説明

光モジュール、光モジュールの製造方法及び光モジュールの調整方法

【課題】小型化しても容易に調芯を行うことができる光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール1は、第1の光素子16−1と、第1のレンズ18−1と、第2のレンズ18−2と、第2の光素子16−2と、平行平板20と、を備え、第1のレンズ18−1が、出射光が出射される位置から第1のレンズ18−1の焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、第2のレンズ18−2が、出射光が光結合されるべき位置から第2のレンズ18−2の焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、第1のレンズ18−1が配置されている位置の出射光が出射される位置から第1のレンズ18−1の焦点距離だけ離れた位置からのずれと、第2のレンズ18−2が配置されている位置の出射光が光結合されるべき位置から第2のレンズ18−2の焦点距離だけ離れた位置からのずれと、が対応している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール、光モジュールの製造方法及び光モジュールの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信側の光通信用の光モジュールには、特定の波長の光を発光し、その光を変調して出力する機能を有するものがある。発光と変調とを1つの素子で実現する場合と、別個の素子で実現する場合がある。特許文献1には、発光機能と変調機能とを別個の素子で実現している光モジュールの一例が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の光モジュールでは、1つのプラットフォーム基板上に2つの光素子を搭載し、その間にレンズ等からなる光学系を配置して、2つの光素子間の光結合を実現している。この光学系では、レンズ間を通る光線を平行光とすることが一般的に行われている。レンズ間を通る光線を平行光とすることで、2つの光素子間の距離を任意に設定でき、また、レンズ間に部品を容易に配置することができる。また、2つのレンズの間の光線を平行光とすることは、光結合効率に対して各光学要素の位置ずれの影響が小さいという利点がある。
【0004】
次に、通信用の光モジュールの調芯について述べる。通信用の光モジュールでは、結合用のレンズ、光の伝搬媒体である光ファイバ、またはその両者の位置を調整して、光結合を確保することが一般的に行われている。このような光結合効率を最大化または一定値以上確保する部品の位置調整行為は一般的に調芯と呼ばれる。上述のように、2つの光素子の間をレンズで光結合する光モジュールでは、例えば、まず光素子をプラットフォーム基板上に固定して、次にレンズの位置を調整(調芯)することで、光結合効率を最大にすることが行われている。2素子間の結合光学系が2つのレンズからなる場合には、例えば、第1のレンズを固定した後、第2のレンズの位置を調整(調芯)することで光結合効率を最大にすることが行われている。
【0005】
ところで、光結合光学系を構成するレンズ等の光学要素を固定した後、固定時の精度不足や固定工程でのストレスなどで、光軸のずれが発生し、そのずれにより光結合効率が低下することがある。このずれを補正して光結合効率を改善することができる光学系の一例として、特許文献2には、レンズと光素子との間に平行平板を挿入し、平行平板の傾きを調整することで、光線の光軸をずらすことができる光学系が記載されている。光路中に挿入した平行平板の傾きを変えると、透過光の光軸が平行移動することが光結合効率の改善の原理となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6275317号明細書
【特許文献2】特開2007−10854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、小型の光モジュールでは、短焦点で小型のレンズが用いられることが多く、レンズと光素子との間の距離が小さいことが多い。例えば、焦点距離0.5mmのコリメートレンズは、寸法が1mm程度などで、小型の光モジュールの用いられることが多いが、このレンズの動作距離は0.2mm以下であるため、このレンズと光素子との間に挿入された平行平板の傾きを変えることにより調芯を行うことは困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、小型化しても容易に調芯を行うことができる光モジュール、光モジュールの製造方法及び光モジュールの調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る光モジュールは、光を出射する第1の光素子と、前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズと、前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズと、前記第2のレンズを通過する前記出射光が光結合される第2の光素子と、前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部と、を備え、前記第1のレンズが、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、前記第2のレンズが、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、前記第1のレンズが配置されている位置の前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、前記第2のレンズが配置されている位置の前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、が対応していