説明

光学装置

【課題】メインスイッチがオフされている状態でも、供給電圧に応じて光学特性を変化させる光学素子による光学像を低消費電力で提供する。
【解決手段】光学装置は、外部操作可能であり、そのオン操作により装置内に給電せしめ、そのオフ操作により該給電を停止せしめるメインスイッチと、電圧に応じて光学特性を変化させる光学素子を有する光学系と、光学素子へ電圧を供給する電圧供給手段と、メインスイッチがオンされている時は光学素子へ電圧供給し、メインスイッチがオフされている時は該メインスイッチからの信号以外の所定の信号に応じて光学素子への電圧供給状態を変化させるように、電圧供給手段を制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧に応じて焦点距離を変化させる光学素子を用いて、カメラなどのファインダー視度を調節する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献2には、温度に応じた光学素子の制御を行う技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−6200号公報
【特許文献2】特開2001−249203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、メインスイッチがオフされると光学素子が機能しなくなってしまい、光学像が得られないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による光学装置は、外部操作可能であり、そのオン操作により装置内に給電せしめ、そのオフ操作により該給電を停止せしめるメインスイッチと、電圧に応じて光学特性を変化させる光学素子を有する光学系と、光学素子へ電圧を供給する電圧供給手段と、メインスイッチがオンされている時は光学素子へ電圧供給し、メインスイッチがオフされている時は該メインスイッチからの信号以外の所定の信号に応じて光学素子への電圧供給状態を変化させるように、電圧供給手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項1に記載の光学装置はさらに、該装置の周囲の明るさ、および該装置の揺動の少なくとも一方を検出する検出手段と、検出手段による検出量が所定量変化した場合に信号を発する信号発生手段とを備えてもよい。この場合、所定の信号に信号発生手段が発する信号を含めてもよい。
(3)請求項1または2に記載の光学装置はさらに、操作に応じて操作信号を発するメインスイッチとは別の操作部材を備えてもよい。この場合、所定の信号に操作部材からの操作信号を含めてもよい。
(4)請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学装置はさらに、所定時間を計時する計時手段を備えてもよい。この場合、所定の信号に計時手段が発する信号を含めてもよい。
(5)請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学装置はさらに、装填されている電池の電圧を検出する電圧検出手段を備えてもよい。この場合の制御手段は、電圧検出手段による検出電圧が所定値未満の場合、光学素子への電圧供給を停止するように電圧供給手段を制御することもできる。
(6)請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学装置において、制御手段は、メインスイッチがオフされている時に光学素子へ電圧供給中の場合、所定の信号の変化に応じて当該電圧供給を停止するように電圧供給手段を制御することもできる。
(7)請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学装置において、制御手段は、メインスイッチがオフされている時に光学素子へ電圧供給停止中の場合、所定の信号の変化に応じて電圧供給を開始するように電圧供給手段を制御することもできる。
(8)請求項6または7に記載の光学装置において、メインスイッチがオフされている時に光学素子へ供給する電圧は、メインスイッチがオフされる直前に光学素子へ供給していた電圧であってもよい。
(9)請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学装置はさらに、光学素子および/またはその近傍の環境情報を検出する環境情報検出手段を備えてもよい。この場合の制御手段は、環境情報検出手段で検出された環境情報に応じてメインスイッチがオフされている時に光学素子へ供給する電圧を補正するように、電圧供給手段を制御することもできる。
(10)請求項9に記載の光学装置において、環境情報は温度を含んでもよい。制御手段は、温度に応じて光学素子へ供給する電圧を補正するように電圧供給手段を制御することもできる。
(11)請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学装置において、光学系の光学素子は、電圧に応じて焦点距離を変化させるものでもよい。
(12)請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学装置において、光学系は観察光学系を含めてもよい。
(13)請求項12に記載の光学装置において、観察光学系は、供給電圧に応じて視度調節を行うこともできる。
(14)請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学装置において、光学素子は、第1液体材料と、該第1液体材料と屈折率が異なり、かつ該第1液体材料と混合しない第2液体材料とが容器内に封入され、供給電圧に応じて第1液体材料および第2液体材料の境界面形状を変化させることによって光学特性を変化させるものでもよい。
(15)請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学装置において、光学装置は撮影を行うカメラであり、光学系は撮影光学系を含んでもよい。
(16)請求項15に記載の光学装置において、カメラは撮影レンズに着脱可能なレンズキャップの着脱を検知するセンサを備えてもよく、所定の信号は、センサが発する信号を含んでもよい。
(17)請求項15に記載の光学装置において、カメラは該カメラに着脱可能な撮影レンズの着脱を検知するセンサを備えてもよく、所定の信号は、センサが発する信号を含んでもよい。
(18)請求項15に記載の光学装置において、カメラは該カメラのグリップ部が把持されているか否かを検知するセンサを備えてもよく、所定の信号は、センサが発する信号を含んでもよい。
(19)請求項1〜18のいずれか一項に記載の光学装置において、光学系の光学素子は、電圧に応じて透過率を変化させるものでもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明による光学装置では、供給電圧に応じて光学特性を変化させる光学素子による光学像を、メインスイッチがオフされている状態でも低消費電力で得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態による電子カメラの正面図である。図1において電子カメラ1は、レリーズスイッチ3と、メインスイッチ4と、ファインダー対物窓5と、フラッシュ発光窓6と、アンテナ7と、レンズ鏡筒8と、光センサ窓31aとを有する。なお、レンズ鏡筒8は、カメラ1に着脱不能に固設されているものであり、換言すれば、カメラ1はレンズ一体型カメラである。
【0008】
図2は、図1の電子カメラ1の背面図である。図2において電子カメラ1は、表示部9と、ファインダー接眼窓10と、ズームスイッチ11と、メニュースイッチ12と、モードダイヤル13と、十字キー14と、決定スイッチ15とを有する。
【0009】
図3は、電子カメラ1の要部構成を例示するブロック図である。CPU16は、後述する各ブロックから出力される信号を入力して所定の演算を行い、演算結果に基づく制御信号を各ブロックへ出力する。CPU16が実行するプログラムは、CPU16内の不揮発性メモリ(不図示)に格納されている。
【0010】
撮影光学系400はレンズ鏡筒8内に構成され、被写体像を撮像素子401の撮像面上に結像させる。撮像素子401は、CCDイメージセンサなどによって構成される。撮像素子401は、撮像面上の被写体像を撮像して撮像信号を出力する。A/D変換回路402は、不図示の信号処理回路によってアナログ処理(ゲインコントロールなど)された後の撮像信号をディジタル信号に変換する。
【0011】
CPU16は画像処理部を含み、ディジタル変換後の画像データにホワイトバランス処理などの画像処理を行う他、画像処理後の画像データを所定の形式で圧縮する圧縮処理、圧縮された画像データを伸長する伸長処理などを行う。メモリ17はCPU16による作業用メモリとして使用される他、表示部9に表示されるデータを格納する表示用メモリ(VRAM)として使用される。また、CPU16は、CFカードやSDカードのような外部メモリ17Bに画像データの書き込み(保存処理)を行ったりする。
【0012】
焦点検出部20は、測距素子(不図示)による検出信号を用いて撮影光学系400による焦点調節状態を検出し、検出結果に応じて撮影光学系400を構成するフォーカスレンズの移動量を算出する。なお、測距素子を用いずに、撮像素子401による撮像データからコントラストを検出する方式によって、合焦するフォーカスレンズ位置を求めるように構成してもよい。フォーカスレンズの移動量を示す信号は、CPU16を介してフォーカス駆動部19へ送出される。フォーカス駆動部19は、フォーカスレンズを光軸方向に進退移動させてフォーカス調節を行う。
【0013】
ズーム駆動部21は、CPU16からの指示に応じて撮影光学系400を構成するズームレンズを光軸方向に進退移動させて倍率を変更する。連動ギヤ部22は、撮影光学系400の倍率変更と同期させて観察光学系(ファインダー)300の倍率を変更する。
【0014】
観察光学系300はレンズ群301、レンズ群302、レンズ群303、視野枠304、および可変焦点部材310を含む接眼レンズ群312を有する。電子カメラ1のユーザは、ファインダー接眼窓10(図2)を介して被写体を観察する。上述した連動ギヤ部22によってレンズ群301およびレンズ群302が光軸方向に進退移動されると、観察光学系300の倍率が変更される。
【0015】
