波長をモニタPD18により受光し、各波長毎に光強度をモニタすることができる。
【0074】
波長選択フィルタ541〜546には、光強度を検出すべき波長に応じて例えば、図15のAに示すように、低域通過特性を持つローパス・フィルタ、図15のBに示すように、高域通過特性を持つハイパス・フィルタ、又は図15のCに示すように、帯域通過特性を持つバンドパス・フィルタを用いればよい。例えば、光通信に用いられる1.3〔ミクロン〕帯、1.55〔ミクロン〕帯、0.85〔ミクロン〕帯を選択通過できるフィルタを使用すれば、所望の波長における光強度を検出し、モニタすることができる。
【0075】
その他の構成や製造方法は、既述の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
〔第5の実施の形態〕
【0077】
第5の実施の形態は、光ファイバに同軸状のフェルールを備えた光デバイスの構成である。
【0078】
この第5の実施の形態について、図16を参照する。図16は第5の実施の形態に係る光デバイスの光導出部の一例を示している。図16において、図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0079】
この光デバイス2の光導出部8は、本開示の光デバイスの一例であって、図16に示すように、ホーリーファイバ16の周囲部に同軸状のフェルール56を備えている。このフェルール56はホーリーファイバ16の結合手段の一例である。上記実施の形態では、光ファイバ4やホーリーファイバ16に導波孔としての導波孔12を形成したが、ホーリーファイバ16と同軸状に備えたフェルール56の外部からホーリーファイバ16に導波孔12を形成し、この導波孔12に光導波部材14を形成し、光導出部8を構成してもよい。この場合、導波孔12は既述の通り、空孔34に到達するまでの深さに形成すればよい。そして、光導波部材14を光透過性樹脂44の充填及び硬化させればよい。また、光導出部8は単一又は複数個で構成してもよい。
【0080】
〔第6の実施の形態〕
【0081】
第6の実施の形態は、光デバイスの外装ケースの構成及び外装ケースの内部構成を開示する。
【0082】
この第6の実施の形態について、図17、図18及び図19を参照する。図17は第6の実施の形態に係る光デバイスの外装ケースの一例を示し、図18及び図19は外装ケースの内部構成の一例を示している。
【0083】
光デバイス2は図17に示すように、外装ケース58に内蔵され、軸方向の端面部は封止樹脂60によって封止されている。外装ケース58は既述の光導出部8、モニタPD18及び筐体部20を覆う外装手段の一例である。封止樹脂60は、外装ケース58の端面を封止するとともに外装ケース58の一部を構成し、外装ケース58の内部を防護している。この実施の形態では、角筒状の外装ケース58を用いているが、ホーリーファイバ16と同軸状の円筒体であってもよい。筐体や、丸い同軸型の筐体が可能である。そして、外装ケース58の側部には既述の外部端子30が設置され、モニタPD18が取り出される。
【0084】
また、光デバイス2には、図18に示すように、外装ケース58の内部に筐体部20が設置され、この筐体部20はホーリーファイバ16を位置決めするためのマウント部62を備えている。マウント部62はホーリーファイバ16を保持する手段の一例であって、ホーリーファイバ16を位置決めする断面V字形の位置決め部64が形成されている。この実施の形態では、ホーリーファイバ16にはフェルール56が取り付けられ、ホーリーファイバ16と同軸状のフェルール56が位置決め部64に位置決めされ、接着剤等の固定部材68によりマウント部62に強固に固定されている。
【0085】
ホーリーファイバ16及びフェルール56に形成された光導出部8は、外装ケース58の天井面側に向けられている。筐体部20のマウント部66にモニタPD18が設置され、このモニタPD18の受光部28は光導出部8の光導出面24に対向している。この実施の形態では、外装ケース58の各側面部のそれぞれに外部端子30が設置され、光モニタ出力が得られる。
【0086】
斯かる構成では、外装ケース58の内部に筐体部20が設置されるとともに、モニタPD18及びホーリーファイバ16が強固に固定されている。光導出部8の光導出面24に、モニタPD18の受光部28が高精度に位置決めされているので、光導波部材14に伝播する漏れ光を精度よく取り出し、モニタPD18でモニタすることができる。
【0087】
また、ホーリーファイバ16及びフェルール56に複数の光導出部8が設置された光デバイス2では、図19に示すように、ホーリーファイバ16がフェルール56とともにマウント部62に位置決めされて固定部材68で固定することができる。
【0088】