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光モジュールの製造方法は、光を出射する第1の光素子を配置する工程と、前記第1の光素子から出射される光が光結合される第2の光素子を配置する工程と、前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズを、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置する工程と、前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズを、前記出射光が光結合されるべき位置に光結合されるよう、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置する工程と、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部を配置する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光モジュールの調整方法は、光を出射する第1の光素子と、前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズと、前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズと、前記第2のレンズを通過する前記出射光が光結合される第2の光素子と、前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部と、を備え、前記第1のレンズが、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、前記第2のレンズが、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、前記第1のレンズが配置されている位置の前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、前記第2のレンズが配置されている位置の前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、が対応している光モジュール、が備える前記光路変更部の前記出射光の光軸方向に対する傾きを変化させることにより、前記出射光が光結合する位置を変化させる光結合位置変化手順、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、第1のレンズと第2のレンズとの間に配置された光路変更部の傾きを調整することで、第2のレンズと第2の光素子との光軸ずれを補正して、光結合効率を改善することが可能となるので、小型化しても容易に調芯を行うことができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記第1のレンズと、前記第2のレンズと、が異なる基板上に搭載されていることを特徴とする。
【0014】
この態様では、前記第1のレンズが搭載されている基板と、前記第2のレンズが搭載されている基板と、が互いに異なる熱電クーラーに搭載されていてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記光路変更部が光アイソレータであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記光路変更部が平行平板であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記第1の光素子が、出射光の波長を変更可能であり、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、入射する光を分岐する光分岐部が配置されており、前記光分岐部により分岐される一方の光が前記第2のレンズを通過して、前記光分岐部により分岐される他方の光が通過する、通過する光の波長によって透過率が変化する光フィルタと、前記光フィルタを通過する光の強度に応じて、前記波長可変光源から出射される光の波長が変化するよう前記波長可変光源を制御する制御部と、をさらに備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る光モジュールの内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る光モジュールにおける光軸の調整原理を説明する説明図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る光モジュールにおける光軸の調整原理を説明する説明図である。
【図2C】本発明の一実施形態に係る光モジュールにおける光軸の調整原理を説明する説明図である。
【図2D】本発明の一実施形態に係る光モジュールにおける光軸の調整原理を説明する説明図である。
【図2E】本発明の一実施形態に係る光モジュールにおける光軸の調整原理を説明する説明図である。
【図3】光素子とレンズとの間の距離と焦点距離との差と、光素子から出射した光が光結合する位置のレンズの光軸上の点からのずれと、の関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光モジュールの製造工程の概要の一例を示すフロー図である。
【図5】比較例の光モジュールの内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。
【図6A】TECの温度変化による影響を説明する説明図である。
【図6B】TECの温度変化による影響を説明する説明図である。
【図7】本発明の一変形例に係る光モジュールの内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る光モジュール1の内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。図1では、本実施形態に係る光モジュール1の内部構造を、光モジュール1の側面から見た様子を表している。