可変焦点部材310は、いわゆる液体レンズによって構成される。この液体レンズ310は、互いに異なる屈折率を有するものであり、かつ互いに混合することのない2種類の液体310A、310Bが容器内に封入されたものである。この液体レンズ310に電圧を加えると、その印加される電圧に応じて2種類の液体の境界面形状が変化する。この変化により焦点距離が変化する。なお、液体の一実施形態としては、一方の液体を導電性の塩化リチウム水溶液を使用し、他方の液体310Bとして絶縁性のシリコンオイルを使用する。本実施形態では、両液体310A、310Bは同じ密度をもつものを使用するが、本発明はこれに限定するものではない。また、液体310A、310Bの順序(光軸方向における配列順序)もこれに限られるものではない。このような構成で、可変焦点部材310は、給電部501から印加される電圧に応じて焦点距離を変え、観察光学系300の視度を調節する。
【0016】
給電部501は可変DC/DC変換回路を含み、CPU16からの指示に応じた電圧を可変焦点部材310へ印加する。電源502は電池によって構成され、給電部501およびCPU16を含むカメラ内各部へ電力を供給する。電圧計503は、電源502の電池電圧、給電部501の出力電圧をそれぞれ検出し、電圧検出信号をCPU16と給電部501へ送出する。
【0017】
光センサ31は、たとえばフォトダイオードで構成される。光センサ31は、光センサ窓31a(図2)を介して入力される環境光を受光し、受光レベルに応じた光電変換信号を給電部501へ送出する。給電部501がCPU16へ光センサ31による受光情報を送信することにより、CPU16が給電部501へ可変焦点部材310に対する電圧供給を指示する。
【0018】
温度センサ311は、可変焦点部材310の温度を検出し、温度検出信号をCPU16へ送出する。なお、温度センサ311を可変焦点部材310に密着するように配設してもよいし、温度センサ311を可変焦点部材310の近傍に配設し、可変焦点部材310の周囲温度を検出する構成としてもよい。マイク18は、入力された音声を電気信号に変換してCPU16へ送出する。
【0019】
レリーズスイッチ3、メインスイッチ4、ズームスイッチ11、モードダイヤル13、十字キー14、メニュースイッチ12、および決定スイッチ15は操作部材を構成する。各スイッチおよびダイヤルは、それぞれの設定操作に応じた操作信号を発生してCPU16へ送出する。表示部9はカラー液晶表示パネルによって構成され、CPU16からの指示に応じて撮影画像や操作メニュー(撮影機能や撮影条件などの設定/変更を行うための操作メニュー)、電子カメラ1に設定されている情報などを表示する。
【0020】
アンテナ7に電気的に接続している通信部23は、CPU16からの指示によって電子カメラ1と無線接続されている外部機器200との間で通信を行う。電子カメラ1および外部機器200間の通信では、たとえば外部データサーバー251側のデータベース252に登録されているメンテナンス情報やデータ等が電子カメラ1へ送信される一方、カメラID情報やメンテナンス情報等が電子カメラ1から外部データサーバー251へ送信される。アンテナ7は無線通信の送受信に使用される。無線LANアクセスポイント201、インターネット210、外部データサーバー251、およびデータベース252は外部機器200を構成する。
【0021】
本実施形態の電子カメラ1は、観察光学系(ファインダー)300の視度調節に特徴を有するので、この点を中心に図4〜図8のフローチャートを参照して説明する。図4は、電子カメラ1のCPU16が実行するメイン処理の流れを説明するフローチャートである。CPU16は、電池502が電源として電子カメラ1に装填されると図4の処理を起動する。
【0022】
<メイン処理>
図4のステップS11において、CPU16は電源オン操作されたか否かを判定する。CPU16は、メインスイッチ4からオン操作信号が入力された場合、または無操作タイムアップ中に各操作スイッチもしくは操作ボタン操作を示す信号が入力された場合(メインスイッチ4からのオフ操作信号を除く)にステップS11を肯定判定してステップS12へ進み、所定の電源オン処理を行う。電源オン処理は、電源502からカメラ内各部へ給電を開始させる指示を含む。CPU16は、メインスイッチ4からオン操作信号が入力されない場合、および無操作タイムアップ中に各操作スイッチもしくは操作ボタン操作を示す信号が入力されない場合にはステップS11を否定判定し、ステップS29へ進む。CPU16は、ステップS29の処理を実行後にステップS11へ戻る。
【0023】
ステップS12において、CPU16は、無操作タイマーをリセットおよびスタートさせてステップS13へ進む。これにより、電子カメラ1に対する操作が行われない状態で所定時間(たとえば30秒)を計時すると、CPU16の内蔵タイマーがタイムアップ信号を発する。
【0024】
ステップS13において、CPU16は初期設定処理を行ってステップS14へ進む。初期設定処理の詳細については後述する。ステップS14において、CPU16はメニュー操作が選択されたか否かを判定する。CPU16は、メニュースイッチ12の押下操作を示す信号が入力されるとステップS14を肯定判定し、ステップS15のメニューモードへ進む。CPU16は、メニュースイッチ12の押下を示す操作信号が入力されない場合にはステップS14を否定判定し、ステップS16へ進む。
【0025】
ステップS15において、CPU16はセットアップメニュー表示処理を行ってステップS23へ進む。セットアップメニュー表示処理では、撮影機能や撮影条件などの設定/変更を行うための操作画面を表示部9に表示させる。CPU16は、ユーザが操作画面を見ながら操作した十字キー14などからの操作信号を受け付けることにより、各項目の設定や変更を行う。設定/変更項目には、観察光学系300の視度調節も含まれている。CPU16は、十字キー14からの操作信号に応じて給電部501へ指示を送り、可変焦点部材310へ印加する電圧を変化させて観察光学系300の視度調節を行う。
【0026】
ステップS23において、CPU16は温度フィードバック処理を行ってステップS24へ進む。温度フィードバック処理の詳細については後述する。ステップS24において、CPU16は、電源オフ操作の受付を許可してステップS25へ進む。電子カメラ1は、各モード(メニューモード、撮影モード、および再生モード)における動作開始後は、電源オフ操作受付可を実行してから電源オフ操作を受付けるように構成されている。
【0027】
ステップS25において、CPU16は、電源オフ(メインスイッチオフ)操作されたか、または無操作タイムアップしたか否かを判定する。CPU16は、メインスイッチ4からオフ操作信号が入力された場合、または無操作タイマーがタイムアップ信号を発した場合はステップS25を肯定判定してステップS26へ進む。CPU16は、各操作スイッチもしくは操作ボタン操作を示す信号が入力された場合(メインスイッチ4からのオフ操作信号を除く)は、ステップS25を否定判定してステップS28へ進む。ステップS28において、CPU16は、無操作タイマーをリセットしてステップS14へ戻る。
【0028】
ステップS26において、CPU16は後述する視度情報(x)、電圧情報(V)および温度情報(t)をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させてステップS27へ進む。視度情報は、観察光学系(ファインダー)300に設定されている視度値を示す。電圧情報は、所望の視度値に視度調節するために必要な電圧値であり、可変焦点部材310に印加する電圧値を示す。温度情報は、温度センサ311で検出された可変焦点部材310の温度を示す。ステップS27において、CPU16は電源オフ処理を行ってステップS11へ戻る。電源オフ処理の詳細については後述する。
【0029】
ステップS14を否定判定して進むステップS16において、CPU16は再生指示されたか否かを判定する。CPU16は、モードダイヤル13から、撮影済みの画像を表示部9上に、あるいは外部接続されているモニタ上に再生表示を行う再生モードへの切換設定を示す操作信号が入力されている場合にステップS16を肯定判定し、ステップS20の再生モードへ進む。CPU16は、モードダイヤル13から、被写体を撮影して外部メモリ17Bに記録する撮影モードへの切換設定を示す操作信号が入力されている場合にステップS16を否定判定し、ステップS17の撮影モードへ進む。
【0030】
ステップS17において、CPU16は、撮影モード初期値設定を行ってステップS18へ進む。具体的には、撮影処理に必要なフラグやパラメータ類をセットする。ステップS18において、CPU16は撮影モード選択の受付を許可してステップS19へ進む。これにより、電子カメラ1は撮影モードに切替わる。ステップS19において、CPU16は、撮影操作の受付を許可してステップS23へ進む。これにより、CPU16は、撮影が指示(レリーズスイッチ3から操作信号が入力)されると所定の撮影処理を実行する。
【0031】
ステップS20において、CPU16は、再生モード初期値設定を行ってステップS21へ進む。具体的には、再生処理に必要なフラグやパラメータ類をセットする。ステップS21において、CPU16は再生モード選択の受付を許可してステップS22へ進む。これにより、電子カメラ1は再生モードに切替わる。ステップS22において、CPU16は、再生操作の受付を許可してステップS23へ進む。これにより、CPU16は、再生が指示されると所定の再生処理を実行する。
【0032】
<メインスイッチオフ状態時処理>
図5は、前述の図4のステップS29におけるメインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。メインスイッチオフ状態時処理は、メインスイッチ4がオフ操作されている場合、またはメインスイッチ4がオン操作されている状態で無操作タイムアップした場合にそれぞれ実行される。図5のステップS291において、CPU16は電源電圧が所定値VS以上か否かを判定する。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS以上の場合にステップS291を肯定判定し、ステップS292へ進む。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合(電池残量が少ない場合)にはステップS291を否定判定し、ステップS296へ進む。
【0033】
