説明

光レセプタクル

【課題】本発明は、光アイソレータを小型化することができる光レセプタクルを提供することを目的とする。
【解決手段】光レセプタクルは、光ファイバ18を差し込むためのスリーブ16を保持するホルダ10と、光ファイバ18と光学的に接続されるように配置されて、光信号と電気信号の変換を行う光素子26と、スリーブ16内の光ファイバ18が保持される領域よりも光素子26に近い位置に固定された光アイソレータ30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ルータや光スイッチの小型化・高密度化の要求が高まるにつれ、内部に収納されている光トランシーバに対し、低コスト化に加えて小型化・省スペース化の要求が高まっている。比較的サイズの大きなXENPAK・X2パッケージから、より小型なXFPパッケージへの移行が進んでおり、最近ではさらに小型なSFP+パッケージも登場している。このような時流の中、光トランシーバで使用されている各種部品にも低コスト化に加えて小型化・省スペース化の要求が高まっている。光トランシーバ内で光の送受信を担当する部品であるTOSA(Transmitter Optical SubAssembly)・ROSA(Receiver
Optical SubAssembly)モジュールについても低コスト化に加えて小型化・省スペース化の要求が高まっている。
【0003】
ROSAモジュールの小型化には、レセプタクル内に配置してあるファイバスタブ(スタブ)を取り除いたスタブレス構造を採用することが効果的である。これはスタブを排除し、伝送側光ファイバから出射された光を直接レンズで集光させ、半導体受光デバイスに入射させる構造である。スタブレス構造を採用することにより、スタブ分の全長を短くすることが可能となり、ROSAモジュール全長を3mm程度短くすることができ、ROSAモジュールの小型化を実現することができる。また、スタブレス構造のため部品点数が減り、部品コスト削減・組立工数削減に寄与し、ROSAモジュール全体のコストダウンも実現している。同様に、TOSAモジュールでも、スタブレス構造の採用が小型化・低コスト化の実現に効果的である。
【0004】
また、光トランシーバを小型化するときには光アイソレータについても改良が必要になる。例えば10Gbit/sの光トランシーバの分野では、システムからの反射戻り光による半導体レーザの不安定発振を防ぐため、光アイソレータをTOSAモジュール内に配置することが不可欠である。
【0005】
従来、光アイソレータは、スタブの半導体レーザ側の端面に接着剤で直接固定されていた。つまり、光アイソレータは、スタブの長さを以て光ファイバから離れていた。光ファイバを出射した光は、光ファイバによる光の閉じ込めがなくなるため、ファイバ端面から距離が離れるほど大きく拡がる。したがって、光アイソレータに入るまでに光はかなり拡がってしまうので、光学素子の開口サイズが大きな光アイソレータが必要になる。光アイソレータは、光学素子の開口サイズにより部品単価が大きく変わるため、光アイソレータのサイズアップはそのままTOSAモジュールのコストアップになってしまう。
【0006】
特許文献1には、スタブレス構造で光アイソレータを搭載したTOSAが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−41516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された構造では光アイソレータを保持するために、光ファイバと光アイソレータの間に、レセプタクルの一部から保持部を設けなければならない。そのため、光ファイバと光アイソレータの間に保持部の厚みを以て距離が拡がってしまうため、光ファイバを出射した光が大きく拡がってしまう。そのため光アイソレータを大型化する必要があった。
【0009】
本発明は、光アイソレータを小型化することができる光レセプタクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る光レセプタクルは、光ファイバを差し込むためのスリーブを保持するホルダと、前記光ファイバと光学的に接続されるように配置されて、光信号と電気信号の変換を行う光素子と、前記スリーブ内の、前記光ファイバが保持される領域よりも前記光素子に近い位置に固定された光アイソレータと、を有することを特徴とする。本発明によれば、スリーブ内に光アイソレータを配置するので、光ファイバと光アイソレータを接近させることができるため、光アイソレータを小型化し、光レセプタクルを小型化することができる。
【0011】
(2)(1)に記載された光レセプタクルにおいて、前記スリーブ内の、前記光ファイバが保持される領域よりも前記光素子に近い前記位置には、前記光アイソレータのみが配置されていることを特徴としてもよい。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載された光レセプタクルにおいて、前記光アイソレータと前記光素子の間であって前記スリーブの外側に配置されたレンズをさらに有することを特徴としてもよい。
【0013】
(4)(3)に記載された光レセプタクルにおいて、前記ホルダと前記レンズが一体的に構成されていることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る光レセプタクルを説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光レセプタクルの変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光レセプタクルを説明する図である。
【0016】
光レセプタクルは、ホルダ10を有する。ホルダ10は、光を透過する樹脂からなる。ホルダ10には一体的にレンズ12が形成されている。樹脂でホルダ10とレンズ12を一体成型することにより、部品点数が減り、部品コスト削減を見込むことができ、組立工数削減に寄与し、コストダウンを実現することができる。ホルダ10には、穴14が形成されており、穴14の一方は開口し、穴14の他方はレンズ12によってふさがれている。