【0021】
本実施形態に係る光モジュール1には、例えば、筐体10内に、2つの熱電クーラー(TEC)12(第1のTEC12−1及び第2のTEC12−2)、2つのプラットフォーム基板14(第1のプラットフォーム基板14−1及び第2のプラットフォーム基板14−2)、2つの光素子16(第1の光素子16−1及び第2の光素子16−2)、3つのレンズ18(第1のレンズ18−1、第2のレンズ18−2、及び、第3のレンズ18−3)、平行平板20、が配置されている。そして、本実施形態に係る光モジュール1は、光ファイバ22と接続されている。
【0022】
図1に示す光モジュール1の筐体10の上には、第1のTEC12−1及び第2のTEC12−2が搭載されている。そして、第1のTEC12−1の上には第1のプラットフォーム基板14−1が搭載されており、第2のTEC12−2の上には第2のプラットフォーム基板14−2が搭載されている。そして、第1のプラットフォーム基板14−1の上には、第1の光素子16−1と、第1のレンズ18−1と、平行平板20と、が搭載されている。そして、第2のプラットフォーム基板14−2の上には、第2のレンズ18−2と、第2の光素子16−2と、第3のレンズ18−3と、が搭載されている。第3のレンズ18−3は、第2のレンズ18−2が配置されている位置とは第2の光素子16−2を挟んで反対側に配置されている。
【0023】
本実施形態に係る光モジュール1では、第1の光素子16−1は、例えば、光を出射する光源(半導体レーザなど)であり、第2の光素子16−2は、例えば、光増幅機能を有する光変調器である。そして、本実施形態に係る光モジュール1では、第1の光素子16−1からの出射光は、第1のレンズ18−1を通過して平行光よりもわずかに収束する疑似平行光となり、平行平板20を透過して第2のレンズ18−2に入射する。そして、第2のレンズ18−2をに入射した光は収束され、第2の光素子16−2に結合入射する。第2の光素子16−2は、第2の光素子16−2に入射した光に対して変調や増幅などの処理を施す。そして、処理された光は第2の光素子16−2の、光が入射した側とは反対側から出射される。第2の光素子16−2から出射された光は、第3のレンズ18−3を経由して光ファイバ22に結合入射する。そして、この光は光ファイバ22から外部へと出力される。このようにして、第1の光素子16−1から出射された光は、光ファイバ22から外部へと出力される。なお、本実施形態に係る光モジュール1には、蓋24が設けられている。
【0024】
ここで、本実施形態の原理について説明する。
【0025】
図2A、図2B、図2C、図2D、及び、図2Eは、本実施形態に係る光モジュール1における光軸の調整原理を説明する説明図である。なお、以下の説明においては、レンズ18の厚さ等を考慮しない近軸光線近似を用いて説明する。また、第1のレンズ18−1及び第2のレンズ18−2の焦点距離は共にfであるとする。また、光の進む方向をz軸方向、各図における下向き方向をy軸方向とする。また、第1の光素子16−1と第1のレンズ18−1との間の距離をd0、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間の距離をd1、第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との間の距離をd2とする。
【0026】
図2Aは、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間の光が平行光となる状況を説明する図である。図2Aの例では、第1の光素子16−1、第1のレンズ18−1、第2のレンズ18−2、第2の光素子16−2、それぞれの光軸は一直線上にある。図2Aの例では、第1の光素子16−1と第1のレンズ18−1との間の距離d0は、第1のレンズ18−1の焦点距離fとなっている。すなわち、第1のレンズ18−1は、第1の光素子16−1からz軸の正方向に距離fだけ離れて配置されている。また、第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との間の距離d2は、第2のレンズ18−2の焦点距離fとなっている。すなわち、第2のレンズ18−2は、第2の光素子16−2からz軸の負方向に距離fだけ離れて配置されている。そのため、第1の光素子16−1から出射され、第1のレンズ18−1を通過する光は平行光となる。そして、この光は第2のレンズ18−2を通過して、第2のレンズ18−2の光軸上に配置されている、第2の光素子16−2に光結合される。
【0027】
図2Bは、図2Aに示されている状況よりも、第2の光素子16−2の位置がy軸の正方向にずれている状況を説明する図である。そして、図2Cは、図2Bに示されている状況において、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間に平行平板20(厚さL、屈折率n、光軸に対する傾きθ)が配置されている様子を説明する図である。このとき、第1の光素子16−1から出射される光は、平行平板20を透過する際に、下記の式で算出される距離dだけy軸の正方向にずれる。
【0028】
【数1】

【0029】
このとき、この光の光軸の傾きは変化しない。そのため、第1の光素子16−1から出射される光は、第2のレンズ18−2に、第2のレンズ18−2の光軸に対して平行に入射する。そのため、第2のレンズ18−2を通過する光は、第2のレンズ18−2からの距離がfである、第2のレンズ18−2の光軸上の点に光結合する。このように、図2Cの例では、平行平板20を傾けたとしても、第1の光素子16−1からの出射光が光結合する位置が変化しない。そのため、図2Cに示す状況においては、第1の光素子16−1からの出射光は、第2の光素子16−2に光結合しないこととなる。
【0030】
