光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続方法
【課題】メカニカルスプライスを用いた光ファイバの接続を容易に実現する技術の開発。
【解決手段】メカニカルスプライス30長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバ21を把持固定し、スプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材81を割り入れたピグテイル付きメカニカルスプライス20と、前記スプライス30を脱着可能に保持したスプライスホルダ部60と、前記スプライス30に挿入してピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90をスライド移動させるレール部70とを具備する光ファイバ接続用ユニット10、それを用いてピグテイル光ファイバに挿入光ファイバを接続する光ファイバ接続方法を提供する。
【解決手段】メカニカルスプライス30長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバ21を把持固定し、スプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材81を割り入れたピグテイル付きメカニカルスプライス20と、前記スプライス30を脱着可能に保持したスプライスホルダ部60と、前記スプライス30に挿入してピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90をスライド移動させるレール部70とを具備する光ファイバ接続用ユニット10、それを用いてピグテイル光ファイバに挿入光ファイバを接続する光ファイバ接続方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバホルダに保持された光ファイバをメカニカルスプライス(光ファイバ接続器)に挿入してその内部で突き合わせ接続する光ファイバ接続工具が記載されている。
特許文献2には、光コネクタのクランプ部の半割りの素子間に割り込ませて素子間を開放しておく介挿部材と、左右から側圧によって上下寸法が増大するように変形させることで、上下の一方にある第1可動端部が介挿部材と係合して上下の他方に配置された光コネクタの素子間から介挿部材を引き抜く介挿部材駆動部とを具備する光コネクタ用工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−003218号公報
【特許文献2】特開2006−227575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メカニカルスプライスを用いた光ファイバの接続が容易な光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備し、前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てることが可能な光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第2の発明は、前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスをその幅方向両側から保持する2つの側壁部と、これらの側壁部を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部とを有し、前記2つの側壁部と前記底壁部とにより三方から囲まれる溝状の空間に前記メカニカルスプライスを収容しており、前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスの長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部及び後側ストッパ壁部を有する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第3の発明は、前記ピグテイル光ファイバの余長を収容するトレイをさらに具備する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第4の発明は、前記2つの側壁部に、収容した前記メカニカルスプライスに係合しての浮き上がりを規制する係止爪が突設されている第2の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第5の発明は、前記2つの側壁部は、前記メカニカルスプライスを介して互いに対向する位置に前記メカニカルスプライスの側面を露出するメカニカルスプライス取出し用切欠部を有する第2の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第6の発明は、前記トレイは、前記コネクタ付きピグテイルの光コネクタを脱着可能に保持するコネクタホルダ部を有する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第7の発明は、前記後側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに把持固定している前記ピグテイル光ファイバを挿通する上方に開いた切欠状の第1光ファイバ挿通部を有し、前記前側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに挿入される前記挿入光ファイバを挿通するための上方に開いた切欠状の第2光ファイバ挿通部を有する第2、4、5のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第8の発明は、前記トレイに抜き去り可能に外挿された筒状または袋状のカバーをさらに具備する第1〜7のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第9の発明は、前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるように前進させた前記ファイバホルダに係合してその前後動を規制するファイバホルダ係止機構をさらに具備する第1〜8のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第10の発明は、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備している光ファイバ接続用ユニットを用い、前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てる光ファイバ接続方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、メカニカルスプライスを用いた光ファイバの接続を効率良く、容易に実現できる。また、本発明にかかる光ファイバ接続用ユニットは、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。この光ファイバ接続用ユニットは、小型化も容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバの接続作業に幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1実施形態の光ファイバ接続用ユニットの構造を示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す平面図である。
【図3】図1の光ファイバ接続用ユニットのトレイに挿入工具部を一体成形したプラスチック製一体成形品のユニットベースの前側から見た構造を示す斜視図である。
【図4】図2のユニットベースの後側から見た構造を示す斜視図である。
【図5】図1の光ファイバ接続用ユニットのスプライスホルダ部におけるスプライスの保持状態を示す平面図であって、素子間に介挿部材を介挿していない状態のスプライスのスプライスホルダ部における収容状態を示す。
【図6】図1の光ファイバ接続用ユニットのピグテイル付きメカニカルスプライスを示す斜視図である。
【図7】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスの構造を説明する分解斜視図である。
【図8】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスにおけるピグテイルの挿入、把持状態を説明する断面図である。
【図9】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスの中蓋部材とベース部材との間、及び前蓋部材とベース部材との間を、スプライス用工具の介挿部材を割り込ませて開放した介挿部材付きスプライスの一例を説明する正断面図である。
【図10】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具付近を示す側断面図である。
【図11】図1の光ファイバ接続用ユニットのレール部にスライド移動させて、メカニカルスプライスへの挿入光ファイバの挿入に用いるファイバホルダの一例を示す斜視図である。
【図12】図11のファイバホルダの構造を説明する分解斜視図である。
【図13】図1の光ファイバ接続用ユニットのファイバホルダ係止機構によって、挿入光ファイバを把持したファイバホルダを係止した状態を示す平面図である。
【図14】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具の一対の係合壁部の先端間を開放させた状態を示す図である。
【図15】図1の光ファイバ接続用ユニットのトレイに抜き去り可能な筒状カバーを外挿した構成を示す図である。
【図16】図1の光ファイバ接続用ユニットを用いた光ファイバ接続方法、光ファイバ中継接続工法の一例を説明する図であって、(a)はクロージャ内に光ファイバ接続用ユニットを挿入した状態、(b)は光ファイバ接続用ユニットのピグテイル付きメカニカルスプライスを介して光ファイバケーブルの光ファイバ同士を接続した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1実施形態の光ファイバ接続用ユニットについて、図面を参照して説明する。
なお、前記光ファイバ接続用ユニットについて、図1〜図4において、上側を上、下側を下として説明する。
【0009】
図1〜図3に示すように、前記光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライス30(以下、単にスプライスとも言う)から光ファイバ21の先端に光コネクタ22を取り付けたコネクタ付きピグテイル23が延出するピグテイル付きメカニカルスプライ 第2の発明は、ス20(以下、ピグテイル付きスプライスとも言う)と、前記コネクタ付きピグテイル23を収容するトレイ50にスプライスホルダ部60及びレール部70(後述)を設けたユニットベース40とを有する。また、この光ファイバ接続用ユニット10は、前記スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30に、その半割り把持部材34に介挿部材81を割り入れて取り付けたスプライス用工具80を有している。
【0010】
図6、図7、図8に示すように、ピグテイル付きスプライス20のメカニカルスプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32とを、断面コ字形あるいはC形(図示例では断面コ字形)で延在する細長形状のクランプばね33の内側に一括保持した構成になっている。
このスプライス30は、ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とからなる半割り把持部材34を有する。ベース部材31と蓋部材321、322、323とは、クランプばね33の弾性によって互いに閉じ合わせ方向に弾性付勢されている。
【0011】
図6〜図8に示すように、ピグテイル付きスプライス20の前記光ファイバ21の光コネクタ22を取り付けた端部とは反対側の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入されている。
ピグテイル付きスプライス20のコネクタ付きピグテイル23は、前記光ファイバ21の長手方向片端に光コネクタ22を取り付けた構成のコネクタ付き光ファイバの、スプライス30の長手方向片端から延出させた部分である。
前記光ファイバ21を、以下、ピグテイル光ファイバ、この光ファイバ21の前記半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0012】
本明細書では、スプライス30について、その長手方向において、コネクタ付きピグテイル23が延出されている側を後、反対側を前として説明する。前記コネクタ付きピグテイル23は、スプライス30の半割り把持部材34の後端から延出している。
【0013】
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を、以下、後蓋部材、最も前側に位置する符号323の蓋部材を、以下、前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を、以下、中蓋部材とも言う。
【0014】
図6〜図8に例示した断面コ字状のクランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。スプライス30のベース部材30及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0015】
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、その先端がスプライス30のベース部材31と中蓋部材32との間に配置され、該先端から光コネクタ22側(延出端部側)の部分がスプライス30のベース部材31と後蓋部材31との間に把持固定されている。
ピグテイル付きスプライス20は、スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材32との間に光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端をピグテイル光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、このピグテイル付きスプライス20は、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、前記ピグテイル光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた光ファイバとを、前記クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0016】
前記ピグテイル光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、ピグテイル光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30でのピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aとピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0017】
図7、図8に示すように、スプライス30のベース部材31には、その長手方向全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが延在形成されている。このベース部材31の前記対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、ピグテイル光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと挿入光ファイバ1先端に口出された裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bが形成されている。この調心溝31bは、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されたV溝である。但し、調心溝31bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0018】
前記調心溝31bは、ベース部材31の前記対向面31aの中蓋部材323に対向する部分に形成されている。
ベース部材31の前記対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、前記調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において前記調心溝31bの両側に、ベース部材31長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
図示例のスプライス30において、被覆部挿入溝31c、31dはV溝である(被覆部挿入溝31dについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝31c、31dとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0019】
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、裸光ファイバ21a外周が被覆21bによって覆われた部分である被覆部を、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する対向面31a、321aにそれぞれ形成された被覆部挿入溝31c、321bに挿入し、前記被覆部の端末から突出する裸光ファイバ21aを前記調心溝31bに挿入して、ベース部材31と押さえ蓋32との間に設けられている。
そして、ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、前記被覆部が、後蓋部材321とベース部材31との間に、クランプばね33の弾性によって把持固定されている。
【0020】
後蓋部材321の被覆部挿入溝31cは、後蓋部材321の対向面321aにおける、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に形成されている。また、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、ピグテイル光ファイバ21の被覆部外径に鑑みて、後蓋部材321とベース部材31との間にピグテイル光ファイバ21の被覆部をしっかりと把持固定できるように、その深さが調整されている。すなわち、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、その深さの合計がピグテイル光ファイバ21の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0021】
図7、図8に示すように、調心溝31bの前側に形成された被覆部挿入溝31dには、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a外周が被覆1bによって覆われた部分である被覆部が挿入される。
また、図示例のスプライス30は、前蓋部材323の対向面323aにも、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。挿入光ファイバ1は、その先端に、予め裸光ファイバ1aを口出しした状態で、スプライス30前側から被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
【0022】
図10に示すように、スプライス用工具80は介挿部材81を2つ有している。
2つの介挿部材81は、一方(図中符号81Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号81Bを付記する)が前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている。
なお、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Aを、以下、第1介挿部材、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Bを、以下、第2介挿部材とも言う。
【0023】
第2介挿部材81Bは、前蓋部材323の前後方向中央部とベース部材31との間に介挿されている。半割りの素子間に介挿部材81を介挿したスプライス30(介挿部材付きスプライス)の前蓋部材323とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
後蓋部材321とベース部材31との間、及び中蓋部材322の後端部とベース部材31との間には、介挿部材81は介挿されていない。
【0024】
図8に示すように、前蓋部材323とベース部材31との間は、スプライス30前側から、被覆部挿入溝31d、323bに挿入光ファイバ1の被覆部を楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。中蓋部材322前端部とベース部材31との間は、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aを調心溝31bに楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。
【0025】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材81は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に、板状に形成された先端部81aを割り込ませている。
前蓋部材323とベース部材31との間、及び中蓋部材322前端部とベース部材31との間の開放量は、介挿部材81の板状の先端部81aの厚み寸法によって設定される。
第1介挿部材81Aによって開放された、中蓋部材322前端部とベース部材31との間の離隔距離は、裸光ファイバ21a、1aが調心溝31bと中蓋部材322の対向面322aとの間から離脱しない範囲に設定される。
第2介挿部材81Bによって開放された、前蓋部材323とベース部材31との間の離隔距離は、挿入光ファイバ1(その被覆部)が被覆部挿入溝31d、323bの間から離脱しない範囲に設定される。
【0026】
なお、介挿部材としては、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませる先端部(介挿片部)が板状になっているものに限定されない。
介挿部材の介挿片部としては、例えばシート状のもの、ロッド状のもの等も採用可能である。
【0027】
図9に例示した介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部として、板状の先端部81aを有する。以下、介挿部材本体83の板状の先端部81aを介挿片部とも言う。
介挿部材本体83の介挿片部81a以外の部分は、該介挿片部81aに比べて板厚(厚み寸法)が大きい板状に形成されている。
介挿部材81は、板状の介挿片部81aが、その板厚方向の両側から、スプライス30の蓋部材322、323とベース部材31の間に挟み込まれる向きで、蓋部材322、323とベース部材31の間に介挿される。
【0028】
介挿部材81の板状の介挿片部81aは、その先端が先細りのテーパ状に形成されている。この介挿部材81は、スプライス30の半割り把持部材34から抜き去った後に、その介挿片部81aを、ベース部材31と押さえ蓋32との間に押し込んで割り込ませる(介挿部材付きスプライスを組み立てる)ことが可能である。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30から介挿部材を取り外した状態で現場に供給し、現場にて、スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間にそれぞれ介挿部材の介挿片部を割り込ませて介挿部材付きスプライスを組み立てても良い。
【0029】
前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、前蓋部材323とベース部材31との間から介挿部材81Bを抜き去ったときに、前蓋部材323とベース部材31との間に挿入光ファイバ1の被覆部をしっかりと把持固定できるように、挿入光ファイバ1の被覆部外径に鑑みてその深さが調整されている。すなわち、前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、その深さの合計が挿入光ファイバ1の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0030】
図示例のスプライス30において、後蓋部材321、前蓋部材323の被覆部挿入溝321b、323bはV溝である(前蓋部材323の被覆部挿入溝323bについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝321b、323bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
また、被覆部挿入溝は、必ずしも、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の両方に形成する必要はない。スプライスとしては、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
このことは、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分についても同様であり、スプライスとしては、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
【0031】
図7、図8に示すように、中蓋部材322は、ベース部材31長手方向に沿う方向を長手方向とする細長板状に形成されている。この中蓋部材322は、既述のように、その前端部が第1介挿部材81Aによってベース部材31に対して開放されている。中蓋部材322の前端部から後側の部分とベース部材31との間には介挿部材は介挿されていない。中蓋部材322は、図8に示すように、その後側から前側に行くにしたがってベース部材31からの距離が増大するように、ベース部材31に対して傾斜している。このため、ピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端に口出しされている裸光ファイバ21aは、ベース部材31長手方向に沿う細長板状の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間では把持固定されているが、中蓋部材322の後端部から前側の部分とベース部材31との間では把持固定されていない。
【0032】
図6に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、前記クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、前記介挿部材81を挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。図7に示すように、この介挿部材挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面31a、321a、322a、323aの互いに対応する位置に形成された介挿部材挿入溝31g、321c、322c、323cによって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保されている。
なお、介挿部材挿入穴35は、半割り把持部材34の開放側の側面から、調心溝31b、被覆部挿入溝31c、31d、321b、323bに達しない深さで形成される。
また、介挿部材挿入穴35としては、ベース部材31及び蓋部材321、322、323の片方のみに形成した介挿部材挿入溝によって確保した構成も採用可能である。
【0033】
図6に示すように、図示例のスプライス30において、前記介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向に沿う前後方向中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。介挿部材81A、81Bは、4箇所の介挿部材挿入穴35のうち、中蓋部材322の前端部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35aを付記する)、前蓋部材323の前後方向中央部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35bを付記する)とに挿入されている。
【0034】
図8に示すように、中蓋部材322のベース部材31の調心溝31bに対面する部分には、平坦な対向面322aが形成されている。中蓋部材322は、該中蓋部材322とベース部材31との間に介挿されている第1介挿部材81Aを抜き去ったときに、クランプばね33の弾性によって、ピグテイル光ファイバ21先端の裸光ファイバ21aと、該裸光ファイバ21a先端に突き当てた挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aとを対向面22aで押圧して、調心溝31bに押さえ込むことができる。
【0035】
図7、図8に示すように、クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33b(図7、図8において上側の側板部33b)は、後蓋部材321と中蓋部材322との境界、及び中蓋部材322と前蓋部材323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0036】
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。第1〜3クランプばね部331〜333は、互いに独立したクランプばねとして機能する。
なお、図7、図8等において、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0037】
スプライス30は、3つのクランプばね部に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に後蓋部材321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中蓋部材322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に前蓋部材323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0038】
スプライス30の第1クランプ部は、第1クランプばね部331の弾性によって、後蓋部材321とベース部材31との間にピグテイル光ファイバ21の被覆部を把持固定した状態となっている。このスプライス30は、例えば中蓋部材322を該中蓋部材322とベース部材31との間への介挿部材の挿脱によって開閉(すなわち第2クランプ部の開閉)しても、第1クランプ部のピグテイル光ファイバ21の把持固定状態は安定に維持される。また、介挿部材の挿脱による第3クランプ部の開閉も、第1クランプ部のピグテイル光ファイバ21の把持固定状態に何等影響を与えない。