ステップS292において、CPU16は受光レベル(光センサ31の信号出力値に対応する)が所定値VL以上か否かを判定する。CPU16は、光センサ31の受光レベルが所定値VL以上の場合にステップS292を肯定判定し、ステップS293へ進む。CPU16は、光センサ31の受光レベルが所定値VL未満の場合にはステップS292を否定判定し、ステップS296へ進む。
【0034】
ステップS293において、CPU16はファインダー給電部が起動済みか否かを判定する。CPU16は、電源502が給電部501へ給電中である場合にステップS293を肯定判定してステップS295へ進み、給電部501へ給電していない場合はステップS293を否定判定してステップS294へ進む。ステップS294において、CPU16は、ファインダー給電部を起動させてステップS295へ進む。具体的には、電源502へ指示を送り、給電部501に対して給電を開始させる。
【0035】
ステップS295において、CPU16は、可変焦点部材310(光学素子)へ印加する電圧Voffを給電部501に指示して図5による処理を終了する。電圧Voffは、電源オフ処理(ステップS27)の直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶された電圧値である。これにより、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の観察光学系300の視度は、電源オフ処理直前に設定されていた状態が維持される。
【0036】
ステップS291を否定判定した場合、またはステップS292を否定判定した場合に進むステップS296において、CPU16は、可変焦点部材310(光学素子)に対する電圧の印加停止を給電部501に指示して図5による処理を終了する。これにより、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合、光センサ31の受光レベルが所定値VL未満の場合はともに、節電のために可変焦点部材310への電圧印加を行わないように制御できる。
【0037】
なお、メインスイッチオフ状態時処理の指示を、CPU16でなく給電部501に指示機能を持たせて指示させてもよい。これにより、CPU16を起動せずにメインスイッチオフ状態時処理を行うことができ、節電が可能となる。後述する他の実施形態においても同様である。
【0038】
<初期設定処理>
図6は、前述の図4のステップS13における初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。図6のステップS131において、CPU16は電子カメラ1の本体各部の初期設定を行ってステップS132へ進む。ステップS132において、CPU16は可変焦点部材310の温度計測を行う。具体的には、温度センサ311から温度検出信号を入力してステップS133へ進む。
【0039】
ステップS133において、CPU16は、不揮発性メモリに記憶されている視度情報(x)に応じた焦点距離を再現するように可変焦点部材310に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧Voffを増減し、これらの温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制することにより、不揮発性メモリに記憶されている視度情報(x)を得るために必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)および視度情報(x)は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものである。
【0040】
ステップS134において、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS135へ進む。これにより、可変焦点部材310(光学素子)への印加電圧が制御される。ステップS135において、CPU16は視度情報(x)および電圧情報(V)をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図6による処理を終了する。
【0041】
<温度フィードバック処理>
図7は、図4のステップS23における温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。図7のステップS231において、CPU16は所定間隔で可変焦点部材310の温度計測を行う。具体的には、たとえば5分間隔で温度センサ311から温度検出信号を入力し、直近の検出信号を採用してステップS232へ進む。
【0042】
ステップS232において、CPU16は観察光学系300に設定されている視度を維持するように可変焦点部材310に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制するように可変焦点部材310へ印加する電圧値を求める。
【0043】
ステップS233において、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS234へ進む。これにより、ステップS234において可変焦点部材310(光学素子)への印加電圧が制御される。ステップS235において、CPU16は視度情報(x)および電圧情報(V)をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図7による処理を終了する。図7によれば、温度変動に応じて印加電圧が微調整される。
【0044】
<電源オフ処理>
図8は、図4のステップS27における電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。図8のステップS271において、CPU16は、可変焦点部材310(光学素子)へ印加する電圧Voffを給電部501に指示してステップS272へ進む。電圧Voffは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶された電圧値である。これにより、観察光学系300の視度は、電源オフ処理直前に設定されていた状態が維持される。
【0045】
ステップS272において、CPU16は、カメラ本体電源のオフ処理を行って図8による処理を終了する。電源オフ処理では、給電部501を除くカメラ内各部への給電を停止するように電源502へ指示を送る。
【0046】
以上説明した第一の実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)印加電圧に応じて焦点距離を変える可変焦点部材310を観察光学系300に備え、メインスイッチがオン操作されている場合はもちろん、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)にも可変焦点部材310に電圧印加を行うようにした(図5)。これにより、メインスイッチオフ状態(または無操作タイムアップ状態)にも観察光学系300による光学像を観察できる。
【0047】
(2)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)に可変焦点部材310に印加する電圧を、電源オフ処理直前の印加電圧Voffにしたので、電源オフ処理の前後で観察光学系300の視度が同じ値に維持され、光学像を観察中のユーザに違和感を与えることがない。
【0048】
(3)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、電源の電池電圧が所定値VS未満の場合は可変焦点部材310への電圧印加を停止するようにしたので、電池残量が少ない状態では電池の過放電を防止できる。
【0049】
(4)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、光センサ31による受光レベルが所定値VL未満の場合(ステップS292を否定判定)は可変焦点部材310への電圧印加を停止するようにしたので、たとえば、電子カメラ1がバッグなどに収納された場合のような遮光状態では電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0050】
(5)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、光センサ31による受光レベルが所定値VL以上の場合(ステップS292を肯定判定)は可変焦点部材310への電圧印加を開始(既に電圧供給中の場合は印加継続)するようにしたので、たとえば、電子カメラ1がバッグなどから取り出された場合のように、遮光状態でなくなった場合には観察光学系300による光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0051】
(6)可変焦点部材310の温度情報を検出し、この温度情報を用いて可変焦点部材310に印加する電圧を増減するようにした(図7)。このような環境フィードバック処理を施すことにより、液体レンズである可変焦点部材310のパワーが温度依存性を有する場合には検出温度に応じてパワーを補正し、電子カメラ1を使用する温度にかかわらず、ファインダー視度の変動を抑えることができる。
【0052】
(7)CPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へ記憶する情報として温度情報を含めるようにしたので、情報記憶時と異なる温度環境においても、情報記憶時と同じ観察光学系300の視度を再現できる。
【0053】
(変形例1)
第一の実施形態では、ステップS271(図8)およびステップS295(図5)においてそれぞれ、電源オフ処理(ステップS27(図4))の直前に可変焦点部材310(光学素子)へ印加していた電圧Voffを給電部501に指示する例を説明した。この代わりに、所定の視度値(たとえば、−1.0m−1)に設定する電圧V0を給電部501に指示してもよい。この場合には、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の観察光学系300の視度値が、−1.0m−1に維持される。
【0054】
メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)に可変焦点部材310に印加する電圧を上記電圧V0とすれば、電源オフ処理の前後で観察光学系300の視度が変化したとしても、光学像を観察中のユーザが感じる違和感を少なく抑えることができる。
【0055】
(第二の実施形態)
メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、温度情報を用いて視度値を補正する温度フィードバック処理を行う構成にしてもよい。図9は、第二の実施形態によるメインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。図9の処理は、前述の図4のステップS29において図5の処理に代えて実行される。図9において、図5と同じ処理を行う場合には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0056】
図9のステップS295の次に進むステップS297において、CPU16は所定時刻か否かを判定する。具体的には、たとえば、電源オフ処理(ステップS27)後10分経過するごとにステップS297を肯定判定し、ステップS298へ進む。CPU16は、10分経過していない場合にはステップS297を否定判定して図9による処理を終了する。
【0057】
ステップS298において、CPU16は、ファインダ視度調整制御部を起動してステップS299へ進む。具体的には、後述する印加電圧決定処理に必要な演算機能をオンさせる。ステップS299において、CPU16は、CPU16内の不揮発性メモリから視度情報(x)および電圧情報(V)を読み出してステップS300へ進む。これらの情報は、ステップS26(図4)において記憶されたものである。ステップS300において、CPU16は温度センサ311から温度検出信号を入力してステップS301へ進む。
【0058】
ステップS301において、CPU16は観察光学系300に設定されている視度を維持するように可変焦点部材310に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS300で計測した温度情報とステップS26(図4)において記憶した温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制するように可変焦点部材310へ印加する電圧値を求める。
【0059】
ステップS302において、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS303へ進む。これにより、可変焦点部材310(光学素子)への印加電圧が制御される。ステップS303において、CPU16はファインダ視度調整制御部をオフして図9による処理を終了する。具体的には、上記印加電圧決定処理に用いた演算機能をオフさせる。
【0060】
以上説明した第二の実施形態によれば、第一の実施形態で得られた作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。すなわち、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)においても、可変焦点部材310の温度情報を検出し、この温度情報を用いて可変焦点部材310に印加する電圧を増減するようにした(図9)。このような環境フィードバック処理を施すことにより、液体レンズである可変焦点部材310のパワーが温度依存性を有する場合には検出温度に応じてパワーを補正し、非使用中の電子カメラ1の温度にかかわらず、ファインダー視度の変動を抑えることができる。
【0061】
(第三の実施形態)
一眼レフタイプであって、かつ撮影光学系を着脱可能な電子カメラ(換言すれば、レンズ交換可能なカメラ)にも本発明を適用できる。図10は、一眼レフ電子カメラ1Bの要部構成を例示するブロック図である。図3(第一の実施形態)と比べて、カメラ本体に撮影光学系400Bが装着されている点、ペンタプリズム305を含む観察光学系300Bを有する点、フレネルレンズ面を有する焦点板25を有する点、および角速度センサ41を有する点が異なるので、これらの相違点を中心に説明する。
【0062】
図10において、被写体からの光は撮影光学系400Bを介してカメラ本体へ入射される。カメラ本体に入射した被写体光は、レリーズ前は実線で示すように位置するクイックリターンミラー(以下ミラーと呼ぶ)27で上方へ導かれて焦点板25に結像する。ユーザがこの被写体像に重ねて視野枠およびフォーカスエリアマーク(視標)を観察できるように、視野枠および視標を表示する液晶表示器26が配設されている。
【0063】
本実施形態で使用する液晶表示器26は、液晶表示器26を構成する液晶層に電圧が印加されない状態では、当該液晶層の光の透過率が低下する。そこで、給電部501が可変焦点部材310へ電圧を印加する場合、液晶表示器26にも電圧を印加するように構成されている。
【0064】
焦点板25に結像した被写体光はさらに、液晶表示器26を透過してペンタプリズム305へ入射される。ペンタプリズム305は入射された被写体光を可変焦点部材310へ導く。可変焦点部材310は、給電部501から印加される電圧に応じて焦点距離を変え、観察光学系300Bの視度を調節する。電子カメラ1Bのユーザは、ファインダー接眼窓10を介して被写体を観察する。レリーズ後はミラー27が破線で示される位置へ回動し、被写体光はシャッタ(不図示)を介して撮像素子401へ導かれ、その撮像面上に被写体像を結像する。
【0065】
角速度センサ41は、電子カメラ1Bの動きに伴う角速度を検出し、角速度検出信号を給電部501へ送出する。給電部501がCPU16へ角速度センサ41による検出情報を送信することにより、CPU16が給電部501へ可変焦点部材310および液晶表示器26に対する電圧供給を指示する。
【0066】
<メインスイッチオフ状態時処理>
図11は、第三の実施形態によるメインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。図11による処理は、前述の図4のステップS29において図5の処理に代えて実行される。図11のステップS391において、CPU16は液晶表示器26(本実施形態ではファインダースクリーンと呼ぶ)、および観察光学系300Bを構成する可変焦点部材310(本実施形態ではファインダー光学素子と呼ぶ)へ給電中か否かを判定する。CPU16は、給電部501がファインダースクリーンおよびファインダー光学素子へ電圧印加中の場合にステップS391を肯定判定してステップS392へ進む。CPU16は、給電部501がファインダースクリーンおよびファインダー光学素子へ電圧印加を停止している場合にはステップS391を否定判定し、ステップS398へ進む。
【0067】
ステップS392において、CPU16は、タイマー時間がt1未満か否かを判定する。CPU16は、電子カメラ1Bに対する操作が行われない状態で時間t1(たとえば10分)を計時して発する内蔵タイマーからのタイムアップ信号を受けていない場合、ステップS392を肯定判定してステップS393へ進む。CPU16は、内蔵タイマーからのタイムアップ信号を受けた場合、ステップS392を否定判定してステップS396へ進む。
【0068】
ステップS393において、CPU16は電源電圧が所定値VS以上か否かを判定する。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS以上の場合にステップS393を肯定判定し、ステップS394へ進む。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合(電池残量が少ない場合)にはステップS393を否定判定し、ステップS396へ進む。
【0069】
ステップS394において、CPU16は、ファインダースクリーンへ印加する電圧VSOの印加継続を給電部501に指示してステップS395へ進む。電圧VSOは、後述する電源オフ処理(図14)において指示される電圧値である。これにより、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の観察光学系300Bへ向かう光束の透過状態(電源オフ処理直前に設定されていた状態)が維持される。
【0070】
ステップS395において、CPU16は、ファインダー光学素子へ印加する電圧VFOの印加継続を給電部501に指示して図11による処理を終了する。電圧VFOは、後述する電源オフ処理(図14)において指示される電圧値である。これにより、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の観察光学系300Bの視度は、電源オフ処理直前に設定されていた状態が維持される。
【0071】
ステップS392を否定判定した場合、またはステップS393を否定判定した場合に進むステップS396において、CPU16は停止トリガ信号を発してステップS397へ進む。ステップS397において、CPU16は、ファインダースクリーンおよびファインダー光学素子に対する電圧の印加停止を給電部501に指示して図11による処理を終了する。これにより、無操作状態が時間t1を超えた場合、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合はともに、節電のために電圧印加を行わないように制御できる。
【0072】
ステップS391を否定判定して進むステップS398において、CPU16は角速度レベル(角速度センサ41の出力値に対応する)の変化量が所定値VA以上か否かを判定する。CPU16は、角速度センサ41による検出レベルの変化量が所定値VA以上の場合にステップS398を肯定判定し、ステップS399へ進む。CPU16は、角速度センサ41による検出レベルの変化量が所定値VA未満の場合にはステップS398を否定判定し、図11による処理を終了する。
【0073】
ステップS399において、CPU16は電源電圧が所定値VS以上か否かを判定する。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS以上の場合にステップS399を肯定判定し、ステップS400へ進む。CPU16は、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合(電池残量が少ない場合)にはステップS399を否定判定し、図11による処理を終了する。
【0074】
ステップS400において、CPU16は起動トリガ信号を発してステップS401へ進む。ステップS401において、CPU16は、給電部を起動させてステップS402へ進む。具体的には、電源502へ指示を送り、給電部501に対して給電を開始させる。
【0075】