図2Dは、第1の光素子16−1と第1のレンズ18−1との間の距離d0をf+δ、第2の光素子16−2と第2のレンズ18−2との間の距離d2をf−δとした状況を説明する図である。そして、図2Eは、図2Dに示す状況において、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間に平行平板20(厚さL、屈折率n、光軸に対する傾きθ)が配置されている状況を説明する図である。図1に示す光モジュール1では、図2Eと同様に、第1のレンズ18−1が、第1の光素子16−1から出射光が出射される位置から、第1のレンズ18−1の焦点距離fだけ離れた位置からずれた位置(例えば、d0=f+δとなる位置)に配置されている。そして、第2のレンズ18−2が、第1の光素子16−1からの出射光が光結合されるべき位置から第2のレンズの焦点距離fだけ離れた位置からずれた位置(例えば、d2=f−δとなる位置)に配置されている。
【0031】
図2Eの例では、図2Cに示す状況と同様、第1の光素子16−1から出射される、第1のレンズ18−1の中心光軸の光は、平行平板20を透過する際に、上述の距離dだけy軸の正方向にずれる。このように、第1の光素子16−1からの出射光は、平行平板20を透過する際に、光路が変更される。
【0032】
ここで、中心光軸の光は、第2のレンズ18−2に、第2のレンズ18−2の光軸と平行に入射するので、この中心光軸の光は、第2のレンズ18−2を通過した後で、z軸の正方向に対してd/fの傾きで第2の光素子16−2に向かい、第2のレンズ16−2からの距離が第2のレンズ18−2の焦点距離fだけ離れた点において、第2のレンズ16−2の光軸と交差することとなる。そして、出射光の出射位置(レンズ18からの距離z1)と、出射光が光結合する位置(レンズ18からの距離z2)との関係を示す、近軸光線の結像の式(1/z1+1/z2=1/f)に基づけば、第1の光素子16−1から出射する光は、第2のレンズ18−2からの距離が、ほぼf−δだけ離れた距離において光結合することとなる。そのため、第1の光素子16−1から出射した光が光結合する位置は、第2のレンズ18−2の光軸からy軸方向にb=dδ/fだけずれた位置となる。
【0033】
このように、図1に示す光モジュール1では、第1のレンズ18−1が配置されている位置の、第1の光素子16−1から出射光が出射される位置から第1のレンズ18−1の焦点距離fだけ離れた位置からのずれ(例えば、δ)と、第2のレンズ18−2が配置されている位置の、第1の光素子16−1からの出射光が光結合されるべき位置から第2のレンズ18−2の焦点距離fだけ離れた位置からのずれ(例えば、δ)と、は対応している。
【0034】
例えば、第1のレンズ18−1及び第2のレンズ18−2の焦点距離fが0.5mm、平行平板20の厚さLが2mm、平行平板20の屈折率nが2.0、第1の光素子16−1と第1のレンズ18−1との間の距離と、第1のレンズ18−1の焦点距離の長さとの差δが10μmである場合において、平行平板20を2度傾けると、第1の光素子16−1から出射される光が平行平板20を透過する際に34.9μmだけy軸方向にずれる。そして、この光が光結合される位置は、0.7μmy軸方向にずれる。このように、上述の例では、平行平板20を最大2度傾けることにより、光結合される、y軸方向における位置を最大0.7μm補正することが可能となる。
【0035】
上述のように、2つの光素子16を結合する光を疑似平行光として、その光路中に挿入した平行平板20の傾きを変えることで、第2のレンズ18−2による収束光のy軸方向における位置を変化させることができる。すなわち、本実施形態に係る光モジュール1では、平行平板20の傾きを調整することで、第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との光軸ずれを補正して、光結合効率を改善することが可能となる。また、平行平板20は、第2のレンズ18−2の光軸方向(z軸方向)に対して垂直な、いずれの方向に対しても傾けることができるので、第2のレンズ18−2の光軸と第2の光素子16−2の光軸とがz軸方向と直交する2つの軸方向においてずれていても、調整可能であることはいうまでもない。
【0036】
第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との光軸ずれは、第2のレンズ18−2の固定時の精度不足や構成部品の変形等が要因となり発生し、その大きさは、本実施形態に係る光モジュール1を製造する当業者の能力からすると1μm以下であると見積もられる。図3は、上述のδの値と、上述のbの値との関係を示す図である。図3には、平行平板20を傾けることができる最大の傾き(θmax)が1度である場合、2度である場合、3度である場合それぞれについて、上述のδの値と上述のbの値との関係が示されている。平行平板20の最大傾きを3度、上述のbの値を0.5μmとすると、上述のδの値は5μm程度で構わない。一方、平行平板20の最大傾きを1度、上述のbの値を1μmとすると、上述のδの値は30μm程度必要となる。よって、0.5μmから1μmの光軸ずれを補正する場合には、上述のδの値を5μmから30μm程度にするのがよいと考えられる。ただし、この値は、第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との調芯精度や、平行平板20の厚さLや屈折率nによって変わる。そして、δの値が5μmから30μmでなくても構わないのは言うまでもない。
【0037】