【0039】
図9、図10に示すように、スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部81a)を割り込ませた2つの介挿部材81と、この介挿部材81が取り付けられたスリーブ状の介挿部材駆動部82とを有する。
前記介挿部材81は、介挿部材駆動部82に形成された切欠部82aに通して、介挿部材駆動部82外側に突出させた板状の介挿部材本体83を有する。この介挿部材81の前記介挿片部81aは、前記切欠部82aを介して介挿部材駆動部82外側に突出させた前記介挿部材本体83の先端部を構成する。
前記スプライス用工具80は、前記介挿部材81の介挿片部81aとは反対側の基端側を、介挿部材駆動部82において前記切欠部82aが形成された壁部である受圧壁部86に対面する係止壁部85に取り付けた構成になっている。
【0040】
前記受圧壁部86は、前記切欠部82aが形成された平板状の板状主壁部86aに、介挿部材駆動部82外側に向かって突出する当接用突壁部86bを突設した構成になっている。
前記受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向に沿って延在する前記板状主壁部86aの延在方向中央部に、該板状主壁部86aの延在方向(前後方向)に垂直に突設されたリブ状の突壁である。また、この当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82において受圧壁部86(詳細には板状主壁部86a)と係止壁部85(詳細には後述の板状主壁部85a)との間を繋ぐ両側の駆動部側壁部88の間隔方向である左右方向(図9左右方向)に延在形成されている。
【0041】
前記切欠部82aは、受圧壁部86の板状主壁部86aに、その前後方向両端から、前後方向に沿う細長に延在形成されている。受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向において、前後の切欠部82aの間に位置する。
スプライス用工具80の2つの介挿部材81は、その介挿部材本体83を、前記当接用突壁86aを介して前後の切欠部82aに通して設けられている。
【0042】
介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部81aとは反対側の基端側に、係止壁部85に、前記受圧壁部86側から当接される当接壁部83aを有する。
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85は、受圧壁部86の板状主壁部86aに平行に形成された板状主壁部85aに、該板状主壁部85aから受圧壁部86に向かって突出する突壁部85bを突設した構成になっている。
介挿部材81の当接壁部83aは、係止壁部85の突壁部85b突端の端面に受圧壁部86側から当接可能になっている。
【0043】
また、介挿部材81は、前記介挿部材本体82の基端部(当接壁部83a)から、前記介挿片部81aとは反対の側(介挿部材81の基端側)へ延出させた係合片84を有する。そして、この介挿部材81は、前記係合片84を、前記係止壁部85を貫通する貫通孔85cに通し、前記係止壁部85外側(受圧壁部86とは反対の側)に突出させた係合片84先端部(延出端部)の側面に突設してある係合爪84aを、前記係止壁部85に係合可能に配置して、前記介挿部材駆動部82に取り付けている。
【0044】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85の貫通孔85cは、その一端が突壁部85b突端の端面に開口している。貫通孔85cの他端は、係止壁部85に板状主壁部85a外面(介挿部材駆動部82内側とは反対側の面)から窪んで形成された凹部85d内に開口している。前記凹部85dは、前記貫通孔85cの他端を拡張した穴状に形成されている。介挿部材81の係合片84の係合爪84aは、前記貫通孔85cの他端と凹部85dとの境界の段差面85eから介挿部材駆動部82外側方向に突出された係合片84の先端部側面に突設されている。この係合爪84aは、受圧壁部86とは反対の側から前記段差面85eに係合可能となっている。
【0045】
図示例の介挿部材81は、前記係合片84の係合爪84aと前記当接壁部83aとの間に、前記係止壁部85の前記貫通孔85cの長さ(軸線方向寸法)に比べて若干長い離隔距離を確保してある。したがって、この介挿部材81は、前記係止壁部85に対して前記貫通孔85cの軸線方向に若干の可動範囲を確保して、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けられている。
【0046】
なお、スプライス用工具としては、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間の離隔距離を係止壁部85の貫通孔85cの長さに揃えて、介挿部材81を介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けた構成も採用である。この構成の場合、介挿部材81は、係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間に係止壁部85を挟み込んで、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に対して前記貫通孔85cの軸線方向への変位を規制した状態で取り付けられる。
【0047】
2つの介挿部材81A、81Bは、介挿部材駆動部82にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、スプライス用工具80について、介挿部材駆動部82の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材81は、その板状の介挿部材本体83の厚み方向が、介挿部材駆動部82の前後方向に垂直の向きで介挿部材駆動部82に取り付けられている。
【0048】
そして、スプライス用工具80は、介挿部材81の前記介挿部材本体83の介挿部材駆動部82外側に突出させた先端部を、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。このスプライス用工具80は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材本体83は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
【0049】
図9に示すように、スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33からその開放側(背板部33aとは反対側)に突出されている。スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の当接用突壁部86bをスプライス30の半割り把持部材34に当接させてスプライス30に取り付けられている。
【0050】
このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、前記介挿部材81を介して両側(図9において左右両側。図9における左右方向を、以下、スプライス用工具80の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が増大する。その結果、このスプライス用工具80は、介挿部材81を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
介挿部材駆動部82に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部82を握って行うことができる。
【0051】
また、このスプライス用工具80は、前記受圧壁部86の前記切欠部82aを介して両側、すなわち、前記切欠部82aに前記受圧壁部86に垂直の向きで通されている介挿部材本体83を介して両側(図9において左右両側)から前記介挿部材本体83と平行の向きで、介挿部材駆動部82外側に突出された一対の係合壁部87を有する。
そして、このスプライス用工具80は、前記一対の係合壁部87の突端部から、該一対の係合壁部87の互いに対面する内面側に突出された突爪87aを、トレイ50に形成されているスプライスホルダ部60の両側(図示例では後述のスプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69)に係合させて前記トレイ50に取り付けられる。スプライス用工具80は、係合壁部87をスプライスホルダ部60に係合させることで、トレイ50にしっかりと取り付けることができ、トレイ50に対する位置ずれが生じにくくなる。
【0052】
但し、このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82にその左右両側から側圧Pを与えて、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業を行うとき、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、一対の係合壁部87のスプライスホルダ部60に対する係合を解除できる。
一対の係合壁部87のスプライスホルダ部60に対する係合、及び係合解除については、後で説明する。
【0053】
図1〜図4に示すように、ここで説明する光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース40は、トレイ50に設けられたスプライスホルダ部60の前側に、前記スプライスホルダ部60に保持したスプライス30に挿入する挿入光ファイバ1を把持固定したファイバホルダ90をスライド移動させるレール部70を有する。スプライスホルダ部60とレール部70とは、ファイバホルダ90を取り付けた挿入光ファイバ1を、スプライスホルダ部60に保持したスプライス30に挿入する作業を円滑に行うための挿入工具部41を構成する。
【0054】
図示例のユニットベース40は、プラスチック製の一体成形品である。
但し、ユニットベースとしては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成としても良い。例えば、挿入工具部41のスプライスホルダ部60がトレイ50に対して脱着可能な別体になっている構成、レール部70がスプライスホルダ部60に脱着可能な別体になっている構成なども採用可能である。
【0055】
図1、図2に示すように、ピグテイル付きスプライス20は、トレイ50のスプライスホルダ部60にスプライス30を収容し、光コネクタ22をトレイ50に設けられたコネクタホルダ部57に取り付け、ピグテイル光ファイバ21の余長をトレイ50の底板部51上に突設されているマンドレル53の周囲に巻回状態に湾曲して、トレイ50に収容されている。
【0056】
スプライスホルダ部60は、トレイ50前端に開口する前側ファイバ挿通部66(第2光ファイバ挿通部。ファイバ導入口。)を有する。スプライスホルダ部60は、トレイ50前側(レール部70側)からスプライス30に挿入する挿入光ファイバ1を、該スプライスホルダ部60に保持されて前側ファイバ挿通部66後側に配置されたスプライス30に、前記前側ファイバ挿通部66を介して導くことができる。
【0057】
トレイ50において、スプライスホルダ部60は、その前端をレール部70に臨ませて設けられている。レール部70はスプライスホルダ部60の前側に設けられている。
本明細書では、光ファイバ接続用ユニット10について、レール部70側を前、反対側(トレイ50側)を後として説明する。また、トレイ50及びスプライスホルダ部60について、レール部70を前、反対側を後として説明する。
また、光ファイバ接続用ユニット10について、トレイ50の底板部51外周から外周壁52(後述)及びスプライス載せ台部61(後述)が突出されている方向を上(図1、図3、図9、図10において上側)、反対方向を下として説明する。
【0058】
図1〜図4に示すように、前記トレイ50は、細長形状の底板部51と、該底板部51の外周に立設された外周壁52とを有する。
前記スプライスホルダ部60は、前記トレイ50の底板部51上に突設され、前記底板部51の前端から後側に向かって延在形成されたスプライス載せ台部61(以下、単に載せ台部とも言う。)を有する。
この載せ台部61は、前記底板部51の上面51aから上側にずれた位置に、底板部上面51aに平行に形成されたスプライス載せ面61aを有する。
【0059】
また、このスプライスホルダ部60は、トレイ50の底板部51のうち前記載せ台部61の下側に位置する部位を含む。
このスプライスホルダ部60は、載せ台部61と、トレイ50の底板部51のうち前記載せ台部61の下側に位置する部位とが構成する底壁部60aを有する。
【0060】
前記スプライスホルダ部60は、前記スプライス30をその両側から保持する2つの側壁部69(以下、ホルダ側壁部とも言う)と、これらのホルダ側壁部69を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部60aとを有する。そして、このスプライスホルダ部60は、底壁部60a上に突設されて前後方向に延在する2つのホルダ側壁部69と前記底壁部60aとにより三方から囲まれる溝状の空間に前記スプライス30を収容している。
【0061】
図9に示すように、スプライス30は、クランプばね33の前記背板部33aが載せ台部61上のスプライス載せ面61aに当接し、背板部33aの両側の側板部33bが、ホルダ側壁部69の互いに対向する内面に沿って延在する向きで、2つのホルダ側壁部69と前記底壁部60aとにより三方から囲まれる溝状の空間に収容されている。
【0062】
スプライスホルダ部60の2つのホルダ側壁部69の互いに対向する内面は、それぞれ、トレイ50の底板部上面51aに垂直、かつユニット前後方向に互いに平行に延在形成されている。
スプライスホルダ部60について、一対のホルダ側壁部69の間隔方向を、以下、幅方向(ホルダ部幅方向)として説明する。
【0063】
前記ホルダ側壁部69は、前記底壁部60aの両側(詳細には載せ台部61の両側)から、該載せ台部61の前記スプライス載せ面61aよりも上方に突出され、載せ台部621の長手方向(すなわち前後方向)に沿って延在形成された突壁である。
図2〜図5に示すように、図示例のスプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69は、その延在方向両端(前後両端)の間に形成された切欠部67から前側の前側壁部62と、前記切欠部67から後側の後側壁部63とに分断されている。
【0064】
スプライスホルダ部60の幅方向両側のホルダ側壁部69の切欠部67は、光ファイバ接続用ユニット10前後方向(トレイ前後方向)における形成位置が互いに同じに揃えられている。スプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69の切欠部67は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30を、作業者が手指、あるいは挟持用工具等を用いて両側から把持することを可能にする。前記切欠部67は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30を両側から把持して、スプライスホルダ部60からその上方へ取り出すことを可能とするメカニカルスプライス取出し用切欠部(図5等参照。以下、単に、取出し用切欠部とも言う)として機能させることができる。
【0065】
図示例のスプライスホルダ部60において、前記後側壁部63の前後方向の延在寸法(延在長)は、前側壁部63の前後方向の延在長に比べて短くしてある。スプライスホルダ部60の両側の前記前側壁部62は、ホルダ側壁部69の前端から長手方向中央部まで延在形成されている。前記取出し用切欠部67は、前記後側壁部63の前端と、前側壁部63の後端との間に形成されている。
【0066】
図1〜図5に示すように、このスプライスホルダ部60の一対の前側壁部62の間には、前記底壁部60aの載せ台部61a上に載置したスプライス30の前端部を収容する前側スプライス収容溝62d(図2〜図5参照)が確保されている。
また、スプライスホルダ部60の一対の後側壁部63の間には、前記スプライス30の後端部を収容する後側スプライス収容溝62eが確保されている。
図示例のスプライスホルダ部60は、底壁部60aの載せ台部61a上に載置したスプライス30の前端部を前記前側スプライス収容溝62dに収容し、前記スプライス30の後端部を前記後側スプライス収容溝62e収容した状態で、スプライス30を保持している。
【0067】
図1〜図5に示すように、載せ台部61及びその両側の一対の前側壁部62の前端は、レール部70に臨ませて設けられ、トレイ50前端面に連続する前端面を形成している。また、前記一対の前側壁部62は、載せ台部61前端からその長手方向(前後方向)中央部まで延在形成されている。
底壁部60aの載せ台部61上に載置したスプライス30は、その前端から長手方向中央部までの範囲、より具体的には、第3クランプ部のスプライス長手方向全体と、第2クランプ部の長手方向中央部から前側の部分とが、一対の前側壁部62の間に収容される。
【0068】
前記スプライス30は、クランプばね33の前記背板部33a側が下側、背板部33aとは反対の開放側が上側の向きで、スプライスホルダ部60上方から、その前端部を前記一対の前側壁部62の間に押し込み、後端部を前記一対の後側壁部63に押し込んで、載せ台部61上に設置される。
また、図5、図9に示すように、載せ台部61上に設置したスプライス30は、第3クランプ部の第3クランプばね部333の一対の側板部333bの突端(上端)が、前側壁部62の互いに対面する内面側に突設されている係止爪62cの下側に配置され、係止爪62cによって載せ台部61からの浮き上がりを生じないように係止される。
【0069】
スプライス30は、一対の前側壁部62の間に押し込むときに、クランプばね33を前記係止爪62c上方から下方へ乗り越えさせる。その結果、クランプばね33が係止爪62cを乗り越えたとき、前記側板部33bの突端が係止爪62c下側に入り込み、上方への浮き上がりを生じないように係止される。
【0070】
スプライス30の第3クランプ部は、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている介挿部材81Bがスプライス30から抜き去られると、クランプばね33の第3クランプばね部333の一対の側板部333b間の離隔距離が縮小する。一対の前側壁部62の間に保持されたスプライス30(介挿部材付きスプライス)の第3クランプ部は、介挿部材81Bの抜き去りによって、前記係止爪62cによる前記側板部33bの係止が解除される。その結果、スプライス30の、一対の前側壁部62間から取り出し、スプライスホルダ部60からの取り出しが可能となる。
このため、スプライスホルダ部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
【0071】
なお、スプライスホルダ部60は、例えば、作業者が手指で前側壁部62を弾性変形させて一対の前側壁部62間の離隔距離を強制的に増大させることで、前記係止爪62cによるスプライス30の係止(クランプばね33の側板部33bの係止)を解除可能な構成としても良い。
【0072】
スプライス30について、クランプばね33の両側の側板部33bの間隔方向、すなわち図2、図5、図8における上下方向、図9、図14における左右方向を、以下、幅方向とも言う。
クランプばね33の両側の側板部33bは、半割り把持部材34を介して、その幅方向両側に配置されている。図5、図9に示すように、介挿部材付きスプライスの第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法は、各前側壁部62に突設されている係止爪62cの突端間の距離よりも若干大きく、かつ一対の前側壁部62間の離隔距離よりも小さい。
【0073】
スプライス30の半割り把持部材34は、ベース部材31及び後蓋部材321のクランプばね33から後側に突出する部分からそれぞれ対向面31a、321aとは反対の側に張り出させた後端張出部31h、321dを有する。スプライス30の半割り把持部材34のクランプばね33後端から後側に突出した部分(後端張出部31h、321dを含む)は、外観が概ね角形ブロック状の後端係合突部を構成する。
【0074】
また、スプライス30の半割り把持部材34は、ベース部材31及び前蓋部材323のクランプばね33から前側に突出する部分からそれぞれ対向面31a、323aとは反対の側に張り出させた前端張出部31j、323dを有する。スプライス30の半割り把持部材34のクランプばね33前端から前側に突出した部分(前端張出部31j、323dを含む)は、外観が概ね角形ブロック状の前端係合突部を構成する。
【0075】
スプライス30のベース部材31のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの、後端張出部31h及び前端張出部31jの突出寸法は、クランプばね33の側板部33bの板厚よりも若干大きくしてある。また、後蓋部材311のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの後端張出部321dの突出寸法、及び、前蓋部材323のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの前端張出部323dの突出寸法も、クランプばね33の側板部33bの板厚に比べて若干大きくしてある。
【0076】
後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚みと、前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みとは、互いに同じに揃えられている。また、板状の中蓋部材322の厚み、すなわち中蓋部材322の対向面322aとクランプばね33の側板部33bが当接される背面との間の距離は、後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚み、及び前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みと同じに揃えられている。
【0077】
介挿部材付きスプライスは、第1〜第3クランプ部のうち、第3クランプ部の前端係合突部が、幅方向寸法が最大の部位となっている。
介挿部材付きスプライスの後端係合突部の幅方向寸法は前端係合突部の幅方向寸法よりも小さい。また、介挿部材付きスプライスの第1クランプ部における後端係合突部から前側部分、及び第2クランプ部の幅方向寸法は、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法よりも小さい。
【0078】
前記前端係合突部の幅方向寸法は、該前端係合突部の幅方向両側の前端張出部31j、323dの突端の端面である係合面31k、323e間の距離である。
前蓋部材323の前端張出部323d突端の係合面323eは、前蓋部材323の対向面323aに平行に形成されている。ベース部材31の前端張出部31j突端の係合面31kは、ベース部材31の対向面31aに平行に形成されている。したがって、前端係合突部の幅方向両側の係合面31k、323eは、前蓋部材323及びベース部材31の対向面323a、31a同士が互いに平行であるとき互いに平行となる。
なお、介挿部材付きスプライスの前端係合突部において、幅方向両側の係合面31k、323eは、概ね互いに平行になっている。
【0079】
図5は、ベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿部材81を介挿していない状態のスプライス30のスプライスホルダ部60における収容状態を示す平面図である。
介挿部材付きスプライスの第3クランプ部の幅方向寸法は、半割りの素子間に介挿部材を介挿していないスプライス30の第3クランプ部の幅方向寸法に比べて大きい。
介挿部材付きスプライスにおける第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法(幅寸法の最大値)は、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62間の離隔距離と同じか、僅かに小さくする。
【0080】
ここでは、介挿部材付きスプライスとして、第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法の最大値を、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62間の離隔距離と同じに揃えたものを採用している。
この介挿部材付きスプライスは、第3クランプ部がスプライスホルダ部60の一対の前側壁部62の間に嵌め込み状態に嵌合固定され、スプライスホルダ部60に対する収容状態が安定する。
【0081】
スプライス30の前端部は、前記前端係合突部の幅方向両側の係合面31k、323eを、載せ台部61の両側の前側壁部62の互いに対面する内面に対面させて、一対の前側壁部62の間に挿入されている。前側スプライス収容溝62d内に収容されたスプライス30の前端部は、スプライス30にその前後方向の軸線回りの回転力が作用したときに、前記前端係合突部の幅方向両側の前端張出部31j、323dとスプライスホルダ部60の両側の前側壁部62との当接によって、スプライスホルダ部60に対して回り止めされる。スプライス30の前端部は、一対の前側壁部62の間に、スプライスホルダ部60に対して回り止めして保持されている。
【0082】
図5に示すように、介挿部材付きスプライスの第1クランプ部の後端係合突部の幅方向寸法は、第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法よりも僅かに小さい。
前記後端係合突部の幅方向寸法は、該後端係合突部の幅方向両側の後端張出部31h、321dの突端の端面である係合面31i、321e間の距離である。
【0083】
後蓋部材321の後端張出部321d突端の係合面321eは、後蓋部材321の対向面321aに平行に形成されている。ベース部材31の後端張出部31h突端の係合面31iは、ベース部材31の対向面31aに平行に形成されている。したがって、後端係合突部の幅方向両側の係合面31i、321eは、後蓋部材321及びベース部材31の対向面321a、31a同士が互いに平行であるとき互いに平行となる。
介挿部材付きスプライスの後端係合突部において、幅方向両側の係合面31i、321eは、概ね互いに平行になっている。
【0084】
図示例のスプライス30において、介挿部材81を抜き去りピグテイル光ファイバ21と同径(被覆部の外径が同じ)の挿入光ファイバ1を把持固定した前蓋部材323及びベース部材31の対向面323a、31a同士が互いに平行であるときの前端係合突部の幅方向寸法は、第1クランプ部の後端係合突部の幅方向と同じである。
本実施形態では、挿入光ファイバ1としてピグテイル光ファイバ21と同径のものを用いる。但し、挿入光ファイバ1としては、必ずしも、その外径(被覆部の外径)が、ピグテイル光ファイバ21の被覆部の外径と同じものを採用する必要は無い。また、挿入光ファイバ1としては、その裸光ファイバ1aの径が、ピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aの径と同じものを採用する。
【0085】
スプライス30の後端部は、前記後端係合突部を構成する後端張出部31h、321dに概ね互いに平行に形成された係合面31i、321eを、載せ台部61の両側の後側壁部63の互いに対面する内面に対面させて、一対の後側壁部63の間に挿入されている。
後側スプライス収容溝62e内に収容されたスプライス30の後端部は、スプライス30にその前後方向の軸線回りの回転力が作用したときに、前記後端係合突部の幅方向両側の後端張出部31h、321dとスプライスホルダ部60の両側の後側壁部63との当接によって、スプライスホルダ部60に対して回り止めされる。スプライス30の後端部は、一対の後側壁部63の間に、スプライスホルダ部60に対して回り止めして保持されている。
【0086】
この結果、介挿部材付きスプライスは、前端係合突部と前側壁部62との係合、及び後端係合突部と後側壁部63との係合によって、スプライスホルダ部60、トレイ50に対して回り止めして取り付けられている。また、スプライスホルダ部60に保持された介挿部材付きスプライスは、一対のホルダ側壁部69によってホルダ部幅方向に位置決めして保持される。
【0087】
介挿部材付きスプライスは、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分を、スプライスホルダ部60に対して回り止めするための回り止め係合部として機能させることも可能である。介挿部材付きスプライスとしては、例えば、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法を前端係合突部の幅方向寸法に揃えた構成も採用可能である。
また、介挿部材付きスプライスとしては、半割り把持部材34の前後両端部に回り止め係合部として形成した前端係合突部及び後側係合突部を省略し、前端係合突部を省略した第3クランプ部(図示例の第3クランプ部における前端係合突部から後側部分)を、スプライスホルダ部60に対して回り止めするための回り止め係合部として機能させることも可能である。
【0088】
また、スプライスホルダ部60としては、一対の後側壁部63間の互いに対面する内面が、一対の前側壁部62の互いに対面する内面の延長上に位置する構成に限定されない。スプライスホルダ部60としては、例えば、一対の後側壁部63におけるスプライス30の後端係合突部の幅方向両側の係合面31i、321eが対面配置される部分間の離隔距離を後端係合突部の幅方向と揃えた構成も採用可能である。
【0089】
また、前記スプライスホルダ部60は、前記スプライス30の長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部64及び後側ストッパ壁部65を有する。
前側ストッパ壁部64は、載せ台部61の前端部上に突設されている。図示例のスプライスホルダ部60において、前記前側ストッパ壁部64は、ホルダ部幅方向両側のホルダ側壁部69の間に形成されている。また、この前記前側ストッパ壁部64のホルダ部幅方向の中央部には、挿入光ファイバ1を挿通するための既述の前側ファイバ挿通部66(第2光ファイバ挿通部)が、上方に開いた切欠状に形成されている。
【0090】
前記後側ストッパ壁部65は、前記載せ台部61後端部のスプライス載せ面61a上に突出され、ホルダ部幅方向に延在する突壁状に形成されている。また、この後側ストッパ壁部65には、前記スプライス30後端から延出するピグテイル光ファイバ21を挿通する後側ファイバ挿通部65a(第1光ファイバ挿通部)が、上方に開いた切欠状に形成されている。
【0091】
前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65との間の離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に揃えてある。