ステップS402において、CPU16は、ファインダースクリーンへ印加する電圧VSOを給電部501に指示してステップS403へ進む。電圧VSOは、後述する電源オフ処理(図14)において指示される電圧値である。これにより、観察光学系300Bへ向かう光束が透過状態(電源オフ処理直前に設定されていた状態)になる。
【0076】
ステップS403において、CPU16は、ファインダー光学素子へ印加する電圧VFOを給電部501に指示してステップS404へ進む。電圧VFOは、後述する電源オフ処理(図14)において指示される電圧値である。これにより、観察光学系300Bの視度は、電源オフ処理直前に設定されていた状態にされる。
【0077】
ステップS404において、CPU16は、無操作タイマーによる計時時間をリセットして図11による処理を終了する。
【0078】
<初期設定処理>
図12は、第三の実施形態による初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。図12による処理は、上述の図4のステップS13において図6の処理に代えて実行される。図12において、図6と同じ処理を行う場合には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0079】
ステップS132の次に進むステップS133Bにおいて、CPU16は、ファインダースクリーンおよびファインダー光学素子に対する印加電圧をそれぞれ決定する。具体的には、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧VFOを増減し、これらの温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制することにより、不揮発性メモリに記憶されている視度情報(x(F))に対応する観察光学系300Bの視度を得るために必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)および視度情報(x(F))は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものとする。
【0080】
CPU16はさらに、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧VSOを増減し、これらの温度差によって生じる液晶表示器26の透過率の変動の抑制に必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものとする。
【0081】
ステップS134Bにおいて、CPU16は、上記決定電圧を給電部501にそれぞれ指示してステップS135Bへ進む。これにより、可変焦点部材310および液晶表示器26への印加電圧が制御される。ステップS135Bにおいて、CPU16は視度情報(x(F))および電圧情報(V(F))(V(S))、をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図12による処理を終了する。ここで、電圧情報(V(F))は、視度情報(x(F))に対応させるため可変焦点部材310へ印加する電圧である。
【0082】
<温度フィードバック処理>
図13は、第三の実施形態による温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。図13による処理は、上述の図4のステップS23において図7の処理に代えて実行される。図13において、図7と同じ処理を行う場合には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0083】
ステップS231の次に進むステップS232Bにおいて、CPU16はファインダースクリーンの透過率を維持するように液晶表示器26に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる液晶表示器26の透過率の変動を抑制するように液晶表示器26へ印加する電圧値を求める。
【0084】
ステップS233Bにおいて、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS234Bへ進む。これにより、ステップS234Bにおいて液晶表示器26(ファインダースクリーン)への印加電圧が制御される。
【0085】
ステップS232において、CPU16は観察光学系300Bに設定されている視度を維持するように可変焦点部材310に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制するように可変焦点部材310へ印加する電圧値を求める。
【0086】
ステップS233において、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS234へ進む。これにより、ステップS234において可変焦点部材310(ファインダー光学素子)への印加電圧が制御される。ステップS235Bにおいて、CPU16は視度情報(x(F))、電圧情報(V(F))および(V(S))をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図13による処理を終了する。図13によれば、温度変動に応じて印加電圧が微調整される。
【0087】
<電源オフ処理>
図14は、第三の実施形態による電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。図14による処理は、上述の図4のステップS27において図8の処理に代えて実行される。図14のステップS271Aにおいて、CPU16は、ファインダースクリーンへ印加する電圧VSOを給電部501に指示してステップS271Bへ進む。電圧VSOは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶した電圧値(V(S))である。これにより、観察光学系300Bへ向かう光束の透過状態が維持される。
【0088】
ステップS271Bにおいて、CPU16は、ファインダー光学素子へ印加する電圧VFOを給電部501に指示してステップS271Cへ進む。電圧VFOは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶した電圧値(V(F))である。これにより、観察光学系300Bの視度が維持される。
【0089】
ステップS271Cにおいて、CPU16は、無操作タイマーによる計時時間をリセットしてステップS272へ進む。ステップS272において、CPU16は、カメラ本体電源のオフ処理を行って図14による処理を終了する。電源オフ処理では、給電部501を除くカメラ内各部への給電を停止するように電源502へ指示を送る。
【0090】
以上説明した第三の実施形態によれば、第一の実施形態、第二の実施形態において説明した以外に次の作用効果が得られる。
(1)一眼レフタイプであって、かつ撮影光学系を着脱可能な電子カメラ1B(換言すれば、レンズ交換可能なカメラ)で、メインスイッチオフ状態(または無操作タイムアップ状態)にも観察光学系300Bによる光学像を観察できる。
【0091】
(2)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)に液晶表示器26に印加する電圧を、電源オフ処理直前の印加電圧VSOにしたので、電源オフ処理の前後で観察光学系300Bへ向かう光束の透過率が同じ状態に維持される。光学像の明るさが維持されるため、観察中のユーザに違和感を与えることがない。
【0092】
(3)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、角速度センサ41による検出レベルの変化量が所定値VA以上の場合(ステップS398を肯定判定)は、可変焦点部材310および液晶表示器26への電圧印加を開始する処理へ導くようにした。これにより、たとえば、撮影準備で電子カメラ1Bが手持ちされたことで揺動し、観察光学系300Bによる光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0093】
(4)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、角速度センサ41による検出レベルの変化量が所定値VA未満の場合(ステップS398を否定判定)は、可変焦点部材310、液晶表示器26への電圧印加を停止を維持するようにしたので、たとえば、電子カメラ1Bが放置されている場合のような静止状態では電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0094】
(第四の実施形態)
本発明は、撮影光学系に可変焦点部材を含む場合にも適用できる。図15は、一眼レフ電子カメラ1Cの要部構成を例示するブロック図である。図10(第三の実施形態)と比べて、カメラ本体に撮影光学系400Cが装着されている点、加速度センサ51を有する点、給電部511を有する点、レリーズスイッチ3の操作信号が給電部511へも送信される点、電圧計503が給電部501および給電部511の出力電圧をそれぞれ検出する点が異なるので、これらの相違点を中心に説明する。
【0095】
図15において、被写体からの光は撮影光学系400Cを介してカメラ本体へ入射される。カメラ本体に入射した被写体光は、可変焦点部材410を介してミラー27へ導かれる。可変焦点部材410は、給電部511から印加される電圧に応じて焦点距離を変え、撮影光学系400Cのフォーカス調節を行う。被写体光は、レリーズ前は実線で示すように位置するミラー27で上方へ導かれて焦点板25に結像する。焦点板25とともに液晶表示器26が配設されている点は図10に例示した場合と同様である。
【0096】
加速度センサ51は、電子カメラ1Cの動きに伴う加速度を検出し、加速度検出信号を給電部501および給電部511へ送出する。給電部501および511の少なくとも一方がCPU16へ加速度センサ51による検出情報を送信することにより、CPU16が給電部501および給電部511に対し、可変焦点部材310および可変焦点部材410、液晶表示器26に対する電圧供給をそれぞれ指示する。
【0097】
<メインスイッチオフ状態時処理>
図16は、第四の実施形態によるメインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。図16による処理は、前述の図4のステップS29において図11の処理に代えて実行される。図16による処理のうち、図11で行う処理と同一の処理を行う場合は、図11と同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0098】