このようなホーリーファイバ16の周面方向に複数の光導出部8が一定の角度で放射状に配置され、個別に光を検出する光検出手段として複数のモニタPD18が設置されている。この場合、外装ケース58に固定されたマウント部66には、モニタPD18の受光部28に光導出部8の光導出面24を平行に配置するためのマウント面70A、70B、70Cが各光導出部8の角度に対応して形成されている。各マウント面70A、70B、70CにマウントされたモニタPD18の受光部28は、光導出部8の光導出面24と平行に配置されている。従って、光導出面24に導かれた光を各モニタPD18で効率よく受光し、電気信号に変換することができる。この電気信号は外部端子30から取り出すことができる。
【0089】
〔第7の実施の形態〕
【0090】
第7の実施の形態は、光ファイバのコアに回折格子を形成した光フィルタの機能を持つファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating )を用いて光デバイス2を構成している。
【0091】
この第7の実施の形態について、図20及び図21を参照する。図20は第7の実施の形態に係る光デバイスの一例を示し、図21は光デバイスに用いる光ファイバの一例を示している。
【0092】
この光デバイス2では、コア32に複数の光ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)部721、722、723、724を備える光ファイバ74が用いられ、各FBG部721、722、723、724の形成部分を覆うクラッド部10に複数の光導出部801、802、803、804が形成されている。この実施の形態では、FBG部721の前部に光導出部801、FBG部721とFBG部722との間に光導出部802、FBG部722とFBG部723との間に光導出部803、FBG部723とFBG部724との間に光導出部804が設置されている。各光導出部801、802、803、804はコア32の軸線方向に配列され、それぞれ導波孔12に光導波部材14を設置したものである。
【0093】
各FBG部721〜724の部分では、コア32の周囲にある導波孔12に光導波部材14が設置され、即ち、光透過性樹脂44の充填により、コア32周辺の屈折率分布を変化させ、光導波状態を変化させている。この結果、各FBG721、722、723、724の各部分で波長が選択された光がコア32から光導波部材14側に漏れ、光導出部801〜804から導出され、モニタ光としてモニタPD18に個別に検出される。
【0094】
コア32にFBG部72を備えた構成では、図21のAに示すように、FBG部72は干渉縞を形成した部分であり、この干渉縞が屈折率を変化させる。そこで、この光ファイバ74に光L1 を伝播させると、FBG部72で選択された波長λaの光が折り返され、波長λa以外の波長の光Lm、光L2 を通過させることができる。このため、波長λa以外の波長の光Lmを通過させる部分に光導出部8を形成すれば、波長λa以外の光Lmを取り出し、その光をモニタすることができる。
【0095】
例えば、FBG部721、722を備えた構成では、図21のBに示すように、コア32にFBG部721と、FBG部722とを形成し、FBG部721とFBG部722との間に光導出部801、FBG部722の下流側に光導出部802を形成する。この場合、波長λa及びλbを含む光L1 を光ファイバ74に伝播させると、FBG部721では波長λaの光がFBG部721で折り返され、FBG部721を通過した波長λbの光がFBG部722で折り返される。この結果、FBG部722の下流側には波長λa及びλb以外の光Lm2 、光L2 が得られる。このため、光導出部801には波長λa以外の波長の光Lm1 が取り出され、光導出部802には波長λa、λb以外の波長の光Lm2 が取り出され、モニタされる。
【0096】
このような構成とすれば、特定の波長を段階的に除去して検出し、モニタすることができ、特定波長を含まない光強度を検出することができる。
【0097】
〔第8の実施の形態〕
【0098】
第8の実施の形態は、光デバイスの光導出部の屈折率を光導波部材によって調整した構成である。
【0099】
この第8の実施の形態について、図22を参照する。図22は屈折率変化特性を示している。
【0100】
図22のAは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて急激に変化する屈折率特性を示している(SMF:Single Mode optical Fiber )。
【0101】
図22のBは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて直線的に変化する屈折率特性を示している(MMF:Multi Mode Optical Fiber)。
【0102】
また、図22のCでは、屈折率がコア相当部分とクラッド部との間で中心からの軸方向の距離に応じて急激に変化する屈折率特性に、矢印a、bに示すように、光導波部材14に用いる光透過性樹脂44の屈折率を調整又は選択する。