図2に示すように、スプライス30は、前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65との間に嵌め込んで、前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65とによってトレイ50に対する前後方向の位置ずれを規制した状態で、載せ台部61上に設置される。
【0092】
スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、スプライスホルダ部60の幅方向両側のホルダ側壁部69に形成された既述の取出し用切欠部67を利用して作業者が手指で把持して、スプライスホルダ部60からの取り出し作業を楽に行える。
また、前記スプライスホルダ部60には、その底壁部60aを上下に貫通して、該底壁部60aの下面を形成するトレイ底板部51下面(上面51aとは反対側の面)と載せ台部61のスプライス載せ面61aに開口する上下貫通孔68が形成されている。このスプライスホルダ部60は、その下側(図示例の光ファイバ接続用ユニット10にあってはトレイ50下側)から前記上下貫通孔68に挿入した突き出し棒等の突き出し部材によって、スプライス30をスプライスホルダ部60から突き出して取り出すことも可能である。
【0093】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34a(前側テーパ状開口部)の後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
図6、図7に示すように、前記テーパ状開口部34aはスプライス30の半割り把持部材34の前端面34cの中央部に概ね円形に開口している。このため、半割り把持部材34の前端面34cは前記テーパ状開口部34a周囲にリング状に存在する。
【0094】
図2、図5に示すように、前側ストッパ壁部64には、その後側から、スプライス30の半割り把持部材34の前端面34cが当接される。また、スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、半割り把持部材34の前端面34cに開口するテーパ状開口部34aが前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66と連通される。
【0095】
図3、図4に示すように、図示例のスプライスホルダ部60の前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66は、前側ストッパ壁部64上面から窪んで前後方向に延在し、前側ストッパ壁部64の前後に開口する溝状に形成されている。
また、図示例の前側ファイバ挿通部66は、その前側から後側に行くにしたがって溝幅が縮小していくテーパ状に形成された溝(テーパ溝)となっている。この前側ファイバ挿通部66は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30の被覆部挿入溝323b、31dへ挿入する挿入光ファイバ1を、スプライスホルダ部60の前側からスプライス30前端のテーパ状開口部34aに円滑に導く機能を果たす。
【0096】
図示例の前側ファイバ挿通部66は、その後端のホルダ部幅方向の寸法(溝幅寸法)を、スプライス30のテーパ状開口部34a前端のスプライス幅方向の最大寸法に比べて若干小さくしてある。スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、そのテーパ状開口部34aのうち、少なくとも被覆部挿入溝323b、31dの延長上に位置する部分が、前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66後端と連通される。また、前記スプライス30は、半割り把持部材34の前端面34cが、前側ストッパ壁部64の後端面にその後側から当接される。
【0097】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34b(以下、後側テーパ状開口部とも言う)が開口している。この後側テーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
【0098】
前記後側テーパ状開口部34bはスプライス30の半割り把持部材34の後端面34dの中央部に概ね円形に開口している。このため、半割り把持部材34の後端面34dは前記後側テーパ状開口部34b周囲にリング状に存在する。
図3に示すように、前記後側ストッパ壁部65の後側ファイバ挿通部65aは、スプライス30の半割り把持部材34の後側テーパ状開口部34b後端の内周に概ね一致する凹曲面を底面とする溝状に形成されている。
【0099】
後側ストッパ壁部65の前面は、スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30の半割り把持部材34の後端面34dの下端部に概ね一致する形状となっている。スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、その半割り把持部材34の後端面34dの下端部を、後側ストッパ壁部65にその前側から当接させて、前側ストッパ突壁64との後側ストッパ突壁65との間に保持される。
スプライス30後端から後側へ延出するピグテイル光ファイバ21は、後側ストッパ壁部65の後側ファイバ挿通部65aに通される。
【0100】
図3、図4に示すように、図示例のトレイ50において、スプライスホルダ部60は、トレイ50の底板部51の前後方向に垂直の幅方向(図2において上下方向)の片方の端部に形成されている。
なお、トレイ50について、底板部51の幅方向に一致する方向を幅方向として説明する。スプライスホルダ部60の幅方向、すなわち一対のホルダ側壁部69の間隔方向は、トレイ幅方向に一致している。
【0101】
トレイ50の外周壁52は、底板部51外周のうち、スプライスホルダ部60の形成箇所を除いた部分の全体にわたって延在形成されている。この外周壁52は、スプライスホルダ部60の形成箇所には形成されていない。
このトレイ50は、スプライスホルダ部60の後方にて、底板部51上に突設された円筒状のマンドレル53を有する。また、このトレイ50のコネクタホルダ部57は、トレイ50前端部の、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側に形成されている。
【0102】
前記外周壁52は、スプライスホルダ部60後端から底板部51後端を経由して、スプライスホルダ部60前端まで、底板部51外周に沿って延在形成されている。外周壁52の延在方向の一端は、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62のうち、載せ台部61からトレイ50内方に位置するもの(図中符号62bを付記する)に一体化され、延在方向の他端は、一対の後側壁部63のうち、載せ台部61からトレイ50外側に位置するもの(図中符号63aを付記する)に一体化されている。
【0103】
スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62のうち、載せ台部61からトレイ50外側に位置するものに図中符号62a、一対の後側壁部63のうち、載せ台部61からトレイ50内方に位置するものに図中符号63aを付記する。
トレイ50の底板部51には、スプライスホルダ部60に沿って前後方向に延在する長孔54が形成されている。既述のように、スプライスホルダ部60の底壁部61aは、トレイ底板部51のうち、載せ台部61が形成された部位を含む。前記長孔54のトレイ幅方向に一致する幅方向両側の内側面の片方は、スプライスホルダ部60の載せ台部61によって形成されている。
【0104】
前記前側壁部62は、その下端部がトレイ底板部51に一体化された前側部分の後側に、前記長孔54上に張り出した部分(後側部分)を有する。この前側壁部62の前記後側部分の下端面は、トレイ底板部51の上面51aの延長上に延在している。
なお、図示例の光ファイバ接続用ユニットにおいて、スプライスホルダ部60の前側壁部62の前側部分及び後側壁部63は、前記載せ台部61の両側に一体化されているとともに、その下端部が前記トレイ底板部51に直接一体化されている。前記前側壁部62は、その前後方向全長にわたって前記載せ台部61に一体化されている。但し、前側壁部62及び後側壁部63は、前記載せ台部61の両側に一体化されていれば良く、必ずしもトレイ底板部51に直接一体化されていなくても良い。
【0105】
図9に示すように、前記長孔54には、スプライス用工具80の一対の係合壁部87の片方が挿入される。
前記スプライス用工具80は、受圧壁部86の当接用壁部86aを載せ台部61から上に突出する一対の前側壁部62の突端に当接させ、一対の係合壁部87の突端部の突爪87aを、スプライスホルダ部60の載せ台部61の両側の前側壁部62にその下側から係合させて、載せ台部61、トレイ50に取り付けられている。
【0106】
本実施形態において、コネクタホルダ部57は、トレイ50の底板部51上に突設した複数の突起によって光コネクタ22を保持する構成のものである。
図2、図3等に示すように、図示例のトレイ50のコネクタホルダ部57は、トレイ50の前端部に設けられている。また、このコネクタホルダ部57は、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側の端部に設けられている。
【0107】
図示例の前記コネクタホルダ部57は、前記外周壁52のトレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側に前後方向に延在する部分(後述の第2コネクタ保持壁52e)と、該部分から光コネクタ22を嵌め込むスペース(コネクタ収容スペース56)を空けてトレイ底板部51上に突設した突壁55(突起)とを、光コネクタ22を保持するためのコネクタ保持壁としたものである。前記突壁55は、トレイ底板部51上に前後方向に延在させて形成されている。
以下、前記突壁55を第1コネクタ保持壁、外周壁52のうち、光コネクタ22が嵌め込まれるコネクタ収容スペース56を介して第1コネクタ保持壁55に対面する部分を第2コネクタ保持壁52eとも言う。
【0108】
図示例のトレイ50は、その前後方向を長手方向とする平面視長方形状に形成されている。トレイ50の外周壁52は、トレイ50前端にトレイ幅方向に沿って延在する前壁部52aと、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側の端部に前後方向に延在形成された第1外周側壁部52bと、トレイ50前端にトレイ幅方向に沿って延在する後壁部52cと、スプライスホルダ部60の後側壁部63aから後側へトレイ前後方向に沿って延在形成された第2外周側壁部52dとを有する。
前記コネクタホルダ部57は、前記第1外周側壁部52bの前端部を、前記第2コネクタ保持壁52eとしている。
【0109】
図2、図3等に示すように、前記光コネクタ22は、フェルール22aを収容するスリーブ状のハウジング22bの、前記フェルール22a先端部(接合端面22a1が形成されている端部)側の端部である前端部両側から、コネクタ後側に向かって細長の弾性片であるラッチ22cが延出する構成のものである。ハウジング22bの両側のラッチ22cは、ハウジング22b前端部からコネクタ後側に行くにしたがって前記ハウジング22bからの距離が増大するように延出されている。
第1コネクタ保持壁55は、概ね、光コネクタ22のハウジング22bの長さと同程度の長さで、底板部51上に前後方向に延在形成されている。
【0110】
前記ラッチ22cの長手方向(ハウジング22bからの延出方向)中央部には、光コネクタ22を挿入して嵌合する光コネクタアダプタ、ソケットといった嵌合ハウジングに係合する係合爪22dが突設されている。この係合爪22dは、ラッチ22cにおいてハウジング22bとは反対の側に突設されている。
【0111】
光コネクタ22は、前記ハウジング22bを、一対のコネクタ保持壁55、52eの間のコネクタ収容スペース56に収容してトレイ底板部51上に配置し、両側のラッチ22cを一対のコネクタ保持壁55、52eに当接させて、一対のコネクタ保持壁55、52eの間に嵌め込んだ状態で、コネクタホルダ部57に保持される。また、この光コネクタ22は、ラッチ22cの係合爪22dをコネクタ保持壁55、52eに形成した係合用切欠部55a、52fに入り込ませ、前記ラッチ22cをコネクタ保持壁55、52eに係合させて、コネクタホルダ部57に保持される。
【0112】
コネクタホルダ部57に保持された光コネクタ22は、ハウジング22bからコネクタ後側へ延出する一対のラッチ22cの先端部(突端部)に形成されたレバー部22eを互いに接近させるように操作し、一対のコネクタ保持壁55、52eに対する係合爪22dの係合を解除することで、コネクタホルダ部57から取り出すことができる。レバー部22eは、ラッチ22cにおいてハウジング22bとは反対の側に突設された突起状に形成されている。
前記コネクタホルダ部57は、一対のコネクタ保持壁55、52eの間に保持した光コネクタ22の一対のラッチ22cの一方のレバー部22eが、トレイ前後方向において第1コネクタ保持壁55の後側に配置され、他方のラッチ22cのレバー部22eが、第2コネクタ保持壁52eに形成したレバー部用切欠部52gに挿入されるように構成されている。
【0113】
また、図示例の光コネクタ22は、円筒部の片端側が有底で反対端側が開口している有底円筒状のキャップ22fをフェルール22a先端部に脱着可能に外挿した状態でコネクタ収容スペース56に収容して、コネクタホルダ部57に脱着可能に保持されている。
【0114】
スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30後端から延出するピグテイル光ファイバ21の余長の湾曲処理は、既述のマンドレル53の周囲に巻回状態にするほか、トレイ底板部51上での湾曲配線によっても行える。
光ファイバ接続用ユニット10は、ピグテイル光ファイバ21の余長を湾曲処理した状態でトレイ50内にコンパクトに収容できる。
【0115】
図2〜図4に示すように、レール部70は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面71が形成された台部72上に、ファイバホルダ90の移動を案内する一対の案内壁部73を互いに平行に突設した概略構成になっている。
一対の案内壁部73は、トレイ前後方向に一致するレール部70の前後方向に、互いに離隔させて延在形成されている。また、一対の案内壁部73の間隔方向は、トレイ幅方向に一致している。
前記スライド面71は、一対の案内壁部73の間に位置する台部72上面であり、レール部70前後方向に延在形成されている。また、スライド面71は、スプライスホルダ部60前端に開口する前側ファイバ挿通部66から下側にずれた所に位置する。
【0116】
このレール部70は、スプライスホルダ部60前端から前側へ延出されている。
このレール部70について、スプライスホルダ部60側を後、その反対側を前として説明する。
【0117】
図11、図12に、ファイバホルダの一例を示す。
このファイバホルダ90について、図11の上側を上、下側を下として説明する。
図11、図12に示すように、ファイバホルダ90は、板状の前板部91の後側に枠状のスライダガイド部92を有する平面視長方形状の扁平な部材であるホルダ本体93と、このホルダ本体93の前記スライダガイド部92内側に、ホルダ本体93の長手方向に移動可能に設けられたスライダ95とを有する。
なお、このファイバホルダ90について、前板部91側を前、スライダガイド部92側を後として説明する。また、前記ホルダ本体93の長手方向を前後方向として説明する。
【0118】
前記前板部91の下面側には、該前板部91の前後方向前後全長にわたって延在する溝91aが形成されている。前板部91は、前記溝91aを介して両側の壁部(下端側壁部91b)の下面が、レール部70のスライド面71に当接される当接面とされている。
【0119】
前記ホルダ本体93のスライダガイド部92は、ホルダ本体93の長手方向に沿う細長形状に形成されている。スライダ95は、スライダガイド部92内側のスライダ収容空間94に前後方向に移動可能に収容されている。
【0120】
ホルダ本体93は、その前側の前板部91後端部からその後側のスライダ収容空間94へ互いに並行に延出する一対のファイバ把持片96を有する。このファイバ把持片96はホルダ本体93長手方向に沿って延在する長板状に形成されている。一対のファイバ把持片96は、前板部91後端部から後側に互いに平行に延在する一対のガイド用側壁92aの間隔方向中央部に、該間隔方向における位置を互いに若干ずらして形成されている。各ファイバ把持片96は、前板部91後端部の上部から、一対のガイド用側壁92aの間隔方向に垂直の向きでホルダ本体93長手方向に延在形成されている。
また、各ファイバ把持片96の前板部91付近に位置する基端部よりも後側の部分は、前記前板部91上面よりも上側に張り出している。
【0121】
図示例のホルダ本体93及びスライダ95は、それぞれプラスチック製の一体成形品である。但し、ホルダ本体93及びスライダ95は、必ずしもプラスチック製の一体成形品である必要はなく、複数の部材によって組み立て構成のものであっても良い。
【0122】
ホルダ本体93のスライダガイド部92は、前記一対のガイド用側壁92aと、該一対のガイド用側壁92aの後端部同士を橋絡する後部壁92bとによって構成されている。
なお、ホルダ本体93及びファイバホルダ90について、ホルダ本体93の一対のガイド用側壁92aの間隔方向を、以下、幅方向とも言う。
【0123】
一対のガイド用側壁92aは、前記ホルダ本体93の前板部91の幅方向両端部から後側に延在している。
一対のガイド用側壁92a及び後部壁92bの下面と、前板部91下端部両側の下端側壁部91bの下面とは、同一の仮想平面に重なる位置にある。
【0124】
前記スライダ95は、ホルダ本体93の前記一対のファイバ把持片96を収容する把持片収容溝95aが形成された断面(把持片収容溝95a軸線方向に垂直の断面)コ字状の部材である。
スライダ95については、前記把持片収容溝95aを介して両側に位置する把持壁部95bの間隔方向を幅方向として説明する。図示例のファイバホルダ90において、スライダ95の幅方向は、ホルダ本体93及びファイバホルダ90の幅方向と一致している。
【0125】
スライダ95は、その幅方向両側の側面の上部に突設されたガイド当接突起95cを、ホルダ本体93の前記ガイド用側壁92aの上端部に前後方向に延在形成された突起案内面92c上に、ホルダ本体93に対して前後方向にスライド移動可能に載置している。前記ガイド当接突起95cは、スライダ95の把持壁部95bの前記把持片収容溝95aとは反対側の側面(外側面)の上部に突設されている。突起案内面92cは、ガイド用側壁92aの上端部に上向きに形成されている。
そして、スライダ95は、前記把持片収容溝95aにホルダ本体93の一対のファイバ把持片96を収容した状態で、ホルダ本体93に対して前後方向にスライド移動可能に設けられている。
【0126】
スライダ95は、ホルダ本体93に対して、ホルダ本体93の後部壁92bに当接する後側移動限界位置に配置したときに、一対のファイバ把持片96の後端部を把持片収容溝95aの前端部に収容した状態となる。また、スライダ95は、ホルダ本体93に対して、前板部91後端に当接する前側移動限界位置に配置したときに、把持片収容溝95aの全長にわたって一対のファイバ把持片96を収容した状態となる。
なお、一対のファイバ把持片96における、スライダ95の把持片収容溝95aの溝幅方向両側の内側面に対面する面を、以下、スライダ当接面とも言う。
【0127】
前記スライダ95の把持片収容溝95aの前端部は、その前端から後側に行くにしたがって溝幅、すなわちスライダ95の一対の把持壁部95bの離隔距離が増大するテーパ状に形成されている。
把持片収容溝95aの前端部から後側部分の溝幅は、一対のファイバ把持片96のスライダ当接面間の距離に比べて若干小さくしてある。
【0128】
また、一対のファイバ把持片96の互いに対面する面(ファイバ把持面)間の距離は、ファイバ把持片96の全長にわたって同じになっている。一対のファイバ把持片96の後端部は、その前端から後側に行くにしたがって厚み寸法が小さくなるテーパ状に形成されている。スライダ95をホルダ本体93に対する後側移動限界位置に配置したときには、各ファイバ把持片96の後端部のファイバ把持面とは反対側の面が、把持片収容溝95aの前端部の内側面に合致するように当接する。
【0129】
一対のファイバ把持片96の互いに対面するファイバ把持面間の距離は、挿入光ファイバ1の外径(被覆部外径)に揃えられている。
このファイバホルダ90は、スライダ95をホルダ本体93に対する後側移動限界位置に配置した状態で、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を挿入した後、スライダ95をホルダ本体93に対する前側移動限界位置に移動することで、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を把持固定できる。また、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を把持固定した状態のファイバホルダ90は、スライダ95をホルダ本体93に対して後側移動限界位置に移動することで、一対のファイバ把持片96の間における挿入光ファイバ1を把持固定を解除でき、一対のファイバ把持片96の間から挿入光ファイバ1を取り出すことができる。
【0130】
挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90の一対のファイバ把持片96に把持固定する際に、前板部91上面に前後方向に延在形成されているファイバ溝97と、スライダガイド部92の後部壁92bの上端中央部に切り欠き状に形成された後部ファイバ溝92dとにに載置する。
また、挿入光ファイバ1は、ホルダ本体93前端から前方への突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。ファイバホルダ90に固定した挿入光ファイバ1は、ホルダ本体93から前方へ突出させた部分の先端部の被覆を除去して裸光ファイバ1aを口出しした状態で、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60に保持したスプライス30への挿入、ピグテイル光ファイバ21に対する突き合わせ接続に用いる。
【0131】
なお、ファイバ溝97及び後部ファイバ溝92dは、挿入光ファイバ1を、一対のファイバ把持片96の間隔方向中央を通りホルダ前後方向に延在する同一仮想直線上に位置決めする位置決め溝である。
ファイバ溝97及び後部ファイバ溝92dとしては、例えばV溝(図示例ではV溝)、U溝、半円溝等を採用できる。
【0132】
前記光ファイバ接続用ユニット10及びファイバホルダ90を用いてピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する作業(光ファイバ接続方法)は、図1に示すように、まず、挿入光ファイバ1を固定したファイバホルダ90を、光ファイバ接続用ユニット10のレール部70のスライド面71上に載置し、前記レール部70前端側からスプライスホルダ部60に向かって前進させる。
なお、ファイバホルダ90及び挿入光ファイバ1の光ファイバ接続用ユニット10に対する移動は、光ファイバ接続用ユニット10後端からの距離を縮める方向の移動を前進、反対方向の移動を後退として説明する。
【0133】
図1に示すように、挿入光ファイバ1を固定したファイバホルダ90は、ホルダ本体93下面がレール部70のスライド面71に当接する向きでスライド面71上に載置する。
図11、図12に示すように、ファイバホルダ90のホルダ本体93の前板部91の幅方向両側には、ホルダ本体93をレール部70のスライド面71上に載置したときに、レール部70の幅方向両側の案内壁部73に当接する当接片部99が突設されている。この当接片部99は、前記前板部91の下端部の幅方向両側に、ホルダ長手方向に沿って延在形成されている。前板部91からその幅方向両側に突出する当接片部99の突端間の距離は、レール部70の幅方向両側の案内壁部73間の離隔距離に揃えられている。
ホルダ本体93の幅方向両側の当接片部99は、ファイバホルダ90をレール部70のスライド面71上に載置したときに、レール部70の幅方向両側の案内壁部73に当接して、ファイバホルダ90をレール部70幅方向に位置決めする。
【0134】
また、ファイバホルダ90のホルダ本体93のスプライスガイド部92の幅方向両側の側面は、両側のガイド用側壁92aによって、当接片部99の突端の後方延長上に形成されている。したがって、ホルダ本体93のスプライスガイド部92の幅方向両側の側面も、レール部70のスライド面71上に載置したファイバホルダ90をレール部70に対してレール部70幅方向に位置決めする機能を果たす。
【0135】
図13に示すように、レール部70のスライド面71上に載置したファイバホルダ90は、ホルダ本体93の幅方向両側に突設されている係止用突起98が、レール部70後端部の幅方向両側に形成された弾性係止片74に係合する位置まで前進させる。ファイバホルダ90の係止用突起98は、ホルダ本体93の前板部91の下端部の幅方向両側から当接片部99上に突設されている。
図3、図4に示すように、前記弾性係止片74は、レール部70後端部の幅方向両側に突設された張出部75から前記スライド面71側に突出する湾曲板部74aの先端に、ファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が入り込む係合用凹所74cが形成された板状の係合片部74bを突設した構成になっている。
【0136】
前記湾曲板部74aは、レール部70前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部74aの突端はレール部70のスライド面71よりも上方に位置する。
前記係合片部74bは、前記湾曲板部74aの突端からスライド面71上に張り出されている。また、この係合片部74bは、既述のようにファイバホルダ90のホルダ本体93の当接片部99上に突設されている係止用突起98と係合させるべく、レール部70のスライド面71の上方に位置し、スライド面71と平行に設けられている。
【0137】
係合片部74bの前記係合用凹所74cは、該係合片部74bの前後中央部に、該係合片部74bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
レール部70の両側の弾性係止片74は、前記係合用凹所74cにファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、レール部70に対するファイバホルダ90のレール部70前後方向の移動を規制できる。
前記弾性係止片74は、レール部70に沿ってメカニカルスプライス30からの距離を縮めるように前進させたファイバホルダ90に係合してその後退を規制するファイバホルダ係止機構として機能する。
【0138】
また、レール部70は、その両側の弾性係止片74にファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が係合したときに、幅方向両側の弾性係止片74が、その湾曲板部74aの弾性によってホルダ本体93に向かって押圧される。その結果、レール部70は、ホルダ本体93を幅方向両側の弾性係止片74の間に挟み込んだ状態となり、弾性係止片74の前記係合用凹所74cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んだ状態を安定に維持できる。
【0139】
図13に示すように、弾性係止片74の係合片部74bの係合用凹所74cは、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状と合致する平面視形状に形成することが好ましい。
また、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状は、その突端から該突端とは反対の基端側に行くにしたがって、突端からホルダ前後両側に拡がるテーパ状(例えば、図13に示す三角形状)であることがより好ましい。
【0140】
なお、図示例のレール部70は、その両側の弾性係止片74にファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が係合したときに、ファイバホルダ90のホルダ本体93前端が、トレイ50側部のスプライスホルダ部60前端に当接する。
この場合、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状は、その突端から該突端とは反対の基端側に行くにしたがって、突端からホルダ前側のみに拡がるテーパ状とすることも可能である。
【0141】
挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90をレール部70前端側からスプライスホルダ部60に向かって前進させることで、スプライスホルダ部60前端に開口する前側ファイバ挿通部66を介してスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入できる。また、挿入光ファイバ1先端に口出ししておいた裸光ファイバ1aは、ファイバホルダ90の前進によって、被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入して、ピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
そして、挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90が、その係止用突起98がレール部70の両側の弾性係止片74に係合する前進限界位置に到達したときには、スプライス30の調心溝31bに挿入された裸光ファイバ1aがピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられ、被覆部挿入溝31d、323bに被覆部が挿入された状態となる。
【0142】
ファイバホルダ90のホルダ本体93から前方へ突出させる挿入光ファイバ1の突出長は、前進限界位置に到達したファイバホルダ90のホルダ本体93から、スプライス30のベース部材31と中蓋部材322との間に位置するピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くする。これにより、ファイバホルダ90が前進によって前進限界位置に到達したときに挿入光ファイバ1に形成される撓みの弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0143】
ファイバホルダ90を前進によって前進限界位置に到達させ、レール部70の弾性係止片74との係合によってスプライス30に対する後退を規制したら、次いで、図9に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去る。
スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ると、スプライス30の第2クランプ部が、クランプばね33(詳細には第2クランプばね部332)の弾性によって、ベース部31と中蓋部材322との間に、裸光ファイバ1a、21aを突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。また、第3クランプ部が、クランプばね33(詳細には第3クランプばね部333)の弾性によって、ベース部31と前蓋部材323との間に、挿入光ファイバ1の被覆部を把持固定する。これにより、スプライス30にて、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了したピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
【0144】
既述のように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させ、介挿部材駆動部82の受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離を増大させることで、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ることができる。
図9に示すように、このスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の、受圧壁部86と係止壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88は、介挿部材駆動部82の周方向に並んだ3つの板部88aが薄肉部88bを介して繋がった構成になっている。また、駆動部側壁部88と受圧壁部86との間、駆動部側壁部88と係止壁部85との間も薄肉部88bを介して繋がっている。
【0145】
なお、係止壁部85、受圧壁部86、駆動部側壁部88の各板部88aは、スリーブ状の介挿部材駆動部82においてその軸線方向に延在する細長板状に形成されている。
また、介挿部材付きスプライスのスプライス用工具80は、その左右方向が、トレイ幅方向及びスプライスホルダ部60の幅方向に一致される。
【0146】
介挿部材駆動部82を変形させる側圧Pは、左右両側の駆動部側壁部88のうち、介挿部材駆動部82の中心軸線Qを介して左右両側への張り出しが最大の部位、すなわち、駆動部側壁部88を構成する3つの板部88aのうち、介挿部材駆動部82周方向において両端の板部88aの間の中央の板部88aに作用させる。以下、この中央の板部88aを押圧用板部とも言う。また、この押圧用板部に図中符号88cを付記する。
介挿部材駆動部82は、その左右両側から、左右の押圧用板部88cに側圧Pを作用させて、左右の押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、薄肉部88bをヒンジ部として変形し、受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が増大する。
【0147】
また、図14に示すように、介挿部材駆動部82は、左右から側圧Pを作用させることで受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、左右の駆動部側壁部88が、押圧用板部88cを中心軸線Qに最も接近した部位とする概略弓形に変形する。そして、介挿部材駆動部82は、受圧壁部86が、その介挿部材駆動部82周方向両端に比べて中央部が介挿部材駆動部82外側に位置する円弧板状に変形される。その結果、スプライス用工具80は、受圧壁部86の変形に伴い、一対の係合壁部87相互の相対的な向きが、その先端(突端)間の距離を増大するように変わり、一対の係合壁部87の前側壁部62に対する係合が解除される。
スプライス用工具80は、一対の係合壁部87の前側壁部62に対する係合が解除されれば、載せ台部61から簡単に取り外すことができる。
【0148】
図10に示すように、図示例のスプライス用工具80は、介挿部材81A、81Bの当接壁部83aを係止壁部85(具体的には突壁部85bの突端)に当接させたときの、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと介挿部材駆動部82の係止壁部85(具体的には段差面85e)との間の離隔距離c1、c2が同じではなく、互いに異ならせてある。図示例のスプライス用工具80は、スプライス30の第2クランプ部に挿入された第1介挿部材81Aの前記離隔距離c1を、第3クランプ部に挿入された第2介挿部材81Bの前記離隔距離c2よりも短くしてある。
【0149】
このため、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させたとき、スプライス30の第2クランプ部から第1介挿部材81Aが抜き去られた後に、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りが完了する。このスプライス用工具80は、第2クランプ部からの第1介挿部材81Aの抜き去りを、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0150】
ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続作業を完了したピグテイル付きスプライス20は、例えば、その全体をトレイ50から取り出し、ピグテイル光ファイバ21を、その延出端部の光コネクタ22を利用して、他の光ファイバ(コネクタ付き光ファイバ。一例として、図16(b)の光ファイバ121を参照)とコネクタ接続することができる。これにより、挿入光ファイバ1とコネクタ付き光ファイバとを、ピグテイル付きスプライス20を介して光接続することができる。
【0151】
図16(a)、(b)は、光ファイバ接続用ユニット10及びそのピグテイル付きスプライス20を利用して、挿入光ファイバ1と他の光ファイバとを接続する作業(光ファイバ中継接続工法、光ファイバ接続方法)の一例を説明する図である。
図16(a)、(b)に示す光ファイバ接続方法は、光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121、122(例えば光ファイバ心線)同士を、ピグテイル付きスプライス20を介して互いに接続するものである。また、図16(a)、(b)は、光ファイバケーブル120から、その長手方向中途部に組み立てられたクロージャ110内に引き出された光ファイバ121、122同士を、ピグテイル付きスプライス20を介して互いに接続する作業を説明するものである。
なお、図16(a)、(b)において、上側を上、下側を下として説明する。
【0152】
図16(a)、(b)に示すクロージャ110は、光ファイバケーブル120の下方に、該光ファイバケーブル120を把持固定したケーブル把持部111が上端に設けられた取付用縦部材112が立設された細長板状の連結部材113(連結棒)を有する。この連結部材113は、その長手方向両端に立設された取付用縦部材112の上端のケーブル把持部111を、それぞれ光ファイバケーブル120に固定して、光ファイバケーブル120の下方に該光ファイバケーブル120の長手方向に沿って延在配置されている。
【0153】
また、図示例のクロージャ110は、前記連結部材113上に余長収容トレイ114を上下多段に複数積層したトレイ積層体114Aを有する。前記余長収容トレイ114には、光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121と、前記光ファイバケーブル120に対して分岐、接続する光ドロップケーブル130とをコネクタ接続するためのアダプタ115が取り付けられている。光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121は、その先端に取り付けた光コネクタ121aをアダプタ115に挿入、嵌合し、余長を余長収容トレイ114に収容している。
図16(a)は、光ドロップケーブル130先端に取り付けた光コネクタ131をアダプタ115に挿入、嵌合して、前記光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをアダプタ115にてコネクタ接続した状態を示す。
【0154】
なお、トレイ積層体114Aの複数の余長収容トレイ114は、そのうちの1以上が、光ファイバケーブル120の光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをコネクタ接続したコネクタ接続部が設けられた構成ものである。
トレイ積層体114Aの複数の余長収容トレイ114としては、光ファイバケーブル120の光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをコネクタ接続したコネクタ接続部が設けられておらず、例えば光ファイバケーブル120の光ファイバ121と接続した光スプリッタ等の光部品を余長とともに収容したもの等が含まれていても良い。
【0155】
また、図16(a)のクロージャ110において、光ドロップケーブル130とコネクタ接続されている光ファイバケーブル120の光ファイバ121は、光ファイバケーブル120の長手方向全長にわたって延在する光ファイバを、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被120aを除去した部位(外被除去部120b)から取り出し、切断した片側部分である。この光ファイバ121(以下、第1光ファイバとも言う)は、光ファイバケーブル120長手方向においてクロージャ110組み立て位置から片側(図16(a)において左側)に延在している。
【0156】
図16(a)のクロージャ110には、光ファイバケーブル120長手方向において、前記第1光ファイバ121とは反対側(図16(a)において右側)に延在する光ファイバ122(以下、第2光ファイバとも言う)の、光ファイバケーブル120から引き出された部分も引き込まれている。図16(a)に例示したクロージャ110において、前記第2光ファイバ122は、どこにも接続されていない未接続光ファイバとなっている。また、この第2光ファイバ122は、光ファイバケーブル120から引き出されたままの状態(例えば光ファイバ心線のままの状態)、すなわち、コネクタ付け等を行っていない状態でクロージャ110に設けられている。
【0157】
図16(a)、(b)は、具体的には、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121と光ドロップケーブル130とのコネクタ接続を解除し、光ファイバ接続用ユニット10及びそのピグテイル付きスプライス20を利用して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121と第2光ファイバ122とを接続(光接続)する作業を説明する。
【0158】
この作業(光ファイバ中継接続工法、光ファイバ接続方法)は、クロージャ110からその外装ケースであるクロージャスリーブ116を開放(解体、撤去を含む)して行う。この作業は、クロージャスリーブ116を開放した後、まず、光ファイバケーブル120の第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のスプライス30にてピグテイル光ファイバ21と接続するピグテイル光ファイバ接続工程を行う。
次いで、トレイ50から取り出したピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21先端部(延出端部)の光コネクタ22を、光ドロップケーブル130先端の光コネクタ131を抜き去って開放しておいた余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続するコネクタ接続工程を行う。
【0159】
ピグテイル光ファイバ接続工程は、光ファイバケーブル120の第2光ファイバ122を挿入光ファイバ1として、光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30に挿入してピグテイル光ファイバ21と接続する。このピグテイル光ファイバ接続工程は、より具体的には、まず、前記第2光ファイバ122にファイバホルダ90(図1等参照)を取り付け、前記第2光ファイバ122を挿入光ファイバ1として、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被除去部120bに接近させた光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30に挿入して、ピグテイル光ファイバ21と接続する。
【0160】
第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)に挿入する作業は、第2光ファイバ122に取り付けたファイバホルダ90を、光ファイバ接続用ユニット10のレール部70に載せてスライド移動させることで、確実、かつ円滑に行うことができる。ここで、第2光ファイバ122は、その先端に、予め裸光ファイバを口出しした状態でスプライス30に挿入する。
【0161】
光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)への第2光ファイバ122の挿入は、ファイバホルダ90を取り付けた第2光ファイバ122先端に予め口出ししておいた裸光ファイバを、スプライス30の半割り把持部材34前端のテーパ状開口部34aから被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入するものである。
第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)に挿入してピグテイル光ファイバ21と接続する作業は、スプライス30の調心溝31bに挿入した第2光ファイバ122先端の裸光ファイバをピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aに突き当て、この突き当て状態を保ったまま、スプライス30から介挿部材を抜き去ることで実現される。
【0162】
コネクタ接続工程は、ピグテイル光ファイバ接続工程の完了後に、まず、光ファイバ接続用ユニット10のトレイ50からピグテイル付きスプライス20を取り出す。次いで、既述のように、このピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21先端部(延出端部)の光コネクタ22を、予め光ドロップケーブル130先端の光コネクタ131を抜き去って開放しておいた余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続するものである。
【0163】
ピグテイル付きスプライス20の光コネクタ22は、余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続可能なものを採用する。光ファイバ接続用ユニット10は、前記アダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続可能な光コネクタ22を採用した構成のピグテイル付きスプライス20を用いて組み立てたものを用いる。
【0164】
図15に示すように、前記光ファイバ接続用ユニット10は、ピグテイル付きスプライス20のコネクタ付きピグテイル23のトレイ50上部開口部からの飛び出しを防止するトレイカバーとして、例えば樹脂製フィルム等によって筒状に形成された筒状カバー58をトレイ50に外挿した構成を採用できる。図15に例示した光ファイバ接続用ユニット10は、トレイ50に外挿した筒状カバー58のトレイ50上部開口部に横架させた部分によって、トレイ50上部開口部からのコネクタ付きピグテイル23の飛び出しを防ぐことができる。
【0165】
図15に例示した筒状カバー58は、トレイ50に対してその後方へスライド移動させて抜き去ることが可能である。したがって、トレイカバーとして前記筒状カバー58を用いた光ファイバ接続用ユニット10は、筒状カバー58をトレイ50から抜き去るだけでトレイ50上部開口部を簡単に開放でき、簡単かつ迅速にトレイ50をピグテイル付きスプライス20の取り出しが可能な状態とすることができる。
【0166】
図15に例示した筒状カバー58は、樹脂製フィルム、樹脂製シート等によって形成された、可撓性の筒状部材である。また、図示例の筒状カバー58は角筒状に形成されている。
但し、筒状カバー58としては、トレイ50に外挿して、トレイ50上部開口部からのコネクタ付きピグテイル23の飛び出しを防止できる筒状のものであれば良く、必ずしも角筒状である必要は必要は無い。また、筒状カバーとしては、その軸線方向両端が開口する筒状の構成のものに限定されず、軸線方向一端が開口し他端が閉塞されている片端有底筒状のもの(例えば、開口部をひとつのみ有する袋状のもの)も採用可能である。
【0167】
また、筒状カバーとしては、必ずしも可撓性に優れる構成である必要は無く、例えば硬質の樹脂や金属等の硬質の材料によって形成された角筒部材を用いても良い。角筒部材としては片端有底筒状のものであっても良い。
【0168】
樹脂製フィルム、樹脂製シート等によって形成された筒状カバー58は、肉厚を小さくできるため、前記角筒部材に比べて、該筒状カバー58をトレイ50に外挿したカバー付きトレイの外寸を小さく抑えることに有利である。また、この筒状カバー58は、構成が単純で、低コストで得ることができるといった利点もある。
また、前記トレイカバーとしては、上述の筒状カバーに限定されず、例えば、トレイ50上部開口部の口縁部を形成する外周壁52突端部に脱着可能な脱着蓋や、外周壁52突端部にヒンジを介して回動可能に連結した回動蓋等も採用可能である。
【0169】
なお、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21と接続する前の、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121は、クロージャ110に引き込まれた光ドロップケーブル130とコネクタ接続されたものに限定されない。光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121は、クロージャ内に設けたアダプタにて、他の光ファイバとコネクタ接続されたものであれば良く、例えば、クロージャに別途引き込まれた多心の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと、アダプタにてコネクタ接続されたものであっても良い。
また、図16(a)、(b)は、架空の光ファイバケーブル120に組み立てたクロージャ110内に光ファイバケーブル120から引き出された光ファイバ121、122同士を、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20を利用して接続する光ファイバ中継接続工法を例示したが、クロージャ110としては、架空用のものに限定されず、地下設置用のクロージャであっても良い。
【0170】
また、光ファイバ接続用ユニット10の用途は、光ファイバケーブルからクロージャ内に引き出された光ファイバに対するピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21の接続に限定されない。光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21の接続対象の光ファイバとしては特には限定は無く、は、例えば、クロージャ以外の各種の光接続箱(例えばいわゆる光成端箱等)内の光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等であっても良い。
また、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20を用いて行う光ファイバ中継接続工法によって互いに接続する光ファイバとしても、特には限定は無い。
【0171】
前記光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ同士の接続(挿入光ファイバ1とピグテイル光ファイバ21との接続)を効率良く、容易に実現できる。また、光ファイバ接続用ユニット10は、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。
【0172】
また、この光ファイバ接続用ユニット10は、小型化を容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバ(挿入光ファイバ1)にピグテイル光ファイバ21を接続する作業、ピグテイル付きスプライス20を介して光ファイバ同士を接続する作業(光ファイバ中継接続工法)に幅広く適用できる。
図1等に示すように、光ファイバ接続用ユニット10は、トレイ50にピグテイル付きスプライス20を収容した全体として外観扁平な構成に組み立てることができる。このため、この光ファイバ接続用ユニット10は、狭隘なスペースに挿入して、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0173】
また、介挿部材付きスプライスの介挿部材として、既述のスプライス用工具80の介挿部材81を採用した構成は、スプライス用工具80のスリーブ状の介挿部材駆動部82をその両側からの側圧Pによって変形させてスプライス30からの介挿部材81の抜き去りを実現できるため、スプライス用工具80上に僅かなスペースを確保するだけで、スプライス30からの介挿部材の抜き去り作業を実現できる。すなわち、前記スプライス用工具80の採用は、例えば、介挿部材として、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものを採用した場合に比べて、スプライス用工具80上に確保するスペースが僅かで済む。このことは、光ファイバ接続用ユニット10を、狭隘なスペースに挿入して、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0174】
なお、介挿部材付きスプライスの介挿部材としては、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものも採用可能である。この構成の介挿部材としては、例えば、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿した先端側の介挿片部とは反対の基端側を、スプライス30から突出させた部分に、作業者が介挿部材を手指で把持してスプライス30から離隔する方向に引っ張り操作するための抜き去り用把持部を設けたものを採用できる。
前記抜き去り用把持部としては、例えば、先端側の介挿片部からスプライス30外側に突出させた基端側に向かって延在する介挿部材本体の基端部に、該介挿部材本体の延在方向に垂直の方向に突出させた突起などを採用できる。
【0175】
光ファイバ接続用ユニット10は、例えば、図16(a)に例示したように、光ファイバケーブル120とその下方に離隔して設けられているトレイ積層体114Aとの間の隙間に挿入して、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被除去部120bに接近配置することに有利である。そして、光ファイバケーブル120とトレイ積層体114Aとの間の隙間に挿入した光ファイバ接続用ユニット10は、そのスプライスホルダ部60の前端を、光ファイバケーブル120から引き出された第2光ファイバ122の根元部分に接近配置できる。
図16(a)のように、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60の前端を、光ファイバケーブル120から露出する第2光ファイバ122の根元部分に接近配置できることは、第2光ファイバ122の光ファイバケーブル120からの引き出し長(露出長)が短くても(いわゆる短余長の場合)、第2光ファイバ122の引き出し長を有効に活用して、スプライス30(介挿部材付きスプライス)への挿入、ピグテイル光ファイバ21との接続を実現するに有利である。
【0176】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えばメカニカルスプライス、ピグテイル付きスプライス(ピグテイル付きメカニカルスプライス)、介挿部材、光コネクタ、ファイバホルダ、挿入工具部、トレイの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
【0177】
また、本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットは、スプライスホルダ部とレール部とで構成される挿入工具部、及び該挿入工具部のスプライスホルダ部にメカニカルスプライスを保持させたピグテイル付きスプライスのみを有する構成としても良い。
本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットは、少なくとも、挿入工具部及び該挿入工具部のスプライスホルダ部にメカニカルスプライスを保持させたピグテイル付きスプライスを有する構成であれば良い。本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットとしては、例えば、スプライスホルダ部に該スプライスホルダ部とは別体のトレイが後付けで取り付け可能とされた構成なども採用可能である。
【0178】
挿入工具部のスプライスホルダ部としては、その底壁部の幅方向両側に複数立設した突起(保持用突起)によって、スプライスをその幅方向両側から把持、あるいはスプライスの周囲の複数箇所に当接してスプライスを底壁部上の所定位置に保持する構成を採用できる。また、スプライスホルダ部は、突起(保持用突起)として、スプライスを該スプライスホルダ部の前後方向に位置決めするための突起(ストッパ突起)を有することが好ましい。
スプライスホルダ部の保持用突起の形状や数は特に限定はなく、適宜、設計変更可能である。保持用突起としては、スプライスホルダ部前後方向に延在する既述のホルダ側壁部や、ピグテイル光ファイバを挿通する切欠状の第1光ファイバ挿通部が形成された後側ストッパ壁部、挿入光ファイバを挿通する切欠状の第2光ファイバ挿通部が形成された前側ストッパ壁部に限定されず、例えば底壁部に立設したピン状の突起であっても良い。
【0179】
ストッパ突起としては、スプライスを前後から挟み込むようにして保持するべく、スプライスホルダ部の前後方向に離隔させて設けることが好ましい。すなわち、スプライスホルダ部は、ストッパ突起として、スプライスの前端面を当接する前側ストッパ突起と、スプライスの後端面を当接する後側ストッパ突起とを設け、前側ストッパ突起と後側ストッパ突起との間にスプライスを前後から挟み込むようにして保持できるようした構成を採用することが好ましい。
【0180】
既述の実施形態では、スプライスホルダ部に、前側ストッパ突起としてスプライスの半割り把持部材の前端面を当接する前側ストッパ壁部、後側ストッパ突起として前記半割り把持部材の後端面を当接する後側ストッパ壁部を設けた構成を例示している。但し、スプライスホルダ部の底壁部に立設するストッパ突起(前側ストッパ突起及び後側ストッパ突起)としては、切欠部が形成されていない突壁状やピン状の突起も採用可能である。
【0181】
また、ストッパ突起としては、スプライスホルダ部の底壁部に立設した突起に限定されない。ストッパ用突起としては、例えば、スプライスを幅方向両側から把持するために底壁部に立設した突起の側面に突設され、スプライスの前後方向のいずれかの端面が当接される突起であっても良い。
【0182】
また、スプライスとしては、その前端面及び後端面が半割り把持部材の前端面34c及び後端面34dである構成に限定されない。スプライスとしては、その前端面及び後端面の一方又は両方が、クランプばねの端面によって確保されている構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0183】
1…挿入光ファイバ、10…光ファイバ接続用ユニット、20…ピグテイル付きメカニカルスプライス、21…ピグテイル光ファイバ、21a…(ピグテイル光コネクタの)裸光ファイバ、21b…(ピグテイル光コネクタの)被覆、22…光コネクタ、30…メカニカルスプライス、31…素子(ベース部材、ベース側素子)、32…押さえ蓋、321…素子(蓋側素子、後蓋部材)、322…素子(蓋側素子、中蓋部材)、323…素子(蓋側素子、前蓋部材)、33…クランプばね、34…半割り把持部、34c…前端面、34d…後端面、40…ユニットベース、41…挿入工具部、50…トレイ、57…コネクタホルダ部、58…筒状カバー、60…スプライスホルダ部、60a…底壁部、61…載せ台部、61a…スプライス載せ面、62…ホルダ側壁部、前側壁部、63…ホルダ側壁部、後側壁部、64…前側ストッパ壁部、65…後側ストッパ壁部、65a…第1ファイバ挿通部(後側ファイバ挿通部)、66…第2光ファイバ挿通部(前側ファイバ挿通部)、67…メカニカルスプライス取出し用切欠部、69…ホルダ側壁部、70…レール部、80…スプライス用工具、81…介挿部材、81A…介挿部材(第1介挿部材)、81B…介挿部材(第2介挿部材)、90…ファイバホルダ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバホルダに保持された光ファイバをメカニカルスプライス(光ファイバ接続器)に挿入してその内部で突き合わせ接続する光ファイバ接続工具が記載されている。
特許文献2には、光コネクタのクランプ部の半割りの素子間に割り込ませて素子間を開放しておく介挿部材と、左右から側圧によって上下寸法が増大するように変形させることで、上下の一方にある第1可動端部が介挿部材と係合して上下の他方に配置された光コネクタの素子間から介挿部材を引き抜く介挿部材駆動部とを具備する光コネクタ用工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−003218号公報