図16のステップS391Bにおいて、CPU16は撮影光学系400Cを構成する可変焦点部材410(本実施形態では撮影レンズ光学素子と呼ぶ)、および観察光学系300Bを構成する可変焦点部材310(本実施形態ではファインダー光学素子と呼ぶ)並びに液晶表示器26(本実施形態ではファインダースクリーンと呼ぶ)へ給電中か否かを判定する。
【0099】
CPU16は、給電部511および501が撮影レンズ光学素子、ファインダー光学素子およびファインダースクリーンへ電圧印加中の場合にステップS391Bを肯定判定してステップS392へ進む。CPU16は、給電部511および501が撮影レンズ光学素子、ファインダー光学素子およびファインダースクリーンへの電圧印加を停止している場合にはステップS391Bを否定判定し、ステップS398Aへ進む。
【0100】
ステップS394の次に進むステップS394Bにおいて、CPU16は、撮影レンズ光学素子へ印加する電圧VOOの印加継続を給電部511に指示してステップS395へ進む。電圧VOOは、後述する電源オフ処理(図19)において指示される電圧値である。これにより、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の撮影光学系410のフォーカス調節状態は、電源オフ処理直前の状態が維持される。
【0101】
なお、本実施形態においてステップS394、ステップS394B、ステップS395の順に実行したが、この処理順序は上記説明した順番に限定されるものではない。たとえば、ステップS394Bを実行後にステップS394、ステップS395を実行してもよい。
【0102】
ステップS396の次に進むステップS397Bにおいて、CPU16は、撮影レンズおよびファインダーの光学素子、ならびにファインダースクリーンに対する電圧の印加停止を給電部511および501に指示して図16による処理を終了する。これにより、無操作状態が時間t1を超えた場合、電源502の電池電圧が所定値VS未満の場合はともに、節電のために電圧印加を行わないように制御できる。
【0103】
ステップS391Bを否定判定して進むステップS398Aにおいて、CPU16は加速度レベル(加速度センサ51の出力値に対応する)の変化量が所定値VB以上か否かを判定する。CPU16は、加速度センサ51による検出レベルの変化量が所定値VB以上の場合にステップS398Aを肯定判定し、ステップS399へ進む。CPU16は、加速度センサ51による検出レベルの変化量が所定値VB未満の場合にはステップS398Aを否定判定し、ステップS398Bへ進む。
【0104】
ステップS398Aを否定判定して進むステップS398Bにおいて、CPU16はユーザによりレリーズ操作が行われたか否かを判定する。CPU16は、レリーズスイッチ3からの操作信号を受信した場合にステップS398Bを肯定判定してステップS399へ進み、レリーズスイッチ3からの操作信号を受信しない場合にはテップS398Bを否定判定し、図16による処理を終了する。
【0105】
ステップS402の後に進むステップS402Bにおいて、CPU16は、撮影レンズ光学素子(撮影光学系400Cを構成する可変焦点部材410)へ印加する電圧VOOを給電部511に指示してステップS403へ進む。これにより、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)の撮影光学系410のフォーカス調節状態は、電源オフ処理直前に設定されていた状態にされる。
【0106】
<初期設定処理>
図17は、第四の実施形態による初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。図17による処理は、前述の図4のステップS13において図12の処理に代えて実行される。図17による処理のうち、図12で行う処理と同一の処理を行う場合は、図12と同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0107】
ステップS132の次に進むステップS133Cにおいて、CPU16は、撮影レンズおよびファインダーの光学素子、ならびにファインダースクリーンに対する印加電圧をそれぞれ決定する。具体的には、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧VOOを増減し、これらの温度差によって生じる可変焦点部材410の焦点距離の変動を抑制することにより、不揮発性メモリに記憶されている合焦距離(x(L))に対応する撮影光学系400Bの合焦状態を得るために必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)および合焦距離(x(L))は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものとする。
【0108】
CPU16はさらに、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧VFOを増減し、これらの温度差によって生じるこれらの温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制することにより、不揮発性メモリに記憶されている視度調節情報(x(F))に対応する観察光学系300Bの視度を得るために必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)および視度情報(x(F))は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものとする。
【0109】
さらにまた、CPU16は、ステップS132で計測した温度情報と、不揮発性メモリに記憶されている温度情報(t)とに基づいて電圧VSOを増減し、これらの温度差によって生じる液晶表示器26の透過率の変動の抑制に必要な印加電圧を求める。ここで、温度情報(t)は、ステップS26(図4)において不揮発性メモリに記憶されたものとする。
【0110】
ステップS134Cにおいて、CPU16は、上記各決定電圧を給電部501および511にそれぞれ指示してステップS135Cへ進む。これにより、可変焦点部材410、可変焦点部材310および液晶表示器26への印加電圧が制御される。ステップS135Cにおいて、CPU16は合焦距離(x(L))、視度情報(x(F))および電圧情報(V(L))、(V(F))、(V(S))を、CPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図17による処理を終了する。ここで、電圧情報(V(F))は、視度情報(x(F))に対応させるため可変焦点部材310へ印加する電圧である。電圧情報(V(L))は、合焦距離(x(L))に対応させるため可変焦点部材410へ印加する電圧である。
【0111】
<温度フィードバック処理>
図18は、第四の実施形態による温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。図18による処理は、上述の図4のステップS23において図13の処理に代えて実行される。図18において、図13と同じ処理を行う場合は同一のステップ番号を付している。
【0112】
ステップS231の次に進むステップS232Cにおいて、CPU16は撮影レンズの合焦状態を維持するように可変焦点部材410に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる可変焦点部材410の焦点距離の変動を抑制するように可変焦点部材410へ印加する電圧値を求める。
【0113】
ステップS233Cにおいて、CPU16は、上記決定電圧を給電部511に指示してステップS234Cへ進む。これにより、ステップS234Cにおいて可変焦点部材410(撮影レンズ光学素子)への印加電圧が制御される。
【0114】
ステップS232において、CPU16は観察光学系300Bに設定されている視度を維持するように可変焦点部材310に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる可変焦点部材310の焦点距離の変動を抑制するように可変焦点部材310へ印加する電圧値を求める。
【0115】
ステップS233において、CPU16は、上記決定電圧を給電部501に指示してステップS234へ進む。これにより、ステップS234において可変焦点部材310(ファインダー光学素子)への印加電圧が制御される。
【0116】
ステップS232Bにおいて、CPU16はファインダースクリーンの透過率を維持するように液晶表示器26に対する印加電圧を決定する。具体的には、ステップS231で計測した温度情報と初期設定時の温度情報とに所定値(たとえば5℃)以上の温度差がある場合、この温度差によって生じる液晶表示器26の透過率の変動を抑制するように液晶表示器26へ印加する電圧値を求める。
【0117】
ステップS233Bにおいて、CPU16は、上記決定電圧を給電部511に指示してステップS234Bへ進む。これにより、ステップS234Bにおいて液晶表示器26(ファインダースクリーン)への印加電圧が制御される。
【0118】
ステップS235Cにおいて、CPU16は視度情報(x(F))、合焦情報(x(L))、電圧情報(V(F))、(V(L))および(V(S))をCPU16内の不揮発性メモリ(不図示)へそれぞれ記憶させて図18による処理を終了する。図18によれば、温度変動に応じて印加電圧が微調整される。
【0119】
<電源オフ処理>
図19は、第四の実施形態による電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。図19による処理は、上述の図4のステップS27において図14の処理に代えて実行される。図19のステップS270において、CPU16は、撮影レンズ光学素子へ印加する電圧VOOを給電部511に指示してステップS271Aへ進む。電圧VOOは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶した電圧値(V(L))である。これにより、撮影光学系300Bのフォーカス調節状態が維持される。
【0120】