次に、本実施形態に係る光モジュール1の製造工程の概要について、図4に示すフロー図を参照しながら説明する。まず、第1のプラットフォーム基板14−1上に第1の光素子16−1を配置し、第2のプラットフォーム基板14−2上に第2の光素子16−2を配置する(S101)。そして、第1の光素子16−1を発光させ、第1のレンズ18−1を通過する光を平行光測定器などを用いて測定し、第1のレンズ18−1を通過する光が平行光となる位置に第1のレンズ18−1を固定する(S102)。そして、第1の光素子16−1を発光させた状態で、第2のレンズ18−2を第2の光素子16−2の入射側光軸上に仮配置して、第2の光素子16−2に入射する光の光量が最大すなわち光結合効率が最大となるよう、第2のレンズ18−2の位置を調整して固定する(S103)。レンズ18の固定手段については、YAG溶接、接着剤固定等種々あるがここでは詳述しない。なお、S103に示す工程では、第2のプラットフォーム基板14−2単体に対して第2のレンズ18−2を配置しても、筐体10内にTEC12を搭載し、そのTEC12上にプラットフォーム基板14を搭載した状態で第2のプラットフォーム基板14−2上に第2のレンズ18−2を配置してもよい。
【0038】
第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2とが固定されることで、2つの光素子16間の光結合が実現されるが、実際には、レンズ18の固定工程やその他の組み立て工程の影響でしばしば光軸のずれが発生し、光結合効率が低下する。そこで、プラットフォーム基板14上で2つの光素子16とそれらを光結合するレンズ18の実装が終了した後、平行平板20を第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間の光路上に挿入し(S104)、平行平板20の傾きを変化させることで、第2の光素子16−2への光結合効率を最大にするよう調整する(S105)。上述のように、本実施形態に係る光モジュール1では第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間を通る光線が疑似平行光となるため、調芯が可能となっている。第1の光素子16−1、第2の光素子16−2、第1のレンズ18−1、第2のレンズ18−2の実装が終了し、第2の光素子16−2からの光の出射が可能となった後で、第3のレンズ18−3を第2のプラットフォーム基板14−2上に固定する(S106)。
【0039】
筐体10内でのプラットフォーム基板14上の部品の実装が終了すると、蓋24を取り付け(S107)、第1の光素子16−1と第2の光素子16−2を動作状態として、光ファイバ22における光結合が最大となるよう光ファイバ22の位置を調整して、光ファイバ22を筐体10に固定する(S108)。
【0040】
このようにして、本実施形態に係る光モジュール1は組み立てられる。
【0041】
図5は、比較例の光モジュール1の内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。例えば、光源機能と変調機能とを別個の光素子16として組み合わせて構成される通信用の光モジュール1では、個々の光素子16に対してレンズ18を配置して、2つの光素子16の間の光結合を実現する。そのため、図5に示すように、光モジュール1に共通のプラットフォーム基板14を設けることとなると、プラットフォーム基板14の光軸方向の長さは、2つの光素子16の要素の長さと、その中間に配置される光学系の長さと、を含んだものとなる。そのため、単一の光素子16を搭載した光モジュール1よりも、プラットフォーム基板14の長さは長くなる。
【0042】
図5に示す比較例の光モジュール1では、光源となる第1の光素子16−1からの出射光は、第1のレンズ18−1によって平行光となり、この平行光は第2の光素子16−2に、第2のレンズ18−2を介して入射結合する。第2の光素子16−2で変調や増幅された光は、第3のレンズ18−3を介して、筐体10の側壁に取り付けられた光ファイバ22に入射結合する。これらの光素子16やレンズ18は、プラットフォーム基板14上に搭載されている。なお、図5に示す光モジュール1では、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間に隙間が設けられている。この隙間は、図示しない光アイソレータや波長のずれを検出する波長ロッカへの光分岐のための部材を配置搭載するための余裕である。このように、プラットフォーム基板14は、2つの光素子16、3つのレンズ18、他の光学素子を搭載するため、光軸方向に長い寸法を有する。
【0043】
送信側の光モジュール1では、光源素子として半導体で製造されたレーザ素子がよく用いられる。半導体レーザは、温度によって特定が変化するので、TEC12を用いて一定温度条件で動作させることが多い。このような構成の光モジュール1では、光学要素を搭載したプラットフォーム基板14上で温度差があると特性変動の要因となるので、温度のむらが小さくなるよう、TEC12はプラットフォーム基板14に応じた大きさとすることが多い。図5に示す光モジュール1では、プラットフォーム基板14と筐体10の底面との間にTEC12が配置されているが、その大きさはプラットフォーム基板14の長さより若干短い程度となっている。
【0044】
図6A及び図6Bは、TEC12の温度変化による影響を説明する説明図である。図6A及び図6Bには、レーザ等の素子(図示せず)を搭載したプラットフォーム基板14、プラットフォーム基板14の温度を一定とするTEC12、TEC12が搭載されている筐体10が示されている。TEC12は、低温側基板12a、高温側基板12bと、その間に実装された複数の熱電チップ12cとで構成されている。
【0045】
低温側基板12aは光学要素を搭載したプラットフォーム基板14に接合され、高温側基板12bは光モジュール1の筐体10に接合される。そして、TEC12の低温側基板12aの熱を高温側基板12bに輸送して、低温側基板12aの温度を一定とする。筐体10側の温度が低い場合には、熱の輸送が逆になる場合がある。TEC12はその動作上、低温側基板12aと高温側基板12bとで温度差が生じるので、熱膨張により低温側と高温側との間にある熱電チップ12cに応力が働く。この応力が過大になると、TEC12の動作不良や破損の原因となるおそれがある。
【0046】