【特許文献2】特開2006−227575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メカニカルスプライスを用いた光ファイバの接続が容易な光ファイバ接続用ユニット、光ファイバ接続方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備し、前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てることが可能な光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第2の発明は、前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスをその幅方向両側から保持する2つの側壁部と、これらの側壁部を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部とを有し、前記2つの側壁部と前記底壁部とにより三方から囲まれる溝状の空間に前記メカニカルスプライスを収容しており、前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスの長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部及び後側ストッパ壁部を有する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第3の発明は、前記ピグテイル光ファイバの余長を収容するトレイをさらに具備する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第4の発明は、前記2つの側壁部に、収容した前記メカニカルスプライスに係合しての浮き上がりを規制する係止爪が突設されている第2の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第5の発明は、前記2つの側壁部は、前記メカニカルスプライスを介して互いに対向する位置に前記メカニカルスプライスの側面を露出するメカニカルスプライス取出し用切欠部を有する第2の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第6の発明は、前記トレイは、前記コネクタ付きピグテイルの光コネクタを脱着可能に保持するコネクタホルダ部を有する第1の発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第7の発明は、前記後側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに把持固定している前記ピグテイル光ファイバを挿通する上方に開いた切欠状の第1光ファイバ挿通部を有し、前記前側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに挿入される前記挿入光ファイバを挿通するための上方に開いた切欠状の第2光ファイバ挿通部を有する第2、4、5のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第8の発明は、前記トレイに抜き去り可能に外挿された筒状または袋状のカバーをさらに具備する第1〜7のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第9の発明は、前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるように前進させた前記ファイバホルダに係合してその前後動を規制するファイバホルダ係止機構をさらに具備する第1〜8のいずれか1つの発明の光ファイバ接続用ユニットを提供する。
第10の発明は、メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備している光ファイバ接続用ユニットを用い、前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てる光ファイバ接続方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、メカニカルスプライスを用いた光ファイバの接続を効率良く、容易に実現できる。また、本発明にかかる光ファイバ接続用ユニットは、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。この光ファイバ接続用ユニットは、小型化も容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバの接続作業に幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1実施形態の光ファイバ接続用ユニットの構造を示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ接続用ユニットを示す平面図である。
【図3】図1の光ファイバ接続用ユニットのトレイに挿入工具部を一体成形したプラスチック製一体成形品のユニットベースの前側から見た構造を示す斜視図である。
【図4】図2のユニットベースの後側から見た構造を示す斜視図である。
【図5】図1の光ファイバ接続用ユニットのスプライスホルダ部におけるスプライスの保持状態を示す平面図であって、素子間に介挿部材を介挿していない状態のスプライスのスプライスホルダ部における収容状態を示す。
【図6】図1の光ファイバ接続用ユニットのピグテイル付きメカニカルスプライスを示す斜視図である。
【図7】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスの構造を説明する分解斜視図である。
【図8】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスにおけるピグテイルの挿入、把持状態を説明する断面図である。
【図9】図6のピグテイル付きメカニカルスプライスのメカニカルスプライスの中蓋部材とベース部材との間、及び前蓋部材とベース部材との間を、スプライス用工具の介挿部材を割り込ませて開放した介挿部材付きスプライスの一例を説明する正断面図である。
【図10】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具付近を示す側断面図である。
【図11】図1の光ファイバ接続用ユニットのレール部にスライド移動させて、メカニカルスプライスへの挿入光ファイバの挿入に用いるファイバホルダの一例を示す斜視図である。
【図12】図11のファイバホルダの構造を説明する分解斜視図である。
【図13】図1の光ファイバ接続用ユニットのファイバホルダ係止機構によって、挿入光ファイバを把持したファイバホルダを係止した状態を示す平面図である。
【図14】図9の介挿部材付きスプライスのスプライス用工具の一対の係合壁部の先端間を開放させた状態を示す図である。
【図15】図1の光ファイバ接続用ユニットのトレイに抜き去り可能な筒状カバーを外挿した構成を示す図である。
【図16】図1の光ファイバ接続用ユニットを用いた光ファイバ接続方法、光ファイバ中継接続工法の一例を説明する図であって、(a)はクロージャ内に光ファイバ接続用ユニットを挿入した状態、(b)は光ファイバ接続用ユニットのピグテイル付きメカニカルスプライスを介して光ファイバケーブルの光ファイバ同士を接続した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1実施形態の光ファイバ接続用ユニットについて、図面を参照して説明する。
なお、前記光ファイバ接続用ユニットについて、図1〜図4において、上側を上、下側を下として説明する。
【0009】
図1〜図3に示すように、前記光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライス30(以下、単にスプライスとも言う)から光ファイバ21の先端に光コネクタ22を取り付けたコネクタ付きピグテイル23が延出するピグテイル付きメカニカルスプライ 第2の発明は、ス20(以下、ピグテイル付きスプライスとも言う)と、前記コネクタ付きピグテイル23を収容するトレイ50にスプライスホルダ部60及びレール部70(後述)を設けたユニットベース40とを有する。また、この光ファイバ接続用ユニット10は、前記スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30に、その半割り把持部材34に介挿部材81を割り入れて取り付けたスプライス用工具80を有している。
【0010】
図6、図7、図8に示すように、ピグテイル付きスプライス20のメカニカルスプライス30は、細長板状のベース部材31と、該ベース部材31の長手方向に沿って配列設置した3つの蓋部材321、322、323によって構成される押さえ蓋32とを、断面コ字形あるいはC形(図示例では断面コ字形)で延在する細長形状のクランプばね33の内側に一括保持した構成になっている。
このスプライス30は、ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とからなる半割り把持部材34を有する。ベース部材31と蓋部材321、322、323とは、クランプばね33の弾性によって互いに閉じ合わせ方向に弾性付勢されている。
【0011】
図6〜図8に示すように、ピグテイル付きスプライス20の前記光ファイバ21の光コネクタ22を取り付けた端部とは反対側の端部は、スプライス30の細長形状の半割り把持部材34の長手方向片端から長手方向中央部まで挿入されている。
ピグテイル付きスプライス20のコネクタ付きピグテイル23は、前記光ファイバ21の長手方向片端に光コネクタ22を取り付けた構成のコネクタ付き光ファイバの、スプライス30の長手方向片端から延出させた部分である。
前記光ファイバ21を、以下、ピグテイル光ファイバ、この光ファイバ21の前記半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
【0012】
本明細書では、スプライス30について、その長手方向において、コネクタ付きピグテイル23が延出されている側を後、反対側を前として説明する。前記コネクタ付きピグテイル23は、スプライス30の半割り把持部材34の後端から延出している。
【0013】
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を、以下、後蓋部材、最も前側に位置する符号323の蓋部材を、以下、前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を、以下、中蓋部材とも言う。
【0014】
図6〜図8に例示した断面コ字状のクランプばね33は、1枚の金属板を成形したものであって、細長板状の背板部33aの両側から、該背板部33aの長手方向全長にわたって、背板部33aに垂直に側板部33bが張り出された構成になっている。スプライス30のベース部材30及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
【0015】
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、その先端がスプライス30のベース部材31と中蓋部材32との間に配置され、該先端から光コネクタ22側(延出端部側)の部分がスプライス30のベース部材31と後蓋部材31との間に把持固定されている。
ピグテイル付きスプライス20は、スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材32との間に光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端をピグテイル光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、このピグテイル付きスプライス20は、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、前記ピグテイル光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた光ファイバとを、前記クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
【0016】
前記ピグテイル光ファイバ21及び挿入光ファイバ1は光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバである。図示例では、ピグテイル光ファイバ21及び挿入光ファイバ1として、単心の光ファイバ心線を採用している。
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30でのピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aとピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
【0017】
図7、図8に示すように、スプライス30のベース部材31には、その長手方向全長にわたって、蓋部材321、322、323に対向する対向面31aが延在形成されている。このベース部材31の前記対向面31aの長手方向(延在方向)中央部には、ピグテイル光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと挿入光ファイバ1先端に口出された裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心するための調心溝31bが形成されている。この調心溝31bは、ベース部材31の長手方向に沿って延在形成されたV溝である。但し、調心溝31bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0018】
前記調心溝31bは、ベース部材31の前記対向面31aの中蓋部材323に対向する部分に形成されている。
ベース部材31の前記対向面31aの後蓋部材321に対向する部分及び前蓋部材323に対向する部分には、前記調心溝31bに比べて溝幅が大きい被覆部挿入溝31c、31dが形成されている。被覆部挿入溝31c、31dは、ベース部材31長手方向において前記調心溝31bの両側に、ベース部材31長手方向に沿って延在形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、前記テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
図示例のスプライス30において、被覆部挿入溝31c、31dはV溝である(被覆部挿入溝31dについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝31c、31dとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
【0019】
ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、裸光ファイバ21a外周が被覆21bによって覆われた部分である被覆部を、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する対向面31a、321aにそれぞれ形成された被覆部挿入溝31c、321bに挿入し、前記被覆部の端末から突出する裸光ファイバ21aを前記調心溝31bに挿入して、ベース部材31と押さえ蓋32との間に設けられている。
そして、ピグテイル光ファイバ21の挿入端部は、前記被覆部が、後蓋部材321とベース部材31との間に、クランプばね33の弾性によって把持固定されている。
【0020】
後蓋部材321の被覆部挿入溝31cは、後蓋部材321の対向面321aにおける、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に形成されている。また、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、ピグテイル光ファイバ21の被覆部外径に鑑みて、後蓋部材321とベース部材31との間にピグテイル光ファイバ21の被覆部をしっかりと把持固定できるように、その深さが調整されている。すなわち、後蓋部材321及びベース部材31の被覆部挿入溝31c、321bは、その深さの合計がピグテイル光ファイバ21の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0021】
図7、図8に示すように、調心溝31bの前側に形成された被覆部挿入溝31dには、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1a外周が被覆1bによって覆われた部分である被覆部が挿入される。
また、図示例のスプライス30は、前蓋部材323の対向面323aにも、ベース部材31の被覆部挿入溝31dに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝323bが形成されている。挿入光ファイバ1は、その先端に、予め裸光ファイバ1aを口出しした状態で、スプライス30前側から被覆部挿入溝31d、323bに挿入される。
【0022】
図10に示すように、スプライス用工具80は介挿部材81を2つ有している。
2つの介挿部材81は、一方(図中符号81Aを付記する)が、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿され、他方(図中符号81Bを付記する)が前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている。
なお、スプライス30の中蓋部材322の前端部とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Aを、以下、第1介挿部材、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿された介挿部材81Bを、以下、第2介挿部材とも言う。
【0023】
第2介挿部材81Bは、前蓋部材323の前後方向中央部とベース部材31との間に介挿されている。半割りの素子間に介挿部材81を介挿したスプライス30(介挿部材付きスプライス)の前蓋部材323とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間は、前記介挿部材81A、81Bによってクランプばね33の弾性に抗して開放されている。
後蓋部材321とベース部材31との間、及び中蓋部材322の後端部とベース部材31との間には、介挿部材81は介挿されていない。
【0024】
図8に示すように、前蓋部材323とベース部材31との間は、スプライス30前側から、被覆部挿入溝31d、323bに挿入光ファイバ1の被覆部を楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。中蓋部材322前端部とベース部材31との間は、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aを調心溝31bに楽に挿入できる程度に離隔(開放)されている。
【0025】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材81は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に、板状に形成された先端部81aを割り込ませている。
前蓋部材323とベース部材31との間、及び中蓋部材322前端部とベース部材31との間の開放量は、介挿部材81の板状の先端部81aの厚み寸法によって設定される。
第1介挿部材81Aによって開放された、中蓋部材322前端部とベース部材31との間の離隔距離は、裸光ファイバ21a、1aが調心溝31bと中蓋部材322の対向面322aとの間から離脱しない範囲に設定される。
第2介挿部材81Bによって開放された、前蓋部材323とベース部材31との間の離隔距離は、挿入光ファイバ1(その被覆部)が被覆部挿入溝31d、323bの間から離脱しない範囲に設定される。
【0026】
なお、介挿部材としては、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませる先端部(介挿片部)が板状になっているものに限定されない。
介挿部材の介挿片部としては、例えばシート状のもの、ロッド状のもの等も採用可能である。
【0027】
図9に例示した介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部として、板状の先端部81aを有する。以下、介挿部材本体83の板状の先端部81aを介挿片部とも言う。
介挿部材本体83の介挿片部81a以外の部分は、該介挿片部81aに比べて板厚(厚み寸法)が大きい板状に形成されている。
介挿部材81は、板状の介挿片部81aが、その板厚方向の両側から、スプライス30の蓋部材322、323とベース部材31の間に挟み込まれる向きで、蓋部材322、323とベース部材31の間に介挿される。
【0028】
介挿部材81の板状の介挿片部81aは、その先端が先細りのテーパ状に形成されている。この介挿部材81は、スプライス30の半割り把持部材34から抜き去った後に、その介挿片部81aを、ベース部材31と押さえ蓋32との間に押し込んで割り込ませる(介挿部材付きスプライスを組み立てる)ことが可能である。
また、光ファイバ接続用ユニット10は、スプライス30から介挿部材を取り外した状態で現場に供給し、現場にて、スプライス30の中蓋部材322とベース部材31との間、及び前蓋部材323とベース部材31との間にそれぞれ介挿部材の介挿片部を割り込ませて介挿部材付きスプライスを組み立てても良い。
【0029】
前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、前蓋部材323とベース部材31との間から介挿部材81Bを抜き去ったときに、前蓋部材323とベース部材31との間に挿入光ファイバ1の被覆部をしっかりと把持固定できるように、挿入光ファイバ1の被覆部外径に鑑みてその深さが調整されている。すなわち、前蓋部材323及びベース部材31の被覆部挿入溝31d、323bは、その深さの合計が挿入光ファイバ1の被覆部外径よりも小さくなるように、それぞれの深さが調整されている。
【0030】
図示例のスプライス30において、後蓋部材321、前蓋部材323の被覆部挿入溝321b、323bはV溝である(前蓋部材323の被覆部挿入溝323bについて図9参照)。但し、被覆部挿入溝321b、323bとしてはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝等も採用可能である。
また、被覆部挿入溝は、必ずしも、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の両方に形成する必要はない。スプライスとしては、後蓋部材321及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
このことは、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分についても同様であり、スプライスとしては、前蓋部材323及びベース部材31の互いに対向する部分の片方に被覆部挿入溝を形成した構成も採用可能である。
【0031】
図7、図8に示すように、中蓋部材322は、ベース部材31長手方向に沿う方向を長手方向とする細長板状に形成されている。この中蓋部材322は、既述のように、その前端部が第1介挿部材81Aによってベース部材31に対して開放されている。中蓋部材322の前端部から後側の部分とベース部材31との間には介挿部材は介挿されていない。中蓋部材322は、図8に示すように、その後側から前側に行くにしたがってベース部材31からの距離が増大するように、ベース部材31に対して傾斜している。このため、ピグテイル光ファイバ21の挿入端部先端に口出しされている裸光ファイバ21aは、ベース部材31長手方向に沿う細長板状の中蓋部材322の後端部とベース部材31との間では把持固定されているが、中蓋部材322の後端部から前側の部分とベース部材31との間では把持固定されていない。
【0032】
図6に示すように、スプライス30の半割り把持部材34における、前記クランプばね33の背板部33aとは反対側(以下、開放側)に露出する側面には、前記介挿部材81を挿入するための介挿部材挿入穴35が開口されている。図7に示すように、この介挿部材挿入穴35は、ベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323の対向面31a、321a、322a、323aの互いに対応する位置に形成された介挿部材挿入溝31g、321c、322c、323cによって、ベース部材31と蓋部材321、322、323との間に確保されている。
なお、介挿部材挿入穴35は、半割り把持部材34の開放側の側面から、調心溝31b、被覆部挿入溝31c、31d、321b、323bに達しない深さで形成される。
また、介挿部材挿入穴35としては、ベース部材31及び蓋部材321、322、323の片方のみに形成した介挿部材挿入溝によって確保した構成も採用可能である。
【0033】
図6に示すように、図示例のスプライス30において、前記介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向に沿う前後方向中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。介挿部材81A、81Bは、4箇所の介挿部材挿入穴35のうち、中蓋部材322の前端部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35aを付記する)、前蓋部材323の前後方向中央部に対応する位置に形成された介挿部材挿入穴35(図6中、符号35bを付記する)とに挿入されている。
【0034】
図8に示すように、中蓋部材322のベース部材31の調心溝31bに対面する部分には、平坦な対向面322aが形成されている。中蓋部材322は、該中蓋部材322とベース部材31との間に介挿されている第1介挿部材81Aを抜き去ったときに、クランプばね33の弾性によって、ピグテイル光ファイバ21先端の裸光ファイバ21aと、該裸光ファイバ21a先端に突き当てた挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aとを対向面22aで押圧して、調心溝31bに押さえ込むことができる。
【0035】
図7、図8に示すように、クランプばね33の一対の側板部33bは、それぞれ、スプライス30の押さえ蓋32の3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分かれている。押さえ蓋32に当接する側板部33b(図7、図8において上側の側板部33b)は、後蓋部材321と中蓋部材322との境界、及び中蓋部材322と前蓋部材323との境界に対応する位置にそれぞれ形成されたスリット状の切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。ベース部材31に当接する側板部33bは、蓋部材321、322、323に当接する側板部33bの切り込み部33dに対応する位置に形成された切り込み部33dによって、3つの蓋部材321、322、323に対応する3つの部分に分断されている。
【0036】
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。第1〜3クランプばね部331〜333は、互いに独立したクランプばねとして機能する。
なお、図7、図8等において、第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
【0037】
スプライス30は、3つのクランプばね部に対応する3つのクランプ部を有する。
すなわち、このスプライス30は、第1クランプばね部331の内側に後蓋部材321とベース部材31とを保持した第1クランプ部と、第2クランプばね部332の内側に中蓋部材322とベース部材31とを保持した第2クランプ部と、第3クランプばね部333の側に前蓋部材323とベース部材31とを保持した第3クランプ部とを有する。
3つのクランプ部は、それぞれ、個々のクランプ部に対応するクランプばね部の弾性によって、半割りの素子(ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材(蓋側素子))の間に光ファイバを把持固定できる。
【0038】
スプライス30の第1クランプ部は、第1クランプばね部331の弾性によって、後蓋部材321とベース部材31との間にピグテイル光ファイバ21の被覆部を把持固定した状態となっている。このスプライス30は、例えば中蓋部材322を該中蓋部材322とベース部材31との間への介挿部材の挿脱によって開閉(すなわち第2クランプ部の開閉)しても、第1クランプ部のピグテイル光ファイバ21の把持固定状態は安定に維持される。また、介挿部材の挿脱による第3クランプ部の開閉も、第1クランプ部のピグテイル光ファイバ21の把持固定状態に何等影響を与えない。
【0039】
図9、図10に示すように、スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に先端部(介挿片部81a)を割り込ませた2つの介挿部材81と、この介挿部材81が取り付けられたスリーブ状の介挿部材駆動部82とを有する。
前記介挿部材81は、介挿部材駆動部82に形成された切欠部82aに通して、介挿部材駆動部82外側に突出させた板状の介挿部材本体83を有する。この介挿部材81の前記介挿片部81aは、前記切欠部82aを介して介挿部材駆動部82外側に突出させた前記介挿部材本体83の先端部を構成する。
前記スプライス用工具80は、前記介挿部材81の介挿片部81aとは反対側の基端側を、介挿部材駆動部82において前記切欠部82aが形成された壁部である受圧壁部86に対面する係止壁部85に取り付けた構成になっている。
【0040】
前記受圧壁部86は、前記切欠部82aが形成された平板状の板状主壁部86aに、介挿部材駆動部82外側に向かって突出する当接用突壁部86bを突設した構成になっている。
前記受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向に沿って延在する前記板状主壁部86aの延在方向中央部に、該板状主壁部86aの延在方向(前後方向)に垂直に突設されたリブ状の突壁である。また、この当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82において受圧壁部86(詳細には板状主壁部86a)と係止壁部85(詳細には後述の板状主壁部85a)との間を繋ぐ両側の駆動部側壁部88の間隔方向である左右方向(図9左右方向)に延在形成されている。
【0041】
前記切欠部82aは、受圧壁部86の板状主壁部86aに、その前後方向両端から、前後方向に沿う細長に延在形成されている。受圧壁部86の当接用突壁部86bは、介挿部材駆動部82の前後方向において、前後の切欠部82aの間に位置する。
スプライス用工具80の2つの介挿部材81は、その介挿部材本体83を、前記当接用突壁86aを介して前後の切欠部82aに通して設けられている。
【0042】
介挿部材81の介挿部材本体83は、介挿片部81aとは反対側の基端側に、係止壁部85に、前記受圧壁部86側から当接される当接壁部83aを有する。
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85は、受圧壁部86の板状主壁部86aに平行に形成された板状主壁部85aに、該板状主壁部85aから受圧壁部86に向かって突出する突壁部85bを突設した構成になっている。
介挿部材81の当接壁部83aは、係止壁部85の突壁部85b突端の端面に受圧壁部86側から当接可能になっている。
【0043】
また、介挿部材81は、前記介挿部材本体82の基端部(当接壁部83a)から、前記介挿片部81aとは反対の側(介挿部材81の基端側)へ延出させた係合片84を有する。そして、この介挿部材81は、前記係合片84を、前記係止壁部85を貫通する貫通孔85cに通し、前記係止壁部85外側(受圧壁部86とは反対の側)に突出させた係合片84先端部(延出端部)の側面に突設してある係合爪84aを、前記係止壁部85に係合可能に配置して、前記介挿部材駆動部82に取り付けている。
【0044】