ステップS271Aにおいて、CPU16は、ファインダースクリーンへ印加する電圧VSOを給電部511に指示してステップS271Bへ進む。電圧VSOは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶した電圧値(V(F))である。これにより、観察光学系300Bへ向かう光束の透過状態が維持される。
【0121】
ステップS271Bにおいて、CPU16は、ファインダー光学素子へ印加する電圧VFOを給電部501に指示してステップS271Cへ進む。電圧VFOは、直前のステップS26(図4)において電圧情報(V)としてCPU16の不揮発性メモリに記憶した電圧値(V(S))である。これにより、観察光学系300Bの視度が維持される。
【0122】
ステップS271Cにおいて、CPU16は、無操作タイマーによる計時時間をリセットしてステップS272へ進む。ステップS272において、CPU16は、カメラ本体電源のオフ処理を行って図19による処理を終了する。電源オフ処理では、給電部501および511を除くカメラ内各部への給電を停止するように電源502へ指示を送る。ただし、CPU16は、給電部501および511の制御に必要な回路のみ起動状態を継続させる。
【0123】
以上説明した第四の実施形態によれば、第三の実施形態において説明した以外に次の作用効果が得られる。
(1)印加電圧に応じて焦点距離を変える可変焦点部材410を撮影光学系400Cに備え、メインスイッチがオン操作されている場合はもちろん、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)にも可変焦点部材410に電圧印加を行うようにした(図14)。これにより、メインスイッチオフ状態(または無操作タイムアップ状態)にも撮影光学系400Cによる光学像が得られる。
【0124】
(2)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)に可変焦点部材410に印加する電圧を、電源オフ処理直前の印加電圧VOOにしたので、電源オフ処理の前後で撮影光学系400Cの合焦距離が同じ値に維持され、光学像を観察中のユーザに違和感を与えることがない。
【0125】
(3)メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、加速度センサ51による検出レベルの変化量が所定値VB以上の場合(ステップS398Aを肯定判定)は、可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始する処理へ導くようにした。これにより、たとえば、撮影準備のために電子カメラ1Cが手持ちされたことで揺動すると、光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0126】
(4)加速度センサ51による検出レベルの変化量が所定値VB未満の場合(ステップS398Aを否定判定)であっても、電子カメラ1Cがレリーズ操作された場合には可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始する処理へ導くようにした。これにより、たとえば、ユーザーがレリーズボタンを半押し操作したタイミングで光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0127】
(5)上記(4)でレリーズ操作されない場合には、可変焦点部材410、310、液晶表示器26への電圧印加を停止を維持するようにしたので、電子カメラ1Cが放置されている場合のような静止状態では電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0128】
(変形例2)
第三の実施形態および第四の実施形態の場合、カメラ本体に対する撮影光学系400B(400C)の着脱を検出するセンサを設けてもよい。着脱検出センサは、周知のカメラ本体側レンズマウントと撮影光学系側のレンズマウント部との電気接点同士の接触を介して判定する。メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、着脱センサによって撮影光学系の装着を示す信号が出力されている場合には、他の条件を満足する(たとえば、電源の電池電圧が所定値VS以上の場合など)ことを条件に可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始させる。これにより、光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0129】
一方、着脱センサによって撮影光学系の装着を示す信号が出力されていない場合には、他の条件を満足したとしても可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加の停止を維持する。これにより、電池の無駄な電力消費を防止できる。なお、着脱センサの代わりにマウント部に設けられた、撮影光学系の装着がなされるとON状態となるスイッチでも同様の効果を得られる。この場合、カメラ本体側レンズマウントと撮影光学系側のレンズマウントが結合された場合に装着と判定され、同様の処理を実行する。非装着の場合は、着脱センサ信号非出力状態と同様の処理を行う。
【0130】
(変形例3)
カメラ本体のグリップ部に圧力検出センサを設けてもよい。この場合、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、圧力検出センサからカメラがホールドされていることを示す信号が出力されている場合には、他の条件を満足する(たとえば、電源の電池電圧が所定値VS以上の場合など)ことを条件に可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始させる。これにより、光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0131】
一方、圧力検出センサからカメラ本体の把持を示す信号が出力されていない場合には、他の条件を満足したとしても可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加の停止を維持する。これにより、電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0132】
(変形例4)
撮影光学系に対する遮光部材(いわゆるレンズキャップ)の着脱を検出するセンサを設けてもよい。遮光部材着脱検出センサは、たとえば、撮影光学系のレンズ鏡筒の先端部にマイクロスイッチを配して遮光部材の装着の有無を判定する。メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、遮光部材着脱検出センサによって遮光部材の非装着を示す信号が出力されている場合には、他の条件を満足する(たとえば、電源の電池電圧が所定値VS以上の場合など)ことを条件に可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始させる。これにより、光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0133】
一方、遮光部材着脱検出センサによって遮光部材の装着を示す信号が出力されている場合には、他の条件を満足したとしても可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加の停止を維持する。これにより、電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0134】
(変形例5)
ファインダー接眼窓10(図2)にユーザーの眼が近づいたことを検出するセンサを設けてもよい。近接検出センサは、たとえば、ファインダー接眼窓10から入射される光量の変化を検出し、眼の接近を判定する。メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、近接検出センサによって眼の接近を示す信号が出力されている場合には、他の条件を満足する(たとえば、電源の電池電圧が所定値VS以上の場合など)ことを条件に可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始させる。これにより、光学像を観察可能な状態へ自動的にセットできる。
【0135】
一方、近接検出センサによって眼の接近を示す信号が出力されていない場合には、他の条件を満足したとしても可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加の停止を維持する。これにより、電池の無駄な電力消費を防止できる。
【0136】
(変形例6)
メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を開始させる条件は、上述した各実施形態で発生した信号(電池電圧を示す信号、受光レベルを示す信号、角速度レベルを示す信号、加速度レベルを示す信号、レリーズスイッチ3からの操作信号、圧力検出センサからの信号、撮影光学系の装着を示す信号、遮光部材の非装着を示す信号、近接検出センサによる信号)のうち少なくとも2つ以上を、適宜組み合わせてもよい。
【0137】
また、メインスイッチオフ時(または無操作タイムアップ状態)において、可変焦点部材410、310および液晶表示器26への電圧印加を停止させる条件についても、上述した各実施形態で発生した信号のうち少なくとも2つ以上を、適宜組み合わせてもよい。
【0138】
(変形例7)
第三の実施形態、第四の実施の形態では、表示部9に表示していた情報(たとえば視度値や視力値等の視度に関する情報)を液晶表示器26に表示させてもよい。この場合、液晶表示器26に表示中の視野枠や視標と、視度に関する情報とを表示切替えさせてもよいし、視野枠や視標に重ねてメニュー画面等をスーパーインポーズ表示させてもよい。これにより、ユーザは、焦点板25に結像した観察像とともに、視度に関する情報を得ることができる。
【0139】
(変形例8)
可変焦点部材の焦点距離を変化させる例として印加電圧を変化させる例を説明したが、可変焦点部材へ供給する電圧や可変焦点部材の周囲の磁界を変化させることによって焦点距離を変化させる場合にも本発明を適用してよい。また、可変焦点部材を構成する液体レンズの液体に圧力を加えて可変焦点部材の焦点距離を変化させる場合には、当該圧力を圧電素子によって加える構成とすれば、上述した実施形態と同様に、印加電圧を変化させることによって可変焦点部材の焦点距離を変化させることができる。