【0103】
例えば、光透過性樹脂44の充填工程(図7のC)において、コア32又はその相当部分と、導波孔12に充填する光透過性樹脂44の屈折率が全反射条件を満たす屈折率比より小さい屈折率比を取る範囲で光透過性樹脂44の持つ屈折率を選択し、漏れ光の増減を調整する。この場合、屈折率の大小関係は例えば、
コア32又はその相当部分の屈折率>光透過性樹脂44の屈折率>クラッド部10の屈折率
の関係を成立させればよい。
【0104】
このように、導波孔12に充填する光透過性樹脂44の屈折率の調整をすれば、光導出部8(図3、図5)からの漏れ光量を増減させ、その光量を調整できる。例えば、コア32の屈折率に近い屈折率を持つ光透過性樹脂44を使用すれば、漏れ光を増加させることができ、逆にクラッド部10の屈折率に近い屈折率を持つ光透過性樹脂44を使用すれば、漏れ光を減少させることができる。
【0105】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44の屈折率、即ち、光導波部材14の屈折率調整によって、モニタ光量を増減でき、所望の光量に調整できる。
【0106】
〔第9の実施の形態〕
【0107】
第9の実施の形態は、光導出部の角度調整によってモニタ光量を加減調整する構成である。
【0108】
この第9の実施の形態について、図23を参照する。図23は角度の異なる複数の光導出部を示している。
【0109】
この実施の形態の光デバイス2では、図23に示すように、複数の光導出部831、832、833を備え、光導出部831、832、833にはコア32の軸線方向に対して異なる傾斜角度θ1 、θ2 、θ3 (θ1 <θ2 <θ3 )が設定されている。
【0110】
この場合、傾斜角度θ、全反射角及び屈折率には、次の関係が成立する。即ち、
(1) θ=arcsin(コア相当部分屈折率/樹脂屈折率)<全反射角
(2) コア相当部分屈折率>樹脂屈折率>クラッド部屈折率
である。但し、θ=θ1 、θ=θ2 、θ=θ3 である。
【0111】
傾斜角度θは、使用する光透過性樹脂44の屈折率とコア相当部分の屈折率から求められる。そこで、全反射角以下の範囲で光導出部831、832、833の角度θ、即ち、導波孔12を形成する角度θを調整すれば、光導出部831、832、833に導かれる漏れ光のモードを変化させ、モニタ光量を調整することができる。
【0112】
この実施の形態では、1つの光デバイス2に異なる角度θ1 、θ2 、θ3 を設定した複数の光導出部831、832、833を備えているが、各光デバイス2毎に異なる傾斜角度を光導出部8に設定し、光デバイス2毎にモニタ光量を調整してもよい。
【0113】
〔第10の実施の形態〕
【0114】
第10の実施の形態は、光導波路にフォトニックバンドギャップファイバ(PBF:Photonic Band Gap Filter)又はフォトニック結晶ファイバ(PCF:Photonic Crystal Filter )を用いた光デバイスである。既述のように、空孔が存在する光ファイバはホーリーファイバ、空孔アシストファイバと称される。これ以外にも中心に中空な空孔を持ち、中心を含む中央部に軸線方向に伸びる多数の孔を規則的に有するPBFや、中心を除く中央部に軸線方向に伸びる多数の孔を規則的に有するファイバとしてPCF等がある。このようなPBFやPCFを用いても同様に光モニタ構造を実現できる。
【0115】
この第10の実施の形態について、図24を参照する。図24は光デバイスの光導出部の断面を示している。
【0116】
この実施の形態の光デバイス2では、図24のAに示すように、光ファイバ4にPBF76が使用されている。このPBF76は、フォトニックバンドギャップ(PBG:Photonic Band Gap )構造により、光を閉じ込めて制御するファイバである。このPBF76には、中心に孔78が形成されるとともに、空孔34が形成されている。この実施の形態では、最外郭の空孔34に到達させた光導出部8が形成され、PBF76に伝播する光が光導出部8に導出され、既述の構成によりモニタされる。その他の構成は、上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0117】
また、光デバイス2の他の構成例として、図24のBに示すように、光ファイバ4にPCF80が使用されている。このPCF80は、フォトニック結晶の概念を光ファイバに適用したものであって、石英中に空孔の配列構造を備えたファイバである。このPCF80にはPBF76のように中心に孔78は存在しないが、同様に、複数の空孔34が形成され、この実施の形態では、中心方向に複数の空孔34を連結させた光導出部8が形成されている。PCF80に伝播する光が光導出部8に導出され、既述の構成によりモニタされる。その他の構成は、上記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0118】