【0017】
ホルダ10はスリーブ16を保持する。ホルダ10の穴14にスリーブ16が挿入されている。スリーブ16は、光通信用として広く使われているジルコニアからなる。スリーブ16は、筒状をなして光ファイバ18を差し込めるようになっており、内部には大径部20と小径部22が形成されている。大径部20が小径部22よりも内径が大きい。小径部22がレンズ12側に配置される。大径部20には光ファイバ18に取り付けられたフェルール24が挿入される。フェルール24は、小径部22に接触してこれ以上挿入できないようになっている。つまり、大径部20と内径部によって段が形成され、段がフェルール24の挿入ストッパとなっている。
【0018】
光レセプタクルは、光素子26(例えば半導体レーザ)を有する。光素子26は、光ファイバ18と光学的に接続されるように配置されて、光信号と電気信号の変換を行う。光素子26はステム28によって支持されている。ホルダ10とステム28は、例えば紫外線硬化樹脂によって固定されている。
【0019】
光レセプタクルは、スリーブ16内の、光ファイバ18が保持される領域よりも光素子26に近い位置に固定された光アイソレータ30を有する。スリーブ16内の、光ファイバ18が保持される領域よりも光素子26に近い位置には、光アイソレータ30のみが配置されている。
【0020】
光アイソレータ30は、作業性を考え、金属円盤に光学素子とマグネットを接着剤で貼り付けて一体化したタブレットタイプである。光素子26(例えば半導体レーザ)から出射した光が反射して光素子26に戻ることを防ぐために、光アイソレータ30の光入射面を光素子26の発光面に対して8°傾けてある。スリーブ16の小径部22の内面は、大径部20の内面に対して8°傾いており、この傾斜によって光アイソレータ30を傾けて配置することができる。光アイソレータ30とスリーブ16は接着剤を用いて固定してもよいし、圧入によって固定してもよい。
【0021】
スリーブ16をホルダ10に挿入する前に、光アイソレータ30をスリーブ16の一方の端部(小径部22)から当該端部内に固定する。その後、当該端部からスリーブ16をホルダ10に組み込む。したがって、スリーブ16の光素子26から遠い端部から近い端部へと、光アイソレータ30を移動させる必要がなく、大幅に組立難易度が改善する。
【0022】
光アイソレータ30と光ファイバ18の間には他の構造物が何もないので、光アイソレータ30と光ファイバ18の距離を短くすることが可能となり、光アイソレータ30を大型化する必要が無くなる。さらにスタブを排除することができるため、部品コスト・組立工数の削減が可能になる。
【0023】
本実施形態によれば、スリーブ16内に光アイソレータ30を配置するので、光ファイバ18と光アイソレータ30を接近させることができるため、光アイソレータ30を小型化し、光レセプタクルを小型化することができる。
【0024】
本実施形態に係る光レセプタクルを、10Gbit/s光トランシーバ向けTOSAモジュールに適用しても、スタブレス構造を採用することが可能となり、TOSAモジュールの全長を短くすることができる。
【0025】
本構造にすることにより、従来のスタブ有りTOSAモジュールと比べて、約3mmTOSAモジュールの全長を短くすることができる。スタブを排除することができたため、スタブ分の部品コスト・組み立て工数を削減することができる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る光レセプタクルの変形例を説明する図である。この変形例では、光アイソレータ130と光素子126の間であってスリーブ116の外側にレンズ112が配置されている。つまり、レンズ112とホルダ110が別部材になっている。ホルダ110は、TOSAモジュールの材料として一般的なSUS304から構成してもよい。
【0027】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 ホルダ、12 レンズ、14 穴、16 スリーブ、18 光ファイバ、20 大径部、22 小径部、24 フェルール、26 光素子、28 ステム、30 光アイソレータ、110 ホルダ、112 レンズ、116 スリーブ、126 光素子、130 光アイソレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを差し込むためのスリーブを保持するホルダと、
前記光ファイバと光学的に接続されるように配置されて、光信号と電気信号の変換を行う光素子と、
前記スリーブ内の、前記光ファイバが保持される領域よりも前記光素子に近い位置に固定された光アイソレータと、
を有することを特徴とする光レセプタクル。
【請求項2】
請求項1に記載された光レセプタクルにおいて、
前記スリーブ内の、前記光ファイバが保持される領域よりも前記光素子に近い前記位置には、前記光アイソレータのみが配置されていることを特徴とする光レセプタクル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光レセプタクルにおいて、
前記光アイソレータと前記光素子の間であって前記スリーブの外側に配置されたレンズをさらに有することを特徴とする光レセプタクル。
【請求項4】
請求項3に記載された光レセプタクルにおいて、
前記ホルダと前記レンズが一体的に構成されていることを特徴とする光レセプタクル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−118274(P2011−118274A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277464(P2009−277464)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】