図示例のスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の係止壁部85の貫通孔85cは、その一端が突壁部85b突端の端面に開口している。貫通孔85cの他端は、係止壁部85に板状主壁部85a外面(介挿部材駆動部82内側とは反対側の面)から窪んで形成された凹部85d内に開口している。前記凹部85dは、前記貫通孔85cの他端を拡張した穴状に形成されている。介挿部材81の係合片84の係合爪84aは、前記貫通孔85cの他端と凹部85dとの境界の段差面85eから介挿部材駆動部82外側方向に突出された係合片84の先端部側面に突設されている。この係合爪84aは、受圧壁部86とは反対の側から前記段差面85eに係合可能となっている。
【0045】
図示例の介挿部材81は、前記係合片84の係合爪84aと前記当接壁部83aとの間に、前記係止壁部85の前記貫通孔85cの長さ(軸線方向寸法)に比べて若干長い離隔距離を確保してある。したがって、この介挿部材81は、前記係止壁部85に対して前記貫通孔85cの軸線方向に若干の可動範囲を確保して、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けられている。
【0046】
なお、スプライス用工具としては、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間の離隔距離を係止壁部85の貫通孔85cの長さに揃えて、介挿部材81を介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に取り付けた構成も採用である。この構成の場合、介挿部材81は、係合片84の係合爪84aと当接壁部83aとの間に係止壁部85を挟み込んで、介挿部材駆動部82(詳細には係止壁部85)に対して前記貫通孔85cの軸線方向への変位を規制した状態で取り付けられる。
【0047】
2つの介挿部材81A、81Bは、介挿部材駆動部82にその軸線(中心軸線Q)方向に互いに離隔させて取り付けられている。
なお、スプライス用工具80について、介挿部材駆動部82の軸線方向を、以下、前後方向として説明する。介挿部材81は、その板状の介挿部材本体83の厚み方向が、介挿部材駆動部82の前後方向に垂直の向きで介挿部材駆動部82に取り付けられている。
【0048】
そして、スプライス用工具80は、介挿部材81の前記介挿部材本体83の介挿部材駆動部82外側に突出させた先端部を、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に割り込ませて、スプライス30に取り付けられている。このスプライス用工具80は、その前後方向をスプライス30の前後方向に揃えて設けられている。
介挿部材本体83は、スプライス30のクランプばね33の弾性によって、ベース部材31と押さえ蓋32との間に比較的強い力で把持されている。
【0049】
図9に示すように、スプライス30の半割り把持部材34は、クランプばね33からその開放側(背板部33aとは反対側)に突出されている。スプライス用工具80は、前記受圧壁部86の当接用突壁部86bをスプライス30の半割り把持部材34に当接させてスプライス30に取り付けられている。
【0050】
このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82の軸線(中心軸線Q)方向に垂直の断面において、前記介挿部材81を介して両側(図9において左右両側。図9における左右方向を、以下、スプライス用工具80の左右方向として説明する)に位置する部分を押圧(側圧Pを与える)して互いに接近させることで、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が増大する。その結果、このスプライス用工具80は、介挿部材81を、スプライス30(詳細には半割り把持部材34)から抜き去ることができる。
介挿部材駆動部82に側圧Pを与えてその左右両側部分を互いに接近させ、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業は、例えば、作業者が片手の手指で介挿部材駆動部82を握って行うことができる。
【0051】
また、このスプライス用工具80は、前記受圧壁部86の前記切欠部82aを介して両側、すなわち、前記切欠部82aに前記受圧壁部86に垂直の向きで通されている介挿部材本体83を介して両側(図9において左右両側)から前記介挿部材本体83と平行の向きで、介挿部材駆動部82外側に突出された一対の係合壁部87を有する。
そして、このスプライス用工具80は、前記一対の係合壁部87の突端部から、該一対の係合壁部87の互いに対面する内面側に突出された突爪87aを、トレイ50に形成されているスプライスホルダ部60の両側(図示例では後述のスプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69)に係合させて前記トレイ50に取り付けられる。スプライス用工具80は、係合壁部87をスプライスホルダ部60に係合させることで、トレイ50にしっかりと取り付けることができ、トレイ50に対する位置ずれが生じにくくなる。
【0052】
但し、このスプライス用工具80は、介挿部材駆動部82にその左右両側から側圧Pを与えて、介挿部材81をスプライス30から抜き去る作業を行うとき、介挿部材駆動部82の前記受圧壁部86と前記係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、一対の係合壁部87のスプライスホルダ部60に対する係合を解除できる。
一対の係合壁部87のスプライスホルダ部60に対する係合、及び係合解除については、後で説明する。
【0053】
図1〜図4に示すように、ここで説明する光ファイバ接続用ユニット10のユニットベース40は、トレイ50に設けられたスプライスホルダ部60の前側に、前記スプライスホルダ部60に保持したスプライス30に挿入する挿入光ファイバ1を把持固定したファイバホルダ90をスライド移動させるレール部70を有する。スプライスホルダ部60とレール部70とは、ファイバホルダ90を取り付けた挿入光ファイバ1を、スプライスホルダ部60に保持したスプライス30に挿入する作業を円滑に行うための挿入工具部41を構成する。
【0054】
図示例のユニットベース40は、プラスチック製の一体成形品である。
但し、ユニットベースとしては、プラスチック製の一体成形品に限定されず、複数部材によって組み立てた構成としても良い。例えば、挿入工具部41のスプライスホルダ部60がトレイ50に対して脱着可能な別体になっている構成、レール部70がスプライスホルダ部60に脱着可能な別体になっている構成なども採用可能である。
【0055】
図1、図2に示すように、ピグテイル付きスプライス20は、トレイ50のスプライスホルダ部60にスプライス30を収容し、光コネクタ22をトレイ50に設けられたコネクタホルダ部57に取り付け、ピグテイル光ファイバ21の余長をトレイ50の底板部51上に突設されているマンドレル53の周囲に巻回状態に湾曲して、トレイ50に収容されている。
【0056】
スプライスホルダ部60は、トレイ50前端に開口する前側ファイバ挿通部66(第2光ファイバ挿通部。ファイバ導入口。)を有する。スプライスホルダ部60は、トレイ50前側(レール部70側)からスプライス30に挿入する挿入光ファイバ1を、該スプライスホルダ部60に保持されて前側ファイバ挿通部66後側に配置されたスプライス30に、前記前側ファイバ挿通部66を介して導くことができる。
【0057】
トレイ50において、スプライスホルダ部60は、その前端をレール部70に臨ませて設けられている。レール部70はスプライスホルダ部60の前側に設けられている。
本明細書では、光ファイバ接続用ユニット10について、レール部70側を前、反対側(トレイ50側)を後として説明する。また、トレイ50及びスプライスホルダ部60について、レール部70を前、反対側を後として説明する。
また、光ファイバ接続用ユニット10について、トレイ50の底板部51外周から外周壁52(後述)及びスプライス載せ台部61(後述)が突出されている方向を上(図1、図3、図9、図10において上側)、反対方向を下として説明する。
【0058】
図1〜図4に示すように、前記トレイ50は、細長形状の底板部51と、該底板部51の外周に立設された外周壁52とを有する。
前記スプライスホルダ部60は、前記トレイ50の底板部51上に突設され、前記底板部51の前端から後側に向かって延在形成されたスプライス載せ台部61(以下、単に載せ台部とも言う。)を有する。
この載せ台部61は、前記底板部51の上面51aから上側にずれた位置に、底板部上面51aに平行に形成されたスプライス載せ面61aを有する。
【0059】
また、このスプライスホルダ部60は、トレイ50の底板部51のうち前記載せ台部61の下側に位置する部位を含む。
このスプライスホルダ部60は、載せ台部61と、トレイ50の底板部51のうち前記載せ台部61の下側に位置する部位とが構成する底壁部60aを有する。
【0060】
前記スプライスホルダ部60は、前記スプライス30をその両側から保持する2つの側壁部69(以下、ホルダ側壁部とも言う)と、これらのホルダ側壁部69を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部60aとを有する。そして、このスプライスホルダ部60は、底壁部60a上に突設されて前後方向に延在する2つのホルダ側壁部69と前記底壁部60aとにより三方から囲まれる溝状の空間に前記スプライス30を収容している。
【0061】
図9に示すように、スプライス30は、クランプばね33の前記背板部33aが載せ台部61上のスプライス載せ面61aに当接し、背板部33aの両側の側板部33bが、ホルダ側壁部69の互いに対向する内面に沿って延在する向きで、2つのホルダ側壁部69と前記底壁部60aとにより三方から囲まれる溝状の空間に収容されている。
【0062】
スプライスホルダ部60の2つのホルダ側壁部69の互いに対向する内面は、それぞれ、トレイ50の底板部上面51aに垂直、かつユニット前後方向に互いに平行に延在形成されている。
スプライスホルダ部60について、一対のホルダ側壁部69の間隔方向を、以下、幅方向(ホルダ部幅方向)として説明する。
【0063】
前記ホルダ側壁部69は、前記底壁部60aの両側(詳細には載せ台部61の両側)から、該載せ台部61の前記スプライス載せ面61aよりも上方に突出され、載せ台部621の長手方向(すなわち前後方向)に沿って延在形成された突壁である。
図2〜図5に示すように、図示例のスプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69は、その延在方向両端(前後両端)の間に形成された切欠部67から前側の前側壁部62と、前記切欠部67から後側の後側壁部63とに分断されている。
【0064】
スプライスホルダ部60の幅方向両側のホルダ側壁部69の切欠部67は、光ファイバ接続用ユニット10前後方向(トレイ前後方向)における形成位置が互いに同じに揃えられている。スプライスホルダ部60の両側のホルダ側壁部69の切欠部67は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30を、作業者が手指、あるいは挟持用工具等を用いて両側から把持することを可能にする。前記切欠部67は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30を両側から把持して、スプライスホルダ部60からその上方へ取り出すことを可能とするメカニカルスプライス取出し用切欠部(図5等参照。以下、単に、取出し用切欠部とも言う)として機能させることができる。
【0065】
図示例のスプライスホルダ部60において、前記後側壁部63の前後方向の延在寸法(延在長)は、前側壁部63の前後方向の延在長に比べて短くしてある。スプライスホルダ部60の両側の前記前側壁部62は、ホルダ側壁部69の前端から長手方向中央部まで延在形成されている。前記取出し用切欠部67は、前記後側壁部63の前端と、前側壁部63の後端との間に形成されている。
【0066】
図1〜図5に示すように、このスプライスホルダ部60の一対の前側壁部62の間には、前記底壁部60aの載せ台部61a上に載置したスプライス30の前端部を収容する前側スプライス収容溝62d(図2〜図5参照)が確保されている。
また、スプライスホルダ部60の一対の後側壁部63の間には、前記スプライス30の後端部を収容する後側スプライス収容溝62eが確保されている。
図示例のスプライスホルダ部60は、底壁部60aの載せ台部61a上に載置したスプライス30の前端部を前記前側スプライス収容溝62dに収容し、前記スプライス30の後端部を前記後側スプライス収容溝62e収容した状態で、スプライス30を保持している。
【0067】
図1〜図5に示すように、載せ台部61及びその両側の一対の前側壁部62の前端は、レール部70に臨ませて設けられ、トレイ50前端面に連続する前端面を形成している。また、前記一対の前側壁部62は、載せ台部61前端からその長手方向(前後方向)中央部まで延在形成されている。
底壁部60aの載せ台部61上に載置したスプライス30は、その前端から長手方向中央部までの範囲、より具体的には、第3クランプ部のスプライス長手方向全体と、第2クランプ部の長手方向中央部から前側の部分とが、一対の前側壁部62の間に収容される。
【0068】
前記スプライス30は、クランプばね33の前記背板部33a側が下側、背板部33aとは反対の開放側が上側の向きで、スプライスホルダ部60上方から、その前端部を前記一対の前側壁部62の間に押し込み、後端部を前記一対の後側壁部63に押し込んで、載せ台部61上に設置される。
また、図5、図9に示すように、載せ台部61上に設置したスプライス30は、第3クランプ部の第3クランプばね部333の一対の側板部333bの突端(上端)が、前側壁部62の互いに対面する内面側に突設されている係止爪62cの下側に配置され、係止爪62cによって載せ台部61からの浮き上がりを生じないように係止される。
【0069】
スプライス30は、一対の前側壁部62の間に押し込むときに、クランプばね33を前記係止爪62c上方から下方へ乗り越えさせる。その結果、クランプばね33が係止爪62cを乗り越えたとき、前記側板部33bの突端が係止爪62c下側に入り込み、上方への浮き上がりを生じないように係止される。
【0070】
スプライス30の第3クランプ部は、前蓋部材323とベース部材31との間に介挿されている介挿部材81Bがスプライス30から抜き去られると、クランプばね33の第3クランプばね部333の一対の側板部333b間の離隔距離が縮小する。一対の前側壁部62の間に保持されたスプライス30(介挿部材付きスプライス)の第3クランプ部は、介挿部材81Bの抜き去りによって、前記係止爪62cによる前記側板部33bの係止が解除される。その結果、スプライス30の、一対の前側壁部62間から取り出し、スプライスホルダ部60からの取り出しが可能となる。
このため、スプライスホルダ部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
【0071】
なお、スプライスホルダ部60は、例えば、作業者が手指で前側壁部62を弾性変形させて一対の前側壁部62間の離隔距離を強制的に増大させることで、前記係止爪62cによるスプライス30の係止(クランプばね33の側板部33bの係止)を解除可能な構成としても良い。
【0072】
スプライス30について、クランプばね33の両側の側板部33bの間隔方向、すなわち図2、図5、図8における上下方向、図9、図14における左右方向を、以下、幅方向とも言う。
クランプばね33の両側の側板部33bは、半割り把持部材34を介して、その幅方向両側に配置されている。図5、図9に示すように、介挿部材付きスプライスの第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法は、各前側壁部62に突設されている係止爪62cの突端間の距離よりも若干大きく、かつ一対の前側壁部62間の離隔距離よりも小さい。
【0073】
スプライス30の半割り把持部材34は、ベース部材31及び後蓋部材321のクランプばね33から後側に突出する部分からそれぞれ対向面31a、321aとは反対の側に張り出させた後端張出部31h、321dを有する。スプライス30の半割り把持部材34のクランプばね33後端から後側に突出した部分(後端張出部31h、321dを含む)は、外観が概ね角形ブロック状の後端係合突部を構成する。
【0074】
また、スプライス30の半割り把持部材34は、ベース部材31及び前蓋部材323のクランプばね33から前側に突出する部分からそれぞれ対向面31a、323aとは反対の側に張り出させた前端張出部31j、323dを有する。スプライス30の半割り把持部材34のクランプばね33前端から前側に突出した部分(前端張出部31j、323dを含む)は、外観が概ね角形ブロック状の前端係合突部を構成する。
【0075】
スプライス30のベース部材31のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの、後端張出部31h及び前端張出部31jの突出寸法は、クランプばね33の側板部33bの板厚よりも若干大きくしてある。また、後蓋部材311のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの後端張出部321dの突出寸法、及び、前蓋部材323のクランプばね33の側板部33bが当接される背面からの前端張出部323dの突出寸法も、クランプばね33の側板部33bの板厚に比べて若干大きくしてある。
【0076】
後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚みと、前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みとは、互いに同じに揃えられている。また、板状の中蓋部材322の厚み、すなわち中蓋部材322の対向面322aとクランプばね33の側板部33bが当接される背面との間の距離は、後蓋部材321の後端張出部321d以外の板状部の厚み、及び前蓋部材323の前端張出部323d以外の板状部の厚みと同じに揃えられている。
【0077】
介挿部材付きスプライスは、第1〜第3クランプ部のうち、第3クランプ部の前端係合突部が、幅方向寸法が最大の部位となっている。
介挿部材付きスプライスの後端係合突部の幅方向寸法は前端係合突部の幅方向寸法よりも小さい。また、介挿部材付きスプライスの第1クランプ部における後端係合突部から前側部分、及び第2クランプ部の幅方向寸法は、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法よりも小さい。
【0078】
前記前端係合突部の幅方向寸法は、該前端係合突部の幅方向両側の前端張出部31j、323dの突端の端面である係合面31k、323e間の距離である。
前蓋部材323の前端張出部323d突端の係合面323eは、前蓋部材323の対向面323aに平行に形成されている。ベース部材31の前端張出部31j突端の係合面31kは、ベース部材31の対向面31aに平行に形成されている。したがって、前端係合突部の幅方向両側の係合面31k、323eは、前蓋部材323及びベース部材31の対向面323a、31a同士が互いに平行であるとき互いに平行となる。
なお、介挿部材付きスプライスの前端係合突部において、幅方向両側の係合面31k、323eは、概ね互いに平行になっている。
【0079】
図5は、ベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿部材81を介挿していない状態のスプライス30のスプライスホルダ部60における収容状態を示す平面図である。
介挿部材付きスプライスの第3クランプ部の幅方向寸法は、半割りの素子間に介挿部材を介挿していないスプライス30の第3クランプ部の幅方向寸法に比べて大きい。
介挿部材付きスプライスにおける第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法(幅寸法の最大値)は、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62間の離隔距離と同じか、僅かに小さくする。
【0080】
ここでは、介挿部材付きスプライスとして、第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法の最大値を、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62間の離隔距離と同じに揃えたものを採用している。
この介挿部材付きスプライスは、第3クランプ部がスプライスホルダ部60の一対の前側壁部62の間に嵌め込み状態に嵌合固定され、スプライスホルダ部60に対する収容状態が安定する。
【0081】
スプライス30の前端部は、前記前端係合突部の幅方向両側の係合面31k、323eを、載せ台部61の両側の前側壁部62の互いに対面する内面に対面させて、一対の前側壁部62の間に挿入されている。前側スプライス収容溝62d内に収容されたスプライス30の前端部は、スプライス30にその前後方向の軸線回りの回転力が作用したときに、前記前端係合突部の幅方向両側の前端張出部31j、323dとスプライスホルダ部60の両側の前側壁部62との当接によって、スプライスホルダ部60に対して回り止めされる。スプライス30の前端部は、一対の前側壁部62の間に、スプライスホルダ部60に対して回り止めして保持されている。
【0082】
図5に示すように、介挿部材付きスプライスの第1クランプ部の後端係合突部の幅方向寸法は、第3クランプ部の前端係合突部の幅方向寸法よりも僅かに小さい。
前記後端係合突部の幅方向寸法は、該後端係合突部の幅方向両側の後端張出部31h、321dの突端の端面である係合面31i、321e間の距離である。
【0083】
後蓋部材321の後端張出部321d突端の係合面321eは、後蓋部材321の対向面321aに平行に形成されている。ベース部材31の後端張出部31h突端の係合面31iは、ベース部材31の対向面31aに平行に形成されている。したがって、後端係合突部の幅方向両側の係合面31i、321eは、後蓋部材321及びベース部材31の対向面321a、31a同士が互いに平行であるとき互いに平行となる。
介挿部材付きスプライスの後端係合突部において、幅方向両側の係合面31i、321eは、概ね互いに平行になっている。
【0084】
図示例のスプライス30において、介挿部材81を抜き去りピグテイル光ファイバ21と同径(被覆部の外径が同じ)の挿入光ファイバ1を把持固定した前蓋部材323及びベース部材31の対向面323a、31a同士が互いに平行であるときの前端係合突部の幅方向寸法は、第1クランプ部の後端係合突部の幅方向と同じである。
本実施形態では、挿入光ファイバ1としてピグテイル光ファイバ21と同径のものを用いる。但し、挿入光ファイバ1としては、必ずしも、その外径(被覆部の外径)が、ピグテイル光ファイバ21の被覆部の外径と同じものを採用する必要は無い。また、挿入光ファイバ1としては、その裸光ファイバ1aの径が、ピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aの径と同じものを採用する。
【0085】
スプライス30の後端部は、前記後端係合突部を構成する後端張出部31h、321dに概ね互いに平行に形成された係合面31i、321eを、載せ台部61の両側の後側壁部63の互いに対面する内面に対面させて、一対の後側壁部63の間に挿入されている。
後側スプライス収容溝62e内に収容されたスプライス30の後端部は、スプライス30にその前後方向の軸線回りの回転力が作用したときに、前記後端係合突部の幅方向両側の後端張出部31h、321dとスプライスホルダ部60の両側の後側壁部63との当接によって、スプライスホルダ部60に対して回り止めされる。スプライス30の後端部は、一対の後側壁部63の間に、スプライスホルダ部60に対して回り止めして保持されている。
【0086】
この結果、介挿部材付きスプライスは、前端係合突部と前側壁部62との係合、及び後端係合突部と後側壁部63との係合によって、スプライスホルダ部60、トレイ50に対して回り止めして取り付けられている。また、スプライスホルダ部60に保持された介挿部材付きスプライスは、一対のホルダ側壁部69によってホルダ部幅方向に位置決めして保持される。
【0087】
介挿部材付きスプライスは、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分を、スプライスホルダ部60に対して回り止めするための回り止め係合部として機能させることも可能である。介挿部材付きスプライスとしては、例えば、第3クランプ部における前端係合突部から後側部分の幅方向寸法を前端係合突部の幅方向寸法に揃えた構成も採用可能である。
また、介挿部材付きスプライスとしては、半割り把持部材34の前後両端部に回り止め係合部として形成した前端係合突部及び後側係合突部を省略し、前端係合突部を省略した第3クランプ部(図示例の第3クランプ部における前端係合突部から後側部分)を、スプライスホルダ部60に対して回り止めするための回り止め係合部として機能させることも可能である。
【0088】
また、スプライスホルダ部60としては、一対の後側壁部63間の互いに対面する内面が、一対の前側壁部62の互いに対面する内面の延長上に位置する構成に限定されない。スプライスホルダ部60としては、例えば、一対の後側壁部63におけるスプライス30の後端係合突部の幅方向両側の係合面31i、321eが対面配置される部分間の離隔距離を後端係合突部の幅方向と揃えた構成も採用可能である。
【0089】
また、前記スプライスホルダ部60は、前記スプライス30の長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部64及び後側ストッパ壁部65を有する。
前側ストッパ壁部64は、載せ台部61の前端部上に突設されている。図示例のスプライスホルダ部60において、前記前側ストッパ壁部64は、ホルダ部幅方向両側のホルダ側壁部69の間に形成されている。また、この前記前側ストッパ壁部64のホルダ部幅方向の中央部には、挿入光ファイバ1を挿通するための既述の前側ファイバ挿通部66(第2光ファイバ挿通部)が、上方に開いた切欠状に形成されている。
【0090】
前記後側ストッパ壁部65は、前記載せ台部61後端部のスプライス載せ面61a上に突出され、ホルダ部幅方向に延在する突壁状に形成されている。また、この後側ストッパ壁部65には、前記スプライス30後端から延出するピグテイル光ファイバ21を挿通する後側ファイバ挿通部65a(第1光ファイバ挿通部)が、上方に開いた切欠状に形成されている。
【0091】
前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65との間の離隔距離は、スプライス30の長手方向寸法に揃えてある。
図2に示すように、スプライス30は、前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65との間に嵌め込んで、前側ストッパ壁部64と後側ストッパ壁部65とによってトレイ50に対する前後方向の位置ずれを規制した状態で、載せ台部61上に設置される。
【0092】
スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、スプライスホルダ部60の幅方向両側のホルダ側壁部69に形成された既述の取出し用切欠部67を利用して作業者が手指で把持して、スプライスホルダ部60からの取り出し作業を楽に行える。
また、前記スプライスホルダ部60には、その底壁部60aを上下に貫通して、該底壁部60aの下面を形成するトレイ底板部51下面(上面51aとは反対側の面)と載せ台部61のスプライス載せ面61aに開口する上下貫通孔68が形成されている。このスプライスホルダ部60は、その下側(図示例の光ファイバ接続用ユニット10にあってはトレイ50下側)から前記上下貫通孔68に挿入した突き出し棒等の突き出し部材によって、スプライス30をスプライスホルダ部60から突き出して取り出すことも可能である。
【0093】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の前端には、前蓋部材323及びベース部材31に、それぞれ、その前端面から後側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34aが開口している。このテーパ状開口部34a(前側テーパ状開口部)の後端(奥端)は被覆部挿入溝323b、31dと連通している。
図6、図7に示すように、前記テーパ状開口部34aはスプライス30の半割り把持部材34の前端面34cの中央部に概ね円形に開口している。このため、半割り把持部材34の前端面34cは前記テーパ状開口部34a周囲にリング状に存在する。
【0094】
図2、図5に示すように、前側ストッパ壁部64には、その後側から、スプライス30の半割り把持部材34の前端面34cが当接される。また、スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、半割り把持部材34の前端面34cに開口するテーパ状開口部34aが前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66と連通される。
【0095】
図3、図4に示すように、図示例のスプライスホルダ部60の前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66は、前側ストッパ壁部64上面から窪んで前後方向に延在し、前側ストッパ壁部64の前後に開口する溝状に形成されている。
また、図示例の前側ファイバ挿通部66は、その前側から後側に行くにしたがって溝幅が縮小していくテーパ状に形成された溝(テーパ溝)となっている。この前側ファイバ挿通部66は、スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30の被覆部挿入溝323b、31dへ挿入する挿入光ファイバ1を、スプライスホルダ部60の前側からスプライス30前端のテーパ状開口部34aに円滑に導く機能を果たす。
【0096】
図示例の前側ファイバ挿通部66は、その後端のホルダ部幅方向の寸法(溝幅寸法)を、スプライス30のテーパ状開口部34a前端のスプライス幅方向の最大寸法に比べて若干小さくしてある。スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、そのテーパ状開口部34aのうち、少なくとも被覆部挿入溝323b、31dの延長上に位置する部分が、前側ストッパ壁部64の前側ファイバ挿通部66後端と連通される。また、前記スプライス30は、半割り把持部材34の前端面34cが、前側ストッパ壁部64の後端面にその後側から当接される。
【0097】
図7、図8に示すように、スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34b(以下、後側テーパ状開口部とも言う)が開口している。この後側テーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
【0098】
前記後側テーパ状開口部34bはスプライス30の半割り把持部材34の後端面34dの中央部に概ね円形に開口している。このため、半割り把持部材34の後端面34dは前記後側テーパ状開口部34b周囲にリング状に存在する。
図3に示すように、前記後側ストッパ壁部65の後側ファイバ挿通部65aは、スプライス30の半割り把持部材34の後側テーパ状開口部34b後端の内周に概ね一致する凹曲面を底面とする溝状に形成されている。