〔第11の実施の形態〕
【0119】
第11の実施の形態は、既述の光デバイスを備えた光モニタシステムである。
【0120】
この第11の実施の形態について、図25を参照する。図25は第11の実施の形態に係る光モニタシステムの一例を示している。
【0121】
この光モニタシステム82は、図25のAに示すように、機能デバイス84を備える光配線を構成する光ファイバ4に構成され、機能デバイス84の前側にモニタデバイスとして既述の光デバイス2が設置されている。光デバイス2の構成は上記実施の形態に記載した通りであり、何れの構成を用いてもよい。光デバイス2は、機能デバイス84に光を伝播する光ファイバ4にインラインにより設置されている。
【0122】
斯かる構成では、機能デバイス84に入る光をその前段側で光デバイス2でモニタし、機能デバイス84に入る光強度を検出することができる。
【0123】
また、光デバイス2は、機能デバイス84に光を伝播する光ファイバ4にインライン化されているので、光のモニタ構造の簡略化とともに、小型化を図ることができ、省スペース化を図ることができる。
【0124】
機能デバイス84に入射する光をモニタする場合には、機能デバイス84の前側に光デバイス2を設置するが、図25のBに示すように、機能デバイス84の後側に光デバイス2を設置してもよい。斯かる構成では、機能デバイス84を通過し又は増幅された光をモニタし、その光強度を検出することができる。
【0125】
〔第12の実施の形態〕
【0126】
第12の実施の形態は、ダイシング加工により光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0127】
この第12の実施の形態について、図26を参照する。図26は第12の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0128】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0129】
上記実施の形態では、円孔状の導波孔12を例示したが、この導波孔12は溝状であってもよい。溝状の導波孔12を形成する場合には、図26のA、Bに示すように、ホーリーファイバ16に同軸状に設置されたフェルール56の外側から光導出部8の形成位置に回転する加工刃86、88を当てて切削すればよい。この場合、加工刃86、88の幅W1 、W2 (W1 >W2 )を異ならせれば、開口数(NA)が異なる複数の導波孔12A、12Bを形成することができる。このような異なる開口数を持つ導波孔12A、12Bで光導出部8を構成すれば、モニタ光量を開口幅によって変更した光デバイス2を製造することができる。
【0130】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44を充填する溝幅即ち、導波孔12の幅をダイシング加工時に調整でき、コア32からの漏れ光を導く光路である導波孔12のサイズを調整し、モニタ光量を調整できる。
【0131】
また、導波孔12は、図27のA、Bに示すように、単一の一定幅Wの加工刃90を用いてもよい。この場合、一定の間隔又は異なる間隔で複数の導波孔12を形成し、この導波孔12に既述の光透過性樹脂44を充填し、複数の光導出部8が構成できる。
【0132】
次に、導波孔12のダイシング加工では、図28に示すように、ホーリーファイバ16に対する加工刃90の切削深さdを単一の空孔34に到達する深さd1 に設定し、単一の空孔34に到達した溝状の導波孔12を形成してもよい。
【0133】
また、図29のAに示すように、複数の空孔34に跨がるように加工刃90を切削深さd2 (>d1 )に設定し、溝状の導波孔12を形成してもよい。この場合、図29のBに示すように、導波孔12に露出した複数の空孔34間に光透過性樹脂44を充填して連結し、光導出部8を形成してもよい。
【0134】
斯かる構成とすれば、加工刃90の切削深さdにより、光透過性樹脂44が充填される空孔34の数を変化させ、調整することができ、モニタ光量を加減することができる。
【0135】
〔第13の実施の形態〕
【0136】
第13の実施の形態は、レーザ加工で光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0137】
この第13の実施の形態について、図30を参照する。図30は第13の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0138】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0139】