図6Aは、TEC12の低温側基板12aと高温側基板12bとで温度差がない状況を示す図である。この状況では、熱電チップ12cの変形は発生していない。図6Bは、低温側基板12aと高温側基板12bとの間に温度差があり、高温側基板12bの温度が高い場合の状況を示している。熱膨張によって筐体10と高温側基板12bとが膨張している。そして、熱電チップ12cは低温側基板12aと高温側基板12bとの熱膨張の差によって、図6Bのように変形する。この変形により、熱電チップ12cには応力が働く。図6Bのように、外側に配置された熱電チップ12cほど変形が大きく、かかる応力も大きくなる。
【0047】
近年、光モジュール1についての小型化の要請が強く、TEC12も薄型化の傾向にある。TEC12の低温側基板12aと高温側基板12bの動作温度条件はあまり変化せず、プラットフォーム基板14の熱膨張の大きさは変わらない。TEC12の薄型化によって熱電チップ12cが短くなると、熱電チップ12cの長さあたりの変形が大きくなって、熱電チップ12cに働く応力も大きくなる。上述のように、TEC12の寸法が大きい場合には、さらに熱電チップ12cに働く応力は大きくなり、破損に至る可能性が生じる。発明者による熱応力シミュレーションでは、TEC12の長さが10mmを超すと、熱電チップ12cと熱電チップ12cを接続する基板との間の界面での応力が、破壊に至る程の大きさになるとの結果を得た。従って、薄い構成材を必要とする小型の光モジュール1では、薄型で大きな寸法のTEC12の適用が困難である。
【0048】
図1に示すような、本実施形態に係る光モジュール1では、2つの光素子16を2つのプラットフォーム基板14に分けて搭載したことで、個々のプラットフォーム基板14の長さが短くなり、それぞれのプラットフォーム基板14に具備されるTEC12の寸法も小さくてよいこととなる。TEC12の寸法が小さいことは、同じ温度条件で使用しても熱膨張差による応力が小さくなることは上述のとおりである。図5に示すような比較例の光モジュール1では、プラットフォーム基板14の長さが長いので、薄型のTEC12を用いると熱膨張差による応力が過大となって光モジュール1の破損のおそれがあるが、本実施形態に係る光モジュール1では、TEC12の寸法が小さくなるので、熱膨張差によるTEC12の破損の可能性は小さくなり、信頼性の高い光モジュール1を実現することができるようになる。
【0049】
しかし、本実施形態に係る光モジュール1では、第1の光素子16−1の光学系と第2の光素子16−2の光学系とが別のプラットフォーム基板14上に搭載されているため、光軸ずれの発生は起こりやすいものとなる。そのため、2つの光素子16の間に光軸を調整する機能を持たせることは重要であるといえる。本実施形態に係る光モジュール1で用いた光モジュール1の調整方法は、2つのプラットフォーム基板14に分割した構成の光モジュール1を製造する上では、非常に有用である。
【0050】
なお、中間の光路に挿入される平行平板20については、一定の屈折率を有する平板であればよいが、調芯専用の部品を準備して実装するのではなく、他の光学部品と兼用した実装とすることも可能である。
【0051】
例えば、光源となる第1の光素子16−1がレーザ素子である場合、第1の光素子16−1に戻り光があると共振状態に乱れが生じ、動作に不具合が生じることがある。そのため、光線出射側に戻り光を除去する光アイソレータが配置されることがある。光アイソレータは、ファラデー素子と偏光素子とを組み合わせた構成であり、一定の屈折率を有する平板を重ね合わせた構成となっている。そして、光アイソレータを調芯用の平行平板20として使用することが可能である。
【0052】
また、第1の光素子16−1が、波長可変機能を有する場合、第1の光素子16−1からの出射光の波長をモニタして、波長のずれをフィードバックする機能が必要となる。第1の光素子16−1からの出射光の波長をモニタするには、例えば、光の一部を分岐して、その光を波長に対して透過率が変化する特性のフィルタ素子(例えば、ファブリーペローエタロン)に入射して、その透過光の強弱で第1の光素子16−1から出射される光の波長のずれを検出する方式が光モジュール1においてはよく用いられている。波長ずれを検出する光学系(波長ロッカ)に光を分岐して入射させるため、ビームスプリッタを用いることができる。ビームスプリッタは光線の一部を分岐させる光学素子であるが、その構造は表面又は内部に反射コーティングを施した面を有する透明な平板である。したがって、波長のずれ検出光学系に光線を分岐するビームスプリッタも調芯用の平行平板20として使用することが可能である。
【0053】
上述の平行平板20の傾きを調整した後に、その姿勢を固定する方式として簡便な方式は、YAG溶接、はんだ接合、接着剤接合などがある。この中で、YAG溶接工程方式は、固定後の位置ずれがほとんどなく信頼性が高い。接着剤固定の場合、接着剤自体の体積変動があるので、調芯対象部品の固定にはあまり用いられていない。ここで、本実施形態に係る光モジュール1において、平行平板20を固定する方式として接着剤を用いる場合について、その実用性を検討する。例えば、平行平板20を2度傾けるよう調整した後に、平行平板20を固定する接着剤に2%の体積変動が生じると、平行平板20の傾きは0.04度変動する。この場合の上述のdの値の変動量は0.26μmとなり、上述のbの値は0.01μmとなる。この大きさは結合光学系にとって無視できる大きさの変動である。すなわち、平行平板20の固定に接着剤を用いてもよいということになる。接着剤での固定は、部品の材質についての制約を少なくし、かつ、調整と固定の工程を担う設備に高価な装置を必要としなくなる。接着剤による固定は、低コストでの光モジュール1の生産を可能とするという利点を生む。また、はんだによる接合では、はんだが固化する際に体積変動が生じるが、上述のように、その体積変動は問題とならないので、平行平板20の固定にはんだ接合を用いることも可能である。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0055】