【0099】
後側ストッパ壁部65の前面は、スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30の半割り把持部材34の後端面34dの下端部に概ね一致する形状となっている。スプライスホルダ部60に収容されたスプライス30は、その半割り把持部材34の後端面34dの下端部を、後側ストッパ壁部65にその前側から当接させて、前側ストッパ突壁64との後側ストッパ突壁65との間に保持される。
スプライス30後端から後側へ延出するピグテイル光ファイバ21は、後側ストッパ壁部65の後側ファイバ挿通部65aに通される。
【0100】
図3、図4に示すように、図示例のトレイ50において、スプライスホルダ部60は、トレイ50の底板部51の前後方向に垂直の幅方向(図2において上下方向)の片方の端部に形成されている。
なお、トレイ50について、底板部51の幅方向に一致する方向を幅方向として説明する。スプライスホルダ部60の幅方向、すなわち一対のホルダ側壁部69の間隔方向は、トレイ幅方向に一致している。
【0101】
トレイ50の外周壁52は、底板部51外周のうち、スプライスホルダ部60の形成箇所を除いた部分の全体にわたって延在形成されている。この外周壁52は、スプライスホルダ部60の形成箇所には形成されていない。
このトレイ50は、スプライスホルダ部60の後方にて、底板部51上に突設された円筒状のマンドレル53を有する。また、このトレイ50のコネクタホルダ部57は、トレイ50前端部の、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側に形成されている。
【0102】
前記外周壁52は、スプライスホルダ部60後端から底板部51後端を経由して、スプライスホルダ部60前端まで、底板部51外周に沿って延在形成されている。外周壁52の延在方向の一端は、スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62のうち、載せ台部61からトレイ50内方に位置するもの(図中符号62bを付記する)に一体化され、延在方向の他端は、一対の後側壁部63のうち、載せ台部61からトレイ50外側に位置するもの(図中符号63aを付記する)に一体化されている。
【0103】
スプライスホルダ部60の一対の前側壁部62のうち、載せ台部61からトレイ50外側に位置するものに図中符号62a、一対の後側壁部63のうち、載せ台部61からトレイ50内方に位置するものに図中符号63aを付記する。
トレイ50の底板部51には、スプライスホルダ部60に沿って前後方向に延在する長孔54が形成されている。既述のように、スプライスホルダ部60の底壁部61aは、トレイ底板部51のうち、載せ台部61が形成された部位を含む。前記長孔54のトレイ幅方向に一致する幅方向両側の内側面の片方は、スプライスホルダ部60の載せ台部61によって形成されている。
【0104】
前記前側壁部62は、その下端部がトレイ底板部51に一体化された前側部分の後側に、前記長孔54上に張り出した部分(後側部分)を有する。この前側壁部62の前記後側部分の下端面は、トレイ底板部51の上面51aの延長上に延在している。
なお、図示例の光ファイバ接続用ユニットにおいて、スプライスホルダ部60の前側壁部62の前側部分及び後側壁部63は、前記載せ台部61の両側に一体化されているとともに、その下端部が前記トレイ底板部51に直接一体化されている。前記前側壁部62は、その前後方向全長にわたって前記載せ台部61に一体化されている。但し、前側壁部62及び後側壁部63は、前記載せ台部61の両側に一体化されていれば良く、必ずしもトレイ底板部51に直接一体化されていなくても良い。
【0105】
図9に示すように、前記長孔54には、スプライス用工具80の一対の係合壁部87の片方が挿入される。
前記スプライス用工具80は、受圧壁部86の当接用壁部86aを載せ台部61から上に突出する一対の前側壁部62の突端に当接させ、一対の係合壁部87の突端部の突爪87aを、スプライスホルダ部60の載せ台部61の両側の前側壁部62にその下側から係合させて、載せ台部61、トレイ50に取り付けられている。
【0106】
本実施形態において、コネクタホルダ部57は、トレイ50の底板部51上に突設した複数の突起によって光コネクタ22を保持する構成のものである。
図2、図3等に示すように、図示例のトレイ50のコネクタホルダ部57は、トレイ50の前端部に設けられている。また、このコネクタホルダ部57は、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側の端部に設けられている。
【0107】
図示例の前記コネクタホルダ部57は、前記外周壁52のトレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側に前後方向に延在する部分(後述の第2コネクタ保持壁52e)と、該部分から光コネクタ22を嵌め込むスペース(コネクタ収容スペース56)を空けてトレイ底板部51上に突設した突壁55(突起)とを、光コネクタ22を保持するためのコネクタ保持壁としたものである。前記突壁55は、トレイ底板部51上に前後方向に延在させて形成されている。
以下、前記突壁55を第1コネクタ保持壁、外周壁52のうち、光コネクタ22が嵌め込まれるコネクタ収容スペース56を介して第1コネクタ保持壁55に対面する部分を第2コネクタ保持壁52eとも言う。
【0108】
図示例のトレイ50は、その前後方向を長手方向とする平面視長方形状に形成されている。トレイ50の外周壁52は、トレイ50前端にトレイ幅方向に沿って延在する前壁部52aと、トレイ幅方向においてスプライスホルダ部60とは反対の側の端部に前後方向に延在形成された第1外周側壁部52bと、トレイ50前端にトレイ幅方向に沿って延在する後壁部52cと、スプライスホルダ部60の後側壁部63aから後側へトレイ前後方向に沿って延在形成された第2外周側壁部52dとを有する。
前記コネクタホルダ部57は、前記第1外周側壁部52bの前端部を、前記第2コネクタ保持壁52eとしている。
【0109】
図2、図3等に示すように、前記光コネクタ22は、フェルール22aを収容するスリーブ状のハウジング22bの、前記フェルール22a先端部(接合端面22a1が形成されている端部)側の端部である前端部両側から、コネクタ後側に向かって細長の弾性片であるラッチ22cが延出する構成のものである。ハウジング22bの両側のラッチ22cは、ハウジング22b前端部からコネクタ後側に行くにしたがって前記ハウジング22bからの距離が増大するように延出されている。
第1コネクタ保持壁55は、概ね、光コネクタ22のハウジング22bの長さと同程度の長さで、底板部51上に前後方向に延在形成されている。
【0110】
前記ラッチ22cの長手方向(ハウジング22bからの延出方向)中央部には、光コネクタ22を挿入して嵌合する光コネクタアダプタ、ソケットといった嵌合ハウジングに係合する係合爪22dが突設されている。この係合爪22dは、ラッチ22cにおいてハウジング22bとは反対の側に突設されている。
【0111】
光コネクタ22は、前記ハウジング22bを、一対のコネクタ保持壁55、52eの間のコネクタ収容スペース56に収容してトレイ底板部51上に配置し、両側のラッチ22cを一対のコネクタ保持壁55、52eに当接させて、一対のコネクタ保持壁55、52eの間に嵌め込んだ状態で、コネクタホルダ部57に保持される。また、この光コネクタ22は、ラッチ22cの係合爪22dをコネクタ保持壁55、52eに形成した係合用切欠部55a、52fに入り込ませ、前記ラッチ22cをコネクタ保持壁55、52eに係合させて、コネクタホルダ部57に保持される。
【0112】
コネクタホルダ部57に保持された光コネクタ22は、ハウジング22bからコネクタ後側へ延出する一対のラッチ22cの先端部(突端部)に形成されたレバー部22eを互いに接近させるように操作し、一対のコネクタ保持壁55、52eに対する係合爪22dの係合を解除することで、コネクタホルダ部57から取り出すことができる。レバー部22eは、ラッチ22cにおいてハウジング22bとは反対の側に突設された突起状に形成されている。
前記コネクタホルダ部57は、一対のコネクタ保持壁55、52eの間に保持した光コネクタ22の一対のラッチ22cの一方のレバー部22eが、トレイ前後方向において第1コネクタ保持壁55の後側に配置され、他方のラッチ22cのレバー部22eが、第2コネクタ保持壁52eに形成したレバー部用切欠部52gに挿入されるように構成されている。
【0113】
また、図示例の光コネクタ22は、円筒部の片端側が有底で反対端側が開口している有底円筒状のキャップ22fをフェルール22a先端部に脱着可能に外挿した状態でコネクタ収容スペース56に収容して、コネクタホルダ部57に脱着可能に保持されている。
【0114】
スプライスホルダ部60に保持されたスプライス30後端から延出するピグテイル光ファイバ21の余長の湾曲処理は、既述のマンドレル53の周囲に巻回状態にするほか、トレイ底板部51上での湾曲配線によっても行える。
光ファイバ接続用ユニット10は、ピグテイル光ファイバ21の余長を湾曲処理した状態でトレイ50内にコンパクトに収容できる。
【0115】
図2〜図4に示すように、レール部70は、ファイバホルダ90をスライド移動させるスライド面71が形成された台部72上に、ファイバホルダ90の移動を案内する一対の案内壁部73を互いに平行に突設した概略構成になっている。
一対の案内壁部73は、トレイ前後方向に一致するレール部70の前後方向に、互いに離隔させて延在形成されている。また、一対の案内壁部73の間隔方向は、トレイ幅方向に一致している。
前記スライド面71は、一対の案内壁部73の間に位置する台部72上面であり、レール部70前後方向に延在形成されている。また、スライド面71は、スプライスホルダ部60前端に開口する前側ファイバ挿通部66から下側にずれた所に位置する。
【0116】
このレール部70は、スプライスホルダ部60前端から前側へ延出されている。
このレール部70について、スプライスホルダ部60側を後、その反対側を前として説明する。
【0117】
図11、図12に、ファイバホルダの一例を示す。
このファイバホルダ90について、図11の上側を上、下側を下として説明する。
図11、図12に示すように、ファイバホルダ90は、板状の前板部91の後側に枠状のスライダガイド部92を有する平面視長方形状の扁平な部材であるホルダ本体93と、このホルダ本体93の前記スライダガイド部92内側に、ホルダ本体93の長手方向に移動可能に設けられたスライダ95とを有する。
なお、このファイバホルダ90について、前板部91側を前、スライダガイド部92側を後として説明する。また、前記ホルダ本体93の長手方向を前後方向として説明する。
【0118】
前記前板部91の下面側には、該前板部91の前後方向前後全長にわたって延在する溝91aが形成されている。前板部91は、前記溝91aを介して両側の壁部(下端側壁部91b)の下面が、レール部70のスライド面71に当接される当接面とされている。
【0119】
前記ホルダ本体93のスライダガイド部92は、ホルダ本体93の長手方向に沿う細長形状に形成されている。スライダ95は、スライダガイド部92内側のスライダ収容空間94に前後方向に移動可能に収容されている。
【0120】
ホルダ本体93は、その前側の前板部91後端部からその後側のスライダ収容空間94へ互いに並行に延出する一対のファイバ把持片96を有する。このファイバ把持片96はホルダ本体93長手方向に沿って延在する長板状に形成されている。一対のファイバ把持片96は、前板部91後端部から後側に互いに平行に延在する一対のガイド用側壁92aの間隔方向中央部に、該間隔方向における位置を互いに若干ずらして形成されている。各ファイバ把持片96は、前板部91後端部の上部から、一対のガイド用側壁92aの間隔方向に垂直の向きでホルダ本体93長手方向に延在形成されている。
また、各ファイバ把持片96の前板部91付近に位置する基端部よりも後側の部分は、前記前板部91上面よりも上側に張り出している。
【0121】
図示例のホルダ本体93及びスライダ95は、それぞれプラスチック製の一体成形品である。但し、ホルダ本体93及びスライダ95は、必ずしもプラスチック製の一体成形品である必要はなく、複数の部材によって組み立て構成のものであっても良い。
【0122】
ホルダ本体93のスライダガイド部92は、前記一対のガイド用側壁92aと、該一対のガイド用側壁92aの後端部同士を橋絡する後部壁92bとによって構成されている。
なお、ホルダ本体93及びファイバホルダ90について、ホルダ本体93の一対のガイド用側壁92aの間隔方向を、以下、幅方向とも言う。
【0123】
一対のガイド用側壁92aは、前記ホルダ本体93の前板部91の幅方向両端部から後側に延在している。
一対のガイド用側壁92a及び後部壁92bの下面と、前板部91下端部両側の下端側壁部91bの下面とは、同一の仮想平面に重なる位置にある。
【0124】
前記スライダ95は、ホルダ本体93の前記一対のファイバ把持片96を収容する把持片収容溝95aが形成された断面(把持片収容溝95a軸線方向に垂直の断面)コ字状の部材である。
スライダ95については、前記把持片収容溝95aを介して両側に位置する把持壁部95bの間隔方向を幅方向として説明する。図示例のファイバホルダ90において、スライダ95の幅方向は、ホルダ本体93及びファイバホルダ90の幅方向と一致している。
【0125】
スライダ95は、その幅方向両側の側面の上部に突設されたガイド当接突起95cを、ホルダ本体93の前記ガイド用側壁92aの上端部に前後方向に延在形成された突起案内面92c上に、ホルダ本体93に対して前後方向にスライド移動可能に載置している。前記ガイド当接突起95cは、スライダ95の把持壁部95bの前記把持片収容溝95aとは反対側の側面(外側面)の上部に突設されている。突起案内面92cは、ガイド用側壁92aの上端部に上向きに形成されている。
そして、スライダ95は、前記把持片収容溝95aにホルダ本体93の一対のファイバ把持片96を収容した状態で、ホルダ本体93に対して前後方向にスライド移動可能に設けられている。
【0126】
スライダ95は、ホルダ本体93に対して、ホルダ本体93の後部壁92bに当接する後側移動限界位置に配置したときに、一対のファイバ把持片96の後端部を把持片収容溝95aの前端部に収容した状態となる。また、スライダ95は、ホルダ本体93に対して、前板部91後端に当接する前側移動限界位置に配置したときに、把持片収容溝95aの全長にわたって一対のファイバ把持片96を収容した状態となる。
なお、一対のファイバ把持片96における、スライダ95の把持片収容溝95aの溝幅方向両側の内側面に対面する面を、以下、スライダ当接面とも言う。
【0127】
前記スライダ95の把持片収容溝95aの前端部は、その前端から後側に行くにしたがって溝幅、すなわちスライダ95の一対の把持壁部95bの離隔距離が増大するテーパ状に形成されている。
把持片収容溝95aの前端部から後側部分の溝幅は、一対のファイバ把持片96のスライダ当接面間の距離に比べて若干小さくしてある。
【0128】
また、一対のファイバ把持片96の互いに対面する面(ファイバ把持面)間の距離は、ファイバ把持片96の全長にわたって同じになっている。一対のファイバ把持片96の後端部は、その前端から後側に行くにしたがって厚み寸法が小さくなるテーパ状に形成されている。スライダ95をホルダ本体93に対する後側移動限界位置に配置したときには、各ファイバ把持片96の後端部のファイバ把持面とは反対側の面が、把持片収容溝95aの前端部の内側面に合致するように当接する。
【0129】
一対のファイバ把持片96の互いに対面するファイバ把持面間の距離は、挿入光ファイバ1の外径(被覆部外径)に揃えられている。
このファイバホルダ90は、スライダ95をホルダ本体93に対する後側移動限界位置に配置した状態で、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を挿入した後、スライダ95をホルダ本体93に対する前側移動限界位置に移動することで、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を把持固定できる。また、一対のファイバ把持片96の間に挿入光ファイバ1を把持固定した状態のファイバホルダ90は、スライダ95をホルダ本体93に対して後側移動限界位置に移動することで、一対のファイバ把持片96の間における挿入光ファイバ1を把持固定を解除でき、一対のファイバ把持片96の間から挿入光ファイバ1を取り出すことができる。
【0130】
挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90の一対のファイバ把持片96に把持固定する際に、前板部91上面に前後方向に延在形成されているファイバ溝97と、スライダガイド部92の後部壁92bの上端中央部に切り欠き状に形成された後部ファイバ溝92dとにに載置する。
また、挿入光ファイバ1は、ホルダ本体93前端から前方への突出長を確保してファイバホルダ90に固定する。ファイバホルダ90に固定した挿入光ファイバ1は、ホルダ本体93から前方へ突出させた部分の先端部の被覆を除去して裸光ファイバ1aを口出しした状態で、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60に保持したスプライス30への挿入、ピグテイル光ファイバ21に対する突き合わせ接続に用いる。
【0131】
なお、ファイバ溝97及び後部ファイバ溝92dは、挿入光ファイバ1を、一対のファイバ把持片96の間隔方向中央を通りホルダ前後方向に延在する同一仮想直線上に位置決めする位置決め溝である。
ファイバ溝97及び後部ファイバ溝92dとしては、例えばV溝(図示例ではV溝)、U溝、半円溝等を採用できる。
【0132】
前記光ファイバ接続用ユニット10及びファイバホルダ90を用いてピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを接続(光接続)する作業(光ファイバ接続方法)は、図1に示すように、まず、挿入光ファイバ1を固定したファイバホルダ90を、光ファイバ接続用ユニット10のレール部70のスライド面71上に載置し、前記レール部70前端側からスプライスホルダ部60に向かって前進させる。
なお、ファイバホルダ90及び挿入光ファイバ1の光ファイバ接続用ユニット10に対する移動は、光ファイバ接続用ユニット10後端からの距離を縮める方向の移動を前進、反対方向の移動を後退として説明する。
【0133】
図1に示すように、挿入光ファイバ1を固定したファイバホルダ90は、ホルダ本体93下面がレール部70のスライド面71に当接する向きでスライド面71上に載置する。
図11、図12に示すように、ファイバホルダ90のホルダ本体93の前板部91の幅方向両側には、ホルダ本体93をレール部70のスライド面71上に載置したときに、レール部70の幅方向両側の案内壁部73に当接する当接片部99が突設されている。この当接片部99は、前記前板部91の下端部の幅方向両側に、ホルダ長手方向に沿って延在形成されている。前板部91からその幅方向両側に突出する当接片部99の突端間の距離は、レール部70の幅方向両側の案内壁部73間の離隔距離に揃えられている。
ホルダ本体93の幅方向両側の当接片部99は、ファイバホルダ90をレール部70のスライド面71上に載置したときに、レール部70の幅方向両側の案内壁部73に当接して、ファイバホルダ90をレール部70幅方向に位置決めする。
【0134】
また、ファイバホルダ90のホルダ本体93のスプライスガイド部92の幅方向両側の側面は、両側のガイド用側壁92aによって、当接片部99の突端の後方延長上に形成されている。したがって、ホルダ本体93のスプライスガイド部92の幅方向両側の側面も、レール部70のスライド面71上に載置したファイバホルダ90をレール部70に対してレール部70幅方向に位置決めする機能を果たす。
【0135】
図13に示すように、レール部70のスライド面71上に載置したファイバホルダ90は、ホルダ本体93の幅方向両側に突設されている係止用突起98が、レール部70後端部の幅方向両側に形成された弾性係止片74に係合する位置まで前進させる。ファイバホルダ90の係止用突起98は、ホルダ本体93の前板部91の下端部の幅方向両側から当接片部99上に突設されている。
図3、図4に示すように、前記弾性係止片74は、レール部70後端部の幅方向両側に突設された張出部75から前記スライド面71側に突出する湾曲板部74aの先端に、ファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が入り込む係合用凹所74cが形成された板状の係合片部74bを突設した構成になっている。
【0136】
前記湾曲板部74aは、レール部70前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部74aの突端はレール部70のスライド面71よりも上方に位置する。
前記係合片部74bは、前記湾曲板部74aの突端からスライド面71上に張り出されている。また、この係合片部74bは、既述のようにファイバホルダ90のホルダ本体93の当接片部99上に突設されている係止用突起98と係合させるべく、レール部70のスライド面71の上方に位置し、スライド面71と平行に設けられている。
【0137】
係合片部74bの前記係合用凹所74cは、該係合片部74bの前後中央部に、該係合片部74bの突端から窪む切り欠き状に形成されている。
レール部70の両側の弾性係止片74は、前記係合用凹所74cにファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、レール部70に対するファイバホルダ90のレール部70前後方向の移動を規制できる。
前記弾性係止片74は、レール部70に沿ってメカニカルスプライス30からの距離を縮めるように前進させたファイバホルダ90に係合してその後退を規制するファイバホルダ係止機構として機能する。
【0138】
また、レール部70は、その両側の弾性係止片74にファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が係合したときに、幅方向両側の弾性係止片74が、その湾曲板部74aの弾性によってホルダ本体93に向かって押圧される。その結果、レール部70は、ホルダ本体93を幅方向両側の弾性係止片74の間に挟み込んだ状態となり、弾性係止片74の前記係合用凹所74cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んだ状態を安定に維持できる。
【0139】
図13に示すように、弾性係止片74の係合片部74bの係合用凹所74cは、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状と合致する平面視形状に形成することが好ましい。
また、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状は、その突端から該突端とは反対の基端側に行くにしたがって、突端からホルダ前後両側に拡がるテーパ状(例えば、図13に示す三角形状)であることがより好ましい。
【0140】
なお、図示例のレール部70は、その両側の弾性係止片74にファイバホルダ90のホルダ本体93の係止用突起98が係合したときに、ファイバホルダ90のホルダ本体93前端が、トレイ50側部のスプライスホルダ部60前端に当接する。
この場合、ファイバホルダ90の係止用突起98の平面視形状は、その突端から該突端とは反対の基端側に行くにしたがって、突端からホルダ前側のみに拡がるテーパ状とすることも可能である。
【0141】
挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90をレール部70前端側からスプライスホルダ部60に向かって前進させることで、スプライスホルダ部60前端に開口する前側ファイバ挿通部66を介してスプライス30の被覆部挿入溝31d、323bに挿入できる。また、挿入光ファイバ1先端に口出ししておいた裸光ファイバ1aは、ファイバホルダ90の前進によって、被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入して、ピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てる(突き合わせ接続する)ことができる。
そして、挿入光ファイバ1は、ファイバホルダ90が、その係止用突起98がレール部70の両側の弾性係止片74に係合する前進限界位置に到達したときには、スプライス30の調心溝31bに挿入された裸光ファイバ1aがピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられ、被覆部挿入溝31d、323bに被覆部が挿入された状態となる。
【0142】
ファイバホルダ90のホルダ本体93から前方へ突出させる挿入光ファイバ1の突出長は、前進限界位置に到達したファイバホルダ90のホルダ本体93から、スプライス30のベース部材31と中蓋部材322との間に位置するピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くする。これにより、ファイバホルダ90が前進によって前進限界位置に到達したときに挿入光ファイバ1に形成される撓みの弾性によって、裸光ファイバ1a、21a同士の突き当て力を確保して裸光ファイバ1a、21a同士を突き合わせ接続できる。
【0143】
ファイバホルダ90を前進によって前進限界位置に到達させ、レール部70の弾性係止片74との係合によってスプライス30に対する後退を規制したら、次いで、図9に示すように、スプライス用工具80の介挿部材駆動部82に左右両側から側圧Pを与えて、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去る。
スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ると、スプライス30の第2クランプ部が、クランプばね33(詳細には第2クランプばね部332)の弾性によって、ベース部31と中蓋部材322との間に、裸光ファイバ1a、21aを突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。また、第3クランプ部が、クランプばね33(詳細には第3クランプばね部333)の弾性によって、ベース部31と前蓋部材323との間に、挿入光ファイバ1の被覆部を把持固定する。これにより、スプライス30にて、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了したピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
【0144】
既述のように、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させ、介挿部材駆動部82の受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離を増大させることで、スプライス30から介挿部材81A、81Bを抜き去ることができる。
図9に示すように、このスプライス用工具80の介挿部材駆動部82の、受圧壁部86と係止壁部85との間を繋ぐ左右両側の駆動部側壁部88は、介挿部材駆動部82の周方向に並んだ3つの板部88aが薄肉部88bを介して繋がった構成になっている。また、駆動部側壁部88と受圧壁部86との間、駆動部側壁部88と係止壁部85との間も薄肉部88bを介して繋がっている。
【0145】
なお、係止壁部85、受圧壁部86、駆動部側壁部88の各板部88aは、スリーブ状の介挿部材駆動部82においてその軸線方向に延在する細長板状に形成されている。
また、介挿部材付きスプライスのスプライス用工具80は、その左右方向が、トレイ幅方向及びスプライスホルダ部60の幅方向に一致される。
【0146】
介挿部材駆動部82を変形させる側圧Pは、左右両側の駆動部側壁部88のうち、介挿部材駆動部82の中心軸線Qを介して左右両側への張り出しが最大の部位、すなわち、駆動部側壁部88を構成する3つの板部88aのうち、介挿部材駆動部82周方向において両端の板部88aの間の中央の板部88aに作用させる。以下、この中央の板部88aを押圧用板部とも言う。また、この押圧用板部に図中符号88cを付記する。
介挿部材駆動部82は、その左右両側から、左右の押圧用板部88cに側圧Pを作用させて、左右の押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、薄肉部88bをヒンジ部として変形し、受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が増大する。
【0147】
また、図14に示すように、介挿部材駆動部82は、左右から側圧Pを作用させることで受圧壁部86と係止壁部85との間の離隔距離が最大となった後も、前記側圧Pによる介挿部材駆動部82の変形を継続することで、左右の駆動部側壁部88が、押圧用板部88cを中心軸線Qに最も接近した部位とする概略弓形に変形する。そして、介挿部材駆動部82は、受圧壁部86が、その介挿部材駆動部82周方向両端に比べて中央部が介挿部材駆動部82外側に位置する円弧板状に変形される。その結果、スプライス用工具80は、受圧壁部86の変形に伴い、一対の係合壁部87相互の相対的な向きが、その先端(突端)間の距離を増大するように変わり、一対の係合壁部87の前側壁部62に対する係合が解除される。
スプライス用工具80は、一対の係合壁部87の前側壁部62に対する係合が解除されれば、載せ台部61から簡単に取り外すことができる。
【0148】
図10に示すように、図示例のスプライス用工具80は、介挿部材81A、81Bの当接壁部83aを係止壁部85(具体的には突壁部85bの突端)に当接させたときの、介挿部材81の係合片84の係合爪84aと介挿部材駆動部82の係止壁部85(具体的には段差面85e)との間の離隔距離c1、c2が同じではなく、互いに異ならせてある。図示例のスプライス用工具80は、スプライス30の第2クランプ部に挿入された第1介挿部材81Aの前記離隔距離c1を、第3クランプ部に挿入された第2介挿部材81Bの前記離隔距離c2よりも短くしてある。
【0149】
このため、スプライス用工具80は、介挿部材駆動部82を左右からの側圧Pによって変形させたとき、スプライス30の第2クランプ部から第1介挿部材81Aが抜き去られた後に、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りが完了する。このスプライス用工具80は、第2クランプ部からの第1介挿部材81Aの抜き去りを、第3クランプ部からの第2介挿部材81Bの抜き去りに先行して行う、時差抜き去りを実現できる。
【0150】
ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続作業を完了したピグテイル付きスプライス20は、例えば、その全体をトレイ50から取り出し、ピグテイル光ファイバ21を、その延出端部の光コネクタ22を利用して、他の光ファイバ(コネクタ付き光ファイバ。一例として、図16(b)の光ファイバ121を参照)とコネクタ接続することができる。これにより、挿入光ファイバ1とコネクタ付き光ファイバとを、ピグテイル付きスプライス20を介して光接続することができる。