この導波孔12の加工ではスポット状のレーザ照射を用いており、図30のAに示すように、ホーリーファイバ16の側面部にレーザ出射部40を位置決めし、レーザ出射部40をホーリーファイバ16の軸線方向に走査し、一定の間隔でレーザ光42を照射して導波孔12を形成する。この場合、照射するレーザ光42のスポット径φを異ならせることにより、異なる孔径φ1 、φ2 (<φ1 )の導波孔12を形成でき、その孔径を制御できる。また、導波孔12が空孔34に到達するようにレーザ光42の強さや照射時間を調整する。
【0140】
斯かる構成とすれば、光透過性樹脂44を充填する導波孔12の孔径をレーザ加工時に調整でき、同様に、コア32からの漏れ光が導かれる光路即ち、導波孔12のサイズを調整してモニタ光量を加減できる。
【0141】
〔第14の実施の形態〕
【0142】
第14の実施の形態は、エッチング加工で光導波孔を形成する光デバイスの製造方法である。
【0143】
この第14の実施の形態について、図31及び図32を参照する。図31及び図32は第14の実施の形態に係る導波孔の加工方法の一例を示している。
【0144】
この導波孔12の加工方法は、本開示の光デバイスの製造方法の一例であって、既述の穿孔工程の一例である。
【0145】
外面部に同軸状のフェルール56が設置されたホーリーファイバ16では、フェルール56をエッチング処理のマスクに利用することができる。そこで、図31のA、Bに示すように、導波孔12の形成位置や個数に応じてフェルール56に導波孔12を形成する。エッチング処理には、フェルール56がガラスフェルールであれば、例えば、硝フッ酸等をエッチング剤に用いて化学エッチング処理をすればよい。
【0146】
フェルール56に形成された導波孔12にエッチング剤を装填すれば、図32のAに示すように、フェルール56の内側にあるホーリーファイバ16のクラッド部10に化学エッチング処理される。エッチング処理部92は、化学エッチングされたガラス部分であって、フェルール56の導波孔12の終端部からホーリーファイバ16のクラッド部10に扇型状に波及し、空孔34に到達している。このエッチング処理部92が導波孔12を構成する。そこで、この導波孔12に光透過性樹脂44を充填すれば、既述の通り、図32のBに示すように、光導出部8を構成することができる。
【0147】
斯かる構成では、フェルール56に開けた導波孔12をマスクとして、内部のガラスフェルールをケミカルエッチングしてホーリーファイバ16側の空孔34に到達する導波孔12に波及させることができる。そして、導波孔12の孔径は、切削によって任意に調整し、開口数(NA)を変更することができる。
【0148】
そして、導波孔12の開口幅はガラス・エッチング加工時に調整でき、その結果、コアからの漏れ光の光路、導波孔12のサイズ調整によりモニタ光量を調整できる。
【0149】
その他の構成は上記実施の形態と同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0150】
〔他の実施の形態〕
【0151】
(1) 上記実施の形態では、ホーリーファイバ16を例示したが、これ以外の光ファイバを用いてもよい。
【0152】
(2) 上記実施の形態では、導波孔12に光透過性樹脂44を充填して光導出部8を構成したが、導波孔12に光ファイバの設置により、光導出部8を構成してもよい。この光ファイバを設置する場合、光透過性樹脂44を併用し、導波孔12と挿入された光ファイバとを一体化し、又は空孔34と一体化する構成としてもよい。
【0153】
(3) 上記実施の形態では、機能デバイス84の前部や後部に本開示の光デバイス2を設置しているが、機能デバイス84の内部にある光ファイバに既述の光デバイス2を構成してもよい。
【0154】
(4) 上記実施の形態において、コア32や空孔34を備える光ファイバについて例示しているが、本開示の光デバイスに用いられる光ファイバは、コア32を備える光ファイバや空孔34を備える光ファイバに限定されない。
【0155】
〔比較例〕
【0156】
比較例は、本開示の光デバイス及びその製造方法に関し、背景技術としての光デバイスや光モニタシステムに言及している。
【0157】
光高速大容量通信システムでは、モニタ用TAP−PD、偏波コントローラ、光減衰器等、光モニタや調整機能を持つ光デバイスが用いられている。この光デバイスは、スプライス、アダプタ、光コードを介して接続され、搬送光からモニタ光を取り出すシステムを構成している。
【0158】
光の長距離伝送や波長多重方式伝送では、頻繁に合分波が行われており、この合分波による光減衰を補完するため、光強度を高く設定して伝送する。このため、伝送される光強度の確認が不可欠である。
【0159】
光伝送システムを支えるユニット、ラインカード又はモジュールでは、光導波路に機能デバイスが接続される。この機能デバイスに過大な光強度を持つ光が入ると機能デバイスを破壊するおそれがある。このため、機能デバイスの入力光の光強度を確認し、過大な光強度による破壊から機能デバイスを防護する必要がある。
【0160】