【0140】
(変形例9)
可変焦点部材の環境情報として温度情報を検出する例を説明したが、たとえば圧力(気圧)や湿度などを検出するセンサを設け、これらの検出情報を用いて視度または合焦距離を補正するようにすることもできる。たとえば上述の変形例8で示したような、液体に圧力を加えて可変焦点部材の焦点距離を変化させるタイプの可変焦点部材を使用する場合には、可変焦点部材の環境情報として圧力(気圧)情報を用いることは、特に有用であると考えられる。
【0141】
電子カメラを例に説明したが、本発明はフィルムカメラにも適用することができる。また、観察光学系を備えた光学装置、たとえばヘッドマウントディスプレイなどの光学装置にも適用することができる。
【0142】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、各実施形態および変形例は、適宜組み合わせた構成としてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明の第一の実施形態による電子カメラの正面図である。
【図2】図1の電子カメラの背面図である。
【図3】電子カメラの要部構成を例示するブロック図である。
【図4】CPUが実行するメイン処理の流れを説明するフローチャートである。
【図5】メインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図6】初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図8】電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図9】第二の実施形態によるメインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図10】第三の実施形態による一眼レフ電子カメラの要部構成を例示するブロック図である。
【図11】メインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図12】初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図14】電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図15】第四の実施形態による一眼レフ電子カメラの要部構成を例示するブロック図である。
【図16】メインスイッチオフ状態時処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図17】初期設定処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図18】温度フィードバック処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図19】電源オフ処理の詳細を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0144】
1、1B、1C…電子カメラ
3…レリーズスイッチ
4…メインスイッチ
16…CPU(不揮発性メモリ)
26…液晶表示器
31…光センサ
41…角速度センサ
51…加速度センサ
300、300B…観察光学系
310、410…可変焦点部材(光学素子)
311…温度センサ
400、400B、400C…撮影光学系
401…撮像素子
501、511…給電部
502…電源
503…電圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部操作可能であり、そのオン操作により装置内に給電せしめ、そのオフ操作により該給電を停止せしめるメインスイッチと、
電圧に応じて光学特性を変化させる光学素子を有する光学系と、
前記光学素子へ電圧を供給する電圧供給手段と、
前記メインスイッチがオンされている時は前記光学素子へ電圧供給し、前記メインスイッチがオフされている時は該メインスイッチからの信号以外の所定の信号に応じて前記光学素子への電圧供給状態を変化させるように、前記電圧供給手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置において、
該装置の周囲の明るさ、および該装置の揺動の少なくとも一方を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出量が所定量変化した場合に信号を発する信号発生手段とをさらに備え、
前記所定の信号は、前記信号発生手段が発する信号を含むことを特徴とする光学装置。
ることを特徴とする光学装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学装置において、
操作に応じて操作信号を発する前記メインスイッチとは別の操作部材をさらに備え、
前記所定の信号は、前記操作部材からの操作信号を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学装置において、
所定時間を計時する計時手段をさらに備え、
前記所定の信号は、前記計時手段が発する信号を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学装置において、
装填されている電池の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記電圧検出手段による検出電圧が所定値未満の場合、前記光学素子への電圧供給を停止するように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする光学装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記制御手段は、前記メインスイッチがオフされている時に前記光学素子へ電圧供給中の場合、前記所定の信号の変化に応じて当該電圧供給を停止するように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記制御手段は、前記メインスイッチがオフされている時に前記光学素子へ電圧供給停止中の場合、前記所定の信号の変化に応じて電圧供給を開始するように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする光学装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光学装置において、
前記メインスイッチがオフされている時に前記光学素子へ供給する電圧は、前記メインスイッチが前記オフされる直前に前記光学素子へ供給していた電圧であることを特徴とする光学装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学素子および/またはその近傍の環境情報を検出する環境情報検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記環境情報検出手段で検出された環境情報に応じて前記メインスイッチがオフされている時に前記光学素子へ供給する電圧を補正するように、前記電圧供給手段を制御することを特徴とする光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学装置において、
前記環境情報は温度を含み、
前記制御手段は、前記温度に応じて前記光学素子へ供給する電圧を補正するように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする光学装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学系の光学素子は、電圧に応じて焦点距離を変化させることを特徴とする光学装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学系は観察光学系を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項13】
請求項12に記載の光学装置において、
前記観察光学系は、前記供給電圧に応じて視度調節を行うことを特徴とする光学装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学素子は、第1液体材料と、該第1液体材料と屈折率が異なり、かつ該第1液体材料と混合しない第2液体材料とが容器内に封入され、前記供給電圧に応じて前記第1液体材料および前記第2液体材料の境界面形状を変化させることによって前記光学特性を変化させることを特徴とする光学装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学装置は撮影を行うカメラであり、
前記光学系は撮影光学系を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光学装置において、
前記カメラは撮影レンズに着脱可能なレンズキャップの着脱を検知するセンサを備え、
前記所定の信号は、前記センサが発する信号を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項17】
請求項15に記載の光学装置において、
前記カメラは該カメラに着脱可能な撮影レンズの着脱を検知するセンサを備え、
前記所定の信号は、前記センサが発する信号を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項18】
請求項15に記載の光学装置において、
前記カメラは該カメラのグリップ部が把持されているか否かを検知するセンサを備え、
前記所定の信号は、前記センサが発する信号を含むことを特徴とする光学装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の光学装置において、
前記光学系の光学素子は、電圧に応じて透過率を変化させることを特徴とする光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−237271(P2009−237271A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83227(P2008−83227)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】