図7は、本発明の一変形例に係る光モジュール1の内部構造の概略構成の一例を説明する説明図である。図7では、本発明の一変形例に係る光モジュール1の内部構造について、上面から見た様子を示すことにより表している。
【0056】
第1のプラットフォーム基板14−1上に、光源となる第1の光素子16−1と、第1の光素子16−1からの出射光を疑似平行光に変換する第1のレンズ18−1と、平行平板20と、2つのビームスプリッタ26(第1のビームスプリッタ26−1及び第2のビームスプリッタ26−2)、光フィルタ28と、2つの光強度検出素子30(第1の光強度検出素子30−1及び第2の光強度検出素子30−2)と、光強度検出素子30が検出する光の強度に応じて、第1の光素子16−1から出射される光の波長が変化するよう第1の光素子16−1を制御する制御回路32と、が搭載されている。第2のプラットフォーム基板14−2上には、第2のレンズ18−2と、第2の光素子16−2と、第3のレンズ18−3と、が搭載されている。第1の光素子16−1は、出射光の波長を変更できる機能を有する。第2の光素子16−2は、変調及び増幅の少なくとも一方の機能を有する。ビームスプリッタ26は、サイコロ型のビームスプリッタである。なお、図7においては、図1に示したTEC12、筐体10、光ファイバ22の記載は省略している。
【0057】
ビームスプリッタ26は、透過光の一部を分岐する機能を有する。なお、図7に示す光モジュール1が、ビームスプリッタ26の代わりに、光を分岐する他の部材を備えていてもよい。第1のビームスプリッタ26−1により分岐された光は第1の光強度検出素子30−1に入射する。第2のビームスプリッタ26−2により分岐された光は光フィルタ28を経由して第2の光強度検出素子30−2に入射する。光フィルタ28は、透過光の波長によって透過率が変化する特性を有する。そして、制御回路32が、第1の光強度検出素子30−1での光強度の検出結果を示す出力と、第2の光強度検出素子30−2での光強度の検出結果を示す出力と、を受け付けて、これらの検出結果を比較することで、第1の光素子16−1が出射する光の波長についての、所望の波長からのずれを検出することができる。このずれを第1の光素子16−1にフィードバックする、すなわち、制御回路32がこのずれに応じて出射する光の波長が変化するよう第1の光素子16−1を制御することにより、第1の光素子16−1から出射される光の波長が所望の波長となるよう設定することができる。この光学系の構成は波長ロッカと呼ばれ、波長ロッカを用いることで波長可変機能を有する光モジュール1で波長のずれを検出することができる。なお、波長のずれを検出する波長ロッカ光学系は、図7に示すものに限定されず、他の構成であっても構わない。
【0058】
図7に示す光モジュール1においても、図1に示す光モジュール1同様、第1のレンズ18−1を通過する光を疑似平行光とした上で、平行平板20の傾きを調整することで、第2のレンズ18−2と第2の光素子16−2との光軸ずれを補正して、光軸ずれによって生じた光結合効率の低下を補償することができる。したがって、組み立てにあたり、光軸ずれによる光結合効率の低下という不具合を解消することができ、高い歩留まりで光モジュール1を製造することが可能となる。
【0059】
図7に示すような変型例の光モジュール1では、第1の光素子16−1から出射される光の波長が所定の範囲に収まっていることが要求される。そして、電源投入時のような動作開始時や波長を切替えるタイミングなどにおいても第1の光素子16−1から出射される光の波長が所定の範囲に収まっていることが要求される。そして、ある状態から別の状態に遷移する過渡状態では、第1の光素子16−1から出射される光の波長が安定せず、波長ずれが許容される範囲よりも大きくなってしまう場合がある。ここで、上述のように、変調及び増幅の少なくとも一方の機能を有する第2の光素子16−2が、光ファイバ22への光出力を遮断することが可能であってもよい。そして、過渡状態において、第2の光素子16−2を光線非透過モードとして外部に出力される光線を遮断し、その間に第1の光素子16−1から出射される光の波長のずれをフィードバックして、所望の波長ずれの範囲に収め、その後第2の光素子16−2を光線透過モードにすることで、外部には過渡状態があっても波長ずれの小さな光を出力することが可能となる。
【0060】
このように、本実施形態に係る光モジュール1や変形例の光モジュール1によれば、2つの光素子16を内蔵し、信頼性の高い通信用の光モジュール1を高い歩留まりで製造することができる。また、本実施形態に係る光モジュール1や変形例の光モジュール1では、組み立てが終了した後や、使用を開始した後であっても、容易に調芯することが可能となる。
【0061】
なお、第1の光素子16−1と第2の光素子16−2との機能分担は上述の光モジュール1には限定されない。例えば、第1の光素子16−1が発光機能と変調機能を有しており、第2の光素子16−2が増幅機能を有していてもよい。
【0062】
また、図1に示す光モジュール1や図7に示す光モジュール1において、第1の光素子16−1と第1のレンズ18−1との間の距離を、第1のレンズ18−1の焦点距離よりも短くして、第2の光素子16−2と第2のレンズ18−2との間の距離を、第2のレンズ18−2の焦点距離よりも長くするようにしてもよい。こうすれば、第1のレンズ18−1と第2のレンズ18−2との間を通る光はわずかに発散する疑似平行光となる。
【0063】
また、本実施形態に係る光モジュール1を1つのプラットフォーム基板14に第1のレンズ18−1及び第2のレンズ18−2が搭載された光モジュール1に応用しても構わない。
【0064】
また、本実施形態に係る光モジュール1において、平行平板20の代わりに、第1のレンズ18−1を通過して第2のレンズ18−2へ至る、第1の光素子16−1からの出射光の光路を変更する他の部材を用いても構わない。
【符号の説明】
【0065】