そこで、機能デバイスの入力前にカプラ分岐を設け、この分岐から光をモニタして機能デバイスに入射する光強度を確認し、機能デバイスの許容範囲を超える光強度を減衰器により減衰させ、機能デバイスの入射光を許容範囲内の光強度に調整する。斯かる構成とすれば、機能デバイスの破壊を防止できる。
【0161】
ところが、機能デバイスを防護するための分岐カプラやモニタを機能デバイスの入力前に設置しなければならず、そのための収容スペースを確保しなければならない。しかも、多波長の光を用いるWDM(波長多重)方式システムでは、その収容スペースが波長数だけ必要となるので、ユニットやモジュールの小型化を妨げる。
【0162】
このような課題は上記実施の形態に開示した光デバイス2及びその製造方法(図1〜図24)、光モニタシステム82(図25)、光デバイス2の製造方法(図26〜図32)により解決することができる。
【0163】
そして、比較例では、図33に示すように、機能デバイス84が接続された光ファイバ4に伝播する光をモニタする場合、光ファイバ4を分岐してモニタデバイス94を設置しなければならない。また、光ファイバ4の分岐には、分岐装置96を設置しなければならない。このことから、比較例の構成では、光モニタの構成が複雑化し、システムの小型化を妨げる。このような課題は、本開示の光デバイスが光ファイバ4のインライン化を可能にし、分岐装置96等の設備も光デバイス2がインライン化されているので、省略することができる。
【0164】
次に、以上述べた実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0165】
(付記1) 光を導く光導波路の軸線方向と交差方向に前記光導波路から光を導出させる光導出部を備え、該光導出部が、
前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置され、前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光デバイス。
【0166】
(付記2) 前記導波孔は、前記クラッド部に形成され、前記光導波路から光を漏洩させる溝又は開口であることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0167】
(付記3) 前記光導波路を伝搬する光の光導波状態を変化させることにより、前記光導波路から前記光導出部に光を漏洩させることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0168】
(付記4) 前記光導出部の前記光の取出し角度が前記光導波路の軸線方向に対して傾斜角度を有することを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0169】
(付記5) 前記光導波路は、光ファイバであることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0170】
(付記6) 前記光導波部材は、前記導波孔に充填された樹脂又は前記導波孔に挿入された光ファイバであることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0171】
(付記7) 更に、前記光導出部に導かれた光を検出する光検出素子と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0172】
(付記8) 前記光導出部に導かれた光から特定帯域又は特定波長の光を通過させるフィルタと、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0173】
(付記9) 更に、前記光導出部を覆うフェルール又は筐体部と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0174】
(付記10) 前記導波孔の設置数又は光導波断面により、モニタ光の伝搬光量が調整されることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0175】
(付記11) 前記光導出部が、前記光導波路のグレーティング部又は該グレーティング部の近傍部に設置されることを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
【0176】
(付記12) 光機能デバイスに接続された光導波路と、
前記光機能デバイスの前側又は後側の前記光導波路に設置され、前記光導波路で導かれる光を取り出す光デバイスとを備え、
前記光デバイスが、前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置されて前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光モニタシステム。
【0177】