【0151】
図16(a)、(b)は、光ファイバ接続用ユニット10及びそのピグテイル付きスプライス20を利用して、挿入光ファイバ1と他の光ファイバとを接続する作業(光ファイバ中継接続工法、光ファイバ接続方法)の一例を説明する図である。
図16(a)、(b)に示す光ファイバ接続方法は、光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121、122(例えば光ファイバ心線)同士を、ピグテイル付きスプライス20を介して互いに接続するものである。また、図16(a)、(b)は、光ファイバケーブル120から、その長手方向中途部に組み立てられたクロージャ110内に引き出された光ファイバ121、122同士を、ピグテイル付きスプライス20を介して互いに接続する作業を説明するものである。
なお、図16(a)、(b)において、上側を上、下側を下として説明する。
【0152】
図16(a)、(b)に示すクロージャ110は、光ファイバケーブル120の下方に、該光ファイバケーブル120を把持固定したケーブル把持部111が上端に設けられた取付用縦部材112が立設された細長板状の連結部材113(連結棒)を有する。この連結部材113は、その長手方向両端に立設された取付用縦部材112の上端のケーブル把持部111を、それぞれ光ファイバケーブル120に固定して、光ファイバケーブル120の下方に該光ファイバケーブル120の長手方向に沿って延在配置されている。
【0153】
また、図示例のクロージャ110は、前記連結部材113上に余長収容トレイ114を上下多段に複数積層したトレイ積層体114Aを有する。前記余長収容トレイ114には、光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121と、前記光ファイバケーブル120に対して分岐、接続する光ドロップケーブル130とをコネクタ接続するためのアダプタ115が取り付けられている。光ファイバケーブル120から引き出した光ファイバ121は、その先端に取り付けた光コネクタ121aをアダプタ115に挿入、嵌合し、余長を余長収容トレイ114に収容している。
図16(a)は、光ドロップケーブル130先端に取り付けた光コネクタ131をアダプタ115に挿入、嵌合して、前記光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをアダプタ115にてコネクタ接続した状態を示す。
【0154】
なお、トレイ積層体114Aの複数の余長収容トレイ114は、そのうちの1以上が、光ファイバケーブル120の光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをコネクタ接続したコネクタ接続部が設けられた構成ものである。
トレイ積層体114Aの複数の余長収容トレイ114としては、光ファイバケーブル120の光ファイバ121と光ドロップケーブル130とをコネクタ接続したコネクタ接続部が設けられておらず、例えば光ファイバケーブル120の光ファイバ121と接続した光スプリッタ等の光部品を余長とともに収容したもの等が含まれていても良い。
【0155】
また、図16(a)のクロージャ110において、光ドロップケーブル130とコネクタ接続されている光ファイバケーブル120の光ファイバ121は、光ファイバケーブル120の長手方向全長にわたって延在する光ファイバを、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被120aを除去した部位(外被除去部120b)から取り出し、切断した片側部分である。この光ファイバ121(以下、第1光ファイバとも言う)は、光ファイバケーブル120長手方向においてクロージャ110組み立て位置から片側(図16(a)において左側)に延在している。
【0156】
図16(a)のクロージャ110には、光ファイバケーブル120長手方向において、前記第1光ファイバ121とは反対側(図16(a)において右側)に延在する光ファイバ122(以下、第2光ファイバとも言う)の、光ファイバケーブル120から引き出された部分も引き込まれている。図16(a)に例示したクロージャ110において、前記第2光ファイバ122は、どこにも接続されていない未接続光ファイバとなっている。また、この第2光ファイバ122は、光ファイバケーブル120から引き出されたままの状態(例えば光ファイバ心線のままの状態)、すなわち、コネクタ付け等を行っていない状態でクロージャ110に設けられている。
【0157】
図16(a)、(b)は、具体的には、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121と光ドロップケーブル130とのコネクタ接続を解除し、光ファイバ接続用ユニット10及びそのピグテイル付きスプライス20を利用して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121と第2光ファイバ122とを接続(光接続)する作業を説明する。
【0158】
この作業(光ファイバ中継接続工法、光ファイバ接続方法)は、クロージャ110からその外装ケースであるクロージャスリーブ116を開放(解体、撤去を含む)して行う。この作業は、クロージャスリーブ116を開放した後、まず、光ファイバケーブル120の第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のスプライス30にてピグテイル光ファイバ21と接続するピグテイル光ファイバ接続工程を行う。
次いで、トレイ50から取り出したピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21先端部(延出端部)の光コネクタ22を、光ドロップケーブル130先端の光コネクタ131を抜き去って開放しておいた余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続するコネクタ接続工程を行う。
【0159】
ピグテイル光ファイバ接続工程は、光ファイバケーブル120の第2光ファイバ122を挿入光ファイバ1として、光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30に挿入してピグテイル光ファイバ21と接続する。このピグテイル光ファイバ接続工程は、より具体的には、まず、前記第2光ファイバ122にファイバホルダ90(図1等参照)を取り付け、前記第2光ファイバ122を挿入光ファイバ1として、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被除去部120bに接近させた光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30に挿入して、ピグテイル光ファイバ21と接続する。
【0160】
第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)に挿入する作業は、第2光ファイバ122に取り付けたファイバホルダ90を、光ファイバ接続用ユニット10のレール部70に載せてスライド移動させることで、確実、かつ円滑に行うことができる。ここで、第2光ファイバ122は、その先端に、予め裸光ファイバを口出しした状態でスプライス30に挿入する。
【0161】
光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)への第2光ファイバ122の挿入は、ファイバホルダ90を取り付けた第2光ファイバ122先端に予め口出ししておいた裸光ファイバを、スプライス30の半割り把持部材34前端のテーパ状開口部34aから被覆部挿入溝31d、323bを介して調心溝31bに挿入するものである。
第2光ファイバ122を光ファイバ接続用ユニット10のスプライス30(介挿部材付きスプライス)に挿入してピグテイル光ファイバ21と接続する作業は、スプライス30の調心溝31bに挿入した第2光ファイバ122先端の裸光ファイバをピグテイル光ファイバ21の裸光ファイバ21aに突き当て、この突き当て状態を保ったまま、スプライス30から介挿部材を抜き去ることで実現される。
【0162】
コネクタ接続工程は、ピグテイル光ファイバ接続工程の完了後に、まず、光ファイバ接続用ユニット10のトレイ50からピグテイル付きスプライス20を取り出す。次いで、既述のように、このピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21先端部(延出端部)の光コネクタ22を、予め光ドロップケーブル130先端の光コネクタ131を抜き去って開放しておいた余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続するものである。
【0163】
ピグテイル付きスプライス20の光コネクタ22は、余長収容トレイ114のアダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続可能なものを採用する。光ファイバ接続用ユニット10は、前記アダプタ115に挿入嵌合して、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121とコネクタ接続可能な光コネクタ22を採用した構成のピグテイル付きスプライス20を用いて組み立てたものを用いる。
【0164】
図15に示すように、前記光ファイバ接続用ユニット10は、ピグテイル付きスプライス20のコネクタ付きピグテイル23のトレイ50上部開口部からの飛び出しを防止するトレイカバーとして、例えば樹脂製フィルム等によって筒状に形成された筒状カバー58をトレイ50に外挿した構成を採用できる。図15に例示した光ファイバ接続用ユニット10は、トレイ50に外挿した筒状カバー58のトレイ50上部開口部に横架させた部分によって、トレイ50上部開口部からのコネクタ付きピグテイル23の飛び出しを防ぐことができる。
【0165】
図15に例示した筒状カバー58は、トレイ50に対してその後方へスライド移動させて抜き去ることが可能である。したがって、トレイカバーとして前記筒状カバー58を用いた光ファイバ接続用ユニット10は、筒状カバー58をトレイ50から抜き去るだけでトレイ50上部開口部を簡単に開放でき、簡単かつ迅速にトレイ50をピグテイル付きスプライス20の取り出しが可能な状態とすることができる。
【0166】
図15に例示した筒状カバー58は、樹脂製フィルム、樹脂製シート等によって形成された、可撓性の筒状部材である。また、図示例の筒状カバー58は角筒状に形成されている。
但し、筒状カバー58としては、トレイ50に外挿して、トレイ50上部開口部からのコネクタ付きピグテイル23の飛び出しを防止できる筒状のものであれば良く、必ずしも角筒状である必要は必要は無い。また、筒状カバーとしては、その軸線方向両端が開口する筒状の構成のものに限定されず、軸線方向一端が開口し他端が閉塞されている片端有底筒状のもの(例えば、開口部をひとつのみ有する袋状のもの)も採用可能である。
【0167】
また、筒状カバーとしては、必ずしも可撓性に優れる構成である必要は無く、例えば硬質の樹脂や金属等の硬質の材料によって形成された角筒部材を用いても良い。角筒部材としては片端有底筒状のものであっても良い。
【0168】
樹脂製フィルム、樹脂製シート等によって形成された筒状カバー58は、肉厚を小さくできるため、前記角筒部材に比べて、該筒状カバー58をトレイ50に外挿したカバー付きトレイの外寸を小さく抑えることに有利である。また、この筒状カバー58は、構成が単純で、低コストで得ることができるといった利点もある。
また、前記トレイカバーとしては、上述の筒状カバーに限定されず、例えば、トレイ50上部開口部の口縁部を形成する外周壁52突端部に脱着可能な脱着蓋や、外周壁52突端部にヒンジを介して回動可能に連結した回動蓋等も採用可能である。
【0169】
なお、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21と接続する前の、光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121は、クロージャ110に引き込まれた光ドロップケーブル130とコネクタ接続されたものに限定されない。光ファイバケーブル120の第1光ファイバ121は、クロージャ内に設けたアダプタにて、他の光ファイバとコネクタ接続されたものであれば良く、例えば、クロージャに別途引き込まれた多心の光ファイバケーブルから引き出された光ファイバと、アダプタにてコネクタ接続されたものであっても良い。
また、図16(a)、(b)は、架空の光ファイバケーブル120に組み立てたクロージャ110内に光ファイバケーブル120から引き出された光ファイバ121、122同士を、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20を利用して接続する光ファイバ中継接続工法を例示したが、クロージャ110としては、架空用のものに限定されず、地下設置用のクロージャであっても良い。
【0170】
また、光ファイバ接続用ユニット10の用途は、光ファイバケーブルからクロージャ内に引き出された光ファイバに対するピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21の接続に限定されない。光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20のピグテイル光ファイバ21の接続対象の光ファイバとしては特には限定は無く、は、例えば、クロージャ以外の各種の光接続箱(例えばいわゆる光成端箱等)内の光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等であっても良い。
また、光ファイバ接続用ユニット10のピグテイル付きスプライス20を用いて行う光ファイバ中継接続工法によって互いに接続する光ファイバとしても、特には限定は無い。
【0171】
前記光ファイバ接続用ユニット10は、メカニカルスプライスを用いた光ファイバ同士の接続(挿入光ファイバ1とピグテイル光ファイバ21との接続)を効率良く、容易に実現できる。また、光ファイバ接続用ユニット10は、既述の特許文献1記載の光ファイバ接続工具に比べて構造の単純化、低コスト化を容易に実現できる。
【0172】
また、この光ファイバ接続用ユニット10は、小型化を容易に実現できることから、狭隘なスペースへの挿入に有利であり、光ファイバ(挿入光ファイバ1)にピグテイル光ファイバ21を接続する作業、ピグテイル付きスプライス20を介して光ファイバ同士を接続する作業(光ファイバ中継接続工法)に幅広く適用できる。
図1等に示すように、光ファイバ接続用ユニット10は、トレイ50にピグテイル付きスプライス20を収容した全体として外観扁平な構成に組み立てることができる。このため、この光ファイバ接続用ユニット10は、狭隘なスペースに挿入して、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0173】
また、介挿部材付きスプライスの介挿部材として、既述のスプライス用工具80の介挿部材81を採用した構成は、スプライス用工具80のスリーブ状の介挿部材駆動部82をその両側からの側圧Pによって変形させてスプライス30からの介挿部材81の抜き去りを実現できるため、スプライス用工具80上に僅かなスペースを確保するだけで、スプライス30からの介挿部材の抜き去り作業を実現できる。すなわち、前記スプライス用工具80の採用は、例えば、介挿部材として、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものを採用した場合に比べて、スプライス用工具80上に確保するスペースが僅かで済む。このことは、光ファイバ接続用ユニット10を、狭隘なスペースに挿入して、ピグテイル光ファイバ21と挿入光ファイバ1との接続に使用することに有利である。
【0174】
なお、介挿部材付きスプライスの介挿部材としては、作業者が直接手指でスプライス30から離隔する方向に引っ張ってスプライス30から抜き去る構成のものも採用可能である。この構成の介挿部材としては、例えば、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間に介挿した先端側の介挿片部とは反対の基端側を、スプライス30から突出させた部分に、作業者が介挿部材を手指で把持してスプライス30から離隔する方向に引っ張り操作するための抜き去り用把持部を設けたものを採用できる。
前記抜き去り用把持部としては、例えば、先端側の介挿片部からスプライス30外側に突出させた基端側に向かって延在する介挿部材本体の基端部に、該介挿部材本体の延在方向に垂直の方向に突出させた突起などを採用できる。
【0175】
光ファイバ接続用ユニット10は、例えば、図16(a)に例示したように、光ファイバケーブル120とその下方に離隔して設けられているトレイ積層体114Aとの間の隙間に挿入して、光ファイバケーブル120のクロージャ110組み立て位置の外被除去部120bに接近配置することに有利である。そして、光ファイバケーブル120とトレイ積層体114Aとの間の隙間に挿入した光ファイバ接続用ユニット10は、そのスプライスホルダ部60の前端を、光ファイバケーブル120から引き出された第2光ファイバ122の根元部分に接近配置できる。
図16(a)のように、光ファイバ接続用ユニット10のスプライスホルダ部60の前端を、光ファイバケーブル120から露出する第2光ファイバ122の根元部分に接近配置できることは、第2光ファイバ122の光ファイバケーブル120からの引き出し長(露出長)が短くても(いわゆる短余長の場合)、第2光ファイバ122の引き出し長を有効に活用して、スプライス30(介挿部材付きスプライス)への挿入、ピグテイル光ファイバ21との接続を実現するに有利である。
【0176】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えばメカニカルスプライス、ピグテイル付きスプライス(ピグテイル付きメカニカルスプライス)、介挿部材、光コネクタ、ファイバホルダ、挿入工具部、トレイの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。
【0177】
また、本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットは、スプライスホルダ部とレール部とで構成される挿入工具部、及び該挿入工具部のスプライスホルダ部にメカニカルスプライスを保持させたピグテイル付きスプライスのみを有する構成としても良い。
本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットは、少なくとも、挿入工具部及び該挿入工具部のスプライスホルダ部にメカニカルスプライスを保持させたピグテイル付きスプライスを有する構成であれば良い。本発明に係る実施形態の光ファイバ接続用ユニットとしては、例えば、スプライスホルダ部に該スプライスホルダ部とは別体のトレイが後付けで取り付け可能とされた構成なども採用可能である。
【0178】
挿入工具部のスプライスホルダ部としては、その底壁部の幅方向両側に複数立設した突起(保持用突起)によって、スプライスをその幅方向両側から把持、あるいはスプライスの周囲の複数箇所に当接してスプライスを底壁部上の所定位置に保持する構成を採用できる。また、スプライスホルダ部は、突起(保持用突起)として、スプライスを該スプライスホルダ部の前後方向に位置決めするための突起(ストッパ突起)を有することが好ましい。
スプライスホルダ部の保持用突起の形状や数は特に限定はなく、適宜、設計変更可能である。保持用突起としては、スプライスホルダ部前後方向に延在する既述のホルダ側壁部や、ピグテイル光ファイバを挿通する切欠状の第1光ファイバ挿通部が形成された後側ストッパ壁部、挿入光ファイバを挿通する切欠状の第2光ファイバ挿通部が形成された前側ストッパ壁部に限定されず、例えば底壁部に立設したピン状の突起であっても良い。
【0179】
ストッパ突起としては、スプライスを前後から挟み込むようにして保持するべく、スプライスホルダ部の前後方向に離隔させて設けることが好ましい。すなわち、スプライスホルダ部は、ストッパ突起として、スプライスの前端面を当接する前側ストッパ突起と、スプライスの後端面を当接する後側ストッパ突起とを設け、前側ストッパ突起と後側ストッパ突起との間にスプライスを前後から挟み込むようにして保持できるようした構成を採用することが好ましい。
【0180】
既述の実施形態では、スプライスホルダ部に、前側ストッパ突起としてスプライスの半割り把持部材の前端面を当接する前側ストッパ壁部、後側ストッパ突起として前記半割り把持部材の後端面を当接する後側ストッパ壁部を設けた構成を例示している。但し、スプライスホルダ部の底壁部に立設するストッパ突起(前側ストッパ突起及び後側ストッパ突起)としては、切欠部が形成されていない突壁状やピン状の突起も採用可能である。
【0181】
また、ストッパ突起としては、スプライスホルダ部の底壁部に立設した突起に限定されない。ストッパ用突起としては、例えば、スプライスを幅方向両側から把持するために底壁部に立設した突起の側面に突設され、スプライスの前後方向のいずれかの端面が当接される突起であっても良い。
【0182】
また、スプライスとしては、その前端面及び後端面が半割り把持部材の前端面34c及び後端面34dである構成に限定されない。スプライスとしては、その前端面及び後端面の一方又は両方が、クランプばねの端面によって確保されている構成も採用可能である。
【符号の説明】
【0183】
1…挿入光ファイバ、10…光ファイバ接続用ユニット、20…ピグテイル付きメカニカルスプライス、21…ピグテイル光ファイバ、21a…(ピグテイル光コネクタの)裸光ファイバ、21b…(ピグテイル光コネクタの)被覆、22…光コネクタ、30…メカニカルスプライス、31…素子(ベース部材、ベース側素子)、32…押さえ蓋、321…素子(蓋側素子、後蓋部材)、322…素子(蓋側素子、中蓋部材)、323…素子(蓋側素子、前蓋部材)、33…クランプばね、34…半割り把持部、34c…前端面、34d…後端面、40…ユニットベース、41…挿入工具部、50…トレイ、57…コネクタホルダ部、58…筒状カバー、60…スプライスホルダ部、60a…底壁部、61…載せ台部、61a…スプライス載せ面、62…ホルダ側壁部、前側壁部、63…ホルダ側壁部、後側壁部、64…前側ストッパ壁部、65…後側ストッパ壁部、65a…第1ファイバ挿通部(後側ファイバ挿通部)、66…第2光ファイバ挿通部(前側ファイバ挿通部)、67…メカニカルスプライス取出し用切欠部、69…ホルダ側壁部、70…レール部、80…スプライス用工具、81…介挿部材、81A…介挿部材(第1介挿部材)、81B…介挿部材(第2介挿部材)、90…ファイバホルダ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、
前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備し、
前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てることが可能な光ファイバ接続用ユニット。
【請求項2】
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスをその幅方向両側から保持する2つの側壁部と、これらの側壁部を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部とを有し、前記2つの側壁部と前記底壁部とにより三方から囲まれる溝状の空間に前記メカニカルスプライスを収容しており、
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスの長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部及び後側ストッパ壁部を有する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項3】
前記ピグテイル光ファイバの余長を収容するトレイをさらに具備する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項4】
前記2つの側壁部に、収容した前記メカニカルスプライスに係合しての浮き上がりを規制する係止爪が突設されている請求項2に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項5】
前記2つの側壁部は、前記メカニカルスプライスを介して互いに対向する位置に前記メカニカルスプライスの側面を露出するメカニカルスプライス取出し用切欠部を有する請求項2に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項6】
前記トレイは、前記コネクタ付きピグテイルの光コネクタを脱着可能に保持するコネクタホルダ部を有する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項7】
前記後側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに把持固定している前記ピグテイル光ファイバを挿通する上方に開いた切欠状の第1光ファイバ挿通部を有し、前記前側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに挿入される前記挿入光ファイバを挿通するための上方に開いた切欠状の第2光ファイバ挿通部を有する請求項2、4、5のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項8】
前記トレイに抜き去り可能に外挿された筒状または袋状のカバーをさらに具備する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項9】
前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるように前進させた前記ファイバホルダに係合してその前後動を規制するファイバホルダ係止機構をさらに具備する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項10】
メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備している光ファイバ接続用ユニットを用い、
前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てる光ファイバ接続方法。
【請求項1】
メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、
前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、
前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備し、
前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てることが可能な光ファイバ接続用ユニット。
【請求項2】
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスをその幅方向両側から保持する2つの側壁部と、これらの側壁部を前記メカニカルスプライスの下方で連結する底壁部とを有し、前記2つの側壁部と前記底壁部とにより三方から囲まれる溝状の空間に前記メカニカルスプライスを収容しており、
前記スプライスホルダ部は、前記メカニカルスプライスの長手方向の両端面に突き当て位置決めする前側ストッパ壁部及び後側ストッパ壁部を有する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項3】
前記ピグテイル光ファイバの余長を収容するトレイをさらに具備する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項4】
前記2つの側壁部に、収容した前記メカニカルスプライスに係合しての浮き上がりを規制する係止爪が突設されている請求項2に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項5】
前記2つの側壁部は、前記メカニカルスプライスを介して互いに対向する位置に前記メカニカルスプライスの側面を露出するメカニカルスプライス取出し用切欠部を有する請求項2に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項6】
前記トレイは、前記コネクタ付きピグテイルの光コネクタを脱着可能に保持するコネクタホルダ部を有する請求項1に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項7】
前記後側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに把持固定している前記ピグテイル光ファイバを挿通する上方に開いた切欠状の第1光ファイバ挿通部を有し、前記前側ストッパ壁部は、前記メカニカルスプライスに挿入される前記挿入光ファイバを挿通するための上方に開いた切欠状の第2光ファイバ挿通部を有する請求項2、4、5のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項8】
前記トレイに抜き去り可能に外挿された筒状または袋状のカバーをさらに具備する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項9】
前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるように前進させた前記ファイバホルダに係合してその前後動を規制するファイバホルダ係止機構をさらに具備する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ファイバ接続用ユニット。
【請求項10】
メカニカルスプライス長手方向の一端側で半割りの素子の間にピグテイル光ファイバを把持固定しているとともに、メカニカルスプライス長手方向の他端側で半割りの素子の間に介挿部材を割り入れているピグテイル付きメカニカルスプライスと、前記メカニカルスプライスを収容しているスプライスホルダ部と、前記スプライスホルダ部に収容されている前記メカニカルスプライスに挿入して前記ピグテイル光ファイバに突き合わせる挿入光ファイバを把持したファイバホルダをスライド移動させるレール部とを具備している光ファイバ接続用ユニットを用い、
前記ファイバホルダを前記レール部に沿って前記メカニカルスプライスからの距離を縮めるようにスライド移動させることで、前記ファイバホルダに把持した前記挿入光ファイバを前記メカニカルスプライスの半割りの素子間に挿入して、その先端を前記ピグテイル光ファイバに突き当てる光ファイバ接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−37235(P2013−37235A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174132(P2011−174132)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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