1 光モジュール、10 筐体、12 熱電クーラー(TEC)、12a 低温側基板、12b 高温側基板、12c 熱電チップ、14 プラットフォーム基板、16 光素子、18 レンズ、20 平行平板、22 光ファイバ、24 蓋、26 ビームスプリッタ、28 光フィルタ、30 光強度検出素子、32 制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する第1の光素子と、
前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズと、
前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズと、
前記第2のレンズを通過する前記出射光が光結合される第2の光素子と、
前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部と、を備え、
前記第1のレンズが、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、
前記第2のレンズが、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、
前記第1のレンズが配置されている位置の前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、前記第2のレンズが配置されている位置の前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、が対応している、
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1のレンズと、前記第2のレンズと、が異なる基板上に搭載されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1のレンズが搭載されている基板と、前記第2のレンズが搭載されている基板と、が互いに異なる熱電クーラーに搭載されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記光路変更部が光アイソレータである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記光路変更部が平行平板である、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第1の光素子が、出射光の波長を変更可能であり、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、入射する光を分岐する光分岐部が配置されており、
前記光分岐部により分岐される一方の光が前記第2のレンズを通過して、
前記光分岐部により分岐される他方の光が通過する、通過する光の波長によって透過率が変化する光フィルタと、
前記光フィルタを通過する光の強度に応じて、前記波長可変光源から出射される光の波長が変化するよう前記波長可変光源を制御する制御部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項7】
光を出射する第1の光素子を配置する工程と、
前記第1の光素子から出射される光が光結合される第2の光素子を配置する工程と、
前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズを、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置する工程と、
前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズを、前記出射光が光結合されるべき位置に光結合されるよう、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置する工程と、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間に、前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部を配置する工程と、
を含むことを特徴とする光モジュールの製造方法。
【請求項8】
光を出射する第1の光素子と、
前記第1の光素子から出射される出射光が通過する第1のレンズと、
前記第1のレンズを通過する前記出射光が通過する第2のレンズと、
前記第2のレンズを通過する前記出射光が光結合される第2の光素子と、
前記第1のレンズを通過して前記第2のレンズへ至る前記出射光の光路を変更する光路変更部と、を備え、
前記第1のレンズが、前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、
前記第2のレンズが、前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からずれた位置に配置されており、
前記第1のレンズが配置されている位置の前記出射光が出射される位置から前記第1のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、前記第2のレンズが配置されている位置の前記出射光が光結合されるべき位置から前記第2のレンズの焦点距離だけ離れた位置からのずれと、が対応している光モジュール、
が備える前記光路変更部の前記出射光の光軸方向に対する傾きを変化させることにより、前記出射光が光結合する位置を変化させる光結合位置変化手順、を含む、
ことを特徴とする光モジュールの調整方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−124444(P2011−124444A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282009(P2009−282009)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】