(付記13)前記光デバイスが付記1ないし付記11に記載された光デバイスであることを特徴とする光モニタシステム。
【0178】
(付記14) 光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程と、
前記導波孔に光導波部材を設置する工程と、
を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【0179】
(付記15) 前記クラッド部又はフェルールを備える前記クラッド部にダイシング加工、レーザ加工又はエッチング加工により、前記導波孔を形成することを特徴とする付記14に記載の光デバイスの製造方法。
【0180】
(付記16) 前記導波孔に光透光性を有する樹脂の充填又は光ファイバの設置により光導出部を形成することを特徴とする付記14に記載の光デバイスの製造方法。
【0181】
以上説明したように、光デバイス、光モニタシステム及び光デバイスの製造方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0182】
2 光デバイス
4 光ファイバ
6 光導波路
8 光導出部
10 クラッド部
12 導波孔
14 光導波部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導く光導波路の軸線方向と交差方向に前記光導波路から光を導出させる光導出部を備え、該光導出部が、
前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置され、前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記光導波路の光導波状態を変化させることにより、前記光導波路から前記光導波部材に光を漏洩させることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記光導出部の前記光の取出し角度が前記光導波路の軸線方向に対して傾斜角度を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
光機能デバイスに接続された光導波路と、
前記光機能デバイスの前側又は後側の前記光導波路に設置され、前記光導波路で導かれる光を取り出す光デバイスとを備え、
前記光デバイスが、前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置されて前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光モニタシステム。
【請求項5】
光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程と、
前記導波孔に光導波部材を設置する工程と、
を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項1】
光を導く光導波路の軸線方向と交差方向に前記光導波路から光を導出させる光導出部を備え、該光導出部が、
前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置され、前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記光導波路の光導波状態を変化させることにより、前記光導波路から前記光導波部材に光を漏洩させることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記光導出部の前記光の取出し角度が前記光導波路の軸線方向に対して傾斜角度を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項4】
光機能デバイスに接続された光導波路と、
前記光機能デバイスの前側又は後側の前記光導波路に設置され、前記光導波路で導かれる光を取り出す光デバイスとを備え、
前記光デバイスが、前記光導波路を覆うクラッド部に形成された単一又は複数の導波孔と、
前記導波孔に設置されて前記光導波路から光を導く光導波部材と、
を備えることを特徴とする光モニタシステム。
【請求項5】
光導波路の周囲に設置されて光を遮蔽するクラッド部に単一又は複数の導波孔を形成する工程と、
前記導波孔に光導波部材を設置する工程と、
を含むことを特徴とする光デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−232706(P2011−232706A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105629(P2010−105629)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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